IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-電子機器 図1
  • 特開-電子機器 図2
  • 特開-電子機器 図3
  • 特開-電子機器 図4
  • 特開-電子機器 図5
  • 特開-電子機器 図6
  • 特開-電子機器 図7
  • 特開-電子機器 図8
  • 特開-電子機器 図9
  • 特開-電子機器 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094692
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20240703BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240703BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G06F1/16 312F
G09F9/00 350
G06F1/16 312E
G06F1/16 312Z
H04M1/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211396
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋倉 誠
【テーマコード(参考)】
5G435
5K023
【Fターム(参考)】
5G435AA07
5G435BB05
5G435EE02
5G435GG43
5G435LL04
5G435LL07
5G435LL08
5K023AA07
5K023BB03
5K023DD08
5K023HH06
5K023LL06
5K023RR08
(57)【要約】
【課題】軽量であって且つ背面カバーに対するディスプレイの追従性がよい電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、可撓性のある矩形のディスプレイ18と、ディスプレイ18の表示面とは反対側面を覆う背面カバー22とを有する。ディスプレイ18は、平行する2辺に沿って少なくとも矩形の四隅の近傍部でスポンジ46a,46b,46f,46iによって背面カバー22に対して支持されるとともに、2辺の間の領域で背面カバー22に対して粘着テープ45a,45bによって固定されている。ディスプレイ18は、2辺に直交する他の2辺に沿って粘着テープ44a,44bにより背面カバー22に固定されている。ディスプレイ18は、背面カバー22に対してスポンジ48a,48bを介して粘着テープ45a,45bによって固定されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のある矩形のディスプレイと、
前記ディスプレイの表示面とは反対側面を覆う背面カバーと、
を有する電子機器であって、
前記ディスプレイは、平行する2辺に沿って少なくとも矩形の四隅の近傍部でクッション材によって前記背面カバーに対して支持されるとともに、前記2辺の間の領域で前記背面カバーに対して第1粘着材によって固定されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第1粘着材は長尺形状であって、前記2辺に直交する向きに複数本が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ディスプレイは、前記2辺に直交する他の2辺に沿って第2粘着材により前記背面カバーに固定されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ディスプレイは、前記背面カバーに対してクッション材を介して前記第1粘着材によって固定されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ディスプレイおよび前記背面カバーによって形成されるディスプレイ筐体と、
前記ディスプレイ筐体に対してヒンジを介して回動可能に連結される本体筐体と、
を有し、
前記2辺は前記ディスプレイ筐体における前記本体筐体と連結される縁を形成する辺とそれに対向する辺である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1に記載の電子機器において、
前記背面カバーは、前記表示面とは反対側に向かって凸の曲面状である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ディスプレイにはフイルム型のタッチセンサが設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性のあるディスプレイと、該ディスプレイの表示面とは反対側面を覆う背面カバーとを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCなどの電子機器におけるディスプレイ筐体は、ディスプレイと、該ディスプレイの表示面とは反対側を覆う背面カバーとを有している。ディスプレイと背面カバーとの間にはわずかながら隙間があって、ディスプレイは背面カバーに対して複数のポストで支持されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、近時のディスプレイにはOLED(Organic Light-Emitting Diode)が用いられることがある。OLEDは薄型であってそれ自身では十分な強度を維持することが困難であり、強化ガラス板(トップガラスまたはカバーウィンドウとも呼ばれる)が張り付けられることによって補強されている。強化ガラス板はOLEDだけでなく背面カバーの反りも矯正可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-196170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子機器にはさらなる軽量化の要請がある。強化ガラス板は強度を向上させることはできるが軽量化の要請に反し、重量増の要因となっている。仮に強化ガラス板を省略すると外力等によって背面カバーが多少反ることもあり得るが、ユーザに違和感を与えないためにはOLEDが背面カバーの反りに追従することが望ましい。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、軽量であって且つ背面カバーに対するディスプレイの追従性がよい電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の態様に係る電子機器は、可撓性のある矩形のディスプレイと、前記ディスプレイの表示面とは反対側面を覆う背面カバーと、を有する電子機器であって、前記ディスプレイは、平行する2辺に沿って少なくとも矩形の四隅の近傍部でクッション材によって前記背面カバーに対して支持されるとともに、前記2辺の間の領域で前記背面カバーに対して第1粘着材によって固定されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様に係る電子機器は、軽量であって且つ背面カバーに対するディスプレイの追従性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器の斜視図である。
図2図2は、ディスプレイ筐体を閉じた状態の電子機器の側面図である。
図3図3は、ディスプレイ筐体を閉じた状態の電子機器の正面図である。
図4図4は、ディスプレイ筐体の正面図である。
図5図5は、ディスプレイ、前面枠を取り外した状態のディスプレイ筐体14の正面図である。
図6図6は、図4におけるVI~VI線視による模式断面図である。
図7図7は、図4におけるVII~VII線視による模式断面図である。
図8図8は、図6に示すディスプレイ筐体が歪んだ状態を示す模式断面図である。
図9図9は、図7に示すディスプレイ筐体が歪んだ状態を示す模式断面図である。
図10図10は、電子機器10においてディスプレイ筐体が歪められた状態を示す模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。本発明に係る電子機器は以下に例示するノート型PC以外、例えば単体のディスプレイ装置、タブレット型PC、携帯電話、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器10の斜視図である。図1は、ヒンジ12によってディスプレイ筐体14を本体筐体16から開いた状態を示している。
【0012】
図1に示すように、電子機器10は、ディスプレイ筐体14の下端部である連結縁14aと本体筐体16の後端部である連結縁16aとを左右一対のヒンジ12,12によって回動可能に連結した構成である。本体筐体16は、薄い矩形状の箱体である。本体筐体16の上面には、キーボード26及びタッチパッド28が設けられている。本体筐体16の下面は下面カバー30で覆われている。
【0013】
以下、ディスプレイ筐体14およびその構成要素に関する説明では、連結縁14aを指向する側を下側とし、その反対側を上側とし、ディスプレイ18の表示面が指向する側を前側、その反対側を後側とする。左右については操作者から見る状態を基準とする。左右方向については横方向とも呼ぶ各図においてこれらの方向を適宜矢印で示す。また、ディスプレイ筐体14における上側で連結縁14aと平行する部分を上縁14bとする。連結縁14aおよび上縁14b直交する左右の2辺のうち右側を側縁14c、左側を側縁14dとする。
【0014】
図2は、ディスプレイ筐体14を閉じた状態の電子機器10の側面図である。図3は、ディスプレイ筐体14を閉じた状態の電子機器の正面図である。
【0015】
図2図3に示すように、ディスプレイ筐体14は、上下方向より左右方向がやや長い薄い矩形状の箱体である。ディスプレイ18は、ディスプレイ筐体14の前面に設けられている。ディスプレイ筐体14は、ヒンジ12を通過したケーブルにより本体筐体16と電気的に接続されている。
【0016】
ディスプレイ18は矩形で薄く可撓性のあるものであって、例えば有機EL(OLED)で構成される。ディスプレイ18にはフイルム型のタッチセンサ19が貼られている。タッチセンサ19は例えばAOFT(Add On Film Touch)である。従来のタッチセンサ―はガラスの層にメッシュ状の金属が仕込まれている構成であるのに対し、AOFTはフイルムが仕込まれており、クリアファイルに似た柔軟性と手触り感がある。タッチセンサ19は軽量であるが薄くて可撓性があり、背面カバー22の反りを矯正する強度はない。仕様によりタッチセンサ19は省略してもよい。
【0017】
ディスプレイ筐体14はさらに、ディスプレイ18の前面側周囲を囲う前面枠20と、ディスプレイ18の後面(表示面とは反対側の面)を覆う背面カバー22と、ディスプレイ18と背面カバー22との間に設けられてディスプレイ18の制御を行うディスプレイコントローラ24と、複数の電子デバイス25とを有する。電子デバイス25はディスプレイ筐体14における上縁14bの略中央部に設けられている。電子デバイス25はカメラ、マイク、赤外線機器などである。前面枠20には電子デバイス25と対面する箇所に孔が形成されている。
【0018】
ディスプレイコントローラ24は、ディスプレイ18に関して少なくともその一部の制御を行う部品である。ディスプレイコントローラ24は、例えばディスプレイ18の表示を行うためのタイミングコントローラである。表示制御に必要なグラフィックス機能部や表示メモリ等は本体筐体16のメインボードに備えられていてもよいし、ディスプレイコントローラ24に備えられていてもよい。タッチセンサ19が設けられている場合には、ディスプレイコントローラ24の近傍に該タッチセンサ19のコントローラを並設してもよい。ディスプレイコントローラ24は薄くて左右方向に長い。
【0019】
背面カバー22は、ディスプレイ18との間にディスプレイコントローラ24を配置するために後方に向かってわずかに凸の湾曲形状となっている。すなわち、側面視(図2参照)では、背面カバー22の高さはディスプレイコントローラ24が収納されている箇所である頂部22aが最も高く形成され、前方に向かって低くなる傾斜面22bが形成され、さらに後方に向かって低くなる傾斜面22cが形成されている。また正面視(図3参照)では、背面カバー22の高さは、頂部22aが最も高くかつ平坦となっており、左右に向かって低くなる傾斜面22eを形成している。ディスプレイコントローラ24は適度に薄い部品であり、各傾斜面22b~22eは緩やかな傾斜である。各傾斜面22b~22eは連続した曲面を形成している。このように、背面カバー22は、頂部22aが最も高い略ドーム形状であり表示面とは反対の後側に向かって凸の曲面状となっている。ただし、仕様により背面カバー22は平板状のものであってもよい。
【0020】
図5は、ディスプレイ18、前面枠20、およびディスプレイコントローラ24を取り外した状態のディスプレイ筐体14の正面図である。
【0021】
背面カバー22は、ディスプレイ18の後面の略全面を覆うメインプレート36と、該メインプレート36の周囲に設けられた射出成型樹脂枠38とを有している。上記のとおり背面カバー22は湾曲形状となっているが、この湾曲形状は主にメインプレート36の部分である。メインプレート36は、例えばCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)で形成されている。射出成型樹脂枠38は、例えばGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)で形成されている。射出成型樹脂枠38は、メインプレート36とインサート成型されて一体化されている。
【0022】
図4は、ディスプレイ筐体14の正面図である。図5は、ディスプレイ18、前面枠20を取り外した状態のディスプレイ筐体14の正面図である。図6は、図4におけるVI~VI線視による模式断面図である。図7は、図4におけるVII~VII線視による模式断面図である。
【0023】
ディスプレイ筐体14の背面カバー22には、側縁14c,14dに沿って延在する一対の補強板39a,39bが設けられている。補強板39a,39bは後面が背面カバー22の平坦面に粘着テープで固定される。補強板39aは右側、補強板39bは左側に配置されており、両者は左右対称形状である。補強板39a,39bは、例えば金属板やカーボンプレートであって適度な強度を有する。補強板39a,39bは適度に薄くて軽量である。補強板39a,39bは側縁14c,14dに沿って上縁14bの近傍まで延在しており、下方から上方に向かって次第に幅が狭くなっている。補強板39a,39bの下端部には内向きに突出する連結座39aa,39baが設けられており、該連結座3939aa,39baがヒンジ12に対してビス止めされる。
【0024】
ディスプレイ筐体14の背面カバー22には、フレキシブル基板40,41a,41bが設けられている。フレキシブル基板40,41a,41bは本体筐体16とディスプレイ筐体14とに亘って設けられている。フレキシブル基板40は背面カバー22を上下方向に縦断しており、本体筐体16のメインボードと電子デバイス25とを接続している。本実施の形態では、フレキシブル基板40は左右中央と側縁14cとの略中間に配置されている。フレキシブル基板41a,41bは略対称位置に設けられおり、それぞれ本体筐体16のメインボードとディスプレイコントローラ24とを接続している。
【0025】
次に、背面カバー22に対するディスプレイ18の固定および支持の構造について説明うる。ディスプレイ18は背面カバー22に対して左右両端の2本の粘着テープ(第2粘着材)44a,44bおよび中央の2本の粘着テープ(第1粘着材)45a,45bで固定され、さらにスポンジ(クッション材)46a,46b,46c,46d,46e,46f,46g,46h,46iによって支持されている。これらの粘着テープおよびスポンジはそれぞれ長尺素材から所要長さを切り出して用いられる。図5では、識別が容易となるように粘着テープ44a,44b,45a,45bを濃いドット地で示し、スポンジ46a~46i,48a,48bを薄いドット地で示している。
【0026】
粘着テープ44aは補強板39aの上下方向ほぼ全長に亘って表面に貼られており、ディスプレイ18の右縁裏面を固定している。粘着テープ44bは補強板39bの上下方向ほぼ全長に亘って表面に貼られており、ディスプレイ18の左縁裏面を固定している。換言すれば、ディスプレイ18は、側縁14c,14dに沿って粘着テープ44a,44bにより背面カバー22に固定されている。粘着テープ44a,44bは、例えばストレッチリリーステープであり、伸ばさない状態では高い接着力を備えながら、伸ばすと接着力が低下して引張剥離可能となる特性がある。粘着テープ44a,44bは下端部から引き抜くことでディスプレイ18の左右縁が背面カバー22に対する固定から解放される。
【0027】
電子機器10では長い左右の粘着テープ44a,44bがディスプレイ18の両端に対して適度な強度で固定しているが、さらに粘着テープ45a,45bで固定している。固定強度の仕様が満たされれば、粘着テープ44a,44bは省略してもよい。粘着テープ44a,44bを省略する場合には代わりにスポンジなどを設けてもよい。
【0028】
背面カバー22には、連結縁14aと上縁14bとの間の領域で、かつ側縁14c,14dからやや離間した位置に長尺なスポンジ48a,48bが上下方向に沿って設けられている。スポンジ48aが右側、スポンジ48bが左側とする。スポンジ48a,48bは、長さが背面カバー22の上下方向長さの略半分程度であり、連結縁14aおよび上縁14bに対して同じ程度の距離だけ離れており、ディスプレイコントローラ24およびフレキシブル基板40とは重ならない位置にある。スポンジ48aはフレキシブル基板40のすぐ右側に隣接している。スポンジ48bはスポンジ48aに対して左右対称位置にある。
【0029】
粘着テープ45aはスポンジ48aの上下方向ほぼ全長に亘って表面に貼られており、ディスプレイ18におけるやや右寄り箇所の裏面を固定している。粘着テープ45bはスポンジ48bの上下方向ほぼ全長に亘って表面に貼られており、ディスプレイ18におけるやや左寄り箇所の裏面を固定している。粘着テープ45aと粘着テープ45bとは適度に離れており、この間に放熱のためのグラファイトシート47が設けられている。粘着テープ45a,45bの幅はスポンジ48a,48bと同じかやや狭い程度である。このように本実施の形態では、左右両端の長い粘着テープ44a,43bの間の中央領域で、やや短い2本の粘着テープ45a,45bが上下方向に延在するように設けられてディスプレイ18を固定している。粘着テープ45a,45bは、粘着テープ44a,44bと同様のストレッチリリーステープとしてもよい。
【0030】
設計条件により、中央領域に設けられる粘着テープは2本に限らず、1本または3本以上でもよい。中央領域に設ける粘着テープは本数により長さを変えてディスプレイ18を固定する粘着力を調整してもよい。粘着テープ45a,45bはフレキシブル基板40との干渉を回避するためには上下方向に沿って設けることが望ましいが、設計条件によっては横向きにしてもよい。
【0031】
スポンジ46a~46eは連結縁14aに沿って設けられ、スポンジ46f~46iは上縁14bに沿って設けられており、それぞれ僅かに弾性圧縮された状態でディスプレイ18の裏面を支持している。スポンジ46a~46hは概ね同じ長さで比較的短いのに対してスポンジ46iは比較的長く、これらの長さ比は本実施例で1:10程度となっている。
【0032】
スポンジ46aは背面カバー22における下端で粘着テープ44aのすぐ左側に上下方向に沿って設けられている。スポンジ46bは背面カバー22における下端で粘着テープ44bのすぐ右側に上下方向に沿って設けられている。スポンジ46a,46bは補強板39a,39bに設けられている。スポンジ46cはスポンジ46aのすぐ左側で横向きに設けられている。スポンジ46dはスポンジ46aすぐ右側で横向きに設けられている。スポンジ46a,46cとスポンジ46b,46dとは左右対称に配置されている。スポンジ46eはスポンジ46cとスポンジ46dとの中間位置に設けられている。スポンジ46cとスポンジ46eとの間にはフレキシブル基板40,41aが通っている。スポンジ46dとスポンジ46eとの間にはフレキシブル基板41bが通っている。このようにスポンジ46cとスポンジ46eとの間、およびスポンジ46dとスポンジ46eとの間は適度に離れており、フレキシブル基板40,41a,41bやその他の構成要素を配置可能になっている。
【0033】
スポンジ46fは上縁14bの右端近傍に横向きに設けられている。スポンジ46gはスポンジ46fのやや左側に横向きに設けられている。スポンジ46hはスポンジ46gのやや左側に横向きに設けられている。スポンジ46hとスポンジ46gとの間にはフレキシブル基板40が通っている。スポンジ46f~46iは上縁14bに沿う背面カバー22の右半分にあってほぼ等間隔に設けられている。スポンジ46gは上縁14bに沿う背面カバー22の略左半分を占めている。
【0034】
このようにスポンジ46a~46iは連結縁14aおよび上縁14bに沿って、他の構成要素のレイアウトを考慮しながら適度に分散配置されている。また、背面カバー22の4つの隅部14eの近傍にはスポンジ46a,46b,46f,46iがあり、それぞれディスプレイ18の隅部を裏面から支持する。
【0035】
図8は、図6に示すディスプレイ筐体14が歪んだ状態を示す模式断面図である。図9は、図7に示すディスプレイ筐体14が歪んだ状態を示す模式断面図である。図10は、電子機器10においてディスプレイ筐体14が歪められた状態を示す模式斜視図である。
【0036】
上記のように構成される電子機器10のディスプレイ筐体14にはガラス板が設けられていないことから軽量かつ薄型となっているが、外力または製造誤差などにより多少の撓みが生じ得る。特に、背面カバー22が上記のようにCFRPを含んでいると製造工程で多少の反りが生じる場合もある。図8に示すように背面カバー22が後方に凸となるように撓んだ場合に、ディスプレイ18の中央部分は粘着テープ45a,45bによって背面カバー22と固定されていることから、矢印A1のように引き寄せられて後方に凸となるように追従し、仮想線で示すように前方に凸となることがないためユーザに違和感を与えることがない。また、ディスプレイ18および背面カバー22は同方向に撓むことから相対的な角度変化がなく、両者の間に亘って設けられいる前面枠20が剥がれてしまうことがない。ディスプレイ18はガラス板が設けられてなく薄く軽量であり、前面枠20は該ディスプレイ18を保持するための強度が実質的に不要であって薄くかつ幅狭にすることができ、ディスプレイ18の四周を覆うだけの意匠的なものとしてよい。
【0037】
背面カバー22とディスプレイ18とはやや離間しており、ディスプレイ筐体14が歪んだ場合には両者の曲率の違いなどから場所により隙間幅の変化の程度が異なる。特に、背面カバー22は後方に凸の湾曲面を形成していることからディスプレイ18との隙間幅の変化程度は比較的大きくなる場合がある。これに対して電子機器10では、背面カバー22とディスプレイ18とはスポンジ48a,48bを介して固定されていることから、場所による隙間幅の変化の違いを好適に吸収することができる。これはスポンジ48a,48bがディスプレイ筐体14の厚み方向に弾性変形が可能であることに基づく。
【0038】
中央領域の粘着テープ45a,45bは両端の粘着テープ44a,44bより短く、しかもスポンジ48a,48bを介して背面カバー22に固定されいてることから、ディスプレイ18と背面カバー22とは面方向のずれが多少許容される。これはスポンジ48a,48bがディスプレイ筐体14の面方向に沿った弾性変形および剪断変形が可能であることに基づく。
【0039】
また、電子機器10のディスプレイ18は連結縁14aおよび上縁14bに沿ってスポンジ46a~46iによって後方から支持されており、図8の矢印A2で示すように背面カバー22から前方に適度に押し出され、該背面カバー22と適度な間隔が維持されて追従性がよい。特に、ディスプレイ18と背面カバー22との相対的な位置関係は4つの隅部14eにおいてほぼ決定されるが、これらの近傍にはスポンジ46a,46b,46f,46iがあって両者間をほぼ一定間隔に保つことができ、ユーザに違和感を与えることがない。つまり、スポンジ46a~46iは、他の構成要素とのレイアウトの関係から連結縁14aおよび上縁14bのほぼ全長に亘って設けることは困難である場合もあることから、少なくとも矩形の四つの隅部14eの近傍部に設けるとよい。
【0040】
ディスプレイ18は連結縁14aおよび上縁14bに沿ってスポンジ46a~46iによって後方から支持されているが、これらの支持部はディスプレイ18とは非固定であって背面カバー22に対して面方向のずれが許容される。ディスプレイ筐体14が撓む場合に、ディスプレイ18と背面カバー22とは特に四周部分で相互に面方向のずれ量が大きくなると想定されるが、少なくとも連結縁14aおよび上縁14bに沿う箇所が非固定で支持されて面方向のずれが許容されるようになっている。
【0041】
このように、電子機器10ではスポンジ46a~46i,48a,48bの作用によりディスプレイ18と背面カバー22との相互間の位置ずれが適度に許容されるように構成されていることからディスプレイ18に無理な力が加わることなく、皺や局所的な歪みが生じることがなく、ユーザに見かけ上の違和感を与えることがない。これらのスポンジはゴムなど弾性および柔軟性を有する他のクッション材としてもよい。
【0042】
図9に示すように、ディスプレイ筐体14が左右方向に沿って後方に凸状に撓んだ場合にも、ディスプレイ18の中央部分は粘着テープ45a,45bによって背面カバー22と固定されていることから、矢印A3のように引き寄せられて後方に凸となるように追従し、仮想線で示すように前方に凸となることがないためユーザに違和感を与えることがない。
【0043】
また、図10に示すように、電子機器10のディスプレイ筐体14は本体筐体16と連結されている連結縁14aを基準として上方部の上縁14bが最も歪むことが想定され、該上縁14bに沿った部分でのずれを許容するためにスポンジ46f~46iを設けることが望ましい。さらに、機構的なバランスから上縁14bと対向する連結縁14aにスポンジ46a~46eを設けることが望ましい。
【0044】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
10 電子機器
12 ヒンジ
14 ディスプレイ筐体
14a 連結縁
14b 上縁
14c,14d 側縁
14e 隅部
16 本体筐体
18 ディスプレイ
19 タッチセンサ
20 前面枠
22 背面カバー
24 ディスプレイコントローラ
25 電子デバイス
40,41a,41b フレキシブル基板
44a,44b,45a,45b 粘着テープ(粘着材)
46a,46b,46c,46d,46e,46f,46g,46h,46i,48a,48b スポンジ(クッション材)
47 グラファイトシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のある矩形のディスプレイと、
前記ディスプレイの表示面とは反対側面を覆い該反対側に向かって凸の曲面状である背面カバーと、
を有する電子機器であって、
前記ディスプレイは、平行する2辺に沿って少なくとも矩形の四隅の近傍部でクッション材によって前記背面カバーに対して支持されるとともに、前記2辺の間の領域で前記背面カバーに対してクッション材を介して第1粘着材によって固定されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第1粘着材は長尺形状であって、前記2辺に直交する向きに複数本が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ディスプレイは、前記2辺に直交する他の2辺に沿って第2粘着材により前記背面カバーに固定されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ディスプレイおよび前記背面カバーによって形成されるディスプレイ筐体と、
前記ディスプレイ筐体に対してヒンジを介して回動可能に連結される本体筐体と、
を有し、
前記2辺は前記ディスプレイ筐体における前記本体筐体と連結される縁を形成する辺とそれに対向する辺である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ディスプレイにはフイルム型のタッチセンサが設けられている
ことを特徴とする電子機器。