(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094670
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】吐水装置、情報処理端末およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
E03C 1/10 20060101AFI20240703BHJP
E03C 1/05 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
E03C1/10
E03C1/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211366
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 建吾
(72)【発明者】
【氏名】内藤 篤身
(72)【発明者】
【氏名】横井 弘和
(72)【発明者】
【氏名】石田 駿平
(72)【発明者】
【氏名】大屋 隆弘
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA05
2D060BC07
2D060BC15
2D060CA02
2D060CA07
2D060CA13
2D060CD06
(57)【要約】
【課題】使い勝手を低下させることなく、雑菌が繁殖した水の使用を避けられる技術を提供する。
【解決手段】吐水装置12は、吐水部と、吐水部に給水する給水流路と、給水流路上に設けられる開閉弁と、制御部82と、を備える。制御部82は、開閉弁を開いて前記吐水部から排水する捨て水処理を、ユーザが設定した捨て水時刻に基づいて開始する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水部と、
前記吐水部に給水する給水流路と、
前記給水流路上に設けられる開閉弁と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記開閉弁を開いて前記吐水部から排水する捨て水処理を、ユーザが設定した捨て水時刻に基づいて開始する吐水装置。
【請求項2】
前記捨て水時刻を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶される前記捨て水時刻に前記捨て水処理を開始する請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記記憶部に記憶される前記捨て水時刻は、前記ユーザが所定の情報処理端末に入力した時刻であって、当該情報処理端末から受信した時刻である請求項2に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記制御部は、所定の情報処理端末が捨て水時刻に送信する捨て水指示を受信すると、前記捨て水処理を開始する請求項1に記載の吐水装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記捨て水時刻を所定の遅延時間過ぎても捨て水指示を受信しない場合、前記捨て水処理を開始する請求項4に記載の吐水装置。
【請求項6】
吐水部と、
前記吐水部に給水する給水流路と、
前記給水流路上に設けられる開閉弁と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、外部装置からの捨て水指示の受信を契機として、前記開閉弁を開いて前記吐水部から排水する捨て水処理を開始する吐水装置。
【請求項7】
前記制御部は、前回の捨て水処理と今回の捨て水処理との間における前記吐水部からの吐水に関する情報に基づいて、前記捨て水処理における排水量を決定する請求項1から6のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項8】
前記吐水に関する情報は吐水量であり、
前記制御部は、所定の基準吐水量から前記吐水量を差し引いた量を、前記排水量として決定する請求項7に記載の吐水装置。
【請求項9】
吐水装置に捨て水処理を開始させる捨て水時刻の入力画面を表示する表示部と、
前記入力画面に入力された捨て水時刻を、前記吐水装置の記憶部に記憶させるために前記吐水装置に送信する登録部と、
を備える情報処理端末。
【請求項10】
情報処理端末に、
吐水装置に捨て水処理を開始させる捨て水時刻の入力画面を表示させる機能と、
前記入力画面に入力された捨て水時刻を、前記吐水装置の記憶部に記憶させるために前記吐水装置に送信する機能と、
を実現させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吐水装置、情報処理端末およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、水を浄化するための浄水ユニットを備える水栓装置を開示している。この水栓装置は、前回の吐水から所定時間以上経過している場合に吐水を開始すると、浄水ユニットの下流側の通水路に滞留している水を捨てる「捨て水」の実行中であることがランプの点滅やブザー音で報知され、捨て水が終わると報知が終了する。この場合、雑菌が繁殖しているおそれがある滞留水の使用を避けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、雑菌が繁殖しているおそれがある水の使用を避けられるが、水を使用するために吐水を開始させたにもかかわらず、捨て水が終わるまで使用を待たなければならず、使い勝手が悪い。
【0005】
本開示の目的の1つは、使い勝手を低下させることなく、雑菌が繁殖した水の使用を避けられる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の吐水装置は、吐水部と、吐水部に給水する給水流路と、給水流路上に設けられる開閉弁と、制御部と、を備える。制御部は、開閉弁を開いて吐水部から排水する捨て水処理を、ユーザが設定した捨て水時刻に基づいて開始する。
【0007】
本開示の別の態様の吐水装置は、吐水部と、吐水部に給水する給水流路と、給水流路上に設けられる開閉弁と、制御部と、を備える。制御部は、ユーザが定める所定のイベントの発生を契機として、開閉弁を開いて吐水部から排水する捨て水処理を開始する。
【0008】
本開示の情報処理端末は、吐水装置に捨て水処理を開始させる捨て水時刻の入力画面を表示する表示部と、入力画面に入力された捨て水時刻を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された捨て水時刻に吐水装置に対して捨て水指示を送信する送信部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態の給水システムの全体構成図である。
【
図2】
図1の情報処理端末の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2の表示制御部が表示部に表示させる捨て水処理の設定をするための設定画面である。
【
図4】
図2の捨て水設定記憶部の構成例を模式的に示す図である。
【
図5】
図1の制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】変形例に係る吐水装置の制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0011】
(第1の実施の形態)第1の実施の形態を詳述する前に概要を説明する。本実施の形態は、吐水装置に関する。吐水装置は、吐水部と、吐水部に給水する給水流路と、給水流路上に設けられる開閉弁と、制御部と、を備える。吐水装置のユーザは、捨て水処理を実行する捨て水時刻を、情報処理端末において設定する。「捨て水処理」は、給水流路の滞留水の少なくとも一部を吐水部から吐水(排水)させる処理である。情報処理端末は、捨て水時刻になると吐水装置に捨て水指示を送信する。吐水装置の制御部は、情報処理端末が送信した捨て水指示を受信すると、捨て水処理を開始する。具体的には、制御部は、捨て水処理として、開閉弁を開いて給水流路上の滞留水の少なくとも一部を吐水部から吐水(排水)させる。捨て水処理を定期的に実行することで、給水流路の滞留水が長時間放置されることを避けられ、給水流路の滞留水に雑菌が繁殖することを避けられる。また、ユーザが設定した捨て水時刻に基づいて捨て水処理が実行されるため、例えば深夜などの吐水装置の使用が想定されない時刻を捨て水時刻に設定することで、いざ水を使用するときに捨て水処理中で待たされるといった事態の発生を抑止できる。
【0012】
図1を参照する。吐水システム10は、ユーザの操作にしたがって吐水する吐水装置12と、情報処理端末14と、を備える。情報処理端末14は、吐水装置12のユーザにより操作される端末である。情報処理端末14は、典型的には、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末である。吐水装置12と情報処理端末14とは、特に限定されないが、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線で接続される。
【0013】
ユーザは情報処理端末14において捨て水時刻を設定する。情報処理端末14は、捨て水時刻になると吐水装置12に捨て水指示を送信する。吐水装置12は、情報処理端末14から捨て水指示を受信すると捨て水処理を実行する。本実施の形態では、捨て水時刻を1つ設定可能であり、情報処理端末14は、捨て水時刻になるたび、すなわち24時間ごとに捨て水指示を送信する。したがって、吐水装置12は、捨て水時刻になるたび、すなわち24時間ごとに捨て水処理を実行する。
【0014】
吐水装置12は、吐水部28が設けられた吐水装置本体16と、吐水部28に給水する給水ライン20と、制御装置22と、を備える。
【0015】
吐水装置本体16は、例えばキッチンに設置される。吐水装置本体16は、吐水管部26と、吐水部28と、操作部32と、を備える。吐水管部26は、特に限定されないが、いわゆるグースネック状をなしている。吐水部28は、本実施の形態では、吐水管部26の先端に設けられる。吐水部28は、操作部32に対する操作に応じて給水ライン20から供給された水を吐水する。
【0016】
給水ライン20は、一次側給水流路36と、改質カートリッジ48と、二次側給水流路38と、冷水タンク52と、複数の開閉弁54,55_1,55_2と、を備える。一次側給水流路36は、図示しない給水源から供給される原水を改質カートリッジ48に供給する。
【0017】
改質カートリッジ48は、供給された原水を改質する。以下、改質カートリッジ48により改質された水を改質水という。「原水」は、改質カートリッジ48による改質の対象となる水をいう。「改質」は、物理変化または化学変化を経て、特定の成分を原水から除去または原水に付与することをいう。例えば原水が水道水の場合、改質カートリッジ48は、水道水に含まれる塩素成分を除去するすなわち水道水を改質水としての浄水に改質する浄水カートリッジであってもよい。改質は、美容成分、匂い成分、炭酸成分、水素成分等を原水に付与することであってもよい。
【0018】
二次側給水流路38は、改質カートリッジ48により改質された改質水が供給される。二次側給水流路38の下流端には吐水部28が接続される。二次側給水流路38は、2つに分岐して合流する常温水流路(第1分岐流路)38aおよび冷水流路(第2分岐流路)38bを含む。
【0019】
冷水タンク52は冷水流路38bに設けられる。冷水タンク52には、冷水タンク52内の水の温度を検知する温度センサ53と冷水タンク52内の水を冷却する冷却機56が組み付けられる。冷却機56は、制御装置22による制御にしたがって温度センサ53により検知される温度が設定温度(例えば、3℃~5℃)以下となるように冷水タンク52内の水を冷却する。
【0020】
開閉弁54,55_1,55_2は、電磁弁、電動弁等の自動開閉弁である。開閉弁54,55_1,55_2は、制御装置22の指示にしたがって開閉する。
【0021】
開閉弁54,55_1,55_2は、上流側開閉弁54と、上流側開閉弁54よりも下流側に設けられる第1下流側開閉弁55_1および第2下流側開閉弁55_2と、を含む。上流側開閉弁54は、本実施の形態では改質カートリッジ48よりも上流側に設けられる。第1下流側開閉弁55_1は、改質カートリッジ48よりも下流側において常温水流路38aに設けられる。第2下流側開閉弁55_2は、冷水タンク52よりも下流側において冷水流路38bに設けられる。
【0022】
操作部32は、本実施の形態では、複数の回転位置に切り替え可能な回転ハンドルであり、回転位置に対応する指示を制御装置22に出力する。操作部32により選択可能な指示は、吐水部28から常温の改質水を吐水させる「常温水吐水指示」と、吐水部28から冷水された改質水を吐水させる「冷水吐水指示」と、吐水部28から吐水を停止させる「止水指示」である。つまり、操作部32は、回転位置に対応する吐止水の指示を出力する。
【0023】
制御装置22は、常温水吐水指示を受けたとき、上流側開閉弁54と第1下流側開閉弁55_1を開状態(第2下流側開閉弁55_2は閉状態)にする。これにより、常温の改質水が吐水部28に給水され、吐水部28から吐水される。制御装置22は、冷水吐水指示を受けたとき、上流側開閉弁54と第2下流側開閉弁55_2を開状態(第1下流側開閉弁55_1は閉状態)にする。これにより、冷水タンク52により冷却された改質水が吐水部28に給水され、吐水部28から吐水される。
【0024】
制御装置22は、止水指示を受けたとき、開閉弁54,55_1,55_2のうちの少なくとも上流側開閉弁54を閉状態にする。これにより、吐水部28への給水ひいては吐水部28からの吐水が停止される。
【0025】
図2を参照する。
図2に示す各ブロックは、ハードウエア構成としてはCPU(Central Processing Unit)やメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウエア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
図5の各ブロックについても同様である。
【0026】
情報処理端末14は、通信部57と、表示部58と、入力部60と、制御部62と、記憶部64と、を備える。制御部62は、各種のデータ処理を実行する。記憶部64は、制御部により参照され、および/または、更新されるデータを記憶する。記憶部64は、メモリやストレージにより実現される。通信部57は、種々の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。制御部62は、通信部57を介して吐水装置12とデータを送受信する。表示部58は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置である。表示部58は、制御部62から提供される画面を表示する。入力部60は、物理キー、タッチパネルなどのユーザインタフェースである。入力部60は、ユーザの操作を受け付け、操作内容を制御部62へ入力する。表示部58と入力部60は一体化されたタッチパネルディスプレイで構成されてもよい。
【0027】
制御部62は、表示制御部66と、捨て水設定登録部68と、捨て水指示送信部70と、時計部72と、を含む。記憶部64は、捨て水設定記憶部78を含む。制御部62および記憶部64の構成要素は、本実施の形態において注目する構成要素のみを示している。
【0028】
表示制御部66、捨て水設定登録部68および捨て水指示送信部70の機能は、特に限定されないが本実施の形態では、吐水装置のユーザ向けのアプリケーションプログラム(以下、「捨て水設定App」ともいう)のモジュールとして実装される。情報処理端末14は、捨て水設定Appを、デジタルコンテンツの配信サービスを提供するインターネット上のサイトからダウンロードしてもよい。また例えば、捨て水設定Appが記録媒体に格納され、その記録媒体から記憶部64にインストールされてもよい。情報処理端末14のプロセッサ(CPU、GPU等)は、記憶部64にインストールされた捨て水設定Appをメインメモリへ読み出して実行することにより、制御部の各ブロックの機能を発揮してもよい。
【0029】
表示制御部66は、表示部58の画面表示を制御する。表示制御部66は、例えば、捨て水処理の設定をするための設定画面200を表示部58に表示させる。捨て水設定登録部68は、設定画面200に入力された捨て水処理の設定情報を捨て水設定記憶部78に登録するとともに吐水装置12に送信する。
【0030】
図3を参照する。捨て水処理の設定するための設定画面200は、オンオフ入力領域202と、捨て水時刻入力領域204と、登録ボタン206と、を含む。オンオフ入力領域202は、捨て水処理を実行するか否かの入力を受け付ける。オンオフ入力領域202には、捨て水処理を実行する場合は「ON」を入力し、捨て水処理を実行しない場合は「OFF」を入力する。
【0031】
捨て水時刻入力領域204は、捨て水指示の送信する時刻ひいては捨て水処理を開始する時刻の入力を受け付ける。オンオフ入力領域202に「OFF」が入力されている場合は、捨て水時刻入力領域204をグレーアウトさせて捨て水時刻入力領域204への入力を不可能にしてもよい。
【0032】
登録ボタン206が選択されると、捨て水設定登録部68は、オンオフ入力領域202および捨て水時刻入力領域204に入力された捨て水処理の設定情報を、捨て水設定記憶部78に登録する。また、捨て水設定登録部68は、オンオフ入力領域202に入力された捨て水処理のオンオフ情報を、吐水装置12の制御装置22に送信する。制御装置22は、捨て水処理のオンオフ情報を受信すると、記憶部84の捨て水設定記憶部86(
図5参照)に登録する。
【0033】
図4を参照する。捨て水設定記憶部78は、捨て水処理を実行するか否かを示す捨て水処理のオンオフ情報と、捨て指示を送信する時刻ひいては捨て水処理を開始する時刻である捨て水時刻と、を記憶する。
【0034】
図2に戻る。時計部76は、情報処理端末14の内蔵時計であり、時刻を出力する。時計部76は、特に限定されないが、NTP(Network Time Protocol )、SNTP(SimpleNetwork Time Protocol)、NITZ(Network Identity and TimeZone )、GPS等によって時刻同期される。したがって、時計部76が出力する時刻は正確な現在時刻といえる。
【0035】
捨て水指示送信部70は、すなわち捨て水設定記憶部78が記憶するオンオフ状態が「ON」の場合、時計部76が出力する時刻が捨て水設定記憶部78が記憶する捨て水時刻になると、吐水装置12に捨て水処理を開始させるべく、吐水装置12に捨て水指示を送信する。
図4の例では、捨て水指示送信部70は、時計部76が出力する時刻がAM3:00になると吐水装置12に捨て水指示を送信する。
【0036】
図5を参照する。制御装置22は、通信部80と、制御部82と、記憶部84と、を備える。制御部82は、各種のデータ処理を実行する。記憶部84は、制御部82により参照され、および/または、更新されるデータを記憶する。記憶部84は、メモリやストレージにより実現される。通信部80は、種々の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。制御部82は、通信部80を介して情報処理端末14とデータを送受信する。
【0037】
制御部82は、吐止水指示取得部92と、吐止水制御部94と、捨て水設定受信部96と、報知制御部98と、捨て水指示受信部100と、捨て水制御部102と、タイマー部104と、を含む。記憶部84は、捨て水設定記憶部86と、吐水情報記憶部90と、を含む。制御部82および記憶部84の構成要素は、本実施の形態において注目する構成要素のみを示している。
【0038】
吐止水指示取得部92は、操作部32が出力する吐止水指示を取得する。操作部32が出力する吐止水指示は、上述したように、常温水吐水指示、冷水吐水指示または止水指示である。
【0039】
吐止水制御部94は、吐止水指示取得部92が取得した吐止水指示にしたがって、開閉弁54,55_1,55_2を制御する。吐止水制御部94は、吐止水指示取得部92が「常温水吐水指示」を取得した場合、上流側開閉弁54と第1下流側開閉弁55_1を開状態にして常温の改質水を吐水させる。吐止水制御部94は、吐止水指示取得部92が「冷水吐水指示」を取得した場合、上流側開閉弁54と第2下流側開閉弁55_2を開状態にして冷却された改質水を吐水させる。吐止水制御部94は、吐止水指示取得部92が「止水指示」を取得した場合、開閉弁54,55_1,55_2のうちの少なくとも開閉弁54を閉状態にし、吐水を停止させる。
【0040】
捨て水設定受信部96は、情報処理端末14が送信した捨て水処理のオンオフ情報を受信する。捨て水設定記憶部86は、捨て水設定受信部96が受信した捨て水処理のオンオフ情報を記憶する。
【0041】
報知制御部98は、報知部106(
図1参照)を制御し、捨て水処理のオンオフ状態をユーザに知覚可能な態様で出力する。報知部106は特に限定されない。報知部106は、例えば、ランプであってもよいし、ディスプレイであってもよい。報知部106は、改質カートリッジ48の交換時期の到来をユーザに報知するための報知部と共有であってもよい。
【0042】
報知制御部98は、報知部106がランプの場合、捨て水処理がオンの場合とオフの場合とで異なる態様で報知部106を点灯させてもよい。報知制御部98は、捨て水処理がオンの場合は報知部106を点灯させ、オフの場合は報知部106を消灯させてもよい。報知制御部98は、捨て水処理がオンの場合とオフの場合とで報知部106を異なる色で点灯させてもよく、例えば、捨て水処理がオンの場合は報知部106を緑色で点灯させ、オフの場合は報知部106を赤色で点灯させてもよい。
【0043】
報知制御部98は、報知部106がディスプレイの場合、捨て水処理がオンであるかオフであるかを示すオンオフ情報を報知部106に表示させてもよい。オンオフ情報は、文字、記号あるいは図形であってもよい。
【0044】
捨て水指示受信部100は、情報処理端末14が送信した捨て水指示を受信する。
【0045】
タイマー部104は、捨て水指示受信部100が捨て水指示を受信すると、所定時間(以下、「タイマー時間」という)の計時をゼロから開始する。タイマー時間は、捨て水処理の実行間隔と同じであり、本実施の形態では24時間である。タイマー部104は、タイマー時間まで計時する(すなわちタイマー時間の計時を終了する)と、再びタイマー時間の計時をゼロから開始する。タイマー部104がタイマー時間まで計時する前に捨て水指示受信部100が次の捨て水指示した場合、タイマー部104はタイマー時間の計測を中断し、再びタイマー時間の計時をゼロから開始する。
【0046】
捨て水制御部102は、捨て水指示受信部100が捨て水指示を受信すると、捨て水処理を開始する。
【0047】
捨て水制御部102は、捨て水時刻を過ぎても捨て水指示受信部100が捨て水指示を未受信の場合であっても、タイマー部104がタイマー時間(24時間)まで計時し、捨て水指示を未受信のまま、さらに所定の遅延時間(例えば15分)を過ぎると、捨て水処理を開始する。
【0048】
例えば、情報処理端末14の捨て水設定Appにおいて設定された捨て水時刻がAM3:00であり、捨て水指示受信部100が捨て水指示を或る日のAM3:00に受信すると、タイマー部104は当該或る日のAM3:00に24時間の計時をゼロから開始する。この場合、タイマー部104は、その翌日のAM3:00に24時間の計時を終了する。捨て水制御部102は、捨て水時刻である当該翌日のAM3:00を過ぎても捨て水指示受信部100が捨て水指示を未受信の場合であっても、捨て水指示を未受信のまま、タイマー部104が24時間の計時を終了した当該翌日のAM3:00を所定の遅延時間(例えば15分)を過ぎると、つまり当該翌日のAM3:15を過ぎると、捨て水処理を開始する。
【0049】
捨て水時刻を所定の遅延時間過ぎても捨て水指示を未受信の場合としては、例えば、制御装置22と情報処理端末14とのネットワーク接続が切断されていて捨て水指示を送受信できない場合や、情報処理端末14から捨て水設定Appが削除されていて捨て水指示が送信されない場合などが挙げられる。
【0050】
捨て水制御部102は、捨て水処理として、捨て水により吐水(排水)する水の量である捨て水量(排水量)を決定し、決定した捨て水量を吐水させる。
【0051】
本実施の形態では、二次側給水流路38が2つの分岐流路を備えるため、捨て水処理は、それぞれの分岐流路に対応する第1捨て水処理および第2捨て水処理を含む。第1捨て水処理では、2つの分岐流路のうちの常温水流路(第1分岐流路)38aのみに通水させ、第2捨て水処理では、2つの分岐流路のうちの冷水流路(第2分岐流路)38bのみに通水させる。第1捨て水処理および第2捨て水処理の実行順序は特に問わないが、一方の捨て水処理が終了したら、遅滞なく、他方の捨て水処理を実行する。変形例として、第1捨て水処理および第2捨て水処理のそれぞれに別々の捨て水時間を設定可能であってもよい。例えば、第1捨て水処理の捨て水時刻を1:00とし、第2捨て水処理の捨て水時刻を3:00としてもよい。
【0052】
捨て水制御部102は、第1捨て水処理として、その捨て水により吐水する水の量である第1捨て水量Q1_drain(L)を決定し、決定した捨て水量Q1_drainを吐水させる。捨て水制御部102は、第1捨て水処理の吐水を開始する場合、操作部32から常温水吐水指示を取得した場合と同様に開閉弁54,55_1,55_2を開閉し、常温の改質水の吐水(排水)を開始させる。捨て水制御部102は、第1捨て水処理の吐水を終了する場合、操作部32から止水指示を取得した場合と同様にすべての開閉弁54,55_1,55_2を閉状態にし、吐水部28からの吐水(排水)を終了させる。
【0053】
捨て水制御部102は、第2捨て水処理として、その捨て水により吐水する水の量である第2捨て水量Q2_drain(L)を決定し、決定した捨て水量Q2_drainを吐水させる。捨て水制御部102は、第2捨て水処理の吐水を開始する場合、操作部32から冷水吐水指示を取得した場合と同様に開閉弁54,55_1,55_2を開閉し、冷却された改質水の吐水(排水)を開始させる。捨て水制御部102は、第2捨て水処理の吐水を終了する場合、操作部32から止水指示を取得した場合と同様にすべての開閉弁54,55_1,55_2を閉状態にし、吐水部28からの吐水(排水)を終了させる。
【0054】
なお、捨て水制御部102は、第1捨て水量Q1_drainおよび第2捨て水量Q2_drainの両方を決定してから、第1捨て水処理および第2捨て水処理の吐水を実行してもよい。
【0055】
捨て水制御部102は、少なくとも、最も下流側の開閉弁より下流側の二次側給水流路38の部分の滞留水が吐水されるように、捨て水量を決定してもよい。具体的には、捨て水制御部102は、第i(i=1,2)捨て水処理において、第i下流側開閉弁55_iよりも下流側の二次側給水流路38の部分の滞留水が吐水されるように第i捨て水量Qi_drain(i=1,2)を決定してもよい。ここで、最も下流側の開閉弁よりも下流側の二次側給水流路38は大気に解放されているため、そこに滞留する水には空気中の細菌などが侵入して繁殖しているおそれがある。これに対し、上述のように第i捨て水量Qi_drainを決定することで、そのような滞留水を排水できる。
【0056】
捨て水制御部120は、少なくとも、二次側給水流路38に滞留する水、すなわち改質カートリッジ48よりも下流側の滞留水が吐水されるように第i捨て水量Qi_drain(i=1,2)を決定してもよい。第2捨て水処理における当該滞留水には、冷水タンク52内の水が含まれてもよい。この場合、細菌が繁殖しているおそれがある滞留水をより確実に排水できる。
【0057】
捨て水制御部102は、前回の捨て水処理と今回の捨て水処理との間における吐水部28からの「吐水に関する情報」に基づいて、第i捨て水量Qi_drain(i=1,2)を決定してもよい。
【0058】
「吐水に関する情報」は、吐水量であってもよい。この場合、捨て水制御部102は、前回の捨て水処理と今回の捨て水処理との間における、常温水吐水指示にしたがった吐水における吐水量(以下、「第1総吐水量」という)に基づいて、第1捨て水量Q1_drainを決定してもよい。捨て水制御部102は、前回の捨て水処理と今回の捨て水処理との間における、冷水吐水指示にしたがった吐水における吐水量(以下、「第2総吐水量」という)に基づいて、第2捨て水量Q2_drainを決定してもよい。
【0059】
第i総吐水量の特定方法は特に限定されない。例えば、単位時間当たりの流量を計測するための少なくとも1つの流量センサを給水ライン20の適宜の位置に設け、吐止水制御部94が当該少なくとも1つの流量センサが検出する流量に基づいて第i総吐水量を特定してもよい。吐止水制御部94は、第i総吐水量を吐水情報記憶部90に格納する。吐止水制御部94は、使用により第i総吐水量が増えるたびに、吐水情報記憶部90に記憶される第i総吐水量を更新する。
【0060】
第i総吐水量に基づく第i捨て水量Qi_drainの決定方法は特に限定されない。例えば捨て水制御部102は、第i総吐水量が多いほど第i捨て水量Qi_drainが少なくなるように、第i捨て水量Qi_drainを決定してもよい。例えば、捨て水制御部102は、第i捨て水量Qi_drainを、以下の式により決定してもよい。
Qi_drain=Qi_ref-Qi_total
ここで
Qi_ref:第i基準水量(L)
Qi_total:第i総吐水量(L)
である。
【0061】
第i基準水量は、予め決定される基準水量である。第i基準水量が多すぎると、第i捨て水量Qi_drainが無駄に多くなって改質カートリッジ48の寿命が短くなるおそれがあり、第i基準水量が少なすぎると、第i捨て水量Qi_drainが少なくなりすぎて細菌の繁殖を抑えられないおそれがある。したがって、第i基準水量は、実験やシミュレーションに基づいて、細菌の繁殖を抑えつつも、第i捨て水量Qi_drainが無駄に多くなることを避けられる水量に決定されればよい。
【0062】
第i基準水量は、例えば、最も下流側の第i下流側開閉弁55_iよりも下流側の二次側給水流路38の部分の体積に基づいて決定されてもよい。この場合、細菌の繁殖を抑えられ、かつ、捨て水量を抑えて改質カートリッジ48の長寿命化に寄与する。
【0063】
基準水量は、例えば、二次側給水流路38の体積に基づいて決定されてもよい。第2捨て水処理における当該体積には、冷水タンク52内の体積が含まれてもよい。この場合、細菌の繁殖をより確実に抑えられ、かつ、捨て水量を抑えて改質カートリッジ48の長寿命化に寄与する。
【0064】
「吐水に関する情報」は、吐水回数(すなわち使用頻度)であってもよい。この場合、捨て水制御部102は、前回の捨て水処理と今回の捨て水処理との間における、常温水吐水指示にしたがった吐水における吐水回数(以下、「第1吐水回数」という)に基づいて第1捨て水量Q1_drainを決定してもよい。捨て水制御部102は、前回の捨て水処理と今回の捨て水処理との間における、冷水吐水指示にしたがった吐水における吐水回数(以下、「第2吐水回数」という)に基づいて、第2捨て水量Q2_drainを決定してもよい。
【0065】
例えば、吐止水制御部94は、常温水吐水指示にしたがって吐水を開始してから止水指示にしたがって吐水を停止するまでを1回の吐水として、第1吐水回数をカウントすればよい。吐止水制御部94は、冷水吐水指示にしたがって吐水を開始してから止水指示にしたがって吐水を停止するまでを1回の吐水として、第2吐水回数をカウントすればよい。吐止水制御部94は、第i吐水回数を吐水情報記憶部90に格納する。吐止水制御部94は、使用により第i吐水回数が増えるたびに、吐水情報記憶部90に記憶される第i吐水回数を更新する。
【0066】
第i吐水回数に基づく捨て水量の決定方法は特に限定されない。例えば捨て水制御部102は、第i吐水回数が少ないほど第i捨て水量Qi_drainが多くなるように、第i捨て水量Qi_drainを決定してもよい。
【0067】
変形例として、第i捨て水量Qi_drainは一定であってもよい。この場合、第i捨て水処理の吐水を開始する前の第i捨て水量Qi_drainを決定する処理は不要である。
【0068】
本実施の形態によれば、捨て水制御部102は、ユーザが設定した捨て水時刻に情報処理端末14から送信される捨て水指示を受信すると、捨て水処理の実行を開始する。つまり、捨て水制御部102は、ユーザが指定した捨て水時刻に基づいて捨て水処理を開始する。これにより、例えば深夜などの吐水装置12の使用が想定されない時刻を捨て水時刻に設定することで、使いたいときにすぐに水を使え、かつ、雑菌が繁殖した水の使用を避けることができる。
【0069】
本実施の形態によれば、情報処理端末14は時刻同期機能を有し、したがって情報処理端末14の時計部76が出力する時刻は正確な現在時刻である。したがって、情報処理端末14は正確に捨て水時刻に捨て水指示を送信でき、したがって捨て水制御部102は正確に捨て水時刻に捨て水処理を開始できる。
【0070】
本実施の形態によれば、捨て水時刻を過ぎても捨て水指示受信部100が捨て水指示を未受信の場合であっても、タイマー部104がタイマー時間(24時間)まで計時し、捨て水指示を未受信のまま、さらに所定の遅延時間(例えば15分)を過ぎると、捨て水処理を開始する。これにより、何らかの原因によって情報処理端末14からの捨て水指示を受信していない場合にも捨て水処理が実行され、雑菌が繁殖した水の使用を避けられる。
【0071】
ここで、捨て水指示を受信していない場合において、タイマー時間まで計時したら(すなわち捨て水時刻になったら)、所定の遅延時間が経過するのを待たずに、すぐに捨て水処理を開始する場合を考える。タイマー部104によるタイマー時間の計時はズレるおそれがあり、例えば正確な計時よりも短くズレるおそれがある。この場合、タイマー部104がタイマー時間まで計時したらすぐに捨て水処理を実行してしまうと、その後に情報処理端末14から捨て水指示が送信されて更に捨て水処理(すなわち無駄な捨て水処理)が実行されるおそれがある。これは、改質カートリッジ48の寿命を縮めるおそれがある。これに対し、本実施の形態によれば、タイマー部104がタイマー時間まで計時しても所定の遅延時間が経過するのを待つため、遅延時間を適切な長さに設定することで、捨て水処理を無駄に連続して実行することを避けられる。
【0072】
本実施の形態によれば、前回の捨て水処理と今回の捨て水処理との間における吐水部28からの吐水に関する情報、例えば総吐水量に基づいて、捨て水量が決定される。例えば、総吐水量が多いほど捨て水量が少なくなるように、捨て水量を決定する。これにより、無駄に多く排水することを避けられ、改質カートリッジ48の長寿命化に寄与する。
【0073】
本実施の形態によれば、所定の基準吐水量から総吐水量を差し引いた量が捨て水量として決定される。つまり、簡単な計算によって捨て水量が決定される。したがって、制御装置22に高い処理能力は必要とされず、制御装置22を比較的安価に実現できる。
【0074】
以上、本開示の一側面について、第1の実施の形態をもとに説明した。続いて第1の実施の形態に関連する変形例を説明する。
【0075】
(第1の実施の形態の第1の変形例)吐水装置12の制御装置22は、タイマー部104の代わりに、時計部を備える。捨て水制御部102は、当該時計部の出力により、捨て水時刻を所定の遅延時間(例えば15分)過ぎたか否かを特定する。つまり捨て水制御部102は、捨て水指示を未受信の状態において、時計部の出力により、捨て水時刻を所定の遅延時間過ぎたことを特定すると、捨て水処理を開始する。
【0076】
(第1の実施の形態の第2の変形例)
図6を参照する。変形例に係る吐水装置12の制御装置22は、タイマー部の代わりに、時計部108を備える。捨て水制御部102は、時計部108が出力する時刻が捨て水時刻になると、捨て水処理の実行を開始する。したがって本変形例では、情報処理端末14による捨て水指示の送信は不要である。つまり、情報処理端末14の制御部62は、捨て水指示送信部70を備えなくていなくてもよい。
【0077】
捨て水時刻は、捨て水設定記憶部86に記憶される。捨て水設定記憶部86に記憶される捨て水時刻は、例えば、情報処理端末14を介して入力された捨て水時刻であってもよい。詳しくは、捨て水時刻は、情報処理端末14の表示部58に表示される
図3の設定画面200において入力され、情報処理端末14の捨て水設定登録部68が吐水装置12の制御装置22に送信し、制御装置22の捨て水設定受信部96が受信して捨て水設定記憶部86に格納したものであってもよい。
【0078】
また例えば捨て水設定記憶部86に記憶される捨て水時刻は、吐水装置12が図示しない入力インタフェースを備え、当該入力インタフェースを用いて入力された捨て水時刻であってもよい。
【0079】
時計部108は、NTP、SNTP、NITZ、GPS等によって時刻同期されてもよい。この場合、正確に捨て水時刻に捨て水処理の実行を開始できる。
【0080】
(第1の実施の形態の第3の変形例)吐水装置12において捨て水処理のオンオフを切り替え可能であってもよい。例えば、吐水装置12は、捨て水処理のオンオフを切り替えるための操作部を備えてもよい。この場合、タイマー部104は、操作部によって捨て水処理をオンにしたタイミングでタイマー時間の計時を開始し、タイマー時間まで計時すると、再びタイマー時間の計時をゼロから開始してもよい。捨て水制御部102は、タイマー部104がタイマー時間まで計時するたびに、捨て水処理の実行を開始してもよい。
【0081】
操作部は、例えば押しスイッチである。操作部は、他の用途の操作部と共有であってもよい。例えば、改質カートリッジ48の交換時期の到来を特定するための改質カートリッジ48の使用時間の積算値をリセットするための操作部と共有であってもよい。この場合、操作部を短押しした場合に捨て水処理のオンオフが切り替えられ、操作部を長押しした場合に改質カートリッジ48の使用時間の積算値がリセットされてもよい。
【0082】
さらなる変形例として、吐水装置12の制御装置22は、タイマー部104の代わりに、時計部を備えてもよい。この場合、操作部によって捨て水処理をオンにした時刻が捨て水時刻として捨て水設定記憶部86に記憶されてもよい。あるいは操作部が、捨て水時刻を入力するための入力インタフェースを備え、当該入力インタフェースを用いて任意の捨て水時刻が入力され、入力された捨て水時刻が捨て水設定記憶部86に記憶されてもよい。捨て水制御部102は、捨て水設定記憶部86に記憶された捨て水時刻になると、捨て水処理の実行を開始してもよい。
【0083】
本変形例によれば、情報処理端末14を介さなくても、吐水装置12を直接に操作することにより、捨て水処理のオンオフを切り替えることができる。これにより、例えばネットワーク環境がまだ整っていないために吐水装置12がネットワークに接続できない状況であっても、捨て水処理を実行させることができる。また、ユーザが、捨て水設定Appをインストール可能な情報処理端末14を所持していない場合や、情報処理端末14の操作に疎い場合であっても、捨て水処理を実行させることができる。つまり、本変形例によれば吐水装置12の使い勝手を向上させることができる。
【0084】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、ユーザの情報処理端末14に設定された捨て水時刻に、その情報処理端末14から送信される捨て水指示に基づいて、捨て水処理を開始する場合について説明した。第2の実施の形態では、捨て水時刻によらず、ユーザの情報処理端末14をはじめとする外部装置からの捨て水指示の受信を契機として、捨て水処理を開始する場合について説明する。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0085】
捨て水指示受信部100は、外部装置からネットワークを介して、捨て水処理の開始の契機となる捨て水指示を受信する。捨て水制御部102は、捨て水指示受信部100による捨て水指示の受信を契機として、捨て水処理を開始する。
【0086】
外部装置は、所定イベントが発生すると、吐水装置12に捨て水処理を送信する。所定イベントの例については後述する。外部装置は、吐水装置12が設けられた建造物内の他の装置であってもよいし、当該建造物の外の装置であってもよいし、スマートフォンやタブレット端末などの移動端末であってもよい。いずれにせよ、外部装置は特に限定されず、ネットワークを介して吐水装置12に捨て水指示を送信可能であればよい。
【0087】
捨て水指示には、捨て水処理の開始のタイミングを示す情報、すなわち捨て水指示受信部100が捨て水指示を受信してから捨て水制御部102が捨て水処理を開始するまでの待機時間を示す情報が含まれていてもよい。待機時間がゼロの場合、捨て水指示が受信されたら即時に捨て水処理が開始される。また例えば待機時間がT時間の場合、捨て水指示が受信されてからT時間待機後に捨て水処理が開始される。
【0088】
例えば、吐水装置12がオフィスに設けられている場合において、最初に出社した人がオフィスのセキュリティシステムを解除したことによりセキュリティシステムが吐水装置12に捨て水指示を送信してもよい。吐水装置12は、捨て水指示受信部100がその捨て水指示を受信し、それを契機として捨て水制御部102が捨て水処理を開始してもよい。この場合の捨て水指示は、最初のひとり目の出社というイベントが発生したことの通知ともいえる。つまり、この例では、出社というイベントの発生を契機として捨て水処理を開始していると捉えることもできる。
【0089】
また例えば、吐水装置12がユーザの自宅に設けられている場合において、ユーザが帰宅を開始して、ユーザひいてはユーザが所持するスマートフォンが自宅まで所定の距離以下に近づいたら、当該スマートフォンが吐水装置12に捨て水指示を送信してもよい。あるいはまた、ユーザが帰宅を開始して自宅の最寄り駅の自動改札機を通過したら、当該改札機が吐水装置12に捨て水指示を送信してもよい。吐水装置12は、捨て水指示受信部100がその捨て水指示を受信し、それを契機として捨て水制御部102が捨て水処理を開始してもよい。この場合の捨て水指示は、帰宅の開始あるいは自宅への近接というイベントが発生したことの通知ともいえる。つまり、帰宅の開始もしくは自宅への接近というイベントの発生を契機として捨て水処理を開始していると捉えることもできる。
【0090】
本実施の形態によれば、吐水装置12は、所定イベントの発生により外部装置から送信される捨て水処理を受信すると、それを契機として捨て水処理を開始する。これにより、適切なイベントを採用することにより、使いたいときにすぐに水を使え、かつ、雑菌が繁殖した水の使用を避けることができる。
【0091】
続いて、第1、第2の実施の形態に共通する変形例を説明する。
【0092】
(第1、第2の実施の形態に共通する第1の変形例)吐水装置12は、ポンプ等により添加液源から供給される添加液を、二次側給水流路38を流れる改質水に添加してもよい。この添加液は、例えば、希釈用飲料原液、食品添加物濃縮液、調味液等の飲用に用いられる。この他にも、添加液は、石けん水、化粧水、ボディオイル等の人体に触れる用途で用いられてもよい。この人体に触れる用途には、前述の飲用に用いられる希釈用飲料原液等が含まれる。
【0093】
(第1、第2の実施の形態に共通する第2の変形例)吐水装置12の給水ライン20は、冷水流路38bおよび冷水タンク52を備えていなくてもよい。つまり、吐水装置12は、常温の改質水のみを吐水可能であってもよい。また、吐水装置12の給水ライン20は、常温水流路38aを備えていなくてもよい。つまり、吐水装置12は、冷却された改質水のみを吐水可能であってもよい。この場合、冷水タンク52の位置は特に限定されず、一次側給水流路36に設けられてもよい。
【0094】
以上の実施の形態および変形例は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施の形態および変形例の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施の形態および変形例の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施の形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が当然に許容される。
【0095】
(付記)本明細書には以下の技術が開示される。
【0096】
(項目1)
吐水部と、
前記吐水部に給水する給水流路と、
前記給水流路上に設けられる開閉弁と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記開閉弁を開いて前記吐水部から排水する捨て水処理を、ユーザが設定した捨て水時刻に基づいて開始する吐水装置。
【0097】
(項目2)
前記捨て水時刻を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶される前記捨て水時刻に前記捨て水処理を開始する項目1に記載の吐水装置。
【0098】
(項目3)
前記記憶部に記憶される前記捨て水時刻は、前記ユーザが所定の情報処理端末に入力した時刻であって、当該情報処理端末から受信した時刻である項目2に記載の吐水装置。
【0099】
(項目4)
前記制御部は、所定の情報処理端末が捨て水時刻に送信する捨て水指示を受信すると、前記捨て水処理を開始する項目1に記載の吐水装置。
【0100】
(項目5)
前記制御部は、前記捨て水時刻を所定の遅延時間過ぎても捨て水指示を受信しない場合、前記捨て水処理を開始する項目4に記載の吐水装置。
【0101】
(項目6)
吐水部と、
前記吐水部に給水する給水流路と、
前記給水流路上に設けられる開閉弁と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、外部装置からの捨て水指示の受信を契機として、前記開閉弁を開いて前記吐水部から排水する捨て水処理を開始する吐水装置。
【0102】
(項目7)
前記制御部は、前回の捨て水処理と今回の捨て水処理との間における前記吐水部からの吐水に関する情報に基づいて、前記捨て水処理における排水量を決定する項目1から6のいずれかに記載の吐水装置。
【0103】
(項目8)
前記吐水に関する情報は吐水量であり、
前記制御部は、所定の基準吐水量から前記吐水量を差し引いた量を、前記排水量として決定する項目7に記載の吐水装置。
【0104】
(項目9)
吐水装置に捨て水処理を開始させる捨て水時刻の入力画面を表示する表示部と、
前記入力画面に入力された捨て水時刻を、前記吐水装置の記憶部に記憶させるために前記吐水装置に送信する登録部と、
を備える情報処理端末。
【0105】
(項目10)
情報処理端末に、
吐水装置に捨て水処理を開始させる捨て水時刻の入力画面を表示させる機能と、
前記入力画面に入力された捨て水時刻を、前記吐水装置の記憶部に記憶させるために前記吐水装置に送信する機能と、
を実現させるコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0106】
10 吐水システム、 12 吐水装置、 14 情報処理端末、 28 吐水部、 36 一次側給水流路、 38 二次側給水流路、 54 上流側開閉弁、55_1 第1下流側開閉弁、 55_2 第2下流側開閉弁、 58 表示部、 66 表示制御部、70 捨て水指示送信部、 78 捨て水設定記憶部、 82 制御部、 86 捨て水設定記憶部、 100 捨て水指示受信部、 102 捨て水制御部。