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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094762
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B25C 7/00 20060101AFI20240703BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B25C7/00 Z
B25F5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211518
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清原 大樹
(72)【発明者】
【氏名】須鑓 啓太
【テーマコード(参考)】
3C064
3C068
【Fターム(参考)】
3C064AA09
3C064AB01
3C064AC02
3C064AC09
3C064BA12
3C064BA14
3C064BA18
3C064BA33
3C064BB04
3C064BB53
3C064BB71
3C064BB83
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA29
3C064CA36
3C064CA54
3C064CA60
3C064CA61
3C064CB07
3C064CB08
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB32
3C064CB35
3C064CB63
3C064CB73
3C064CB75
3C064CB83
3C064CB86
3C064CB92
3C068AA01
3C068AA04
3C068BB01
3C068CC07
3C068JJ20
(57)【要約】
【課題】止具を射出する射出口の先端部の視認性をより良くし、作業性を向上させることが可能な作業機の提供。
【解決手段】上下方向に延び、軸線CT1を中心に作動して止具を打撃し、止具を射出口OPから射出させる打撃機構50と、上下方向と交差する前後方向に延び、打撃機構50に止具を供給するマガジン30と、軸線CT1を含みかつ上下方向および前後方向に広がる平面PLを中心に、当該平面PLの右側に配置されて射出口OPが設けられる側を照らす第1LED照明部90と、平面PLの左側に配置されて射出口OPが設けられる側を照らす第2LED照明部100と、を備え、第1LED照明部90は、マガジン30に設けられ、かつ上下方向において打撃機構50と重なる位置に配置されている。これにより、止具を射出する射出口OPの先端部の視認性をより良くし、作業性を向上させることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延び、作動軸を中心に作動して止具を打撃し、前記止具を射出口から射出させる打撃部と、
前記第1方向と交差する第2方向に延び、前記打撃部に前記止具を供給するマガジンと、
前記作動軸を含みかつ前記第1方向および前記第2方向に広がる平面を中心に、当該平面の一方側に配置されて前記射出口が設けられる側を照らす第1照明部と、
前記平面の他方側に配置されて前記射出口が設けられる側を照らす第2照明部と、
を備え、
前記第1照明部は、前記マガジンに設けられ、かつ前記第1方向において前記打撃部と重なる位置に配置されている、
作業機。
【請求項2】
前記マガジンは、前記第1照明部が照射する光の経路を形成する切欠部を有する、
請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記射出口は、互いに重ねられた一対の板部材の間に形成されている、
請求項1に記載の作業機。
【請求項4】
前記止具の相手材に対する打込深さを調整するダイヤルを備え、
前記第1照明部は、前記第2方向において、前記ダイヤルの前記射出口側とは反対側の端部よりも前記射出口側に配置されている、
請求項1に記載の作業機。
【請求項5】
前記マガジンには、前記止具の残量を検知する検知スイッチが設けられ、
前記第1照明部は、前記第2方向において、前記検知スイッチよりも前記射出口側に配置されている、
請求項1に記載の作業機。
【請求項6】
前記平面を中心とした前記マガジンの一方側に、前記第1照明部が配置され、
前記平面を中心とした前記マガジンの他方側に、前記止具を収容する止具収容部が配置されている、
請求項1に記載の作業機。
【請求項7】
前記第1照明部は、当該第1照明部の配線と共にカバーで覆われている、
請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記第2照明部は、前記打撃部を収容すると共に前記マガジンが固定されるハウジングに設けられている、
請求項1に記載の作業機。
【請求項9】
前記ハウジングには、前記第2照明部を収容する照明収容部が設けられ、
前記照明収容部は、前記第1方向および前記第2方向の双方と交差する第3方向に膨出している、
請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記第2照明部は、前記第2方向において、前記第1照明部よりも前記射出口から離れた位置に配置されている、
請求項8または請求項9に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釘やステープル等の止具を、木材や石膏ボード等の相手材に打ち込む打込み作業に適した作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような作業機には、コイルスプリングのばね力により止具を打撃する打撃部を備えた打込機がある。例えば、特許文献1には、止具(釘)を打撃するドライバブレードと、ドライバブレードにばね力を加えるコイルスプリング(スプリング)とを有し、さらには止具が打ち込まれる箇所の周辺を照らす一対の照明部(LEDランプ)を備えた作業機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/220703号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような作業機を用い、例えば、巾木(壁と床との境目に取り付ける部材)の凹溝に止具を打ち込むには、止具を射出する射出口の先端部を凹溝に差し込み、当該状態で作業機を作動させる必要がある。そのため、凹溝の底部(止具の打込箇所)の視認性を向上させ、より作業性を向上させることが可能な作業機の実現が望ましい。
【0005】
本発明の目的は、止具を射出する射出口の先端部の視認性をより良くし、作業性を向上させることが可能な作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
作業機は、第1方向に延び、作動軸を中心に作動して止具を打撃し、前記止具を射出口から射出させる打撃部と、前記第1方向と交差する第2方向に延び、前記打撃部に前記止具を供給するマガジンと、前記作動軸を含みかつ前記第1方向および前記第2方向に広がる平面を中心に、当該平面の一方側に配置されて前記射出口が設けられる側を照らす第1照明部と、前記平面の他方側に配置されて前記射出口が設けられる側を照らす第2照明部と、を備え、前記第1照明部は、前記マガジンに設けられ、かつ前記第1方向において前記打撃部と重なる位置に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、止具を射出する射出口の先端部の視認性をより良くし、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】打込機を右側から見た図である。
図2】打込機を左側から見た図である。
図3図1のA矢視図である。
図4】打込機の内部構造を示す図1に対応した図である。
図5】打撃機構を示す図である。
図6】マガジンを右側から見た拡大図(部品カバーを外した状態)である。
図7】マガジンを左側から見た拡大図(マガジンカバーを少し開けた状態)である。
図8図2のB-B線に沿う断面図である。
図9】打込機を射出口側から見た部分拡大斜視図である。
図10】プランジャが下死点にあり、カウンタウエイトが上死点にある状態を示す図である。
図11】プランジャが待機位置にあり、カウンタウエイトが下死点にある状態を示す図である。
図12】プランジャが上死点にあり、カウンタウエイトが下死点にある状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
<打込機の概要>
図1は打込機を右側から見た図を、図2は打込機を左側から見た図を、図3図1のA矢視図を、図4は打込機の内部構造を示す図1に対応した図をそれぞれ示している。
【0011】
図1図4に示される打込機10は、本発明における作業機に相当し、釘やステープル等の止具11を射出口OP(図1の拡大破線円参照)から射出し、木材や石膏ボード等の相手材W(図1図2および図4参照)に止具11を打ち込む打込み作業に適した作業機である。
【0012】
なお、図1の拡大破線円の部分を除いて、射出口OPには樹脂キャップCPが装着されている。当該樹脂キャップCPは、射出口OPの先端部により相手材Wに傷が付くのを防止する機能を有する。
【0013】
<ハウジング>
打込機10は、ハウジング20,マガジン30およびバッテリパック40を備えている。ハウジング20は、打撃部収容室21,ハンドル22,モータ収容室23および連結部24から形成される。ハンドル22およびモータ収容室23の長手方向前側は、打撃部収容室21と繋がっており、ハンドル22およびモータ収容室23の長手方向後側は、連結部24と繋がっている。つまり、打撃部収容室21,ハンドル22,モータ収容室23および連結部24は、互いに一体化されている。
【0014】
ハウジング20の打撃部収容室21は、略角筒形に形成されている。ここで、図1図4に示されるように、打撃部収容室21の長手方向を上下方向と定義し、ハンドル22およびモータ収容室23の長手方向を前後方向と定義し、上下方向および前後方向の双方と直交する方向を左右方向と定義する。なお、上下方向が本発明における第1方向に相当し、前後方向が本発明における第2方向に相当し、左右方向が本発明における第3方向に相当する。
【0015】
ハンドル22は、モータ収容室23の上方に位置しており、打撃部収容室21の上側から後方に向かって延びている。また、モータ収容室23は、ハンドル22の下方に位置しており、打撃部収容室21の下側から後方に向かって延びている。さらに、連結部24は、ハンドル22の後側とモータ収容室23の後側とを繋いでいる。
【0016】
これにより、打撃部収容室21,ハンドル22,モータ収容室23および連結部24で囲まれたハウジング20の内側の部分には、作業者が指を入れることができる中空部SPが形成される。したがって、作業者は、ハンドル22を容易に把持することが可能となっている。
【0017】
ハウジング20は、右側ハウジング部材20Aおよび左側ハウジング部材20Bを備えている。これらの右側,左側ハウジング部材20A,20Bは、ナイロンやポリカーボネート等の合成樹脂により形成されている。具体的には、右側,左側ハウジング部材20A,20Bは、図3に示されるように、左右方向から互いに突き合わされ、かつ複数の固定ねじS1(図1参照)により互いに固定されている。そして、右側,左側ハウジング部材20A,20Bは、中空の打撃部収容室21,ハンドル22,モータ収容室23および連結部24をそれぞれ形成している。
【0018】
<内部構造>
図4に示されるように、ハウジング20を形成する打撃部収容室21の内部には、打撃機構50が収容されている。打撃機構50は、本発明における打撃部に相当し、後述するプランジャ51と、ドライバブレード52と、スライドガイドバー54と、カウンタウエイト59と、駆動機構80と、射出路31と、射出口OPと、を含む。また、打撃部収容室21の上側でかつハンドル22の前側には、打撃機構50を形成するカウンタウエイト59の上下動に応じて、当該カウンタウエイト59の操作凸部59dにより操作される第1リミットスイッチ21aが収容されている。
【0019】
ハウジング20を形成するハンドル22には、トリガレバー22aが揺動自在に設けられ、当該トリガレバー22aは、作業者が人差し指で操作するレバーである。また、ハンドル22の内部には、トリガレバー22aの揺動に応じて操作される第2リミットスイッチ22bが収容されている。さらに、ハンドル22の内部には、トリガレバー22aの誤操作を防止するロック機構22cが収容されている。
【0020】
ハウジング20を形成するモータ収容室23の内部には、ブラシレスモータ60および減速機構61が収容されている。ブラシレスモータ60は、ハウジング20に固定されるステータ(固定子)62と、当該ステータ62に対して回転されるロータ(回転子)63とを備えている。
【0021】
ロータ63の回転中心には回転軸63aが一体に設けられ、当該回転軸63aの軸方向前側に、減速機構61が動力伝達可能に接続されている。ここで、減速機構61は、例えば遊星歯車減速機であり、回転軸63aの高速回転を減速して高トルク化し、かつ高トルク化された回転力を、打撃機構50を形成する駆動機構80に伝達する。
【0022】
また、ブラシレスモータ60は、U相,V相,W相の三相のコイル(図示せず)にそれぞれ駆動電流を供給するモータ基板64を備えている。具体的には、モータ基板64は、図4の前後方向において、ステータ62と減速機構61との間に配置され、当該モータ基板64には、高速でスイッチングする複数のFET素子やコンデンサ等の他の電子部品(図示せず)が実装されている。
【0023】
さらに、ブラシレスモータ60は、冷却ファン65を有している。冷却ファン65は、例えば遠心ファンであり、回転軸63aの軸方向後側に固定され、回転軸63aによって回転される。つまり、回転軸63aの軸方向(前後方向)において、冷却ファン65と減速機構61との間に、ステータ62,ロータ63およびモータ基板64が配置されている。
【0024】
また、図1および図2に示されるように、ハウジング20を形成するモータ収容室23には、当該モータ収容室23の内外を連通する複数の通気口66が形成されている。これにより、図4に示されるように、打込機10の作動時において、冷却ファン65(回転軸63a)の回転に伴い、モータ収容室23の内部を冷却風CA(外気)が通過する。
【0025】
具体的には、モータ収容室23の外部から内部に導入された冷却風CAは、図4の破線矢印に示されるように、前方から後方に向けて、モータ基板64,ステータ62およびロータ63の周囲を流れる。その後、冷却風CAは、モータ基板64,ステータ62およびロータ63の熱を奪ってモータ収容室23の外部に排出される。これにより、特に高温となるモータ基板64を効果的に冷却することができ、ひいては打込機10の長時間の連続運転を可能としている。
【0026】
ここで、モータ基板64とコントローラ70との間には、複数の導電線を横一列に並べて纏めたリボンケーブル67が設けられている。これにより、打込機10の組み立て時における配線作業を容易に行うことができる。具体的には、モータ収容室23の中空部SPが設けられる側(上側)に、中空部SPに向けて膨出した膨出部23aが形成され、当該膨出部23aの内側に、リボンケーブル67が配置されている。
【0027】
なお、膨出部23aは中空部SPの開口面積を減少させることになるが、作業者は、親指,中指,薬指および小指でハンドル22を把持する。したがって、膨出部23aを設けたことによる中空部SPの開口面積の減少は、ハンドル22の把持のし易さに悪影響を与えず、作業性を低下させることはない。言い換えれば、膨出部23aは、中空部SPのデッドスペースに形成されている。
【0028】
このように、ブラシレスモータ60に駆動電流を供給する配線として機能するリボンケーブル67を、中空部SPが設けられる側の膨出部23aの内側に配置することで、ハウジング20のマガジン30が設けられる側(下側)に、リボンケーブル67の設置スペースを設けずに済む。よって、打込機10を小型化する上でも有利な構造となっている。
【0029】
また、ハウジング20を形成する連結部24の内部には、打込機10を制御するコントローラ70が収容されている。コントローラ70は、第1,第2リミットスイッチ21a,22bや検知スイッチSW(図6参照)等からのオンオフ信号に応じて、ブラシレスモータ60の回転状態を制御したり、第1,第2LED照明部90,100(図3参照)の点灯消灯を制御したりする。
【0030】
さらに、連結部24の後側には、充電可能な二次電池(リチウムイオンバッテリ等)から成るバッテリパック40が、着脱自在に設けられている。具体的には、バッテリパック40は、連結部24に対して上下方向にスライド自在となっており、ロックフリーボタン41を操作することで、連結部24から取り外すことができる。したがって、充電済の複数のバッテリパック40を準備しておくことで、打込機10の長時間の連続運転が可能となる。
【0031】
ここで、ハウジング20の表面の少なくとも一部は、ゴム製カバーRC(図4参照)で覆われている。具体的には、ゴム製カバーRCは、合成樹脂製のハウジング20の表面に、二色成形等により積層されている。これにより、打込機10のデザイン性が向上すると共に、打込機10の作動時の振動が作業者に伝達され難くなり、さらにはハウジング20の損傷等を抑制可能としている。
【0032】
<打撃機構>
図5は打撃機構を示す図を、図10はプランジャが下死点にあり、カウンタウエイトが上死点にある状態を示す図を、図11はプランジャが待機位置にあり、カウンタウエイトが下死点にある状態を示す図を、図12はプランジャが上死点にあり、カウンタウエイトが下死点にある状態を示す図をそれぞれ示している。
【0033】
図5および図10図12に示されるように、打撃部収容室21の内部に収容される打撃機構50は、打込機10の上下方向に延びており、プランジャ51と、当該プランジャ51に装着されたドライバブレード52と、を備えている。打撃機構50を形成するプランジャ51は、コイルスプリングCSのばね力により下方に向けて勢い良く移動し、これによりドライバブレード52は、止具11(図1参照)を、相手材Wに向けて勢い良く打撃する。すなわち、打撃機構50は、止具11を打撃して射出口OPから射出させる機能を有している。
【0034】
これらのコイルスプリングCSおよびプランジャ51は、何れもガイドシャフト53の軸線CT1を中心に、打撃部収容室21の内部に配置されている。すなわち、ガイドシャフト53の軸線CT1は、打撃機構50の作動中心となっており、軸線CT1は、打撃機構50の作動軸を形成する。
【0035】
<プランジャ>
プランジャ51は、溶融されたアルミ材料等を射出成形することで所定形状に形成され、平板状の底部51a,円柱状のブレード装着部51b,コイルスプリングCSの軸方向下端部の周囲を覆う壁部51c,ガイドシャフト53に摺動自在に装着された筒部51dおよび駆動機構80により操作される3つのアーム部51e,51f,51gを有している。
【0036】
壁部51cは、筒部51dの周囲を囲うように底部51aの周縁に設けられ、壁部51cおよび筒部51dは、何れも底部51aから上方に向けて突出している。そして、筒部51dと壁部51cとの間に、コイルスプリングCSの軸方向下端部が配置されている。また、ブレード装着部51bは、筒部51dよりも前側に配置され、3つのアーム部51e,51f,51gは、筒部51dよりも後側に配置されている。
【0037】
ブレード装着部51bは、壁部51cから前方に向けて突出され、ブレード装着部51bは、ドライバブレード52の上側に設けられた接続孔52aに差し込まれている(図5参照)。また、底部51aには、3つのアーム部51e,51f,51gが一体に設けられ、これらのアーム部51e,51f,51gは、底部51aに対してそれぞれ上下方向の異なる位置に設けられ、かつ後側に突出して設けられている。
【0038】
<スライドガイドバー>
図5に示されるように、打撃機構50は、ガイドシャフト53に対して平行となるように配置されたスライドガイドバー54を備えている。スライドガイドバー54は、肉厚の鋼材をプレス加工等することで略棒状に形成され、前後方向に沿う断面形状が略U字形状となっている。
【0039】
スライドガイドバー54には、複数の貫通穴54aが設けられている。複数の貫通穴54aを設けることで、スライドガイドバー54の軽量化を図ると共に、スライドガイドバー54の剛性が高くなり過ぎることを抑制している。
【0040】
ここで、スライドガイドバー54の内側(図5の奥側)には、プランジャ51の摺動部(図示せず)が摺接するようになっている。つまり、プランジャ51は、ガイドシャフト53およびスライドガイドバー54の双方に案内されて上下方向に移動自在となっている。これにより、プランジャ51は、上下方向に真っ直ぐに振れることなく移動可能となっている。
【0041】
また、複数の貫通穴54aのうちの1つには、プランジャ51とカウンタウエイト59とを同期動作させるためのラッチ(図示せず)が回動自在に支持される。つまり、複数の貫通穴54aのうちの任意の貫通穴54aを選択してラッチを支持させることで、他の仕様(プランジャ51とカウンタウエイト59との同期動作のタイミングを変更した仕様)の打込機10にも対応可能となる。言い換えれば、スライドガイドバー54は、種々の仕様の打込機10に対応可能な共通部品となっている。
【0042】
さらに、ガイドシャフト53およびスライドガイドバー54の双方には、所定量のグリース(潤滑油,図示せず)が塗布されている。これにより、プランジャ51およびカウンタウエイト59は、上下方向にスムーズに移動可能となっている。ここで、複数の貫通穴54aは、グリースを保持するグリース溜としても機能する。そのため、プランジャ51およびカウンタウエイト59は、長期に亘りスムーズに移動可能であり、ひいては頻繁にメンテナンスをしなくて済む。
【0043】
また、スライドガイドバー54の長手方向上側には、アルミニウム製のトップホルダ55が固定され、スライドガイドバー54の長手方向下側には、アルミニウム製のボトムホルダ56が固定されている。そして、トップホルダ55およびボトムホルダ56は、ガイドシャフト53をその長手方向両側を挟むようにして支持している。すなわち、スライドガイドバー54は、ガイドシャフト53を上下方向から支持する高い剛性の部品となっている。
【0044】
さらに、ガイドシャフト53の軸方向上側には、トップホルダ55に接するようにして、略環状に形成されたゴム製のウエイトダンパ57が装着されている。これに対し、ガイドシャフト53の軸方向下側には、ボトムホルダ56に接するようにして、略環状に形成されたゴム製のプランジャダンパ58が装着されている。ウエイトダンパ57は、カウンタウエイト59が上方へ移動したときに弾性変形してその衝撃を吸収する。プランジャダンパ58は、プランジャ51が下方へ移動したときに弾性変形してその衝撃を吸収する。
【0045】
ここで、スライドガイドバー54は、上述のように、複数の貫通穴54aを設けることで剛性が高くなり過ぎることを抑えている。これは、スライドガイドバー54にも衝撃吸収機能を持たせるためである。
【0046】
つまり、打撃機構50の打撃時において、プランジャ51およびカウンタウエイト59は、互いに相反する方向(上下方向)に勢い良く移動するが、その際に、トップホルダ55およびボトムホルダ56は、ウエイトダンパ57およびプランジャダンパ58を介してそれぞれ上下方向に強い力で押圧される。このときに、スライドガイドバー54は若干伸びて、その衝撃を吸収する。
【0047】
これにより、スライドガイドバー54が捻れたり、スライドガイドバー54のトップホルダ55およびボトムホルダ56を支持する部分が歪んだりすることが抑制される。よって、プランジャ51およびカウンタウエイト59の長期に亘るスムーズな動作を確保することができ、ひいては打込機10の初期性能を維持することが可能となる(耐久性向上)。
【0048】
<カウンタウエイト>
図5および図10図12に示されるように、打撃機構50はカウンタウエイト59を備えている。カウンタウエイト59は、その重量が約120gとなっており、プランジャ51が下方へ移動する時に上方に移動して、プランジャ51が下死点で止具11を打撃する際の衝撃を緩和する(相殺する)。なお、カウンタウエイト59においても、プランジャ51と同様に、駆動機構80およびコイルスプリングCSのばね力により、ガイドシャフト53の軸線CT1上で、当該ガイドシャフト53およびスライドガイドバー54に沿って移動される。
【0049】
具体的には、駆動機構80は、カウンタウエイト59を下方に移動させ、コイルスプリングCSのばね力は、カウンタウエイト59を上方に移動させる。また、駆動機構80は、プランジャ51を上方に移動させ、コイルスプリングCSのばね力は、プランジャ51を下方に移動させる。つまり、駆動機構80は、コイルスプリングCSのばね力に抗して、カウンタウエイト59およびプランジャ51を互いに近付くように引き寄せて、コイルスプリングCSにばね力を蓄える。これに対し、蓄えられたコイルスプリングCSのばね力は、カウンタウエイト59およびプランジャ51を互いに離間する方向に勢い良く移動させる。
【0050】
また、カウンタウエイト59は、角筒状に形成され、コイルスプリングCSの軸方向上端部に被せられている。カウンタウエイト59は、底部59aを備えており、当該底部59aの中心部分には、筒部59bが一体に設けられている。また、底部59aの周縁には、筒部59bの周囲を囲うようにして壁部59cが一体に設けられている。そして、筒部59bと壁部59cとの間に、コイルスプリングCSの軸方向上端部が配置されている。
【0051】
なお、筒部59bには、ガイドシャフト53が摺動自在に差し込まれている。また、前後方向において、底部59aの後側には、操作凸部59dが一体に設けられている。操作凸部59dは、略直方体状に形成され、底部59aから上側に突出し、かつ底部59aの後側に突出している。ここで、操作凸部59dは、カウンタウエイト59の上下方向への移動に伴い、第1リミットスイッチ21aを操作するものである。
【0052】
なお、図5に示されるように、底部59aからの操作凸部59dの上側への高さ寸法h1は、ウエイトダンパ57の自然状態(弾性変形されていない状態)での厚み寸法h2よりも若干小さい寸法となっている(h1<h2)。これにより、図10に示されるように、打込機10の前後方向において、操作凸部59dの前側に、ウエイトダンパ57を入り込めるようにしている。よって、打込機10の上下方向への寸法の増大が抑えられ、ひいては打込機10の大型化が抑制される。
【0053】
さらに、操作凸部59dを底部59aから上側に高さ寸法h1で突出させることで、カウンタウエイト59が下死点にある状態(図11および図12参照)において、操作凸部59dが第1リミットスイッチ21aを越えて下方に移動することが防止される。すなわち、カウンタウエイト59の上下方向への移動時において、第1リミットスイッチ21aが誤操作されることを防いでいる。
【0054】
また、図5に示されるように、カウンタウエイト59の壁部59cには、アーム部59eが一体に設けられている。アーム部59eは、駆動機構80により操作される部分であり、壁部59cから下側に突出すると共に、壁部59cから後側に突出している。
【0055】
<駆動機構>
図5および図10図12に示されるように、打撃機構50は、プランジャ51およびカウンタウエイト59を、コイルスプリングCSのばね力に抗して上下方向に移動させる駆動機構80を備えている。具体的には、駆動機構80は、プランジャ51(ドライバブレード52)を上方に移動させ、カウンタウエイト59を下方に移動させる。
【0056】
駆動機構80は、合計3つの平歯車を有しており、具体的には、第1ギヤ81,第2ギヤ82および第3ギヤ83を備えている。これらの第1ギヤ81,第2ギヤ82および第3ギヤ83は、ハウジング20に固定されたギヤケース(図示せず)に、それぞれ回転自在に支持されている。
【0057】
第1ギヤ81には、減速機構61を介してブラシレスモータ60(図4参照)の回転力が入力される。つまり、第1ギヤ81は、ブラシレスモータ60により回転される。また、第1ギヤ81は第2ギヤ82と噛み合っており、第2ギヤ82は第3ギヤ83と噛み合っている。すなわち、第2ギヤ82は、第1ギヤ81および第3ギヤ83の双方と噛み合っている。
【0058】
これにより、第1ギヤ81にブラシレスモータ60の回転力が入力されると、第1ギヤ81,第2ギヤ82および第3ギヤ83がそれぞれ連動して回転される。なお、第1ギヤ81および第3ギヤ83の前面には、それぞれ1本のカムローラ81a,83aが設けられている。また、第2ギヤ82の前面には、2本のカムローラ82a,82bが設けられている(図5参照)。
【0059】
<マガジン>
図6はマガジンを右側から見た拡大図(部品カバーを外した状態)を、図7はマガジンを左側から見た拡大図(マガジンカバーを少し開けた状態)を、図8図2のB-B線に沿う断面図を、図9は打込機を射出口側から見た部分拡大斜視図をそれぞれ示している。
【0060】
図1図4および図6図9に示されるように、マガジン30は、プラスチック等の樹脂材料により略直方体状に形成され、ハウジング20を形成するモータ収容室23と平行となるように、上下方向と交差する前後方向に延びている。そして、マガジン30は、モータ収容室23に取り付けられている。
【0061】
図1に示されるように、マガジン30の長手方向前側には、ドライバブレード52(図4参照)により打撃される止具11を、相手材Wに向けて射出する射出口OPが設けられている。また、打込機10の上下方向において、射出口OPの上側には、射出前(打撃前)の止具11が配置される射出路31が設けられている。
【0062】
これらの射出路31および射出口OPは、何れもドライバブレード52の軸線上に配置されている。これにより、ドライバブレード52は、射出路31に供給された止具11を打撃し、打撃された止具11は、射出口OPから相手材Wに向けて射出される。なお、射出路31および射出口OPは、何れも打撃機構50の一部を構成している。
【0063】
具体的には、射出路31および射出口OPは、鋼板から成る第1板部材(板部材)32および第2板部材(板部材)33を重ねて形成されている。すなわち、互いに重ねられた第1板部材32および第2板部材33の間に、射出路31および射出口OPが形成されている。これにより、打込機10の前後方向における射出口OPの幅寸法を小さくして、巾木の凹溝等の狭い窪みの部分にも、止具11を容易に射出することが可能となっている。
【0064】
また、図3に示されるように、マガジン30を下側から見たときに、マガジン30の右側ハウジング部材20Aが設けられる側には、電子部品装着部34が設けられている。これに対し、マガジン30を下側から見たときに、マガジン30の左側ハウジング部材20Bが設けられる側には、複数の止具11(図1参照)を収容する止具収容部35が設けられている。
【0065】
すなわち、図3に示されるように、射出口OPの中心を通り、打込機10の前後方向に延びる中心線CT2を境界として、右側に電子部品装着部34が配置され、左側に止具収容部35が配置されている。なお、ガイドシャフト53の軸線CT1(図5参照)および前後方向に延びる中心線CT2は、互いに直交している。
【0066】
図6に示されるように、マガジン30を形成する電子部品装着部34には、検知スイッチSWが実装された小型基板36と、第1LED照明部90と、止具11の相手材W(図1参照)に対する打込深さを調整するダイヤル37が設けられている。
【0067】
ここで、ダイヤル37は、打込機10の上下方向において、打撃機構50(図4参照)と重なる位置に配置されている。そして、ダイヤル37を一方へ回転させることで、止具11に対するドライバブレード52の打撃位置が下降して、止具11の相手材Wに対する打込深さが深くなる。これに対し、ダイヤル37を他方へ回転させることで、止具11に対するドライバブレード52の打撃位置が上昇して、止具11の相手材Wに対する打込深さが浅くなる。
【0068】
電子部品装着部34に装着される小型基板36は、図示しない基板配線を介して、コントローラ70(図4参照)に電気的に接続されている。ここで、マガジン30に設けられ、小型基板36に実装された検知スイッチSWは、止具収容部35(図7参照)に収容された止具11の残量を検知する機能を有している。
【0069】
具体的には、検知スイッチSWは、止具収容部35に収容された止具11を、1本ずつ射出路31に供給するフィーダ38により操作される。そして、止具収容部35に十分な量の止具11がある場合には、検知スイッチSWはオフの状態となる。これに対し、止具収容部35に収容された止具11の残量が少なくなると、図6の矢印M1に示されるようにフィーダ38が移動して、図6の矢印M2に示されるように検知スイッチSWがオンの状態となる。
【0070】
すると、コントローラ70は、検知スイッチSWからのオン信号を受信して、これに基づき、第2リミットスイッチ22b(図4参照)のオン操作(トリガレバー22aの操作)に関わらず、ブラシレスモータ60(図4参照)の回転駆動を停止させる。これにより、打込機10の空打ちが防止されて、打込機10が空打ちの際の衝撃等により損傷することが抑制される。
【0071】
ここで、マガジン30の止具収容部35は、打撃機構50の射出路31(図1参照)に、止具11を供給する機能を有している。そして、図7に示されるように、止具収容部35は、マガジンカバー39により開閉自在となっている。具体的には、マガジンカバー39は、マガジン30の前後方向にスライド可能であり、ストップレバー39aを押圧しつつ、図7の矢印M3の方向に移動させることで、止具収容部35を開放することができる。
【0072】
これにより、互いに連なった複数の止具11を、止具収容部35の内部に装填することができる。なお、マガジンカバー39を閉じるには、当該マガジンカバー39を、図7の矢印M3の方向とは逆の方向に移動させ、ロックするまでスライドさせれば良い。
【0073】
<照明構造>
図3図4および図6図9に示されるように、打込機10には、第1LED照明部(第1照明部)90および第2LED照明部(第2照明部)100が設けられている。これらの第1,第2LED照明部90,100は、打込機10の上下方向における下側、つまり相手材Wが設けられる側を照らすものである。具体的には、第1,第2LED照明部90,100は、何れも射出口OP(樹脂キャップCP)を相手材Wに向けたときに射出口OP(樹脂キャップCP)の周辺を照らす。
【0074】
<第1LED照明部>
図6に示されるように、第1LED照明部90は、電子部品装着部34の長手方向前側に設けられている。具体的には、打込機10の上下方向において、打撃機構50(図4参照)と重なる位置に配置されている。そして、第1LED照明部90は、図中破線矢印の照射Rに示されるように、打込機10の右側(図中手前側)で、かつ射出口OP(樹脂キャップCP)の近傍を照らす。
【0075】
第1LED照明部90は、第1LEDチップ91が実装された第1基板92と、第1基板92の周囲を囲うように設けられ、透明のプラスチック等からなる第1レンズ93と、を備えている。そして、第1基板92は、配線LNを介してコントローラ70に電気的に接続されている。なお、第1LED照明部90は、図示しない電源スイッチ(主電源)をオン操作し、かつライトスイッチを押すことで、コントローラ70から電流が供給されて点灯される。
【0076】
また、第1LED照明部90は、軸線CT1が延びる上下方向および中心線CT2が延びる前後方向に広がる平面PL(図3参照)を中心に、当該平面PLの右側ハウジング部材20A側(一方側)に配置され、射出口OPが設けられる側(図3の手前側)を照らす。なお、平面PLは、軸線CT1および中心線CT2の双方を含む平面である。
【0077】
このように、平面PLを中心としたマガジン30の右側(一方側)に、第1LED照明部90が配置され、平面PLを中心としてマガジン30の左側(他方側)に、止具11を収容する止具収容部35が配置されている。これにより、第1LED照明部90の配線LN等を、止具収容部35側に引き回さなくて済む。よって、配線LNに加えて小型基板36や第1基板92(電子部品)が、可動部であるフィーダ38やマガジンカバー39(メカ機構)により損傷すること等を、確実に防止することが可能となっている。
【0078】
さらに、第1LED照明部90の配置箇所を詳細に説明すると、第1LED照明部90は、図6に示されるように、打込機10の前後方向において、ダイヤル37の射出口OP(樹脂キャップCP)側とは反対側の端部37aよりも射出口OP(樹脂キャップCP)側に配置されている。具体的には、第1LED照明部90は、打込機10の前後方向においてダイヤル37が配置されるダイヤル領域ARの内部に設けられている。これにより、第1LED照明部90が射出口OP(樹脂キャップCP)の近傍に配置されて、巾木の凹溝等の内側(図示せず)を明るく照らすことが可能となる。
【0079】
また、第1LED照明部90により、巾木の凹溝等の内側をより明るく照らせるように、マガジン30の電子部品装着部34には、切欠部34aが設けられている。切欠部34aは、図9に示されるように、マガジン30を電子部品装着部34側から止具収容部35側に向けて窪むようにして形成されている。そして、切欠部34aは、第1LED照明部90が照射する光の経路上に配置されている。言い換えれば、切欠部34aは、第1LED照明部90が照射する光の経路を形成している。これにより、相手材Wにおける射出口OP(樹脂キャップCP)の周辺を、より明るく照らせるようになっている。
【0080】
さらに、図6に示されるように、打込機10の前後方向において、第1LED照明部90は、検知スイッチSWよりも射出口OP(樹脂キャップCP)側に配置されている。これにより、小型基板36の基板配線(図示せず)と第1LED照明部90の配線LNとを互いに離して、小型基板36および第1LED照明部90を、電子部品装着部34に容易に組み付けることが可能となっている。
【0081】
ここで、図1および図4に示されるように、小型基板36および第1LED照明部90は、第1LED照明部90の配線LNと共に、それぞれ部品カバーPCによって覆われている。これにより、小型基板36,第1LED照明部90および当該第1LED照明部90の配線LNを、汚損等から保護することができ、かつ打込機10の見栄えを向上させている。なお、部品カバーPCは、本発明におけるカバーに相当する。
【0082】
<第2LED照明部>
図7に示されるように、第2LED照明部100は、ハウジング20を形成するモータ収容室23の長手方向前側に設けられている。具体的には、図8に示されるように、モータ収容室23のマガジン30寄りの部分に、LED収容部23bが設けられており、当該LED収容部23bの内部に第2LED照明部100が収容されている。ここで、LED収容部23bは、ハウジング20に設けられ、本発明における照明収容部に相当する。
【0083】
具体的には、LED収容部23bは、モータ収容室23から打込機10の左側に向けて膨出しており、このLED収容部23bが設けられる部分は、作業性に支障を来さないデッドスペースとなっている。すなわち、LED収容部23bは、打込機10の上下方向および前後方向の双方と交差する左右方向に膨出している。
【0084】
また、LED収容部23bは、図7に示されるように、第2LED照明部100を傾斜させた状態で保持しており、その結果、第2LED照明部100は、図7の破線矢印の照射Lに示されるように、打込機10の左側(図中手前側)で、かつ射出口OP(樹脂キャップCP)の近傍を照らす。
【0085】
このように、第1LED照明部90は、上下方向および前後方向に広がる平面PL(図3参照)を中心に、当該平面PLの右側(一方側)に配置され、第2LED照明部100は、平面PLの左側(他方側)に配置され、何れも射出口OP(樹脂キャップCP)が設けられる側(図3の手前側)を照らす。そして、右側に配置された第1LED照明部90は、マガジン30に設けられ、左側に配置された第2LED照明部100は、打撃機構50を収容すると共にマガジン30が固定されるハウジング20に設けられている。
【0086】
なお、図3および図4に示されるように、第2LED照明部100は、打込機10の前後方向において、第1LED照明部90よりも射出口OP(樹脂キャップCP)から離れた位置に配置されている。これにより、第1LED照明部90により巾木の凹溝等の内側(図示せず)を明るく照らしつつ、第2LED照明部100により射出口OPの周辺のより広い範囲を明るく照らすことが可能となっている。
【0087】
なお、図8に示されるように、第2LED照明部100は、第2LEDチップ101が実装された第2基板102と、第2基板102の周囲を囲うように設けられ、透明のプラスチック等からなる第2レンズ103と、を備えている。そして、第2基板102は、配線(図示せず)を介してコントローラ70に電気的に接続されている。ここで、第2LED照明部100においても、図示しない電源スイッチ(主電源)をオン操作し、かつライトスイッチを押すことで、コントローラ70から電流が供給されて点灯される。
【0088】
<打撃機構の動作について>
次に、打込機10を形成する打撃機構50の具体的な動作について、図10図12を用いて説明する。なお、打撃機構50の動作中において、例えば、作業場が暗く、打込機10の射出口OP(樹脂キャップCP)の近傍が見にくい場合には、ライトスイッチ(図示せず)を押して、第1,第2LED照明部90,100を点灯させる。これにより、破線矢印の照射Rよび照射Lに示されるように、相手材W(図4参照)に向けて光りが照射される。
【0089】
図10に示される状態は、プランジャ51が下死点(位置PP1)にあり、カウンタウエイト59が上死点(位置WP1)にある状態である。すなわち、プランジャ51の底部51aとカウンタウエイト59の底部59aとの離間距離L1は、コイルスプリングCSが最も伸びた状態の距離となっている。
【0090】
また、図11に示される状態は、プランジャ51が待機位置(位置PP2)にあり、カウンタウエイト59が下死点(位置WP2)にある状態である。つまり、プランジャ51が待機位置に到達すると、カウンタウエイト59は上死点に到達する。このとき、プランジャ51の底部51aとカウンタウエイト59の底部59aとの離間距離L2は、コイルスプリングCSが大きく縮んだ状態の距離となっている(L2<L1)。
【0091】
さらに、図12に示される状態は、プランジャ51が上死点(位置PP3)にあり、カウンタウエイト59が下死点(位置WP2)にある状態である。つまり、プランジャ51が待機位置から上死点に移動する間は、カウンタウエイト59は移動しない。このとき、プランジャ51の底部51aとカウンタウエイト59の底部59aとの離間距離L3は、コイルスプリングCSが最も縮んだ状態の距離となっている(L3<L2)。
【0092】
図4および図5も参照しつつ説明すると、トリガレバー22aに対する操作を含む所定条件が満たされると、コントローラ70の制御の下で、バッテリパック40からブラシレスモータ60に駆動電流が供給され、ブラシレスモータ60から回転駆動力が出力される。
【0093】
ブラシレスモータ60から出力された回転駆動力が第1ギヤ81に入力されると、第1ギヤ81が所定方向に回転する。すると、第2ギヤ82が第1ギヤ81と逆方向に回転し、第3ギヤ83が第1ギヤ81と同方向に回転する。
【0094】
第1ギヤ81が回転すると、第1ギヤ81に設けられているカムローラ81aがプランジャ51のアーム部51eに係合し、プランジャ51を押し上げる。すると、プランジャ51は、コイルスプリングCSを圧縮しながら上方に移動する(上昇する)。
【0095】
その後、カムローラ81aがアーム部51eに係合している間に、第2ギヤ82に設けられているカムローラ82aがプランジャ51のアーム部51fに係合し、プランジャ51をさらに上昇させる。これにより、カムローラ81aとアーム部51eとの係合が解除される。
【0096】
次いで、第2ギヤ82に設けられている一方のカムローラ82aがプランジャ51のアーム部51fに係合している間に、第2ギヤ82に設けられている他方のカムローラ82bがプランジャ51のアーム部51gに係合し、プランジャ51をさらに上昇させる。
【0097】
これに対し、第3ギヤ83が回転すると、第3ギヤ83に設けられているカムローラ83aがカウンタウエイト59のアーム部59eに係合し、カウンタウエイト59を押し下げる。すると、カウンタウエイト59は、コイルスプリングCSを圧縮しながら下方に移動する(下降する)。
【0098】
その結果、プランジャ51は、下死点から上死点に向かってコイルスプリングCSを圧縮しながら上昇する。これに対し、カウンタウエイト59は、上死点から下死点に向かってコイルスプリングCSを圧縮しながら下降する。すなわち、コイルスプリングCSは、プランジャ51およびカウンタウエイト59により上下から圧縮されてばね力を蓄える。
【0099】
プランジャ51が下死点から待機位置を通過して上死点まで移動すると、第2ギヤ82とプランジャ51との係合が解除される。これと同時に、第3ギヤ83とカウンタウエイト59との係合も解除される。すると、プランジャ51は、図12に示される状態からコイルスプリングCSのばね力を受けて下降し、プランジャ51に取り付けられたドライバブレード52も下降する。
【0100】
このとき、カウンタウエイト59は、図示しないラッチにより、図12に示される状態のまま移動が規制されている。よって、カウンタウエイト59は、プランジャ51の下降開始と同時には上昇を開始しない。
【0101】
その後、プランジャ51が所定位置まで下降すると、ラッチが作動してカウンタウエイト59の移動規制状態が解除される。よって、このタイミングでカウンタウエイト59がコイルスプリングCSのばね力により上昇を開始する。
【0102】
これにより、プランジャ51は、コイルスプリングCSのばね力により勢い良く下降を続けて下死点に到達し、プランジャ51に取り付けられたドライバブレード52が、射出路31に配置された止具11(図1参照)を打撃する。また、カウンタウエイト59は、コイルスプリングCSのばね力により勢い良く上昇を続けて上死点に到達する。
【0103】
このように、プランジャ51およびカウンタウエイト59が、互いに逆方向に移動することで、ドライバブレード52が止具11を打撃する際の衝撃を緩和(相殺)して、作業者に掛かる負荷が低減される。ここで、プランジャ51が下降するタイミングおよびカウンタウエイト59が上昇するタイミングを、ラッチを用いてずらしているが、これは、適切な衝撃緩和効果を得るためである。
【0104】
以上のようにして1回の打込み動作が完了する。そして、打込み動作が完了したときに打込み動作を継続するための条件が満たされていないと、コントローラ70は次の打込み動作に移行することなく、ブラシレスモータ60を停止させる。例えば、打込み動作が完了したときにトリガレバー22aの操作が解除されていると、コントローラ70はブラシレスモータ60を停止させる。
【0105】
ただし、コントローラ70は、打込み動作の完了と同時にはブラシレスモータ60を停止させない。コントローラ70は、次回の打込み動作に備えてプランジャ51を待機位置まで移動させ、その後にブラシレスモータ60を停止させる。
【0106】
上述の通り、プランジャ51が下死点から待機位置まで移動する間に、カウンタウエイト59は上死点から下死点まで移動する。したがって、カウンタウエイト59が下死点に到達したことを検知できれば、プランジャ51が待機位置に到達したことを間接的に検知することができる。
【0107】
そこで、駆動機構80の上方で、かつカウンタウエイト59の後方に、第1リミットスイッチ21aを設けている。具体的には、カウンタウエイト59が下死点に到達すると、カウンタウエイト59に設けられた操作凸部59dにより、第1リミットスイッチ21aがオン操作される(図11および図12の矢印M4参照)。これにより、コントローラ70は、カウンタウエイト59が下死点に到達したことを直接的に検知して、プランジャ51が待機位置に到達したことを間接的に検知する。
【0108】
このようにして、コントローラ70は、打込み動作が完了したときに打込み動作を継続するための条件が満たされていなくとも、第1リミットスイッチ21aのオン操作を示す信号が入力されるまで、ブラシレスモータ60への駆動電流の供給を継続する。
【0109】
以上詳述したように、本実施の形態に係る打込機10によれば、上下方向に延び、軸線CT1を中心に作動して止具11を打撃し、止具11を射出口OPから射出させる打撃機構50と、上下方向と交差する前後方向に延び、打撃機構50に止具11を供給するマガジン30と、軸線CT1を含みかつ上下方向および前後方向に広がる平面PLを中心に、当該平面PLの右側に配置されて射出口OPが設けられる側を照らす第1LED照明部90と、平面PLの左側に配置されて射出口OPが設けられる側を照らす第2LED照明部100と、を備え、第1LED照明部90は、マガジン30に設けられ、かつ上下方向において打撃機構50と重なる位置に配置されている。
【0110】
これにより、止具11を射出する射出口OPの先端部の視認性をより良くし、作業性を向上させることができる。
【0111】
また、本実施の形態に係る打込機10によれば、マガジン30は、第1LED照明部90が照射する光の経路を形成する切欠部34aを有している。
【0112】
これにより、マガジン30が邪魔にならず、相手材Wにおける射出口OP(樹脂キャップCP)の周辺を、より明るく照らすことができる。
【0113】
さらに、本実施の形態に係る打込機10によれば、射出口OPは、互いに重ねられた一対の第1,第2板部材32,33の間に形成されている。
【0114】
これにより、打込機10の前後方向における射出口OPの幅寸法を小さくすることができる。よって、巾木の凹溝等の狭い窪みの部分にも、止具11を容易に射出することができる。
【0115】
また、本実施の形態に係る打込機10によれば、止具11の相手材Wに対する打込深さを調整するダイヤル37を備え、第1LED照明部90は、前後方向において、ダイヤル37の射出口OP側とは反対側の端部37aよりも射出口OP側に配置されている。
【0116】
これにより、第1LED照明部90が射出口OP(樹脂キャップCP)の近傍に配置されて、巾木の凹溝等の内側を明るく照らすことができる。
【0117】
さらに、本実施の形態に係る打込機10によれば、マガジン30には、止具11の残量を検知する検知スイッチSWが設けられ、第1LED照明部90は、前後方向において、検知スイッチSWよりも射出口OP側に配置されている。
【0118】
これにより、小型基板36の基板配線(図示せず)と第1LED照明部90の配線LNとを互いに離して、小型基板36および第1LED照明部90を、電子部品装着部34に容易に組み付けることができる。
【0119】
また、本実施の形態に係る打込機10によれば、平面PLを中心としたマガジン30の右側に、第1LED照明部90が配置され、平面PLを中心としたマガジン30の左側に、止具11を収容する止具収容部35が配置されている。
【0120】
これにより、第1LED照明部90の配線LN等を、止具収容部35側に引き回さなくて済む。よって、配線LNに加えて小型基板36や第1基板92が、可動部であるフィーダ38やマガジンカバー39により損傷すること等を、確実に防止することができる。
【0121】
さらに、本実施の形態に係る打込機10によれば、第1LED照明部90は、当該第1LED照明部90の配線LNと共に部品カバーPCで覆われている。
【0122】
これにより、小型基板36,第1LED照明部90および当該第1LED照明部90の配線LNを、汚損等から保護することができ、かつ打込機10の見栄えを向上させることが可能となる。
【0123】
また、本実施の形態に係る打込機10によれば、第2LED照明部100は、打撃機構50を収容すると共にマガジン30が固定されるハウジング20に設けられている。
【0124】
これにより、止具11を打ち込む方向の広い範囲、つまり相手材Wの射出口OPの周辺の広い範囲を、より明るく照らすことができ、ひいては作業性をより向上させることが可能となる。
【0125】
さらに、本実施の形態に係る打込機10によれば、ハウジング20には、第2LED照明部100を収容するLED収容部23bが設けられ、LED収容部23bは、上下方向および前後方向の双方と交差する左右方向の左側に膨出している。
【0126】
これにより、LED収容部23bに収容される第2LED照明部100を、作業性に支障を来さないデッドスペースに配置することができる。
【0127】
また、本実施の形態に係る打込機10によれば、第2LED照明部100は、前後方向において、第1LED照明部90よりも射出口OPから離れた位置に配置されている。
【0128】
これにより、例えば、第1LED照明部90により巾木の凹溝等の内側を明るく照らしつつ、第2LED照明部100により射出口OPの周辺の広い範囲を明るく照らすことができる。
【0129】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、本発明の作業機は、上述した打込機10の他に、止具としてのステープルを相手材に打ち込む電動タッカ等を包含する。打撃部は、ドライバブレードが設けられるピストンと、当該ピストンを往復動可能に収容するシリンダと、当該ピストンに空気圧による付勢力を与える蓄圧室と、を含み、空気圧によって止具を相手材に打ち込む構成としても良い。
【0130】
また、上述した実施の形態では、第1,第2照明部がそれぞれLED(Light Emitting Diode)であるものを示したが、本発明はこれに限らず、フィラメントが発光する豆電球等を第1,第2照明部として用いることもできる。
【0131】
その他、上述の実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上述の実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0132】
10…打込機(作業機)、11…止具、20…ハウジング、20A…右側ハウジング部材、20B…左側ハウジング部材、21…打撃部収容室、21a…第1リミットスイッチ、22…ハンドル、22a…トリガレバー、22b…第2リミットスイッチ、22c…ロック機構、23…モータ収容室、23a…膨出部、23b…LED収容部(照明収容部)、24…連結部、30…マガジン、31…射出路、32…第1板部材(板部材)、33…第2板部材(板部材)、34…電子部品装着部、34a…切欠部、35…止具収容部、36…小型基板、37…ダイヤル、37a…端部、38…フィーダ、39…マガジンカバー、39a…ストップレバー、40…バッテリパック、41…ロックフリーボタン、50…打撃機構(打撃部)、51…プランジャ、51a…底部、51b…ブレード装着部、51c…壁部、51d…筒部、51e~51g…アーム部、52…ドライバブレード、52a…接続孔、53…ガイドシャフト、54…スライドガイドバー、54a…貫通穴、55…トップホルダ、56…ボトムホルダ、57…ウエイトダンパ、58…プランジャダンパ、59…カウンタウエイト、59a…底部、59b…筒部、59c…壁部、59d…操作凸部、59e…アーム部、60…ブラシレスモータ、61…減速機構、62…ステータ、63…ロータ、63a…回転軸、64…モータ基板、65…冷却ファン、66…通気口、67…リボンケーブル、70…コントローラ、80…駆動機構、81…第1ギヤ、81a…カムローラ、82…第2ギヤ、82a,82b…カムローラ、83…第3ギヤ、83a…カムローラ、90…第1LED照明部(第1照明部)、91…第1LEDチップ、92…第1基板、93…第1レンズ、100…第2LED照明部(第2照明部)、101…第2LEDチップ、102…第2基板、103…第2レンズ、AR…ダイヤル領域、CA…冷却風、CP…樹脂キャップ、CS…コイルスプリング、CT1…ガイドシャフト53の軸線(作動軸)、CT2…打込機10の前後方向に延びる中心線、LN…配線、OP…射出口、PC…部品カバー(カバー)、PL…平面、RC…ゴム製カバー、S1…固定ねじ、SP…中空部、SW…検知スイッチ、W…相手材
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