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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094730
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】磁気検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20240703BHJP
   G01R 33/07 20060101ALI20240703BHJP
   H10N 52/80 20230101ALI20240703BHJP
【FI】
G01R33/02 V
G01R33/07
H10N52/80 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211465
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】桑原 英治
(72)【発明者】
【氏名】樋口 徹
【テーマコード(参考)】
2G017
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AA04
2G017AC06
2G017AC07
2G017AD53
2G017BA05
5F092AA01
5F092AB01
5F092FA08
(57)【要約】
【課題】磁気の検出精度を高める。
【解決手段】磁気検出装置10は、磁気検出素子20と、磁気検出素子20に対向して配置され、磁束を磁気検出素子20に誘導する集磁体40と、を備える。集磁体40は、磁気検出素子20に対する集磁体40の対向方向に延びた第1集磁部41と、対向方向から見た平面視において、第1集磁部41よりも側方に突出した第2集磁部42と、を含む。集磁体40は、第2集磁部42を貫く磁束を、第1集磁部41を介して磁気検出素子20に誘導するものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気検出素子と、
前記磁気検出素子に対向して配置され、磁束を前記磁気検出素子に誘導する集磁体と、を備え、
前記集磁体は、
前記磁気検出素子に対する前記集磁体の対向方向に延びた第1集磁部と、
前記対向方向から見た平面視において、前記第1集磁部よりも側方に突出した第2集磁部と、を含み、
前記集磁体は、前記第2集磁部を貫く磁束を、前記第1集磁部を介して前記磁気検出素子に誘導するものである、磁気検出装置。
【請求項2】
前記第2集磁部は、前記第1集磁部と連続する基端部と、前記平面視において当該第2集磁部の外周縁に位置する先端部とを有し、
前記先端部の少なくとも一部は、前記平面視において、前記第1集磁部よりも側方に位置している、請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項3】
前記第2集磁部の前記基端部は、前記対向方向における前記第1集磁部の端部であって、前記磁気検出素子側の端部の反対側に位置する端部と連続している、請求項2に記載の磁気検出装置。
【請求項4】
前記磁気検出素子は、磁束を検出するためのセンサ部を有し、
前記第2集磁部の前記先端部の少なくとも一部は、前記平面視において、前記センサ部からはみ出している、請求項2に記載の磁気検出装置。
【請求項5】
前記第2集磁部は、前記平面視において、矩形状の外形を有する、請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項6】
前記第2集磁部は、前記平面視において、矩形状の外形を有し、
前記第2集磁部の前記先端部は、前記矩形状の四辺の各々に位置する第1辺部、第2辺部、第3辺部、および第4辺部を有し、
前記第2集磁部における前記基端部から前記第1辺部までの距離、前記基端部から前記第2辺部までの距離、前記基端部から前記第3辺部までの距離、および前記基端部から前記第4辺部までの距離の少なくとも1つは、0.1μm以上250μm以下である、請求項2に記載の磁気検出装置。
【請求項7】
前記第1集磁部は、
前記磁気検出素子に向けて延びる柱状の支持部と、
前記支持部の表面にコーティングされた磁性体膜と、
を含む、請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項8】
前記第1集磁部は、前記第2集磁部と連続している側面を有し、
前記側面は、前記対向方向に平行な直立面を含む、請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項9】
前記第1集磁部は、前記対向方向を高さ方向とする直方体形状である、請求項8に記載の磁気検出装置。
【請求項10】
前記対向方向において、前記第1集磁部の長さは、0.2μm以上200μm以下である、請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項11】
前記磁気検出素子は、磁束を検出するためのセンサ部を有し、
前記センサ部は、前記集磁体の前記第1集磁部から前記対向方向に離隔しており、
前記センサ部と前記第1集磁部との離隔距離は、0.1μm以上100μm以下である、請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項12】
前記磁気検出素子は、磁束を検出するためのセンサ部を有し、
前記センサ部の少なくとも一部は、前記平面視において、前記集磁体の前記第1集磁部からはみ出している、請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項13】
前記磁気検出素子に対向する対向面を有する基板を備え、
前記集磁体は、前記磁気検出素子と前記基板との間に配置されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の磁気検出装置。
【請求項14】
前記磁気検出素子は、当該磁気検出装置を実装する際の実装面として用いられる第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有し、
前記集磁体は、前記磁気検出素子の前記第2面の上に配置されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の磁気検出装置。
【請求項15】
前記磁気検出素子に対向する対向面を有する基板を備え、
前記磁気検出素子は、前記基板に対向する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有し、
前記集磁体は、
前記磁気検出素子の前記第1面と前記基板の前記対向面との間に配置されている第1集磁体と、
前記磁気検出素子の前記第2面の上に配置されている第2集磁体とを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の磁気検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の磁気検出装置として、例えば特許文献1には、リードフレームにホール素子が実装されて封止樹脂でホール素子を封止することによりパッケージ化された磁気測定装置の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-077730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の磁気検出装置は、磁気検出装置周囲の磁界が弱い場合、ホール素子の磁気検出面を通過する磁束密度が低いため、磁気の検出精度が低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様である磁気検出装置は、磁気検出素子と、前記磁気検出素子に対向して配置され、磁束を前記磁気検出素子に誘導する集磁体と、を備え、前記集磁体は、前記磁気検出素子に対する前記集磁体の対向方向に延びた第1集磁部と、前記対向方向から見た平面視において、前記第1集磁部よりも側方に突出した第2集磁部と、を含み、前記集磁体は、前記第2集磁部を貫く磁束を、前記第1集磁部を介して前記磁気検出素子に誘導するものである。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様である磁気検出装置によれば、磁気の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の磁気検出装置の概略断面図である。
図2図2は、第1実施形態の集磁体の斜視図である。
図3図3は、平面視における集磁体と磁気検出装置のセンサ部との位置関係を示す平面図である。
図4図4は、集磁体により誘導される磁束のシミュレーション結果を示す概略断面図である。
図5図5は、第2実施形態の磁気検出装置の概略断面図である。
図6図6は、第3実施形態の磁気検出装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示における磁気検出装置の実施形態を説明する。
なお、説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0009】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図していない。
【0010】
<第1実施形態>
図1図3を参照して、第1実施形態の磁気検出装置10について説明する。
図1は、磁気検出装置10を示す概略断面図である。なお、本開示において使用される「X方向」は、図1に示される互いに直交するXYZ軸のX方向に沿った方向を意味し、「Y方向」は、上記XYZ軸のY方向に沿った方向を意味し、「Z方向」は、上記XYZ軸のZ方向に沿った方向を意味する。本開示において使用される「平面視」という用語は、上記XYZ軸のZ軸に沿って上方から磁気検出装置10を視ることを意味する。
【0011】
磁気検出装置10は、電子機器の回路基板Sに表面実装される形式の磁気検出装置である。図1は、回路基板Sに表面実装されている状態の磁気検出装置10を示している。磁気検出装置10は、磁気検出素子20と、磁気検出素子20に対向する対向面30Aを有する基板30と、磁気検出素子20と基板30との間に配置され、磁束を磁気検出素子20に誘導する集磁体40とを備える。また、磁気検出装置10は、磁気検出素子20と基板30との間に設けられた絶縁層50を有する。集磁体40は、絶縁層50内に配置されている。
【0012】
(磁気検出素子)
磁気検出素子20は、当該磁気検出素子20を貫く磁束を検出するものである。磁気検出装置10は、磁気検出素子20によって磁束が検出されることによって、磁気(磁界)を検出するように構成されている。
【0013】
磁気検出素子20は特に限定されるものでなく、磁束を検出する公知のセンサを用いることができる。磁気検出素子20としては、たとえば、P型のシリコンからなる半導体層と、この半導体層の表面にN型の導電型不純物が導入されて拡散層として形成されたN型の半導体領域とを有するホール素子が挙げられる。また、磁気検出素子20は、ホール素子以外のその他の素子であってもよい。
【0014】
磁気検出素子20は、絶縁層50の上面50A、すなわち、絶縁層50における基板30と反対側の表面に配置されている。磁気検出素子20は、磁束を検出するセンサ部21と、外部接続用の端子である電極パッド22とを備える。センサ部21と電極パッド22は、図示しない配線により電気的に接続されている。電極パッド22は、ワイヤWによって外部電極Eに電気的に接続されている。ワイヤWは、ワイヤボンディング装置によって形成されるボンディングワイヤである。電極パッド22およびワイヤWは、たとえば、Au、Al、Cuなどの導体によって形成されている。
【0015】
(基板)
基板30は、磁気検出装置10の基礎となる部材である。基板30は、単結晶材料である半導体材料からなる。基板30の一例は、シリコンの単結晶材料からなる。基板30は、磁気検出素子20に対向する対向面30Aを有するとともに、Z方向を厚さ方向とする平板状である。対向面30Aは、X方向およびY方向に平行な面である。
【0016】
基板30の平面視形状は、たとえば、X方向に延びる辺およびY方向に延びる辺を有するとともに、X方向の寸法がY方向の寸法よりも長い矩形状である。なお、基板30の平面視形状は上記矩形状に限定されるものでなく、正方形状、多角形状、円形状などのその他の形状であってもよい。
【0017】
(集磁体)
図1に示すように、集磁体40は、基板30の対向面30Aの上に配置されるとともに、磁気検出素子20に対向して配置されている。以下、集磁体40と磁気検出素子20とが対向する方向(Z方向)を、集磁体40の対向方向と記載する場合がある。
【0018】
集磁体40は、第1集磁部41と、第2集磁部42とを含む。第1集磁部41は、磁気検出素子20に対向するとともに、集磁体40の対向方向に延びている部位である。第2集磁部42は、平面視において、第1集磁部41よりも側方に突出している部位である。集磁体40は、第2集磁部42を貫く磁束を、第1集磁部41を介して磁気検出素子20に誘導する。
【0019】
なお、集磁体40は、基板30の対向面30Aに接する態様にて対向面30Aの上に配置されていてもよいし、他の部材を介して対向面30Aの上に配置されていてもよい。図1は、一例として、基板30の対向面30Aに接する態様にて対向面30Aの上に集磁体40が配置されている場合を図示している。
【0020】
[第1集磁部]
第1集磁部41は、基板30から磁気検出素子20に向けて起立した柱状の支持部43と、支持部43の表面にコーティングされた磁性体膜44とを含む。
【0021】
支持部43は、基板30の対向面30Aの上に配置されている。支持部43は、たとえば、Cuなどの非磁性体材料により形成されている。また、支持部43を形成する材料は、磁性体材料であってもよい。
【0022】
支持部43は、支持部43の磁気検出素子20側の端部に位置する上面43Aと、支持部43の基板30側の端部から上面43Aに向かって延びる側面43Bとを有する。支持部43の上面43Aは、集磁体40の対向方向に直交する平面である。支持部43の側面43Bは、集磁体40の対向方向に平行な直立面である。上記直立面は、換言すると、基板30の対向面30Aに対して直交する面である。なお、支持部43の側面43Bは、集磁体40の対向方向に対して傾斜した傾斜面であってもよい。また、複数の側面43Bを有する形状の支持部43である場合、支持部43は、側面43Bとしての1または複数の上記直立面と、側面43Bとしての1または複数の傾斜面とを有していてもよい。
【0023】
支持部43の外形は、たとえば、基板30の対向面30Aから磁気検出素子20に向かって断面積が一定である四角柱状などの多角柱状である。また、支持部43の外形は、基板30の対向面30Aから磁気検出素子20に向かって断面積が徐々に減少する四角錐台状などの多角錐台状であってもよい。以下では、支持部43が直方体状に形成されている場合を例に挙げて説明する。直方体状である支持部43の場合、支持部43が有する4つの側面43Bは、全て上記直立面である。
【0024】
磁性体膜44は、支持部43の表面、すなわち、支持部43の上面43Aおよび各側面43Bに設けられている。磁性体膜44は、磁性体材料によって形成されている。磁性体膜44を形成する磁性体材料としては、たとえば、フェライト、Fe、Niが挙げられる。磁性体膜44の膜厚は、たとえば、0.1μm以上50μm以下である。磁性体膜44の膜厚は、全て一定であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。
【0025】
第1集磁部41は、第1集磁部41の磁気検出素子20側の端部41E1に位置して、磁気検出素子20に対向する集磁対向面41Aと、第1集磁部41における端部41E1の反対側に位置する端部41E2から集磁対向面41Aに向かって延びる集磁側面41Bとを有する。集磁対向面41Aおよび集磁側面41Bは、磁性体膜44により形成されている表面である。
【0026】
第1集磁部41は、その高さ寸法である、集磁体40の対向方向の長さL1が長いことが好ましい。第1集磁部41の上記長さL1は、第1集磁部41の基板30側の端部41E2から磁気検出素子20側の端部41E1までの長さである。第1集磁部41の上記長さL1は、支持部43の突出高さ(Z方向の長さ)および磁性体膜44の膜厚の一方または両方を変更することにより調整できる。第1集磁部41の上記長さL1は、たとえば、0.2μm以上200μm以下であり、好ましくは10μm以上150μm以下であり、より好ましくは50μm以上150μm以下である。
【0027】
図2は、集磁体40の斜視図であり、図3は、平面視における集磁体40と磁気検出素子20のセンサ部21との位置関係を示す平面図である。図2および図3は、集磁体40の形状の一例を示している。以下、図2および図3に示す第1集磁部41全体の形状を具体的に説明する。
【0028】
第1集磁部41は、集磁体40の対向方向を高さ方向とする直方体形状である。したがって、第1集磁部41は、平面視矩形状である。第1集磁部41の形状は、支持部43の外形を磁性体膜44の分だけ大きくした形状であり、支持部43の外形に相似する。第1集磁部41は、Z方向一方側(磁気検出素子20側)を向く集磁対向面41Aと、平面視においてX方向またはY方向を向く4つの集磁側面41Bを有する。集磁側面41Bは、X方向を向くとともにY方向に平行である集磁側面41B1、41B2と、Y方向を向くとともにX方向に平行である集磁側面41B3、41B4とを含む。4つの集磁側面41Bは、集磁体40の対向方向(Z方向)に平行な直立面である。第1集磁部41の平面視形状は、X方向の寸法がY方向の寸法よりも長い矩形状である。なお、第1集磁部41全体の形状は、図2および図3に示す形状に限定されない。たとえば、第1集磁部41全体の形状は、四角錐台状などの多角錐台状であってもよい。
【0029】
次に、第1集磁部41の配置について説明する。
図1および図3に示すように、第1集磁部41は、集磁体40の対向方向(Z方向)において、磁気検出素子20のセンサ部21と重なる位置に配置される。特に、第1集磁部41は、集磁側面41Bにおける磁気検出素子20側の端部41E1の少なくとも一部が、磁気検出素子20のセンサ部21と重なっていることが好ましい。この場合、第1集磁部41の集磁側面41Bに集められた磁束を、磁気検出素子20のセンサ部21に誘導する効果が向上する。
【0030】
したがって、第1集磁部41は、集磁側面41Bにおける磁気検出素子20側の端部の全体、すなわち、全ての集磁側面41Bの磁気検出素子20側の端部41E1が、磁気検出素子20のセンサ部21と重なっている構成であることが特に好ましい。図2および図3は、一例として、集磁側面41Bにおける磁気検出素子20側の端部41E1の全体が、磁気検出素子20のセンサ部21と重なっている状態の第1集磁部41を図示している。
【0031】
また、図1および図3に示すように、集磁体40の対向方向において、センサ部21と重なっている集磁側面41Bの端部41E1の位置は、センサ部21の外周縁21Aよりもセンサ部21の中央側に位置していることが好ましい。換言すると、平面視において、センサ部21の外周縁21Aの少なくとも一部は、集磁側面41Bの磁気検出素子20側の端部41E1からはみ出していることが好ましく、センサ部21の外周縁21Aの全体が集磁側面41Bの磁気検出素子20側の端部41E1からはみ出していることが好ましい。この場合、センサ部21の外周縁21Aから集磁側面41Bの磁気検出素子20側の端部41E1までの距離L2は、たとえば、0.1μm以上50μm以下である。なお、上記距離L2は、たとえば、図2に示す集磁体40の場合、集磁側面41B1からセンサ部21の外周縁21Aまでの距離、集磁側面41B2からセンサ部21の外周縁21Aまでの距離、集磁側面41B3からセンサ部21の外周縁21Aまでの距離、および集磁側面41B4からセンサ部21の外周縁21Aまでの距離の少なくとも1つである。
【0032】
図1に示すように、集磁体40の対向方向において、第1集磁部41は、磁気検出素子20のセンサ部21と離隔していてもよいし、センサ部21に接していてもよい。第1集磁部41とセンサ部21とが離隔している場合には、第1集磁部41とセンサ部21の短絡を抑制できる。第1集磁部41とセンサ部21の離隔距離L3は、たとえば、0.1μm以上100μm以下である。第1集磁部41とセンサ部21とが離隔している場合、第1集磁部41とセンサ部21との間には、絶縁層50が介在していることが好ましい。
【0033】
[第2集磁部]
図1に示すように、第2集磁部42は、基板30の対向面30Aの上に広がる平板状の部位である。第2集磁部42は、磁性体材料によって形成されている。第2集磁部42を形成する磁性体材料としては、たとえば、フェライト、Fe、Niが挙げられる。第2集磁部42の一例は、磁性体膜44と同じ材料により構成されるとともに、磁性体膜44から連続して一体に形成されている。第2集磁部42の厚さは、たとえば、0.1μm以上50μm以下である。
【0034】
第2集磁部42は、第1集磁部41の基板30側の端部41E2から側方に突出している。上記の側方に突出するとは、集磁体40の対向方向(Z方向)に直交する方向(X-Y平面に沿った方向)に突出することを意味する。第2集磁部42は、集磁体40の対向方向に直交する方向における特定の一方向または特定の複数方向のみに突出していてもよいし、対向方向に直交する方向の全方向に突出していてもよい。
【0035】
第2集磁部42は、第1集磁部41と連続する基端部42Aと、平面視において第2集磁部42の外周縁に位置する先端部42Bとを有する。第2集磁部42は、平面視において、先端部42Bの少なくとも一部が、磁気検出素子20のセンサ部21からはみ出していることが好ましく、先端部42Bの全体が磁気検出素子20のセンサ部21からはみ出していることがより好ましい。また、第2集磁部42は、平面視において、先端部42Bが磁気検出素子20のセンサ部21からはみ出していない形状であってもよい。
【0036】
図2および図3は、集磁体40の形状の一例を示している。以下、図2および図3に示す第2集磁部42の形状を具体的に説明する。第2集磁部42は、平面視矩形状の外形を有する。第2集磁部42は、矩形状の四辺の各々に位置するとともに、X方向またはY方向に平行な4つの辺部42Cを有する。4つの辺部42Cの各々は、第2集磁部42の先端部42Bである。また、4つ辺部42Cは、Y方向に平行である第1辺部42C1および第2辺部42C2と、X方向に平行である第3辺部42C3および第4辺部42C4とを含む。
【0037】
ここで、第2集磁部42は、平面視において、より広く形成されていることが好ましい。第2集磁部42を広く形成することにより、より広範囲の磁束を集めることができる。たとえば、図3に示すように、第2集磁部42の平面視形状がX方向およびY方向に平行な矩形状である場合、第2集磁部42における基端部42Aから第1辺部42C1~第4辺部42C4までの距離L4a~L4dの少なくとも1つは、0.1μm以上である。距離L4aは、第2集磁部42の基端部42A(集磁側面41B1)から第1辺部42C1までの距離である。距離L4bは、第2集磁部42の基端部42A(集磁側面41B2)から第2辺部42C2までの距離である。距離L4cは、第2集磁部42の基端部42A(集磁側面41B3)から第3辺部42C3までの距離である。距離L4dは、第2集磁部42の基端部42A(集磁側面41B4)から第4辺部42C4までの距離である。また、第2集磁部42を広く形成することによる集磁効果には上限がある。そのため、集磁体40の大型化を抑制するなどの観点から、距離L4a~L4dは、たとえば、250μm以下である。
【0038】
なお、第2集磁部42の形状は、図2および図3に示す形状に限定されない。たとえば、第2集磁部42の平面視形状は、正方形状、多角形状、円形状などのその他の形状であってもよい。また、第2集磁部42は、平面視において、第1集磁部41の外周の一部のみに部分的に設けられていてもよい。たとえば、集磁側面41B1~41B4を有する平面視矩形状の第1集磁部41の場合、第2集磁部42の平面視形状の一例は、互いに反対方向を向く2つの集磁側面41B(たとえば、集磁側面41B1,41B2)から突出する部分を有し、残る2つの集磁側面41B(たとえば、集磁側面41B3,41B4)から突出する部分を有さない形状である。別の一例は、互いに隣接する2つの集磁側面41B(たとえば、集磁側面41B1,41B3)から突出する部分を有し、残る2つの集磁側面41B(たとえば、集磁側面41B2,41B4)から突出する部分を有さない形状である。
【0039】
(絶縁層)
絶縁層50は、たとえば、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂材料、二酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al)、AlN、および酸窒化アルミニウム(AlON)のうちいずれか1つを含む材料によって構成される。
【0040】
図1に示すように、絶縁層50は、基板30の対向面30Aおよび集磁体40を覆う態様にて、基板30の上に形成されている。集磁体40は、その表面の全体、すなわち、第1集磁部41における集磁対向面41Aおよび集磁側面41Bの全面、ならびに第2集磁部42が絶縁層50に覆われている。絶縁層50は、基板30と反対側に位置する上面50Aを有する。上面50Aは、集磁体40の対向方向に直交する平面である。絶縁層50の上面50Aの上に磁気検出素子20が配置されている。
【0041】
(作用)
次に、図4を参照して、第1実施形態の磁気検出装置10の作用を説明する。
図4は、図1に磁気検出装置10の部分拡大図であって、集磁体40および磁気検出素子20のみを図示している。図4に示す小矢印は、磁気検出装置10に対して、回路基板S側から磁気検出装置10に向かう方向(集磁体40の対向方向)の磁束が発生する磁場をかけた場合のシミュレーション結果であって、集磁体40の周囲における磁束の向きを示している。
【0042】
図4に示すように、集磁体40の第2集磁部42を貫く磁束は、第2集磁部42の表面および内部を通って第2集磁部42の先端部42B側から基端部42A側へ誘導される。第2集磁部42の基端部42Aに達した磁束は、第1集磁部41の集磁側面41Bおよび第1集磁部41の内部を通って、第1集磁部41の端部41E2側から端部41E1側へ誘導される。
【0043】
第1集磁部41の集磁側面41Bを通って第1集磁部41の端部41E1に達した磁束は、集磁側面41Bが向く側に広がりながら磁気検出素子20のセンサ部21に誘導される。また、第1集磁部41の内部を通って第1集磁部41の端部41E1に達した磁束は、第1集磁部41の集磁対向面41Aに広がりながら磁気検出素子20のセンサ部21に誘導される。
【0044】
このように、集磁体40は、第2集磁部42を貫く磁束を第1集磁部41に集めるとともに、第1集磁部41を通じて、第1集磁部41に対向して配置されている磁気検出素子20のセンサ部21へと誘導する。これにより、磁気検出素子20のセンサ部21を通過する磁束の密度が高くなる。その結果、磁気検出素子20による磁気の検出精度が向上する。
【0045】
また、上記のシミュレーションの結果においては、集磁体40を設けた場合、磁気検出素子20を通過する磁束の密度は、特定範囲Aにおいて最も高くなり、特定範囲Aから離れるにしたがって徐々に低下している。磁気検出素子20における特定範囲Aは、対向方向において集磁側面41Bに重なる位置A1から、集磁側面41Bの側方(集磁側面41が向く方向)に所定距離、離れた位置A2までの範囲である。この結果から、磁気検出素子20のセンサ部21を、その少なくとも一部が上記特定範囲Aに位置するように配置することにより、センサ部21を通過する磁束の密度がより高められることが分かる。
【0046】
(効果)
第1実施形態の磁気検出装置10によれば、以下の効果が得られる。
(1-1)
磁気検出装置10は、磁気検出素子20と、磁気検出素子20に対向して配置され、磁束を磁気検出素子20に誘導する集磁体40と、を備える。集磁体40は、磁気検出素子20に対する集磁体40の対向方向に延びた第1集磁部41と、対向方向から見た平面視において、第1集磁部41よりも側方に突出した第2集磁部42と、を含む。
【0047】
集磁体40は、第2集磁部42を貫く磁束を、第1集磁部41を介して磁気検出素子20に誘導するものである。この構成によれば、集磁体40の第2集磁部42を貫く磁束が、第2集磁部42および第1集磁部41を通って磁気検出素子20に誘導される。これにより、磁気検出素子20を通過する磁束の密度を高めることができる。その結果、磁気検出装置10による磁気の検出精度が向上する。
【0048】
(1-2)
第2集磁部42の基端部42Aは、第1集磁部41の端部41E2と連続している。この構成によれば、第2集磁部42から第1集磁部41へ効率的に磁束を誘導できる。したがって、上記(1-1)の効果がより大きくなる。
【0049】
(1-3)
第2集磁部42の先端部42Bの少なくとも一部は、平面視において、磁気検出素子20のセンサ部21からはみ出している。この構成によれば、平面視において、磁気検出素子20のセンサ部21の周囲を通過していた磁束を、第2集磁部42を通じてセンサ部21に誘導できる。したがって、上記(1-1)の効果がより大きくなる。
【0050】
(1-4)
第2集磁部42の先端部42Bは、矩形状の四辺の各々に位置する第1辺部42C1、第2辺部42C2、第3辺部42C3、および第4辺部42C4を有する。第2集磁部42における基端部42Aから第1辺部42C1までの距離L4a、基端部42Aから第2辺部42C2までの距離L4b、基端部42Aから第3辺部42C3までの距離L4c、および基端部42Aから第4辺部42C4までの距離L4dの少なくとも1つは、0.1μm以上250μm以下である。
【0051】
この構成によれば、第2集磁部42によって、より広範囲の磁束を集めることができる。したがって、上記(1-1)の効果がより大きくなる。また、第2集磁部42を広く形成することによる集磁効果には上限がある。そのため、上記距離を250μm以下にすることにより、第2集磁部42の単位面積あたりの集磁効率をより大きくできる。したがって、集磁体40を設けることによって、磁気検出装置10による磁気の検出精度を高めつつ、必要以上に磁気検出装置10が大型化してしまうことを抑制できる。
【0052】
(1-5)
第1集磁部41は、磁気検出素子20に向けて延びる柱状の支持部43と、支持部43の表面にコーティングされた磁性体膜44と、を含む。この構成によれば、第1集磁部41の表面のみが磁性体材料により形成されている。そのため、第1集磁部41を通過する磁束が第1集磁部41の表面に集中する。これにより、第1集磁部41における磁束を磁気検出素子20に誘導する効果が向上する。その結果、磁気検出装置10による磁気の検出精度が更に向上する。
【0053】
(1-6)
第1集磁部41は、第2集磁部42と連続している側面である集磁側面41Bを有する。集磁側面41Bは、対向方向に平行な直立面を含む。第1集磁部41による磁束を磁気検出素子20に誘導する効果は、第1集磁部41の集磁側面41Bが集磁体40の対向方向に対して平行に近づくほど大きくなる。そのため、この構成によれば、第1集磁部41による磁束を磁気検出素子20に誘導する効果が向上する。その結果、磁気検出装置10による磁気の検出精度が更に向上する。
【0054】
(1-7)
第1集磁部41は、対向方向を高さ方向とする直方体形状である。この構成によれば、第1集磁部41の全ての集磁側面41Bが上記直立面であるため、上記(1-6)の効果がより大きくなる。
【0055】
(1-8)
対向方向において、第1集磁部41の長さL1は、0.1μm以上200μm以下である。第1集磁部41を通じて磁束をセンサ部21に誘導する効果は、上記長さL1が大きくなるにしたがって増加するとともに、上記長さL1が一定以上の長さになると上限に達する。そのため、上記構成によれば、単位長さあたりの集磁効率をより大きくできる。したがって、集磁体40を設けることによって、磁気検出装置10による磁気の検出精度を高めつつ、必要以上に磁気検出装置10が大型化してしまうことを抑制できる。
【0056】
(1-9)
磁気検出素子20は、磁束を検出するためのセンサ部21を有する。センサ部21は、集磁体40の第1集磁部41から対向方向に離隔している。センサ部21と第1集磁部41との離隔距離L3は、0.1μm以上100μm以下である。この構成によれば、センサ部21に近い位置に磁気検出素子20が配置されているため、第1集磁部41の端部41E1から磁気検出素子20に磁束が効率的に誘導される。その結果、磁気検出装置10による磁気の検出精度が更に向上する。
【0057】
(1-10)
磁気検出素子20のセンサ部21の少なくとも一部は、平面視において、集磁体40の第1集磁部41からはみ出している。この構成によれば、磁束密度が高い部分である上記特定範囲Aに位置するようにセンサ部21を配置できる。これにより、センサ部21を通過する磁束の密度をより高めることができる。その結果、磁気検出装置10による磁気の検出精度が更に向上する。
【0058】
<第2実施形態>
第2実施形態の磁気検出装置110は、主に、集磁体40の配置が第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と同様な構成要素については説明を省略し、第1実施形態と異なる構成要素について説明する。
【0059】
図5は、回路基板Sに表面実装されている状態の磁気検出装置110を示す断面図である。磁気検出装置110は、磁気検出素子20と、磁束を磁気検出素子20に誘導する第2集磁体400とを備える。
【0060】
磁気検出素子20は、回路基板Sの上に配置されている。磁気検出素子20は、たとえば、P型のシリコンからなる半導体層と、この半導体層の表面にN型の導電型不純物が導入されて拡散層として形成されたN型の半導体領域とを有するホール素子である。磁気検出素子20は、磁束を検出するセンサ部21と、外部接続用の端子である電極パッド22とを備える。
【0061】
磁気検出素子20は、第1面20Aと、第1面20Aの反対側に位置する第2面20Bとを有する。磁気検出素子20の第1面20Aは、回路基板Sへの実装に用いられる面である。第2集磁体400は、磁気検出素子20の第2面20Bの上に配置されている。また、磁気検出装置110は、磁気検出素子20の第2面20Bの上に設けられた絶縁層500を有する。第2集磁体400は、絶縁層500内に配置されている。絶縁層500は、上面500Aと、上面500Aの反対側に位置する下面500Bとを有する。絶縁層500の下面500Bは、磁気検出素子20の第2面20Bに接している。なお、磁気検出素子20の電極パッド22は、絶縁層500から露出している。
【0062】
第2集磁体400は、第1集磁部410と、第2集磁部420とを含む。第1集磁部410は、磁気検出素子20に対向するとともに、第2集磁体400の対向方向に延びている部位である。第2集磁部420は、平面視において、第1集磁部410よりも側方に突出している部位である。第2集磁体400は、第2集磁部420を貫く磁束を、第1集磁部410を介して磁気検出素子20に誘導する。なお、第2集磁体400の対向方向は、磁気検出素子20と第2集磁体400とが対向している方向(Z方向)を意味する。
【0063】
第1集磁部410は、第1集磁部410の磁気検出素子20側の端部410E1に位置して、磁気検出素子20に対向する集磁対向面410Aと、集磁対向面41Aから第1集磁部410における磁気検出素子20と反対側の端部410E2に向かって延びる集磁側面410Bとを有する。第1集磁部410の構成は、第2集磁体400の対向方向(Z方向)の向きが逆向きとなるように形成されている点を除いて、第1実施形態の第1集磁部41と同じである。したがって、第1集磁部410の形状および寸法、ならびに平面視における配置については、第1実施形態の第1集磁部41と同様の構成を採用できる。
【0064】
第2集磁体400の対向方向において、第1集磁部410は、磁気検出素子20のセンサ部21と離隔していてもよいし、センサ部21に接していてもよい。第1集磁部410とセンサ部21の離隔距離L3Aは、たとえば、0.1μm以上100μm以下である。第1集磁部410とセンサ部21とが離隔している場合、第1集磁部410とセンサ部21との間には、絶縁層500が介在していることが好ましい。
【0065】
第2集磁部420は、絶縁層500の上面500Aの上に広がる平板状の部位である。第2集磁部420は、第1集磁部410の端部410E1から側方に突出している。第2集磁部420は、第1集磁部410と連続する基端部420Aと、平面視において第2集磁部420の外周縁に位置する先端部420Bとを有する。第2集磁部420は、平面視において、先端部420Bの少なくとも一部が、磁気検出素子20のセンサ部21からはみ出していることが好ましく、先端部420Bの全体が磁気検出素子20のセンサ部21からはみ出していることがより好ましい。また、第2集磁部420は、平面視において、先端部420Bが磁気検出素子20のセンサ部21からはみ出していない形状であってもよい。
【0066】
第2集磁部420の構成は、絶縁層500の上面500Aの上に形成されている点を除いて、第1実施形態の第2集磁部42と同じである。したがって、第2集磁部420の形状および寸法、ならびに平面視における配置については、第1実施形態の第2集磁部42と同様の構成を採用できる。
【0067】
(効果)
第2実施形態の磁気検出装置110によれば、第1実施形態の磁気検出装置10と同様の効果が得られる。また、第2実施形態の磁気検出装置110によれば、以下の効果が得られる。
【0068】
(2-1)
磁気検出素子20は、磁気検出装置110を実装する際の実装面として用いられる第1面20Aと、第1面20Aの反対側に位置する第2面20Bとを有する。第2集磁体400は、磁気検出素子20の第2面20Bの上に配置されている。第2集磁体400は、磁気検出素子20に対向するとともに、第2集磁体400の対向方向に延びている第1集磁部410と、平面視において、第1集磁部410よりも側方に突出している第2集磁部420とを備える。
【0069】
この構成によれば、磁気検出素子20が実装されている回路基板Sから磁気検出素子20に向かう方向の磁束(図5において、小矢印で示す方向の磁束)であって、磁気検出素子20のセンサ部21の周囲を通過した磁束が第2集磁部420および第1集磁部410を通じて磁気検出素子20のセンサ部21に誘導される。その結果、第1実施形態と同様に磁気検出装置110による磁気の検出精度が向上する。
【0070】
<第3実施形態>
第3実施形態の磁気検出装置120は、第2実施形態の第2集磁体400が追加されている点が第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態および第2実施形態と同様な構成要素については説明を省略し、第1実施形態と異なる構成要素について説明する。
【0071】
図6は、回路基板Sに表面実装されている状態の磁気検出装置120を示す断面図である。磁気検出装置120は、磁気検出素子20と、磁気検出素子20に対向する対向面30Aを有する基板30と、磁束を磁気検出素子20に誘導する集磁体40(第1集磁体40)および第2集磁体400とを有する。以下、第3実施形態の説明においては、集磁体40を第1集磁体40と記載する。また、磁気検出装置120は、磁気検出素子20と基板30との間に設けられた絶縁層50と、磁気検出素子20の上に設けられた絶縁層500とを有する。
【0072】
磁気検出素子20、基板30、第1集磁体40、および絶縁層50に関して、それら各々の配置および構成は、第1実施形態と同じである。第2集磁体400および絶縁層500に関して、それら各々の配置および構成は、第2実施形態と同じである。
【0073】
第1集磁体40と第2集磁体400の形状および寸法は、同じであってもよいし、一部または全体が異なっていてもよい。たとえば、第1集磁体40の第1集磁部41の外形を直方体形状とし、第2集磁体400の第1集磁部410の外形を四角錐台形状としてもよい。
【0074】
第3実施形態の磁気検出装置120によれば、第1実施形態の磁気検出装置10と同様の効果が得られる。また、第3実施形態の磁気検出装置120によれば、以下の効果が得られる。
【0075】
(3-1)
磁気検出素子20に対向する対向面30Aを有する基板30を備える。磁気検出素子20は、基板30に対向する第1面20Aと、第1面20Aの反対側に位置する第2面20Bとを有する。集磁体は、磁気検出素子20の第1面20Aと基板30の対向面30Aとの間に配置されている第1集磁体40と、磁気検出素子20の第2面20Bの上に配置されている第2集磁体400とを含む。この構成によれば、集磁体として第1集磁体40のみを有する構成と比較して、より多くの磁束を磁気検出素子20に誘導できる。その結果、第1実施形態の磁気検出装置10よりも磁気の検出精度が向上する。
【0076】
<変更例>
上記各実施形態は例えば以下のように変更できる。上記各実施形態と以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せることができる。なお、以下の変更例において、上記各実施形態と共通する部分については、上記各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0077】
・集磁体40の第1集磁部41および第2集磁部42は、一体に形成される構成に限定されない。たとえば、第1集磁部41と第2集磁部42は、異なる材料により形成された第1集磁部41と第2集磁部42とが互いに接するように配置された構成であってもよい。また、第2集磁部42は、第1集磁部41と連続していない構成、すなわち、第1集磁部41と第2集磁部42とが離隔している構成であってもよい。この場合、第1集磁部41と第2集磁部42とを、第2集磁部42側から第1集磁部41側に磁束が誘導される程度に近接して配置する。これらの点は、第2集磁体400の第2集磁部420についても同様である。
【0078】
・集磁体40の対向方向において、第2集磁部42を設ける位置を変更してもよい。たとえば、第1集磁部41における磁気検出素子20側の端部41E1と、その反対に位置する端部41E2との間の途中位置に第2集磁部42を設けてもよい。第2実施形態および第3実施形態に関して、第2集磁部420を設ける位置も同様に変更できる。
【0079】
・第1実施形態および第3実施形態の第1集磁部41に関して、支持部43を省略して中空形状の第1集磁部41としてもよい。この場合、形状を維持できる剛性を有する磁性体材料によって磁性体膜44を形成する。第2実施形態および第3実施形態の第1集磁部410も同様に中空形状としてもよい。
【0080】
・第1実施形態および第3実施形態の第1集磁部41に関して、支持部43および磁性体膜44とからなる構成に変えて、全体が中実状の磁性体により構成される第1集磁部41としてもよい。第2実施形態および第3実施形態の第1集磁部410も同様に中実状の磁性体により構成してもよい。
【0081】
・第3実施形態に関して、第1集磁体40の第2集磁部42および第2集磁体400の第2集磁部42のいずれか一方を省略してもよい。
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」との双方の意味を含む。したがって、「構成Aが構成B上に形成される」という表現は、或る実施形態では構成Aが構成Bに接触して構成B上に直接配置され得るが、他の実施形態では構成Aが構成Bに接触することなく構成Bの上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、構成Aと構成Bとの間に他の構成が形成される構造を排除しない。
【0082】
本開示で使用されるZ方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造は、本明細書で説明されるZ方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えば、X方向が鉛直方向であってもよく、またはY方向が鉛直方向であってもよい。
【0083】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に対象物を区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。
<付記>
本開示から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載される構成要素には、実施形態中の対応する構成要素の参照符号が付されている。参照符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、参照符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0084】
[付記1]
磁気検出素子(20)と、
前記磁気検出素子(20)に対向して配置され、磁束を前記磁気検出素子(20)に誘導する集磁体(40,400)と、を備え、
前記集磁体(40,400)は、
前記磁気検出素子(20)に対する前記集磁体(40,400)の対向方向に延びた第1集磁部(41,410)と、
前記対向方向から見た平面視において、前記第1集磁部(41,410)よりも側方に突出した第2集磁部(42,420)と、を含み、
前記集磁体(40,400)は、前記第2集磁部(42,420)を貫く磁束を、前記第1集磁部(41,410)を介して前記磁気検出素子(20)に誘導するものである、磁気検出装置(10,110,120)。
【0085】
[付記2]
前記第2集磁部(42,420)は、前記第1集磁部(41,410)と連続する基端部(42A,420A)と、前記平面視において当該第2集磁部(42,420)の外周縁に位置する先端部(42B,420B)とを有し、
前記先端部(42B,420B)の少なくとも一部は、前記平面視において、前記第1集磁部(41,410)よりも側方に位置している、付記1に記載の磁気検出装置(10,110,120)。
【0086】
[付記3]
前記第2集磁部(42,420)の前記基端部(42A,420A)は、前記対向方向における前記第1集磁部(41,410)の端部であって、前記磁気検出素子(20)側の端部(41E1)の反対側に位置する端部(41E2)と連続している、付記2に記載の磁気検出装置(10,110,120)。
【0087】
[付記4]
前記磁気検出素子(20)は、磁束を検出するためのセンサ部(21)を有し、
前記第2集磁部(42,420)の前記先端部(42B,420B)の少なくとも一部は、前記平面視において、前記センサ部(21)からはみ出している、付記2または付記3に記載の磁気検出装置(10,110,120)。
【0088】
[付記5]
前記第2集磁部(42,420)は、前記平面視において、矩形状の外形を有する、付記1~3のいずれか1つに記載の磁気検出装置(10,110,120)。
【0089】
[付記6]
前記第2集磁部(42,420)は、前記平面視において、矩形状の外形を有し、
前記第2集磁部(42,420)は、前記平面視において、矩形状の外形を有し、
前記第2集磁部(42,420)の前記先端部(42B,420B)は、前記矩形状の四辺の各々に位置する第1辺部(42C1)、第2辺部(42C2)、第3辺部(42C3)、および第4辺部(42C4)を有し、
前記第2集磁部(42,420)における前記基端部(42A,420A)から前記第1辺部(42C1)までの距離(L4a)、前記基端部(42A,420A)から前記第2辺部(42C2)までの距離(L4b)、前記基端部(42A,420A)から前記第3辺部(42C3)までの距離(L4c)、および前記基端部(42A,420A)から前記第4辺部(42C4)までの距離(L4d)の少なくとも1つは、0.1μm以上250μm以下である、付記2に記載の磁気検出装置(10,110,120)。
【0090】
[付記7]
前記第1集磁部(41,410)は、
前記磁気検出素子(20)に向けて延びる柱状の支持部(43)と、
前記支持部(43)の表面にコーティングされた磁性体膜(44)と、
を含む、付記1~6のいずれか1つに記載の磁気検出装置(10,110,120)。
【0091】
[付記8]
前記第1集磁部(41,410)は、前記第2集磁部(42,420)と連続している側面(41B,410B)を有し、
前記側面(41B,410B)は、前記対向方向に平行な直立面を含む、付記1~7のいずれか1つに記載の磁気検出装置(10,110,120)。
【0092】
[付記9]
前記第1集磁部(41,410)は、前記対向方向を高さ方向とする直方体形状である、付記8に記載の磁気検出装置(10,110,120)。
【0093】
[付記10]
前記対向方向において、前記第1集磁部(41,410)の長さは、0.2μm以上200μm以下である、付記1~9のいずれか1つに記載の磁気検出装置(10,110,120)。
【0094】
[付記11]
前記磁気検出素子(20)は、磁束を検出するためのセンサ部(21)を有し、
前記センサ部(21)は、前記集磁体(40,400)の前記第1集磁部(41,410)から前記対向方向に離隔しており、
前記センサ部(21)と前記第1集磁部(41,410)との離隔距離(L3,L3A)は、0.1μm以上100μm以下である、付記1~10のいずれか1つに記載の磁気検出装置(10,110,120)。
【0095】
[付記12]
前記磁気検出素子(20)は、磁束を検出するためのセンサ部(21)を有し、
前記センサ部(21)の少なくとも一部は、前記平面視において、前記集磁体(40,400)の前記第1集磁部(41,410)からはみ出している、付記1~11のいずれか1つに記載の磁気検出装置(10,110,120)。
【0096】
[付記13]
前記磁気検出素子(20)に対向する対向面(30A)を有する基板(30)を備え、
前記集磁体(40)は、前記磁気検出素子(20)と前記基板(30)との間に配置されている、付記1~12のいずれか1つに記載の磁気検出装置(10,120)。
【0097】
[付記14]
前記磁気検出素子(20)は、当該磁気検出装置(110)を実装する際の実装面として用いられる第1面(20A)と、前記第1面(20A)の反対側に位置する第2面(20B)とを有し、
前記集磁体(400)は、前記磁気検出素子(20)の前記第2面(20B)の上に配置されている、付記1~12のいずれか1つに記載の磁気検出装置(110)。
【0098】
[付記15]
前記磁気検出素子(20)に対向する対向面(30A)を有する基板(30)を備え、
前記磁気検出素子(20)は、前記基板(30)に対向する第1面(20A)と、前記第1面(20A)の反対側に位置する第2面(20B)とを有し、
前記集磁体(40,400)は、
前記磁気検出素子(20)の前記第1面(20A)と前記基板(30)の前記対向面(30A)との間に配置されている第1集磁体(40)と、
前記磁気検出素子(20)の前記第2面(20B)の上に配置されている第2集磁体(400)とを含む、付記1~12のいずれか1つに記載の磁気検出装置(120)。
【符号の説明】
【0099】
A…特定範囲
A1,A2…位置
E…外部電極
L1…長さ
L2,L4a~L4d…距離
L3,L3A…離隔距離
S…回路基板
W…ワイヤ
10,110,120…磁気検出装置
20…磁気検出素子
20A…第1面
20B…第2面
21…センサ部
21A…外周縁
22…電極パッド
30…基板
30A…対向面
40…集磁体、第1集磁体
41,410…第1集磁部
41A,410A…集磁対向面
41B,41B1~41B4,410B…集磁側面
41E1,41E2,410E1,410E2…端部
42,420…第2集磁部
42A,420A…基端部
42B,420B…先端部
42C…辺部
42C1…第1辺部
42C2…第2辺部
42C3…第3辺部
42C4…第4辺部
43…支持部
43A…上面
43B…側面
44…磁性体膜
50,500…絶縁層
50A,500A…上面
400…第2集磁体
500B…下面
図1
図2
図3
図4
図5
図6