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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094750
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20240703BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20240703BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20240703BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240703BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G02F1/13357
G02F1/1334
G02F1/1347
G02F1/133 550
G02F1/1335
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211499
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 諒
【テーマコード(参考)】
2H189
2H193
2H291
2H391
【Fターム(参考)】
2H189AA04
2H189AA21
2H189HA05
2H189HA16
2H189LA10
2H189LA20
2H189LA22
2H189MA15
2H189NA09
2H193ZA04
2H193ZA07
2H193ZA37
2H193ZA48
2H193ZG05
2H193ZG14
2H193ZG27
2H193ZG51
2H193ZQ13
2H193ZR20
2H291FA71X
2H291FA85X
2H291GA19
2H291JA02
2H291LA24
2H291MA20
2H291NA64
2H391AA23
2H391AA25
2H391AB04
2H391AB05
2H391AC05
2H391AD04
2H391AD55
2H391EA26
2H391EB02
2H391FA01
2H391FA02
(57)【要約】
【課題】装置の画像の品質を向上させる。
【解決手段】表示装置は、第1前面10fおよびその反対面である第1背面10bを備えている第1基板10と、第1基板10の第1前面10f上に配置される液晶層LQLと、第1前面10fと対向する第1主面30b、その反対面である第2主面30f、および第1主面30bおよび第2主面30fと交差する側面を備えている導光板30と、導光板30の側面と対向するように配置された複数の発光素子を備える光源部41と、を有し、導光板30は、光源部41と対向する第1側面30sの表面粗さが、第1側面30s以外の側面の表面粗さよりも大きい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1前面およびその反対面である第1背面を備えている第1基板と、
前記第1基板の前記第1前面上に配置される液晶層と、
前記第1前面と対向する第1主面、その反対面である第2主面、および前記第1主面および前記第2主面と交差する側面を備えている導光板と、
前記導光板の前記側面と対向するように配置された複数の発光素子を備える光源部と、
を有し、
前記導光板は、前記光源部と対向する第1側面の表面粗さが、前記第1側面以外の側面の表面粗さよりも大きい、表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記第1側面以外の側面が鏡面である、表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置において、
前記第1側面の表面粗さRaが0.1~1.5μmである、表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示装置において、
前記第1側面の表面粗さRzが1.5~9.5μmである、表示装置。
【請求項5】
請求項2に記載の表示装置において、
前記第1側面以外の側面の表面粗さRaが0.2μm以下である、表示装置。
【請求項6】
請求項2に記載の表示装置において、
前記第1側面以外の側面の表面粗さRzが0.05~0.2μmである、表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の表示装置において、
さらに、前記液晶層と前記導光板との間に、前記液晶層を挟んで前記第1基板と対向するように配置される対向基板を有し、
前記導光板の厚さが、3~6.5mmであり、前記第1基板の厚さが、0.5~0.7mmであり、かつ、前記対向基板の厚さが、0.5~0.7mmである、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶層を有する表示装置において、透明基板の側面を発光素子と対向するように配置し、該発光素子から射出される光を透明基板内に入射させ、導光させる透明表示装置が知られている。例えば、特開2020-177731号公報(特許文献1)には、発光素子と、該発光素子と対向する第1側面と、その第1側面と向かい合う第2側面と、を有するカバーガラスを備え、該カバーガラスの第2側面には反射材を設け、第1側面には反射材を設けないようにし、第2側面の表面粗さを第1側面の表面粗さよりも大きくすることで、導光板の側面から入射した光が、この側面の反対側から外部に漏れ出ることを抑制し、光の利用効率を改善した、表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-177731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、観察者が、表示画像と背景とを重ね合わせて認識することが可能な透明表示装置の開発を行っている。透明表示装置の場合、前面および背面のそれぞれが可視光を透過させる特性を備えている必要がある。このため、画像を表示するための光源部は、導光板の側面に配置される。光源部から出射された光は、導光板の側面から入光し、液晶パネル内を拡散しながら液晶層で散乱されて液晶パネル外部へ出射し、観察者がその出射した光を知覚することで、画像を認識できる。
【0005】
ところで、近年では、光源部を構成する光源としては発光ダイオード素子(LED)を用いることが一般的であり、LEDは入光する光の集光性が高く、輝度を確保する点で好ましいが、導光板の入光部付近において、LEDが出射する光が、明度の高い明るい線としてスジ状に観察される場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような入光部付近のスジ状の光が生じることを抑制し、画像の表示品質を向上し得る表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施の形態である表示装置は、第1前面およびその反対面である第1背面を備えている第1基板と、前記第1基板の前記第1前面上に配置される液晶層と、前記第1前面と対向する第1主面、その反対面である第2主面、および前記第1主面および前記第2主面と交差する側面を備えている導光板と、前記導光板の前記側面と対向するように配置された複数の発光素子を備える光源部と、を有し、前記導光板は、前記光源部と対向する第1側面の表面粗さが、前記第1側面以外の側面の表面粗さよりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】透明表示パネル装置の一方の面側にいる観察者が、反対面側にある背景を、透明表示パネル装置を介して視認する場合の位置関係を示す説明図である。
図2】透明表示パネル装置を介して視認される背景の一例を示す説明図である。
図3図1に示す透明表示パネルの概略構成の一例を示す斜視図である。
図4図3のA-A線に沿った断面図である。
図5図3の透明表示パネルが備える回路の一例を示す回路ブロック図である。
図6図3の透明表示パネルにおいて、側面視したときの、導光板の入光部付近の構成を説明する図である。
図7図3の透明表示パネルの変形例において、側面視したときの、導光板の入光部付近の構成を説明する図である。
図8】本実施の形態における、変形例の概略構成を説明するための図である。
図9】本実施の形態における、他の変形例の概略構成を説明するための図である。
図10】実施例における、表示パネルの入光部側領域の状態を観察した図である。
図11】比較例における、表示パネルの入光部側領域の状態を観察した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一または関連する符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
[表示装置]
本実施の形態の表示装置は、透明表示装置であり、まず、この表示装置の概略構成について説明する。図1は、表示パネルP1の一方の面側にいる観察者が、反対面側にある背景を、表示パネルP1を介して視認する場合の位置関係を示す説明図である。図2は、表示パネルP1を介して視認される背景の一例を示す説明図である。
【0011】
図1に示すように、観察者100が、表示パネルP1の一方から他方をみる場合、背景101が表示パネルP1を透過して視認される。図2に示すように、表示領域DAおよび表示領域DAの外側の周辺領域PFAが共に可視光透過性を有する場合、背景101の全体を違和感なく視認することができ好ましい。なお、周辺領域PFAは可視光透過性を有していなくてもよい。ここで、表示領域DAと周辺領域PFAの境界を二点鎖線で示している。
【0012】
また、本実施の形態において課題としている領域である、入光部側領域ELAも図2に示している。この図2においては、表示パネルP1における光源を図の下方に配置し、下方から上方に向かって光源光を導光させて画像表示する場合を想定しており、入光部側領域ELAは、表示領域DAのうち光源装置に近い領域と言うこともできる。
【0013】
ここで用いられる表示パネルP1は、透明なガラス板などを有し、背景を透過して視認可能としつつ、画像を表示可能な透明表示パネルであればよく、基本構成としては、公知の透明表示パネルを制限されずに使用できる。この透明表示パネルとしては、例えば、液晶表示パネル等が挙げられる。この表示パネルP1は、導光板を介して液晶層に入光する光源の光、もしくは液晶層に入光する外光、を液晶層で透過・拡散させるタイプの構成であり、光源が基板の平面上にはない。
【0014】
本実施の形態では、表示パネルP1として、液晶分子による可視光の散乱を利用して画像を表示させる透明表示パネル(液晶表示パネル)を用いる場合を例に、以下説明する。
【0015】
ここで、液晶表示パネルは、液晶層に含まれる分子の配向を変化させることにより、表示画像を形成する装置であるが、光源を必要とする。以下では、液晶層を含む表示パネルのサイドに光源を備えた態様を例に説明する。
【0016】
<表示パネル>
まず、表示パネルの構成について説明する。図3は、本実施の形態で用いられる表示パネルP1の一例を示す斜視図である。
【0017】
この図3では、表示パネルP1が備える回路のうち、液晶を駆動するための信号を伝送する信号配線の一部(詳しくは、ゲート線GLおよびソース線SL)を一点鎖線で模式的に示している。図3を含む以下の図面において、表示パネルP1の厚さ方向に沿った方向をZ方向、Z方向に直交するX-Y平面において、表示パネルP1の一辺の延在方向をX方向、X方向に交差する方向をY方向として説明する。図4は、図3のA-A線に沿った断面図である。
【0018】
図3に示すように、本実施の形態の表示パネルP1は、基板(アレイ基板)10、対向基板20、導光板30、サイド光源装置40、および駆動回路50を備える。表示パネルP1は、図3に示す表示パネルP1が備える各部分の他、例えば制御回路、あるいは表示パネルP1に接続されるフレキシブル基板、あるいは筐体などが含まれる場合がある。図3では、表示パネルP1以外の部分は図示を省略している。表示パネルP1は、外部から供給される入力信号に応じて表示領域DAに画像が形成される。
【0019】
なお、図3に示す表示パネルP1の表示領域DAは四角形であるが、表示領域が多角形や円形など、四角形以外の形状であってもよい。表示領域DAは、表示面を視た平面視において、表示パネルP1が画像を表示する有効領域である。基板10、対向基板20および導光板30のそれぞれは、平面視において表示領域DAと重なる位置にある。サイド光源装置40、および駆動回路50のそれぞれは、基板10上に搭載されている。
【0020】
図4に示すように、表示パネルP1は、液晶層LQLを介して対向するように貼り合せられた基板10および対向基板20を有している。基板10、対向基板20および導光板30は、表示パネルP1の厚さ方向であるZ方向に配列される。言い換えれば、基板10、対向基板20および導光板30は、表示パネルP1の厚さ方向(Z方向)において互いに対向する。
【0021】
ここで、上記のような構成となっているため、基板10は、液晶層LQL(および対向基板20)と対向する前面(主面、面)10fとその背面10bを有し、対向基板20は、基板10の前面10f(および液晶層LQL)と対向する背面(主面、面)20bとその反対面である前面(主面、面)20fを有する。すなわち、液晶層LQLは、基板10と対向基板20に挟持されている(より詳しく言えば、基板10の前面10fと対向基板20の背面20bとの間に挟まれて保持されている)。さらに、導光板30は、対向基板20の前面20fと対向する背面(主面、面)30bとその反対面である前面(主面、面)30fを有する。
【0022】
基板10は、スイッチング素子(能動素子)Tr(図5参照)としての複数のトランジスタ(トランジスタ素子)がアレイ状に配置されたアレイ基板である。また、対向基板20は、表示面側に設けられた基板であり、アレイ基板に対向配置された基板である。
【0023】
液晶LQを含む液晶層LQLは、光学変調素子である。表示パネルP1は、上記したスイッチング素子を介して液晶層LQLの周辺に形成される電界の状態を制御することにより、そこを通過する光を変調する機能を備えている。この表示パネルP1を平面視したとき、基板10、対向基板20および導光板30にある表示領域DAは、図4に示すように液晶層LQLと重畳する。
【0024】
また、基板10と対向基板20とは、シール部(シール材)SLMを介して接着される。図3および図4に示すように、シール部SLM(図4参照)は、表示領域DAの周囲を囲むように、周辺領域PFAに配置される。シール部SLMの内側には、図4に示すように液晶層LQLがある。シール部SLMは、基板10と対向基板20との間に液晶を封入するシールとしての役割を果たす。また、シール部SLMは、基板10と対向基板20とを接着する、接着材としての役割を果たす。
【0025】
導光板30は、対向基板20に積層配置され、後述するサイド光源装置40から出射された光源光をその内部に導光させる部材である。この導光板30は、表示パネルP1の表面側に設けられることからカバーガラスと呼ばれることもある。
【0026】
サイド光源装置40は、複数の光源部41を有する。光源部41は、導光板30の側面30sと対向する位置に配置される。図4に二点鎖線で模式的に示すように、光源部41から出射された光源光L1は、基板10の背面10bおよび導光板30の前面30fで反射しながら、側面30sから遠ざかる方向に伝搬する。光源光L1の伝搬経路において、基板10の背面10bおよび導光板30の前面30fは、屈折率の大きな媒質と、屈折率の小さな媒質との界面である。このため、光源光L1が前面30fおよび背面10bに入射する入射角が臨界角よりも大きい場合、光源光L1は、前面30fおよび背面10bにおいて全反射する。
【0027】
液晶LQは高分子分散型液晶LCであり、液晶性ポリマーと液晶分子を含んでいる。液晶性ポリマーは、筋状に形成され、液晶分子は、液晶性ポリマーの隙間に分散される。液晶性ポリマーおよび液晶分子の各々は、光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。液晶性ポリマーの電界に対する応答性は、液晶分子の電界に対する応答性より低い。液晶性ポリマーの配向方向は、電界の有無にかかわらずほとんど変化しない。一方、液晶分子の配向方向は、液晶LQにしきい値以上の高い電圧が印加された状態では、電界に応じて変化する。
【0028】
液晶LQに電圧が印加されていない状態では、液晶性ポリマーおよび液晶分子のそれぞれの光軸は互いに平行であり、液晶層LQLに入射した光源光L1は、液晶層LQL内でほとんど散乱されることなく透過する(透明状態)。液晶LQに電圧が印加された状態では、液晶性ポリマーおよび液晶分子のそれぞれの光軸は互いに交差し、液晶LQに入射した光源光L1は、液晶層LQL内で散乱される(散乱状態)。
【0029】
表示パネルP1は、光源光L1の伝搬経路における液晶LQの配向を制御することにより、透明状態と散乱状態とを制御する。散乱状態において光源光L1は液晶LQにより放出光L2として背面10b及び前面30f側から表示パネルP1の外部に出射される。また、背面10b側から入射した背景光L3は、基板10、液晶層LQL、対向基板20および導光板30を透過して、前面30fから外部に出射される。また、図示しないが、前面30f側から導光板30、対向基板20、液晶層LQL及び基板10と透過する前面30f側の背景光についても同様である。放出光L2および背景光L3は、前面30f側にいる観察者に視認される。そのため、観察者は、放出光L2と、背景光L3とを組み合わせて認識することができる。
【0030】
(回路の構成例)
次に、図3に示す表示パネルP1が備える回路の構成例について説明する。図5は、図3の透明表示パネルが備える回路の一例を示す回路ブロック図である。図5に示すコモン電極CEに接続される配線経路は、例えば図4に示す対向基板20に形成されている。図5では、対向基板20に形成された配線を点線で図示している。図5に示す例では、光源制御部42が、駆動回路50に含まれる。変形例としては、駆動回路50とは別に光源制御部42を設ける場合もある。光源制御部42は、例えば図3に示すサイド光源装置40に接続される配線基板(図示は省略)に形成され、当該配線基板を介して光源部41に電気的に接続されている。
【0031】
図5に示す例では、駆動回路50は、信号処理回路51、画素制御回路52、ゲート駆動回路53、ソース駆動回路54、およびコモン電位駆動回路55を備える。また、光源部41は、例えば赤色光源、緑色光源、および青色光源となる発光ダイオード素子41r、41g、41bを備える。
【0032】
信号処理回路51は、入力信号解析部(入力信号解析回路)511、記憶部(記憶回路)512、および信号調整部513を備える。表示パネルP1は、画像の表示を制御する制御回路を備える制御部60を有し、信号処理回路51の入力信号解析部511には、制御部60から図示しないフレキシブル配線板などの配線経路を介して入力信号VSが入力される。入力信号解析部511は、外部から入力された入力信号VSに基づいて解析処理を行い、入力信号VCSを生成する。入力信号VCSは、例えば、入力信号VSに基づいて、表示パネルP1の各画素PIX(図3参照)にどのような階調値を与えるかを定める信号である。
【0033】
信号調整部513は、入力信号解析部511から入力された入力信号VCSから入力信号VCSAを生成する。信号調整部513は、入力信号VCSAを画素制御回路52へ送出し、光源制御信号LCSAを光源制御部42へ送出する。光源制御信号LCSAは、例えば、画素PIXへの入力階調値に応じて設定される光源部41の光量の情報を含む信号である。例えば、暗い画像が表示される場合、光源部41の光量は小さく設定される。明るい画像が表示される場合、光源部41の光量は大きく設定される。
【0034】
画素制御回路52は、入力信号VCSAに基づいて水平駆動信号HDSと垂直駆動信号VDSとを生成する。例えば、本実施形態では、フィールドシーケンシャル方式で駆動されるので、水平駆動信号HDSと垂直駆動信号VDSとが光源部41が発光可能な色毎に生成される。ゲート駆動回路53は水平駆動信号HDSに基づいて1垂直走査期間内に表示パネルP1(図3参照)のゲート線GLを順次選択する。ゲート線GLの選択の順番は任意である。図3に示すように複数のゲート線(信号配線)GLは、X方向に延び、かつ、Y方向に並んで配列されている。
【0035】
ソース駆動回路54は垂直駆動信号VDSに基づいて1水平走査期間内に表示パネルP1の各ソース線SLに各画素PIX(図3参照)の出力階調値に応じた階調信号を供給する。図3に示すように複数のソース線(信号配線)SLは、Y方向に延び、かつ、X方向に並んで配列されている。ゲート線GLとソース線SLとの交差毎に、一つの画素PIXが形成される。ゲート線GLとソース線SLとが交差する部分のそれぞれには、スイッチング素子Tr(図5参照)が形成されている。図3および図5に示す複数のゲート線GLおよび複数のソース線SLは、図に示す液晶LQを駆動する駆動信号を伝送する複数の信号配線に相当する。
【0036】
図5に示すスイッチング素子Trとして例えば、薄膜トランジスタが用いられる。薄膜トランジスタの種類は特に限定されず、例えば、以下のようなものを例示できる。ゲートの位置で分類すると、ボトムゲート型トランジスタまたはトップゲート型トランジスタを挙げることができる。また、ゲートの数で分類すると、シングルゲート薄膜トランジスタと、ダブルゲート薄膜トランジスタとを挙げられる。スイッチング素子Trのソース電極およびドレイン電極のうち一方はソース線SLに接続され、ゲート電極はゲート線GLに接続され、ソース電極およびドレイン電極のうち他方は、高分子分散型液晶LC(図4に示す液晶LQ)の容量の一端に接続されている。高分子分散型液晶LCの容量は、一端がスイッチング素子Trに画素電極PEを介して接続され、他端がコモン電極CEを介してコモン電位配線CMLに接続されている。また、画素電極PEと、コモン電位配線CMLに電気的に接続されている保持容量電極との間には、保持容量HCが生じる。なお、コモン電位配線CMLは、コモン電位駆動回路55より供給される。
【0037】
(導光板の入光面)
次に、図3に示す表示パネルP1の導光板30において、その側面には光源部41を有するサイド光源装置40が配置されているが、この光源部41と対向する導光板30の側面について説明する。
【0038】
光源部41は、通常、サイド光源装置40の長手方向(第1の方向)に沿って複数個並んで配置される。これは、複数の光源部41が、導光板30の側面30sに対向するように配置されているということもできる。なお、この光源部41は、例えば、図5に示しているように、発光ダイオード素子41r、41g、41bを有して構成される。
【0039】
図6は、導光板30と光源部41との配置関係を説明するための図である。ここで、表示パネルP1については、それを構成する基板10を下側に、導光板30を上側に配置して側面視したときの図を示している。このように視たとき、導光板30の側面30sに対向するように光源部41が配置される。そして、光源部41から出射された光源光L1は、この側面30sに照射され、導光板30内を光源光L1が導光する。すなわち、側面30sは、導光板30における光源光L1の入光面である。
【0040】
そして、本実施の形態においては、光源部41と対向する側面30sを粗面化し、この側面30s以外の側面(光源部41と対向していない側面)は鏡面化する。すなわち、側面30sの表面粗さが、側面30s以外の側面の表面粗さよりも大きくなるようにする。
【0041】
ここで、側面30sは、上記のように光源部41から出射される光を導光板30に入光させる面であり、この側面30sを粗面化することで、光源部41から出射された光源光L1は、この側面30sで散乱しながら、導光板30内に入ってくることとなる。そのため、光源部41からの光を導入する入光部付近(入光部側領域ELA)においては、光源光による明度の不均一を解消し、スジ状の光の発生を抑制できる。
【0042】
なお、図6においては、光源光L1が導光板30に入射した後の実線の矢印は光源光L1が散乱していることを示しているが、光源光L1は、厚さ方向のみならず平面方向にも散乱するため、入光部付近において観察される光の明度が均一化されると考えられる。
【0043】
一方、導光板30の側面30s以外の側面を鏡面化することで、導光板30に入光して散乱された光が外部に放出されることを抑制でき、光の利用効率を向上できる。すなわち、図4に示したように、導光板30に入光する光源光L1は、粗面化された側面30sで散乱されつつ、基板10の背面10bおよび導光板30の前面30fで反射しながら、側面30sから遠ざかる方向に伝搬する。そして、光源光L1は、側面30sと対向する側面および側面30sと交差する側面にそれぞれ到達するが、これら側面は鏡面となっているため、その大部分は反射して、さらに導光板30の内部を伝搬して、画像表示のために利用することができる。
【0044】
したがって、本実施の形態のように、導光板30の側面30sを粗面化し、それ以外の側面を鏡面化することで、入光部側領域ELAで観察されるスジ状の光の発生を抑制し、かつ、光の利用効率を維持することができる。
【0045】
ここで、導光板30の側面30sの表面粗さは、表面粗さRaが0.1~1.5μmおよび表面粗さRzが1.5~9.5μmの少なくともいずれかの条件を満たすことが好ましい。側面30sにおいて、これら表面粗さRaと表面粗さRzは、上記範囲を同時に満たしてもよい。また、これら表面粗さのより好ましい範囲としては、それぞれ、表面粗さRaが1.0~1.5μm、表面粗さRzが5.0~9.5μmである。
【0046】
また、導光板30の側面30s以外の側面の表面粗さは、表面粗さRaが0.02μm以下および表面粗さRzが0.05~0.2μmの少なくともいずれかの条件を満たすことが好ましい。側面30s以外の側面において、これら表面粗さRaと表面粗さRzは、上記範囲を同時に満たしてもよい。また、これら表面粗さのより好ましい範囲としては、それぞれ、表面粗さRaが0.01μm以下、表面粗さRzが0.05~0.1μmである。
【0047】
このような粗面化した側面を有する導光板30は、以下のようにして形成することができる。一例としては、導光板30の側面30sをフッ化水素酸によって化学的に加工することで、粗面を形成することができる。または、側面30sを、粒度#600~800の回転砥石によって機械的に加工することで、粗面を形成することもできる。このように所望の表面粗さとなるように加工した導光板30を用い、表示パネルP1を形成するようにすればよい。
【0048】
ここで、本実施の形態における表示装置は、上記のような表示パネルP1を有することで、スジ状の光の発生を抑制するのと同時に、散乱により、表示パネルP1の入光部側領域ELAにおける輝度も向上する。
【0049】
入光部側領域ELAにおいて輝度が向上すると、今度は、入光部側領域ELAとそれよりも光源と遠い領域とにおいて、輝度差が大きくなる場合がある。その場合、表示パネルP1全体として輝度が不均一になり、輝度傾斜が生じるおそれがある。このような輝度傾斜が生じないように(輝度の不均一を解消するために)、導光板30の厚さを厚くすることが好ましい。
【0050】
このときの導光板30の厚さは、上記作用を奏しつつ、輝度傾斜の発生を抑制するためには、3~6.5mmの範囲が好ましく、4.0~5.0mmがより好ましい。この導光板30の厚さは、図7の厚さT3で示した部分の厚さである。
【0051】
また、基板10の厚さおよび対向基板20の厚さは、液晶層LQLを安定して保持でき、かつ、背景を含めた画像表示を明瞭に行うことができるようにすればよい。このような機能を担保する観点からは、基板10の厚さおよび対向基板20の厚さは、それぞれ0.5~0.7mmの範囲が好ましい。このとき、基板10の厚さは、図7の厚さT1で示した部分の厚さであり、対向基板20の厚さは、図7の厚さT2で示した部分の厚さである。
【0052】
それぞれの基板、対向基板および導光板において、上記のような厚さの範囲を満たすことで、入光部側領域ELAにおけるスジ状の光の発生を抑制しつつ、表示領域DAにおける入光部側領域ELAとそれ以外の領域との輝度の不均一化も抑制し、表示品質の良好な表示装置とできる。
【0053】
なお、上記説明した本実施の形態における表示装置では、対向基板20と導光板30とを別々の構成として記載し、光源光L1を導光板30に導入する場合を例示しているが、光源光L1を対向基板20のみに入光させるようにしてもよいし、対向基板20と導光板30の両方に入光させてもよい。また、対向基板20と導光板30の各作用を併せて発揮できるようにした基板であれば、これらをまとめて1つの基板として用意し、表示パネルP1を構成してもよい。
【0054】
<変形例1>
なお、図8に示したように、導光板30について、その光源部41側(入光部側)に導光板の一部としてレンズ部31を設けてもよい。このとき、レンズ部31は、光源部41と対向する側面31sを有し、その側面31sの反対側の側面は、導光板30と接するように配置され、光源部41から射出された光源光を、レンズ部31を介して、導光板30に導入することができる。
【0055】
このレンズ部31は、X方向に配列された複数のレンズにより構成することもでき、または、X方向に延びる1本のレンズにより構成することもできる。レンズとは、可視光を透過させる導光部材のうち、屈折率の違いを利用して光を発散または収束させる機能を備えた光学部材である。このレンズ部31は導光板の一種として機能し、本変形例では、導光板30とレンズ部31とを合わせて導光板を構成するものとする。
【0056】
したがって、図8で示した構成を有する表示パネルにおいては、このレンズ部31の光源部41と対向する側面を、図6を参照しながら説明した導光板30の側面30sと同様の構成となるように粗面化する。すなわち、図6における、導光板30の側面30sを、レンズ部31の側面31sに読み替えて、この側面31sと導光板30の側面30s以外の側面との表面粗さの関係を所定のものとするように構成すればよい。
【0057】
<変形例2>
また、図9に示したように、基板10の背面10bに、他の基板10と、液晶層LQLと、対向基板20と、導光板30と、サイド光源装置40(光源部41)と、制御部60と、を設けた表示パネルP10とすることもできる。すなわち、2枚の表示パネルP1の基板10の背面10b同士をそれぞれ貼り合わせたものが、表示パネルP10と言い換えることができる。
【0058】
この表示パネルP10のような構成であっても、表示パネルP10の一方の面側にいる観察者は、その反対面側にある背景を、表示パネルP10を介して視認することができると共に、その観察者のいる側の画像を認識、観察できる。また、表示パネルP10の他方の面側にいる観察者は、その反対面側にある背景を、表示パネルP10を介して視認することができると共に、その観察者のいる側の画像を認識、鑑賞できる。
【0059】
これらの画像表示は、一方の面だけに同じ画像を表示することもできるし、両方の面にそれぞれ異なる画像を同時に表示することもできる。ただし、両方の面を同時に表示する場合には、背景が透過する態様で表示すると、基板10の前面10f側と裏面10b側で表示される画像のそれぞれが認識できてしまうため、観察者に表裏の逆になった画像が重なって見えることとなり、届けたい画像等の認識、観察の邪魔になってしまうことがある。したがって、両方の面を同時に表示する場合には、互いに干渉しないように表示するか、背景色を濃いものとして、観察者側の表示が観察できないまたは観察しにくいように表示することが好ましい。
【0060】
この表示パネルP10では、両方の面に設けられている導光板30の側面30sのそれぞれが、粗面化されており、いずれの画像表示においても、入光部側領域ELAにおいて、スジ状の光の発生が抑制されるようにすることが好ましい。
【0061】
次に、本実施の形態の実施構成例および比較構成例により、本実施の形態をさらに詳細に説明する。
【0062】
(比較構成例)
導光板30の側面が全て同程度の表面粗さとなるようにした(側面30sを粗面化していない)以外は、図4に示した構成となるように、比較構成例となる表示パネルC1を用意した。この表示パネルC1は、基板10の厚さが500μm、対向基板20の厚さが700μm、導光板30の厚さが2750μmであり、導光板30の側面は、その全ての側面において表面粗さRa0.02μm、表面粗さRz0.2μmの構成としたものを使用した。また、光源部41としては、青色、赤色、緑色のLEDを順番に並べて配置した。
【0063】
この表示パネルC1において、LEDからの光源光を導光板30に入射させたところ、図11で示したように、入光部側領域ELAにおいて、使用したLEDに対応するスジ状の光が複数確認された。
【0064】
(実施構成例1~2)
図4に示した構成となるように、実施構成例となる表示パネルを用意した。この実施構成例では、導光板30における光源部41と対向する側面30sを粗面化した以外は表示パネルC1と同じ構成のものとした表示パネル1と、さらに導光板30の厚さを5000μmとした以外は表示パネル1と同一の構成を有する表示パネル2とを用意した。
【0065】
このとき、導光板30の側面は、光源部41と対向する側面30sのみを粗面化したもの(側面30sの表面粗さRaを0.1~1.5μm、表面粗さRz1.5~9.5μmの構成)とし、側面30s以外の側面の表面粗さRaを0.02μm、表面粗さRzを0.05~0.2μmとした。
【0066】
この表示パネル1および2において、LEDからの光源光を導光板30に入射させたところ、図10で示したように、入光部側領域ELAにおいて、配置したLEDに対応するスジ状の光がほぼ認識できず、スジ状の光の発生を抑制できたことが確認できた。また、上記構成においては、入光部側領域ELAとそれ以外の領域において、輝度傾斜が表示パネル1に比べて表示パネル2が改善されていることが確認できた。これは、入光部となる側面30sの表面粗さによって散乱した光源光による輝度の向上が、導光板30の厚さをより厚くすることで緩和され、入光部側領域ELAとそれ以外の領域における輝度差(輝度傾斜)が小さくなったためと考えられる。
【0067】
上記実施の形態および変形例で説明したように、導光板30の光源部41と対向する側面30sの表面粗さと、導光板30の側面30s以外の側面の表面粗さとを所定の関係とすることで、導光板30の入光部側領域におけるスジ状の光の発生や、さらには入光部側領域とそれ以外の表示領域における輝度傾斜を改善し、表示画像の品質を向上させることができる。
【0068】
以上、実施の形態および代表的な変形例について説明したが、上記した技術は、例示した変形例以外の種々の変形例に適用可能である。例えば、上記した変形例同士を組み合わせてもよい。
【0069】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、表示装置や表示装置が組み込まれた電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 基板
10b,20b,30b 背面(主面、面)
10f,20f,30f 前面(主面、面)
20 対向基板
30 導光板
30s,31s 側面
31 レンズ
40 サイド光源装置
41 光源部
41r,41g,41b 発光ダイオード素子
42 光源制御部
50 駆動回路
51 信号処理回路
52 画素制御回路
53 ゲート駆動回路
54 ソース駆動回路
55 コモン電位駆動回路
60 制御部
100 観察者
101 背景
CE コモン電極
CML コモン電位配線
DA 表示領域
ELA 入光部側領域
GL ゲート線(信号配線)
HC 保持容量
HDS 水平駆動信号
L1 光源光
L2 放出光
L3 背景光
LC 高分子分散型液晶
LCSA 光源制御信号
LQ 液晶
LQL 液晶層
P1 表示パネル
PE 画素電極
PFA 周辺領域(額縁領域)
PIX 画素
SL ソース線(信号配線)
SLM シール部
Tr スイッチング素子
VCS,VCSA,VS 入力信号
VDS 垂直駆動信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11