(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094674
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】排滓量推定システム
(51)【国際特許分類】
C21C 5/46 20060101AFI20240703BHJP
F27D 21/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C21C5/46 A
C21C5/46 103Z
F27D21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211373
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】原田 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】小野 慎平
(72)【発明者】
【氏名】田村 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】柿本 昌平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 良輔
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 雅人
【テーマコード(参考)】
4K056
4K070
【Fターム(参考)】
4K056AA02
4K056FA11
4K070BE15
(57)【要約】
【課題】スラグ排出時に火炎又は黒煙が発生したとしても、高い精度でスラグの排滓量を推定することができる排滓量推定システムを提供する。
【解決手段】排滓流の幅値L
1が所定の閾値L
maxを超える時間を火炎等発生時間であると判断し、幅値L
1が所定の閾値L
max以下の時間を火炎等非発生時間であると判断する判断部と、火炎等発生時間における排滓流の幅値L
2を、火炎等発生時間の開始直前又は火炎等発生時間の開始直前及び終了直後の排滓流の幅値L
1を用いて予測する予測部と、下記式(1)によりスラグの排滓量を推定する推定部と、を有し、推定部は、下記式(1)の排滓流の幅値Lとして、火炎等発生時間の排滓量を推定する場合は幅値L
2を用い、火炎等非発生時間の排滓量を推定する場合は幅値L
1若しくは移動平均値L
aveを用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精錬容器から流出するスラグの排滓流を検知する検知部と、
前記排滓流を検知した場合に前記排滓流を撮影する撮影部と、
撮影された静止画から前記排滓流の幅値L
1を測定する測定部と、
測定された前記排滓流の幅値L
1の経時変化を記録する記録部と、
前記排滓流の幅値L
1の経時変化において、前記排滓流の幅値L
1が所定の閾値L
maxを超える時間を火炎又は黒煙が発生した火炎等発生時間であると判断し、前記排滓流の幅値L
1が所定の閾値L
max以下の時間を火炎又は黒煙が発生していない火炎等非発生時間であると判断する判断部と、
前記火炎等発生時間における前記排滓流の幅値L
2を、前記火炎等発生時間の開始直前又は前記火炎等発生時間の開始直前及び終了直後の前記排滓流の幅値L
1を用いて予測する予測部と、
下記式(1)により前記スラグの排滓量を推定する推定部と、を有し、
前記推定部は、下記式(1)の排滓流の幅値Lとして、前記火炎等発生時間の前記スラグの排滓量を推定する場合は前記予測部により予測された前記排滓流の幅値L
2を用い、前記火炎等非発生時間の前記スラグの排滓量を推定する場合は前記測定部により算出された前記排滓流の幅値L
1若しくは前記火炎等非発生時間における前記排滓流の幅値L
1の移動平均値L
aveを用いる、
排滓量推定システム。
【数1】
M:排滓重量(kg)
ρ:スラグの嵩密度(kg/m
3)
Δt:静止画の撮影間隔(s)
α:排滓流の断面形状を補正するパラメータ
L:排滓流の幅値(m)
V:排滓流の流速(m/s)
【請求項2】
前記判断部において、前記所定の閾値L
maxは下記式(2)及び(3)によって算出された値である、請求項1に記載の排滓量推定システム。
【数2】
【数3】
D:精錬容器に設けられたスラグ排出口の円相当径(m)
A:スラグ排出口の面積(m
2)
【請求項3】
前記予測部は、前記火炎等発生時間における前記排滓流の幅値L
2を下記式(4)により算出された前記排滓流の幅値L
estであると予測する、請求項1又は2に記載の排滓量推定システム。
【数4】
L
est:火炎等発生時間の時刻tにおいて推定される幅値(m)
L
i:火炎等発生時間の開始直前のN
ref個の幅値L
1の平均値(m)
L
f:火炎等発生時間の終了直後のN
ref個の幅値L
1の平均値(m)
N
ref:L
i及びL
fを求めるための幅値L
1のサンプル数
t
i:火炎等発生時間の開始時刻
t
f:火炎等発生時間の終了時刻
B:火炎等発生時間が8秒以上の場合は0<B<1の範囲とし、8秒未満の場合はB=1とする。
【請求項4】
前記予測部は、前記火炎等発生時間の開始直前における時間(s)に対する前記排滓流の幅値L1の傾きTを、前記火炎等発生時間の開始直前のNref個の幅値L1の最大値及び最小値から算出し、又は、前記火炎等発生時間の開始直前のNref個の幅値L1から最小二乗法により算出し、
前記傾きTが所定の閾値Tslopeを超えるか否か判断し、
前記傾きTが閾値Tslopeを超える場合、前記火炎等発生時間における前記排滓流の幅値L2を前記火炎等発生時間の開始直前のNref個の前記排滓流の幅値L1の平均値Liであると予測し、
前記傾きTが閾値Tslope以下である場合、前記火炎等発生時間における前記排滓流の幅値L2を前記式(4)により算出された前記排滓流の幅値Lestであると予測する、
請求項3に記載の排滓量推定システム。
【請求項5】
前記検知部は、256階調で表現される輝度値を測定し、背景よりも輝度値が30以上高い高輝度値物質を前記排滓流として検知する、請求項1又は2に記載の排滓量推定システム。
【請求項6】
前記排滓流の流速Vは、前記測定部における前記排滓流の幅値L1の計測位置から前記スラグ排出口の下端までの鉛直方向の距離H(m)としたとき、前記排滓流の自由落下と仮定して算出された(2gH)0.5とする、請求項1又は2に記載の排滓量推定システム。
【請求項7】
前記排滓流の流速Vは、少なくとも2枚以上の前記静止画からパターンマッチングにより求めた前記排滓流の移動距離を、前記静止画の撮影時刻の差(s)で割った商とする、請求項1又は2に記載の排滓量推定システム。
【請求項8】
前記パラメータαは、スラグを構成する成分のマスバランスから算出した理論流出スラグ量(kg)、又は、秤量機によって計測した流出スラグ量(kg)を真値として、パラメータフィッティングにより算出された値とする、請求項1又は2に記載の排滓量推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鉄鋼の精錬容器からの排出されるスラグの排滓量を推定する排滓量推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
転炉精錬プロセスは、高炉から出銑された溶銑中のケイ素やリン、炭素といった不純物を低減するための重要なプロセスである。特に、リンは、粒界に偏析することで鋼材の割れ感受性に多大な影響を及ぼし、低温靱性の低下や連続鋳造時の中心偏析部における異常組織の発生等、鋼の機械的性質を著しく低下させることが知られており、鋼中のリン濃度を安定的に可能な限り低減させることが要求される。
【0003】
これらの不純物の一部は、高圧の酸素ガスを溶銑に吹き付けることで、生石灰の添加等によって塩基度が調整されたスラグ中に酸化除去される。その際の精錬反応の進行は、精錬容器内のスラグの量によって変化することが知られており、精錬容器内のスラグ量を正確に把握することは、精錬反応の制御、つまり製造する鋼の品質の安定化において重要である。
【0004】
しかしながら、精錬容器内は高温・粉じん環境となっており、炉内スラグ量のセンシングは容易ではない。そこで、流出したスラグ量の把握によって、炉内に残留したスラグ量の推定が行われている。各種精錬容器において、流出したスラグ量の定量評価方法及び推定方法が記載されている文献として、特許文献1、2が知られている。
【0005】
特許文献1には、転炉において、炉内の形状と炉の傾動角から計算される排出量、又はあらかじめ測定しておいた、炉の傾動角変化に伴うスラグの排出流量の実測値からスラグの排出量を見積もる方法が開示されている。
【0006】
特許文献2には、転炉において、スラグパンに設置した秤量機を用いて排滓量を直接秤量し、精錬反応によるスラグ発生量と、直接秤量した排滓量から炉内残留スラグ量を推定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-119195号公報
【特許文献2】特開平7-041813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1では、スラグの排出量を、装入溶融金属量や精錬容器内耐火物の幾何学的形状に求めるため、炉内耐火物の損耗状態及びスラグとメタル(溶銑)の状態の影響を強く受け、これに起因して排滓量の推定精度が低いという課題がある。
【0009】
また、特許文献2では、受滓台車等に取り付けた秤量機による計測では、秤量機自体が高額である点や、秤量機と高温溶融物(溶融スラグや溶融金属)が接触することによる故障のリスクが課題であった。
【0010】
そこで、本発明者らは、排滓流を撮影した画像の解析によって排滓量を推定することを検討した。スラグの排滓量を画像解析という非接触の手法により推定することで、秤量機故障のリスクを限りなく小さくすることができると考えられたためである。しかしながら、本発明者らは、画像解析により排滓量を推定する場合、スラグ排出時に発生する火炎又は黒煙によって、排滓量の推定精度が悪化するという新たな課題に突き当たった。
【0011】
そこで本開示の主な目的は、上記実情を鑑み、スラグ排出時に火炎又は黒煙が発生した場合においても、高い精度で精錬容器からのスラグの排滓量を推定することができる排滓量推定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、上記課題を解決するための一態様として、精錬容器から流出するスラグの排滓流を検知する検知部と、排滓流を検知した場合に排滓流を撮影する撮影部と、撮影された静止画から排滓流の幅値L1を測定する測定部と、測定された排滓流の幅値L1の経時変化を記録する記録部と、排滓流の幅値L1の経時変化において、排滓流の幅値L1が所定の閾値Lmaxを超える時間を火炎又は黒煙が発生した火炎等発生時間であると判断し、排滓流の幅値L1が所定の閾値Lmax以下の時間を火炎又は黒煙が発生していない火炎等非発生時間であると判断する判断部と、火炎等発生時間における排滓流の幅値L2を、火炎等発生時間の開始直前、又は火炎等発生時間の開始直前及び終了直後の排滓流の幅値L1を用いて予測する予測部と、下記式(1)によりスラグの排滓量を推定する推定部と、を有し、推定部は、下記式(1)の排滓流の幅値Lとして、火炎等発生時間のスラグの排滓量を推定する場合は予測部により予測された排滓流の幅値L2を用い、火炎等非発生時間のスラグの排滓量を推定する場合は測定部により算出された排滓流の幅値L1若しくは火炎等非発生時間における排滓流の幅値L1の移動平均値Laveを用いる、排滓量推定システムを提供する。
【0013】
【0014】
M:排滓重量(kg)
ρ:スラグの嵩密度(kg/m3)
Δt:静止画の撮影間隔(s)
α:排滓流の断面形状を補正するパラメータ
L:排滓流の幅値(m)
V:排滓流の流速(m/s)
【0015】
上記判断部において、所定の閾値Lmaxとして下記式(2)及び(3)によって算出された値を用いてもよい。
【0016】
【0017】
【0018】
D:精錬容器に設けられたスラグ排出口の円相当径(m)
A:スラグ排出口の面積(m2)
【0019】
上記排滓量推定システムにおいて、予測部は、火炎等発生時間における排滓流の幅値L2を下記式(4)により算出された排滓流の幅値Lestであると予測してもよい。
【0020】
【0021】
Lest:火炎等発生時間の時刻tにおいて推定される幅値(m)
Li:火炎等発生時間の開始直前のNref個の幅値L1の平均値(m)
Lf:火炎等発生時間の終了直後のNref個の幅値L1の平均値(m)
Nref:Li及びLfを求めるための幅値L1のサンプル数
ti:火炎等発生時間の開始時刻
tf:火炎等発生時間の終了時刻
B:火炎等発生時間が8秒以上の場合は0<B<1の範囲とし、8秒未満の場合はB=1とする。
【0022】
あるいは、予測部は、火炎等発生時間の開始直前における時間(s)に対する排滓流の幅値L1の傾きTを、火炎等発生時間の開始直前のNref個の幅値L1の最大値及び最小値から算出し、又は、火炎等発生時間の開始直前のNref個の幅値L1から最小二乗法により算出し、傾きTが所定の閾値Tslopeを超えるか否か判断し、傾きTが閾値Tslopeを超える場合、火炎等発生時間における排滓流の幅値L2を火炎等発生時間の開始直前のNref個の排滓流の幅値L1の平均値Liであると予測し、傾きTが閾値Tslope以下である場合、火炎等発生時間における排滓流の幅値L2を式(4)により算出された排滓流の幅値Lestであると予測してもよい。
【0023】
上記排滓量推定システムにおいて、検知部は、256階調で表現される輝度値を測定し、背景よりも輝度値が30以上高い高輝度値物質を排滓流として検知してもよい。
【0024】
上記排滓量推定システムにおいて、排滓流の流速Vは、測定部における排滓流の幅値の計測位置からスラグ排出口の下端までの鉛直方向の距離H(m)としたとき、排滓流の自由落下と仮定して算出された(2gH)0.5としてもよい。あるいは、排滓流の流速Vは、少なくとも2枚以上の静止画からパターンマッチングにより求めた排滓流の移動距離を、静止画の撮影時刻の差(s)で割った商としてもよい。
【0025】
上記排滓量推定システムにおいて、パラメータαは、スラグを構成する成分のマスバランスから算出した理論流出スラグ量(kg)、又は、秤量機によって計測した流出スラグ量(kg)を真値として、パラメータフィッティングにより算出された値としてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本開示の排滓量推定システムによれば、精錬容器から排出される排滓流を所定の手法で画像解析することにより、火炎又は黒煙が発生するか否かに関わらず、排滓量を高精度に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】排滓量推定システムが(2)の予測手法を用いた場合、式(1)の幅値Lを決定するためのフローチャートである。
【
図2】実施例1~11のうちの1つの試験例の排滓流の幅値の経時変化を示した図である。
【
図3】実施例12~13のうちの1つの試験例の排滓流の幅値の経時変化を示した図である。
【
図4】実績排滓量と実施例により求めた推定排滓量との関係を示した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の排滓量推定システムについて、一実施形態を用いて説明する。
【0029】
一実施形態の排滓量推定システムは精錬容器から流出するスラグの排滓量を、排滓流の画像を解析することによって推定するシステムである。精錬容器とは、転炉や電気炉において、銑鉄の精錬を実施するための容器である。スラグは銑鉄の精錬によって生じるものであり、適宜精錬容器から排出される。通常、スラグは精錬容器のスラグ排出口から排出され、下部に配置されたスラグパン等のスラグ回収容器に回収される。本明細書において、スラグ排出口はスラグを精錬容器から排出する役割を有する部材を意味し、典型的なスラグ排出口の他に炉口も含む。一実施形態の排滓量推定システムは、上述したスラグ排出口から排出された排滓流を撮影し、撮影された画像を解析して排滓量を推定するものである。以下、一実施形態の排滓量推定システムについて詳しく説明する。
【0030】
一実施形態の排滓量推定システムは、精錬容器から流出するスラグの排滓流を検知する検知部と、排滓流を検知した場合に排滓流を撮影する撮影部と、撮影された静止画から排滓流の幅値L1を測定する測定部と、測定された排滓流の幅値L1の経時変化を記録する記録部と、排滓流の幅値L1の経時変化において、排滓流の幅値L1が所定の閾値Lmaxを超える時間を火炎又は黒煙が発生した火炎等発生時間であると判断し、排滓流の幅値L1が所定の閾値Lmax以下の時間を火炎又は黒煙が発生していない火炎等非発生時間であると判断する判断部と、火炎等発生時間における排滓流の幅値L2を、火炎等発生時間の開始直前、又は火炎等発生時間の開始直前及び終了直後の排滓流の幅値L1を用いて予測する予測部と、下記式(1)によりスラグの排滓量を推定する推定部と、を有し、推定部は、下記式(1)の排滓流の幅値Lとして、火炎等発生時間のスラグの排滓量を推定する場合は予測部により予測された排滓流の幅値L2を用い、火炎等非発生時間のスラグの排滓量を推定する場合は測定部により算出された排滓流の幅値L1若しくは火炎等非発生時間における排滓流の幅値L1の移動平均値Laveを用いるものである。
【0031】
【0032】
M:排滓重量(kg)
ρ:スラグの嵩密度(kg/m3)
Δt:静止画の撮影間隔(s)
α:排滓流の断面形状を補正するパラメータ
L:排滓流の幅値(m)、V:排滓流の流速(m/s)
【0033】
上記の構成を備えた排滓量推定システムは、例えば撮影装置とコンピュータとを含むシステムによって実現できる。撮影装置は排滓流を検知・撮影することができれば特に限定されない。例えばCMOSカメラ等の撮影装置が挙げられる。撮影装置は排滓流を適切に検知・撮影するために、可能な限り、精錬容器のスラグ排出口の正面に配置する方がよい。コンピュータは、一般的なコンピュータと同様の構成を有していればよい。撮影装置から画像データを取得するために、コンピュータは有線又は無線で撮影装置と接続されている。撮影装置は検知部及び撮影部を備え、コンピュータは測定部、記録部、判断部、予測部、及び推定部を備えている。以下、一実施形態の排滓量推定システムの各構成について説明する。
【0034】
<検知部>
検知部は、精錬容器から流出するスラグの排滓流を検知するものである。排滓流の検知は、少なくとも精錬容器のスラグ排出口からスラグが流出されうる領域(領域X)を監視することにより実施できる。検知部は、排滓流を検知する際、光学フィルタ等を用いて照明等の光を遮断してもよい。
【0035】
「スラグが流出されうる領域(領域X)」とは、スラグが精錬容器のスラグ排出口から流出した場合に、その排滓流を検知できる領域(撮影装置が撮影できる領域)をいう。領域Xの水平方向の範囲はスラグ排出口から流出されうるスラグの幅を含み、かつ、鉛直方向の範囲はスラグ排出口の下端からスラグ回収容器の上端までの間の少なくとも一部を含む。「流出されうるスラグの幅」とは、精錬容器からスラグが流出した場合に、推定される排滓流の水平方向の長さである。排滓流の幅の推定値は、実験的に又はシミュレーションにより得ることができる。
【0036】
排滓流の誤検出を防止する観点から、領域Xの水平方向の範囲は、排滓流の幅(流出されうるスラグの幅)以上としてもよく、排滓流の幅の1500%以下としてもよい。同様に、排滓流の誤検出を防止する観点から、領域Xの鉛直方向の範囲は、スラグ排出口からスラグ回収容器の上端までの間の長さの10%以上としてもよく、500%以下としてもよい。
【0037】
排滓流の検知は、上記領域X内に現れる高輝度値物質を検知することにより実施できる。すなわち、検知部は領域X内の輝度値を測定している。輝度値としては、例えば256階調で表現される輝度値(0~255)を採用する。
【0038】
「高輝度値物質」とは、上記領域Xにおいて、背景よりも輝度値が高い物質であり、具体的には排滓流である。例えば、輝度値が30以上255以下である場合、検知部は高輝度値物質を排滓流として検知してもよい。「背景」とは、領域Xにおいて、高輝度値物質以外の部分をいい、例えば輝度値が0以上29以下の部分である。このように検知部は、領域X内の輝度値を監視し、背景よりも輝度値が高い高輝度値物質(排滓流)を検知する。
【0039】
ここで、高輝度値物質は背景よりも輝度値が高ければよいが、高輝度値物質と背景との輝度値の差が小さい場合、排滓流を適切に検知できない場合がある。そこで、排滓流を容易に検出する観点から、検知部は背景よりも輝度値が30以上高い高輝度物質を排滓流と判定してもよい。より検知精度を高める観点から、検知部は背景よりも輝度値が50以上高い高輝度物質を排滓流と判定してもよい。
【0040】
また、誤検出を防止する観点から、領域Xの全面積に対し高輝度値物質の面積が0.1%以上となった場合に、高輝度値物質が排滓流であると検知してもよい。さらに誤検出を防止する観点から、領域Xの全面積に対し高輝度値物質の面積が0.5%以上となった場合に、高輝度値物質が排滓流であるとして検知してもよい。
【0041】
<撮影部>
撮影部は、検知部が排滓流を検知した場合に排滓流を撮影するものである。撮影部による排滓流の撮影は、通常、検知部が排滓流を検知できなくなるまで続ける。撮影された画像はコンピュータ(測定部)に送信される。送信される画像の枚数は特に限定されないが、少なくとも2枚としてよい。
【0042】
撮影部による排滓流の撮影形式は静止画でもよく、動画でもよい。静止画を撮影する場合、少なくとも毎秒1枚の速度で画像を撮影する。排滓量の推定精度を向上する観点から、毎秒10枚以上の静止画を撮影してもよい。動画を撮影する場合、撮影した動画から1秒間に少なくとも1枚の静止画を抽出する。排滓量の推定精度を向上する観点から、撮影した動画から1秒間に10枚以上の静止画を抽出してもよい。
【0043】
<測定部>
測定部は、撮影部により撮影された静止画から排滓流の幅値L1を測定するものである。「静止画」とは、撮影部が排滓流の静止画を撮影した場合は、その静止画自体であり、排滓流の動画を撮影した場合は、動画から抽出された静止画を意味する。
【0044】
排滓流の幅値L1(m)は静止画から計測する。具体的には、排滓流を撮影した静止画において、鉛直方向の任意の位置における排滓流の幅値L1を計測する。任意の位置は測定部が決定してもよく、排滓流推定システムの使用者が決定してもよい。排滓流の幅値L1の計測は、撮影した撮影装置の倍率及び撮影装置と排滓流との距離から幾何学的に算出される静止画の1画素当たりの距離を基に、排滓流の水平方向の画素数から計測する。このとき、排滓流が分断されている場合、分断された各排滓流の幅値の合計値を排滓流の幅値L1とする。
【0045】
<記録部>
記録部は、測定部により測定された排滓流の幅値L1の経時変化を記録するものである。通常、記録部は、検知部が排滓流を検知できなくなるまで、排滓流の幅値の経時変化を記録する。
【0046】
<判断部>
判断部は、記録部に記録された排滓流の幅値L1の経時変化において、排滓流の幅値L1が所定の閾値Lmaxを超える時間を火炎又は黒煙が発生した火炎等発生時間であると判断し、排滓流の幅値L1が所定の閾値Lmax以下の時間を火炎又は黒煙が発生していない火炎等非発生時間であると判断するものである。
【0047】
スラグ回収容器に回収されたスラグには多量の泡が発生(フォーミング)しているため、スラグに消泡剤(鎮静剤)を投入する場合があるが、消泡剤を投入すると度々スラグから火炎又は黒煙が発生する。スラグから火炎又は黒煙が発生すると、撮影部によって撮影される静止画に火炎又は黒煙が入り込む虞がある。そうすると、測定部における排滓流の幅値の測定精度が低下する虞がある。具体的には、火炎及び黒煙はいずれも高い輝度値を有する高輝度値物質である(黒煙の輝度値は火炎やスラグ排滓流に比べて低いが、背景よりも高い。)ため、静止画に火炎又は黒煙が入り込んだ場合、測定部により測定される排滓流の幅値が、実際の排滓流の幅値よりも高くなることが予想される。
【0048】
このように、火炎又は黒煙が発生すると、測定部による排滓流の幅値L1の測定精度が低下し、これにより排滓量の推定精度も低下する。そこで、一実施形態では、火炎又は黒煙が発生しているか否かを、排滓流の幅値L1から判断することとした。
【0049】
火炎又は黒煙が発生しているか否かの判断は、排滓流の幅値L1が所定の閾値Lmaxを超えているか否かによって判断する。排滓流の幅値L1が所定の閾値Lmaxを超える場合、判断部は火炎又は黒煙が発生していると判断し、幅値L1が所定の閾値Lmaxを超えている時間を火炎等発生時間として処理する。排滓流の幅値L1が所定の閾値Lmax以下である場合、判断部は火炎又は黒煙が発生していないと判断し、幅値L1が所定の閾値以下である時間を火炎等非発生時間として処理する。
【0050】
「所定の閾値Lmax」は、予め実験的に得られた値を用いてもよいが、下記式(2)、(3)によって算出された値を用いてもよい。所定の閾値Lmaxはスラグ排出口から排出される排滓流の幅の経験的な最大値に比べて大きいので、下記式(2)、(3)によって算出された値を用いたとしても、高精度に火炎又は黒煙が発生しているか否かを判断することができる。
【0051】
【0052】
【0053】
D:スラグ排出口の円相当径(m)
A:スラグ排出口の面積(m2)
【0054】
なお、火炎又は黒煙が発生しているか否かは、排滓流の流速の値から判定することができる。なぜなら、排滓流は鉛直下向きに落下するが、火炎又は黒煙は鉛直上向きに上昇するためである。したがって、画像解析によって高輝度物質の鉛直上向きの速度成分から火炎又は黒煙が発生しているか否を判断することも可能である。
【0055】
<予測部>
予測部は、火炎等発生時間における排滓流の幅値L2を、火炎等発生時間の開始直前、又は火炎等発生時間の開始直前及び終了直後の排滓流の幅値L1を用いて予測するものである。上述の通り、火炎等発生時間では測定部によって測定された排滓流の幅値L1が、実際の排滓流の幅値よりも高く測定され得るため、火炎等発生時間の排滓量を適切に推定するために、火炎等発生時間における排滓流の幅値L2も適切に予測する必要がある。そこで、一実施形態では、火炎等発生時間における排滓流の幅値L2を、火炎等発生時間の開始直前、又は火炎等発生時間の開始直前及び終了直後の排滓流の幅値L1を用いて予測することとした。具体的には、次の(1)、(2)の予測手法がある。
【0056】
(1)予測部は、火炎等発生時間における排滓流の幅値L2を下記式(4)により算出された排滓流の幅値Lestであると予測してもよい。
【0057】
【数8】
L
est:火炎等発生時間の時刻tにおいて推定される幅値(m)
L
i:火炎等発生時間の開始直前のN
ref個の幅値L
1の平均値(m)
L
f:火炎等発生時間の終了直後のN
ref個の幅値L
1の平均値(m)
N
ref:L
i及びL
fを求めるための幅値L
1のサンプル数
t
i:火炎等発生時間の開始時刻
t
f:火炎等発生時間の終了時刻
B:火炎等発生時間が8秒以上の場合は0<B<1の範囲とし、8秒未満の場合はB=1とする。
【0058】
Li及びLfを求めるための幅値L1のサンプル数Nrefは、少なくとも2以上である。排滓量の推定精度の向上のため、Nrefを10以上としてもよい。Nrefの上限値は特に限定されないが、例えば30以下としてよい。このように、Nrefは所定の範囲を有するため、火炎等発生時間の開始直前及び終了直後は、サンプル数Nref及び静止画の撮影間隔によって定まる。
【0059】
あるいは、火炎等発生時間の開始直前及び終了直後は、具体的な時間範囲を指定してもよい。例えば、火炎等発生時間の開始直前及び終了直後は、火炎等発生時間の開始時刻前及び終了時刻後、5秒としてもよく、3秒としてもよく、1秒としてもよい。
【0060】
火炎等発生時間が8秒以上の場合、定数Bは0<B<1の範囲となる。このとき、定数Bは排滓流の真の重量(秤量機で測定された重量)に基づいて予め算出されたものを用いる。具体的には、まず、火炎の発生がないチャージにおいて、排滓流の断面形状を補正するパラメータαを決定する。次に、上記チャージと同様の測定条件で、火炎等発生時間が8秒以上の場合において、αの値を使用し、排滓流の真の重量と、推定部で推定した排滓量が合致するBの値をフィッティングによって求める。パラメータαは測定条件が一定であれば不変であるため、これを利用してBの値を求めることができる。定数Bが0<B<1の範囲にあるとき、式(4)は火炎等発生時間の開始直前及び終了直後の幅値Li及びLfを上に凸の曲線で結ぶ関数となる。火炎等発生時間が8秒未満の場合、定数BはB=1となる。この場合、式(4)は火炎等発生時間の開始直前及び終了直後の幅値Li及びLfを直線で結ぶ関数となる。
【0061】
(2)あるいは、予測部は、火炎等発生時間の開始直前における時間(s)に対する排滓流の幅値L1の傾きTを、火炎等発生時間の開始直前のNref個の幅値L1の最大値及び最小値から算出し、又は、火炎等発生時間の開始直前のNref個の幅値L1から最小二乗法により算出し、傾きTが所定の閾値Tslopeを超えるか否か判断し、傾きTが閾値Tslopeを超える場合、火炎等発生時間における排滓流の幅値L2を火炎等発生時間の開始直前のNref個の排滓流の幅値L1の平均値Liであると予測し、傾きTが閾値Tslope以下である場合、火炎等発生時間における排滓流の幅値L2を式(4)により算出された排滓流の幅値Lestであると予測してもよい。
【0062】
所定の閾値Tslopeは、0以上であればよい。排滓重量の推定精度向上のため、所定の閾値Tslopeは0.2以上としてもよい。所定の閾値Tslopeの上限値は特に限定されないが、例えば300以下としてよい。所定の閾値Tslopeは、操業条件や排滓重量の推定精度を考慮して、適宜設定してよい。
【0063】
このように(2)の予測手法は、(1)の予測手法を含みつつ、排滓流の幅値L1の傾きTが所定の閾値Tslopeを超えるか否かにより、火炎等発生時間における排滓流の幅値L2を異なる方法で予測するものである。
【0064】
(1)、(2)の予測手法は、いずれも排滓流の推定精度を高めるものであり、これに優劣はない。転炉・電気炉の操業条件に応じて(1)、(2)の予測手法を使い分ければよい。
【0065】
<推定部>
推定部は、下記式(1)によりスラグの排滓量を推定するものである。
【0066】
【0067】
M:排滓重量(kg)
ρ:スラグの嵩密度(kg/m3)
Δt:静止画の撮影間隔(s)
α:排滓流の断面形状を補正するパラメータ
L:排滓流の幅値(m)
V:排滓流の流速(m/s)
【0068】
スラグの嵩密度ρは、下記式(5)、(6)によって求められる。
ρ=ρL・(100-φ)/100・・・(5)
φ=(h0-h)/h0・100・・・(6)
【0069】
ρL:均一液相スラグの密度(kg/m3)
φ:スラグ中の気相率
h0:精錬開始時における精錬容器内のスラグ高さ(m)
h:排滓流の幅値L1の測定時におけるスラグ高さ(m)
【0070】
パラメータαは、排滓流の断面形状を補正するパラメータである。パラメータαは、スラグを構成する成分のマスバランスから算出した理論流出スラグ量(kg)、又は、秤量機によって計測したスラグの排滓量(kg)を真値として、パラメータフィッティングにより決定してもよい。秤量機によりスラグ回収容器に回収された実際のスラグの排滓量を計測することができる。パラメータフィッティングは排滓流の断面形状が楕円形状であるとみなして実施してもよい。
【0071】
排滓流の流速V(m/s)は、排滓流の幅値L1の測定位置における排滓流の流速であり、推定部により決定される。推定部は、上記測定位置からスラグ排出口の下端までの鉛直方向の距離H(m)を求め、流速V(m/s)を排滓流の自由落下と仮定して(2gH)0.5として求めてもよい。あるいは、推定部は、排滓流の移動距離を少なくとも2枚以上の静止画からパターンマッチングにより求め、移動距離を求めた静止画の撮影時刻の差(s)で排滓流の移動距離を割ることで、上記測定位置における排滓流の流速V(m/s)を求めてもよい。
【0072】
ここで、推定部は、下記式(1)の排滓流の幅値Lとして、火炎等発生時間のスラグの排滓量を推定する場合は予測部により予測された排滓流の幅値L2を用い、火炎等非発生時間のスラグの排滓量を推定する場合は測定部により算出された排滓流の幅値L1若しくは火炎等非発生時間における排滓流の幅値L1の移動平均値Laveを用いる。移動平均値Laveの算出に使用する幅値L1の数は特に限定されないが、例えば5~30である。
【0073】
このように、推定部は、火炎又は黒煙が発生しているか否かに応じて、式(1)に用いる幅値Lを変化させている。これにより、推定部は、火炎又は黒煙が発生しているか否かに関わらず、高精度にスラグの排滓量を推定することができる。
【0074】
(幅値Lの決定のためのフローチャート)
ここで、排滓量推定システムが(2)の予測手法を用いた場合、式(1)の幅値Lを決定するためのフローチャートを
図1に示した。
【0075】
図1に示した通り、まず、測定部により測定された排滓流の幅値L
1が所定の閾値L
maxを超えるか否か判断する。幅値L
1が所定の閾値L
max以下(L
1≦L
max)の場合、火炎又は黒煙が発生してないと判断し、式(1)で用いる幅値Lとして幅値L
1若しくは移動平均値L
aveを採用する。これに対し、幅値L
1が所定の閾値L
maxを超える(L
1>L
max)場合、火炎等が発生していると判断する。
【0076】
火炎等が発生していると判断された場合、火炎等発生時間の開始直前における排滓流の幅値L1の傾きTが所定の閾値Tslopeを超えるか否かを判断する。傾きTが閾値Tslopeを超える(T>Tslope)場合、式(1)で用いる幅値Lとして幅値Liを採用する。傾きTが閾値Tslope以下(T≦Tslope)の場合、火炎等発生時間が8秒以上であるか否かを判断する。
【0077】
T≦Tslope、かつ火炎等発生時間が8秒以上の場合、式(1)で用いる幅値Lとして幅値Lest(0<B<1)を採用する。T≦Tslope、かつ火炎等発生時間が8秒未満の場合、式(1)で用いる幅値Lとして幅値Lest(B=1)を採用する。
【0078】
(補足)
一実施形態では、1つの撮影装置に検知部及び撮影部が備えられていたが、本開示の排滓量推定システムはそれを必須としていない。検知部及び撮影部は別々の装置(例えば、別々の撮影装置)に設けられていてもよい。また、一実施形態では、1つのコンピュータに測定部、記録部、判断部、予測部、及び推定部が備えられていたが、本開示の排滓量推定システムはそれを必須としていない。測定部、記録部、判断部、予測部、及び推定部は別々の装置(例えば、別々のコンピュータ)に設けられていてもよい。本開示の排滓量推定システムは検知部、撮影部、測定部、記録部、判断部、予測部、及び推定部を備えていればよく、それを実現する装置の構成は特に限定されるものではない。
【0079】
以上、一実施形態を用いて、本開示の排滓量推定システムについて説明した。本開示の排滓量推定システムによれば、精錬容器から排出される排滓流を所定の手法で画像解析することにより、火炎又は黒煙が発生するか否かに関わらず、排滓量を高精度に推定することができる。また、画像解析という非接触の手法を採用しているため、排滓重量を直接秤量する手法に比べて高い経済合理性を持つ。すなわち、直接秤量する場合に比べてメンテナンス性及びコストパフォーマンスを向上することができる。
【実施例0080】
表1に、実施した試験例1~13の条件を示した。また、表2に、実施例として、本開示の推定システムを用いて推定した排滓流出量を示した。実施例1~13では、転炉において排滓流の様子を1秒間あたり30枚の静止画をカメラで撮影した。また、実施例1~11では、上述の(1)の予測手法を用いた。実施例12~13では、上述の(2)の予測手法を用いた。比較例として、従来技術に基づいて、電気炉の炉内形状および傾動角度等から推定した排滓流出量を示した。相対誤差は下記式(5)から求めた。
【0081】
図2は実施例1~11のうちの1つの試験例の排滓流の幅値の経時変化を示した図である。
図3は実施例12~13のうちの1つの試験例の排滓流の幅値の経時変化を示した図である。
図4は実績排滓量(秤量機により計測)と実施例により求めた推定排滓量との関係を示した結果である。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
表2に示されている通り、実施例は比較例よりも高精度にスラグの排滓量を推定していた。また、実施例は推定量と実績量とから求められる相対誤差が小さく、この観点からも排滓流出量を高精度に推定できることが確認できた。
【0086】
上述した通り、実施例1~11は(1)の予測手法、実施例12~13は(2)の予測手法を用いている。実施例の平均相対誤差は4.71%であったのに対し、比較例の平均相対誤差は18.5%であった。このように、いずれの予測手法を用いたとしても、高精度に排滓量を予測できていた。