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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094747
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ストレッチャー
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/00 20060101AFI20240703BHJP
   A61G 1/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61H33/00 310L
A61G1/00 701
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211491
(22)【出願日】2022-12-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 第49回国際福祉機器展H.C.R.2022 期日:令和4年10月5日~令和4年10月7日 会場:東京国際展示場「東京ビッグサイト」東展示ホール
(71)【出願人】
【識別番号】394006129
【氏名又は名称】株式会社いうら
(72)【発明者】
【氏名】藏本 将大
【テーマコード(参考)】
4C094
【Fターム(参考)】
4C094AA01
4C094BB04
4C094BB16
4C094CC02
4C094CC08
4C094DD09
4C094DD14
4C094GG02
(57)【要約】
【課題】駆動部及びボトム部がどの昇降位置であっても介助者が無理な姿勢を取る必要なく利用者に接近することが可能なストレッチャーを提供すること。
【解決手段】床面を走行可能なベース部と、該ベース部に立設される昇降レール部と、該昇降レール部に支持され、且つ、該昇降レール部に沿って上下に昇降可能な駆動部と、該駆動部に連設されるボトム部と、該ボトム部に開閉自在に支持されるサイドレール部を具備し、該ボトム部に仰臥位姿勢で搭乗した利用者を目的地まで搬送可能なストレッチャーの、該昇降レール部の左右に一定間隔離間した一対のレール枠に該駆動部の中空部を外挿して構成することで、前後左右どの方向からでも介助者が無理な姿勢を取ることなく利用者に接近することを可能にした。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面を走行可能なベース部と、該ベース部に立設される昇降レール部と、該昇降レール部に支持され、且つ、該昇降レール部に沿って上下に昇降可能な駆動部と、該駆動部に連設されるボトム部と、該ボトム部に開閉自在に支持されるサイドレール部を具備し、該ボトム部に仰臥位姿勢で搭乗した利用者を目的地まで搬送可能なストレッチャーにおいて、該昇降レール部の左右に一定間隔離間した一対のレール枠に該駆動部の中空部を外挿したことを特徴とするストレッチャー。
【請求項2】
前記昇降レール部がリップ溝形鋼状に形成して開口部を設けたレール枠内に取着されたラックで構成しつつ、前記駆動部の前記中空部内に突出するようにピニオンを回動自在に取着し、該レール枠の該開口部を通過して該ラックに該ピニオンを噛合させ、該駆動部に具備したモーターの正転及び逆転によって該ピニオンが駆動することで、該駆動部が昇降可能なことを特徴とする請求項1に記載のストレッチャー。
【請求項3】
前記昇降レール部の前記レール枠が側面視において垂直方向から介助者側に傾倒した状態で前記ベース部に支持されるとともに、該レール枠の前後の側部に当接可能に前記駆動部の前記中空部に軸着されるローラー部材が対角線上、且つ、前記ボトム部側の該ローラー部材を該ベース部に近い位置に配設したことを特徴とする請求項2に記載のストレッチャー。
【請求項4】
前記駆動部下降時に何らかの物体と干渉して前記ボトム部を上方に付勢する力が加わった時に、該駆動部及び該ボトム部が上方回動して前記昇降レール部の前記レール枠の側部に当接していた前記ローラー部材が離間するとともに、リミットスイッチが作動して該駆動部の下降が停止するように該駆動部と該昇降レール部との間に挟み込み感知を具備したことを特徴とする請求項3に記載のストレッチャー。
【請求項5】
前記レール枠内の閉口部に止着されるソトホルダーと、該ソトホルダーの内側に取着されるウチホルダーと、該ソトホルダーの上部にガイドローラーを軸着したウエホルダーを取着し、該レール枠内の開口部のリップ部と前記ラック部との間に形成されたすき間に配設されるカーテンによって構成されるレールカーテン部を前記昇降レール部に配設し、該カーテンの一端を該ウエホルダーと該ガイドローラーの間及び該ソトホルダーと該ウチホルダーの間を摺動可能にしつつ、他端を前記駆動部の前記中空部に突出したピン部材に止着することで、該駆動部の昇降に合わせて該レール枠の該開口部が該カーテンによって閉口可能にしたことを特徴とする請求項2~4に記載にストレッチャー。
【請求項6】
前記昇降レール部の上部にハンドル部を取着したことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のストレッチャー。
【請求項7】
前記昇降レール部の上部にハンドル部を取着したことを特徴とする請求項5に記載のストレッチャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の不自由な利用者を搬送するストレッチャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、身体の不自由な利用者(以下、利用者とする。)の入浴介助は、介助者が利用者の身体を直接支えて姿勢保持する必要があり、介助者が腰痛を発症するなど身体的負担の大きいものであった。
そこで、介助者の身体的負担軽減を目的として、特許文献1に示すように利用者を仰臥位姿勢のままストレッチャーに乗せて浴室に移動させるとともに、浴室に配置したシャワー浴装置にストレッチャーを組み合わせて利用者をシャワー浴させるシャワー入浴用ストレッチャーが提案されている。
このシャワー入浴用ストレッチャーによると、シャワー浴装置の前方に開口部を備えたシャワー室に利用者を乗せたストレッチャーのボトムを侵入させて、利用者の身体をシャワー室内に具備した複数のノズルから温水を噴射して身体を洗うことができる。また、シャワー室に侵入しない利用者の頭部をシャワー浴装置の外に備えたハンドシャワーを用いて洗うことができる。
つまり、このシャワー入浴用ストレッチャーを用いることで、仰臥位姿勢のまま利用者を居室あるいは脱衣所から浴室まで搬送して、そのままシャワー浴装置まで搬送できるため、従来の問題点であった介助者の腰痛予防など介助者の身体的負担を大幅に軽減できる利点がある。
【0003】
また、特許文献1に記載のシャワー入浴用ストレッチャーの特徴として、昇降機構部の上面に水跳ね防止板を取り付けることで、介助者が利用者の頭部により近づけるため、無理な姿勢になること無く洗髪作業ができる。そして、水跳ね防止板がボトム(身体保持部)の昇降とは連動しないように配置されているため利用者の頭部を持ち上げるなど介助の手間が増えないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-41590号
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシャワー入浴用ストレッチャーは、形状が固定された直方体形状の昇降機構の先に取り付けられたボトム(身体保持具)が上下方向に昇降するので、ボトム(身体保持具)の昇降位置によっては介助者が昇降機構側から利用者に近づこうとすると腰を曲げるなど無理な姿勢を取らなけらばならない。
つまり、ボトム(身体保持具)に搭乗した利用者の左右側では無理な姿勢を取ることなく作業できるが、昇降機構側で作業する場合は腰痛の発症など身体的負担が解消されないことが懸念される。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本願発明が解決しようとする課題は、駆動部及びボトム部がどの昇降位置であっても介助者が無理な姿勢を取る必要なく利用者に接近することが可能なストレッチャーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のストレッチャーは、床面を走行可能なベース部と、該ベース部に立設される昇降レール部と、該昇降レール部に支持され、且つ、該昇降レール部に沿って上下に昇降可能な駆動部と、該駆動部に連設されるボトム部と、該ボトム部に開閉自在に支持されるサイドレール部を具備し、該ボトム部に仰臥位姿勢で搭乗した利用者を目的地まで搬送可能なストレッチャーにおいて、該昇降レール部の左右に一定間隔離間した一対のレール枠に該駆動部の中空部を外挿したことを特徴としている。
そして、前記昇降レール部がリップ溝形鋼状に形成して開口部を設けたレール枠内に取着されたラックで構成しつつ、前記駆動部の前記中空部内に突出するようにピニオンを回動自在に取着し、該レール枠の該開口部を通過して該ラックに該ピニオンを噛合させ、該駆動部に具備したモーターの正転及び逆転によって該ピニオンが駆動することで、該駆動部が昇降可能なことを特徴としている。
そして、昇降レール部の前記レール枠が側面視において垂直方向から介助者側に傾倒した状態で前記ベース部に支持されるとともに、該レール枠の前後の側部に当接可能に前記駆動部の前記中空部に軸着されるローラー部材が対角線上、且つ、前記ボトム部側の該ローラー部材を該ベース部に近い位置に配設したことを特徴としている。
そして、該駆動部下降時に何らかの物体と干渉して前記ボトム部を上方に付勢する力が加わった時に、該駆動部及び該ボトム部が上方回動して該昇降レール部の前記レール枠の側部に当接していた前記ローラー部材が離間するとともに、該挟み込み感知のリミットスイッチが作動して該駆動部の下降が停止するように前記駆動部と前記昇降レール部との間に挟み込み感知を具備したことを特徴としている。
また、前記レール枠内の閉口部に止着されるソトホルダーと、該ソトホルダーの内側に取着されるウチホルダーと、該ソトホルダーの上部にガイドローラーを軸着したウエホルダーを取着し、該レール枠内の開口部のリップ部と前記ラック部との間に形成されたすき間に配設されるカーテンによって構成されるレールカーテン部を前記昇降レール部に配設し、該カーテンの一端を該ウエホルダーと該ガイドローラーの間及び該ソトホルダーと該ウチホルダーの間を摺動可能にしつつ、他端を前記駆動部の前記中空部に突出したピン部材に止着することで、該駆動部の昇降に合わせて該レール枠の該開口部が該カーテンによって閉口可能にしたことを特徴としている。
さらに、前記昇降レール部の上部にハンドル部を取着したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のストレッチャーは、昇降レール部に沿って駆動部が昇降するように構成したことで、駆動部の前方、つまり駆動部に連設されたボトム部に仰臥位姿勢で搭乗した利用者の頭部方向に障害となる構造材が配置されないため、介助者は無理な姿勢を取ることなく利用者に接近でき、腰痛予防など介助者の身体的負担を軽減できる。また、従来のストレッチャーに比べて、駆動部がどの昇降位置であっても利用者の身体状況を常に確認できるため、意思疎通がし易く精神的負担を軽減できる。さらに、搬送時のベース部近辺の視認性が高く、作業の効率化や安全性を向上できる。
そして、昇降レール部の内部にラックアンドピニオン式の昇降部品を配設することで、昇降レール部及び駆動部をよりコンパクトに構成できる。つまり、介助者がボトム部に搭乗した利用者により近づきやすくなる。
そして、昇降レール部を傾倒することによって、ラック及びピニオンにかかる負荷に分力を発生させることで、モーターへの負荷を軽減できる。よって、ピニオンを駆動するためのモーターをできるだけ小さくでき、駆動部をよりコンパクトにできる。また、ローラー部材を対角線上に配設することで、駆動部及びボトム部に搭乗した利用者の荷重をローラー部材が受けた時に発生する支点抗力を軽減できる。つまり、ローラー部材に金属製のベアリングなど剛性の高い部品を使用する必要が無く、一般的な樹脂加工された部品を使用することが可能となり安価に構成できる。
そして、駆動部下降時に何らかの物体を挟み込み感知機能が作動することで、物体に干渉したことに気付かず、ボトム部を必要以上に下降させて破損させる心配が無く安全に使用することができる。
また、昇降時にリップ溝形鋼状に形成したレール枠の開口部をカーテンによって閉口することで、昇降時に利用者や介助者の髪や手など身体の一部がレール枠内に侵入することを未然に防ぎ、安全に使用することができる。
さらに、駆動部が昇降してもハンドル部の高さが変化せず一定の高さであるため、介助者は無理な姿勢を取る必要が無く、常時しっかりと操作ハンドルを把持してストレッチャーを搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ストレッチャーSの全体斜視図
図2】ストレッチャーSの全体側面図
図3】ストレッチャーSの全体背面図
図4】昇降レール部2の組立説明図
図5】駆動部3の斜視説明図
図6】モーター3f及び各種ギヤの組み合わせ説明図
図7】(a)駆動部3が垂直昇降する場合を説明する模式図(b)駆動部3が傾いた状態で昇降する場合を説明する模式図
図8】(a)上限感知32と下限感知33の斜視説明図(b)上限感知32が作動していない状態を示す説明図(c)上限感知32が作動した状態を示す説明図
図9】挟み込み感知34の組立説明図
図10】挟み込み感知34の(a)未作動状態を示す説明図(b)作動状態を示す説明図
図11】ボトム部4とサイドレール部5,5の組立説明図
図12】レールカーテン部7の組立説明図
図13】レールカーテン部7の昇降レール部2と駆動部3との組み合わせ説明図
図14】シャワー浴装置Nの全体斜視図
図15】シャワー浴装置NにストレッチャーSのボトム部4が入室した状態を示す説明図
図16】ストレッチャーSの駆動部3及びボトム部4下降時の介助者M2との関係を示す斜視説明図
図17】駆動部3の別の実施例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【実施例0010】
本発明のストレッチャーSについて図面を基に説明する。
本実施例におけるストレッチャーSは、床面を走行自在なベース部1の一端に付設された昇降レール部2と、この昇降レール部2に外挿される駆動部3と、この駆動部3の先端に取着されるボトム部4と、このボトム部4の左右両側に回動自在に軸着されるサイドレール部5,5と、昇降レール部2の上部に取着されるハンドル部6,6と、昇降レール部2の内部に取着されるレールカーテン部7,7で主に構成している。
なお、各図面上に矢印で示しているように利用者M1がストレッチャーSのボトム部4に仰臥位姿勢で搭乗した状態を基準に、方向(頭側、足側、右側、左側、上側、下側)を設定する。
【0011】
まず、ベース部1について説明する。
図1などで示すように、該ベース部1は複数のフレーム部材を矩形状に組み合わせて固着形成したベース本体1aの四角に取着した車輪1b,1b,・・・と、該車輪1b,1b,・・・をロック及びロック解除するためのブレーキペダル1c,1cと、該ブレーキペダル1c,1cと連動して該車輪1b,1b,・・・を四輪同時にロック及びロック解除できる連結機構1dで主に構成している。
なお、本実施例では左右いずれかの該ブレーキペダル1cを介助者M2が踏み込むことで、該ブレーキペダル1c,1cと連結した該連結機構1dが作用して、該車輪1b,1b,・・・を四輪同時にブレーキ可能な四輪同時ブレーキ機構を採用しているが本実施例に限定する必要は無く、該車輪1b,1b,・・・一つずつ単独ブレーキがかかるように構成しても良い。
また、該ブレーキペダル1c,1cは該車輪1b,1b,・・・を前後方向に規制する方向規制も兼ねている。介助者M2が該ブレーキペダル1c,1cを上方に跳ね上げて方向規制を作動させることで、ストレッチャーSを長距離走行時などで安定して走行できる。
そして、ベース本体1aの上部でアンダートレー1eを支持している。該アンダートレー1eは利用者M1の洗体介助後、利用者M1の身体を拭き取る時に、ストレッチャーSの駆動部3やボトム部4や利用者M1の身体に残った水(温水)が脱衣所や浴室に落ちるのを防ぐためなどに使用する。
【0012】
次に、昇降レール部2について説明する。
図4で示すように、リップ溝形鋼状に形成したレール枠2a,2aの下端にブラケット2b,2bを固着し、該ブラケット2b,2bを前記ベース本体1aに取着している。そして、該レール枠2a,2aの内面に同一形状の歯が等間隔で刻まれた肉厚の板で構成されるラック2c,2cをスペーサー2d,2dを介して上下方向に止着している。そして、該レール枠2a,2aにツナギフレーム2eを介設して固着している。
なお、該レール枠2a,2aは板材を複数回屈曲形成してリップ溝形鋼状に形成して開口部21a,21aを設けているが、矩形パイプの一辺を切削加工して開口部を設けても良く、該レール枠2a,2aは該ラック2c,2cと後述するピニオン3k,3kが噛合可能な開口部が形成される構成であれば良い。
また、本実施例では該レール枠2a,2aの該ブラケット2b,2b側の下端近傍はリップ部の間にプレートを入れ込みリップ部を繋げて面一になるように固着している。このように構成することでリップ部の開きや閉じを抑え、該レール枠2a,2aの剛性を向上させることができる。
【0013】
次に駆動部3について説明する。
図5で示すように、複数回屈曲形成したメインプレート3aの両端に略コ字状に形成した開口部が外側を向くように内側プレート3b,3bを固着するとともに、略コ字状に形成した開口部が該内側プレート3b,3b側に向くように外側プレート3c,3cを該内側プレート3b,3bに固着している。このように、該内側プレート3b,3b及び該外側プレート3c,3cを組合わせることで略矩形状の中空部31,31を形成している。
そして、該中空部31,31内にローラー部材3d,3d,・・・を軸着している。該ローラー部材3d,3d,・・・は、側面視において該駆動部3の前上端近傍と後下端近傍に前記レール枠2a,2aを介して対角に軸着しており、前記レール枠2a,2aの側部に当接するように配設される。
そして、図6で示すように、前記メインプレート3aの内側略中央付近にステー部材3e,3eを固着している。そして、一方の該ステー部材3eにモーター3fを取着するとともに、該モーター3fの先端には第一ギヤ3gを回動可能に軸着し、該第一ギヤ3gと噛合するように大径の第二ギヤ3hと小径の第三ギヤ3iを該ステー部材3eに軸着している。また、該第二ギヤ3hは該ステー部材3e,3eを貫通して左右方向に延設される軸受部材3jによって回動自在に軸着される。
そして、該軸受部材3jの両端には小型のギヤからなるピニオン3k,3kを軸着している。なお、該軸受部材3jは両端が前記内側プレート3b,3bから該中空部31,31に突出して、前記昇降レール部2の前記ラック2c,2cと該ピニオン3k,3kが噛合可能な長さに設定している。
また、前記第三ギヤ3iは前記ステー部材3eの反対側に緩衝器3lを取付けている。詳細な説明は省略するが、本実施例では該緩衝器3lは減衰力を発生させるフリクションダンパを採用しているが、減衰力を発生させることが可能な部品であればフリクションダンパに限定する必要は無く使用者が適宜設定したので良い。
また、前記メインプレート3aの内部には前記モーター3fを駆動するためのコントロールボックス3m(詳細な図示は省略)が配設され、且つ、該コントロールボックス3mには介助者M2が操作するためのリモコン3n及びバッテリー3oが接続される。なお、該リモコン3nは後述する操作ハンドル6bの横に取り付けられたリモコンホルダー6cに、該バッテリー3oは該メインプレート3aの前方に取着されたバッテリーホルダー3pにそれぞれ掛止される。
そして、前記昇降レール部2の前記レール枠2a,2aに前記駆動部3の前記中空部31,31を外挿しつつ、前記ピニオン3k,3kを前記ラック2c,2cと噛合させてラックアンドピニオンとして使用する。
よって、前記リモコン3nを介助者M2が操作して、前記モーター3fを駆動させて該ピニオン3k,3kを正逆回転させることで、前記駆動部3が該昇降レール部2に沿って上下に昇降することができる。
なお、前記メインプレート3aの裏側にはカバー部材を使用して配線などが飛び出さないようにしているが詳細な説明は省略する。
【0014】
このように構成した前記駆動部3は、図1などで示すように、前記昇降レール部2と該駆動部3を重ねて構成することができる。
つまり、先行技術1に記載のシャワー入浴用ストレッチャーなどに代表されるように固定された昇降機構に対してボトムが昇降するストレッチャーでは、昇降機構とボトムが並列に配設されるため介助者M2が利用者M1の頭側から近づこうとすると昇降機構を乗り越えるために介助者M2が腰を曲げる必要があるのに対して、本実施例の該駆動部3では、該昇降レール部2と該駆動部3で昇降機構を構成することで、固定された該昇降レール部2に対して該駆動部3が昇降するように構成しているため後述するボトム部4と一緒に該駆動部3も昇降するので該ボトム部4がどの高さになっても介助者M2は無理な姿勢を取る必要がなく介助作業を行うことができる。
【0015】
また、図2などで示すように前記昇降レール部2は側面視において床面に対して垂直からやや傾けて立設される。(なお、本実施例では約20°傾けている。)
このように構成すると前記モーター3fにかかる前記駆動部3や前記ボトム部4、利用者M1の体重などの荷重を前記ラック2c,2cと平行な斜め方向の分力にすることができ、該モーター3fにかかる負荷を低減させることができる。つまり、該モーター3fに必要なトルクが小さくすみ、該モーター3fを小型化することができる。
そして、前記ローラー部材3d,3d,・・・を側面視において対角線上に配設している。
このように構成することで、例えば図7(a)で示すように垂直方向に該駆動部3が昇降する構成にした時の該ローラー部材3d,3d,・・・を配置した時に比べて、該ローラー部材3d,3d,・・・にかかる反力(抗力)を小さくすることができる。
詳述すると、図7(a)及び図7(b)で示すように前記ボトム部4に利用者M1が搭乗した時に該ボトム部4は下向きの負荷を受ける。すると、該ボトム部4側の該ローラー部材3d,3dを支点に該駆動部3及び該ボトム部4が後方回動すると同時に、介助者M2側の該ローラー部材3d,3dが作用して後方回動する。この時、図7(b)で示す該ローラー部材3d,3d,・・・が対角線上に配設されているため、該ローラー部材3d,3d,・・・間の距離Yが、図7(a)に記載の垂直昇降式の駆動部のローラー部材間の距離Xに比べて長くなる。ここで、該ボトム部4に掛かる負荷が全く同じだとすると、回転モーメントを考えると距離Yが距離Xに比べて長くなるため、回動支点である該ボトム部4側の該ローラー部材3d,3dにかかる反力(抗力)が小さくなる。
よって、該ローラー部材3d,3d,・・・にローラーベアリングなど金属製で剛性の高い部品を使用する必要が無く、POM(ポリアセタール)など加工性の高い一般的な樹脂製の部品を使用することができ、安価に構成することができる。
このように、本実施例における該駆動部3はコンパクトに構成可能であり、且つ、剛性に優れるとともに安価に提供することができる。
【0016】
そして、前記駆動部3は該駆動部3の昇降を制動するための上限感知32及び下限感知33、挟み込み感知34を具備している。
まず、上限感知32について説明する。
図8(a)及び図8(b),図8(c)で示すように、該駆動部3の右手側の前記内側プレート3bの内側に固着されたステー部材32aに垂直に軸部材32b,32bを固着するとともに、長孔が穿設されたリミットプレート32cを該軸部材32b,32bに挿通して左右方向に該リミットプレート32cが摺動するように取着される。そして、該リミットプレート32cの前記昇降レール2側先端にはリミットローラー32dを軸着している。
また、該ステー部材32aの下側にはリミットスイッチ32eが取着されるとともに、該ステー部材32aと該リミットプレート32c間に弾性体32fを張設している。なお、該弾性体32fは引張スプリングを使用しているが、該リミットプレート32cを前記レール枠2a側に引き込むことができれば引張スプリングに限定する必要はない。。
このように構成した前記上限感知32は、図8(b)で示すように、該リミットローラー32dが前記内側プレート3bに穿設した通行孔31bを通過して該昇降レール部2の前記レール枠2aの側部と当接し、一定間隔上昇した後、図8(c)で示すように、該レール枠2aに穿設した上限孔22aに該リミットローラー32dが嵌まるように構成される。
すると、該ステー部材32aが該リミットスイッチ32eのレバー部321eを押圧して該リミットスイッチ32eが押された状態となり、前記駆動部3の上昇が停止する。なお、詳細は省略するが該リミットスイッチ32eが押された状態になると、これまで前記コントロールボックス3mによって制御されていた回路が遮断され停止する。
この状態から、該駆動部3を下げると該上限孔22aから該リミットローラー32dが脱出するとともに、該レール枠2aの側部に到達して該リミットスイッチ32eの該レバー部321eが該ステー部材32aに押された状態から解放される。つまり、回路が導通して該駆動部3が下降することができる。
なお、本実施例における該上限感知32の作動位置は後述するシャワー浴装置Nのシャワー室N2のフロア面の高さよりやや高い位置で該駆動部3及び該ボトム部4が停止する位置に設定されている。
つまり、前記リモコン3nを操作して該駆動部3を上昇させ続けたのち該上限感知32を作動せることで、ストレッチャーSの該ボトム部4の高さを微調整する必要が無く、該シャワー室N2に簡単に入室することができる。
【0017】
次に、下限感知33について説明する。
該下限感知33は図8(a)で示すように前記上限感知32と略同じ部品を上下に180°回転させて向かい合わせに配設される。
一部図示は省略するが、図8(a)で示すように前記上限感知32と同様にステー部材33aに軸部材33b,33b、リミットプレート33c、リミットローラー33d、リミットスイッチ33e、弾性体33fを配設し、前記軸部材32b,32bの先端にステー部材33aを止着して取着している。
そして、前記昇降レール部2の前記レール枠2aの側部と当接し、一定間隔下降した後、該レール枠2aに穿設した下限孔23aに該下限感知33の該リミットローラー33dが嵌まるように構成される。
すると、該下限感知33の該ステー部材33aが該リミットスイッチ33eのレバー部331e(図示省略)を押圧してリミットスイッチ33eが押された状態となり、前記駆動部3の下降が停止する。
なお、詳細は省略するが該リミットスイッチ33eが押された状態になると、これまで前記コントロールボックス3mによって制御されていた回路が遮断され下限で停止する。
この状態から、該駆動部3を上げると該下限孔23aから該リミットローラー33dが脱出するとともに、該レール枠2aの側部に到達して該リミットスイッチ33eの該レバー部331eが該ステー部材33aに押された状態から解放される。つまり、回路が導通して該駆動部3が上昇することができる。
なお、本実施例における該下限感知33の作動位置は前記ベース部1に該駆動部3が干渉しない一番低い位置に設定している。
このように構成することで、ストレッチャーSに移乗する際に低床ベッドなど高さの低い位置からでも少ない労力で移乗させることができる。
このように構成した該上限感知32及び該下限感知33はそれぞれの該リミットローラー32d,32dの断面がテーパ状に形成され、そのテーパ面が向かい合うように配設されるとともに、部品同士も該軸部材32b,32bを中心に対称に配設しており、前記駆動部3をよりコンパクトに構成することができる。
【0018】
次に、挟み込み感知34について説明する。
図9で示すように、該挟み込み感知34は前記駆動部3の右手側の前記内側プレート3b及び前記外側プレート3cのボトム部4側の側内面に配設される。
まず、該内側プレート3bに挟み込みステー34aを固着するとともに、該挟み込みステー34aに挟み込みプレート34bを回動自在に軸着している。そして、該挟み込みプレート34bの先端に挟み込みローラー34cを軸着するとともに、リミットスイッチ34dを取着している。そして、該挟み込みプレート34bと該内側プレート3bの間に弾性体34eを張設している。なお、弾性体34eは圧縮スプリングを使用しているが、該挟み込みプレート34bを前記レール枠2a側に付勢することができれば圧縮スプリングに限定する必要はない。
このように構成された該挟み込み感知34は、図10(a)で示すようにボトム部4の自重によって該挟み込みローラー34cが該レール枠2aに当接した状態で通常使用される。この時、該リミットスイッチ34dのレバー部341dが該挟み込みステー34aと当接しないように構成される。そして、該駆動部3下降時に何らかの物体と干渉すると、図10(b)で示すように、該駆動部3及び該駆動部3と連設されている該ボトム部4が上方回動して該レール枠2aから該挟み込みローラー34cが離間する(なお、図示は省略するが該駆動部3及び該ボトム部4が上方回動する回動中心は前記ラック2c,2cに噛合した前記ピニオン3k,3kの軸心である前記軸受部材3jである。)。すると、該弾性体34eによって該挟み込みプレート34bが付勢され、該リミットスイッチ34dの該レバー部341dが押された状態となり、これまで前記コントロールボックス3mによって制御されていた回路が遮断され下降停止する。
つまり、該駆動部3及び該ボトム部4の下方から上方に外力が加わった際に該駆動部3及び該ボトム部4が前記昇降レール部2に対して上方回動することで作動する。
また、図5で示すように、該ボトム部4を下から付勢した時に必要以上に該ボトム部4が上方回動しないように、該駆動部3の介助者M2側の下方に回り止めピン3q,3qを軸着しており、より安全に使用することができる。なお、該回り止めピン3q,3qは一例であり必要以上に該ボトム部4が回動しない構成であれば適宜設定したので良い。
ここまで本実施例における前記上限感知32及び前記下限感知33、該挟み込み感知34を説明したいが、いずれもストレッチャーSの右手側に配設しているが、例えば該上限感知32は右手側、該下限感知は左手側にするなどしても良く、上限及び下限、挟み込みを感知可能な位置であればどこに配設しても良いし、感知する精度を上げるために右手側と左手側の両方に配設しても良い。
【0019】
次に、ボトム部4について説明する。
該ボトム部4は、図11で示すように前記駆動部3の一端に固着した支持パイプ4a,4aに利用者M1が乗るのに十分な大きさに屈曲形成したボトム本体4bの両端を該支持パイプ4a,4aに挿通して抜けないように止着して形成している。
なお、該支持パイプ4a,4aは床面に対して脚側先端が上方を向くように上反角を付けて固着しており、利用者M1が搭乗した時に該ボトム部4が荷重で水平より下に下がらないようにしている。
そして、網目状に形成することで通水性の高いネット4cを該ボトム本体4bに張設している。なお、詳細な説明は省略するが該ネット4cの左右両端にオスとメスを繋いで連結する複数の調整ベルト4d,4d,・・・を取着することで該ネット4cの張り調整ができるようにしている。
また、該ボトム本体4bに保持ベルト4e,4eを取着しており、該ボトム部4に搭乗した利用者M1の身体を保持することで不意に転落することが無いようにしている。
そして、該ネット4cの上には利用者M1の頭部を支持するためのマクラ4fを配設している。なお、該マクラ4fは利用者M1の頭部を支持できる形状であれば適宜使用者が設定したので良い。
そして、利用者M1を洗髪する時に温水が介助者M2にかかるのを防ぐことができる洗髪トレー4hは、偏平状のヘラ部41hと利用者M1の頭部をアーチ状に囲う凹部42hにより構成され、該ヘラ部41hが該ネット4cの下に配設され、且つ、該支持パイプ4a,4aに介設して固着されるツナギパイプ4g及び前記メインプレート3aに係止して取着している。なお、該洗髪トレー4hは清掃がし易いように着脱式にすることが好ましく、図示省略するが該洗髪トレー4hの裏面と該メインプレート3aの上面にそれぞれオスメスの面ファスナーを止着して着脱可能に構成している。このように構成することで、該洗髪トレー4hを使用しない時に湿度の高い浴室から外に持ち出して清掃及び乾燥して該洗髪トレー4hを清潔に保つことができる。
【0020】
次に、サイドレール部5,5について説明する。
図11で示すように、前記ボトム本体4bに外挿及び周回可能なボス部材5a,5a,5b,5bに複数のフレームを屈曲形成した組み合わせた柵体5c,5cを固着し、該柵体5c,5cの利用者M1の身体に触れる可能性が高い場所には利用者M1が該柵体5c,5cの冷たさを感じにくいようにポリエチレン製の緩衝材5d,5d,・・・を止着している。(なお、緩衝材5d,5d,・・・の材質は適宜設定したので良い。)そして、該ボス部材5a,5aに連接固着されたロックボス部材5e,5eに弾性体(図示省略)を介して該ボス部材5a,5a内に先端が突出及び退出可能に形成されたロックレバー5f,5fを該ロックボス部材5e,5eに摺動可能に取着している。
このように構成した該サイドレール部5,5は、前記ボトム部4の前記支持パイプ4a,4aに前記ボトム本体4bを挿通する前に該ボトム本体4bに該ボス部材5a,5a,5b,5bを挿通して該ボトム本体4bを周回可能に軸着している。そして、該ボトム本体4bに穿設した孔部41b,41bに前記ロックレバー5f,5fの先端を掛止して該サイドレール部5,5を該ボトム部4に取着している。
つまり、該サイドレール部5,5は該柵部5c,5cが該ボトム部4より上に位置する搬送姿勢と、該ロックレバー5f,5fを介助者M2が操作する(上に引っ張る)ことで、該ボトム部4との係止関係が解消され該ボトム部4より前記柵体5c,5cが下に降りる移乗姿勢に適宜姿勢変更することができる。
なお、本実施例で説明した該サイドレール部5,5の構成は一例であり限定する必要はない。例えば、使用する時には該ボトム本体4bの該穴部41b,41bに該柵体5c,5c挿入し、使用しない時には取外して別の所で保管して使用する着脱式にしても良い。
【0021】
次に、ハンドル部6,6について説明する。
図1などで示すように、該ハンドル部6,6は左右対称に形成され、複数のフレームを屈曲形成して固着したブラケット6a,6aと、該ブラケット6a,6aの上部に介助者M2が把持するための操作ハンドル6b,6bと、いずれかの該操作ハンドル6bの側部に設けた前記リモコン3nを保持するためのリモコンホルダー6cで主に構成される。
図12で示すように、該ハンドル部6,6は該ブラケット6a,6aを前記昇降レール部2の前記レール枠2a,2aの上端に止着し、該操作ハンドル6b,6bを介助者M2が把持することで、ストレッチャーSを搬送したい方向に移動させることができる。
このように、本実施例におけるハンドル部6,6は前記昇降レール部2の上部に具備されているため、前記駆動部3もしくは前記ボトム部4に該ハンドル部6,6が連設されている従来のストレッチャーに比べて該駆動部3及び該ボトム部4の昇降位高さの変化に合わせて該操作ハンドル6b,6bの高さが変化することがない。
つまり、該操作ハンドル6b,6b位置が安定しているため、介助者M2が無理な姿勢を取ることも無く常に一定の姿勢で把持できるものとなっている。
なお、本実施例において該操作ハンドル6b,6bの形状は図12などで示すように、略L字形状を採用しているが、これは一例である。別の方法として、前述したようにハンドル部6,6の高さが該駆動部3及び該ボトム部4の昇降高さに影響を受けないため前記昇降レール2の側面に沿うように操作ハンドル6b,6bの先端を延長しても良い。延長させることで、背の低い介助者M2がより該操作ハンドル6b,6bを把持し易くなる。つまり、介助者M2の身長や体格など身体状況に合わせて自分に合った位置で該操作ハンドル6b,6bを把持できるように改良を簡単に加えることができるため至便である。
このように、該ハンドル部6,6は使用環境に応じて任意に形状を設定したので良い。
【0022】
次に、レールカーテン部7,7について説明する。
該レールカーテン部7,7は前記レール枠2a,2aの内部に配設され、該レール枠2a,2aの前記開口部21a,21aから人の手や髪が入らないようにするためのものでる。なお、該レールカーテン部7,7は左右対称形状をしているが、図12で示すように本実施例の説明は片側の該レールカーテン部7を用いて説明する。
まず、前記昇降レール部2の該レール枠2aの平断面形状と略形状に屈曲形成されるソトホルダー7aに、該ソトホルダー7aの平断面形状よりやや形状が小さいウチホルダー7bを取着する。なお、該ソトホルダー7aと該ウチホルダー7bは取着面以外は後述するカーテン7eが通行可能なすき間が空いた状態で取着される。そして、該ソトホルダー7aの上端にはウエホルダー7cが取着されるとともに、該ウエホルダー7cにはガイドローラー7dが軸着される。そして、樹脂製の薄板で構成されたカーテン7eを該ウエホルダー7cと該ガイドローラー7dの間から通しつつ、該ソトホルダー7aと該ウチホルダー7bの間のすき間まで挿し込み、各部材間に該カーテン7eが摺動するように構成している。また、該カーテン7eの一端近傍にはハトメ(鳩目)7fが止着されている。(なお、該カーテン7eの長さは前記駆動部3を最低位にした時に該ガイドローラー7dから一端が脱落しない程度の長さに設定している。)
このように構成した該レールカーテン部7は、該昇降レール部2の該レール枠2a内に挿通して止着される。この時、該開口部21a側に該カーテン7eが配設されるとともに、該レール枠2aのリップ部と前記ラック2cとの間に配設された前記スペーサー2dによって形成されたすき間に該カーテン7eを配設して、該レール枠7aから該カーテン7eが脱落しないようにしている。そして、該ハトメ7fに前記駆動部3の前記内側プレート3bの側部に取着されたピン部材7gを挿通して取着している。
つまり、該駆動部3の昇降に合わせて該カーテン7が摺動して該レール枠2aの該開口部21aが閉じられた状態となり、手指や髪が前記ラック2cなどに挟まれないため安全に使用することができる。また、図13で示すように該ピン部材7gは段付き形状であり、大径部がボス部材7h内を摺動するとともに小径部に外挿されたバネ7iによって前記レール部2方向に大径部が付勢されるように構成されているため、該ハトメ7fと該ピン部材7gが簡単に外れないようになっている。
このように該レールカーテン部7,7を構成することで、簡単に構成可能であると同時に、安全に使用することができる。
なお、本実施例の該レールカーテン部7,7は一例であり、該開口部21a,21aが封鎖できる構成であれば使用者が適宜設定したので良い。
例えば、本実施例では該駆動部3の上方のみ該レールカーテン部7,7で封鎖するように構成しているが、略類似形状のレールカーテン部を該駆動部3の下方に配置することで該駆動部3の下方も封鎖することができる。
【0023】
次に、シャワー浴装置Nについて説明する。なお、該シャワー浴装置Nは特許文献2004-41590号と略同じ構成である。
まず、図14で示すように、前方に開口部N1を備えたシャワー室N2と、該シャワー室N2を床面から所定の高さに保持する脚部N3,N3,N3を備えている。そして、該シャワー室N2の左右両側には介助窓N4,N4が形成されており、該開口部N1及び該介助窓N4,N4にはスライド式のカーテンN5,N6が具備されている。そして、該シャワー室N2の該開口部N1側の外部にシャワーヘッドN7が具備されている。
このように構成した該シャワー浴装置Nは、介護施設や病院などの浴室に設置され、ストレッチャーSに乗せて浴室まで搬送した利用者M1を前記ボトム部4とともに該開口部N1から該シャワー室N2に入室時に、該シャワー室N2内に具備された温度調整可能なミスト装置(図示省略)によって利用者M1の身体を洗うことができるものである。
なお、該カーテンN5,N6は該開口部N1及び該介助窓N4,N4から水しぶきが外へ出ないようにすることに加えて、利用者M1の身体を外部から見えないようにする役割もある。また、該シャワーヘッドN7から温水がでるように構成されているので、介助者M2が把持して該シャワー室N2に入らない利用者M1の顔や頭部を洗ったり、ミスト装置を使用しない場合に該介助窓N4,N4から介助者M2が洗うことができる。
このように、該シャワー浴装置NとストレッチャーSを組合わせることで利用者M1が仰臥位姿勢のまま全身を洗うことができるため、症状の重い利用者M1であっても介助者M2の身体的負担が少なく洗体介助することができる。なお、本実施例における該シャワー浴装置Nは開口部N1のみ(前面のみ)開放して前記ボトム部4が長手方向に該シャワー室N2内に侵入するように構成されているが、開口部が前面だけでなく両側面が連続して開放していても良い。この場合は、ストレッチャーSを該シャワー浴装置Nの左右いずれかから短手方向に該シャワー室N2内に侵入して使用する。つまり、該シャワー浴装置Nは本実施例に限定する必要は無く、ストレッチャーSに搭乗した利用者M1の身体を洗体することが可能な構成であれば良い。
【0024】
次に、ストレッチャーS及び前記シャワー浴装置Nを利用した洗体介助の手順について説明する。
(1)居室のベッドなどからストレッチャーや車椅子など搬送手段を用いて利用者M1を浴室の脱衣所まで搬送する。
(2)脱衣所に配置したストレッチャーSのボトム部4の上面の高さを介助者M2が搬送手段の座面に合わせて移乗し易い高さに設定する。
(3)介助者M2が利用者M1を脱衣させつつストレッチャーSに移乗させるとともに、ボトム部4(ネット4c)上に仰臥位姿勢で寝かせ、転落防止のために保持ベルト4e,4eを身体に装着させる。
(4)ストレッチャーSをシャワー浴装置Nに近づけ、介助者M2が利用者M1の身体を洗いやすい高さまでボトム部4を昇降させる。
(5)シャワーヘッドN7を使用して、利用者M1の身体を軽く洗い流す。(この間、ミスト装置を数分間作動させておき、シャワー室N2内を温めておいても良い。)
(6)上限感知32が作動するまで駆動部3及びボトム部4を上昇させ、開口部N1からストレッチャーSのボトム部4をシャワー室N2に入室させる。(図15参照。)
(7)ミスト装置を作動させ、シャワー浴を行う。同時にシャワーヘッドN7を用い洗髪や洗顔をする。
(8)一定時間シャワー浴を行った後、ミスト装置を停止させ介助窓N4,N4から利用者M1の身体の洗いにくい場所(腋、手足の指、股間など)をシャワーヘッドN7を使用して洗体する。
(9)洗体が終わった後、シャワー室N2からストレッチャーSを退出させる。
(10)ストレッチャーSを利用して利用者M1を脱衣所まで搬送して、身体を拭いた後に衣服を着させる。
(11)ストレッチャーや車椅子など居室への搬送手段の上面とストレッチャーSのボトム部4上面の高さを合わせて搬送手段に移乗させ、居室まで搬送する。
なお、ここで示した手順は一例である。例えば、居室で先に脱衣させても良いし、先に利用者の身体をシャワーヘッドN7を使用して入念に洗体してから最後にシャワー浴しても良く、状況に応じて手順を変えても良い。
【0025】
次に、本実施例におけるストレッチャーSの利点を説明する。
1.昇降レール部2に沿って駆動部3が昇降するように構成したことで、駆動部3に連設されたボトム部4に仰臥位姿勢で搭乗した利用者M1の頭部方向に障害となる構造材が配置されないため、介助者M2は無理な姿勢を取ることなく利用者M1に接近でき、腰痛予防など介助者M2の身体的負担を軽減できる。また、従来のストレッチャーに比べて、駆動部3がどの昇降位置であっても利用者M1の身体状況を常に確認できるため、介助者M2と利用者M1の意思疎通がし易く精神的負担を軽減できる。さらに、搬送時のベース部1近辺の視認性が高く、作業の効率化や安全性を向上できる。(図16参照。)
2.昇降レール部2の内部にラックアンドピニオン式の昇降部品(ラック2c及びピニオン3k)を配設することで、昇降レール部2及び駆動部3をよりコンパクトに構成できる。つまり、介助者M2がボトム部4に搭乗した利用者M1により近づきやすくなる。
3.昇降レール部2を傾倒することによって、ラック2c及びピニオン3kにかかる負荷に分力を発生させることで、モーター3fへの負荷を軽減できる。よって、ピニオン3kを駆動するためのモーター3fをできるだけ小さくでき、駆動部3をよりコンパクトにできる。また、ローラー部材3d,3d,・・・を対角線上に配設することで、駆動部3及びボトム部4に搭乗した利用者M1の荷重をローラー部材3d,3d,・・・が受けた時に発生する支点抗力を軽減できる。つまり、ローラー部材3d,3d,・・・に金属製のベアリングなど剛性の高い部品を使用する必要が無く、一般的な樹脂製の部品を使用することが可能となり安価に構成できる。
4.駆動部3下降時に何らかの物体を検知する挟み込み感知34が作動することで、物体に干渉したことに気付かず、ボトム部4を必要以上に下降させて破損させる心配が無く安全に使用することができる。
5.昇降時にリップ溝形鋼状に形成したレール枠2a,2aの開口部21a,21aをカーテン7e,7eによって閉口することで、昇降時に利用者M1や介助者M2の髪や手など身体の一部がレール枠2a,2a内に侵入することを未然に防ぎ、安全に使用することができる。
6.駆動部3が昇降してもハンドル部6の高さが変化せず一定の高さであるため、介助者M2は無理な姿勢を取る必要が無く、常時しっかりと操作ハンドルを把持してストレッチャーSを搬送できる。
このように、本実施例におけるストレッチャーSは介助者M2の作業性向上だけでなく、精神的な負担軽減及び製品の安全性向上や、生産性向上など様々な面で利点がある。
【0026】
なお、本実施例ではラックアンドピニオン式の昇降方法を用いたが別の方法を採用しても良い。
例えば、本出願人は特開2008-081231の車椅子用昇降機を過去に提案しているが、この機構を応用してループ式のチェーンを張設して、このチェーンの一端に駆動部の一部を連結することで駆動部3を昇降するようにしても良い。また、図示を省略するが、レール枠2a,2a内に伸縮式のアクチュエーターを収納してアクチュエーターの伸縮を利用して駆動部3を昇降させても良い。
つまり、本発明は昇降レール部2に対して、駆動部3が昇降可能に構成できる部品構成であれば昇降手段は適宜設定することができる。
【0027】
また、本実施例のストレッチャーSは前述した通り、前記駆動部3をコンパクトに構成できるため該駆動部3を改良することができる。
例えば、図17で示すのは、該駆動部3の側部に箱状のホルダー8を取付けており、該ホルダー8にボトル8a,8aを収納している。該ボトル8a,8aは例えば頭髪用のシャンプーやボディーソープなどが入っている。このように構成することで、介助者M2がストレッチャーSから離れなくても、ストレッチャーSに利用者M1が搭乗した状態のまま洗体及び洗髪でき至便である。
該ホルダー8は一例を示しただけであるが、このように駆動部3をコンパクトに構成することで駆動部3周辺を自由に改良できる点も本発明の駆動部3の利点である。
【0028】
なお、本発明についてシャワー浴を行うためのストレッチャーSを実施例としたが用途を限定する必要は無い。
居室間を移動するために使用するストレッチャーに使用しても良く、その場合には前記ボトム部4を改良して前記ネット4cの替わりにマット(図示省略)が敷設できるように井桁状に骨材を組合わせて前記ボトム部4を構成変更したので良い。
このように、本発明は利用者M1を目的地まで搬送したり、移乗したりする使用目的であれば適宜環境に応じて使用したので良い。
【符号の説明】
【0029】
1 ベース部
1b 車輪
2 昇降レール部
2a レール枠
2b ラック
3 駆動部
3k ピニオン
31 中空部
32 上限感知
33 下限感知
34 挟み込み感知
4 ボトム部
5 サイドレール部
6 ハンドル部
7 レールカーテン部
S ストレッチャー
N シャワー浴装置
M1 利用者
M2 介助者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17