(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094713
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】燃料供給システム、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
B67D 7/32 20100101AFI20240703BHJP
【FI】
B67D7/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211436
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁科 孝之
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA02
3E083AB20
3E083AC08
3E083AC23
3E083AC29
3E083AD01
3E083AD17
3E083AD30
(57)【要約】
【課題】水混入に対するメンテナンスに係る作業性を向上させる。
【解決手段】燃料供給システム1は、燃料供給対象40に供給する燃料が流通する供給管路106を備える燃料供給装置10と、供給管路106を流通する燃料中に水が混入しているか否かを判定する水検出センサ140と、燃料供給装置10の環境を示す環境ログを記憶する環境ログ記憶手段と、水検出センサ140によって燃料中に水が混入していると判定された場合に、環境ログに基づいて燃料中に水が混入した原因を特定する特定手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給対象に供給する燃料が流通する燃料供給路を有する燃料供給装置と、
前記燃料供給路を流通する燃料中に水が混入しているか否かを判定する水混入判定手段と、
前記燃料供給装置の環境を示す環境ログを記憶する環境ログ記憶手段と、
前記水混入判定手段によって燃料中に水が混入していると判定された場合に、前記環境ログに基づいて燃料中に水が混入した原因を特定する特定手段と、を備える
ことを特徴とする燃料供給システム。
【請求項2】
前記特定手段は、前記水混入判定手段により水が混入したと判定された場合、前回の燃料供給終了以降に前記環境ログ記憶手段に記憶された環境ログに基づいて燃料中に水が混入した原因を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料供給システム。
【請求項3】
燃料中に水が混入した原因を特定するための原因特定条件を記憶する原因特定条件記憶手段をさらに備え、
前記特定手段は、前記水混入判定手段によって燃料中に水が混入していると判定された場合に、前記環境ログに合致する前記原因特定条件から燃料中に水が混入した原因を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料供給システム。
【請求項4】
前記原因特定条件に対応する、水の混入の原因及びその原因に関わる箇所を示す報知内容を記憶する報知内容記憶手段と、
前記環境ログに合致する前記原因特定条件に対応する前記報知内容記憶手段の前記報知内容を報知する報知手段と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載の燃料供給システム。
【請求項5】
燃料供給対象に供給する燃料が流通する燃料供給路と前記燃料供給路を流通する燃料中に水が混入しているか否かを判定する水混入判定手段とを有する燃料供給装置と通信可能な情報処理装置であって、
前記燃料供給装置の環境を示す環境ログを記憶する環境ログ記憶手段と、
前記水混入判定手段によって燃料中に水が混入していると判定された場合に、前記環境ログに基づいて燃料中に水が混入した原因を特定する特定手段と、を備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給システム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料供給経路に設けられ、燃料中に混入した水(含水率)を検知するセンサを用いて、燃料中に水が混入したか否かを判定する燃料供給装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の燃料供給装置を備えた燃料供給システムでは、センサにより検知された燃料供給経路(燃料供給路)内の燃料の含水率から水が燃料中に混入したか否かを判定できるものの、作業員としては、燃料中に水が混入した原因を把握することができなかった。そのため、作業員は、水が混入した原因と思われる多数の箇所を調査することになり、水混入に対するメンテナンス作業に時間がかかる等、メンテナンスに係る作業性は低かった。
【0005】
本発明は、燃料中に水が混入した原因を特定することによって、水の混入に対するメンテナンスに係る作業性を向上させることが可能な燃料供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の燃料供給システムは、燃料供給対象に供給する燃料が流通する燃料供給路を有する燃料供給装置と、燃料供給路を流通する燃料中に水が混入しているか否かを判定する水混入判定手段と、燃料供給装置の環境を示す環境ログを記憶する環境ログ記憶手段と、水混入判定手段によって燃料中に水が混入していると判定された場合に、環境ログに基づいて燃料中に水が混入した原因を特定する特定手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業員は、燃料中に水が混入した原因を把握し易くなるので、把握した原因に基づいて水が混入した個所を推測することができ、水混入に対するメンテナンスを行うことができる。その結果、水の混入に対するメンテナンスに係る作業性を向上させることができる。
また、本発明の上記した以外の課題、構成及び効果については、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る燃料供給システム1の全体構成図である。
【
図2】実施の形態に係る情報処理装置20の制御部201のハードウェアブロック図である。
【
図3】実施の形態に係る環境ログ232を示した図である。
【
図4】実施の形態に係る原因特定条件テーブル233を示した図である。
【
図5】実施の形態に係るエラーカウントテーブル234を示した図である。
【
図6】実施の形態に係る燃料供給装置10が実行する燃料供給処理を示したフローチャートである。
【
図7】実施の形態に係る情報処理装置20が実行する原因特定処理を示したフローチャートである。
【
図8】実施の形態に係る情報処理装置20の表示部21に表示される表示画面を示した表示例である。
【
図9】変形例の含水率のトレンドデータを示した表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施の形態において、その構成要素は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0010】
以下、本発明に係る燃料供給装置を備える燃料供給システムの一の実施形態について、図面に基づいて説明する。以下の説明では、本発明に係る燃料供給装置を、車両等の燃料供給対象にレギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油等といった燃料を供給する給油所、いわゆるガソリンスタンドに設置される給油装置としての燃料供給装置を例に説明する。なお、本発明に係る燃料供給装置が適用される燃料供給所は、ガソリンスタンドに限られるものではない。また、燃料供給装置が供給する燃料は、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油、アルコールといった液種(油種)を供給する装置に限られるものではない。
【0011】
図1は、実施の形態に係る燃料供給システム1の全体構成図である。
【0012】
(燃料供給システム1)
燃料供給システム1は、ガソリンスタンドに設置される燃料供給装置10と、ガソリンスタンドの事務所内に配置され、燃料供給装置10と通信可能に接続される情報処理装置20と、情報処理装置20と無線通信可能に接続される無線ルータ30と、を備える。本実施形態の情報処理装置20は、デスクトップ型のパソコンであるが、ラップトップ型のパソコン、スマートフォン、ハンディーターミナル、クラウドサーバなどであってもよい。本実施形態の無線ルータ30は、情報処理装置20と無線通信を行うが、情報処理装置20と有線通信を行う有線ルータであってもよい。
【0013】
(燃料供給装置10)
燃料供給装置10は、筐体101内に、送液機器としてのポンプ102、流量計測機器としての流量計104、燃料供給装置10の各部の作動制御や給油量の演算や表示制御を行う本体制御装置130、供給燃料中に混入している水を検出する水検出センサ140、水検出センサ140の検出出力に基づいて燃料中の含水率を演算する水検出制御装置150等を収容している。加えて、ポンプ102には、ポンプ102を駆動するためのポンプ駆動モータ103が付設され、流量計104には、供給燃料の単位流量(例えば、0.01L)毎の流れに応じた流量パルスを生成する流量発信器105が付設されている。
【0014】
筐体101からは、先端に給油ノズル108を有するホース107が延設され、ホース107の基端側は、筐体101内の流量計104の流出口側と、供給管路106を介して連通接続されている。給油ノズル108には、操作レバーの操作に応動して開閉弁し、車両等の燃料供給対象40における燃料油液の液面がノズル先端の吐出パイプに達すると操作レバーの操作位置にかかわらず閉弁する自動閉弁機構が備えられている。給油ノズル108は、筐体101に設けられたノズル掛け109に対して取り出し・収納自在になっており、給油作業が行われていない間はノズル掛け109に収納される。ノズル掛け109には、ノズル掛け109に対する給油ノズル108の取り出し・収納を検出するノズルスイッチ110が設けられている。
【0015】
燃料供給装置10は、ポンプ102の駆動によって、給油所の地下に設置された地下タンク(貯溜タンク)50から汲み上げ配管51を介して燃料油液を汲み上げる。汲み上げ配管51は、地中に延設され、一端側は地下タンク50内に導入されて開口し、他端側はポンプ102の吸い込み口に連通接続されている。ポンプ102によって地下タンク50から汲み上げられた燃料油液は、ポンプ102の吐出口に流入口が連通接続された流量計104、供給管路106、ホース107を介して、給油ノズル108に向けて送液される。この場合、供給管路106等を含む筐体101内における燃料の流路部分および汲み上げ配管51が、燃料供給対象40に供給する燃料が流通する燃料供給路に該当する。
【0016】
また、本実施形態の燃料供給装置10では、燃料中の含水率を計測するための機構として、供給燃料の静電容量、導電率、濁度(光や超音波等の電磁波の透過率)等の物性値を測定して供給燃料中の混入している水を検出する水検出センサ140(水混入判定手段)が、燃料供給装置10の燃料供給路に設けられている。本実施形態では、水検出センサ140として、供給燃料の濁度を測定して供給燃料中の混入している水を検出するセンサが用いられ、この水検出センサ140は、筐体101内の供給管路106に備えられている。なお、この水検出センサ140の測定方式は、前述の通り、濁度の測定に限定されるものではなく、静電容量や導電率の測定方式を採用してもよい。また、水検出センサ140の設置位置についても、
図1に示される位置に限定されるものではなく、燃料供給路中の任意の位置に設けてもよい。
【0017】
また、燃料供給装置10は、燃料供給対象40への給油量等の給油情報を表示する表示器111と、燃料の含水率が閾値以上である場合に本体制御装置130からの指示に従ってエラーを発する警報器112と、を備える。
【0018】
(情報処理装置20)
情報処理装置20は、燃料供給装置10の本体制御装置130と通信可能に接続される。情報処理装置20は、本体制御装置130によって演算された給油量等の給油データ、及び水検出制御装置150によって演算された燃料中の含水率等の含水率データを受信する。そして、情報処理装置20は、受信した含水率データが示す含水率が閾値(例えば、0%)を超えている場合に、後述する環境ログ232に基づいて燃料中に水が混入した原因を特定する。
【0019】
ここで、情報処理装置20の制御部201のハードウェア構成を説明する。
図2は、情報処理装置20の制御部201のハードウェアブロック図である。
【0020】
情報処理装置20の制御部201は、プロセッサ210と、主記憶部220と、補助記憶部230と、入出力I/F240と、通信I/F250と、バス260と、を有する。
【0021】
プロセッサ210は、情報処理装置20の各部の動作の制御を行う中央処理演算装置である。プロセッサ210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。プロセッサ210は、補助記憶部230に記憶されたプログラム(例えば、燃料中に水が混入した原因を特定する原因特定プログラム231)を主記憶部220の作業領域に実行可能に展開する。主記憶部220は、RAM(Random Access Memory)等である。補助記憶部230は、各種プログラム(例えば、原因特定プログラム231、OS(Operating System)、各種アプリケーションプログラム)および各種データ(環境ログ232、原因特定条件テーブル233、エラーカウントテーブル234)を記憶する。補助記憶部230は、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)装置、ハードディスクドライブ(HDD)装置等である。この補助記憶部230は、燃料供給装置10の環境を示す環境ログ232を記憶する環境ログ記憶手段、燃料中に水が混入した原因を特定するための原因特定条件を有する原因特定条件テーブル233を記憶する原因特定条件記憶手段、及び水の混入の原因及びその原因に関わる箇所を示す報知内容を有するエラーカウントテーブル234を記憶する報知内容記憶手段、として機能する。
【0022】
入出力I/F240は、表示部21などの出力部、及びキーボードやマウスなどの入力部などと接続される。通信I/F250は、燃料供給装置10の本体制御装置130と通信し、上記した給油データ及び含水率データを受信する。また、通信I/F250は、無線ルータ30と通信し、無線ルータ30を介してインターネット上の外部サーバから燃料供給装置10の環境ログ(給油所(燃料供給装置10)が位置する地域における降水量情報、温度情報、地震情報)を取得する。バス260は、制御部201の各モジュールを通信可能に接続する。
【0023】
(無線ルータ30)
無線ルータ30は、情報処理装置20をインターネットに接続し、インターネット上の外部サーバと情報処理装置20とを通信可能に接続する。情報処理装置20は、無線ルータ30を介して、環境ログを外部サーバから取得する。
【0024】
(環境ログ232)
図3は、実施の形態に係る環境ログ232を示した図である。環境ログ232は、燃料供給装置10の環境を示す履歴情報(起こった出来事についての情報などを一定の形式で時系列に記録・蓄積したデータ)である。環境ログ232は、日時を示す日時情報と、燃料供給装置10が設置される位置における降水量情報、気温情報、及び地震情報と、燃料供給装置10が設置されるガソリンスタンドにおける地下タンク50への燃料の荷卸情報と、を有する。降水量情報、気温情報、及び地震情報は、燃料供給装置10の位置情報(例えば、GPS情報)に基づいて外部サーバから取得される。また、荷卸情報は、例えば、作業員によるタンクローリを介した給油所への燃料の荷卸しの管理記録などである。環境ログ232は、定期的に更新され、環境ログ232には、最新の環境情報が管理されている。
【0025】
(原因特定条件テーブル233)
図4は、実施の形態に係る原因特定条件テーブル233を示した図である。原因特定条件テーブル233は、燃料供給装置10の燃料供給路を流通する燃料中に水が混入している原因を特定するための複数の条件(以下、原因特定条件と呼ぶ)を含む。本実施形態では、記号Aと降水量に係る原因特定条件とが対応付けて記憶され、記号Bと気温情報に係る原因特定条件とが対応付けて記憶され、記号Cと荷卸情報に係る原因特定条件とが対応付けて記憶され、記号Dと地震情報に係る原因特定条件とが対応付けて記憶される。記号Eは、上記した記号A~Dの原因特定条件のいずれにも該当しない場合のために用意されている。なお、
図4中の下線で示したパラメータは、ユーザによって適宜変更される。
【0026】
次に原因特定条件テーブル233中の原因特定条件と前述した環境ログ232との関係について説明する。情報処理装置20は、前記した水検出センサ140(水混入判定手段)により燃料の含水率が閾値以上であると判定された後、原因特定条件のそれぞれの条件のうち、どの条件が燃料中に水が混入した原因に該当するか否かを判定することになる。その際、情報処理装置20は、環境ログ232としての最新の環境情報に基づき、原因特定条件のそれぞれの条件のうち、合致する条件を選定することになる。具体的には、原因特定条件の記号A(「24時間以内に雨が降った。または、現在雨が降っている。」)に合致するかどうかは、環境ログ232に記号Aに関係する環境情報があるかどうかで判断しており、例えば、環境ログ232に「降雨量・・mm」の環境情報があれば、記号Aに合致するとして、原因特定条件のうち、記号Aが燃料中に水が混入した原因に該当すると判断し、次に記号B(「24時間以内に、外気温5℃以下から10℃以上になる温度上昇変化があった。」)についても同様に判定することにより、原因特定条件の各条件について合致する条件を選定していく。
【0027】
(エラーカウントテーブル234)
図5は、実施の形態に係るエラーカウントテーブル234を示した図である。エラーカウントテーブル234は、上記した記号A~E毎に、記号A~Eに対応する原因特定条件に合致した回数(以下、エラーカウントと呼ぶ)、燃料中に水が混入した原因と推定される内容(以下、エラー内容と呼ぶ)、及び水が混入した原因(例えば、「雨水侵入」、「結露」、「地震」)及びその原因に関わる箇所(作業員が点検する箇所)(例えば、「配管」、「地下タンク」)の情報を含む表示内容を記憶する。
【0028】
(燃料供給処理フロー)
図6は、実施の形態に係る燃料供給装置10が実行する燃料供給処理を示したフローチャートである。
図6のフローチャートの各ステップは、燃料供給装置10の本体制御装置130のプロセッサが制御プログラムを実行することによって、実行される。なお、本体制御装置130のハードウェア構成は、
図2の情報処理装置20の制御部201の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0029】
ノズルスイッチ110は、ノズル掛け109から給油ノズル108が取り出されたことを検知すると、その検知結果を本体制御装置130に通知する。本体制御装置130は、ノズルスイッチ110からの当該通知によって、ノズル掛け109から給油ノズル108が取り出されたと判定する(S1)。
【0030】
本体制御装置130は、給油ノズル108が取り出されたと判定すると、ポンプ駆動モータ103を駆動し、ポンプ102を駆動する(S2)。
【0031】
そして、本体制御装置130は、水検出制御装置150を介して、水検出センサ140に水検出動作を開始するよう指示する(S3)。水検出制御装置150は、水検出センサ140の検出出力に基づいて燃料中の含水率を演算し、含水率を本体制御装置130に送信する。
【0032】
本体制御装置130は、水検出制御装置150から含水率を受信し、当該含水率と閾値とを比較し、燃料中の含水率が閾値以上か否かを判定する(S4)。含水率と比較される閾値の設定は、本体制御装置130で行われ、作業員が適宜設定する。
【0033】
含水率が閾値以上の場合(S4:Yes)、車両などの燃料供給対象40への水混入を防止するため、本体制御装置130は、ポンプ駆動モータ103の駆動を停止し、強制的にポンプ102の駆動を停止する(S5)。
【0034】
そして、本体制御装置130は、表示器111や警報器112にエラーを表示する(S6)。これにより、作業員などは、燃料中に水が混入していることや燃料供給が停止したことを認識することができる。
【0035】
一方、含水率が閾値未満の場合(S4:No)、本体制御装置130は、給油が終了したか否かを判定する(S7)。
【0036】
給油中(S7:No)は、S4及びS7の処理を繰り返す。
【0037】
給油が終了すると(S7:Yes)、本体制御装置130は、ノズルスイッチ110からの通知によって、ノズル掛け109に給油ノズル108が戻されたと判定する(S8)。
【0038】
そして、本体制御装置130は、ポンプ駆動モータ103の駆動を停止し、ポンプ102の駆動を停止する(S9)。給油終了まで含水率が閾値未満の場合は、通常の給油操作となる。
【0039】
最後に、本体制御装置130は、水検出制御装置150によって演算された含水率を示す含水率データ、及び本体制御装置130によって演算された給油量等の給油データを、情報処理装置20に送信する(S10)。なお、給油データとは、本体制御装置130に記憶されるデータであって、給油時の「給油日時」、「給油量」、「金額」などの情報である。
【0040】
(原因特定処理フロー)
図7は、実施の形態に係る情報処理装置20が実行する原因特定処理を示したフローチャートである。
図7のフローチャートの各ステップは、情報処理装置20の制御部201のプロセッサ210が原因特定プログラム231を実行することによって、実行される。制御部201は、水検出センサ140によって燃料中に水が混入していると判定された場合に、環境ログ232に基づいて燃料中に水が混入した原因を特定する特定手段として機能する。
【0041】
情報処理装置20は、燃料供給装置10から含水率データ及び給油データを受信する(S11)。
【0042】
そして、情報処理装置20は、受信した含水率データ及び給油データを補助記憶部230などに保存する(S12)。
【0043】
受信した含水率データが示す含水率が0%を超えている場合(S13:Yes)、情報処理装置20は、前回の燃料供給終了以降に記憶された環境ログ232が原因特定条件テーブル233の原因特定条件に合致するか否かを判定し、合致する原因特定条件に対応する記号A~Eを給油データに紐づける(S14)。これにより、後に給油データ(給油ログ)を確認した際に、当該記号を表示することができるようになる。
【0044】
次に、情報処理装置20は、エラーカウントテーブル234のS14で該当した記号のエラーカウントxをインクリメント(+1)する(S15)。
【0045】
当該エラーカウントxが閾値を超えた場合(S16:Yes)、情報処理装置20、エラーカウントテーブル234の閾値を超えたエラーカウントxの表示内容(報知内容)を、表示部21(報知手段)に表示する(S17)。なお、エラーカウントxと比較される閾値の設定は、情報処理装置20で行われ、作業員が適宜設定する。
【0046】
複数のエラーカウントxが閾値を超えた場合、優先度に従って表示内容を表示部21に表示してもよい。たとえば、記号A及びDに対応する表示内容の優先度を高めに設定し、記号B及びCに対応する表示内容の優先度を低めに設定し、優先度をD≧A>B=Cとしてもよい。記号A及びDの優先度を高めに設定した理由は、記号A及びDに対応する原因では、実際に配管などに亀裂等があることが想定され、使用し続けることで亀裂が広がるなど、放置すると被害が大きくなる可能性があるためである。
【0047】
また、優先度をD≧Aに設定した理由は、記号Aの原因では、雨が降らないと水を検出しない場合、原因箇所周辺に水源が無いと判断できるからである(雨が降らないと水が混入しない)。また、Dの場合は、雨の有無にかかわらず、水が混入し続ける可能性があるため、優先度が他よりも高い。
【0048】
エラーカウントxは、一定期間又は各月毎に閾値に到達しなかった場合、または、水が混入したと報知された後、当該水混入に対するメンテナンスを完了した作業員が例えば、燃料供給装置に設けられた確認ボタン(図示せず)を操作することによりリセットされる。
【0049】
受信した含水率データが示す含水率が0%である場合(S13:No)、及びエラーカウントxが閾値を超えていない場合(S16:No)、本フローチャートを終了する。
【0050】
(表示画面)
図8は、実施の形態に係る情報処理装置20の表示部21に表示される表示画面を示した表示例である。
図8に示すように、まず、情報処理装置20の表示部21に表示される画面701には、ガソリンスタンドに設置される複数のレーン(給油ノズル108)毎に付与された複数の番号が表示される。ノズル掛け109から給油ノズル108が取り出されると、当該給油ノズル108に対応するレーン番号が強調表示される。画面701では、レーン番号01に設置された給油ノズル108がノズル掛け109から取り外されたため、番号01が強調表示されている。
【0051】
作業員によって、強調表示された番号01(給油待ちアイコン711)が選択されると、給油待ち画面が表示される。給油待ち画面において、作業員によって許可ボタン712が選択されると、表示部21に、レーン番号01に設置された給油ノズル108のステータスが給油中であることを示す給油画面702が表示される。
【0052】
給油中に上記したエラーカウントxが閾値を超えると、表示部21に、エラー画面703が表示される。このエラー画面703には、エラーカウントテーブル234の表示内容が表示される。表示内容は、水の混入の原因となった箇所(例えば、配管、地下タンク)が含まれるので、作業員は、当該表示内容によって点検すべき箇所を容易に把握することができる。
【0053】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、作業員は、表示部21に表示される表示内容により、燃料中に水が混入した原因及びその原因となった箇所を把握し易くなるので、把握した原因及び箇所に基づいて水が混入した箇所を推測することができ、水混入に対するメンテナンスを行うことができる。その結果、水の混入に対するメンテナンスに係る作業性を向上させることができる。
【0054】
また、設定する閾値によっては、早期に水の混入の原因を特定することが可能となるため、営業停止のリスクを削減することができる。また、水の混入の原因の早期特定により、サービス員は、事前に必要な検査治具や修理工具を準備することができ、復旧までの時間を短縮することができる。
【0055】
(変形例)
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0056】
例えば、表示部21に表示されるエラー表示例は、
図8の例には限定されない。例えば、
図9のように、含水率のトレンドデータに重畳させてエラー内容を表示してもよい。
図9は、変形例の含水率のトレンドデータを示した表示例である。
【0057】
図9に示すように、表示部21には、ガソリンスタンドなどのレーン番号1における燃料中の含水率の時系列データが表示される。含水率のプロットにカーソルを合わせると、燃料供給が実施された日時、供給した燃料の油種及び給油量、燃料中の含水率、原因特定条件、及び表示内容が表示される。
【0058】
図8や
図9の例では、エラーカウントテーブル234の表示内容が表示部21に表示されたが、表示内容に加えて又は表示内容にかえて、エラーカウントテーブル234のエラー内容が表示部21に表示されてもよい。また、
図9の例では、原因特定条件(環境情報)として記号Aが表示されたが、記号Aが示す原因特定条件「24時間以内に雨が降った。または、現在雨が降っている。」を表示してもよい。また、
図8のエラー画面703に記号や記号が示す原因特定条件を表示してもよい。
【0059】
また、本実施形態では、ガソリンスタンドの事務所内の情報処理装置20で水混入の原因を特定したが、クラウドサーバなどで水混入の原因を特定してもよい。
【0060】
また、本実施形態では、情報処理装置20及び無線ルータ30を燃料供給装置10とは別体としたが、情報処理装置20及び無線ルータ30を燃料供給装置10に内蔵してもよい。
【0061】
また、本実施形態では、情報処理装置20の表示部21に表示内容を表示したが、燃料供給装置10の表示器111に表示内容を表示してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1:燃料供給システム、 10:燃料供給装置、 20:情報処理装置、 21:表示部、 30:無線ルータ、 40:燃料供給対象、 50:地下タンク、 51:汲み上げ配管、 101:筐体、 102:ポンプ、 103:ポンプ駆動モータ、 104:流量計、 105:流量発信器、 106:供給管路、 107:ホース、 108:給油ノズル、 109:ノズル掛け、 110:ノズルスイッチ、 111:表示器、 112:警報器、 130:本体制御装置、 140:水検出センサ、 150:水検出制御装置、 201:制御部、 210:プロセッサ、 220:主記憶部、 230:補助記憶部、 231:原因特定プログラム、 232:環境ログ、 233:原因特定条件テーブル、 234:エラーカウントテーブル、 240:入出力I/F、 250:通信I/F