(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094668
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】監視システム及び給水システム
(51)【国際特許分類】
E03C 1/046 20060101AFI20240703BHJP
E03C 1/02 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
E03C1/046
E03C1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211364
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】内藤 篤身
(72)【発明者】
【氏名】藤井 建吾
(72)【発明者】
【氏名】濱口 真伍
(72)【発明者】
【氏名】小西 佐和子
(72)【発明者】
【氏名】石母田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】宗口 瑛
(72)【発明者】
【氏名】横尾 芳明
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060AA01
2D060BA01
2D060BA10
2D060BB01
2D060BB10
2D060BC30
2D060BE20
2D060CC20
(57)【要約】
【課題】液源内の原液の消費状態を良好に把握するための技術を提供する。
【解決手段】給水流路を通流する原水に添加される液源内の原液の液源内での消費状態を監視するための監視システムであって、原液を添加するときの原液の消費量を示す消費量情報を取得する取得部110と、原液の消費量情報に基づいて、液源の使用開始時点からの原液の合計消費量を導出する導出部112と、液源内の原液の残量切れを検出する残量切れ検出部102と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水流路を通流する原水に添加される液源内の原液の消費状態を監視するための監視システムであって、
前記原液を添加するときの原液の消費量を示す消費量情報を取得する取得部と、
前記原液の消費量情報に基づいて、前記液源の使用開始時点からの原液の合計消費量を導出する導出部と、
前記液源内の原液の残量切れを検出する残量切れ検出部と、を備える監視システム。
【請求項2】
前記原液の合計消費量及び前記残量切れ検出部の検出結果に基づいて、前記液源の交換時期の到来に関して報知部に報知させる報知制御部を備える請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記液源の使用開始時点からの累積使用時間を計時する計時部を備え、
前記報知制御部は、前記原液の合計消費量、前記残量切れ検出部の検出結果及び前記累積使用時間に基づいて、前記液源の交換時期の到来に関して前記報知部に報知させる請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記報知制御部は、前記液源の交換時期の到来に関する報知として、前記液源の交換時期の到来を予告する予告報知と、前記液源の交換時期の到来を報知する本報知とを行う請求項2及び3のいずれかに記載の監視システム。
【請求項5】
前記報知制御部は、予告報知条件を満たしたときに、前記液源の交換時期の到来を予告する予告報知を行い、本報知条件を満たしたときに、前記液源の交換時期の到来を報知する本報知を行い、
前記予告報知条件は、前記原液の合計消費量が規定量に達するという第1予告報知条件の成立を少なくとも含み、
前記本報知条件は、前記残量切れ検出部によって前記液源の残量切れが検出されるという第1本報知条件の成立を少なくとも含む請求項2に記載の監視システム。
【請求項6】
前記液源の使用開始時点からの累積使用時間を計時する計時部を備え、
前記予告報知条件は、前記累積使用時間が第1規定時間に達するという第2予告報知条件の成立を含み、
前記本報知条件は、前記累積使用時間が第2規定時間に達するという第2本報知条件の成立を含む請求項5に記載の監視システム。
【請求項7】
前記残量切れ検出部は、前記原液の合計消費量が規定量に達した場合に、前記液源内の残量切れを検出する検出動作を実行する請求項1に記載の監視システム。
【請求項8】
前記消費量情報は、前記給水流路に設けられる流量センサによって検出された原水の瞬間流量を示す検出量である請求項1に記載の監視システム。
【請求項9】
前記監視システムが用いられる給水システムは、
前記原液が通流する原液流路に設けられ原液を送液する送液部と、
前記送液部に供給されるべき駆動電圧及び駆動電流の何れかに関するパラメータを設定し、その設定したパラメータの駆動電圧及び駆動電流の何れかを供給することで、前記送液部によって送液される前記原液の瞬間流量を制御する給水制御部と、を備え、
前記消費量情報は、前記駆動電圧及び駆動電流の何れかに関するパラメータの設定量及び検出量の何れかである請求項1に記載の監視システム。
【請求項10】
前記監視システムが用いられる給水システムは、前記原液が通流する原液流路を備え、前記液源内の原液の有無に応じて前記原液流路の特定箇所での通流物が原液及びエアの何れかとなるように構成され、
前記残量切れ検出部は、前記原液流路内の前記特定箇所での通流物によって変化する物理量を検出する原液用センサを備える請求項1に記載の監視システム。
【請求項11】
請求項10に記載の監視システムが用いられる給水システムであって、
前記原液流路は、エアが溜められるエア溜まりを備え、外部空間に対して密閉されており、
前記液源は、前記原液流路に設けられる送液部による吸い込みによって減容変形可能な密封容器である給水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液源内の原液の消費状態を監視するための監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、原水が通流する給水流路と、給水流路を通流する原水に液源から供給された原液を添加する原液流路とを備える給水システムを開示している。この給水システムでは、原液の添加するときの原液の消費量を示す消費量情報を取得し、その消費量情報に基づいて液源の使用開始時点からの原液の合計消費量を導出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の給水システムでは、導出した原液の合計消費量から液源の残量切れを把握しようとしている。しかしながら、原水に対する原液の添加動作毎に、原液の実消費量にはバラツキが生じる。このため、原液の合計消費量の実際値は、添加動作毎の実消費量のバラツキが累積されることで、原液の合計消費量の導出値に対して大きくバラツキ易い。よって、原液の合計消費量の導出値からは、液源の残量切れを正確に把握し難いという問題がある。
【0005】
本開示の目的の1つは、液源内の原液の消費状態を良好に把握するための技術を提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の監視システムは、給水流路を通流する原水に添加される液源内の原液の消費状態を監視するための監視システムであって、前記原液を添加するときの原液の消費量を示す消費量情報を取得する取得部と、前記原液の消費量情報に基づいて、前記液源の使用開始時点からの原液の合計消費量を導出する導出部と、前記液源内の原液の残量切れを検出する残量切れ検出部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態の給水システムの模式的な全体構成図である。
【
図2】本実施形態の監視システムのブロック図である。
【
図3】本実施形態の報知制御を説明するフローチャートである。
【
図4B】残量切れ検出部に関する他の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
【0009】
図1を参照する。まず、本実施形態の監視システム(不図示)が用いられる給水システム10から説明する。給水システム10は、被給水部12に希釈水(後述する)を給水するために用いられる。本実施形態の被給水部12は、希釈水を吐き出す吐水装置の吐水部である。ここでは、吐水装置の一例として吐水管を示す。この他にも、吐水装置は、例えば、シャワーヘッド等でもよい。被給水部12の具体例は特に限定されず、この他にも、希釈水を溜めるためのタンク等でもよい。
【0010】
給水システム10は、被給水部12に希釈水を給水するための第1給水ライン16と、被給水部12に希釈水とは種類の異なる水として湯水混合水を給水するための第2給水ライン18と、を備える。第1給水ライン16及び第2給水ライン18のいずれも飲料水(希釈水、湯水混合水)を給水する。
【0011】
第2給水ライン18は、上水道等の給水源20から水道水である常温水が供給される水流路22と、給湯器等の湯源24から湯が供給される湯流路26と、水流路22及び湯流路26から供給される常温水及び湯を混合する混合弁28と、混合弁28によって混合された湯水混合水を被給水部12に給水する混合水流路30と、を備える。混合弁28における常温水と湯の混合比率及び混合弁28から給水される湯水混合水の流量は、吐水装置14に設けられるシングルレバー32によって操作可能である。水流路22には流れ方向に間を空けて上流側への逆流を阻止する第1逆止弁38及び第2逆止弁40が設けられる。湯流路26には上流側への逆流を阻止する第3逆止弁42が設けられる。
【0012】
第1給水ライン16は、水流路22から分岐し被給水部12に繋がる給水流路50と、給水流路50に設けられる改質カートリッジ52とを備える。第1給水ライン16は、この他に、原液を溜める液源60と、給水流路50に繋がる原液流路62と、原液流路62に設けられる送液部64と、給水流路50に設けられる流量センサ66と、給水流路50に設けられる開閉弁68と、を備える。
【0013】
給水流路50には、上流側の給水源20から給水圧を付与された原水が供給される。本実施形態の給水流路50には、給水源20から水流路22を介して原水が供給される。給水流路50と原液流路62との合流部70において原水に原液が添加されることで、原液を原水で希釈した希釈水が生成される。希釈水は、給水流路50と原液流路62との合流部70よりも下流側を通流して被給水部12に給水される。ここでの「原水」とは、原液の添加対象となる溶媒をいう。「原水」は、改質カートリッジ52を経由することによる改質の有無は問わない。原水は、塩素成分を含有する水道水の他、天然水等でもよい。給水流路50には、給水流路50と原液流路62との合流部70よりも給水流路50の上流側に設けられ上流側への逆流を阻止する第4逆止弁72が設けられる。
【0014】
改質カートリッジ52は、自身の内部に給水流路50の一部が設けられ、その自分の内部を経由して通流する原水を改質可能である。ここでの「改質」とは、物理変化及び化学変化の何れかを経て、特定の成分を原水から除去すること及び原水に付与することの何れかをいう。本実施形態の改質カートリッジ52は、原水として流入する水道水に含まれる塩素成分を除去する浄水カートリッジであり、原水を浄化することで浄水を生成する。この他にも、原水の改質態様として、美容成分、匂い成分、炭酸成分、水素成分等を原水に付与してもよい。改質カートリッジ52は、不図示のカートリッジホルダーに着脱可能に保持される。なお、給水システム10は、改質カートリッジ52を備えずともよい。
【0015】
液源60は、不図示の液源ホルダーに着脱可能に保持される。原液は、例えば、希釈用飲料原液、食品添加物濃縮液、調味液等の飲用に用いられる。この他にも、原液は、石けん水、化粧水、ボディオイル等の人体に触れる用途で用いられてもよい。この人体に触れる用途には、前述の飲用に用いられる希釈用飲料原液等が含まれる。
【0016】
原液流路62には、液源60から供給される原液が通流し、その原液が給水流路50を通流する原水に添加される。原液流路62には、送液部64よりも上流側に第5逆止弁76が設けられ、送液部64よりも下流側に第6逆止弁80が設けられる。原液流路62には原液流路62を通流する原液を除菌する除菌部82が設けられる。除菌部82は、自身の内部に原液流路62の一部が設けられ、その自身を経由して原液流路62内を通流する原液を除菌する。除菌部82は、例えば、中空糸膜フィルタ、光触媒、紫外線等を用いて原液を除菌するように構成される。
【0017】
送液部64は、液源60側から吸い出した原液を給水流路50側に向けて吐き出すことで原液を送液する。本実施形態の送液部64は、後述する給水制御部86から供給される駆動電圧及び駆動電流の何れかによって駆動され、その駆動電圧及び駆動電流の何れかに応じた瞬間流量となるように連続的に原液を送液する。ここでの送液部64は、駆動電圧によって駆動される例を説明する。これを実現する本実施形態の送液部64は、ポンプの他に、ポンプを駆動するモータを備え、モータを駆動する駆動電圧の電圧値を大きくするほどポンプから送液される原液の瞬間流量を大きくすることができる。この他にも、送液部64は、例えば、ポンプの他に、ポンプを駆動するソレノイドを備え、ソレノイドを駆動する駆動電流に応じて原液の瞬間流量を変更可能にしてもよい。本実施形態の送液部64のポンプはチューブポンプであるが、この他にも、ギヤポンプ、ベーンポンプ等の各種ポンプを採用してもよい。本実施形態の送液部64はポンプを用いて構成されるが、その具体例は特に限定されず、例えば、コンプレッサー等でもよい。
【0018】
本実施形態の流量センサ66は、給水流路50において原液流路62との合流部70よりも上流側に設けられる。流量センサ66は、給水流路50を通流する原水の瞬間流量(以下、原水流量ともいう)を検出周期(例えば、1秒ごと)毎に検出し、その原水流量を示す検出量を後述する処理装置104に出力する。本明細書での「流量」とは、言及対象の体積流量(L/min)をいう。流量センサ66の具体例は特に限定されず、羽根車式流量センサ等の各種流量センサを採用してもよい。
【0019】
開閉弁68は、電磁弁、電動弁等の自動開閉弁である。本実施形態の開閉弁68は、給水流路50において流量センサ66よりも上流側に設けられる。
【0020】
給水システム10は、給水システム10の給水動作を制御する給水制御部86を備える。給水制御部86は、開閉弁68の開閉動作を制御可能である。給水制御部86は、送液部64を駆動するための駆動電圧及び駆動電流(ここでは駆動電圧)の何れかに関するパラメータを設定し、その設定したパラメータの駆動電圧及び駆動電流の何れかを送液部64に供給することで、送液部64から送液される原液の瞬間流量(以下、原液流量ともいう)を制御する。これを実現するうえで、本実施形態の給水制御部86は、駆動電圧に関するパラメータとして、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって生成される駆動電圧のデューティー比を設定する。この他にも、この駆動電圧に関するパラメータは、駆動電圧の電圧値等でもよい。
【0021】
給水制御部86は、流量センサ66によって検出された原水流量の検出量に基づいて、希釈水内での原液の特定成分(例えば、ビタミン等)の濃度が目標濃度A1となるように、原液流量を制御する定濃度制御をする。本明細書での濃度とは、質量パーセント濃度(wt%)をいう。この目標濃度A1は、特定成分に対して予め定められる目標範囲内に収まるように定められる。
【0022】
希釈水内で特定成分を目標濃度A1にするための原水流量Qに応じた原液流量を目標原液流量qtという。給水制御部86は、定濃度制御をするにあたり、流量センサ66によって検出された原水流量Qの検出量を取得する。この後、給水制御部86は、原水流量Qの検出量に基づいて、目標原液流量qtを送液するために送液部64に供給すべき必要駆動電圧及び必要駆動電流の何れかに関するパラメータを導出する。目標原液流量qtを送液するための必要駆動電圧及び必要駆動電流の何れかに関するパラメータと原水流量Qとの間には相関関係がある。このパラメータを導出するにあたっては、これらの相関関係を示す関係情報を予め記憶部118(後述する)に記憶しておき、その関係情報に原水流量Qの検出量を入力することで実現してもよい。
【0023】
この関係情報は、例えば、原水流量Qを入力とし、目標原液流量qtを送液するための必要駆動電圧及び必要駆動電流の何れかに関するパラメータを出力とする式、テーブル等によって特定される。この関係情報は、原液の濃度A0、希釈水の濃度A1に応じて定まる。これら濃度A0、A1が固定された使用環境の場合、その濃度A0、A1の違いを考慮せずに関係情報によって特定される式等を用いればよい。これに対して、原液の種類等によって濃度A0が異なる場合、ユーザの好み等によって希釈水の濃度A1を変更できる場合、その濃度A0、A1の違いを考慮する必要がある。これに対応するうえで、関係情報は、不図示の入力部に対する操作に従いユーザによって設定された原液、希釈水の濃度A0、A1と、流量センサ66によって検出された原水流量Qとを入力とし、必要駆動電圧及び必要駆動電流の何れかに関するパラメータを出力とする式等によって特定されてもよい。この他にも、異なる原液、希釈水の濃度A0、A1の組み合わせ毎に対応する複数の関係情報を予め記憶しておき、実際に使用する濃度A0、A1に応じた式等の関係情報を用いてもよい。
【0024】
給水制御部86は、その導出したパラメータの必要駆動電圧及び必要駆動電流の何れかを送液部64に供給することで、送液部64から送液される原液流量が目標原液流量qtとなるように制御する。これによって、原水流量Qの検出量に応じて、希釈水内で特定成分を目標濃度A1にするための目標原液流量qtとなるように送液部64から送液される原液流量を制御でき、それによって、希釈水内で特定成分の濃度が目標濃度A1となるようにすることができる。
【0025】
図2を参照する。
図2の各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子(電子部品)や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現される。ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現してもよい。
【0026】
監視システム100は、液源60内の原液の消費状態を監視するために用いられる。監視システム100は、後述のように、液源60の使用開始時点からの原液の合計消費量を導出するとともに、その液源60内の原液の残量切れを検出することで、原液の消費状態を監視する。ここでの「残量切れ」とは、字句通りに液源60内から原液が完全に無くなる場合のみを意味するものではない。この「残量切れ」とは、送液部64によって吸い込み可能な範囲で液源60内の原液を吸いきった後に、送液部64によって吸い込み不能な僅かな量の原液が液源60内に残る場合も含まれる。後述する「液源60内から原液140が無くなる」との意味も同様である。
【0027】
監視システム100は、液源60内の原液の残量切れを検出する残量切れ検出部102と、各種処理をする処理装置104と、液源60の交換時期の到来に関してユーザに報知する報知部106と、を備える。残量切れ検出部102の詳細は後述する。
【0028】
報知部106は、ユーザに知覚可能な態様によって、液源60の交換時期の到来に関してユーザに報知する。ここでの報知部106は、ランプの表示によって報知する例を説明する。この他にも、ディスプレイ等の表示によって報知してもよいし、スピーカ等の音声によって表示してもよい。報知部106となるランプは、報知すべき内容に応じた点灯態様で点灯することで液源の交換時期の到来に関して報知する。報知部106の設けられる位置、個数は特に限定されない。報知部106は、吐水装置14を支持する支持部材(シンク等)に固定され液源60等を支持するハウジング(不図示)に設けられてもよい。この他にも、報知部106は、吐水装置14に設けられていてもよいし、情報処理端末に設けられてもよい。
【0029】
処理装置104は、取得部110と、導出部112と、計時部114と、報知制御部116と、記憶部118と、を備える。本実施形態の処理装置104は、前述した給水制御部86を備えている。処理装置104は、CPU、ROM、RAMの組み合わせによって構成されるマイクロコンピュータ等のコンピュータである。
【0030】
取得部110は、給水流路50を通流する原水に原液を添加するときの原液の消費量を示す消費量情報を取得する。原液の消費量情報は、原液を添加するときの原液の消費量そのものであってもよいし、原液を添加するときの原液の消費量と相関のある相関量でもよい。この相関量は、原液を添加するときの原液の消費量を間接的に示す情報となる。本実施形態の原液の消費量情報は、流量センサ66によって検出された原水流量の検出量である。この原水流量(原水の瞬間流量)は、給水制御部86によって定濃度制御をする場合、単位時間あたりの原液の消費量と理想的には相関関係(線形関係)があり、その原液の消費量と相関のある相関量となる。取得部110は、原液を添加するときに流量センサ66によって検出された原水流量の検出量を、流量センサ66の検出周期毎に流量センサ66から逐次取得する。
【0031】
導出部112は、取得部110によって取得した原液を添加するときの原液の消費量を示す消費量情報に基づいて、液源60の使用開始時点から現時点までの原液の合計消費量を導出する。ここでの消費量情報は、前述の通り、原液の消費量を間接的に示す相関量(原水流量の検出量)である。この場合、その相関量を原液の消費量に換算するための関係情報を予め記憶部118に格納しておく。この関係情報は、原液の消費量と相関のある相関量と原液の消費量との関係を示す関係式、テーブル等によって特定される。
【0032】
導出部112は、このような関係情報を用いて、取得部110によって取得された原水の瞬間流量の検出量を単位時間あたりの原液の消費量に換算し、その換算した単位時間あたりの原液の消費量をカウントすることで合計消費量を導出する。この他にも、導出部112は、所定期間内において取得部110によって取得された原水の瞬間流量の検出量を積算し、その積算量を前述の関係情報を用いて原液の消費量に換算し、その換算した原液の消費量をカウントすることで合計消費量を導出してもよい。いずれにしても、導出部112は、相関量を原液の消費量に換算するための関係情報と、取得部110によって取得された相関量とに基づいて、原液の合計消費量を逐次導出すればよい。導出部112は、原液の合計消費量を定期的に導出し、導出する毎に原液の合計消費量を記憶部118に更新して記憶する。
【0033】
計時部114は、液源60の使用開始時点から現時点までの累積使用時間を計時する。本実施形態の計時部114は、液源60の使用開始時点から現時点までの、外部電源から処理装置104に対する通電時間を累積使用時間として計時する。計時部114の累積使用時間の計時手法は特に限定されず、例えば、液源60の使用開始時点から現時点までの経過時間を累積使用時間として計時してもよい。計時部114は、定期的及び連続的の何れかに累積使用時間を計時し、計時する度に液源の累積使用時間を記憶部118に更新して記憶する。
【0034】
報知制御部116は、報知部106を制御することで、液源60の交換時期の到来に関して報知部106に報知させる報知制御をする。報知制御部116は、液源60の交換時期の到来に関する報知として、液源60の交換時期の到来を予告する予告報知と、液源60の交換時期の到来を報知する本報知とを行う。報知制御部116は、予め定められる予告報知条件を満たしたときに予告報知を行い、予め定められる本報知条件を満たしたときに本報知を行う。報知部106となるランプは、例えば、報知制御部116による制御のもと、交換時期の到来に関する報知を行わない場合は緑色、予告報知を行う場合は黄色、本報知を行う場合は赤色に点灯する。
【0035】
予告報知条件は、導出部112によって導出された原液の合計消費量が規定量に達するという第1予告報知条件の成立を少なくとも含む。ここでの予告報知条件は、計時部114によって計時された液源60の累積使用時間が第1規定時間に達するという第2予告報知条件の成立も含む。ここでの第1予告報知条件と第2予告報知条件はOR条件として設定される。予告報知条件は、第1予告報知条件と第2予告報知条件とのうち少なくとも一方が成立する場合に満たされることになる。この他にも、これらはAND条件として設定されてもよいし、予告報知条件は、第1予告報知条件の成立のみを条件としてもよい。報知制御部116は、記憶部118に記憶されている最新の原液の合計消費量と規定量を読み込み、その読み込んだ合計消費量と規定量を比較することで第1予告報知条件の成否を判定する。報知制御部116は、記憶部118に記憶されている最新の液源60の累積使用時間と第1規定時間を読み込み、その読み込んだ累積使用時間と第1規定時間を比較することで第2予告報知条件の成否を判定する。
【0036】
第1規定時間は、予め定められた液源60の使用期限を考慮して設定される。液源60の使用期限は、例えば、液源60の原液に関する品質を担保できる液源60の使用開始時点からの期限として設定される。第1規定時間は、例えば、液源60の使用期限(例えば、6ヶ月)分の時間よりも短い時間(例えば、5.5ヶ月分の時間)に設定される。第1規定時間は、使用者の好みに応じて任意に設定される可変値及び固定値のいずれでもよい。
【0037】
本報知条件は、残量切れ検出部102によって液源60の残量切れが検出されるという第1本報知条件の成立を少なくとも含む。ここでの本報知条件は、計時部114によって計時された液源60の累積使用時間が第2規定時間に達するという第2本報知条件の成立も含む。ここでの第1本報知条件と第2本報知条件はOR条件として設定される。本報知条件は、第1本報知条件と第2本報知条件とのうち少なくとも一方が成立する場合に満たされることになる。この他にも、これらはAND条件として設定されてもよいし、本報知条件は、第1本報知条件の成立のみを条件としてもよい。報知制御部116は、記憶部118に記憶されている最新の残量切れ検出部102の検出結果を読み込むことで、第1本報知条件の成否を判定する。報知制御部116は、記憶部118に記憶されている最新の液源60の累積使用時間と第2規定時間を読み込み、その読み込んだ累積使用時間と第2規定時間を比較することで第2本報知条件の成否を判定する。
【0038】
第2規定時間は、第1規定時間よりも長い時間であり、液源60の使用期限を考慮して設定される。第2規定時間は、例えば、液源60の使用期限分の時間に設定される。このように報知部106は、原液の合計消費量、残量切れ検出部102の検出結果及び液源60の累積使用時間に基づいて、液源60の交換時期の到来に関して報知する。
【0039】
図3は報知制御を説明するためのフローチャートである。報知制御部116は定期的に報知制御をする。この報知制御において、まず、報知制御部116は、前述した予告報知条件の成否を判定する(S10)。次に、報知制御部116は、前述した本報知条件の成否を判定する(S12)。報知制御部116は、予告報知条件を満たさないと判定した場合(S10のN)、液源60の交換時期の到来に関する報知を行わない(S14)。報知制御部116は、予告報知条件を満たすと判定し(S10のY)、本報知条件を満たさないと判定した場合(S12のN)、予告報知を行う(S16)。報知制御部116は、予告報知条件を満たすと判定し(S10のY)、本報知条件を満たすと判定した場合(S12のY)、本報知を行う(S18)。この後、報知制御を終了する。
【0040】
以上の監視システム100の効果を説明する。
【0041】
前述の通り、原液の合計消費量の導出値からは、添加動作毎の原液の実消費量に関するバラツキの累積に起因して、液源60の残量切れを正確に把握し難い。また、残量切れ検出部の検出結果からは、液源60が残量切れをする前の原液の消費量を把握できない。この点、本実施形態によれば、残量切れ検出部102の検出結果から、原液の合計消費量の導出値を用いる場合よりも、液源60の残量切れを正確に把握できる。これは、原液の合計消費量の導出値を用いる場合と比べて、添加動作毎の原液の実消費量に関するバラツキの累積の影響を受けないためである。これとともに、導出部112によって導出された原液の合計消費量から、液源60が残量切れをする前の大まかな消費量を把握できる。ひいては、液源60内の原液の消費状態を良好に把握できるようになる。
【0042】
報知制御部116は、原液の合計消費量及び残量切れ検出部102の検出結果に基づいて、液源の交換時期の到来に関して報知部106に報知させる。よって、液源60の交換時期に影響する原液の合計消費量及び液源60の残量切れを考慮して、液源60の交換時期の到来に関して適切に報知できるようになる。
【0043】
報知制御部116は、この他にも、液源60の累積使用時間に基づいて、液源60の交換時期の到来に関して報知部106に報知させる。よって、液源60の交換時期に影響する原液の合計消費量、液源60の残量切れ、及び液源60の累積使用時間のそれぞれを考慮して、液源60の交換時期の到来に関して適切に報知できるようになる。
【0044】
報知制御部116は、予告報知と本報知を行うことができる。よって、予告報知及び本報知のそれぞれによって、液源60の交換時期の到来が近いこと、液源60の交換時期が到来したことのそれぞれをユーザに知らせることができるようになる。
【0045】
仮に、消費量情報が、原液流路62に設けられる流量センサによって検出された原液の瞬間流量の検出量である場合を考える。流量センサ66の検出精度は、通常、流量センサ66の検出対象となる流体の瞬間流量が小さくなるほど低下する。よって、原液流路62に流量センサを設けた場合、原液の希釈倍率が高くなるほど、原液の瞬間流量が小さくなり、それに伴い流量センサによる検出精度が大幅に低下する問題がある。この点、本実施形態の消費量情報は、給水流路50に設けられる流量センサ66によって検出された原水の瞬間流量の検出量である。よって、原液の希釈倍率が高くなっても、原水の瞬間流量にはほとんど影響せず、流量センサ66による検出精度にもほとんど影響しない。このため、希釈倍率が高くなっても消費量情報の示す原液の消費量の実消費量からのばらつきを低減でき、原液の合計消費量を精度よく導出できるようになる。この他にも、原液流路62に流量センサ66を設けずとも、原液の消費量を示す消費量情報を取得できる利点がある。なお、本実施形態の給水システム10は、原液の瞬間流量に対する原水の瞬間流量の倍率である希釈倍率が1000倍以上となるように原液を原水によって希釈している。
【0046】
給水システム10及び監視システム100の他の特徴を説明する。
図1を参照する。給水制御部86は、ユーザによる給水操作部90に対する操作に従って動作可能である。給水操作部90は、被給水部12への給水の有無を切り替えるためにユーザによって操作される。給水操作部90の具体例は特に限定されず、本実施形態のような吐水装置14に設けられる回転ハンドル等の機械部品の他、情報処理端末(スマートフォン、タブレット等)によって構成されてもよい。給水操作部90は、ユーザによる操作に従って複数の指示のいずれかを選択可能であり、その選択された指示を給水制御部86に出力する。給水操作部90によって選択可能な指示は、被給水部12に給水するための給水指示と、被給水部12への給水を停止するための止水指示とを含んでいる。
【0047】
給水制御部86は、給水指示を受けると、開閉弁68を開状態にするとともに送液部64による原液の送液を開始する。これによって、給水流路50において希釈水が生成され、給水流路50から被給水部12へ希釈水が給水される。給水制御部86は、止水指示を受けると、開閉弁68を閉状態にするとともに送液部64による原液の送液を停止する。これによって、給水流路50から被給水部12への希釈水の給水が停止する。
【0048】
図4A、
図4Bを参照する。これらは、残量切れ検出部102を周辺構造とともに示す模式図である。給水システム10の原液流路62は、エア130が溜められるエア溜まり132を備える。本実施形態のエア溜まり132は除菌部82に設けられる。本実施形態の残量切れ検出部102は、エア溜まり132に溜められたエア130を利用して、液源60の残量切れを検出する。これを実現するうえで、原液流路62は、外部空間からのエアの流入を阻止できるよう外部空間に対して密閉されている。また、液源60は、送液部64による吸い込みによって減容変形可能な密封容器を用いている。この密封容器を用いた液源60は、送液部64による吸い込みによって原液140の減少を伴い容積が減少するように変形(つまり、減容変形)可能な本体部60aと、前述の液源ホルダー134に着脱可能に接続される第1接続部60bと、シール部材136によって原液流路62を形成する継手部材138に水密に接続される第2接続部60cとを備える。第1接続部60b及び第2接続部60cは本体部60aの端部に設けられる。第1接続部60bは、液源ホルダー134にネジ構造、スナップフィット、磁力等を用いて着脱可能である。液源60は、このような密封容器を用いることで、密封容器内の原液140の残量切れがあった場合でも、外部空間から液源60への外気の流入を阻止できる。
【0049】
以上の構成によって、送液部64は、エア溜まり132内に溜められたエア130を残した状態のまま、液源60の減容変形を伴い液源60内の原液140を吸い込み可能となる(
図3A参照)。送液部64によって液源60内から無くなるまで原液140が吸い込まれると、原液流路62内の原液140に付与される負圧が徐々に大きくなり、エア130の膨張を伴いエア溜まり132内のエア130が送液部64によって吸い込まれ始める(
図3B参照)。この結果、原液流路62のエア溜まり132から送液部64の間をエア130が通流し始める。これによって、原液流路62のエア溜まり132から送液部64の間において、液源60に原液140がある場合は原液140を通流させ(
図3A参照)、液源60から原液140が無くなった場合はエア130を通流させることができるようになる(
図3B参照)。つまり、給水システム10は、液源60内の原液140の有無に応じて原液流路62の特定箇所142での通流物が原液140及びエア130の何れかとなるように構成されることになる。ここでの特定箇所142とは、原液流路62のエア溜まり132から送液部64の間をいう。このように原液流路62内のエア130を利用するうえで、原液流路62が外部空間に対して密閉されるとともに液源60が減容変形可能な密閉容器であるため、外部空間から流入するエアに起因する残量切れ検出部102による誤検出を防止できる。
【0050】
なお、除菌部82は、除菌フィルタ144を収納する液室146を備える。除菌フィルタ144は、原液に含まれる微生物を捕捉することで除菌する。除菌フィルタ144は、例えば、中空糸膜フィルタであるが、各種除菌フィルタを採用してもよい。液室146は、互いに着脱可能な複数の液質形成部材(不図示)によって構成され、液室形成部材を分解することで除菌フィルタ144を出し入れ可能となる。つまり、本実施形態の除菌部82は除菌フィルタ144を出し入れすることで交換可能である。
【0051】
残量切れ検出部102は、原液流路62内の特定箇所142の通流物によって変化する物理量を検出する原液用センサ150と、原液用センサ150の検出結果に基づいて液源60の残量切れを判定する残量切れ判定部152と、を備える。本実施形態の原液用センサ150は、原液流路62内の特定箇所142の通流物によって変化する物理量として、通流物の静電容量を検出する静電容量センサである。本実施形態の原液用センサ150は、原液流路62を形成する流路部材の外部に配置されるが、その内部に配置されてもよい。
【0052】
残量切れ判定部152は、原液用センサ150の検出値と予め設定される判定値とを比較することで、液源60に残量切れがないか、液源60の残量切れの可能性があるかを判定する。本実施形態のように原液用センサ150の検出対象が静電容量となる場合、原液用センサ150の検出値(静電容量)は、原液流路62内を高誘電率の原液140が通流するときに大きくなり、原液流路62内を低誘電率のエア130が通流するときに小さくなる。そこで、本実施形態の残量切れ判定部152は、原液用センサ150の検出値(静電容量)が判定値超である場合、原液流路62内の特定箇所142を原液140が通流しており、液源60の残量切れがないと判定する。これに対して、残量切れ判定部152は、原液用センサ150の検出値(静電容量)が判定値以下である場合、原液流路62内の特定箇所142をエアが通流しており、液源60の残量切れの可能性ありと判定する。判定値は、原液流路62内の特定箇所142の通流物が原液になるときの検出値と、その通流物がエアになるときの検出値とを区別できるように設定される。
【0053】
処理装置104は、予め定められた検出条件を満たしたときに、残量切れ検出部102に液源60の残量切れを検出するための検出動作を実行させる。この検出条件は、例えば、ユーザによって操作される給水操作部90から給水制御部86が給水指示を受けた後に止水指示を受けることである。残量切れ検出部102は、検出動作を行う毎に、残量切れ判定部152によって、原液用センサ150の検出結果に基づいて、液源60に残量切れがないか、液源60の残量切れの可能性ありかを判定する。残量切れ判定部152は、液源60の残量切れの可能性ありの判定が規定回数(例えば3回)連続した場合、液源60の残量切れがあると判定する。
【0054】
残量切れ判定部152は、液源60に残量切れがないと判定した場合、及び、液源60の残量切れの可能性ありの判定が規定回数連続しない場合の何れかに、液源60の残量切れがないと検出する。残量切れ判定部152は、液源の残量切れがあると判定した場合、液源60の残量切れがあると検出する。これによって、液源60内に原液が有るにもかかわらず、液源60の残量切れがあると誤検出する事態を避け易くなる。残量切れ判定部152は、検出動作を行う毎に、その検出結果を記憶部118に更新して記憶する。
【0055】
このように、本実施形態の残量切れ検出部102は、原液流路62内の特定箇所142での通流物によって変化する物理量を原液用センサ150によって検出することで液源60の残量切れを検出する。よって、液源60の大型化を招くフロートスイッチによって液源60の残量切れを直接に検出せずに済み、液源60の小型化を図ることができる。
【0056】
残量切れ検出部102は、導出部112によって導出された最新の原液の合計消費量が規定量に達した場合、前述の検出条件を満たしたときに、処理装置104による制御のもと検出動作を実行する。残量切れ検出部102は、導出部112によって導出された最新の原液の合計消費量が規定量未満である場合、前述の検出条件を満たしたときでも、処理装置104による制御のもとで検出動作を実行しないということである。これによって、残量切れ検出部102の検出動作の実行回数を削減でき、残量切れ検出部102の消費電力を軽減できる。
【0057】
図2を参照する。監視システム100は、原液の合計使用時間をリセットするためにユーザによって操作されるリセット操作部160を備える。リセット操作部160は、例えば、押しボタン等の機械部品の他、情報処理端末によって構成されてもよい。リセット操作部160は、ユーザによって操作されることで原液の合計使用時間をリセットするためのリセット指示を処理装置104に出力する。リセット操作部160は、例えば、ユーザによって液源60を交換するタイミングでユーザによって操作される。処理装置104は、リセット指示を受けると記憶部118に記憶されている合計消費量をリセットする。導出部112は、リセットされた時点を液源60の使用開始時点とみなし、その時点からの原液の消費量をカウントすることで原液の合計使用時間を導出する。このとき、処理装置104は、リセット指示を受けると記憶部118に記憶されている累積使用時間もリセットする。計時部114は、リセットされた時点を液源60の使用開始時点とみなし、その時点からの累積使用時間を計時する。
【0058】
ここまで、原液の消費量を示す消費量情報は、流量センサ66によって検出される原水流量の検出量である例を説明した。この他にも、消費量情報は、次に説明するように、給水制御部86から供給される単位時間当たりの駆動電圧に関するパラメータの設定量でもよい。
【0059】
本実施形態の給水制御部86は、前述のように、原水流量の検出量に基づいて、希釈水内での原液の特定成分の濃度が目標濃度A1となるように、原液流量を制御する。これを実現するうえで、給水制御部86は、流量センサ66による原水流量の検出量に基づいて、駆動電圧に関するパラメータを定期的(例えば、所定の設定周期毎)に設定する。この駆動電圧に関するパラメータは、送液部64から送液される原液の瞬間流量、つまり、単位時間当たりの原液の消費量と相関のある相関量となる。取得部110は、原液を添加しているときに給水制御部86によって設定された単位時間当たりの駆動電圧に関するパラメータ(ここではデューティー比)の設定量を、定期的(例えば、設定周期毎)に、給水制御部86から逐次取得する。前述の実施形態と同様、記憶部118には、この駆動電圧に関するパラメータを原液の消費量に換算するための関係情報を予め格納しておく。導出部112は、このような関係情報を用いて、取得部110によって取得された単位時間当たりのパラメータの設定量を原液の消費量に換算し、その換算した単位時間当たりの原液の消費量をカウントすることで合計消費量を導出してもよい。
【0060】
この消費量情報は、駆動電圧に関するパラメータの設定量に替えて、駆動電圧に関するパラメータ(例えば、電圧値)の検出量を用いてもよい。この場合、消費量情報となる駆動電圧に関するパラメータを検出するためのセンサ(例えば、電圧センサ)を用いたうえで、そのセンサからパラメータの検出量を取得部110が取得すればよい。この他にも、送液部64が駆動電流によって駆動される場合、消費量情報は、駆動電圧に替えて、駆動電流に関するパラメータ(電流値等)の設定量及び検出量の何れかを用いてもよい。この場合も、原液流路62に流量センサ66を設けずとも、原液の消費量を示す消費量情報を取得できる。
【0061】
本実施形態において、改質カートリッジ52、切替弁56、液源60、送液部64等は添加ユニット92として一体化されている。これらは一体化されていなくともよい。
【0062】
次に、ここまで説明した各構成要素の変形形態を説明する。
【0063】
給水システム10は第2給水ライン18を備えなくともよい。この場合、第1給水ライン16の給水流路50には給水源20から水道水等の原水が供給されていればよい。液源60の具体例は特に限定されず、各種容器、タンク(開放式タンク等)等を採用してもよい。
【0064】
送液部64は、一回の送液動作毎に所定の送液量を送液する定量ポンプを用いてもよい。この場合、消費量情報は、送液部64の送液動作回数でもよい。この場合、導出部112は、原液の消費量情報としての送液動作回数と、記憶部118に記憶される一回の送液動作毎の送液量に基づいて、原液の合計使用量を導出すればよい。
【0065】
報知制御部116は、導出部112の導出した原液の合計消費量と、残量切れ検出部102の検出結果に基づいて、特定処理(ここでは報知制御)をする特定処理部の一例として説明した。この他にも、特定処理部は、原液の合計消費量と残量切れ検出部102の検出結果を表示部(ディスプレイ等)に表示させる表示処理をしてもよい。この他にも、特定処理部は、原液の合計消費量と残量切れ検出部102の検出結果に基づいて、液源60の交換時期を判定する判定処理をしてもよい。いずれにしても、液源60内の原液の消費状態を良好に反映して特定処理をすることができる。
【0066】
報知制御部116は、原液の合計消費量及び残量切れ検出部102の検出結果に基づいて報知部106に報知させるうえで、その具体的な報知内容は特に限定されないし、その報知内容を行うために満たすべき報知条件も特に限定されない。例えば、報知制御部116は、予告報知及び本報知のうちの一方のみを行ってもよい。報知制御部116は、液源60の累積使用時間を考慮せずに、残量切れ検出部102の検出結果に基づいて、液源60の交換時期の到来に関して報知してもよい。
【0067】
残量切れ検出部102は、液源60内の残量切れを検出できればよく、その具体例は特に限定されない。残量切れ検出部102は、例えば、液源60内に設けられるフロートスイッチでもよい。
【0068】
原液用センサ150を残量切れ検出部102に用いる場合、原液用センサ150の検出対象となる物理量は静電容量に限定されず、温度、光量等でもよい。この原液用センサ150の検出対象となる物理量として温度を利用する場合、残量切れ検出部102は、前述した原液用センサ150及び残量切れ判定部152の他に、原液流路62を加熱する加熱器を備えていてもよい。この場合、原液用センサ150は、温度を検出するサーミスタ等としてもよい。この原液用センサ150は、加熱器による原液流路62の加熱開始から第1設定時間の経過後の第1温度と、その加熱開始から第2設定時間の経過後の第2温度とを検出する。この第1温度と第2温度の温度差は、原液流路62を高熱伝達率の原液が通流する場合に小さくなり、原液流路62を低熱伝達率のエアが通流する場合に大きくなる。そこで、残量切れ判定部152は、原液用センサ150によって検出される第1温度と第2温度の温度差が予め定められる判定値未満である場合、原液流路62内を原液が通流しており、液源60の残量切れがないと判定する。これに対して、残量切れ判定部152は、温度差が判定値未満である場合、原液流路62内をエアが通流しており、液源60の残量切れの可能性ありと判定する。
【0069】
液源60内の原液の有無に応じて原液流路62の特定箇所142での通流物が原液及びエアの何れかとなるように構成するうえで、原液流路62及び液源60のいずれかが外部空間に対して開放されていてもよい。例えば、液源60として開放型タンクを用い、液源60内の原液が無くなったときに外部空間の外気が原液流路62内に流入するようにしてもよい。
【0070】
残量切れ検出部102は、残量切れ判定部152によって残量切れの可能性ありと一回だけ判定した場合に、液源60の残量切れがあると判定してもよい。残量切れ検出部102は、導出部112によって導出された原液の合計消費量によらず、検出条件を満たしたときに検出動作を実行してもよい。
【0071】
流量センサ66は、給水流路50に替えて原液流路62に設けられてもよい。この場合、取得部110は、原液流路62を通流する原液の瞬間流量の検出量を原液の消費量を示す消費量情報として取得してもよい。
【0072】
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が当然に許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。本開示の構成要素及び表現のいずれかを、方法、装置、システム等の間で相互に置換したものも、本開示の態様として有効である。
【0073】
以上の実施形態、変形形態により具体化される技術的思想を一般化すると、以下の項目に記載の技術的思想が含まれているともいえる。
【0074】
第1項目は、給水流路を通流する原水に添加される液源内の原液の消費状態を監視するための監視システムであって、前記原液を添加するときの原液の消費量を示す消費量情報を取得する取得部と、前記原液の消費量情報に基づいて、前記液源の使用開始時点からの原液の合計消費量を導出する導出部と、前記液源内の原液の残量切れを検出する残量切れ検出部と、を備える監視システムである。
【0075】
第2項目は、前記原液の合計消費量及び前記残量切れ検出部の検出結果に基づいて、前記液源の交換時期の到来に関して報知部に報知させる報知制御部を備える第1項目に記載の監視システムである。
【0076】
第3項目は、前記液源の使用開始時点からの累積使用時間を計時する計時部を備え、前記報知制御部は、前記原液の合計消費量、前記残量切れ検出部の検出結果及び前記累積使用時間に基づいて、前記液源の交換時期の到来に関して前記報知部に報知させる第2項目に記載の監視システムである。
【0077】
第4項目は、前記報知制御部は、前記液源の交換時期の到来に関する報知として、前記液源の交換時期の到来を予告する予告報知と、前記液源の交換時期の到来を報知する本報知とを行う第2項目及び第3項目のいずれかに記載の監視システムである。
【0078】
第5項目は、前記報知制御部は、予告報知条件を満たしたときに、前記液源の交換時期の到来を予告する予告報知を行い、本報知条件を満たしたときに、前記液源の交換時期の到来を報知する本報知を行い、前記予告報知条件は、前記原液の合計消費量が規定量に達するという第1予告報知条件の成立を少なくとも含み、前記本報知条件は、前記残量切れ検出部によって前記液源の残量切れが検出されるという第1本報知条件の成立を少なくとも含む第2項目~第4項目のいずれかに記載の監視システムである。
【0079】
第6項目は、前記液源の使用開始時点からの累積使用時間を計時する計時部を備え、前記予告報知条件は、前記累積使用時間が第1規定時間に達するという第2予告報知条件の成立を含み、前記本報知条件は、前記累積使用時間が第2規定時間に達するという第2本報知条件の成立を含む第5項目に記載の監視システムである。
【0080】
第7項目は、前記残量切れ検出部は、前記原液の合計消費量が規定量に達した場合に、前記液源内の残量切れを検出する検出動作を実行する第1項目~第6項目のいずれかに記載の監視システムである。
【0081】
第8項目は、前記消費量情報は、前記給水流路に設けられる流量センサによって検出された原水の瞬間流量を示す検出量である第1項目~第7項目のいずれかに記載の監視システムである。
【0082】
第9項目は、前記監視システムが用いられる給水システムは、前記原液が通流する原液流路に設けられ原液を送液する送液部と、前記送液部に供給されるべき駆動電圧及び駆動電流の何れかに関するパラメータを設定し、その設定したパラメータの駆動電圧及び駆動電流の何れかを供給することで、前記送液部によって送液される前記原液の瞬間流量を制御する給水制御部と、を備え、前記消費量情報は、前記駆動電圧及び駆動電流の何れかに関するパラメータの設定量及び検出量の何れかである第1項目~第8項目のいずれかに記載の監視システムである
【0083】
第10項目は、前記監視システムが用いられる給水システムは、前記原液が通流する原液流路を備え、前記液源内の原液の有無に応じて前記原液流路の特定箇所での通流物が原液及びエアの何れかとなるように構成され、前記残量切れ検出部は、前記原液流路内の前記特定箇所での通流物によって変化する物理量を検出する原液用センサを備える第1項目~第9項目のいずれかに記載の監視システムである
【0084】
第11項目は、第10項目に記載の監視システムが用いられる給水システムであって、前記原液流路は、エアが溜められるエア溜まりを備え、外部空間に対して密閉されており、前記液源は、前記原液流路に設けられる送液部による吸い込みによって減容変形可能な密封容器である給水システムである。
【符号の説明】
【0085】
10…給水システム、50…給水流路、60…液源、62…原液流路、64…送液部、66…流量センサ、86…給水制御部、100…監視システム、102…検出部、106…報知部、110…取得部、112…導出部、114…計時部、116…報知制御部、130…エア、140…原液、142…特定箇所、150…原液用センサ。