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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094754
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/42 20060101AFI20240703BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20240703BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H01Q1/42
H01Q1/32 Z
H01Q1/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211506
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】田口 淳
(72)【発明者】
【氏名】門間 大樹
(72)【発明者】
【氏名】澤谷 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】若原 忍
(72)【発明者】
【氏名】山本 綾乃
(72)【発明者】
【氏名】井上 純一
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046AA08
5J046AA15
5J046AB13
5J046MA09
5J047AA08
5J047AA15
5J047AB13
(57)【要約】
【課題】トップカバーにアンテナ部を固定するアンテナ装置において、異物浸入を抑制するとともに、部品点数を削減することである。
【解決手段】アンテナ装置1は、アンテナ部20と、アンテナ部20を収納するトップカバー10と、を備える。トップカバー10は、平面部11aと、平面部11aに形成された穴部12と、アンテナ部20を平面部11aに固定する固定部と、を有する。固定部及び固定されたアンテナ部20は、穴部12を塞ぐ位置に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ部と、
前記アンテナ部を収納するカバーと、を備え、
前記カバーは、
平面部と、
前記平面部に形成された穴部と、
前記アンテナ部を前記平面部に固定する固定部と、を有し、
前記固定部及び前記固定されたアンテナ部は、前記穴部を塞ぐ位置に配置されているアンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナ部に接続され、基板パターンが形成された基板を備え、
前記カバーは、前記基板を収納し、
前記穴部の内縁と、前記アンテナ部と、前記固定部との間に形成された隙間の最大の長さは、前記基板パターン間の最小距離未満である請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記基板パターン間の最小距離は、0.8mmである請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記カバーは、前記アンテナ装置に関する情報が前記平面部に直接書き込まれた情報表示部を有する請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両に設置される車載のアンテナ装置として、ドーム状のトップカバー内に、基板上に実装されたパッチアンテナを収納したアンテナ装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、アンテナ(アンテナ装置)が電子機器の背面ケースに圧入されている通信端末装置が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-259034号公報
【特許文献2】特開2014-110617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トップカバーへのアンテナ部の取付方式として、トップカバーの裏側にアンテナ部を挟み込む固定部を設ける方式が考えられる。固定部は、トップカバーの裏側の天面との間にアンテナ部を挟み込んで固定する。
【0006】
しかし、固定部をフック形状とする場合に、当該フック形状を金型の食い切り構造で作成するため、トップカバーの天面に穴部が空く構造となる。すると、アンテナ部などは、天面の穴部から剥き出しとなり、外部から当該穴部を介して、トップカバーとアンテナ部との嵌合の隙間から内部に異物が浸入するおそれがある。例えば、金属系の異物が内部の基板に浸入すると基板上の基板パターン(導体パターン)間が当該異物を介してショートし不具合が発生するおそれがある。
【0007】
また、製品情報が印刷されたラベルをトップカバーに天面側から貼り付けることにより、当該天面の穴部をラベルで塞ぐ方式も考えられる。しかし、アンテナ装置において、部品点数削減の観点から、ラベルを削除して、トップカバーに直接レーザーマーキングで製品情報を刻印する方式に置き換えが進んでいる。
【0008】
本発明の課題は、トップカバーにアンテナ部を固定するアンテナ装置において、異物の浸入を抑制するとともに、部品点数を削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のアンテナ装置は、
アンテナ部と、
前記アンテナ部を収納するカバーと、を備え、
前記カバーは、
平面部と、
前記平面部に形成された穴部と、
前記アンテナ部を前記平面部に固定する固定部と、を有し、
前記固定部及び前記固定されたアンテナ部は、前記穴部を塞ぐ位置に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トップカバーにアンテナ部を固定するアンテナ装置において、異物浸入を抑制できるとともに、部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態のアンテナ装置の上面図である。
図2】トップカバーを除くアンテナ装置の斜視図である。
図3】トップカバーの裏面の斜視図である。
図4】アンテナ部が取り付けられたトップカバーの裏面の斜視図である。
図5図4のトップカバーのV-V線の断面図である。
図6】穴部の拡大上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0013】
図1図6を参照して、本発明に係る実施の形態のアンテナ装置1を説明する。まず、図1及び図2を参照して、アンテナ装置1の全体構成を説明する。図1は、本実施の形態のアンテナ装置1の上面図である。図2は、トップカバー10を除くアンテナ装置1の斜視図である。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態のアンテナ装置1は、自動車などの車両のインストルメントパネル(ダッシュボード)内などに取り付けられる車載アンテナ装置である。
【0015】
アンテナ装置1は、例えば、テレマティクスの通信方式と、GNSS(Global Navigation Satellite System)の通信方式と、のアンテナ装置である。テレマティクスは、移動体通信システムを利用してサービスを移動体に提供することの総称であり、より具体的には、自動車などの車両への情報提供サービスである。GNSSは、航法衛星から無線送信されるGNSS信号を受信して車両の位置測位を行うシステムである。
【0016】
アンテナ装置1が搭載された車両は、TCU(Telematics Control Unit)を備える。TCUは、アンテナ装置1に接続され、アンテナ装置1の無線通信を制御して、テレマティクスのサービスの提供元との双方向通信を制御する装置である。より具体的には、アンテナ装置1は、車両の外部としての地上の基地局と無線通信を行う。TCUは、アンテナ装置1及び基地局の無線通信を介して、当該基地局に通信ネットワーク接続されたテレマティクスのサービスの提供元のサーバなどと情報の送受信を行う。また、車両は、GNSS信号を受信して位置測位を行う受信機を備える。
【0017】
図1及び図2に示すように、アンテナ装置1は、カバーとしてのトップカバー10と、アンテナ部20,30と、基板40と、ブラケット50と、を備える。また、図1において、アンテナ装置1の上方向を+z方向をとして、3次元のx軸、y軸、z軸をとり、他の図面でも同様とした。
【0018】
トップカバー10は、ブラケット50上に取り付けられ、アンテナ部20,30及び基板40を上側(+z方向側)から覆って収納するカバー(ケース)である。トップカバー10は、ポリカ(PC:PolyCarbonate)ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)などの樹脂で射出成形されているものとする。トップカバー10の構成については、詳細に後述する。
【0019】
アンテナ部20は、基板40上に実装された、テレマティクスの通信用のアンテナ部である。アンテナ部20は、板金を折り曲げた形状のアンテナ素子20A,20Bを有する。この板金は、SPTE(Steel Plate Tin Electrolytic:ブリキ板)や、一般的な鋼板などである。
【0020】
テレマティクスの無線通信の周波数帯は、各車両(の製造会社)や、テレマティクスが提供される地域で異なる。アンテナ部20は、例えば、所定の会社及びほぼ全ての地域の周波数帯に対応するように設計されている。具体的には、アンテナ部20の周波数帯は、(1)699~960[MHz]、(2)1710~2200[MHz]、(3)2300~2690[MHz]、(4)3300~4200[MHz]、(4)4400~5000[MHz]、を含む。つまり、上記の周波数帯の通信を行うように、アンテナ部20の形状が設計されている。ただし、アンテナ部20の周波数帯は、上記の物に限定されない。
【0021】
アンテナ素子20Aは、基板40の端子に電気的に接続された給電点を有する給電素子であり、基板40の平面(xy平面)に垂直な垂直部と、基板40の平面に水平な水平部と、を有する。アンテナ素子20Bは、無給電素子であり、同様に垂直部及び水平部を有する。アンテナ素子20A,20Bの各水平部は、x軸方向の中間点に垂直なy軸に対して、線対称な形状を有する。
【0022】
アンテナ部30は、基板40上に実装された、GNSSの通信用のパッチアンテナである。
【0023】
基板40は、PCB(Printed Circuit Board)である。基板40は、基板本体41と、コネクタ42と、を有する。基板本体41は、基板40の本体の平面板である。基板本体41は、表面に、基板パターン(導体パターン(配線パターン、端子パターンなど))が形成され、回路素子(分配器、アンプ、フィルタ、アッテネータなど)、アンテナ部20,30及びコネクタ42が実装されている。アンテナ部20,30の端子は、基板本体41の基板パターンに電気的に接続されている。コネクタ42は、車両内に設けられたTCUなどの受信機にケーブルを介して接続するためのアンテナ装置1のコネクタである。コネクタ42の端子は、基板本体41の基板パターンに電気的に接続されている。
【0024】
ブラケット50は、トップカバー10の開口部を下側(-z側)から覆うように結合された金属製の支持部である。
【0025】
ついで、図3図5を参照して、トップカバー10の詳細な構成を説明する。図3は、トップカバー10の裏面の斜視図である。図4は、アンテナ部20が取り付けられたトップカバー10の裏面の斜視図である。図5は、図4のトップカバー10のV-V線の断面図である。
【0026】
図1に示すように、トップカバー10は、表面(外面)側に、平面部11aと、枠体部11bと、穴部12と、情報表示部13と、を有する。平面部11aは、トップカバー10のうち、xy平面に水平な略矩形の平面部(天面部)である。枠体部11bは、平面部11aを囲んで平面部11aに接続され、z軸方向に延在する枠体部(側面部)である。
【0027】
穴部12は、平面部11aに貫通されて形成され、xy平面の平面形状が略矩形の複数の穴部(孔部)である。具体的には、穴部12は、穴部12a,12b,12c,12d,12e,12g,12h,12i,12j,12k,12lを有する。穴部12a~12lのそれぞれの配置位置は、後述する固定部14の配置位置に対応する。
【0028】
情報表示部13は、平面部11aの表面に直接レーザーマーキングにより形成されたアンテナ装置1に関する情報の表示部である。情報表示部13は、例えば、文字情報131、矢印132、二次元コード133を有する。文字情報131は、アンテナ装置1の識別番号など、アンテナ装置1に関する文字情報である。
【0029】
矢印132は、アンテナ装置1の所定方向を指す矢印であり、例えば、車両のダッシュボード内へのアンテナ装置1の取り付け時の挿入方向を示す。
【0030】
二次元コード133は、例えばアンテナ装置1のトレーサビリティ用の情報がエンコードされた二次元コードであり、たとえば、データマトリクスである。
【0031】
このように、情報表示部13は、平面部11aのうち、穴部12a~12l及びピンゲートPGがない部分に配置されており、作業員などにより直接視認される。特に、二次元コード133は、携帯端末などで読み取られデコードされて情報が取り出される。このため、情報表示部13の情報を印刷したラベルを平面部11aに貼り付けることが不要であるが、穴部12a~12lも外部に露出する(剥き出しになる)。
【0032】
ただし、情報表示部13に含まれる情報は、文字情報131~二次元コード133に限定されるものではない。情報表示部13含まれる情報は、文字情報131~二次元コード133、他の情報のうち、少なくとも1つを含む構成としてもよい。
【0033】
図3に示すように、トップカバー10は、裏面(内面)側に、平面部11aと、枠体部11bと、穴部12と、固定部14と、雌螺子部15と、凹部16と、を有する。固定部14は、トップカバー10にアンテナ部20を固定する複数のフック形状部(押え片)である。
【0034】
固定部14は、具体的には、固定部14a,14b,14c,14d,14e,14g,14h,14i,14j,14k,14lを有する。固定部14aは、穴部12aの+x側の内縁に立設され、先端が-x側に延在するフック形状部である。固定部14aの先端は、ーz方向側に凸部を有する。同様に、固定部14b~14fは、それぞれ、穴部12b~12fの+x方向側の内縁に立設され、先端が-x方向側に延在するフック形状部である。固定部14gは、穴部12gの-x方向側の内縁に立設され、先端が+x方向側に延在するフック形状部である。同様に、固定部14h~14lは、それぞれ、穴部12h~12lの-x方向側の内縁に立設され、先端が+x方向側に延在するフック形状部である。
【0035】
固定部14a~14lは、トップカバー10の製造における金型を用いた射出成形時に、食い切り構造で作成される。このため、固定部14a~14lの作成のため、穴部12a~12lも形成される。
【0036】
雌螺子部15は、裏側の平面部11aの周囲に複数(ここでは4つ)設けられている。4つの雄螺子S1が、基板40及びブラケット50にそれぞれ設けられた貫通孔(図示略)を通して、それぞれ雌螺子部15に螺合される。これにより、トップカバー10が、基板40及びブラケット50に固定される。凹部16は、アンテナ素子20A,20Bをトップカバー10に圧入する際に用いる治具が入るスペースを作るために裏側の平面部11aに設けられた凹部である。
【0037】
図4に示すように、アンテナ部20は、トップカバー10に取り付けられる。より具体的には、アンテナ素子20Aが、トップカバー10の裏側の開口から+z方向側に圧入され、+x方向側にスライドされる。これにより、アンテナ素子20Aが、固定部14a~14fの先端の凸部と平面部11aとの間に挟み込まれて、固定部14a~14fの復元力によりトップカバー10に固定される。
【0038】
同様にして、アンテナ素子20Bが、トップカバー10裏側からの+z方向側に圧入され、-x方向側にスライドされる。これにより、アンテナ素子20Bが、固定部14g~14lの先端の凸部と平面部11aとの間に挟み込まれて、固定部14g~14lの復元力によりトップカバー10に固定される。
【0039】
図5に示すように、例えば、図4のトップカバー10のV-V線の断面において、アンテナ素子20Bは、穴部12hの-z方向側に設けられた固定部14hの先端の突起と、平面部11aとの間に挟み込まれて、トップカバー10に固定される。固定部14h以外の固定部14による、アンテナ素子20A,20Bの固定も同様である。
【0040】
ついで、図6を参照して、アンテナ装置1の防塵構造を説明する。図6は、穴部12fの拡大上面図である。
【0041】
ラベルを平面部に貼り付けるアンテナ装置であると、ラベルにより穴部が塞がれて、異物が、穴部や、アンテナ素子と穴部の内縁との隙間に侵入することが防止される。しかし、アンテナ装置1は、平面部11aに情報表示部13が直接刻印されるので、情報表示部13が隠れないようにかつ部品点数削減のために、ラベルが貼り付けられない。したがって、ラベルにより穴部12も塞がれない。
【0042】
ただし、アンテナ装置1は、IP(International Protection)コードとしてのIP4X相当の防塵効果を有するように、設計されている。IPコードは、防塵・防水の保護性能を表す規格であって、「P」の次の数字が防塵性能の等級を示す。IP4Xは、直径が1.0mm以上の大きさの固形物が内部に入らない防塵性能である。
【0043】
アンテナ装置1において、代表的に穴部12fを考える。図6に示すように、上方向(+z方向)から穴部12fを見ると、穴部12fの内縁は、4つの角がR形状の矩形である。さらに、穴部12fの内縁の断面形状の+z方向側の角もR形状となっている。これらのR形状により、作業員の手がトップカバー10の角により傷つくことを防いでいる。+z方向側から穴部12fを見ると、アンテナ素子20A及び固定部14fが穴部12fから露出している。そして、アンテナ素子20Aと固定部14fと穴部12fの内縁との間に、隙間G1が空いている。隙間G1は、2次元のxy平面の軸方向として、x軸方向の長さが0.3mmであり、y軸方向の長さが0.5mmである略扇形の形状を有する。このように、アンテナ装置1において、固定部14と、固定部14により固定されたアンテナ部20とは、穴部12を塞ぐ位置に配置されている。
【0044】
また、基板40の基板パターン間の最小距離は、0.8mmである。隙間G1のx軸方向の長さ及びy軸方向の長さは、それぞれ基板40の基板パターン間の最小距離(0.8mm)未満の0.3mm、0.5mmである。このため、隙間G1の最大の長さも約0.58mmとなり、0.8mm未満となる。つまり、直径L1が0.8mm以上の異物F1は、外部から隙間G1を介してトップカバー10の内部に侵入できない。このため、隙間G1は、IP4Xを満たしている。また、異物F1が金属系であり、かつ直径L1が0.8mm未満である場合を考える。この場合に、異物F1が隙間G1を介してトップカバー10の内部に侵入したとしても、基板40上の基板パターン間が異物F1に電気的に接続してショートし不具合が発生するおそれがない。
【0045】
図1図3に示すように、+z方向側から見て、穴部12fをオーバーラップさせるように固定部14fを配置し、アンテナ素子20Aを固定した状態で隙間G1が異物F1を侵入させない上記の大きさ及び形状に設定されるように、トップカバー10が設計されている。穴部12f及び固定部14fによる隙間G1の条件に付いて説明したが、穴部12a~12e,12g~12lと、固定部14a~14e,14g~14lとについても、同様に、形成される隙間がIP4Xを満たすように、トップカバー10が設計されている。
【0046】
ここで、アンテナ装置1の製造方法を簡単に説明する。まず、作業員は、食い切り構造を有する金型を用いた樹脂の射出成形によりトップカバー10を作成する。トップカバー10は、穴部12及び固定部14が形成されている。そして、作業員は、レーザーマーキングによりトップカバー10の平面部11aに情報表示部13を直接刻印する。
【0047】
そして、図3図4に示すように、作業員は、アンテナ素子20Aをトップカバー10に圧入しスライドして固定部14a~14fに取り付け、アンテナ素子20Bをトップカバー10に圧入しスライドして固定部14g~14lに取り付ける。そして、作業員は、アンテナ部30が実装された基板40の取付孔(図示略)に、トップカバー10に取り付けられたアンテナ部20の一部を挿入して基板パターンにはんだ付けする。そして、作業員は、雄螺子S1を、-z方向側からブラケット50及び基板40の貫通孔(いずれも図示略)に挿通して、雌螺子部15に螺合する。このようにして、アンテナ装置1の製造が完了する。
【0048】
以上、本実施の形態によれば、アンテナ装置1は、アンテナ部20と、アンテナ部20を収納するトップカバー10と、を備える。トップカバー10は、平面部11aと、平面部11aに形成された穴部12と、アンテナ部20を平面部11aとの間に挟んで固定する固定部14と、を有する。固定部14と、固定部14により固定されたアンテナ部20とは、穴部12を塞ぐ位置に配置されている。
【0049】
このため、トップカバー10にアンテナ部20を固定するアンテナ装置1において、固定部14及びアンテナ部20により穴部12を塞ぐので、異物浸入を抑制できる。これとともに、穴部12を塞ぐラベル及び別部品が不要であるので、部品点数を削減できる。部品点数削減により、部品コスト及び組立工数を削減できる。さらに、固定部14のフック形状を単純な食い切り構造で作成できるため、金型コストを抑えることができつつ、金型の長寿命化に寄与できる。
【0050】
また、アンテナ装置1は、アンテナ部20に接続され、基板パターンが形成された基板40を備える。トップカバー10は、基板40を収納する。xy平面において、穴部12の内縁と、アンテナ部20と、固定部14との間に形成された隙間G1の最大の長さは、基板パターン間の最小距離(例えば0.8mm)未満である。このため、異物F1が金属系である場合に、異物F1が隙間G1を介して内部(基板40)に侵入しても、異物F1の直径が基板パターン間の最小距離未満である。よって、異物F1を介する基板パターン間のショートによる不具合の発生を防止できる。
【0051】
また、トップカバー10は、アンテナ装置1に関する情報が平面部11aに直接書き込まれた情報表示部13を有する。このため、ラベルが不要であるので、部品点数を削減できるとともに、ラベルがなくても必要な情報を表示できる。
【0052】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係るアンテナ装置の一例であり、これに限定されるものではない。
【0053】
例えば、アンテナ装置1は、アンテナ部20に加えて、アンテナ部30を備える構成としたが、これに限定されるものではない。アンテナ装置1は、少なくともアンテナ部20を備えればよい。例えば、アンテナ部20を備えるアンテナ装置1が、アンテナ部30を備えない構成、アンテナ部20以外に2つ以上のアンテナ部を備える構成、パッチアンテナ以外の他の種類のアンテナ部を備える構成などとしてもよい。
【0054】
その他、上記実施の形態におけるアンテナ装置1の細部構成及び詳細動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 アンテナ装置
10 トップカバー
11a 平面部
11b 枠体部
12,12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h,12i,12j,12k,12l 穴部
13 情報表示部
131 文字情報
132 矢印
133 二次元コード
14,14a,14b,14c,14d,14e,14f,14g,14h,14i,14j,14k,14l 固定部
15 雌螺子部
16 凹部
20 アンテナ部
20A,20B アンテナ素子
30 アンテナ部
40 基板
41 基板本体
42 コネクタ
50 ブラケット
S1 雄螺子
G1 隙間
F1 異物
図1
図2
図3
図4
図5
図6