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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094763
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】配管検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 17/02 20060101AFI20240703BHJP
   G21C 17/003 20060101ALI20240703BHJP
   G21C 17/013 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G01B17/02 B
G21C17/003 100
G21C17/013
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211519
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】三木 将裕
(72)【発明者】
【氏名】佐賀 要
(72)【発明者】
【氏名】福原 良純
(72)【発明者】
【氏名】山田 諄太
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 通明
(72)【発明者】
【氏名】平野 明彦
【テーマコード(参考)】
2F068
2G075
【Fターム(参考)】
2F068AA28
2F068BB09
2F068DD13
2F068FF03
2F068FF12
2F068FF14
2F068HH01
2F068JJ03
2F068JJ12
2G075AA20
2G075BA20
2G075CA13
2G075DA14
2G075DA15
2G075EA01
2G075FA13
2G075FA15
2G075FB07
2G075FD01
2G075FD07
(57)【要約】
【課題】保温材の着脱などの検査付帯作業を軽減しつつ、配管検査を行うことができる配管検査方法を提供する。
【解決手段】配管検査方法は、アクセスツール15を用いて、保温材1の外側に外側コイル13及びカメラ14を配置する第1の手順と、保温材1の内側に且つ配管2の外面に予め固定された超音波センサ11と内側コイル12と外側コイル13と制御装置16とを用いて、超音波センサ11の位置での配管2の厚さを計測する第2の手順と、カメラ14を用いて、保温材1を撮影する第3の手順と、超音波センサ11の位置での配管2の厚さに異常があると判定した場合や、保温材1の外観に異常があると判定した場合に、配管2から保温材1を取外す第4の手順と、配管2の外面に超音波センサ23を配置する第5の手順と、超音波センサ23と制御装置16とを用いて、超音波センサ23の位置での配管2の厚さを計測する第6の手順とを有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側コイル及びカメラを保持するアクセスツールを用いて、配管の外面を被覆する保温材の外側に前記外側コイル及び前記カメラを配置する第1の手順と、
前記保温材の内側に且つ前記配管の外面に予め固定された第1の超音波センサと、前記保温材の内側に予め配置されて前記第1の超音波センサに接続された内側コイルと、前記第1の手順で前記内側コイルに対向するように前記保温材の外側に配置された前記外側コイルと、前記内側コイルと前記外側コイルの間の電磁誘導を利用して前記第1の超音波センサとの間で信号を入出力する制御装置とを用いて、前記第1の超音波センサの位置での前記配管の厚さを計測し、前記配管の厚さに異常があるかどうかを判定する第2の手順と、
前記第1の手順で前記保温材の外側に配置された前記カメラを用いて、前記保温材を撮影し、前記保温材の外観に異常があるかどうかを判定する第3の手順と、
前記第2の手順で前記配管の厚さに異常があると判定した場合や、前記第3の手順で前記保温材の外観に異常があると判定した場合に、前記配管から前記保温材を取外す第4の手順と、
前記第4の手順で前記保温材が取外された前記配管の外面に第2の超音波センサを配置する第5の手順と、
前記第5の手順で前記配管の外面に配置された前記第2の超音波センサと、前記第2の超音波センサとの間で信号を入出力する制御装置とを用いて、前記第2の超音波センサの位置での前記配管の厚さを計測する第6の手順と、
を有することを特徴とする配管検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の配管検査方法において、
前記第2の手順は、代表位置での前記配管の厚さを計測し、
前記第6の手順は、前記代表位置以外の他の位置での前記配管の厚さを計測することを特徴とする配管検査方法。
【請求項3】
請求項1に記載の配管検査方法において、
前記アクセスツールは、作業者が把持するロッドで構成されたことを特徴とする配管検査方法。
【請求項4】
請求項1に記載の配管検査方法において、
前記アクセスツールは、作業者が遠隔操作する飛行体で構成されたことを特徴とする配管検査方法。
【請求項5】
請求項1に記載の配管検査方法において、
前記第1の超音波センサは、識別情報を記憶して出力し、
前記制御装置は、前記第1の超音波センサの識別情報と固定位置との関係を予め記憶し、前記第1の超音波センサから入力した識別情報によって前記第1の超音波センサの固定位置を取得することを特徴とする配管検査方法。
【請求項6】
請求項1に記載の配管検査方法において、
前記制御装置は、前記外側コイルと前記内側コイルの接近によって取得された前記第1の超音波センサの波形信号をモニタで表示するか、若しくは、前記外側コイルと前記内側コイルの接近を報知器で報知することを特徴とする配管検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラントの配管は、高温の流体が流れるため、外面が保温材で被覆されている。また、配管は、内面が高温の流体によって浸食されて、減肉が生じる可能性がある。そのため、配管の厚さを計測する検査が実施される。
【0003】
配管が高所にある場合を想定し、配管検査方法について説明する。一般的な配管検査方法では、作業者が、配管に接近して作業するための足場を組立てる。そして、足場上の作業者が、配管から保温材を取外し、配管の外面に超音波センサを配置し、この超音波センサを用いて配管の厚さを計測する。
【0004】
一方、特許文献1の配管検査方法では、床上の作業者が、アクセスツールを用いて、配管の外面の特定位置に設けられた保温材の着脱部(言い換えれば、保温材の他の部分に対して着脱可能な部分)を取外すと共に、前述した特定位置に超音波センサを配置する。アクセスツールは、先端側が超音波センサを保持可能で基端側が作業者に把持されるロッドと、ロッドの先端側に設けられて保温材の着脱部に係合可能なフックと、ロッドの基端側に設けられてフックを操作可能な操作レバーとを有する。アクセスツールを用いることにより、足場の組立が不要となり、検査付帯作業を軽減することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-156806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の配管検査方法は、足場の組立が不要であるものの、保温材の着脱を必ず行うことから、検査付帯作業を軽減する点で改善の余地がある。保温材の着脱を回避する方法として、保温材の内側に且つ配管の外面に超音波センサを予め固定し、この超音波センサを用いて配管の厚さを計測する方法が考えられる。しかし、この方法では、様々な理由により、配管の外面に固定可能な超音波センサの数に限界があり、超音波センサの固定位置以外の他の位置での配管の厚さを計測することが困難である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、保温材の着脱などの検査付帯作業を軽減しつつ、配管検査を行うことができる配管検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の配管検査方法は、外側コイル及びカメラを保持するアクセスツールを用いて、配管の外面を被覆する保温材の外側に前記外側コイル及び前記カメラを配置する第1の手順と、前記保温材の内側に且つ前記配管の外面に予め固定された第1の超音波センサと、前記保温材の内側に予め配置されて前記第1の超音波センサに接続された内側コイルと、前記第1の手順で前記内側コイルに対向するように前記保温材の外側に配置された前記外側コイルと、前記内側コイルと前記外側コイルの間の電磁誘導を利用して前記第1の超音波センサとの間で信号を入出力する制御装置とを用いて、前記第1の超音波センサの位置での前記配管の厚さを計測し、前記配管の厚さに異常があるかどうかを判定する第2の手順と、前記第1の手順で前記保温材の外側に配置された前記カメラを用いて、前記保温材を撮影し、前記保温材の外観に異常があるかどうかを判定する第3の手順と、前記第2の手順で前記配管の厚さに異常があると判定した場合や、前記第3の手順で前記保温材の外観に異常があると判定した場合に、前記配管から前記保温材を取外す第4の手順と、前記第4の手順で前記保温材が取外された前記配管の外面に第2の超音波センサを配置する第5の手順と、前記第5の手順で前記配管の外面に配置された前記第2の超音波センサと、前記第2の超音波センサとの間で信号を入出力する制御装置とを用いて、前記第2の超音波センサの位置での前記配管の厚さを計測する第6の手順と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保温材の着脱などの検査付帯作業を軽減しつつ、配管検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態における配管検査装置の構成を表すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態におけるアクセスツール及びその使用方法を表す概略図である。
図3】本発明の一実施形態における第1の超音波センサ、内側コイル、及び外側コイルの配置を表す概略図である。
図4】本発明の一実施形態におけるモニタの画面を表す図である。
図5】本発明の一実施形態における配管の減肉が発生していない場合の波形信号を表す図である。
図6】本発明の一実施形態における配管の減肉が発生している場合の波形信号を表す図である。
図7】本発明の一実施形態における第2の超音波センサの配置を表す概略図である。
図8】本発明の一実施形態における配管検査方法の手順を表すフローチャートである。
図9】本発明の一変形例におけるアクセスツール及びその使用方法を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における配管検査装置の構成を表すブロック図である。図2は、本実施形態におけるアクセスツール及びその使用方法を表す概略図である。図3は、本実施形態における第1の超音波センサ、内側コイル、及び外側コイルの配置を表す概略図である。図4は、本実施形態におけるモニタの画面を表す図である。なお、図1図3においては、複数組の超音波センサ及び内側コイルのうち、1組の超音波センサ及び内側コイルのみを示す。
【0013】
本実施形態の配管検査装置は、保温材1の内側に且つ配管2の外面に接着剤3(後述の図5(a)又は図6(a)参照)を介し予め固定された複数の超音波センサ11(第1の超音波センサ)と、保温材1の内側に予め配置されて複数の超音波センサ11にそれぞれ配線を介し接続された複数の内側コイル12と、外側コイル13と、カメラ14と、外側コイル13及びカメラ14を保持するアクセスツール15と、外側コイル13及びカメラ14に配線及びコネクタを介し接続された制御装置16と、制御装置16に配線を介し接続されたモニタ17とを備える。
【0014】
アクセスツール15は、例えば図2で示すようにロッドで構成されて、先端側が外側コイル13及びカメラ14を保持し、基端側が作業者に把持される。配管2が高所にある場合に、床上の作業者4は、アクセスツール15を用いて、配管2の外面を被覆する保温材1の外側に外側コイル13及びカメラ14を配置することが可能である。
【0015】
保温材1は、例えば複数の内側コイル12の位置をそれぞれ示す複数の目印を有する。作業者は、複数の内側コイル12から1つの内側コイル12を順次選択し、選択された内側コイル12に対向するように外側コイル13を配置する。制御装置16は、選択された内側コイル12と外側コイル13との間の電磁誘導(詳細には、一方のコイルによる電気信号から磁束への変換と他方のコイルによる磁束から電気信号への再変換)を利用して、対応する超音波センサ11との間で信号を入出力する。
【0016】
制御装置16は、切替部18、パルサ19、レシーバ20、信号処理部21、及び記憶部22を有する。切替部18は、マルチプレクサ等で構成され、信号処理部21は、プログラムに従って処理を実行するプロセッサ等で構成され、記憶部22は、ハードディスクやメモリ等で構成されている。
【0017】
制御装置16の切替部18は、パルサ19とレシーバ20を切替えて外側コイル13に接続する。制御装置16のパルサ19は、外側コイル13及び内側コイル12を介し超音波センサ11へパルス信号(電気信号)を出力する。超音波センサ11の圧電素子は、パルス信号によって振動し、超音波を配管2へ送信する。超音波センサ11の圧電素子は、配管2の外面及び内面で反射された超音波を受信し、受信した超音波を波形信号(電気信号)に変換し、内側コイル12及び外側コイル13を介し制御装置16へ波形信号を出力する。超音波センサ11は、識別情報を記憶し、内側コイル12及び外側コイル13を介し制御装置16へ識別情報を出力する。
【0018】
制御装置16のレシーバ20は、超音波センサ11の波形信号及び識別情報をデジタル化して信号処理部21へ出力する。制御装置16の記憶部22は、超音波センサ11の識別情報と固定位置との関係を予め記憶する。制御装置16の信号処理部21は、記憶部22で記憶された関係を用い、超音波センサ11から入力された識別情報によって超音波センサ11の固定位置を取得する。そして、入力された超音波センサ11の波形信号Sを、超音波センサ11の位置と関連付けて記憶部22で記憶すると共に、モニタ17で表示する(図4参照)。
【0019】
制御装置16の信号処理部21は、初期に、すなわち、図5(a)で示すように配管2の減肉が発生していない場合に取得された超音波センサ11の波形信号S図5(b)参照)から、ゲートA,A(詳細には、時間や振幅の予想範囲)を用いて、配管2の外面で反射された超音波(外面エコー)Bの伝播時間と配管2の内面で反射された超音波(内面エコー)Cの伝播時間とを抽出し、それらの差分に基づいて配管2の厚さの初期値tを演算する。そして、配管2の減肉が発生しているかどうかを判定するための厚さの閾値tが、厚さの初期値tに基づいて設定されて記憶部22で記憶される。
【0020】
制御装置16の信号処理部21は、例えば所定時間の経過後であって、図6(a)で示すように配管2の減肉が発生した場合に取得された超音波センサ11の波形信号S(図6(b)参照)から、ゲートA,Aを用いて、配管2の外面で反射された超音波Bの伝播時間と配管2の内面で反射された超音波Cの伝播時間とを抽出し、それらの差分に基づいて配管2の厚さtを演算する。そして、上述した厚さの閾値tと共に、厚さtをモニタ17で表示する(図4参照)。
【0021】
制御装置16の信号処理部21は、カメラ14からの映像Pを処理して、モニタ17で表示する(図4参照)。
【0022】
本実施形態の配管検査装置は、外側コイル13に代えて、配線及びコネクタを介し制御装置16に接続可能な超音波センサ23(第2の超音波センサ)を更に備える。超音波センサ23は、図7で示すように、保温材1が配管2から取外された場合に配管2の外面にて配置変更可能なものである。
【0023】
制御装置16は、超音波センサ23が接続された場合に、超音波センサ23との間で信号を入出力する。詳しく説明すると、制御装置16のパルサ19は、超音波センサ23へパルス信号を出力する。超音波センサ23の圧電素子は、パルス信号によって振動し、超音波を配管2へ送信する。超音波センサ23の圧電素子は、配管2の外面及び内面で反射された超音波を受信し、受信した超音波を波形信号に変換し、制御装置16へ波形信号を出力する。
【0024】
制御装置16の信号処理部21は、超音波センサ23の波形信号から、ゲートA,Aを用いて、配管2の外面で反射された超音波の伝播時間と配管2の内面で反射された超音波の伝播時間とを抽出し、それらの差分に基づいて配管2の厚さtを演算する。そして、厚さの閾値tと共に、厚さtをモニタ17で表示する。
【0025】
次に、上述した配管検査装置を用いた配管検査方法について説明する。図7は、本実施形態における配管検査方法の手順を表すフローチャートである。
【0026】
まず、ステップS1にて、床上の作業者4は、アクセスツール15を用いて、保温材1の外側に外側コイル13及びカメラ14を配置する(上述の図2参照)。このとき、作業者4は、複数の内側コイル12から1つの内側コイル12を選択し、選択された内側コイル12に対向するように外側コイル13を配置する。また、モニタ17で表示された画像P又は波形信号Sにより、外側コイル13と内側コイル12の接近を確認する。
【0027】
その後、ステップS2に進み、床上の作業者4は、超音波センサ11、内側コイル12、外側コイル13、及び制御装置16を用いて、超音波センサ11の位置、すなわち、配管2の代表位置(例えば50mm間隔で設定された位置)での厚さtを計測する。その後、ステップS3に進み、作業者4は、モニタ17で表示された配管2の厚さtが閾値t以下であるかどうかにより、代表位置での配管2の厚さに異常があるかどうかを判定する。
【0028】
代表位置での配管2の厚さに異常がない場合、ステップS4に移る。ステップS4にて、床上の作業者4は、カメラ14を用いて、保温材1を撮影する。その後、ステップS5に進み、モニタ17で表示された画像Pにより、保温材1の外観に異常(例えば変形、変色、又は割れ等)があるかどうかを判定する。
【0029】
上述したステップS1~S5は、外側コイル13の位置、すなわち、配管2の代表位置を変えて繰返し行う。いずれかの代表位置での配管2の厚さに異常がある場合や、保温材1の外観に異常がある場合、ステップS6に移る。
【0030】
ステップS6にて、作業者4は、超音波センサ23を、配線及びコネクタを介し制御装置16に接続する。また、作業者4は、配管2に接近して作業するための足場(図示せず)を組立てる。そして、足場上の作業者4は、配管2から保温材1を取外す。その後、ステップS7に進み、足場上の作業者4は、超音波センサ23を、配管2の外面で代表位置以外の他の位置(例えば20mm間隔で設定された位置)に配置する。その後、ステップS8に進み、超音波センサ23及び制御装置16を用いて、超音波センサ23の位置、すなわち、配管2の他の位置での厚さtを計測する。
【0031】
以上のように、本実施形態では、ステップS1~S5によるスクリーニング検査を実施する。このスクリーニング検査では、アクセスツール15を用いて、保温材1の外側に外側コイル13及びカメラ14を配置する。そして、超音波センサ11、内側コイル12、外側コイル13、及び制御装置16を用いて、代表位置での配管2の厚さを計測すると共に、カメラ14を用いて、保温材1を撮影する。そのため、足場の組立が不要となる。また、スクリーニング検査で異常が見つからなければ、保温材1を配管2から取外さない。したがって、足場の組立てや保温材の着脱などの検査付帯作業を軽減しつつ、配管検査を行うことができる。その結果、例えば定期点検の作業負荷や作業時間を軽減することができる。
【0032】
また、本実施形態では、スクリーニング検査で異常が見つかれば、足場を組み立て、保温材1を配管2から取外す。そして、超音波センサ23及び制御装置16を用いて、代表位置以外の他の位置での配管2の厚さtを計測する。したがって、配管2の減肉範囲を把握し、配管2の交換などの対応を検討することができる。
【0033】
なお、上記一実施形態において、配管検査装置は、超音波センサ11及び超音波センサ23に対して共通の制御装置16を備えた場合を例にとって説明したが、これに限られない。配管検査装置は、外側コイル13及び内側コイル12を介し超音波センサ11との間で信号を入出力する第1の制御装置と、超音波センサ23との間で信号を入出力する第2の制御装置とを備えてもよい。
【0034】
また、上記一実施形態において、アクセスツール15は、作業者が把持するロッドで構成された場合を例にとって説明したが、これに限られない。図8で示す変形例のように、アクセスツール15Aは、作業者が遠隔操作する飛行体(詳細には、作業者が操作する操作装置24からの指令に応じて移動する飛行体)で構成されてもよい。
【0035】
また、上記一実施形態において、制御装置16は、外側コイル13と内側コイル12の接近によって取得された超音波センサ11の波形信号Sをモニタ17で表示する場合を例にとって説明したが、これに限られない。制御装置16は、超音波センサ11の波形信号Sの振幅に基づき、外側コイル13と内側コイル12が接近しているかどうかを検知してもよい。そして、外側コイル13と内側コイル12の接近を検知した場合に、その旨を報知器で報知してもよい(詳細には、例えばモニタ17でメッセージを表示するか、若しくは、ブザーで吹鳴してもよい)。
【符号の説明】
【0036】
1 保温材
2 配管
11 超音波センサ(第1の超音波センサ)
12 内側コイル
13 外側コイル
14 カメラ
15,15A アクセスツール
16 制御装置
23 超音波センサ(第2の超音波センサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9