(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094731
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】取付構造及び取り外し操作部材
(51)【国際特許分類】
F16B 21/08 20060101AFI20240703BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
F16B21/08
B60R7/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211466
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】308011351
【氏名又は名称】大和化成工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100215038
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】杉山 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】近藤 亮
(72)【発明者】
【氏名】大橋 健二
(72)【発明者】
【氏名】小出 慎之介
【テーマコード(参考)】
3D022
3J037
【Fターム(参考)】
3D022CA07
3D022CA16
3D022CB01
3D022CC01
3D022CD09
3J037AA02
3J037BB01
3J037DA03
3J037DA13
3J037DB02
3J037DC02
(57)【要約】
【課題】一般ユーザーが車室内から容易に機能部材をベース部材から取り外すことが可能な取付構造と、それに用いる取り外し操作部材とを提供する。
【解決手段】 ベース部材2と機能部材3との取付状態において、取り外し操作部材1の操作部15を車室内側、かつ機能部材3をベース部材2から離間させる側に引き出す操作をすることにより、対向挟持部12A、12Bの対向間が拡がって係合爪12Kが係合穴部21Hから引き抜かれ、着脱係合部21に対するベース部材側係合部12の係合組付けが外れるとともに、引き出される撓み延出部14によって機能部材3がベース部材2から持ち上がり、開口2Hを露出させる隙間Sを形成できる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側に固定され、車室内に向けて開口する取付部が設けられたベース部材と、その開口を塞ぎ車室内側に露出する形で前記取付部に取り付けられる機能部材と、を備える取付構造であって、
前記ベース部材の取付部と前記機能部材との取付状態において、当該機能部材を車室内側からの操作によって取り外すための取り外し操作部材を備え、
前記取り外し操作部材は、前記取付状態において、前記機能部材の車室内側に露出する表面とは逆の裏面側に設けられた係合組付け部に対し係合組付けされる機能部材側係合部と、前記ベース部材の前記開口内に設けられた着脱係合部に対し着脱可能に係合組付けされるベース部材側係合部と、前記ベース部材側係合部から前記機能部材と前記ベース部材とに挟まれる挟み位置まで延び出す撓み変形可能な撓み延出部と、前記撓み延出部の前記挟み位置よりも先で車室内に露出する操作部と、を一体に有し、
前記着脱係合部は前記開口内にて開口外向きに突出する係合突出部であり、前記ベース部材側係合部は前記係合突出部を挟む対向挟持部であり、前記対向挟持部のうちの片側の挟持部と前記着脱係合部とは、少なくとも一方に他方に向かう係合爪が設けられ、他方にその係合爪を受け入れる係合穴部が設けられ、その受け入れにより前記着脱係合部と前記ベース部材側係合部とが係合組付けされ、
前記撓み延出部は、当該片側の挟持部から他方の挟持部とは逆側に向けて延び出しており、前記取付状態において前記操作部を車室内側かつ機能部材をベース部材から離間させる側に引き出す操作をすることにより、前記対向挟持部の対向間が拡がって前記係合爪が前記係合穴部から引き抜かれ、前記着脱係合部に対する前記ベース部材側係合部の係合組付けが外れるとともに、引き出される前記撓み延出部によって前記機能部材が前記挟み位置にて前記ベース部材から持ち上がり、前記開口を露出させる隙間が形成されることを特徴とする取付構造。
【請求項2】
前記撓み延出部は、前記片側の挟持部において、前記係合爪又は前記係合穴部が設けられる位置の裏側から延び出す請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された取付構造に用いられ、前記機能部材側係合部と前記ベース部材側係合部と前記撓み延出部と前記操作部とを一体に有した樹脂射出成形体である取り外し操作部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース部材と機能部材とが取り外し可能に取り付けられる取付構造と、その取付構造が備える取り外し操作部材とに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車体側に設けられたベース部材に対し別部材を組付けて構成される機能部が存在する。そして、その別部材を取り外しできるように構成されるものもある。例えば、特許文献1には、車体側のベース部材に対しクリップを用いてラジエータグリルを取り付ける取付構造について記載がある。この取付構造では、取付時に意図的に形成される隙間にドライバー等の治具を挿入してクリップの柄の先端を押すことにより取り外すことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした従来の取付構造では、一般ユーザーによる取り外しを想定しておらず、専門の作業者による取り外し作業が前提となっている。このため、取り外しのためにドライバー等の工具が必要となる等、車室内側からの容易な取り外しはできない。また、仮に一般ユーザーが取り外しを行うとしたなら、工具による作業であるため意匠面に傷をつけてしまう恐れもある。
【0005】
本発明の課題は、一般ユーザーが車室内から容易に機能部材をベース部材から取り外すことが可能な取付構造と、それに用いる取り外し操作部材とを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するための取付構造は、
車体側に固定され、車室内に向けて開口する取付部が設けられたベース部材と、その開口を塞ぎ車室内側に露出する形で前記取付部に取り付けられる機能部材と、を備える取付構造であって、
前記ベース部材の取付部と前記機能部材との取付状態において、当該機能部材を車室内側からのユーザー操作によって取り外すための取り外し操作部材を備え、
前記取り外し操作部材は、前記取付状態において、前記機能部材の車室内側に露出する表面とは逆の裏面側に設けられた係合組付け部に対し係合組付けされる機能部材側係合部と、前記ベース部材の前記開口内に設けられた着脱係合部に対し着脱可能に係合組付けされるベース部材側係合部と、前記ベース部材側係合部から前記機能部材と前記ベース部材とに挟まれる挟み位置まで延び出す撓み変形可能な撓み延出部と、前記撓み延出部の前記挟み位置よりも先で車室内に露出する操作部と、を一体に有し、
前記着脱係合部は前記開口内にて開口外向きに突出する係合突出部であり、前記ベース部材側係合部は前記係合突出部を挟む対向挟持部であり、前記対向挟持部のうちの片側の挟持部と前記着脱係合部とは、少なくとも一方に他方に向かう係合爪が設けられ、他方にその係合爪を受け入れる係合穴部が設けられ、その受け入れにより前記着脱係合部と前記ベース部材側係合部とが係合組付けされ、
前記撓み延出部は、当該片側の挟持部から他方の挟持部とは逆側に向けて延び出しており、前記取付状態において前記操作部を車室内側かつ機能部材をベース部材から離間させる側に引き出す操作をすることにより、前記対向挟持部の対向間が拡がって前記係合爪が前記係合穴部から引き抜かれ、前記着脱係合部に対する前記ベース部材側係合部の係合組付けが外れるとともに、引き出される前記撓み延出部によって前記機能部材が前記挟み位置にて前記ベース部材から持ち上がり(例えば、引き出される前記取り外し操作部材によって前記機能部材が前記ベース部材から持ち上がり)、前記開口を露出させる隙間が形成されることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、ベース部材と機能部材との取付構造に、それら双方に組付けられる取り外し操作部材が含まれる。取り外し操作部材は、ベース部材との組付けが着脱可能になっている一方で、車室内まで延び出した撓み延出部の先端に、機能部材をベース部材から取り外すための操作部が設けられる。操作部に対し、車室内側かつベース部材に対する機能部材側へと引き出す引き出し操作(取り外し操作)をした際、取り外し操作部材は、ベース部材との組付けが外れるとともに、機能部材とベース部材との挟み位置で機能部材をベース部材から押し上げて両部材間に隙間を作る。この隙間に指を入れる等することで、機能部材とベース部材は、意匠面に傷をつけることなく、また工具等を用いることなく、容易に取り外すことが可能になる。
【0008】
さらに上記構成によれば、取り外し操作部材とベース部材との着脱可能な組付け構造は、ベース部材に設けられたベース部材側係合部をなす係合突出部を、取り外し操作部材に設けられた対向挟持部が挟む形で形成される。係合突出部を対向挟持部が挟むとき、対向挟持部の片側の挟持部に設けられた係合爪(係合穴部でもよい)が、係合突出部の係合穴部(係合爪でもよい)に入り込み、これにより対向挟持部の挟み方向に対し直交する方向への抜けが阻止された組付け状態になる。この組付け状態で、操作部を車室内側に引き出す引き出し操作(取り外し操作)をした際、取り外し操作部材は、対向挟持部の片側の挟持部がもう片側の挟持部から離間するように引っ張られ、係合爪が係合穴部から引き出される。つまり、上記構成は、引き出し操作に連動して係合爪と係合穴部との係合関係を確実に解除できる構造になっている。
【0009】
また、上記構成によれば、取り外し操作部材と、取り外し操作部材と機能部材及びベース部材との組付け部位は、ベース部材の開口内に収まって機能部材に蓋されることで、車室内からは操作部以外を視認できない。よって、取り外しを容易にする構造のほとんどが車室内からは見えず、車室内のデザイン性を損なう恐れもない。
【0010】
前記撓み延出部は、前記片側の挟持部において、前記係合爪又は前記係合穴部が設けられる位置の裏側から延び出すように形成できる。係合爪が設けられる片側の挟持部において、その係合爪の裏側に撓み延出部が接続していれば、操作部に引き出し操作(取り外し操作)がなされたときに、係合爪を係合穴から確実に引き抜くように片側の挟持部が引っ張られるから、確実な係合解除・組付け解除ができる。
【0011】
また、上記課題を解決するための取り外し操作部材は、上記取付構造に用いられた取り外し操作部材であって、前記機能部材側係合部と前記ベース部材側係合部と前記撓み延出部と前記操作部とを一体に有した樹脂射出成形体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例である取付構造を示した斜視図。
【
図2】
図1の取付構造に別の機能部材を取り付けた状態を示した斜視図。
【
図4】
図1の取付構造に用いる取り外し操作部材の斜視図。
【
図7】
図1の機能部材に取り外し操作部材を組付けた状態の断面図。
【
図8】
図1又は
図2の取付構造を形成する手順を示した第一図。
【
図12】
図1及び
図2のA-A断面を用い、取付構造から機能部材を取り外す手順を説明する第一図。
【
図14】取り外し操作部材の第一変形例を示した斜視図。
【
図15】
図14の取り外し操作部材を用いた取付構造の変形例を、
図1及び
図2のA-A断面と同一の断面を用いて示した断面図。
【
図17】取り外し操作部材の第二変形例を示した斜視図。
【
図18】
図17の取り外し操作部材を用いた取付構造の変形例を、
図1及び
図2のA-A断面と同一の断面を用いて示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【0014】
本実施例の取付構造100は、
図1及び
図2に示すように、車体側に固定され、車室内に向けて開口する取付部20が設けられたベース部材2と、その開口2H(
図3参照)を塞いで車室内側に露出するよう取付部20に取り付けられる機能部材3と、を備えるとともに、少なくとも該機能部材3が取り外し可能に構成される。ここではさらに、機能部材3は複数存在しており、取付部20に取り付けられた機能部材3を取り外して他の機能部材3を取り付けること(交換)が可能に構成される。
【0015】
なお、
図1~
図3において、センターコンソール200の奥側(インストゥルメントパネル側:
図1~
図3の右上側)が省略されて図示されていないが、奥側(インストゥルメントパネル側)にもセンターコンソール200は続いており、ベース部材2には、上方を臨む四角形状の開口2Hを有した凹部が取付部20(以下、取付凹部20という)として形成されている。
【0016】
ベース部材2は、ここでは車室内に配置されるセンターコンソール200(
図1~
図3参照)の基部であり、ここではインストゥルメントパネルから延出している。
図3に示すように、ベース部材2は、取付凹部20を形成する底壁部20B及び外周壁部20C(奥側は省略)を有し、開口2Hは、上方を開放する形で外周壁部20Cに取り囲まれる。
【0017】
機能部材3は、
図1に示すトレイをなす第一の機能部材3A、
図2に示す複数の缶ホルダーを有した第二の機能部材3B等が複数種存在し、それら複数種の中から選ばれたものがベース部材2の開口2H(
図3参照)に対し、当該開口2Hを塞ぎ、かつ主表面3aが底壁部20Bから一定高さ浮かせた位置となる形で嵌合する。これにより、車室内前後方向に延びるセンターコンソール200の一部にトレイや缶ホルダー等の機能を有した機能部が形成される。
【0018】
なお、本実施例のベース部材2及び機能部材3は、センターコンソール200を形成するものに限らない。例えば車室内の別位置に設けられた別の機能部であってもよい。また、機能部材3はトレイや缶ホルダー以外の機能を有したものであってもよいし、全く同じものが複数あってもよいし、また、デザインが異なるものがあってもよい。
【0019】
複数種の中から選ばれた機能部材3がベース部材2の開口2Hに嵌合することにより、
図1及び
図2に示すような取付構造100が形成される。この嵌合により、機能部材3及びベース部材2は、図示しない爪等の係合部によって互いが組付けられた係合固定状態(嵌合固定状態)となる。
【0020】
一方、取付構造100は、ベース部材2の開口2H(取付部20)に対する機能部材3の嵌合固定状態(取付状態)において、当該機能部材3を車室内側からのユーザー操作によって取り外すための取り外し操作部材1(
図4及び
図5参照)を備える。
【0021】
取り外し操作部材1は、上記嵌合固定状態(取付状態:
図1及び
図2参照)において、
図6及び
図7に示すように、機能部材3の車室内側に露出して意匠面となる主表面3aとは逆の裏面3b側に設けられた係合組付け部31に対し係合組付けされる機能部材側係合部13を有する。
【0022】
ここでの係合組付け部31は、
図6に示すように、機能部材3の裏面3bにおいて、取り外し操作部材1の機能部材側係合部13を当該裏面3bに沿って挿入可能な挿入部として形成される。その挿入方向Iは、機能部材3をベース部材2の開口2Hに嵌合させるときの嵌合方向J(
図6参照)に対し直交する方向である。ここでの係合組付け部31は、裏面3bから下方に膨出する基部31cから対をなして下方に突出する基端部31a、31aと、それら基端部31a、31aの突出先で互いに接近する方向に延び出す先端部31b、31bと、を有し、さらに基部31cにおいてそれら基端部31a、31aの対向間(ここでは対向間中央部)に形成される上方に凹む挿入凹部31d(スタビライザー片収容凹部)を有して形成される。基端部31a、31a及び先端部31b、31bの対向空間及び挿入凹部31dの内側空間が機能部材側係合部13の挿入空間となる。
【0023】
機能部材側係合部13は、係合組付け部31への挿入方向Iに対する両側方に当該挿入方向に延びる弾性片13a、13aを有する。各弾性片13a、13aは、それぞれの先端を接近させるよう弾性変形させた形で係合組付け部31へ挿入される。各弾性片13a、13aの先端には、挿入方向Iに対し直交する側(ここでは互いの対向方向の外向き)に突出する係止爪13kが形成されており、この弾性変形によって挿入部をなす係合組付け部31内を通過可能になる。係合組付け部31を係止爪13k、13kが通過すると、各弾性片13a、13aは弾性復帰する。そして、それら係止爪13k、13kが係合組付け部31の出口側開口の開口周辺部に対し係止して抜け止め状態(係合組付け状態:
図7及び
図8参照)を形成する。これにより係合組付け部31と機能部材側係合部13とが組付けられる。
【0024】
また、ここでの機能部材側係合部13は、
図4に示すように、スタビライザー片13bを有しており、上記抜け止め状態においてそのスタビライザー片13bが、挿入部をなす係合組付け部31(挿入凹部31d)内で弾性変形状態に保持される(
図10参照)。ここでのスタビライザー片13bは、挿入方向I側からその逆側に向けて斜め上方に延び、係合組付け部31(挿入凹部31d)への挿入に伴いその先端が下方に押し下げられ、上記抜け止め状態においては下方に押し下げられた弾性変形状態に維持される。このため、上記抜け止め状態において、スタビライザー片13bは、機能部材側係合部13全体を下方に向けて押し出すとともに、係合組付け部31(先端部31b、31b)を押し付けている(
図10参照)。これにより、係合組付け部31内に進入した各弾性片13a、13aを含む機能部材側係合部13は、係合組付け部31に押し付けられて密着した状態に保持され、双方のガタツキを抑制している。
【0025】
なお、係合組付け部31は、組付けられた機能部材側係合部13を外すことが可能である。ここでは、
図7に示す弾性片13a、13aの先端側(係止爪13k、13k)を互いに接近する方向に弾性変形させ、その状態で挿入部をなす係合組付け部31から挿入方向Iの逆向きに引き抜くことで、機能部材側係合部13を外すことができる。
【0026】
また、取り外し操作部材1は、上記嵌合固定状態(取付状態:
図1及び
図2参照)において、ベース部材2の取付凹部20(開口2H:
図3参照)内に設けられた着脱係合部21(
図3参照)に対し着脱可能に係合組付けされるベース部材側係合部12(
図4参照)を有する。
【0027】
着脱係合部21は、
図10及び
図11に示すように、ベース部材2の開口2H内の底面2b(底壁部20B)から開口外向きに突出する係合突出部21である。ここでの着脱係合部21は、ベース部材2の開口2H内の底面2b(底壁部20B)において、後述する操作部15が車室内に露出する露出位置側に偏った位置に突出形成される。また、ここでの着脱係合部21は板状をなすとともに、底面2b(底壁部20B)からの突出状態を支持・補強する補強板部21d、21dを両側方に有する(
図5参照)。
【0028】
ベース部材側係合部12は、係合突出部をなす着脱係合部21を挟む対向挟持部12A、12Bを有する。
図11に示すように、着脱係合部21を挟む対向挟持部12A、12Bのうちの片側の挟持部12Aと着脱係合部21とは、少なくとも一方に他方へ向かって突出する係合爪12Kが設けられ、他方にその係合爪12Kを受け入れる係合穴部21Hが設けられる。そして、その受け入れにより着脱係合部21とベース部材側係合部12とが係合組付けされ、ベース部材側係合部12の嵌合方向Jの逆向きの抜けが阻止される状態となる。ここでは、挟持部12Aに係合爪12Kが設けられ、係合突出部をなす板状の着脱係合部21に係合穴部21Hが設けられる。係合穴部21Hは、機能部材3をベース部材2の開口2Hに嵌合させるときの嵌合方向J(
図10参照)に対し直交するように貫通する(あるいは凹む)ように形成される。
【0029】
また、ここでの対向挟持部12A、12Bは、一端側で機能部材側係合部13と連結している。言い換えれば、対向挟持部12A、12Bは、機能部材側係合部13から互いに対向する形で下方に延び出している。対向挟持部12A、12Bは、それぞれが互いに対面する板状をなし、先端側ほど対向間が広がる形状をなす。具体的にいえば、対向挟持部12A、12Bは、基端側から中間部にかけて対向幅がやや狭まる基端側挟持部12cと、中間部から先端側に向けて対向幅が基端側挟持部12cよりも急激に広がる先端側挟持部12dと、を有する。係合爪12Kは、片側の挟持部12Aの中間部において他方の挟持部12Bの中間部に接近するよう突出する。
【0030】
先端側挟持部12d、12dの互いに対向する対向面は、上側ほど対向間が狭まる斜面として形成され、中間部に設けられた係合爪12Kの下面もこれにつながる斜面をなす。これらの斜面はガイド斜面12gである。着脱係合部21にベース部材側係合部12を組付ける際には、
図8に示すように、対向挟持部12A、12Bの対向間に着脱係合部21を進入させるが、このとき突出形状の着脱係合部21の先端をガイド斜面12g(
図11参照)上で摺動させることで、その進入を促し、係合爪12Kが係合穴部21Hに挿入される所定の係合固定位置(
図10参照)まで容易に到達させることができる。
【0031】
また、取り外し操作部材1は、上記嵌合固定状態(取付状態:
図1及び
図2参照)において、ベース部材側係合部12から機能部材3とベース部材2とに挟まれる位置(挟み位置P)まで延び出す撓み変形可能な撓み延出部14を有する。
【0032】
ここでの撓み延出部14は、
図10及び
図11に示すように、片側の挟持部12Aにおいて、係合爪12Kが設けられる位置の裏側から延び出す。ここでの撓み延出部14は、挟持部12Aと同幅をなし、長手方向において一部直線区間を有するものの、全体としては非直線状をなして挟持部12Bとは逆側に延び出し、延出基端部14Aと、延出主部14Bと、延出先端部14Cと、を有している。
【0033】
延出基端部14Aは、片側の挟持部12Aの係合爪12Kの形成位置(係合爪12Kの突出側)の逆側の位置から対向挟持部12A、12Bの対向方向の外向きに延び出す。ここでの延出基端部14Aは、係合爪12Kの突出方向逆向き(ここでは嵌合方向Jとは直交する方向)に直線状に延び出している。
【0034】
延出主部14Bは、延出基端部14Aの延出した先で屈曲し、対向挟持部12A、12Bの対向方向の外向きかつ機能部材3側(上方)へと斜めに直線状に延び出す。ここでの延出主部14Bは、機能部材側係合部13を越えてさらに上方へと直線状に延び出している。また、ここでの延出主部14Bは、嵌合方向Jに対し鋭角をなし、延出基端部14Aに対し急な上り勾配をなすよう形成されている。なお、延出主部14Bは、曲線状に延びる形状でもよい。
【0035】
延出先端部14Cは、延出主部14Bの先端であり、機能部材3とベース部材2との双方に近接(接触を含む)して挟まれる位置P(挟み位置P:
図10参照)にある。機能部材3とベース部材2は、互いに近接し、その近接間で延出先端部14Cを挟む近接対向部34、24を有しており、ここでは機能部材3とベース部材2の一方(ここではベース部材2)に延出先端部14Cを密着して収容する収容凹部24Cが形成される。その凹部24Cの先(収容された撓み延出部14の先端側)には、その凹形状が露出する延出部出口E(機能部材3とベース部材2の凹部24Cとの間の車室内側開口E:
図10参照)が形成される。
【0036】
また、取り外し操作部材1は、上記嵌合固定状態(取付状態:
図1及び
図2参照)において、撓み延出部14の延出先端部14C(挟み位置)よりも先で車室内に露出する操作部15を有する。
【0037】
ここでの操作部15は、撓み延出部14(延出主部14B及び延出先端部14C)に対し屈曲して形成されるとともに、撓み延出部14よりも幅広に形成される。操作部15は、ベース部材2に対し密着し、ベース部材2の車室内側の表面と面一となるようベース部材2に設けられた凹状の収容部に嵌め込まれる形で配置されてもよいが、本実施例のようにあえてベース部材2の車室内側の表面から浮くように配置され、ユーザー操作部であることがわかるように、かつ操作が容易となるようにしてもよい。
【0038】
取り外し操作部材1は、機能部材側係合部13と、ベース部材側係合部12と、撓み延出部14と、操作部15と、を一体に有した、単一の樹脂材料からなる樹脂射出成形体である。なお、取り外し操作部材1は、2色成形にて成形された樹脂射出成形体であってもよい。
【0039】
ベース部材2に対する機能部材3の取り付けについて説明する。
【0040】
まずは、ベース部材2に取り付ける機能部材3を複数の中から選択し、選択された機能部材3に取り外し操作部材1を組み付ける。具体的には、取り外し操作部材1の機能部材側係合部13を、既に述べたように、機能部材3の係合組付け部31に係合組付けする(
図7参照)。
【0041】
次に、その機能部材3をベース部材2の開口2Hに嵌合しつつ、その機能部材3に係合組付けされている取り外し操作部材1のベース部材側係合部12を、既に述べたように、ベース部材2の着脱係合部21に係合組付けする(
図8及び
図9参照)。
【0042】
具体的にいえば、ベース部材2の開口2Hに嵌合するよう機能部材3を位置合わせしつつ、その機能部材3に係合組付けされた取り外し操作部材1を、ベース部材側係合部12を先頭にして、ベース部材2に対し嵌合方向Jに接近させる。その接近に際して、ベース部材側係合部12の対向挟持部12A、12Bの対向間に、ベース部材2の着脱係合部21を進入させる。その進入は所定の係合固定位置まで継続し、所定の係合固定位置まで進入することで、片側の挟持部12Aに形成された係合爪12Kが着脱係合部21の係合穴部21Hに挿入され、取り外し操作部材1はベース部材2に対し抜け止め状態となる。
【0043】
このように、ベース部材2の開口2Hに機能部材3が嵌合し、さらに取り外し操作部材1が機能部材3とベース部材2との双方に係合組付けされることにより、ベース部材2と機能部材3とが上記の嵌合固定状態(取付状態:
図10参照)となって取付構造100(
図1及び
図2参照)が形成される。このとき取り外し操作部材1は、ベース部材2と機能部材3との双方をつなぎとめるよう固定しているため固定部材ということもでき、また、取り外し操作部材1においてその基端部をなす機能部材側係合部13及びベース部材側係合部12は、ベース部材2と機能部材3とを固定するための固定部ということができる。
【0044】
ベース部材2からの機能部材3の取り外しについて説明する。
【0045】
まずは、ベース部材2に機能部材3が取り付けられた上記嵌合固定状態(取付状態:
図10参照)において、車室内のユーザーが、操作部15を車室内側かつ機能部材3をベース部材2から離間させる側(例えば
図12の矢印Q方向)に引き出す操作をする(
図10→
図12)。これにより、対向挟持部12A、12Bのうち撓み延出部14が接続している側の挟持部12Aが引っ張られる。その結果、
図12に示すように、対向挟持部12A、12Bの対向間が拡がって係合爪12Kが係合穴部21Hから引き抜かれ、着脱係合部21に対するベース部材側係合部12の係合組付けが外れる。
【0046】
当該係合組付けが外れた後も、車室内のユーザーによる操作部15への引き出し操作の継続により撓み延出部14は引っ張られ、開口2Hの外へ引き出されていく。その結果、挟み位置P(
図10参照)において、撓み延出部14により機能部材3がベース部材2から持ち上がる(
図12→
図13)。これは、車室内のユーザーによる引き出し操作が、撓み延出部14を車室内側だけでなく、機能部材3をベース部材2から離間させる側にも引き出す操作であるからである。つまり、この引き出し操作によって、撓み延出部14が挟み位置Pにて機能部材3を上方に押し上げ、機能部材3がベース部材2から持ち上がって双方が離間する。これにより、
図13に示すように、挟み位置Pにて機能部材3とベース部材2との間には、ベース部材2の開口2H(取付凹部20)を露出させる隙間Sが形成される。
【0047】
機能部材3とベース部材2との間に隙間Sが形成されれば、上記の嵌合固定状態(取付状態:
図1及び
図2参照)はほぼ解除された状態となる。ほぼ解除された状態とは、例えば機能部材3とベース部材2との間で、爪等による一部の係合状態が残った状態のことである。この状態で車室内のユーザーが隙間Sに指を差し入れて機能部材3を持ち上げれば、機能部材3とベース部材2との間に残る係合関係を全て解消し、ベース部材2から機能部材3を取り外すことができる。
【0048】
なお、隙間Sが形成されてから後のユーザー操作については、上記の操作(隙間Sに指を差し入れて機能部材3を持ち上げる操作)に限るものではなく、機能部材3とベース部材2との間に残る係合関係を解消してベース部材2から機能部材3から離脱させる操作であれば、他の操作であってもよい。
【0049】
取り外された機能部材3には、取り外し操作部材1が組付けられたままである。このため、直後に別の機能部材3をベース部材2に取り付ける場合には、その別の機能部材3に取り外し操作部材1を組付けなければならない。この場合、別の機能部材3に組付ける取り外し操作部材1は、取り外された機能部材3に組み付いていたものを取り外したものでもよいし、それとは別に用意されたものでもよい。
【0050】
以上、本発明の一実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、追加及び省略等の種々の変更が可能である。
【0051】
挟持部12Aに係合穴部が設けられ、係合突出部をなす着脱係合部21にその係合穴部に向かって突出する係合爪が設けられてもよい。この場合、撓み延出部14は、挟持部12Aにおいて、係合穴部が設けられる位置の裏側から延び出す。
【0052】
上記の嵌合固定状態において、取り外し操作部材1のみによって機能部材3とベース部材2が固定されていてもよい。この場合も、機能部材3の取り外しは、車室内のユーザーによる上記実施例と同様の引き出し操作によって行うことができる。即ち、操作部15に対する引き出し操作によって係合穴部21Hと係合爪12Kとの係合が解除され、機能部材3をベース部材2から離脱可能な状態とすることができる。さらにこの場合は、そのまま操作部15に対する引き出し操作を継続することで、機能部材3を持ち上げ、ベース部材2から取り外すこともできる。
【0053】
図14は、上記実施例の取り外し操作部材1の第一変形例である。
図14の取り外し操作部材1Aは、対向挟持部12A、12Bに対向方向に貫通する貫通孔12H1、12H2が形成される一方、挟持部12Aには、貫通孔12H1の内壁面のうち挟持部12Aの先端側の面(下側の面)から基端側に延び、その基端側が自由端となる弾性係合片12Cを有する。弾性係合片12Cには係合爪12Kが設けられ、その裏側から撓み延出部14が延び出す。上記の嵌合固定状態(取付構造100:
図15及び
図16参照)において、取り外し操作部材1に対し上記実施例と同様の引き出し操作がなされた場合には、主に係合片12Cが係合突出部をなす着脱係合部21から離間するよう弾性変形し(挟持部12Aに弾性変形が生じていてもよい)、係合穴部21Hと係合爪12Kとの係合が解除され(係合組付けが外れ)、上記実施例と同様、隙間S(
図13参考)を形成できる。
【0054】
図17は、上記実施例の取り外し操作部材1の第二変形例である。
図17の取り外し操作部材1Bでは、対向挟持部12A、12Bのうちの挟持部12Aに係合穴部21Hが設けられ、係合突出部をなす着脱係合部21に、係合穴部21Hが受け入れる係合爪12Kが突出形成される。撓み延出部14は、挟持部12Aの中間部から延び出すように形成される。上記の嵌合固定状態(取付構造100:
図18及び
図19参照)において、取り外し操作部材1に対し上記実施例と同様の引き出し操作がなされた場合には、挟持部12Aが、係合爪12Kを有する着脱係合部21から離間するよう弾性変形し、係合穴部21Hと係合爪12Kとの係合が解除され(係合組付けが外れ)、上記実施例と同様、隙間S(
図13参考)を形成できる。
【符号の説明】
【0055】
100 取付構造
1、1A、1B 取り外し操作部材
12 ベース部材側係合部
12A、12B 対向挟持部
12K 係合爪
12H 係合穴部
13 機能部材側係合部
14 撓み延出部
15 操作部
2 ベース部材
2H 開口
20 取付部(取付凹部)
21 着脱係合部
3 機能部材
31 係合組付け部
S 隙間