(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094691
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ベルト付コート
(51)【国際特許分類】
A41D 3/02 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
A41D3/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211394
(22)【出願日】2022-12-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り Autumn Winter 2022 Debut Collection Exhibition、令和4年11月18日 OREM 2022 A/W Pre 1st Exhibition、令和4年12月19日
(71)【出願人】
【識別番号】522391305
【氏名又は名称】PENTAKLES株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】茂垣 宣裕
【テーマコード(参考)】
3B031
【Fターム(参考)】
3B031AA13
3B031AC18
(57)【要約】
【課題】 ウエストベルトをウエストで締めないときに該ウエストベルトを美観よく収めることができるベルト付コートを提供する。
【解決手段】 コート本体及びウエストベルトを有するベルト付コートであって、前記ウエストベルトを通すために前記コート本体の後ろ身頃の右側に取り付けられる右ベルトループと、前記ウエストベルトを通すために前記後ろ身頃の左側に取り付けられる左ベルトループと、前記右ベルトループの右側に形成され、前記ウエストベルトを前記コート本体の裏側に挿通するための右ベルトスリットと、前記左ベルトループの左側に形成され、前記ウエストベルトを前記コート本体の裏側に挿通するための左ベルトスリットとを備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コート本体及びウエストベルトを有するベルト付コートであって、
前記ウエストベルトを通すために前記コート本体の後ろ身頃の右側に取り付けられる右ベルトループと、
前記ウエストベルトを通すために前記後ろ身頃の左側に取り付けられる左ベルトループと、
前記右ベルトループの右側に形成され、前記ウエストベルトを前記コート本体の裏側に挿通するための右ベルトスリットと、
前記左ベルトループの左側に形成され、前記ウエストベルトを前記コート本体の裏側に挿通するための左ベルトスリットと、
を備えるベルト付コート。
【請求項2】
前記右ベルトスリットは、前記コート本体の右前身頃の脇部と前記後ろ身頃の右脇部とを接合する右接合部に形成され、
前記左ベルトスリットは、前記コート本体の左前身頃の脇部と前記後ろ身頃の左脇部とを接合する左接合部に形成される請求項1記載のベルト付コート。
【請求項3】
前記ウエストベルトの長手方向右側に形成される右ボタンホールと、
前記ウエストベルトの長手方向左側に形成される左ボタンホールと、
前記後ろ身頃の裏面の前記右ベルトスリットの左側に取り付けられ、前記ウエストベルトを前記右ベルトスリットに挿通した際に前記ウエストベルトの前記右ボタンホールにかけられる裏右ボタンと、
前記後ろ身頃の裏面の前記左ベルトスリットの右側に取り付けられ、前記ウエストベルトを前記左ベルトスリットに挿通した際に前記ウエストベルトの前記左ボタンホールにかけられる裏左ボタンと、
を備える請求項1または請求項2記載のベルト付コート。
【請求項4】
複数の前記右ボタンホール、複数の前記左ボタンホール、前記コート本体の身幅方向に並列する2個の前記裏右ボタン、及び前記コート本体の身幅方向に並列する2個の前記裏左ボタンを備え、
一方の前記裏右ボタンと他方の前記裏右ボタンとの間隔及び一方の前記裏左ボタンと他方の前記裏左ボタンとの間隔は、少なくとも前記ウエストベルトの幅方向の長さを有する請求項3記載のベルト付コート。
【請求項5】
前記ウエストベルトの長手方向右側に形成される右ボタンホールと、
前記ウエストベルトの長手方向左側に形成される左ボタンホールと、
前記後ろ身頃の表面に取り付けられ、前記右ベルトループと前記右ベルトスリットとの間に位置し、前記ウエストベルトの前記右ボタンホールにかけられる表右ボタンと、
前記後ろ身頃の表面に取り付けられ、前記左ベルトループと前記左ベルトスリットとの間に位置し、前記ウエストベルトの前記左ボタンホールにかけられる表左ボタンと、
を備える請求項1記載のベルト付コート。
【請求項6】
前記右ベルトループと前記表右ボタンとの間隔及び前記左ベルトループと前記表左ボタンとの間隔は、少なくとも前記ウエストベルトの幅方向の長さを有する請求項5記載のベルト付コート。
【請求項7】
前記表右ボタンと前記右ベルトスリットとの間隔及び前記表左ボタンと前記左ベルトスリットとの間隔は、少なくとも前記ウエストベルトの幅方向の長さを有する請求項5または請求項6記載のベルト付コート。
【請求項8】
前記右ベルトスリット及び前記左ベルトスリットの長さは、少なくとも前記ウエストベルトの幅方向の長さを有する請求項1、請求項2、請求項5または請求項6に記載のベルト付コート。
【請求項9】
前記右ベルトループ及び前記左ベルトループの太さは、前記ウエストベルトの幅方向の長さ-1cm以上+1cm以下である請求項1、請求項2、請求項5または請求項6に記載のベルト付コート。
【請求項10】
前記ベルト付コートは、トレンチコートである請求項1、請求項2、請求項5または請求項6に記載のベルト付コート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレンチコート等のウエストベルトを備えたベルト付コートに関する。
【背景技術】
【0002】
トレンチコート等のウエストベルトを備えたベルト付コートにおいて、ウエストベルトは、ウエストで締めるとき以外、後ろ身頃に設けられたベルトループに通され背中側で結ばれたり、ベルトループに複数回通され背中側に巻き付けられたり、ベルトループに通されコートの前身頃に設けられた両サイドのポケットにウエストベルトの両端部が収納されている。即ち、ベルト付コートは、ウエストベルトでウエストを締めない場合においてもウエストベルトを取り外さずに着用されることが多い。ここで、ウエストベルトをポケット内に確実に留めることができるように、ウエストベルトの裏側に一方のホック及びポケットの内側に他方のホックを設け、ホック同士を留め合わせることによりウエストベルトをポケット内に固定するベルト付コートが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウエストベルトを背中側で結ぶ、ウエストベルトを背中側に巻き付ける、ウエストベルトの両端部をポケットに差し込む等の仕様は、しばしば見栄えが悪く、美観を損ねることがある。また、トレンチコートの着用者が動いている間に、ウエストベルトの結び目がほどけたり、巻き付けが緩んだり、ウエストベルトの両端部がポケットからはみ出したりすると、更に見栄えが悪くなる。
【0005】
また、特許文献1記載のベルト付コートにおいては、ウエストベルトの一部をポケット内で固定したとしても、固定箇所がウエストベルトの端部近傍の場合、ウエストベルトが背中側で弛み、固定箇所がウエストベルトの中央部寄りの場合、ウエストベルトの端部がポケットからはみ出すことがあり、見栄えが悪くなる。
【0006】
本発明の目的は、ウエストベルトをウエストで締めないときに該ウエストベルトを美観よく収めることができるベルト付コートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のベルト付コートは、コート本体及びウエストベルトを有するベルト付コートであって、前記ウエストベルトを通すために前記コート本体の後ろ身頃の右側に取り付けられる右ベルトループと、前記ウエストベルトを通すために前記後ろ身頃の左側に取り付けられる左ベルトループと、前記右ベルトループの右側に形成され、前記ウエストベルトを前記コート本体の裏側に挿通するための右ベルトスリットと、前記左ベルトループの左側に形成され、前記ウエストベルトを前記コート本体の裏側に挿通するための左ベルトスリットと、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のベルト付コートは、前記右ベルトスリットが前記コート本体の右前身頃の脇部と前記後ろ身頃の右脇部とを接合する右接合部に形成され、前記左ベルトスリットが前記コート本体の左前身頃の脇部と前記後ろ身頃の左脇部とを接合する左接合部に形成されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のベルト付コートは、前記ウエストベルトの長手方向右側に形成される右ボタンホールと、前記ウエストベルトの長手方向左側に形成される左ボタンホールと、前記後ろ身頃の裏面の前記右ベルトスリットの左側に取り付けられ、前記ウエストベルトを前記右ベルトスリットに挿通した際に前記ウエストベルトの前記右ボタンホールにかけられる裏右ボタンと、前記後ろ身頃の裏面の前記左ベルトスリットの右側に取り付けられ、前記ウエストベルトを前記左ベルトスリットに挿通した際に前記ウエストベルトの前記左ボタンホールにかけられる裏左ボタンと、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のベルト付コートは、複数の前記右ボタンホール、複数の前記左ボタンホール、前記コート本体の身幅方向に並列する2個の前記裏右ボタン、及び前記コート本体の身幅方向に並列する2個の前記裏左ボタンを備え、一方の前記裏右ボタンと他方の前記裏右ボタンとの間隔及び一方の前記裏左ボタンと他方の前記裏左ボタンとの間隔は、少なくとも前記ウエストベルトの幅方向の長さを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のベルト付コートは、前記ウエストベルトの長手方向右側に形成される右ボタンホールと、前記ウエストベルトの長手方向左側に形成される左ボタンホールと、前記後ろ身頃の表面に取り付けられ、前記右ベルトループと前記右ベルトスリットとの間に位置し、前記ウエストベルトの前記右ボタンホールにかけられる表右ボタンと、前記後ろ身頃の表面に取り付けられ、前記左ベルトループと前記左ベルトスリットとの間に位置し、前記ウエストベルトの前記左ボタンホールにかけられる表左ボタンと、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のベルト付コートは、前記右ベルトループと前記表右ボタンとの間隔及び前記左ベルトループと前記表左ボタンとの間隔は、少なくとも前記ウエストベルトの幅方向の長さを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のベルト付コートは、前記表右ボタンと前記右ベルトスリットとの間隔及び前記表左ボタンと前記左ベルトスリットとの間隔が少なくとも前記ウエストベルトの幅方向の長さを有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のベルト付コートは、前記右ベルトスリット及び前記左ベルトスリットの長さが少なくとも前記ウエストベルトの幅方向の長さを有することを特徴とする。また、本発明のベルト付コートは、前記右ベルトループ及び前記左ベルトループの太さが前記ウエストベルトの幅方向の長さ-1cm以上+1cm以下であることを特徴とする。また、本発明のベルト付コートは、トレンチコートであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ウエストベルトをウエストで締めないときに該ウエストベルトを美観よく収めることができるベルト付コートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(A)は実施の形態に係るトレンチコートの正面を示す図、(B)はその背面を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る右ベルトループ、表右ボタン及び右ベルトスリットの構成を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る右ベルトループ、表右ボタン及び右ベルトスリットの構成を示す図である。
【
図4】実施の形態に係る裏右ボタン及び右ベルトスリットの構成を示す図である。
【
図5】実施の形態に係る裏右ボタン及び右ベルトスリットの構成を示す図である。
【
図6】実施の形態に係るウエストベルトの構成を示す全体図である。
【
図7】実施の形態に係るウエストベルトのボタンホール部分の拡大図である。
【
図8】実施の形態に係る右ベルトループ、左ベルトループ、表右ボタン及び表左ボタンを用いてウエストベルトの両端部をコート本体の表側に垂下させる際の右ベルトループ及び表右ボタン周辺の状態を示す図である。
【
図9】実施の形態に係る右ベルトループ、左ベルトループ、表右ボタン及び表左ボタンを用いてウエストベルトの両端部をコート本体の表側に垂下させた状態を示す図である。
【
図10】実施の形態に係る右ベルトループ、左ベルトループ、表右ボタン、表左ボタン、右ベルトスリット、左ベルトスリット、2個の裏右ボタン及び2個の裏左ボタンを用いてウエストベルトの両端部をコート本体の裏側に収納した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係るトレンチコートについて説明する。
図1はこの実施の形態に係るトレンチコート2の構成を示す図であって、
図1(A)は正面図、
図1(B)は背面図である。トレンチコート2は、
図1に示すように、コート本体4及びウエストベルト6を有するベルト付コートであって、コート本体4は、襟9、右前身頃10、左前身頃12、右袖14、左袖16、及び後ろ身頃18を備えて構成されている。なお、以下の説明においては、トレンチコート2の左右方向は、トレンチコート2の着用者を基準とし、即ち
図1(A)の紙面左側(
図1(B)の紙面右側)を右、
図1(A)の紙面右側(
図1(B)の紙面左側)を左とし、トレンチコート2の各パーツの位置関係等について説明する。
【0018】
コート本体4の後ろ身頃18には、ウエストベルト6を通すための2つのベルトループ8a,8bがコート本体4の表地に取り付けられている。右ベルトループ8aは後ろ身頃18の右側のウエスト位置に、左ベルトループ8bは後ろ身頃18の左側のウエスト位置に縫い付けられている。
図2及び
図3は右ベルトループ8a周辺の構成を示す図であって、
図2はウエストベルト6を取り付けた状態を示す図、
図3はウエストベルト6を取り外した状態を示す図である。
図2及び
図3に示すように、右ベルトループ8aの右側には表右ボタン22a、表右ボタン22aの右側には右ベルトスリット24aが設けられている。右ベルトループ8a、表右ボタン22a及び右ベルトスリット24aは、身幅方向(左右方向)において略等間隔に並列している。
【0019】
図2に示すように、右ベルトループ8aの左右方向における太さD1は、ウエストベルト6の幅方向における長さL程度を有する。右ベルトループ8aの太さD1は、ウエストベルト6の幅方向における長さL-1cm以上、ウエストベルト6の幅方向における長さL+1cm以下であることが望ましい。
【0020】
表右ボタン22aは、コート本体4の後ろ身頃18の表面(表地)に取り付けられており、ウエストベルト6の右ボタンホール6a(
図7参照)にかけられる。右ベルトループ8aと右ベルトスリット24aとの間に位置する表右ボタン22aは、後ろ身頃18に縫い付けられている。後ろ身頃18の裏面(裏地)の表右ボタン22aが縫い付けられている箇所には、右補強布30a(
図4参照)が縫い付けられている。右ベルトループ8aの右端部と表右ボタン22aの中心との間隔D2は、少なくともウエストベルト6の幅方向における長さL(
図2参照)を有し、ウエストベルト6の幅方向における長さL以上、ウエストベルト6の幅方向における長さL+5mm以下であることが望ましい。
【0021】
右ベルトスリット24aは、右ベルトループ8a及び表右ボタン22aの右側(
図2及び
図3の紙面右側)であって、コート本体4の右前身頃10の脇部10aと後ろ身頃18の右脇部18aとを縫い合わせて接合する右接合部26aに形成されている。右ベルトスリット24aは、
図2に示すように、右ベルトループ8aに通されたウエストベルト6をコート本体4の表側(表地)から裏側(裏地)に挿通させ、ウエストベルト6の右端部7a(
図6参照)をコート本体4の内側に収納するために貫通している。右ベルトスリット24aの長さは、少なくともウエストベルト6の幅方向の長さLを有し、ウエストベルト6の幅方向における長さL以上、ウエストベルト6の幅方向における長さL+1cm以下であることが望ましい。表右ボタン22aの中心と右ベルトスリット24aとの間隔D3は、間隔D2と同一の間隔であることが望ましく、少なくともウエストベルト6の幅方向の長さLを有する。間隔D3は、ウエストベルト6の幅方向における長さL以上、ウエストベルト6の幅方向における長さL+5mm以下であることが望ましい。
【0022】
図4及び
図5はコート本体4の裏地であって右ベルトスリット24a周辺の構成を示す図であって、
図4はウエストベルト6を挿通させていない状態を示す図、
図5はウエストベルト6を挿通させた状態を示す図である。
図4及び
図5に示すように、後ろ身頃18の裏面(裏地)の右ベルトスリット24aの左側には2個の裏右ボタン28a,29aが設けられている。一方の裏右ボタン28a、他方の裏右ボタン29a及び右ベルトスリット24aは、身幅方向(左右方向)において略等間隔に並列している。
【0023】
裏右ボタン28a,29aは、コート本体4の後ろ身頃18の裏面(裏地)に取り付けられており、
図5に示すように、ウエストベルト6を右ベルトスリット24aに挿通した際にウエストベルト6の右ボタンホール6a(
図7参照)にかけられる。裏右ボタン28a,29aは、右ベルトスリット24aから身幅方向(左右方向)に縫い付けられている帯状の右補強布30aの上に縫い付けられている。右補強布30aは、裏右ボタン28a,29a及び背向する後ろ身頃18の表地に縫い付けられている表右ボタン22aのかけ外しを繰り返すことによる生地の傷みを抑制する。
【0024】
図4に示すように、裏右ボタン28aの中心と裏右ボタン29aの中心との間隔D4、及び裏右ボタン29aの中心と右ベルトスリット24aとの間隔D5は、間隔D2(
図3参照)と同一の間隔であることが望ましく、少なくともウエストベルト6の幅方向の長さL(
図2参照)を有する。間隔D4及びD5は、ウエストベルト6の幅方向における長さL以上、ウエストベルト6の幅方向における長さL+5mm以下であることが望ましい。即ち、間隔D2、D3(
図3参照)、D4及びD5は、同一の間隔であることが望ましい。
【0025】
なお、
図1(B)に示す左ベルトループ8bの構成は、後ろ身頃18の身丈方向(上下方向)の中心線を線対称として、右ベルトループ8aの構成と同一である。左ベルトループ8bの身幅方向における太さも、ウエストベルト6の幅方向の長さL(
図2参照)程度を有し、ウエストベルト6の幅方向における長さL-1cm以上、ウエストベルト6の幅方向における長さL+1cm以下であることが望ましい。
【0026】
また、左ベルトループ8bの左側には表左ボタン(図示せず)、表左ボタンの左側には左ベルトスリット24b(
図9(B)参照)が設けられており、表左ボタン及び左ベルトスリット24bの構成は、後ろ身頃18の身丈方向の中心線を線対称として、表右ボタン22a及び右ベルトスリット24aの構成と同一である。即ち、表左ボタンは、後ろ身頃18の表面(表地)に取り付けられ、左ベルトループと左ベルトスリット24bとの間に位置し、ウエストベルト6の左ボタンホール6b(
図7参照)にかけられる。また、左ベルトスリット24bは、ウエストベルト6をコート本体4の表側から裏側に挿通するために設けられ、左ベルトループ及び表左ボタンの左側であって、コート本体4の左前身頃12の脇部と後ろ身頃18の左脇部とを接合する左接合部(図示せず)に形成される。左ベルトループと表左ボタンとの間隔、表左ボタンと左ベルトスリット24bとの間隔、及び左ベルトスリット24bの長さは、少なくともウエストベルト6の幅方向の長さL(
図2参照)を有し、ウエストベルト6の幅方向における長さL以上、ウエストベルト6の幅方向における長さL+1cm以下であることが望ましい。
【0027】
また、後ろ身頃18の裏面(裏地)の左ベルトスリット24bの右側には2個の裏左ボタン(図示せず)が取り付けられている。2個の裏左ボタンは、帯状の左補強布(図示せず)の上に縫い付けられている。2個の裏左ボタンの構成及び左補強布の構成は、後ろ身頃18の身丈方向の中心線を線対称として、2個の裏右ボタン28a,29aの構成及び右補強布30aの構成と同一である。即ち、2個の裏左ボタンは、ウエストベルト6を左ベルトスリット24bに挿通した際にウエストベルト6の左ボタンホール6b(
図7参照)にかけられる。また、2個の裏左ボタンはコート本体4の身幅方向に並列し、一方の裏左ボタンと他方の裏左ボタンとの間隔は少なくともウエストベルト6の幅方向の長さL(
図2参照)を有し、ウエストベルト6の幅方向における長さL以上、ウエストベルト6の幅方向における長さL+5mm以下であることが望ましい。
【0028】
次に、トレンチコート2のウエストベルト6の構成について説明する。
図6及び
図7はウエストベルト6の構成を示す図であって、
図6はその全体図、
図7はボタンホール部分の拡大図である。ウエストベルト6は、右ベルトスリット24aに挿通されることによりコート本体4の内側に収納される一方の端部(以下、右端部という。)7a、及び左ベルトスリット24bに挿通されることによりコート本体4の内側に収納される他方の端部(以下、左端部という。)7bを有する。ウエストベルト6の左端部7bの先端部には、2つのDリング32が取り付けられている。ウエストベルト6の長手方向右側、即ちウエストベルト6の中央と右端部7aの先端部との間には、複数(この実施の形態では5個)の右ボタンホール6aが形成されている。隣り合う右ボタンホール6aの鳩目と鳩目との間隔D6は、間隔D2、D3(
図3参照)、D4及びD5(
図4参照)と同一の間隔であることが望ましく、少なくともウエストベルト6の幅方向の長さL(
図2参照)を有する。間隔D6は、ウエストベルト6の幅方向における長さL以上、ウエストベルト6の幅方向における長さL+5mm以下であることが望ましい。また、ウエストベルト6の長手方向左側、即ちウエストベルト6の中央と左端部7bの先端部との間には、複数(この実施の形態では6個)の左ボタンホール6bが形成されている。隣り合う左ボタンホール6bの鳩目と鳩目との間隔D7は、左ベルトループ8bと表左ボタンとの間隔、表左ボタンと左ベルトスリット24bとの間隔、2つの裏左ボタンの間隔及び裏左ボタンと左ベルトスリット24bとの間隔と同一の間隔であることが望ましく、少なくともウエストベルト6の幅方向の長さL(
図2参照)を有する。間隔D7は、ウエストベルト6の幅方向における長さL以上、ウエストベルト6の幅方向における長さL+5mm以下であることが望ましい。
【0029】
次に、この実施の形態に係るトレンチコート2を着用した際のウエストベルト6の取り扱いについて説明する。
図8は、右ベルトループ8a、左ベルトループ8b、表右ボタン22a及び表左ボタン(図示せず)を用いて、ウエストベルト6の両端部(右端部7a及び左端部7b)をコート本体4の表側(外側)に垂下させた際の右ベルトループ8a及び表右ボタン22a周辺の状態を示す図である。
図9は、右ベルトループ8a、左ベルトループ8b、表右ボタン22a及び表左ボタンを用いて、ウエストベルト6の両端部をコート本体4の表側に垂下させた状態を示す図であって、
図9(A)は背面から見た図、
図9(B)は左側から見た図である。
【0030】
ウエストベルト6は右ベルトループ8a及び左ベルトループ8bに通し、ウエストベルト6の右ボタンホール6aの何れか(この実施の形態ではウエストベルト6の最も左側の右ボタンホール6a)に表右ボタン22aをかけて、
図8に示すように、ウエストベルト6の右端部7aを上方に折返し、右ベルトループ8aと表右ボタン22aとの間に位置するウエストベルト6と後ろ身頃18との間にウエストベルト6を通し、ウエストベルト6の右端部7aを下方に垂らす(
図9(A)参照)。同様に、ウエストベルト6の左ボタンホール6bの何れか(この実施の形態ではウエストベルト6の最も右側の左ボタンホール6b)に表左ボタンをかけて、ウエストベルト6の左端部7bを上方に折返し、左ベルトループ8bと表左ボタンとの間に位置するウエストベルト6と後ろ身頃18との間にウエストベルト6を通し、ウエストベルト6の左端部7bを下方に垂らす(
図9(A)及び(B)参照)。
【0031】
この場合、ウエストベルト6は、表右ボタン22a及び表左ボタンにより点で固定され且つ幅広の右ベルトループ8a及び左ベルトループ8bにより面で押さえられているため、コート本体4に対して身幅方向に動くことなく、ベルトループ8a,8b間に形成される後ろ身頃18のドレープ(ひだ)の美観を維持することができる(
図9(A)参照)。また、ウエストベルト6の異なる右ボタンホール6a及び異なる左ボタンホール6bに表右ボタン22a及び表左ボタンをかけることにより、右ベルトループ8a及び左ベルトループ8b間のウエストベルト6の締める量及び緩める量を調整することができる。また、ウエストベルト6の異なる右ボタンホール6a及び異なる左ボタンホール6bに表右ボタン22a及び表左ボタンをかけることにより、後ろ身頃18のドレープの形状を変えることができる。また、ウエストベルト6の右端部7aを上方に折返し且つ右ベルトループ8a及び表右ボタン22a間に、ウエストベルト6の左端部7bを上方に折返し且つ左ベルトループ8b及び表左ボタン間に通して垂下させているため、ウエストベルト6の右端部7a及び左端部7bがねじれることなく鉛直下向きに垂れ且つねじれ辛く、着用者が歩行した際、美観良く揺れる。
【0032】
図10は、右ベルトループ8a、左ベルトループ8b、表右ボタン22a、表左ボタン(図示せず)、右ベルトスリット24a、左ベルトスリット24b、裏右ボタン28a,29a及び2個の裏左ボタン(図示せず)を用いて、ウエストベルト6の両端部(右端部7a及び左端部7b)をコート本体4の裏側(内側)に収納させた状態を示す図であって、
図10(A)は左側から見た図、
図10(B)は裏側から見た図である。
【0033】
まず、ウエストベルト6は右ベルトループ8a及び左ベルトループ8bに通し、ウエストベルト6の右ボタンホール6aの何れか(この実施の形態ではウエストベルト6の最も左側の右ボタンホール6a)に表右ボタン22aをかける。更に、ウエストベルト6の右端部7aを右ベルトスリット24aに通し、コート本体4の裏側に収納し、
図5に示すように、ウエストベルト6の2つの右ボタンホール6a(この実施の形態ではウエストベルト6の左側から3番目及び4番目の右ボタンホール6a)に裏右ボタン28a,29aをかける。そして、ウエストベルト6の右端部7aを上方に折返し、裏右ボタン28aと裏右ボタン29aとの間に位置するウエストベルト6と後ろ身頃18との間にウエストベルト6を通し、ウエストベルト6の右端部7aを下方に垂らす(
図10(B)参照)。
【0034】
同様に、ウエストベルト6の左ボタンホール6bの何れか(この実施の形態ではウエストベルト6の最も右側の左ボタンホール6b)に表左ボタンをかけて、ウエストベルト6の左端部7bを左ベルトスリット24bに通し、コート本体4の裏側に収納する。更に、ウエストベルト6の2つの左ボタンホール6b(この実施の形態ではウエストベルト6の右側から3番目及び4番目の左ボタンホール6b)に2個の裏左ボタンをかける。そして、ウエストベルト6の左端部7bを上方に折返し、一方の裏左ボタンと他方の裏左ボタンとの間に位置するウエストベルト6と後ろ身頃18との間にウエストベルト6を通し、ウエストベルト6の左端部7bを下方に垂らす。
【0035】
この場合、ウエストベルト6の右端部7aを上方に折返し且つ裏右ボタン28a,29a間に、ウエストベルト6の左端部7bを上方に折返し且つ2つの裏左ボタン間に通して垂下させているため、ウエストベルト6の右端部7a及び左端部7bがねじれることなく鉛直下向きに垂れ且つねじれ辛く、着用者が歩行した際、着用者の脚にまとわりつくことなく、着用者の歩行を妨げない。また、ウエストベルト6の右端部7aを右ウエストスリット24aに通し、且つ裏右ボタン28a,29aで固定し、ウエストベルト6の左端部7bを左ウエストスリット24bに通し、且つ2つの裏左ボタンで固定するため、着用者が歩行しているときもウエストベルト6の右端部7a及び左端部7bがコート本体4の外側にはみ出すことなく、美観を維持することができる。
【0036】
この実施の形態に係るトレンチコート2によれば、右ベルトループ8a、左ベルトループ8b、表右ボタン22a、表左ボタン、右ベルトスリット24a、左ベルトスリット24b、裏右ボタン28a,29a、2個の裏左ボタン、右ボタンホール6a及び左ボタンホール6bを備えているため、ウエストベルト6をウエストで締めないときにウエストベルト6を美観よく収めることができる。
【0037】
なお、この実施の形態においては、右ベルトスリット24a及び左ベルトスリット24bが前身頃及び後ろ身頃の脇部の接合部に形成されている場合を例に挙げて説明したが、接合部以外の箇所に形成されていてもよい。例えば、右ベルトスリット24aを右ベルトループ8aに対応する右前身頃10の位置の右側に、左ベルトスリット24bを左ベルトループ8bに対応する左前身頃12の位置の左側に形成してもよい。または、右ベルトスリット24aを後ろ身頃18の着用者から見て右ベルトループ8aの右側に、左ベルトスリット24bを後ろ身頃18の着用者から見て左ベルトループ8bの左側に形成してもよい。この場合には、ボタンホールステッチや玉縁縫いで右ベルトスリット24a及び左ベルトスリット24bを形成することができる。
【0038】
また、この実施の形態においては、ウエストベルト6の一部をコート本体4のウエスト位置に固定する固定部材として表右ボタン22a、表左ボタン、裏右ボタン28a,29a、裏左ボタン、右ボタンホール6a及び左ボタンホール6bを備えているが、これらに代えて、スナップボタンを設けてもよい。即ち、表右ボタン22a、表左ボタン、裏右ボタン28a,29a、裏左ボタンに代えて一方のスナップボタンを取り付け、右ボタンホール6a及び左ボタンホール6bに代えて対応する他方のスナップボタンを取り付けてもよい。または、表右ボタン22a、表左ボタン、裏右ボタン28a,29a、裏左ボタンに代えて、固定部材としてのベルトループ(ベルト通し)またはベルトバックルを取り付けてもよい(この場合、ウエストベルト6には何も設ける必要ない)。
【0039】
また、この実施の形態に係る裏右ボタン28a,29aに代えて、右前身頃10の内側(裏面)に右ポケットを設け、右ベルトスリット24aを通したウエストベルト6を右ポケット内に収納するようにしてもよい。同様に、この実施の形態に係る2つの裏左ボタンに代えて、左前身頃12の内側(裏面)に左ポケットを設け、左ベルトスリット24bを通したウエストベルト6を左ポケット内に収納するようにしてもよい。
【0040】
また、この実施の形態においては、ベルト付コートとしてトレンチコート2を例に挙げて説明したが、トレンチコート以外のベルト付コートであっても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
2…トレンチコート、4…コート本体、6…ウエストベルト、6a…右ボタンホール、6b…左ボタンホール、7a…ウエストベルトの右端部、7b…ウエストベルトの左端部、8a…右ベルトループ、8b…左ベルトループ、9…襟、10…右前身頃、10a…右前身頃の脇部、12…左前身頃、14…右袖、16…左袖、18…後ろ身頃、18a…後ろ身頃の右脇部、22a…表右ボタン、24a…右ベルトスリット、24b…左ベルトスリット、26a…右接合部、28a,29a…裏右ボタン、30a…右補強布、32…Dリング。