(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094737
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】物品保管庫
(51)【国際特許分類】
A47G 29/122 20060101AFI20240703BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20240703BHJP
G07F 17/10 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A47G29/122 Z
A47B55/00
G07F17/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211473
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】506226658
【氏名又は名称】株式会社アルファロッカーシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】宮城 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 基之
【テーマコード(参考)】
3B067
3K100
【Fターム(参考)】
3B067AA01
3B067AA05
3B067AA07
3K100CA26
(57)【要約】
【課題】下位の庫内に保管されている物品の荷濡れを防止することができる物品保管庫を提供する。
【解決手段】ロッカー装置1は、内壁21及び内壁31及び背部4を有し、複数の保管庫10が設けられている。そして、内壁21及び内壁31及び背部4で構成される空間を複数の保管庫10に区切る棚板11、12を備え、内壁21及び内壁31と相対する棚板11の周縁部との間には、間隙gが形成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側壁及び後壁を有し、複数の保管庫が設けられている物品保管庫において、
前記一対の側壁及び前記後壁で構成される空間を前記複数の保管庫に区切る1以上の棚板を備え、
少なくとも一方の前記側壁と相対する前記棚板の周縁部との間には、間隙が形成されている、
ことを特徴とする物品保管庫。
【請求項2】
少なくとも一方の前記側壁と相対する前記棚板の前記周縁部の一部には、前記側壁と相対する方向へ向かって突出する凸部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の物品保管庫。
【請求項3】
前記凸部は、前記周縁部において、物品が載置される平坦部の端部よりも下方に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の物品保管庫。
【請求項4】
前記凸部は、前記側壁に固定するための固定部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の物品保管庫。
【請求項5】
前記凸部は、エンボス加工により形成されていることを特徴とする請求項2に記載の物品保管庫。
【請求項6】
前記棚板と前記後壁との間に、間隙が形成されていることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の物品保管庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコインロッカー等の物品を保管する物品保管庫に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コインロッカー等の物品保管庫は、駅や商業施設等の屋内や屋外に設置されることがある。
【0003】
この種の物品保管庫としては、例えば特許文献1に記載の発明が挙げられる。特許文献1に記載の筐体は、フレーム構造体を箱型構造体の前方からガイドレールとガイドとを、それぞれ嵌合して案内しつつ挿入してなるものである。また、特許文献1に記載の構造では、仕切り板を仕切り板取付用はりにねじ止め固定している。そして、仕切り板と側板とは溶接等はされないものの密着するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コインロッカー等の物品保管庫は、上述したように屋外に設置されることがある。屋外に設置された物品保管庫においては、扉閉め忘れ時に雨水が吹込み浸水が発生することがある。また、屋内に設置された場合であっても庫内で水等の液体をこぼしたといったことにより浸水が発生する場合もある。このような浸水が発生すると、特許文献1に記載の構造の場合、側板と仕切り板とのわずかなすき間から下位の庫内(下の保管庫)に浸入した液体が、下位の庫内に配置された仕切り板の表面を伝わって保管されている物品を濡らすおそれがあった。
【0006】
下位の庫内に液体が浸入しないように、仕切り板と側板を溶接することも考えられるが、溶接が不十分な箇所からの浸入や、経年劣化によりすき間等が発生するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、下位の庫内に保管されている物品の荷濡れを防止することができる物品保管庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、一対の側壁及び後壁を有し、複数の保管庫が設けられている物品保管庫において、前記一対の側壁及び前記後壁で構成される空間を前記複数の保管庫に区切る1以上の棚板を備え、少なくとも一方の前記側壁と相対する前記棚板の周縁部との間には、間隙が形成されている、ことを特徴とする物品保管庫である。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明は、棚板と側壁との間に間隙を形成するため、棚板上の液体は、側壁を伝わって排水される。したがって、下位の庫内の棚板には液体が付着せずに排水されるため、下位の庫内に保管されている物品の荷濡れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるロッカー装置の外観斜視図である。
【
図2】
図1に示されたロッカー装置の正面図(a)及び右側面図(b)である。
【
図11】切り起こしにより凸部を形成した例である。
【
図12】周縁部と別体に作製した板状の凸部材を周縁部に溶接等により接合することで凸部として機能させる構成例である。
【
図13】周縁部の表側に板状の凸部材を直接溶接する構成例である。
【
図14】ネジ穴が形成されたワッシャーやスペーサーなどの部材を周縁部と内壁との間に挟み込んでネジ止めする構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる物品保管庫としてのロッカー装置の外観斜視図である。
図2は、
図1に示されたロッカー装置の正面図(
図2(a))及び右側面図(
図2(b))である。本実施形態では、物品保管庫としてロッカー装置で説明するが、ロッカー装置以外であっても物品が保管される保管庫であれば適用可能である。
【0012】
図1に示したロッカー装置1は、側部2、3と、背部4と、天部5と、底部6と、により筐体を構成する。また、ロッカー装置1は、複数の保管庫を備え、各保管庫に対応して扉7が設けられている。即ち、ロッカー装置1は、一対の側壁及び後壁を有し、複数の保管庫が設けられている。
【0013】
側部2、3と、背部4と、天部5と、底部6と、は例えば板金等により形成されている。そして、これらの板は互いに溶接等により接合されて箱状に形成される。扉7は、板金等により形成され、図示しないヒンジ等により筐体前面に開閉可能に設けられている。また、扉7は、図示しない把手や施錠のための鍵部等を備えている。
【0014】
図3は、
図2(b)のA-A線に沿う断面図である。
図4は、
図2(b)の側部2を外した状態の図である。
【0015】
ロッカー装置1は、棚板11を複数備えている。棚板11は、側部2の内壁21及び側部3の内壁31に固定され、筐体内の空間を複数の保管庫10に区切っている。なお、
図3では、棚板11を複数備えているが、少なくとも1以上備えていればよい。また、保管庫10のサイズは全て同じであるが、複数のサイズが混在していてもよい。
【0016】
図3に示したように、側部2は、内壁21と外壁22と構造材23とを備えている。内壁21は、保管庫10の側壁を構成し、後述するように、庫内に液体が浸入した場合は排水のための経路となる。外壁22は、内壁21と所定間隔を空けて相対し、ロッカー装置1の外壁を構成する。構造材23は、内壁21と外壁22とを接続するととともに一部の棚板11の固定部分に設けられている。構造材23は、棚板11にかかる荷重を支えるために設けられている。
【0017】
側部3は、内壁31と外壁32と構造材33とを備えている。内壁31と外壁32と構造材33とは、内壁21と外壁22と構造材23と同様である。内壁21(内壁31)と外壁22(外壁32)とで形成された空間には、図示しないが保管庫の施解錠の制御用機器や各種配線等が設けられている。なお、本実施形態では、側部3は、内壁21(内壁31)と外壁22(外壁32)とを有していたが、内壁と外壁を1つの板状部材で兼ねる構成であってもよい。
【0018】
図5に棚板11の斜視図を示す。棚板11は、板金等により構成され、荷物等の物品が載置される平坦部11aと、平坦部11aから直角に折り曲げられた右周縁部11bと、平坦部11aから直角に折り曲げられた左周縁部11cと、平坦部11aから直角に折り曲げられた後周縁部11dと、で構成される。右周縁部11b、左周縁部11c、後周縁部11dは、図示したように固定された状態で先端部が下側に向かうようになる。
【0019】
右周縁部11b及び左周縁部11cには、凸部111が複数形成されている。凸部111は、例えばエンボス加工により外側へ突出するように形成されている。外側とは、右周縁部11bが相対する内壁21に向かう方向である。また、凸部111は、内壁21(内壁31)に棚板11を固定するためのネジ穴(固定部)が設けられている。即ち、側壁と相対する棚板11の周縁部の一部には、側壁と相対する方向へ向かって突出する凸部111が設けられている。
【0020】
図5等に示した棚板11は、右周縁部11b及び左周縁部11cに凸部111がそれぞれ3つ設けられているが、勿論3つに限らない。また、ネジ穴も必須ではない。ネジ穴は棚板11の固定に必要な箇所の凸部111のみに設け、それ以外の凸部111は後述する間隙の形成のみの目的で設けてもよい。また、固定部としてはネジ穴(ネジ止め)に限らず、溶接や接着等の他の方法により固定をするものでもよい。
【0021】
図6に内壁31と凸部111との固定部分の拡大図を示す。
図6においては、ネジ等の固定部材は省略する。
図6に示したように、凸部111によって、内壁31と左周縁部11cとの間には間隙が形成される。凸部111は、
図5に示したように左周縁部11cの一部に形成されるため、凸部111が形成されない部分においては内壁31との間には周縁部の上端から下端まで間隙が形成される。なお、内壁21と右周縁部11bに形成された凸部111との関係も同様である。即ち、側壁と相対する棚板11の周縁部との間には、間隙が形成されている。
【0022】
図7に棚板11と側部2及び側部3との関係を示す。
図7においては、棚板11と側部2及び側部3との関係を分かり易くするために、間隙等の大きさは実際の寸法よりも大きめに表示する。
【0023】
上述したように棚板11は凸部111によって、内壁21及び内壁31に固定される。
図7では、ネジ8によって固定されている。そして、棚板11の右周縁部11bと内壁21との間及び棚板11の左周縁部11cと内壁31との間には、凸部111によって間隙gが形成される。そして、保管庫10に吹き込んだ雨水や棚板11上でこぼした水等の液体wは、平坦部11a上を流れて平坦部11aの端部11a1から間隙gに浸入し、内壁21及び内壁31を伝って下方へ流れる。即ち、内壁21及び内壁31が排水経路となっている。
【0024】
この間隙gによって、毛細管現象などの作用で、平坦部11a上からの液体wの排水が促進される。毛細管現象は、一般的に、例えば、細い管を水面に立てたときに、管内の水位が管外の水面よりも高くなる現象であることが知られている。そして、同様な現象は、狭い隙間を形成している対向している2面の間においても生じ得る。そして、毛細管現象は、例えば、水等の液体の表面張力、被濡れ素材の濡れやすさとしての水の被濡れ素材への付着力(撥水性または親水性)、および水同士が引き合う力としての凝集力によって生じ得る。
【0025】
水同士は、凝集力によって引き合い、水が連続して存在している状態を保持しようとする。平坦部11a上の液体wは、間隙gまで導かれると重力によって落下する。そして、落下する液体wの流れが一旦生じると、その流れが、液体wの凝集力によって維持され得る。これにより、内壁21及び内壁31に沿って排水される。
【0026】
この間隙gは、平坦部11a上を流れてきた液体wが棚板11の表面(平坦部11a)から内壁21や内壁31(側壁)へ伝わることができる大きさである。一例としては0.5mm程度が挙げられるが、内壁21や内壁31の材質や、内壁21や内壁31に塗布された塗料の撥水性(親水性)等、表面処理の条件等を考慮して適宜定めればよい。この間隙gの大きさが大きすぎると、液体wが内壁21や内壁31を伝わらずに右周縁部11bや左周縁部11cの下端から滴下してしまい、下位の保管庫10の棚板11を濡らしてしまうおそれがあるため好ましくない。逆に、この間隙gの大きさが小さすぎると、液体wが内壁21や内壁31に沿って重力によって落下しづらくなることで、排水が捗らず、保管庫10の棚板11を濡らしてしまうおそれがある。
【0027】
また、本実施形態では、凸部111は、周縁部において、棚板11の平坦部11aの端部11a1よりも下方に形成されている。したがって、平坦部11aは内壁21や内壁31とは接触しない。勿論、凸部111を平坦部11aと面一になる位置に設けてもよいが、端部11a1よりも下方に形成した方が、平坦部11aの1辺全て(全周)に亘って排水可能となるため好ましい。さらに、平坦部11aが排水経路としての内壁21や31と接しない。例えば
図7において、上段の棚板11上の液体wが排水された場合であっても、下段の棚板11の平坦部11aには、排水された液体wが付着することが少なく、下段の棚板11の平坦部11aが濡れにくくなる。
【0028】
次に、棚板11と背部4との関係について
図8を参照して説明する。
図8は、
図4のBで示した部分の拡大図である。
図8に示したように、棚板11の後周縁部11dと背部4との間にも間隙gが形成されている。この間隙gは、凸部111の内壁21及び内壁31への固定位置によって規定されている。なお、
図8においては、凸部111の略中心にネジ穴111aが示されている。
【0029】
本実施形態では、背部4も内壁21や内壁31と同様に排水経路として利用する。そのため、後周縁部11dと背部4との間の間隙gも、右周縁部11bと内壁21(右周縁部11bと内壁31)との間の間隙gと同じ大きさ(例えば0.5mm程度)であるのが望ましい。
【0030】
また、本実施形態では、後周縁部11dに凸部111を設けていないが、凸部111を設けてもよい。その際にネジ穴等の背部6への固定部を凸部111に設けてもよいが無くても構わない。
【0031】
次に、最下端の棚板12の構成について
図9を参照して説明する。
図9は、
図3のCで示した部分の拡大図である。棚板12は、底部6の上面61に載置され、図示しない嵌合部等により底部6側の嵌合部材等と嵌合して上面61に固定される。
【0032】
また、
図9に示したように、内壁21及び内壁31は底部6まで延在していないが、棚板12の平坦部12aよりも下方までは延在している。したがって、内壁21及び内壁31を伝ってきた液体が滴下して平坦部12aを濡らすことがない。なお、内壁21及び内壁31を伝ってきた液体は、内壁21及び内壁31の下端から底部6内へ滴下し、底部6内から適宜外部へ排水される(
図9矢印)。
【0033】
また、棚板12と内壁21及び内壁31との間の間隙は、棚板12と内壁21及び内壁31との間の間隙gと同じ大きさであってもよいし、間隙gより大きくてもよい。棚板12は最下端の棚板であり、その下に保管庫10が存在しないため、例えば棚板12の周縁部から液体が滴下しても問題はない。
【0034】
本実施形態によれば、ロッカー装置1は、内壁21及び内壁31及び背部4を有し、複数の保管庫10が設けられている。そして、内壁21及び内壁31及び背部4で構成される空間を複数の保管庫10に区切る棚板11、12を備え、内壁21及び内壁31と相対する棚板11の周縁部との間には、間隙gが形成され、保管庫10に浸入した液体wが間隙gを介して内壁21及び内壁31を伝わって排水される。
【0035】
また、内壁21及び内壁31と相対する棚板11の周縁部の一部には、内壁21及び内壁31と相対する方向へ向かって突出する凸部111が形成されている。
【0036】
このようにすることにより、棚板11と内壁21及び内壁31との間に間隙gが形成されるため、棚板11の平坦部11a上の液体wは、内壁21及び内壁31を伝わって排水される。したがって、下位の保管庫10内の棚板11には液体wが付着せずに排水されるため、下位の保管庫10内に保管されている物品の荷濡れを防止することができる。また、凸部111により間隙を形成することで、精度良く間隙gの大きさを規定することが可能となる。さらに、本実施形態を適用する場合であっても、内壁21及び内壁31は変更しなくてもよく、筐体の交換が不要であり、棚板11を変更するだけで上記効果を奏することができる。
【0037】
また、凸部111は、右周縁部11bや左周縁部11cにおいて、物品が載置される平坦部11aの端部11a1よりも下方に形成されているので、平坦部11aが内壁21、31と接しないようにすることができる。したがって、内壁21及び内壁31を伝わって排水される液体wがより一層平坦部11aに付着しづらくなる。
【0038】
また、凸部111は、内壁21及び内壁31に固定するためのネジ穴111aが形成されているので、間隙gを形成する機能に加えて固定部としても機能させることができる。
【0039】
また、凸部111は、エンボス加工により形成されているので、金型により容易に加工することができる。また、周縁部と一体的に形成されるため、凸部が別体とした場合の接合部が形成されない。接合部が形成されると、経時劣化等により接合部から液体が浸入するおそれがある。
【0040】
また、棚板11と背部4との間にも、間隙が形成されているので、背部4の壁面からも排水が可能となる。
【0041】
また、右周縁部11b、左周縁部11c、後周縁部11dが下に向くように折り曲げて構成されているので、仮に水等の液体が内壁21や内壁31等をうまく伝わらなかったとしても、液体が棚板11の下面を伝って棚板11の中央付近で滴下することを防止することができる。したがって、直下の荷物等の物品を濡らすことを防止できる。
【0042】
なお、上述した実施形態では、凸部111は、エンボス加工であったがそれに限らない。
図10~
図14に凸部の構成の変形例を示す。
【0043】
図10~
図14においては右周縁部11bで説明するが、左周縁部11cや背部4でも同様である。
図10は、押出し加工の例である。
図10(a)は右周縁部11bの要部斜視図、
図10(b)は
図10(a)のD-D線に沿う断面図である。
図10においては、凸部111を押出し加工で形成する。
図10の例では凸部111が丸形状であるが、他の形状であってもよい。
【0044】
図11は、切り起こしにより凸部111を形成した例である。
図11(a)は、右周縁部11bの一部が切り起こされた形状になっている。
図11(a)は、右周縁部11bの長手方向(横方向)に沿って、起立面111b、突起面111c、起立面111dの順に連なっている。起立面111b及び起立面111dは、突起面111cを突出させるために右周縁部11bから切り起こして起立させた面である。突起面は、起立面111b及び111dによって右周縁部11bから突出させられた面である。突起面111cには、ネジ穴111aが形成されている。
【0045】
図11(b)は、右周縁部11bの上部の切り起こし面111eにより突起面111fが突出している例である。突起面111fの下端側には切り起こし面は設けられていない。
図11(b)では、切り起こし面111eや突起面111fは右周縁部11bの幅l1は切り欠き部分の幅l2よりも狭くなっているが、略同じであってもよい。
【0046】
図11(c)は、
図11(a)の形状を縦向きにしたものである。即ち、右周縁部11bの短手方向(縦方向)に沿って、起立面、突起面、起立面の順に連なっている。
【0047】
図12は、右周縁部11bと別体に作製した板状の凸部材112を右周縁部11bに溶接等により接合することで凸部として機能させる例である。
図12(a)は要部斜視図、
図12(b)は内壁21に固定された際の断面図である。凸部材112は、接合部112aと、接合部112aの他端から立設した起立部112bと、起立部の他端から接合部112aと略平行に延在するとともにネジ穴112dが形成された突起部112cと、からなる。凸部材112は、断面形状がクランク状に形成されている。
【0048】
凸部材112は、
図12に示したように、接合部112aを右周縁部11bの裏側(内壁21と相対しない側)に溶接等により接合することで、突起部112cが右周縁部11bの下端から突出して凸部を形成する。したがって、起立部112bの高さhは、右周縁部11bの厚さ+間隙gの大きさとなる。また、この構成の場合、接合面が周縁部の裏側になるため、排水される液体の浸入による接合部の劣化等が発生しづらい。
【0049】
図13は、
図12のように右周縁部11bの裏側に溶接するのではなく、表側に板状の凸部材113を溶接等で接合する例である。凸部材113は平板状であり、ネジ穴113aが設けられている。なお、ネジ穴113aに対応する右周縁部11bの位置にもネジ穴が設けられ、ネジ8が貫通できるようになっている。
【0050】
また、
図14は、板状の部材を溶接するのではなく、ネジ穴114aが形成されたワッシャーやスペーサーなどの板状部材114を右周縁部11bと内壁21との間に挟み込んでネジ止めするものである。つまり、本発明は、側壁と周縁部との間に間隙を形成できれば、周縁部に凸部を形成することに限らない。
【0051】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の物品保管庫の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 ロッカー装置(物品保管庫)
2 側部
21 内壁(側壁)
3 側部
31 内壁(側壁)
4 背部(後壁)
10 保管庫
11 棚板
11a 平坦部
11b 右周縁部(周縁部)
11c 左周縁部(周縁部)
11d 後周縁部(周縁部)
111 凸部
111a ネジ穴(固定部)
112 凸部材(凸部)
113 凸部材(凸部)
114 板状部材(凸部)
g 間隙
w 液体