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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094687
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
E03C1/042 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211387
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 建吾
(72)【発明者】
【氏名】太田 憲利
(72)【発明者】
【氏名】内藤 篤身
(72)【発明者】
【氏名】横井 弘和
(72)【発明者】
【氏名】石田 駿平
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA05
2D060BB03
2D060BC30
2D060BE13
2D060BF03
(57)【要約】
【課題】捨て水処理がいつ終了するか知ることができる吐水装置を提供する。
【解決手段】吐水装置12は、吐水部と、吐水部に給水する給水流路と、前記給水流路の滞留水の少なくとも一部を排水する捨て水処理の終了時間に関する情報を報知する報知部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水部と、
前記吐水部に給水する給水流路と、
前記給水流路の滞留水の少なくとも一部を排水する捨て水処理の終了時間に関する情報を報知する報知部と、
を備える吐水装置。
【請求項2】
前記情報は、捨て水処理の残り時間、捨て水処理の所要時間、捨て水処理の終了時刻、捨て水処理における残りの吐水量、捨て水処理における総吐水量のいずれかである請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記情報は、捨て水処理の残り時間であり、
前記報知部は、発光領域における点灯範囲が可変の発光部であり、点灯範囲の大きさによって残り時間を表す請求項1に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記報知部は、第1報知部であり、
前記給水流路は、第1給水流路と、第1給水流路とは少なくとも部分的に別々の流路である第2給水流路と、を含み、
前記第1給水流路および第2給水流路のそれぞれの捨て水の実行の要否を報知可能な第2報知部をさらに備える請求項1に記載の吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、水を浄化するための浄水ユニットを備える水栓装置を開示している。この水栓装置は、前回の吐水から所定時間以上経過している場合に吐水を開始すると、浄水ユニットの下流側の通水路に滞留している水を捨てる「捨て水処理」の実行中であることがランプの点滅やブザー音で報知され、捨て水処理が終わると報知が終了する。この場合、雑菌が繁殖しているおそれがある滞留水の使用を避けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-158881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、捨て水処理がいつ終了するか知ることができないが、いつ終了するかわからない処理を待つのは苦である。
【0005】
本開示の目的の1つは、捨て水処理がいつ終了するか知ることができる吐水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の吐水装置は、吐水部と、吐水部に給水する給水流路と、給水流路上に設けられる開閉弁と、開閉弁を開いて吐水部から排水する捨て水処理の終了時間に関する情報を報知する報知部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態の吐水装置の全体構成図である。
図2図1の制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図3図2の第1報知部の一実施例を示す図である。
図4図4(a)~(i)は、図3の報知部の動作を時系列で説明する図である。
図5】第2の実施の形態の吐水装置の全体構成図である。
図6図5の制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図7図2の第2報知部の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0009】
(第1の実施の形態)第1の実施の形態を詳述する前に概要を説明する。本実施の形態は吐水装置に関する。吐水装置では、給水流路の滞留水が長時間放置されると雑菌が繁殖するおそれがある。特に限定されないが、吐水装置が浄化機能を有する場合、すなわち滞留水が浄水である場合、雑菌がより繁殖しやすい。本実施の形態の吐水装置は、適宜のタイミングに自動で「捨て水処理」を実行する。なお、本実施の形態における「捨て水処理」は、給水流路の滞留水の少なくとも一部を吐水(排水)させる処理をいう。本実施の吐水装置は報知部を備える。当該報知部は、捨て水処理の終了時間に関する情報、例えば捨て水処理の残り時間を報知する。この報知により、吐水装置のユーザは、捨て水処理がいつ終了するか知ることができる。
【0010】
図1を参照する。吐水装置12は、例えばキッチンに設置される。吐水装置12は、吐水部28が設けられた吐水装置本体16と、吐水部28に給水する給水ライン20と、捨て水処理に関する報知を行うための第1報知部33と、吐水装置12を統括的に制御する制御装置22と、を備える。
【0011】
吐水装置本体16は、吐水管部26と、吐水部28と、操作部32と、を備える。吐水管部26は、特に限定されないが、いわゆるグースネック状をなしている。吐水部28は、本実施の形態では、吐水管部26の先端に設けられる。吐水部28は、操作部32に対する操作に応じて給水ライン20から供給された水を吐水する。
【0012】
給水ライン20は、一次側給水流路36と、改質カートリッジ48と、二次側給水流路38と、冷水タンク52と、複数の開閉弁54,55_1,55_2と、を備える。一次側給水流路36は、図示しない給水源から供給される原水を改質カートリッジ48に供給する。
【0013】
改質カートリッジ48は、供給された原水を改質する。以下、改質カートリッジ48により改質された水を改質水という。「原水」は、改質カートリッジ48による改質の対象となる水をいう。「改質」は、物理変化または化学変化を経て、特定の成分を原水から除去または原水に付与することをいう。例えば原水が水道水の場合、改質カートリッジ48は、水道水に含まれる塩素成分を除去するすなわち水道水を改質水としての浄水に改質する浄水カートリッジであってもよい。改質は、美容成分、匂い成分、炭酸成分、水素成分等を原水に付与することであってもよい。
【0014】
二次側給水流路38には、改質カートリッジ48により改質された改質水が供給される。二次側給水流路38の下流端には吐水部28が接続される。二次側給水流路38は、2つに分岐して合流する常温水流路(第1分岐流路)38aおよび冷水流路(第2分岐流路)38bを含む。変形例として、常温水流路38aおよび冷水流路38bは合流せずに分岐したまま吐水部28に給水されてもよい。
【0015】
冷水タンク52は冷水流路38bに設けられる。冷水タンク52には、冷水タンク52内の水の温度を検知する温度センサ53と冷水タンク52内の水を冷却する冷却機56が組み付けられる。冷却機56は、制御装置22による制御にしたがって温度センサ53により検知される温度が設定温度(例えば、3℃~5℃)以下となるように冷水タンク52内の水を冷却する。
【0016】
開閉弁54,55_1,55_2は、上流側開閉弁54と、上流側開閉弁54よりも下流側に設けられる第1下流側開閉弁55_1および第2下流側開閉弁55_2と、を含む。上流側開閉弁54は、本実施の形態では改質カートリッジ48よりも上流側、すなわち一次側給水流路36に設けられる。第1下流側開閉弁55_1は、改質カートリッジ48よりも下流側において常温水流路38aに設けられる。第2下流側開閉弁55_2は、冷水タンク52よりも下流側において冷水流路38bに設けられる。
【0017】
開閉弁54,55_1,55_2は、電磁弁、電動弁等の自動開閉弁であり、制御装置22の指示にしたがって開閉する。
【0018】
制御装置22は、操作部32から常温水の吐水指示を受け付けた場合、上流側開閉弁54と第1下流側開閉弁55_1を開状態(第2下流側開閉弁55_2は閉状態)にし、常温水を吐水させる。このときに水が流れる流路(すなわち常温水流路38aを含む流路)を第1給水流路ともいう。制御装置22は、第1給水流路の捨て水処理(以下、第1捨て水処理という)を実行する場合も開閉弁54,55_1,55_2を同様に開閉して常温水を吐水させる。
【0019】
制御装置22は、操作部32から冷水の吐水指示を受け付けた場合、上流側開閉弁54と第2下流側開閉弁55_2を開状態(第1下流側開閉弁55_1は閉状態)にし、冷却水を吐水させる。このときに水が流れる流路(すなわち冷水流路38bを含む流路)を第2給水流路ともいう。制御装置22は、第2給水流路の捨て水処理(以下、第2捨て水処理という)を実行する場合も開閉弁54,55_1,55_2を同様に開閉して冷却水を吐水させる。
【0020】
第1報知部33は、制御装置22からの制御信号にしたがって、捨て水処理の終了時間に関する情報を報知する。
【0021】
終了時間に関する情報は、「捨て水処理が終了するまでの残り時間」であってもよい。この場合、第1報知部33は、発光領域の点灯範囲が可変である発光部であって、点灯範囲の大きさによって残り時間を表す発光部であってもよい。発光部は、所定の色で発光する素子またはその集合であってもよい。例えば、第1報知部33は、発光領域の点灯範囲を残り時間の減少に伴って小さくしてもよい。また例えば、第1報知部33は、発光領域の点灯範囲を残り時間の減少に伴って大きくしてもよい。あるいは第1報知部33は、残り時間を表示することで報知する表示部(液晶ディスプレイや有機ELパネルなど)であってもよい。第1報知部33は、残り時間の表示を所定の周期で更新してもよい。あるいは第1報知部33は、残り時間を音声で報知するスピーカであってもよい。第1報知部33は、残り時間を所定の周期で報知してもよい。
【0022】
終了時間に関する情報は、「捨て水処理の所要時間」であってもよい。所要時間は、捨て水処理の開始時に報知されればよい。この場合、第1報知部33は、所要時間を表示することで報知する表示部であってもよい。あるいは第1報知部33は、所要時間を音声で報知するスピーカであってもよい。
【0023】
終了時間に関する情報は、「捨て水処理の終了時刻」であってもよい。この場合、第1報知部33は、終了時刻を表示することで報知する表示部であってもよい。例えば、第1報知部33は、捨て水処理が終了するまで終了時刻を表示し続けてもよい。あるいは、第1報知部33は、終了時刻を音声で報知するスピーカであってもよい。例えば、第1報知部33は、捨て水処理の開始時にのみ、あるいは所定の周期で、終了時刻を音声で報知してもよい。
【0024】
終了時間に関する情報は、「捨て水処理が終了するまでの残りの吐水量」であってもよい。この場合、第1報知部33は、発光領域の点灯範囲が可変である発光部であって、点灯範囲の大きさによって残りの吐水量を表す発光部であってもよい。例えば、第1報知部33は、発光領域の点灯範囲を残りの吐水量の減少に伴って小さくしてもい。あるいは第1報知部33は、残りの吐水量を表示することで報知する表示部であってもよい。第1報知部33は、残りの吐水量の表示を所定の周期で更新してもよい。あるいは第1報知部33は、残りの吐水量を音声で報知するスピーカであってもよい。例えば、第1報知部33は、残り時間を所定の周期で音声で報知してもよい。
【0025】
終了時間に関する情報は、「捨て水処理における総吐水量」であってもよい。総吐水量は、捨て水処理の開始時に報知されればよい。この場合、第1報知部33は、総吐水量を表示することで報知する表示部であってもよい。あるいは第1報知部33は、総吐水量を音声で報知するスピーカであってもよい。
【0026】
図2を参照する。図2に示す各ブロックは、ハードウエア構成としてはCPU(Central Processing Unit)やメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウエア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。図6の各ブロックについても同様である。
【0027】
制御装置22は、制御部82と、記憶部84と、を備える。制御部82は、各種のデータ処理を実行する。記憶部84は、制御部82により参照され、および/または、更新されるデータを記憶する。記憶部84は、メモリやストレージにより実現される。
【0028】
制御部82は、吐止水指示取得部92と、吐止水制御部94と、捨て水制御部102と、第1報知制御部104と、を含む。制御部82の構成要素は、本実施の形態において注目する構成要素のみを示している。
【0029】
吐止水指示取得部92は、操作部32が出力する吐止水指示を取得する。操作部32は、本実施の形態では、複数の回転位置に切り替え可能な回転ハンドルであり、回転位置に対応する指示を制御装置22に出力する。操作部32により選択可能な指示は、吐水部28から常温の改質水を吐水させる「常温水吐水指示」と、吐水部28から冷水された改質水を吐水させる「冷水吐水指示」と、吐水部28から吐水を停止させる「止水指示」である。つまり、操作部32は、回転位置に対応する吐止水の指示を出力する。
【0030】
吐止水制御部94は、吐止水指示取得部92が取得した吐止水指示にしたがって開閉弁54,55_1,55_2の開閉、ひいては常温水および冷却水の吐止水を制御する。制御装置22は、「常温水吐水指示」を受けたとき、上流側開閉弁54と第1下流側開閉弁55_1を開状態(第2下流側開閉弁55_2は閉状態)にする。これにより、常温の改質水が吐水部28に給水され、吐水部28から吐水される。制御装置22は、「冷水吐水指示」を受けたとき、上流側開閉弁54と第2下流側開閉弁55_2を開状態(第1下流側開閉弁55_1は閉状態)にする。これにより、冷水タンク52により冷却された改質水が吐水部28に給水され、吐水部28から吐水される。制御装置22は、「止水指示」を取得した場合、すべての開閉弁54,55_1,55_2を閉状態にし、吐水を停止させる。
【0031】
捨て水制御部102は、第1条件が成立すると、捨て水処理を実行する。
【0032】
第1条件は、制御装置22が記憶部84に捨て水時刻を記憶している場合において、現在時刻が当該捨て水時刻になったことであってもよい。この場合、捨て水制御部102は、現在時刻が捨て水時刻になるたびに、すなわち1日1回、捨て水時刻に、捨て水処理を開始する。
【0033】
第1条件は、前回の捨て水処理から所定の時間(例えば24時間)が経過したことであってもよい。
【0034】
第1条件は、前回の吐水から所定の時間(例えば12時間)が経過したことであってもよい。詳しくは、第1条件は、第1捨て水処理については、前回の常温水の吐水から所定の時間が経過したことであり、第2捨て水処理については、前回の冷却水の吐水から所定の時間が経過したことであってもよい。この場合、第1捨て水処理と第2捨て水処理は、別々の時間(すなわち非連続)に実行されうる。
【0035】
第1条件は、情報処理端末が送信した捨て水指示を受信したことであってもよい。情報処理端末は、吐水装置12のユーザにより操作される端末であり、典型的には、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末である。捨て水指示は、定期的に、例えば1日に1回、また例えば複数日に1回、ユーザが情報処理端末において設定した捨て水時刻に送信されてもよい。
【0036】
捨て水制御部102は、第1捨て水処理と第2捨て水処理の両方を実行する場合、それらを連続して実行すればよい。なお、第1捨て水処理および第2捨て水処理の実行順序は特に問わない。
【0037】
捨て水制御部102は、第1捨て水処理として、その捨て水により吐水する水の量である第1捨て水量Q1_drain(L)を決定し、決定した第1捨て水量Q1_drainを吐水させる。捨て水制御部102は、第1捨て水処理の吐水を開始する場合、操作部32から常温水吐水指示を取得した場合と同様に開閉弁54,55_1,55_2を開閉し、常温の改質水の吐水(排水)を開始させる。捨て水制御部102は、第1捨て水処理の吐水を終了する場合、操作部32から止水指示を取得した場合と同様にすべての開閉弁54,55_1,55_2を閉状態にし、吐水部28からの吐水(排水)を終了させる。
【0038】
捨て水制御部102は、第2捨て水処理として、その捨て水により吐水する水の量である第2捨て水量Q2_drain(L)を決定し、決定した第2捨て水量Q2_drainを吐水させる。捨て水制御部102は、第2捨て水処理の吐水を開始する場合、操作部32から冷水吐水指示を取得した場合と同様に開閉弁54,55_1,55_2を開閉し、冷却された改質水の吐水(排水)を開始させる。捨て水制御部102は、第2捨て水処理の吐水を終了する場合、操作部32から止水指示を取得した場合と同様にすべての開閉弁54,55_1,55_2を閉状態にし、吐水部28からの吐水(排水)を終了させる。
【0039】
なお、第1捨て水処理と第2捨て水処理を連続して実行する場合、捨て水制御部102は、第1捨て水量Q1_drainおよび第2捨て水量Q2_drainの両方を決定してから、第1捨て水処理および第2捨て水処理の吐水を実行してもよい。
【0040】
第i(i=1,2)捨て水量の決定方法は特に限定されない。例えば、捨て水制御部102は、前回の捨て水処理と今回の捨て水処理との間における、常温水吐水指示にしたがった吐水における吐水量(以下、「第1総吐水量」という)に基づいて、第1捨て水量Q1_drainを決定してもよい。捨て水制御部102は、前回の捨て水処理と今回の捨て水処理との間における、冷水吐水指示にしたがった吐水における吐水量(以下、「第2総吐水量」という)に基づいて、第2捨て水量Q2_drainを決定してもよい。詳しくは、捨て水制御部102は、第i総吐水量が多いほど第i捨て水量Q_drainが少なくなるように、第i捨て水量Q_drainを決定してもよい。
【0041】
また、第i捨て水量Q_drainは一定であってもよい。この場合、第i捨て水処理の吐水を開始する前の第i捨て水量Q_drainを決定する処理は不要である。
【0042】
第1報知制御部104は、第1報知部33を制御し、捨て水処理の開始時あるは捨て水処理の実行中に、捨て水処理の終了時間に関する情報を報知する。詳しくは、第1報知制御部104は、捨て水制御部102が決定した第i捨て水量Q_drainに基づいて、第i捨て水処理における捨て水の終了時間に関する情報を特定する。例えば、終了時間に関する情報が「捨て水処理が終了するまでの残り時間」である場合、第i捨て水量Q_drainを、捨て水における単位時間当たり吐水量(すなわち吐水流量)で除することで捨て水の所要時間(すなわち捨て水開始時の残り時間)を算出し、そこからカウントダウンすればよい。
【0043】
なお、第1捨て水処理と第2捨て水処理を連続して実行する場合、第1報知制御部104は、第1捨て水処理と第2捨て水処理の両方が終了するまでの終了時間に関する情報を報知すればよい。
【0044】
図3、4を参照して、第1報知部33の一実施例について具体的に説明する。この例の第1報知部33は発光部であり、その発光領域は、吐水管部26と操作部32との間に、吐水管部26と一体に設けられている。第1報知部33の発光領域は、吐水管部26の形状に倣って円弧状に湾曲している。
【0045】
図4では、第1報知部33の発光領域を展開した状態を示している。発光領域においてハッチングを付した範囲は、点灯している範囲を示す。図4(a)の捨て水開始時には発光領域の全体が点灯しており、時間が経過するにつれてすなわち残り時間が少なくなるにつれて発光領域における点灯範囲は両端から消灯して徐々に短くなり、図4(i)の捨て水の終了時には発光領域の全体が消灯している。好ましくは、点灯範囲は、時間の経過とともに一定の割合で短くなる。この場合、ユーザは、発光領域の点灯範囲の時間変化から、捨て水処理の残り時間、言い換えると捨て水処理がいつ終了するか感覚的に把握できる。
【0046】
変形例として、発光領域における点灯範囲は、中央から両端に向かって消灯してもよいし、一端から他端に向かって消灯してもよい。
【0047】
別の変形例として、捨て水開始時には発光領域の全体が消灯しており、時間が経過するにつれてすなわち残り時間が少なくなるにつれて発光領域における点灯範囲が徐々に長く(広く)なり、捨て水の終了時には発光領域の全体が点灯してもよい。この場合、発光領域の中央から両端に向かって、発光領域の両端から中央に向かって、または、発光領域の一端から他端に向かって発光領域が徐々に点灯して点灯範囲が広がっていってもよい。
【0048】
本実施の形態によれば、第1報知部33が捨て水処理の終了時間に関する情報を報知するため、ユーザは捨て水処理がいつ終了するか知ることができる。
【0049】
本実施の形態によれば、第1報知部33は例えば発光部である。この場合、第1報知部33を比較的安価に構成できる。
【0050】
(第2の実施の形態)第1の実施の形態では、捨て水処理を自動で実行するように構成された吐水装置について説明した。第2の実施の形態では、捨て水処理を手動で実行するように構成された吐水装置について説明する。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0051】
図5を参照する。吐水装置12は、吐水部28が設けられた吐水装置本体16と、吐水部28に給水する給水ライン20と、捨て水処理に関する報知を行うための第1報知部33および第2報知部34と、吐水装置12を統括的に制御する制御装置22と、を備える。つまり、本実施の形態の吐水装置12は、第2報知部34をさらに備える。
【0052】
第2報知部34は、制御装置22からの制御信号に基づいて、捨て水処理を実行すべき場合にその旨を報知する。言い換えると、第2報知部34は、捨て水処理の実行の要否を報知する。
【0053】
第2報知部34は、発光することで報知する発光部であってもよい。発光部は、所定の色で発光する素子またはその集合であってもよい。例えば、第2報知部34は、第1捨て水処理のみを実行すべきときは第1の色で発光し、第2捨て水処理のみを実行すべきときは第2の色で発光し、第1捨て水処理および第2捨て水処理の両方を実行すべきときは第3の色で発光してもよい。また例えば、第2報知部34は、第1捨て水処理の実行の要否を報知するための第1発光部と、第2捨て水処理の実行の要否を報知するための第2発光部と、を含んでもよい。
【0054】
第2報知部34は、文字、図形、記号などを表示することで報知する表示部であってもよい。例えば、第2報知部34は、第1捨て水処理を実行すべき場合には「第1捨て水処理」の文字を表示し、第2捨て水処理を実行すべき場合には「第2捨て水処理」の文字を表示し、第1捨て水処理および第2捨て水処理の両方を実行すべき場合には「第1、第2捨て水処理」の文字を表示してもよい。
【0055】
第2報知部34は、音あるいは音声で報知するスピーカであってもよい。例えば、第2報知部34は、第1捨て水処理を実行すべき場合には「第1捨て水処理」の音声を発し、第2捨て水処理を実行すべき場合には「第2捨て水処理」の音声を発し、第1捨て水処理および第2捨て水処理の両方を実行すべき場合には「第1、第2捨て水処理」の音声を発してもよい。
【0056】
第1報知部33が第2報知部を兼ねてもよい。例えば、第1報知部33および第2報知部34がいずれも表示部の場合、第1報知部33としての表示部が、第2報知部34としての表示部を兼ねてもよい。
【0057】
図6参照する。制御装置22は、制御部82と、記憶部84と、を備える。制御部82は、吐止水指示取得部92と、吐止水制御部94と、捨て水制御部102と、第1報知制御部104と、第2報知制御部106と、を含む。つまり、本実施の形態の制御装置22は、第2報知制御部106をさらに備える。
【0058】
第2報知制御部106は、第2報知部34を制御し、捨て水処理の実行の要否を報知する。詳しくは、第2報知制御部106は、第2条件が成立する場合、捨て水処理の実行が必要であることを報知する。
【0059】
第2条件は、制御装置22が記憶部84に捨て水時刻を記憶している場合において、現在時刻が当該捨て水時刻になったことであってもよい。
【0060】
第2条件は、前回の捨て水処理から所定時間(例えば24時間)が経過したことであってもよい。詳しくは、第2条件は、第1捨て水処理については、前回の常温水の吐水から所定の時間が経過したことであり、第2捨て水処理については、前回の冷却水の吐水から所定の時間が経過したことであってもよい。
【0061】
第2条件は、前回の吐水から所定の時間(例えば12時間)が経過したことであってもよい。詳しくは、第2条件は、第1捨て水処理については、前回の常温水の吐水から所定の時間が経過したことであり、第2捨て水処理については、前回の冷却水の吐水から所定の時間が経過したことであってもよい。
【0062】
ユーザは、第2報知部34の報知にしたがって、捨て水処理の実行を指示すればよい。例えば、第2報知部34が第1捨て水処理の実行が必要であることを報知している場合、操作部32を操作して常温水吐水指示を出力させればよい。また例えば、第2報知部34が第2捨て水処理の実行が必要であることを報知している場合、操作部32を操作して冷水吐水指示を出力させればよい。
【0063】
第2報知制御部106は、捨て水処理の実行が指示されると、第2報知部34による報知を終了してもよい。
【0064】
第2報知制御部106が第1捨て水処理の実行が必要であることを報知している場合において吐止水指示取得部92が「常温水吐水指示」を受け付けると、捨て水制御部102は第1捨て水処理を実行する。詳しくは、捨て水制御部102は、第1捨て水量Q1_drain(L)を決定し、捨て水を開始させる。ユーザは、第1報知部33による報知によって捨て水が終了したことを把握したら、捨て水処理の終了を指示すればよい。詳しくは、操作部32を操作して止水指示を出力させればよい。捨て水制御部102は、吐止水指示取得部92が「止水指示」を受け付けると、第1捨て水処理を終了する。
【0065】
第2報知制御部106が第2捨て水処理の実行が必要であることを報知している場合において吐止水指示取得部92が「冷水吐水指示」を受け付けると、第2捨て水処理を実行する。詳しくは、捨て水制御部102は、第2捨て水量Q2_drain(L)を決定し、捨て水すなわち吐水を開始させる。ユーザは、第1報知部33による報知によって捨て水が終了したことを把握したら、捨て水処理の終了を指示すればよい。詳しくは、操作部32を操作して止水指示を出力させればよい。捨て水制御部102は、吐止水指示取得部92が「止水指示」を受け付けると、第1捨て水処理を終了する。
【0066】
図7を参照して、第2報知部34の一実施例について具体的に説明する。この例の第2報知部34は発光部である。第2報知部34は、2つの発光部34a,34bを含む。2つの発光部34a,34bは、特に限定されないが、吐水管部26と一体に設けられた小さな丸形の発光領域を有する。この例では、発光部34aは第1捨て水処理の要否を報知するための発光部であり、発光部34bは第2捨て水処理の要否を報知するための発光部である。発光部34aおよび発光部34bの配置は逆であってもよい。第1捨て水処理を実行する必要がある場合は発光部34aを点灯し、第2捨て水処理を実行する必要がある場合は発光部34bを点灯すればよい。この場合、ユーザは、第1、第2捨て水処理のいずれを実行すればよいか把握できる。
【0067】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。加えて、本実施の形態によれば、第2報知部34は、第1捨て水処理および第2捨て水処理の実行の要否を個別に報知する。これにより、実行の必要がある捨て水処理だけ実行できる、言い換えると無駄な捨て水処理の実行を避けられる。無駄な捨て水処理の実行を避けられれば、改質カートリッジ48の長寿命化に寄与できる。
【0068】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について説明する。
【0069】
(第1変形例)吐水装置12は、捨て水処理を、自動でも手動でも実行可能に構成されてもよい。この場合、捨て水処理が自動で実行される「自動モード」と捨て水処理が手動で実行する「手動モード」のどちらかのモードをユーザが選択する。制御装置22は、ユーザが選択したモードを記憶する。吐水装置12は、自動モードが選択されている場合、第1の実施の形態のように動作し、手動モードが選択されている場合、第2の実施の形態のように動作する。モードは、情報処理端末により選択可能であってもよい。吐水装置12は、モードを切り替える(選択する)ための操作部を備えてもよい。この操作部は、他の用途の操作部と共有であってもよい。例えば、改質カートリッジ48の交換時期の到来を特定するための改質カートリッジ48の使用時間の積算値をリセットするための操作部と共有であってもよい。
【0070】
(第2変形例)吐水装置12は、ポンプ等により添加液源から供給される添加液を、二次側給水流路38を流れる改質水に添加してもよい。この添加液は、例えば、希釈用飲料原液、食品添加物濃縮液(例えば、アミノ酸、ビタミン、核酸等の濃縮液)、調味液等の飲用に用いられる。この他にも、添加液は、石けん水、化粧水、ボディオイル等の人体に触れる用途で用いられてもよい。この人体に触れる用途には、前述の飲用に用いられる希釈用飲料原液等が含まれる。
【0071】
(第3変形例)吐水装置12の給水ライン20は、冷水流路38bおよび冷水タンク52を備えていなくてもよい。つまり、吐水装置12は、常温の改質水のみを吐水可能であってもよい。また、吐水装置12の給水ライン20は、常温水流路38aを備えていなくてもよい。つまり、吐水装置12は、冷却された改質水のみを吐水可能であってもよい。この場合、冷水タンク52の位置は特に限定されず、一次側給水流路36に設けられてもよい。
【0072】
以上の実施の形態および変形例は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施の形態および変形例の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施の形態および変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施の形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が当然に許容される。
【0073】
(付記)本明細書には以下の技術が開示される。
【0074】
(項目1)
吐水部と、
前記吐水部に給水する給水流路と、
前記給水流路の滞留水の少なくとも一部を排水する捨て水処理の終了時間に関する情報を報知する報知部と、
を備える吐水装置。
【0075】
(項目2)
前記情報は、捨て水処理の残り時間、捨て水処理の所要時間、捨て水処理の終了時刻、捨て水処理における残りの吐水量、捨て水処理における総吐水量のいずれかである項目1に記載の吐水装置。
【0076】
(項目3)
前記情報は、捨て水処理の残り時間であり、
前記報知部は、発光領域における点灯範囲が可変の発光部であり、点灯範囲の大きさによって残り時間を表す項目1または2に記載の吐水装置。
【0077】
(項目4)
前記報知部は、第1報知部であり、
前記給水流路は、第1給水流路と、第1給水流路とは少なくとも部分的に別々の流路である第2給水流路と、を含み、
前記第1給水流路および第2給水流路のそれぞれの捨て水の実行の要否を報知可能な第2報知部をさらに備える項目1から3のいずれかに記載の吐水装置。
【符号の説明】
【0078】
12 吐水装置、 28 吐水部、 33 第1報知部、 34 第2報知部、 36 一次側給水流路、 38 二次側給水流路、 38a 常温水流路、 38b 冷水流路、 66 表示制御部、70 捨て水指示送信部、 78 捨て水設定記憶部、 82 制御部、 86 捨て水設定記憶部、 100 捨て水指示受信部、 102 捨て水制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7