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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094721
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】制御システムおよびサーバ
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/20 20200101AFI20240703BHJP
   H05B 47/175 20200101ALI20240703BHJP
   G06Q 10/00 20230101ALI20240703BHJP
【FI】
H05B47/20
H05B47/175
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211455
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三乘 雅洋
【テーマコード(参考)】
3K273
5L049
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA38
3K273RA16
3K273SA02
3K273SA04
3K273SA21
3K273SA22
3K273SA23
3K273SA35
3K273SA38
3K273SA50
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA15
3K273TA41
3K273TA52
3K273TA65
3K273TA66
3K273TA72
3K273UA12
3K273UA14
3K273UA19
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】ユーザが機器の保守点検時期または寿命を事前に把握できる制御システムおよびサーバを得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る制御システムは、自身の製造時期の情報を含む第1情報を記憶する機器と、前記第1情報と、前記機器の使用状況を示す第2情報と、を取得するコントローラと、前記第1情報と前記第2情報とに基づき前記機器の保守点検時期または寿命を算出するサーバと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の製造時期の情報を含む第1情報を記憶する機器と、
前記第1情報と、前記機器の使用状況を示す第2情報と、を取得するコントローラと、
前記第1情報と前記第2情報とに基づき前記機器の保守点検時期または寿命を算出するサーバと、
を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記第2情報は、前記機器の使用時間と、前記機器の使用環境の情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記第1情報は、前記機器の機種コードを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記第2情報は、前記機器の使用時間と、前記機器が設置された地域情報を含み、
前記第1情報は、前記機器の機種コードを含み、
前記サーバは、前記地域情報が示す地域の平均気温と、前記機種コードに応じた推奨使用温度と、前記使用時間と、前記機種コードに応じた限界稼働時間とから、前記保守点検時期または前記寿命を算出することを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記サーバは、前記第1情報と前記第2情報とから前記保守点検時期または前記寿命を算出するための学習済みモデルを用いて、前記保守点検時期または前記寿命を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項6】
前記コントローラが送信した前記第1情報と前記第2情報とを、予め定められた期間毎に集計して前記サーバに送信する統合操作器を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項7】
センサを備え、
前記サーバは、前記機器の使用時間または前記センサが取得した情報に基づき、前記制御システムの消費電力を低減させるプランを算出することを特徴とする請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項8】
前記サーバは、前記機器の使用時間または前記センサが取得した情報から前記プランを算出するための学習済みモデルを用いて、前記プランを算出することを特徴とする請求項7に記載の制御システム。
【請求項9】
前記機器は照明器具であることを特徴とする請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項10】
機器の製造時期の情報を含む第1情報と、前記機器の使用状況を示す第2情報と、を取得するデータ取得部と、
前記第1情報と前記第2情報とに基づき前記機器の保守点検時期または寿命を算出する制御部と、
を備えることを特徴とするサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御システムおよびサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コントロール装置と端末器と照明器具より成る照明制御装置における照明器具寿命の警報発生器が開示されている。この警報発生器は、照明器具の寿命時間を設定し、実際の照明器具の使用時間が寿命時間を超えたとき、警報を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-271897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照明器具の光源が蛍光灯からLEDに移行したことで、照明器具の寿命は長期化している。このため、保守点検の時期が分かりにくい場合がある。特許文献1の警報発生器によれば、ユーザは照明器具の寿命を知ることができる。しかし、予め定められた寿命時間が経過しないと、ユーザは寿命を知ることができない。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、ユーザが機器の保守点検時期または寿命を事前に把握できる制御システムおよびサーバを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御システムは、自身の製造時期の情報を含む第1情報を記憶する機器と、前記第1情報と、前記機器の使用状況を示す第2情報と、を取得するコントローラと、前記第1情報と前記第2情報とに基づき前記機器の保守点検時期または寿命を算出するサーバと、を備える。
【0007】
本開示に係るサーバは、機器の製造時期の情報を含む第1情報と、前記機器の使用状況を示す第2情報と、を取得するデータ取得部と、前記第1情報と前記第2情報とに基づき前記機器の保守点検時期または寿命を算出する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る制御システムおよびサーバでは、機器の製造時期の情報を含む第1情報と、機器の使用状況を示す第2情報に基づき、機器の保守点検時期または寿命が算出される。従って、ユーザが機器の保守点検時期または寿命を事前に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る照明制御システムのブロック図である。
図2】実施の形態1に係る器具情報を取得する際のシーケンスを示す図である。
図3】実施の形態1に係る器具情報を説明する図である。
図4】実施の形態1に係る照明制御システムの機器がグループ化された状態を示す図である。
図5】実施の形態1に係る端末管理情報リストを示す図である。
図6】実施の形態1に係る利用環境データを示す図である。
図7】実施の形態1に係る稼働データを示す図である。
図8】実施の形態1に係るセンサ制御データを示す図である。
図9】実施の形態1に係るクラウドサーバのデータ取得先を説明する図である。
図10】実施の形態1に係るクラウドサーバにおける寿命の算出方法を示すフローチャートである。
図11】実施の形態1に係る使用期限情報を示す図である。
図12】実施の形態1に係る月間平均気温のデータを示す図である。
図13】実施の形態1に係るクラウドサーバの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態に係る制御システムおよびサーバについて図面を参照して説明する。同じまたは対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明制御システム100のブロック図である。照明制御システム100は、クラウドサーバ22、統合操作器21、照明ネットワークコントローラ10、照明コントローラ11、制御端末、照明器具12、増幅器20、各種切替端末器14、各種センサ15、壁スイッチ16を備える。照明器具12は例えばLED照明器具である。制御端末は照明器具12を制御する。制御端末は、制御ユニット18、調光信号端末器19、調光コントローラ17を含む。センサ15は、照明器具12の点灯状態の操作に用いる情報を取得する。センサ15は、例えば照度人感センサ、照度センサ、人感センサ親機、照度人感センサ子機、画像人感センサを含む。
【0012】
照明コントローラ11下の機器は通信線13で接続されている。通信線13は例えばシリアル通信用の通信であり、照明コントロール通信線とも呼ばれる。照明ネットワークコントローラ10には複数の照明コントローラ11が接続されている。図1では、1つの照明コントローラ11下の機器が示され、他の照明コントローラ11に接続された機器は省略されている。照明コントローラ11、照明ネットワークコントローラ10、統合操作器21、クラウドサーバ22は、例えばLANケーブルにより接続されている。
【0013】
次に、各機器の役割を説明する。照明器具12には、自身の製造時期の情報を含む第1情報を記憶している。製造時期は、例えば製造年月日である。さらに、第1情報は、照明器具12にユニークに割り当てられた機種コードを含んでも良い。以下では第1情報を器具情報と呼ぶ場合がある。
【0014】
制御ユニット18、調光信号端末器19、調光コントローラ17等の制御端末は、照明コントローラ11と照明器具12との関連付けをするアドレスとチャンネルを保持することができる。制御端末は、照明コントローラ11から自身が保持するアドレスおよびチャンネル宛に制御指示が来た場合、制御指示に対応する制御を照明器具12に対して実行する。
【0015】
照明コントローラ11は登録済の照明器具12の情報、照明器具12の制御状態およびセンサ15の制御状態を取得および管理する。つまり照明コントローラ11は、第1情報と、照明器具12の使用状況を示す第2情報を取得する。第2情報は、例えば照明器具12の使用時間と、照明器具12の使用環境の情報を含む。照明器具12の使用時間は、稼働時間または点灯時間であっても良い。
【0016】
照明ネットワークコントローラ10には、複数の照明コントローラ11を接続することができる。統合操作器21は、クラウドサーバ22が照明器具12の寿命等を算出するための制御データの管理を行う。統合操作器21は、照明ネットワークコントローラ10を介して、登録済の照明器具12の制御状態およびセンサ15の制御状態等を各照明コントローラ11に取得させることができる。統合操作器21は、照明器具12毎または照明器具12のグループ毎の使用時間およびセンサ15の制御データ等を蓄積する。統合操作器21は、照明コントローラ11が送信した第1情報と第2情報とを、予め定められた期間毎に集計して、クラウドサーバ22に送信する。
【0017】
クラウドサーバ22は、第1情報と第2情報とに基づき照明器具12の寿命を算出する。クラウドサーバ22は、第1情報に基づく照明器具12の型式、製造番号等、第2情報に基づく照明器具12の使用時間、使用環境等から寿命を算出する。ここで、使用環境は例えば特定期間の温度、照明器具12が設置された地域情報等である。特定期間は例えば1ヶ月である。寿命は、例えば照明器具12を使用可能な日数である。クラウドサーバ22は寿命に代えて、照明器具12の保守点検時期を算出しても良い。クラウドサーバ22は、照明器具12が電池などの消耗部品を用いる場合、消耗部品の部品交換時期を算出しても良い。クラウドサーバ22は、クラウドAI(Artificial Intelligence)としての機能を有しても良い。
【0018】
次に、第1情報つまり器具情報の取得方法について具体的に説明する。図2は、実施の形態1に係る器具情報を取得する際のシーケンスを示す図である。各照明器具12には、工場出荷時等に固有の機種コードと製造年月日が設定されている。また、照明器具12は、制御端末からの器具情報モニタに応答できるように構成されている。まず、照明コントローラ11は調光コントローラ17等の制御端末に任意のアドレスとチャンネルを割当てる(ステップ1)。照明コントローラ11は、各制御端末に例えば255のアドレスの中から任意のアドレスを割当て、制御可能な状態にする。
【0019】
制御端末は、電源起動後アイドル状態になる前に、照明器具12に対して器具情報モニタ要求を送信する(ステップ2)。器具情報モニタ要求には、照明器具12のアドレスとチャンネルが付加されている。照明器具12は、器具情報モニタ要求に対して、自身のアドレスおよびチャンネルと、第1情報として自身の機種コードと製造年月日の情報を通知する(ステップ3)。なお、ここまでの期間T1では、照明コントローラ11は、照明器具12を制御できない。
【0020】
次に、照明コントローラ11は、配下の機器の起動が完了した後、アドレスとチャンネルで関連付けした制御端末に対して、器具情報モニタ要求を送信する(ステップ4)。器具情報モニタ要求を受けた制御端末は、照明器具12のアドレスと第1情報を返信する(ステップ5)。照明コントローラ11は、照明器具12のアドレスと第1情報を関連付けて保持する(ステップ6)。なお、ステップ4以降の期間T2では、照明コントローラ11は照明器具12を制御できる。
【0021】
図3は、実施の形態1に係る器具情報を説明する図である。照明器具12の宛先アドレス、チャンネルはそれぞれ1byteである。機種コードは6byteである。機種コードの上位3byteはベンダ識別子であり、下位3byteのベンダ内管理番号で器具を識別できる。製造年月日は4byteである。照明コントローラ11は、照明器具12の機種コード、製造年月日の情報を基に、照明器具12が自社製品であるかを判別できる。照明器具12の機種コードが不明の状態もしくは器具情報モニタ要求の送信から一定時間経過しても応答が無い場合、照明コントローラ11は、照明器具12を自社製品ではない照明器具または寿命を算出できない照明器具として取り扱う。
【0022】
照明コントローラ11は統合操作器21に対して、照明器具12のアドレス、チャンネル、器具情報である第1情報を予め通知する。さらに照明コントローラ11は、アドレス、チャンネルに紐づく照明器具12の使用状況を示す第2情報を、統合操作器21に定期的に送信する。
【0023】
図4は、実施の形態1に係る照明制御システム100の機器がグループ化された状態を示す図である。寿命を算出するために、照明コントローラ11配下の機器は、グループ化されて登録されても良い。図4の例では、照明コントローラ11配下の機器がグループ1、2に分けられている。グループ1には、調光コントローラ17a、制御ユニット18a、調光信号端末器19a、各種センサ15a、照明器具12が含まれる。グループ2には、調光コントローラ17b、制御ユニット18b、調光信号端末器19b、センサ15b、照明器具12が含まれる。各機器にはアドレスおよびチャンネルが割り当てられている。
【0024】
統合操作器21はグループに登録されている照明器具12の第1情報、第2情報をアドレスおよびチャンネル毎に保持する。第2情報は、例えば照明器具12の分単位の点灯時間と、点灯消灯の1か月分の日毎の切替回数を含む。統合操作器21は、第1情報、第2情報を、例えば図5~7に示される端末管理情報リスト、利用環境データ、稼働データとして保持する。
【0025】
図5は、実施の形態1に係る端末管理情報リストを示す図である。端末管理情報リストは、各照明器具12の制御アドレス、チャンネル、グループ、機種コード、製造年月日の情報を含む。図6は、実施の形態1に係る利用環境データを示す図である。利用環境データは、利用した月の情報と、照明器具12が設置された地域情報と、照明器具12の1か月毎の稼働日数の情報を含む。図7は、実施の形態1に係る稼働データを示す図である。稼働データは、1か月毎の各照明器具12の点灯時間、点灯消灯切替回数、調光率平均変化量、調光率状態変化回数の情報を含む。
【0026】
また、統合操作器21はグループに登録されているセンサ15の制御データをアドレスおよびチャンネル毎に保持する。統合操作器21は、センサ15の制御データを、例えば図8に示されるセンサ制御データとして保持する。図8は、実施の形態1に係るセンサ制御データを示す図である。センサ制御データは、センサ15の種類によって異なる。センサ制御データは、例えばセンサ15が取得した平均照度、調光率平均変化量、エリア1~nの人の滞在時間、エリア1~nの状態変化通知回数の情報を含む。統合操作器21は、照明制御に関する1か月分のセンサ制御データを保持する。
【0027】
このように統合操作器21は、例えば1か月分、つまり最大31日分の照明器具12の使用状況を示す第2情報およびセンサ制御データを保持する。統合操作器21は、1か月または指定された期間毎に、これらのデータの集計を行い、集計したデータをクラウドサーバ22に送信する。統合操作器21は、照明器具12の寿命を算出するために、端末管理情報リスト、利用環境データ、稼働データをクラウドサーバ22に送信する。また、統合操作器21は、後述する消費電力を低減させるプランを算出するために、センサ制御データをクラウドサーバ22に送信する。
【0028】
次にクラウドサーバ22での寿命または保守点検時期の算出方法について説明する。図9は、実施の形態1に係るクラウドサーバ22のデータ取得先を説明する図である。以下では、統合操作器21以下の機器を纏めて個別システム30と呼ぶことがある。クラウドサーバ22には複数の個別システム30が接続されていても良い。図10は、実施の形態1に係るクラウドサーバ22における寿命の算出方法を示すフローチャートである。まず、クラウドサーバ22は、照明器具12の使用期限情報を取得する(ステップ11)。図11は、実施の形態1に係る使用期限情報を示す図である。クラウドサーバ22には、予め照明器具12の使用期限情報のデータベースが登録されている。使用期限情報は、例えば機種コード毎の限界稼働時間、電池寿命時間、推奨使用温度の情報を含む。
【0029】
次に、クラウドサーバ22は地域毎の月間平均気温のデータを取得する(ステップ12)。図12は、実施の形態1に係る月間平均気温のデータを示す図である。クラウドサーバ22は、第2情報に含まれる地域情報が示す地域の平均気温を、天候情報サイト等から事前に入手する。図12に示されるように、平均気温は、例えば地域毎の1か月の平均気温としてクラウドサーバ22に保持される。
【0030】
クラウドサーバ22は、統合操作器21から図5に示される利用環境データを予め受信している。利用環境データの取得は、例えば1か月毎または設定状況が更新されたタイミングで行われる。次に、クラウドサーバ22は、例えば各個別システム30の稼働データが1か月以上存在する場合に(ステップ13)、クラウドサーバ22は寿命の算出処理を実施する。
【0031】
クラウドサーバ22は1か月毎の利用環境データより、アドレス毎の1か月の稼働日数を取得する(ステップ14)。次にクラウドサーバ22は、利用環境データより、アドレス毎の地域情報を取得する。クラウドサーバ22は、天候情報サイト等を参照して、照明器具12が設置されている地域情報と地域ごとの月間平均気温の情報を基に、照明器具12の設置場所の平均気温を算出する(ステップ15)。
【0032】
次にクラウドサーバ22は、照明器具12に機種コードがある場合(ステップ16)、算出した平均気温と、照明器具12の機種コードに対応する推奨使用温度から、寿命減少係数を算出する(ステップ17-1)。次にクラウドサーバ22は、寿命減少係数と照明器具12毎の点灯時間の積から、消耗時間を算出する(ステップ17-2)。次にクラウドサーバ22は、消耗時間と限界稼働時間との差から、残存稼働時間を算出する(ステップ17-3)。ここまでが残存稼働時間を算出するアルゴリズムである。このようにクラウドサーバ22は、地域情報が示す地域の平均気温と、機種コードに応じた推奨使用温度と、照明器具12の使用時間と、機種コードに応じた限界稼働時間とから、残存稼働時間を算出する。
【0033】
次に、クラウドサーバ22は、天候情報サイトから稼働月を基準に過去12ヶ月分の月毎の平均気温を取得する(ステップ17-4)。クラウドサーバ22は、残存稼働時間と過去12ヶ月分の月毎の平均気温を用いて、推定寿命時間を算出する(ステップ17-5)。なお、ステップ16で機種コードがない場合、40000時間とこれまでの点灯時間との差から推定寿命時間を算出する(ステップ18)。
【0034】
次に、去年、つまり過去12か月分の稼働日数のデータが存在する場合(ステップS19)、クラウドサーバ22は、推定寿命時間と、去年の月間平均気温と、去年の点灯時間から推定寿命年月日を算出する(ステップ20)。去年の稼働日数のデータが存在しない場合(ステップS19)、クラウドサーバ22は、カレンダ情報から稼働日数をカウントし、日数を時間に変換して推定寿命年月日を算出する(ステップ21)。このように照明器具12の寿命は、例えば去年1年間の平均気温を基に算出することができる。
【0035】
クラウドサーバ22は、算出した照明器具12の寿命を、統合操作器21に対して残りの利用可能時間として通知する。以上から、ユーザが機器の保守点検時期または寿命を事前に把握できる。
【0036】
照明器具12の寿命の算出方法は、上述の方法に限定されない。クラウドサーバ22は、製造時期の情報を含む第1情報と照明器具12の使用状況を示す第2情報とに基づき照明器具12の保守点検時期または寿命を算出すれば良い。製造時期と使用状況の情報を用いることで、精度よく寿命を算出できる。具体的には第2情報として、照明器具12の使用時間、使用環境の情報を用いると良い。また、照明器具12が設置された地域の平均気温と、機種コードに応じた推奨使用温度と、照明器具12の使用時間と、機種コードに応じた限界稼働時間とを用いることで、さらに精度よく寿命を算出できる。
【0037】
寿命の算出は、AIにより学習モデルおよび推論等を用いて行っても良い。この場合、クラウドサーバ22は、第1情報と第2情報とから保守点検時期または寿命を算出するための学習済みモデルを用いて、照明器具12の保守点検時期または寿命を算出する。
【0038】
なお、寿命、保守点検時期または消耗部品の交換時期の算出を行う対象となる機器は、照明器具12に限定されない。照明ネットワークコントローラ10、照明コントローラ11、切替端末器14、センサ15、壁スイッチ16、調光コントローラ17、制御ユニット18、調光信号端末器19、増幅器20、統合操作器21などの機器の何れかが寿命の算出の対象であっても良い。また、消耗部品は電池に限定されない。寿命、保守点検時期または交換時期の算出の対象となる機器または部品は、法令または業界のガイドライン等の規制対象になっていてもいなくても良い。
【0039】
次に、照明制御システム100の消費電力を低減させるプランの算出について説明する。クラウドサーバ22は、図7に示される点灯時間等の稼働データまたは図8に示されるセンサ制御データに基づき、ユーザに対して消費電力を低減できるお薦めの設定通知を行うことができる。設定通知として、例えば「不在頻度の高いエリア/訪れる人が少ないエリア」、「移動する人が多いエリア」、「滞在する人が多いエリア」を通知することができる。
【0040】
例えば照明器具12の稼働データの点灯時間が長く、センサ制御データの滞在時間が短く、状態変化通知回数が少ないエリアは、「不在頻度の高いエリア/訪れる人が少ないエリア」と判別される。この場合、クラウドサーバ22は、対象エリアと同一グループに所属するセンサにおいて、人の不在が検出された時に消灯するまでの時間を、現在の設定値より例えば数割短くする等のお薦めの設定をユーザに通知する。
【0041】
例えばセンサ制御データの滞在時間が短く、状態変化通知回数が多く、照明器具12の点灯時間が長いエリアは、「移動する人が多いエリア」と判別される。クラウドサーバ22は、対象のエリアと同一グループのセンサ15で滞在、不在、移動の状態判別を行う場合に、滞在と判別する条件を厳しくする等のお薦めの設定をユーザに通知する。
【0042】
例えばセンサ制御データの滞在時間が長く、状態変化通知回数が少なく、点灯時間が長いエリアは、「滞在する人が多いエリア」と判別される。クラウドサーバ22は、滞在する頻度が高いエリアと低いエリアを別のグループにまとめる等のお薦めの設定をユーザに通知する。
【0043】
このようにクラウドサーバ22は、照明器具12の使用時間またはセンサ15が取得した情報に基づき、照明制御システム100の消費電力を低減させるプランを算出しても良い。上述の設定通知を行うか否かは、例えば滞在時間、状態変化通知回数、点灯時間の長さを閾値と比較することで決定される。消費電力を低減させるプランは、機器の稼働時間を短縮するプランであっても良い。例えばクラウドサーバ22は、点灯不要箇所をユーザに通知しても良い。稼働時間を短縮するプランとして、センサ15の機能の有効、無効を切り替えるエリアの情報などが通知されても良い。
【0044】
上記プランの算出は、AIの学習モデルなどを用いて行われても良い。つまり、クラウドサーバ22は、照明器具12の使用時間またはセンサ15が取得した情報から消費電力を低減させるプランを算出するための学習済みモデルを用いて、消費電力を低減させるプランを算出しても良い。
【0045】
図13は、実施の形態1に係るクラウドサーバ22の構成を説明する図である。クラウドサーバ22は、データ取得部22aと、記憶部22bと、制御部22cを備える。データ取得部22aは、機器の製造時期の情報を含む第1情報と、機器の使用状況を示す第2情報を取得する。記憶部22bは、データ取得部22aが取得した情報および制御部22cの演算で用いる各種データを記憶する。制御部22cは、第1情報と第2情報とに基づき、機器の保守点検時期または寿命を算出する。データ取得部22aと制御部22cの機能は、プロセッサ等の演算回路で実現できる。記憶部22bは例えば不揮発性メモリ等のメモリである。
【0046】
照明制御システム100の構成は上述した例に限定されない。例えば照明ネットワークコントローラ10と統合操作器21は必須の構成ではない。これらのうち何れかを用いなくても良い。また、照明コントローラ11とクラウドサーバ22が直接的に接続されてもよい。この場合、クラウドサーバ22に稼働データ、センサ制御データ等を蓄積することによって、上記と同様の機能を実現できる。
【0047】
グループについて、例えば照明器具12等の使用条件、制御条件あるいは使用環境などが共通する機器が同一のグループに割り当てられる。また、同一エリアまたは同一フロアの機器が同一のグループに割り当てられても良い。製造者が同一または保守管理者が同一の機器が同一のグループに割り当てられても良い。機器をグループ毎に制御することで、照明器具12の稼働データなどの蓄積されるデータ量を削減することができる。また、識別コード、使用期限情報等のデータベースは、製造者毎に定義されていることがある。このため、照明制御システム100に製造者が異なる照明器具12が混在する場合は、製造者に応じて照明器具12をグループ分けすることで、製造者に対応付けられた制御アルゴリズムを選択的に用いて、照明器具12の寿命を推定することができる。
【0048】
なお、本実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【0049】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
自身の製造時期の情報を含む第1情報を記憶する機器と、
前記第1情報と、前記機器の使用状況を示す第2情報と、を取得するコントローラと、
前記第1情報と前記第2情報とに基づき前記機器の保守点検時期または寿命を算出するサーバと、
を備えることを特徴とする制御システム。
(付記2)
前記第2情報は、前記機器の使用時間と、前記機器の使用環境の情報を含むことを特徴とする付記1に記載の制御システム。
(付記3)
前記第1情報は、前記機器の機種コードを含むことを特徴とする付記1または2に記載の制御システム。
(付記4)
前記第2情報は、前記機器の使用時間と、前記機器が設置された地域情報を含み、
前記第1情報は、前記機器の機種コードを含み、
前記サーバは、前記地域情報が示す地域の平均気温と、前記機種コードに応じた推奨使用温度と、前記使用時間と、前記機種コードに応じた限界稼働時間とから、前記保守点検時期または前記寿命を算出することを特徴とする付記1に記載の制御システム。
(付記5)
前記サーバは、前記第1情報と前記第2情報とから前記保守点検時期または前記寿命を算出するための学習済みモデルを用いて、前記保守点検時期または前記寿命を算出することを特徴とする付記1から4の何れか1項に記載の制御システム。
(付記6)
前記コントローラが送信した前記第1情報と前記第2情報とを、予め定められた期間毎に集計して前記サーバに送信する統合操作器を備えることを特徴とする付記1から5の何れか1項に記載の制御システム。
(付記7)
センサを備え、
前記サーバは、前記機器の使用時間または前記センサが取得した情報に基づき、前記制御システムの消費電力を低減させるプランを算出することを特徴とする付記1から6の何れか1項に記載の制御システム。
(付記8)
前記サーバは、前記機器の使用時間または前記センサが取得した情報から前記プランを算出するための学習済みモデルを用いて、前記プランを算出することを特徴とする付記7に記載の制御システム。
(付記9)
前記機器は照明器具であることを特徴とする付記1から8の何れか1項に記載の制御システム。
(付記10)
機器の製造時期の情報を含む第1情報と、前記機器の使用状況を示す第2情報と、を取得するデータ取得部と、
前記第1情報と前記第2情報とに基づき前記機器の保守点検時期または寿命を算出する制御部と、
を備えることを特徴とするサーバ。
【符号の説明】
【0050】
10 照明ネットワークコントローラ、11 照明コントローラ、12 照明器具、13 通信線、14 切替端末器、15、15a、15b センサ、16 壁スイッチ、17、17a、17b 調光コントローラ、18、18a、18b 制御ユニット、19、19a、19b 調光信号端末器、20 増幅器、21 統合操作器、22 クラウドサーバ、22a データ取得部、22b 記憶部、22c 制御部、30 個別システム、100 照明制御システム
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