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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094701
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】機械式駐車場
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20240703BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
E04H6/42 C
E04H6/18 601G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211417
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】岡 泰大
(72)【発明者】
【氏名】仲田 悠
(57)【要約】
【課題】車両の大きさを問わず、乗降室のパレット上の安全な位置に車両を停車させることのできる機械式駐車場を提供する。
【解決手段】乗降室に進入した車両を駐車室へ移動させる機械式駐車場10は、車両の車幅を計測する車幅計測部41と、車幅計測部41により計測された車幅に応じて、車両を駐車するパレット上での車両収容領域に関する情報を出力する収容領域出力部44と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降室に進入した車両を駐車室へ移動させる機械式駐車場であって、
前記車両の車幅を計測する車幅計測部と、
前記車幅計測部により計測された車幅に応じて、前記車両を駐車するパレット上での車両収容領域に関する情報を出力する収容領域出力部と、
を備える機械式駐車場。
【請求項2】
前記車両収容領域は、
幅方向の長さが前記パレットよりも小さい第1車両収容領域と、
幅方向の長さが前記第1車両収容領域よりも小さく、且つ、前記第1車両収容領域に包含される第2車両収容領域と、
を含む、請求項1に記載の機械式駐車場。
【請求項3】
前記収容領域出力部は、
前記計測された車幅が所定の閾値以上の場合、前記第1車両収容領域内に前記車両が収まるよう誘導案内情報を出力し、
前記計測された車幅が所定の閾値未満の場合、前記第2車両収容領域内に前記車両が収まるよう誘導案内情報を出力する、請求項2に記載の機械式駐車場。
【請求項4】
前記第1車両収容領域からの前記車両のはみ出しを検出する第1はみ出しセンサと、
前記第2車両収容領域からの前記車両のはみ出しを検出する第2はみ出しセンサと、
をさらに備え、
前記収容領域出力部は、前記第1はみ出しセンサおよび前記第2はみ出しセンサの検出結果に基づいて、誘導案内情報を出力する、請求項3に記載の機械式駐車場。
【請求項5】
前記第1はみ出しセンサは、設定された検出面からの前記車両のはみ出しを検出するセンサである、請求項4に記載の機械式駐車場。
【請求項6】
前記第2はみ出しセンサは、設定された光軸からの前記車両のはみ出しを検出するセンサである、請求項4または5に記載の機械式駐車場。
【請求項7】
前記乗降室に進入した車両を撮影するカメラと、
前記カメラにより撮影された画像に基づいて前記車両の位置を検出する車両位置検出部と、をさらに備え、
前記車幅計測部は、前記カメラにより撮影された画像に基づいて前記車両の車幅を計測し、
前記収容領域出力部は、前記車両の位置および車幅に基づいて、誘導案内情報を出力する、請求項1に記載の機械式駐車場。
【請求項8】
前記収容領域出力部は、視覚的方法および/または聴覚的方法により誘導案内情報を出力する、請求項1に記載の機械式駐車場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、少ないスペースで多数の車両を効率的に駐車できる駐車場として、機械式駐車場が知られている。機械式駐車場も種々の構造が提供されているが、その1つとしてパレットの上に車両を載置し、このパレットを縦横にレールや溝を利用して移動させることにより、空いているパレットスペースへ運ぶ構成としたパレット式の機械式駐車場が提供されている。また、このパレット式の機械式駐車場にリフト(昇降機構)及び立体的な駐車層を組み合わせることにより、より駐車効率を高めた機械式駐車場も提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-197417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような機械式駐車場の乗降室では、パレット端から数十mm内側をレーザセンサで面で検出し、検出範囲の内側に車両が停止していれば入庫可能としている。そのため制限寸法に対して車幅の余裕代が大きい小型車両の場合には、車両はパレットの中央ではなく、パレットの片側に偏心して停車した状態でもレーザセンサを遮光していれば入庫可能となる。従来のパレットサイズでは、小型車の場合でも余裕代が少なく、小型車のパレット上での偏心はそれほど問題とはならなかった。
【0005】
近年、電気自動車の充電に対応するため、電気自動車に充電ガンを差した状態でも収容できるようにパレットの更なる幅広化が求められている。しかしながら、パレットが幅広化すると、パレット内で小型車が偏心できる量が大きくなり、パレット全体の重心位置が端に寄ってしまうため、パレットを移載する際にパレットの安定性が低下する虞がある。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の大きさを問わず、乗降室のパレット上の安全な位置に車両を停車させることのできる機械式駐車場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の機械式駐車場は、乗降室に進入した車両を駐車室へ移動させる機械式駐車場であって、車両の車幅を計測する車幅計測部と、車幅計測部により計測された車幅に応じて、車両を駐車するパレット上での車両収容領域に関する情報を出力する収容領域出力部と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両の大きさを問わず、乗降室のパレット上の安全な位置に車両を停車させることのできる機械式駐車場を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る機械式駐車場の断面図である。
図2図1のB1F駐車室の平面図である。
図3】パレット上に偏心して配置された車両が移動する様子を示す図である。
図4】実施の形態に係る機械式駐車場の構成を説明するためのブロック図である。
図5】実施の形態に係る機械式駐車場における乗降室を示す概略斜視図である。
図6】車両収容領域を説明するための乗降室の概略斜視図である。
図7】車両収容領域を説明するためのパレットの概略平面図である。
図8】実施の形態に係る機械式駐車場における一連の処理を示すフローチャートである。
図9】別の実施の形態に係る機械式駐車場の構成を説明するためのブロック図である。
図10】別の実施の形態に係る機械式駐車場における乗降室を示す概略斜視図である。
図11】カメラにより撮像された画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
図1は、実施の形態に係る機械式駐車場10の断面図である。図2は、図1のB1F駐車室14の平面図である。なお、B2F駐車室16およびB3F駐車室18は、B1F駐車室14と同様に構成される。
【0013】
機械式駐車場10は、地上に設けられた建物104の地下に地下3階まで設けられた、いわゆる地下式の機械式駐車場である。なお、機械式駐車場10は、地上の建物のなかに設けられた地上式の機械式駐車場であってもよい。
【0014】
機械式駐車場10は、地下1階の駐車室であるB1F駐車室14と、地下2階の駐車室であるB2F駐車室16と、地下3階の駐車室であるB3F駐車室18と、複数のパレット32と、第1移載装置56と、複数の第2移載装置58と、リフトフレーム88と、断面が略矩形の昇降路96の四隅に支柱として設けられた4本のマスト90と、昇降装置94と、を備える。なお、マスト90は、昇降路96の2隅に2本備えられてもよい。
【0015】
パレット32は平板状の部材であり、車両が搭載される上面すなわち車両搭載面32aは略矩形である。機械式駐車場10は、パレット32を用いたパレット式の駐車場である。このパレット式の機械式駐車場10は、昇降装置94を用いて車両20が搭載された状態のパレット32を昇降させたり、あるいは第1移載装置56や第2移載装置58を使用して縦横方向に2次元的に移動させたりすることにより、駐車室に車両20を駐車させる構成とされている。
【0016】
B1F駐車室14、B2F駐車室16、B3F駐車室18は、それぞれ10の駐車スペースを含む。それら10の駐車スペースは、平面視した場合に縦方向(図のx方向)に5行、縦方向と実質的に直交する横方向(図のy方向)に2列のマトリクス状に配列される。なお、当然ながら駐車スペースの配置はこれに限定されない。各駐車スペースは平面視で略矩形を有し、パレット32を収容可能に構成される。駐車スペースはパレット32と共に車両20が駐車されうる駐車室内の1駐車領域(駐車の1単位)である。
【0017】
機械式駐車場10へ車両を入れたり機械式駐車場10から車両を取り出したりするための乗降室12は建物104内に設けられている。乗降室12は昇降路96の上端に設けられる。乗降室12には、乗降室12と昇降路96とを連通する平面視で略矩形状のパレット開口100が設けられている。
【0018】
昇降路96は、鉛直方向(z方向)に沿って設けられている。昇降路96は、B1F駐車室14、B2F駐車室16、B3F駐車室18のそれぞれと連通する。昇降路96の下端には、リフトフレーム88を昇降させる昇降装置94が設置される。昇降路96の四隅には、4本のマスト90が設けられる。
【0019】
リフトフレーム88は、4本のマスト90に昇降自在に支持され、昇降装置94により昇降路96に沿って昇降する。リフトフレーム88の上部には第1移載装置56が設けられる。なお、リフトフレーム88、4本のマスト90、および昇降装置94には、本出願人が先に出願した特開2009-197417号公報に記載のリフトフレーム、4本のマスト、昇降装置、をそれぞれ適用することができる。
【0020】
第1移載装置56の上部にはパレット32が搭載される。第1移載装置56は、面内の1方向(図のx方向)にパレット32を移動可能に構成される。第2移載装置58は各駐車スペースに設けられており、駐車スペースをまたいでパレット32をx方向およびy方向に移動させる。y方向はx方向およびz方向の両方に直交する方向である。第1移載装置56および第2移載装置58には、本出願人が先に出願した特公平7-29681号公報に記載の搬送装置を適用することができる。図2に示すように、駐車スペースと駐車スペースとの間には、駐車スペースをまたいでパレット32が移動する際にそれを支持する転倒防止ローラ38が設置される。
【0021】
図3は、パレット32上に偏心して配置された車両20が移動する様子を示す。駐車室内の各駐車スペースのスペースフレーム31にはパレット32を支持するローラ33が設けられている。上述したように、駐車スペース間には転倒防止ローラ38が設けられている。図3に示すように、パレット32の片側に偏心して車両20が停車していると、パレット全体の重心位置が片側に寄ってしまうため、転倒防止ローラ38が設けられている場合でもパレットが傾き、安全に駐車スペース間の移載を行うことができない虞がある。このような事態を避けるために、パレット32上での車両20の偏心をできるだけ少なくすることが望ましい。
【0022】
図4は、実施の形態に係る機械式駐車場の構成を説明するためのブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0023】
図4に示すように、機械式駐車場10は、車幅計測部41と、第1はみ出しセンサ42と、第2はみ出しセンサ43と、収容領域出力部44と、表示部45と、を備える。
【0024】
車幅計測部41は、乗降室12に進入する車両20の車幅を計測する。収容領域出力部44は、車幅計測部41により計測された車幅に応じて、車両20を駐車するパレット32上での車両収容領域に関する情報を出力する。「車両収容領域」とは、パレット32の上面(車両搭載面32a)において車両が収まるべき領域である。
【0025】
本実施の形態においては、「車両収容領域」は、幅方向の長さがパレット32よりも小さい「第1車両収容領域」と、幅方向の長さが第1車両収容領域よりも小さく、且つ、第1車両収容領域に包含される「第2車両収容領域」と、を含む。
【0026】
第1はみ出しセンサ42は、第1車両収容領域からの車両20のはみ出しを検出する。第2はみ出しセンサ43は、第2車両収容領域からの車両20のはみ出しを検出する。「車両収容領域に関する情報」には、車両20に対する誘導案内情報が含まれる。誘導案内情報とは、車両20の運転者に対する「右へ」や「左へ」といった情報である。
【0027】
表示部45は、これらの誘導案内情報を車両20の運転者に提示する。表示部45は、ディスプレイ装置などの視覚的手段およびスピーカー装置などの聴覚的手段を含む。
【0028】
図5は、実施の形態に係る機械式駐車場10における乗降室12を示す概略斜視図である。乗降室12は、入出庫口12aを除く周囲(側面、天井面)が壁で囲われており、入出庫口12aには乗降室扉が設けられる(図5では乗降室扉は開状態であるため不図示)。入出庫口12aは、三方枠29により画成されている。入出庫口12aの近傍の外壁には、操作盤28が設けられている。乗降室扉は、操作盤28の操作により開閉する。
【0029】
図5に示すように、入出庫口12aの三方枠29には車幅計測部41としての測距センサ50が設けられる。この測距センサ50は、入出庫口12aを通過する車両20までの距離を計測する。入出庫口12aの幅は予め分かっているので、三方枠29から車両20までの距離から車両20の車幅を求めることができる。
【0030】
乗降室12内には、表示部45としてのディスプレイ装置52が配置されている。このディスプレイ装置52は、車両20の運転者に対して「右へ」や「左へ」といった情報案内情報を提示する。
【0031】
図6は、車両収容領域を説明するための乗降室12の概略斜視図である。図6に示すように、パレット32の後部上方に第1はみ出しセンサ42が設けられ、パレット32の前方に第2はみ出しセンサ43が設けられている。図6に示すように、パレット32の左右両側を検出できるように2つの第1はみ出しセンサ42が配置される。また、パレット32の左右両側を検出できるように2つの第2はみ出しセンサ43が配置される。
【0032】
第1はみ出しセンサ42は、設定された検出面内をレーザ光で走査し、検出面からはみ出している車両の個所からの反射光を受ける光学検知装置である。図6には、第1はみ出しセンサ42の検出面60が図示されている。パレット32上における左側と右側の検出面60で挟まれる領域が第1車両収容領域となる。検出面からの車両20のはみ出しを検知すると、第1はみ出しセンサ42は収容領域出力部44に通知する。
【0033】
第2はみ出しセンサ43は、設定された光軸上の物体までの距離を測定する測距センサである。図6には、第2はみ出しセンサ43の光軸62が図示されている。パレット32上における左側と右側の光軸62で挟まれる領域が第2車両収容領域となる。第2はみ出しセンサ43は通常、設置された場所からパレット32の後方部分までの距離を測定している。光軸62から外側に車両20がはみ出すと、測定距離が変わるので、車両20のはみ出しを検知できる。光軸62からの車両20のはみ出しを検知すると、第2はみ出しセンサ43は収容領域出力部44に通知する。
【0034】
図7は、車両収容領域を説明するためのパレット32の概略平面図である。図7に示すように、パレット32の幅をWpとし、車両20の車幅をWcとする。上述したように、パレット32上における左側と右側の検出面60で挟まれる領域が第1車両収容領域である。また、パレット32上における左側と右側の光軸62で挟まれる領域が第2車両収容領域である。図7に示すように、第1車両収容領域の幅方向の長さをW1とし、第2車両収容領域の幅方向の長さをW2とする。
【0035】
検出面60は、パレット32の端から数十mm内側に設定される。すなわち、第1車両収容領域の幅方向の長さW1は、パレット32の幅Wpよりも小さい。光軸62は、検出面60よりもさらに数十mm内側に設定される。すなわち、第2車両収容領域の幅方向の長さW2は、第1車両収容領域の幅方向の長さW1よりも小さい。また、第2車両収容領域は、第1車両収容領域に包含される。
【0036】
第1車両収容領域からの車両20のはみ出しは、周囲と干渉する虞があるため確実に防止する必要がある。そのため、検出面からのはみ出しを検出するセンサを用いて、はみ出しの検出精度を高めている。
【0037】
第2はみ出しセンサとして検出面からのはみ出しを検出するセンサを用いることもできるが、一般に、検出面からのはみ出しを検出するセンサは、測距センサよりも高価である。そこで、図6に示す実施の形態では、費用対効果の観点から、第2はみ出しセンサ43として測距センサを用いることとしている。第2車両収容領域内への誘導の際には、第1はみ出しセンサ42と第2はみ出しセンサ43の両方を用いることで、好適に車両20を第2車両収容領域内に誘導できる。
【0038】
本実施の形態において、収容領域出力部44は、車両20の車幅Wcに応じて、第1車両収容領域と第2車両収容領域のどちらの車両収容領域内に車両20収めるべきか決定し、誘導案内情報をディスプレイ装置52に出力する。具体的には、大型車の場合は広い第1車両収容領域に収まるよう誘導し、小型車の場合は狭い第2車両収容領域に収まるよう誘導する。車両20の車幅Wcに応じて車両収容領域を変更することで、車両の大きさを問わず、パレット32上の安全な位置に車両を停車させることができる。
【0039】
図8は、実施の形態に係る機械式駐車場10における一連の処理を示すフローチャートである。まず、車幅計測部41は、入庫する車両20の車幅Wcを計測する(S10)。次に、収容領域出力部44は、車幅Wcが所定の閾値Wth以上であるか否か判定する(S12)。所定の閾値Wthは、パレット幅や駐車スペースの間隔などを考慮し、実験やシミュレーションなどによって適宜設定される。
【0040】
車幅Wcが所定の閾値Wth以上である場合(S12のY)、収容領域出力部44は、第1車両収容領域内に車両20が収まるよう誘導案内情報を出力する(S14)。第1車両収容領域内への誘導には、第1はみ出しセンサ42を用いる。例えば右側の第1はみ出しセンサ42により車両20のはみ出しが検出された場合、収容領域出力部44は、車両20を左側に誘導する案内を出力する。車両20の運転者は、ディスプレイ装置52に表示された誘導案内を見て、第1車両収容領域内に車両20を停車させることができる。
【0041】
一方、車両20の車幅Wcが所定の閾値Wth未満の場合(S12のN)、収容領域出力部44は、第2車両収容領域内に車両20が収まるよう誘導案内情報を出力する(S16)。第2車両収容領域内への誘導には、第1はみ出しセンサ42および第2はみ出しセンサ43を用いる。例えば右側の第2はみ出しセンサ43により車両20のはみ出しが検出された場合、収容領域出力部44は、車両20を左側に誘導する案内を出力する。第2はみ出しセンサ42は面で検出するセンサではないので、まれに第2車両収容領域からのはみ出しを検知できない場合もあり得る。このような場合でも第1はみ出しセンサ42で確実に検出面からのはみ出しを検知して、はみ出しを矯正するための誘導案内情報を出力できる。車両20の運転者は、ディスプレイ装置52に表示された誘導案内を見て、第2車両収容領域内に車両20を停車させることができる。
【0042】
このように本実施の形態に係る機械式駐車場10によれば、入庫する車両20の車幅に応じて第1車両収容領域と第2車両収容領域のいずれかを選択することにより、車両の大きさを問わず、車両20がパレット32の片側に偏って停車すること(すなわち車両の偏心)を防ぎ、パレット32上の安全な位置に車両を停車させることができる。
【0043】
図9は、別の実施の形態に係る機械式駐車場70の構成を説明するためのブロック図である。図9に示すように、機械式駐車場70は、カメラ46と、車幅計測部41と、車両位置検出部47と、第1はみ出しセンサ42と、収容領域出力部44と、表示部45と、を備える。本実施の形態に係る機械式駐車場70は、図6で説明した第1はみ出しセンサ42は備えるが、第2はみ出しセンサ43は備えていない。
【0044】
図10は、別の実施の形態に係る機械式駐車場70における乗降室12を示す概略斜視図である。カメラ46は、乗降室12内に入った車両20を撮影可能に配置されている。
【0045】
図11は、カメラ46により撮像された画像を示す。車幅計測部41は、カメラ46により撮影された画像に基づいて、車両20の車幅Wcを計測する。車両位置検出部47は、カメラ46により撮影された画像に基づいて車両20の位置を検出する。より具体的には車両位置検出部47は、パレット32の左端から車両20までの距離d1と、パレット32の右端から車両20までの距離d2とを測定する。
【0046】
収容領域出力部44は、車幅Wcが所定の閾値以上であるか否か判定する。車幅Wcが所定の閾値以上である場合、収容領域出力部44は、第1車両収容領域内に車両20が収まるよう誘導案内情報を出力する。これにより、車両20が大型車の場合に、適切な位置に車両20を誘導できる。
【0047】
一方、車両20の車幅Wcが所定の閾値未満の場合、収容領域出力部44は、車両20がパレット32の幅方向の中央に近づくよう誘導案内情報を出力する。具体的には、距離d1と距離d2の差の絶対値Δdが所定の閾値Δdth以下となるように誘導案内情報を出力する。これにより、車両20が小型車の場合に、適切な位置に車両20を誘導できる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態に係る機械式駐車場70においても、車両20の車幅Wcに応じて適切に誘導案内情報を出力することで、車両の大きさを問わず、パレット32上の安全な位置に車両を停車させることができる。
【0049】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0050】
10、70 機械式駐車場、 12 乗降室、 32 パレット、 33 ローラ、 38 転倒防止ローラ、 41 車幅計測部、 42 第1はみ出しセンサ、 43 第2はみ出しセンサ、 44 収容領域出力部、 45 表示部、 46 カメラ、 47 車両位置検出部、 50 測距センサ、 52 ディスプレイ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11