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特開2024-94748水位検知装置、水位監視システム、及び水位監視システムの検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094748
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】水位検知装置、水位監視システム、及び水位監視システムの検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/24 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
G01F23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211493
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌形 慎一郎
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AA07
2F014AA14
2F014DA01
(57)【要約】
【課題】受水槽内を目視にて確認することなく、電極棒の少なくとも1つが上壁から脱落しているという異常を発見できる水位検知装置、水位監視システム、及び水位監視システムの検査方法を提供する。
【解決手段】水位検知装置10は、受水槽100内の水位を検知する。水位検知装置10は、受水槽100内に配置され、受水槽100の上壁101に気密に固定される上端部1A及び受水槽100内に開口する開口部1Bを有する管状部材1と、受水槽100内において管状部材1の内部に配置されている複数の電極棒2と、複数の電極棒2を保持し受水槽100の上壁101に固定される保持部3と、保持部3のうち管状部材1の内部に面する部分を介して管状部材1の内部と受水槽100の外部とを連通させる第1連通路4及び第2連通路5とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受水槽内の水位を検知する水位検知装置であって、
前記受水槽内に配置される管状部材と、
前記受水槽内において前記管状部材の内部に配置されている複数の電極棒と、
前記複数の電極棒を保持し前記受水槽の上壁に固定される保持部とを備え、
前記管状部材は、前記受水槽の前記上壁及び前記保持部のいずれかに気密に固定される上端部と、前記受水槽内に開口する開口部とを有し、
前記上壁及び前記保持部のうち前記管状部材の内部に面する部分を介して、前記管状部材の内部と前記受水槽の外部とを連通させる少なくとも1つの連通路をさらに備える、水位検知装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの連通路は、前記保持部を貫通する貫通孔である、請求項1に記載の水位検知装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの連通路は、前記保持部の周囲に位置する前記上壁を貫通する貫通孔である、請求項1に記載の水位検知装置。
【請求項4】
前記管状部材の前記上端部と前記開口部との間の長さは、前記複数の電極棒のうち最長である前記電極棒の延在方向の長さと同等以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の水位検知装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの連通路は、第1連通路と第2連通路とを含み、
前記第1連通路を開閉する開閉弁をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の水位検知装置。
【請求項6】
前記第2連通路に接続されており、前記第2連通路を介して前記管状部材の内部に吸気又は前記管状部材の内部を排気するポンプをさらに備える、請求項5に記載の水位検知装置。
【請求項7】
前記管状部材は、透明である、請求項1~3のいずれか1項に記載の水位検知装置。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載の水位検知装置と、
前記水位検知装置によって検知された前記受水槽内の水位に応じて前記受水槽に給排水する水位監視装置とを備える、水位監視システム。
【請求項9】
受水槽内の水位を検知する水位検知装置と前記水位検知装置によって検知された前記受水槽内の水位に応じて前記受水槽に給排水する水位監視装置とを備える水位監視システムを検査する方法であって、
前記水位検知装置は、
前記受水槽内に配置される管状部材と、
前記受水槽内において前記管状部材の内部に配置されている複数の電極棒と、
前記複数の電極棒を保持し前記受水槽の上壁に固定される保持部とを備え、
前記管状部材は、前記受水槽の前記上壁及び前記保持部のいずれかに気密に固定される上端部と、前記受水槽内に開口する開口部とを有し、
前記水位検知装置は、前記上壁及び前記保持部のうち前記管状部材の内部に面する部分を介して、前記管状部材の内部と前記受水槽の外部とを連通させる連通路をさらに備え、
前記連通路を介して前記管状部材の内部に給気又は前記管状部材の内部から排気して前記管状部材の内部の水位を変化させ、前記水位監視装置の応答を確認する工程を備える、水位監視システムの検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受水槽の水位を検知する水位検知装置、水位監視システム、及び水位監視システムの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受水槽の上壁(天板)に固定された保持器によって保持されており長さが互いに異なる複数の電極棒間の通電状態に基づいて、受水槽内の水位を検知する水位検知装置が知られている(例えば、特開平11-190050号公報(特許文献1)参照)。さらに、水位検知装置にて検知された水位の変化に応じて受水槽内の給排水するための水位監視システムが知られている。水位監視システムは、水位検知装置にて受水槽内の水位が満水位に達したことが検知されるとシステムから監視装置等への警報信号を出力し、水位検知装置にて受水槽内の水位が減水位に達したことが検知されると、受水槽内に給水する。
【0003】
本来、水位検知装置及び水位監視システムの保守時には、少なくとも受水槽内の水位が満水位に達した状態と、受水槽内の水位が減水位に達した状態とが実現されて、各状態において受水槽内への給排水及び警報信号の出力が適切に行われるか否かを確認することが好ましい。しかしながら、このような方法では、保守のみを目的に多量の水を受水槽内に給排水する必要がある。
【0004】
そこで、従来の水位検知装置及び水位監視システムの保守時には、一般的に、実際に受水槽内の水位を満水位及び減水位に変更させることなく、受水槽の外部に配置されておりかつ複数の電極棒の各々と接続された複数の端子間を短絡させ、少なくとも上記2つの状態を疑似的に作り、各状態において受水槽内への給排水が適切に行われるか否かが確認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-190050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の保守方法のみでは、電極棒の少なくとも1つが上壁から脱落しているという異常を発見できない。
【0007】
そのため、上記保守方法を採る場合、受水槽の蓋を開けて受水槽の内部を目視にて確認する必要がある。この場合、工具等の保守用具が受水槽内へ落下するリスクがある。
【0008】
本発明の主たる目的は、受水槽内を目視にて確認することなく、電極棒の少なくとも1つが上壁から脱落しているという異常を発見できる水位検知装置、水位監視システム、及び水位監視システムの検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る水位検知装置は、受水槽内の水位を検知する水位検知装置であって、受水槽内に配置され、受水槽の上壁に気密に固定される上端部及び受水槽内に開口する開口部を有する管状部材と、受水槽内において管状部材の内部に配置されている複数の電極棒と、複数の電極棒を保持し受水槽の上壁に固定される保持部と、上壁及び保持部のうち管状部材の内部に面する部分を介して、管状部材の内部と受水槽の外部とを連通させる少なくとも1つの連通路とを備える。
【0010】
本発明に係る水位監視システムは、上記水位検知装置によって検知された受水槽内の水位に応じて受水槽に給排水する水位監視装置とを備える。
【0011】
本発明に係る水位監視システムを検査する方法は、受水槽内の水位を検知する水位検知装置及び水位検知装置によって検知された受水槽内の水位に応じて受水槽に給排水する水位監視装置を備える水位監視システムを検査する方法である。水位検知装置は、受水槽内に配置される管状部材と、受水槽内において管状部材の内部に配置されている複数の電極棒と、複数の電極棒を保持し受水槽の上壁に固定される保持部とを備える。管状部材は、受水槽の上壁及び保持部のいずれかに気密に固定される上端部と、受水槽内に開口する開口部とを有している。水位検知装置は、上壁及び保持部のうち管状部材の内部に面する部分を介して、管状部材の内部と受水槽の外部とを連通させる連通路をさらに備える。連通路を介して管状部材の内部に給気又は管状部材の内部から排気して管状部材の内部の水位を変化させ、水位監視装置の応答を確認する工程を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、受水槽内を目視にて確認することなく、電極棒の少なくとも1つが上壁から脱落しているという異常を発見できる水位検知装置、水位監視システム、及び水位監視システムの検査方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係る水位検知装置及び水位監視システムの通常運転時を説明するための断面図である。
図2図1に示される水位検知装置の管状部材を示す斜視図である。
図3図1に示される水位検知装置の保持部を示す平面図である。
図4】本実施の形態に係る水位検知装置及び水位監視システムの保守点検時を説明するための断面図である。
図5】本実施の形態に係る水位検知装置及び水位監視システムの保守点検時を説明するための断面図である。
図6】本実施の形態に係る水位検知装置及び水位監視システムの保守点検時に、電極棒が脱落している異常が検知され得ることを説明するための断面図である。
図7】本実施の形態の第1変形例に係る水位検知装置及び水位監視システムの通常運転時を説明するための断面図である。
図8】本実施の形態の第2変形例に係る水位検知装置及び水位監視システムの通常運転時を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施の形態に係る水位検知装置は、受水槽内の水位を検知する水位検知装置である。本実施の形態に係る水位検知装置が適用される受水槽は、受水槽の満水位よりも上方に配置されておりかつ重力方向と交差する方向に延びる上壁を備えている限りにおいて、特に制限されない。
【0015】
<受水槽の構成>
はじめに、図1を参照して、受水槽100の一例を説明する。図1に示されるように、受水槽100は、例えば上壁101、下壁、及び側壁を有している。側壁の上方には、給水口102が形成され、側壁の下方には排水口103が形成されている。上壁101は、受水槽100の満水位よりも上方に配置されており、かつ重力方向Gと交差する方向に延びる壁部である。上壁101には、受水槽100の内部と外部とを連通させる第1開口部101Aが形成されている。受水槽100は、第1開口部101Aを開閉可能な蓋部120をさらに有している。第1開口部101Aは、作業者が受水槽の内部に出入りするために設けられている。
【0016】
上壁101には、受水槽100の内部と外部とを連通させる少なくとも1つの第2開口部101Bが形成されている。少なくとも1つの第2開口部101Bは、後述する水位検知装置10の保持部3が配置されるために設けられている。
【0017】
給水口102には、給水路が接続されている。排水口103には、排水路が接続されている。
【0018】
受水槽100の内部において空気で満たされる空間の圧力は、受水槽100内の水位の上下動によらず、大気圧とされている。受水槽100には、受水槽100の内部において空気で満たされる空間と受水槽100の外部との間で空気の出入りを可能とするために、図示しない空気抜き穴が形成されている。
【0019】
<水位検知装置の構成>
図1に示されるように、本実施の形態に係る水位検知装置10は、管状部材1、複数の電極棒2、保持部3、第1連通路4、第2連通路5、複数の端子6、ケース7、閉止部材8、及びコンプレッサー9を備える。水位検知装置10は、通常運転時において、管状部材1の内部の水位が受水槽100の内部であって管状部材1の外部の水位と同じ位置となるように、設けられている。
【0020】
管状部材1は、受水槽100内に配置され、受水槽100の上壁101に気密に固定される上端部1Aと、受水槽100内に開口する第3開口部1Bとを有する。上端部1Aは、例えば保持部3に気密に固定されており、保持部3が上壁101に気密に固定されていることにより、上壁101に気密に固定されている。上端部1Aが保持部3に固定される方法は特に制限されない。上端部1Aは、例えば接着剤により保持部3に固定されている。管状部材1の第3開口部1Bは、例えば管状部材1の下端部に設けられている。管状部材1の上端部1Aは、第2開口部101Bを囲むように配置されている。管状部材1の第3開口部1Bは、受水槽100の減水位よりも下方に配置されている。管状部材1は、第3開口部1Bと上端部1Aとの間に、管状部材1の内部と外部とを連通させる開口部を有していない。異なる観点から言えば、管状部材1は、受水槽100の内部の水または空気が第3開口部1Bのみを介して管状部材1の内部と管状部材1の外部との間を出入りするように、設けられている。
【0021】
複数の電極棒2は、受水槽100内において管状部材1の内部に配置されている。複数の電極棒2は、例えば第1電極棒21、第2電極棒22、第3電極棒23、第4電極棒24、及び第5電極棒25を含む。第1電極棒21は、受水槽100内の水位が満水警報水位(以下、単に満水位とも記載する)である状態を検知するための満水位検知用電極棒である。第1電極棒21の延在方向の長さは複数の電極棒2のうち最も短い。第2電極棒22は、受水槽100内の水位が給水停止水位である状態を検知するための電極棒である。第2電極棒22の延在方向の長さは、第1電極棒21よりも長く、複数の電極棒2のうち2番目に短い。第3電極棒23は、受水槽100内の水位が給水開始水位である状態を検知するための電極棒である。第3電極棒23の延在方向の長さは、第2電極棒22よりも長く、第4電極棒24よりも短い。第4電極棒24は、受水槽100内の水位が減水警報水位(以下、単に減水位とも記載する)である状態を検知するための減水位検知用電極棒である。第4電極棒24の延在方向の長さは、第5電極棒25よりも短く、複数の電極棒2のうち2番目に長い。第5電極棒25は、コモン電極棒である。第5電極棒25の延在方向の長さは、複数の電極棒2のうち最も長い。管状部材1の上端部1Aと第3開口部1Bとの間の長さは、複数の電極棒2のうち最長である第5電極棒25の延在方向の長さと同等以上である。第5電極棒25の下端部は、受水槽100の減水位よりも下方に配置される。つまり、第1管状部材1の第3開口部1Bは、受水槽100の減水位よりも下方に配置される。
【0022】
複数の電極棒2の各々の上方部分は、保持部3によって保持されている。複数の電極棒2の各々の上方端部は、保持部3に固定されている複数の端子6と電気的に接続されている。複数の電極棒2の各々の下方端部は、管状部材1の内部に配置されている。
【0023】
保持部3は、複数の電極棒2を保持している。保持部3は、第2開口部101Bに固定される。保持部3は、例えば第2開口部101Bを塞いでいる。
【0024】
第1連通路4及び第2連通路5は、上壁101のうち管状部材1の内部に面する部分を介して管状部材1の内部と受水槽100の外部とを連通させるように設けられている。第1連通路4及び第2連通路5は、例えば保持部3を貫通する貫通孔により構成されている。第1連通路4及び第2連通路5は、通常運転時において管状部材1の内部の水位が上下動する際に、管状部材1の内部において空気で満たされる上方空間と受水槽100の外部との間で空気が出入りするように設けられている。上述のように、受水槽100の内部において空気で満たされる空間の圧力は、受水槽100内の水位の上下動によらず、大気圧とされている。そのため、通常運転時において、管状部材1の内部において空気で満たされる上方空間は、受水槽100の内部において空気で満たされる空間と同様に、大気圧に保持される。これにより、通常運転時において、管状部材1の内部の水位が受水槽100の内部であって管状部材1の外部の水位と同じ位置となる。
【0025】
第1連通路4は、後述する保守点検時(図4参照)において閉止部材8により閉止される。第2連通路5は、保守点検時においてコンプレッサー9と接続される。図1に示される通常運転時の水位検知装置10では、第1連通路4及び第2連通路5は、それぞれ開放されており、管状部材1の内部と受水槽100の外部とを連通させている。なお、第2連通路5は、通常運転時においてもコンプレッサー9と接続されていてもよい。
【0026】
複数の端子6は、保持部3に固定されており、保持部3の上面において露出している。複数の端子6の各々は、保持部3によって保持されている複数の電極棒2の各々の上方端部と電気的に接続されている。複数の端子6の各々は、後述する水位監視システム200の水位監視装置201と電気的に接続される。
【0027】
ケース7は、複数の電極棒2の各々の上方端部、保持部3、第1連通路4及び第2連通路5、及び複数の端子6を覆うように、受水槽100の上壁101上に配置される。ケース7は、上壁101に対して着脱可能とされている。
【0028】
図2に示されるように、管状部材1は、例えば円管である。好ましくは、管状部材1は、透明である。好ましくは、管状部材1を構成する材料は、透明な材料であり、より好ましくは塩化ビニルである。
【0029】
図3に示されるように、保持部3を平面視したときに、第1連通路4及び第2連通路5は、複数の電極棒2と間隔を空けて配置されている。なお、複数の電極棒2、第1連通路4及び第2連通路5の相対的な位置関係は、図3に示されるものに制限されない。
【0030】
図4に示される保守点検時の水位検知装置10では、第1連通路4が閉止部材8により気密に閉止され、第2連通路5がコンプレッサー9と接続される。閉止部材8は、第1連通路4を気密に閉止可能な任意の部材であればよい。閉止部材8は、第1連通路4に着脱可能である。なお、閉止部材8は、第1連通路4に固定されており、第1連通路4を開放又は閉止する開閉弁であってもよい。
【0031】
コンプレッサー9は、管状部材1の内部に給気して管状部材1の内部の水位を下降させる又は管状部材1の内部から排気して管状部材1の内部の水位を上昇させるように設けられている。好ましくは、コンプレッサー9は、管状部材1の内部に給気して管状部材1の内部の水位を下降させるとともに、管状部材1の内部から排気して管状部材1の内部の水位を上昇させるように設けられている。
【0032】
コンプレッサー9は、例えば図4に示される保守点検時において受水槽100の上壁101上であってケース7の外部に配置される。この場合、コンプレッサー9と第2連通路5とを接続する管路はケース7に通される。コンプレッサー9による排気量は、少なくとも、第1電極棒21が浸水している状態と第1電極棒21が浸水していない状態とが切り替えられるように設定される。コンプレッサー9による給気量は、少なくとも、第4電極棒24が浸水している状態と第4電極棒24が浸水していない状態とを切り替えられるように設定される。
【0033】
なお、コンプレッサー9は、ケース7の内部に配置されてもよい。コンプレッサー9は、図1に示される通常運転時において、ケース7の内部に収容されていてもよい。
【0034】
<水位監視システムの構成>
図1に示されるように、水位監視システム200は、水位検知装置10と、水位検知装置10によって検知された受水槽100内の水位に応じて受水槽100に給排水する水位監視装置201と、給水路と、給水路を開閉する第1開閉弁202と、排水路とを備える。水位監視装置201は、複数の端子6の各々と電気的に接続されている。水位監視装置201は、複数の端子6から受信した電気信号に基づいて、第1開閉弁202を開閉するための信号を発信する。第1開閉弁202は、水位監視装置201から受信した信号に基づいて開閉する。第1開閉弁202は、例えば電磁弁である。
【0035】
<水位検知装置及び水位監視システムの動作>
次に、水位検知装置10及び水位監視システム200が通常運転している時の動作について説明する。通常運転時において、水位検知装置10及び水位監視システム200は、図1に示される状態とされる。
【0036】
通常運転時において、水位監視システム200は、受水槽100内の水位が給水開始水位と給水停止水位との間に保たれるように受水槽100に給排水する。通常運転時において、管状部材1の内部の水位は、受水槽100内の水位と同じ位置にあり、受水槽100内の水位の上下動に同期して上下動する。受水槽100内の水位が下ると、管状部材1の内部の水位も下がる。受水槽100内の水位が給水開始水位に達すると、管状部材1の内部の水位も給水開始水位に達する。その結果、水位検知装置10の第3電極棒23は浸水しなくなり、受水槽100内への給水が開始される。給水弁のトラブル等により受水槽100内の水位が給水開始水位よりもさらに下がり、受水槽100内の水位が減水位となると、管状部材1の内部の水位も減水位となり、第3電極棒23のみならず第4電極棒24も浸水しなくなる。第4電極棒24が浸水していないことを水位監視装置201が検知すると、警報信号が出力される。
【0037】
通常運転時において、受水槽100内の水位が上がると、管状部材1の内部の水位も上がる。受水槽100内の水位が給水停止水位に達すると、管状部材1の内部の水位も給水停止水位に達する。その結果、水位検知装置10の第2電極棒22が浸水し、第1開閉弁202は閉じられ、受水槽100への給水が停止する。第1開閉弁202のトラブル等により受水槽100内の水位が給水停止水位よりもさらに上がり、受水槽100内の水位が満水位となると、管状部材1の内部の水位も満水位となり、水位検知装置10の第1電極棒21が浸水する。水位監視装置201が第1電極棒21の浸水を検知すると、警報信号が出力される。
【0038】
<水位監視システムの検査方法>
次に、水位監視システム200の検査方法について説明する。水位監視システム200の検査方法は、第2連通路5を介して管状部材1の内部に給気又は管状部材1の内部から排気して管状部材1の内部の水位を変化させ、水位監視装置201の応答を確認する工程を備える。以下、その具体例を説明する。
【0039】
第1に、図4及び図5に示されるように、水位検知装置10の第1連通路4が閉止部材8によって閉止され、第2連通路5がコンプレッサー9と接続される。これにより、コンプレッサー9が管状部材1の内部に給排気することにより、受水槽100に給排水することなく、管状部材1の内部の水位が満水位と減水位との間で上下動し得る。
【0040】
第2に、コンプレッサー9が管状部材1の内部を給排気することにより、管状部材1の内部の水位を満水位と減水位との間で上下動させる。上述のように、コンプレッサー9による排気量は、少なくとも、第1電極棒21が浸水していない状態と第1電極棒21が浸水している状態とが切り替えられるように段階的に設定される。コンプレッサー9による給気量は、少なくとも、第4電極棒24が浸水している状態と第4電極棒24が浸水していない状態とを切り替えられるように段階的に設定される。
【0041】
そのため、コンプレッサー9が管状部材1の内部から排気することにより、図4に示されるように、管状部材1の内部の水位は管状部材1の外部の水位よりも上昇して満水位とされ得る。また、コンプレッサー9が管状部材1の内部に給気することにより、図5に示されるように管状部材1の内部の水位は管状部材1の外部の水位よりも下降して減水位とされ得る。
【0042】
したがって、水位検知装置10及びこれを備える水位監視システム200によれば、受水槽100内に給水することなく、管状部材1の内部の水位が満水位でない第1状態から管状部材1の内部の水位が満水位である第2状態に切り替えられ得る。第1電極棒21が正常である場合、第1状態では、水位監視装置201は第1電極棒21から満水位の信号を受信しない。また第1電極棒21が正常である場合、第2状態では、水位監視装置201は、第1電極棒21から満水位の信号を受信し警報信号を出力する。
【0043】
他方、図6に示されるように、第1電極棒21が保持部3から脱落している場合、第2状態においても、水位監視装置201は、第1電極棒21から満水位の信号を受信せず、警報信号を出力しない。
【0044】
そのため、第1状態から第2状態に切り替えられた際の、第1電極棒21から水位監視装置201への満水位の信号又は水位監視装置201から第1開閉弁202への信号の有無を検査することにより、受水槽内を目視にて確認することなく、第1電極棒21の脱落等の異常を検出できる。
【0045】
水位検知装置10及びこれを備える水位監視システム200によれば、受水槽100内から排水することなく、管状部材1の内部の水位が減水位でない第3状態から管状部材1の内部の水位が減水位である第4状態に切り替えられ得る。第4電極棒24が正常である場合、第3状態では、水位監視装置201は第4電極棒24から減水位の信号を受信しない。また第4電極棒24が正常である場合、第4状態では、水位監視装置201は第4電極棒24から減水位の信号を受信し、警報信号を出力する。
【0046】
さらに水位監視システム200によれば、コンプレッサー9によって第1状態から第2状態に切り替えられた際、及び第3状態から第4状態に切り替えられた際に、水位監視装置201が予め定められた警報出力動作を適切に行うか否かを検査することができる。
【0047】
好ましくは、コンプレッサー9の給排気に伴う管状部材1の内部の水位の上下動は、例えば各電極棒2について浸水している状態と浸水していない状態とが実現されるように、段階的に行われる。これにより、第1電極棒21及び第4電極棒24と同様に、第1電極棒21及び第4電極棒24以外の他の電極棒2が正常であるか否かを検査できる。さらに、各水位において第1開閉弁202が予め定められた動作を適切に行うか否か及び水位監視装置201が予め定められた警報出力動作を適切に行うか否かを検査することができる。
【0048】
<水位検知装置、水位監視システム、及び水位監視システムの検査方法の効果>
水位検知装置10は、受水槽100の上壁101に気密に固定される上端部1A及び受水槽100内に開口する第3開口部1Bを有する管状部材1と、管状部材1の内部に配置されている複数の電極棒2と、保持部3を介して管状部材1の内部と受水槽100の外部とを連通させる第1連通路4及び第2連通路5とを備える。そのため、上述した通常運転時においては、第1連通路4及び第2連通路5を開いておくことで、管状部材1の内部の水位が受水槽100内であって管状部材1の外部の水位と等しくなる。他方、上述した保守点検時には、第1連通路4を閉じ、第2連通路5をコンプレッサー9と接続して、コンプレッサー9によって管状部材1の内部を給排気することで、受水槽100に給排水することなく、管状部材1の内部の水位を上下動させることができる。これにより、水位検知装置10及びこれを備える水位監視システム200によれば、受水槽100に給排水せずかつ受水槽100内を目視にて確認することなく、複数の電極棒2の各々について脱落異常を発見できる。
【0049】
さらに、水位検知装置10及び水位監視システム200によれば、受水槽100に給排水することなく、管状部材1の内部の水位を上下動させることにより、各水位において第1開閉弁202が予め定められた動作を適切に行うか否か及び水位監視装置201が予め定められた警報出力動作を適切に行うか否かを検査することができる。
【0050】
さらに水位検知装置10では、第1連通路4及び第2連通路5の各々が保持部3を貫通する貫通孔として設けられている。このような水位検知装置10は、受水槽100の上壁101に第1連通路4及び第2連通路5が形成されていない既設の受水槽にも適用可能である。
【0051】
さらに水位検知装置10では、管状部材1の上端部1Aと第3開口部1Bとの間の長さが複数の電極棒2のうち最長である第5電極棒25の延在方向の長さと同等以上である。上述のように、コモン電極棒である第5電極棒25の下端部は受水槽100の減水位よりも下方に配置されるため、第1管状部材1の第3開口部1Bは受水槽100の減水位よりも下方に配置される。これにより、水位検知装置10は、管状部材1の内部の水位を受水槽100の満水位と減水位との間で上下動させることができる。このような水位検知装置10及び水位監視システム200によれば、第5電極棒25及びこれよりも短い第1電極棒21~第4電極棒24の脱落異常を検知できるとともに、上記第3状態から上記第4状態に切り替えられた際に第1開閉弁202が予め定められた動作を適切に行うか否か及び水位監視装置201が予め定められた警報出力動作を適切に行うか否かを検査することができる。
【0052】
また、従来の水位検知装置では、電極棒が給水時に波立つ水面に浸されるため、波の影響による誤作動を防ぐためのタイマー回路が必要とされている。これに対し、水位検知装置10及び水位監視システム200によれば、給水口102から受水槽100内に給水される際にも管状部材1の内部において水面はなめらかに上昇し、水面に波が立ちにくいため、タイマー回路が不要とされる。
【0053】
<変形例>
水位検知装置10では、第1連通路4及び第2連通路5が上壁101及び保持部3のうち管状部材1の内部に面する部分に形成されていればよい。図7に示されるように、水位検知装置10では、第1連通路4及び第2連通路5が、保持部3の周囲に位置し管状部材1の内部に面する上壁101の一部分を貫通する貫通孔であってもよい。図7に示される水位検知装置10では、管状部材1の上端部1Aが上壁101に直接固定されている。上端部1Aが上壁101に固定される方法は特に制限されない。上端部1Aは、例えば接着剤により上壁101に固定される。このような水位検知装置10は、図1図6に示される水位検知装置10と同様の効果を奏する。
【0054】
なお、図8に示されるように、管状部材1の上端部1Aが上壁101に直接固定されている水位検知装置10においても、第1連通路4及び第2連通路5は、保持部3に形成されていてもよい。
【0055】
上述した各水位検知装置10は、第1連通路4及び第2連通路5のうち少なくとも第2連通路5を備えていればよい。このようにしても、通常運転時において第2連通路5を開放しておけば、管状部材1の内部の水位が上下動する際に、管状部材1の内部において空気で満たされる上方空間と受水槽100の外部との間で空気が出入りできる。そのため、通常運転時において、管状部材1の内部の水位は受水槽100の内部であって管状部材1の外部の水位と同じ位置となり得る。
【0056】
他方、図1図8に示される水位検知装置10のように、第1連通路4及び第2連通路5を備えていれば、第1連通路4のみを開放することで管状部材1の内部において空気で満たされる上方空間と受水槽100の外部との間で空気が出入りできるため、通常運転時においては第1連通路4のみを開放して第2連通路5にコンプレッサー9を接続しておくことができる。つまり、図1図8に示される水位検知装置10では、コンプレッサー9を常設しておくことが可能となる。
【0057】
以上のように本開示の実施の形態について説明を行なったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本開示の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本開示の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0058】
1 管状部材、1A 上端部、1B 第3開口部、2 電極棒、3 保持部、4 第1連通路、5 第2連通路、6 端子、7 ケース、8 閉止部材、9 コンプレッサー、10 水位検知装置、21 第1電極棒、22 減水位検知用電極棒、100 受水槽、101 上壁、101A 第1開口部、101B 第2開口部、102 給水口、103 排水口、120 蓋部、200 水位監視システム、201 水位監視装置、202 第1開閉弁。
図1
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図8