(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094764
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/04 20230101AFI20240703BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20240703BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240703BHJP
H01L 23/48 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
H01L25/00 B
H01L21/60 321E
H01L23/48 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211522
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 龍
(57)【要約】
【課題】配線インダクタンスの発生を抑制する。
【解決手段】配線部材40cは、半導体チップ3dの出力電極に接続され、主電流リードフレーム11の配線領域に絶縁性のスペーサを介して接続される。この際、配線部材40c及びスペーサにより、(ハイサイド側の)半導体チップの入力電極と(ローサイド側の)半導体チップ3dの出力電極との間にスナバコンデンサが構成される。このため、配線部材40c及び主電流リードフレーム11に配線インダクタンスで発生する逆起電力がスナバコンデンサで緩和されて、(ハイサイド側の)半導体チップと(ローサイド側の)半導体チップ3dの耐圧破壊の発生が防止される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
おもて面に設けられた第1出力電極と裏面に設けられた第1入力電極とを含む第1半導体チップと、
前記第1半導体チップの前記第1入力電極が接合された第1チップ領域と第1配線領域とを含む第1リードフレームと、
おもて面に設けられた第2出力電極と裏面に設けられた第2入力電極とを含み、前記第1チップ領域の側部に隣接する第2半導体チップと、
前記第2半導体チップの前記第2出力電極と電気的に接続される第3リードフレームと、
前記第2半導体チップの前記第2出力電極に接続され、前記第1リードフレームの前記第1配線領域に絶縁部材を介して接続される配線部材と、
を含む半導体装置。
【請求項2】
前記第2半導体チップの前記第2入力電極が接合され、前記第1チップ領域の側部に隣接する第2チップ領域と前記第1半導体チップの前記第1出力電極と電気的に接続される第2配線領域とを含む第2リードフレーム、
をさらに含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2リードフレームの前記第2チップ領域は前記第1チップ領域に対して第1方向に隣接し、
前記第1リードフレームの前記第1配線領域は前記第1方向に沿って、前記第2リードフレームの前記第2チップ領域の一方の側部に設けられている、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3リードフレームは、前記第2リードフレームの前記第2チップ領域の前記一方の側部の反対側の他方の側部に設けられている、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2リードフレームの前記第2配線領域は、前記第2チップ領域から前記第1リードフレームの前記第1チップ領域の前記他方の側部に延伸している、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記配線部材は、平板状であって、平面視で矩形状を成している、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記配線部材は、前記第2半導体チップの前記第2出力電極から、さらに、前記他方の側部に延伸して、前記第3リードフレームに接続されている、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1半導体チップ及び前記第2半導体チップがそれぞれ複数設けられ、
前記第1リードフレームは複数の前記第1半導体チップがそれぞれ接合される前記第1チップ領域を複数含み、
前記第2リードフレームは複数設けられて、前記第1方向に沿って一列に配置されて、複数の前記第2半導体チップがそれぞれ接合され、
前記第1リードフレームの前記第1配線領域は、前記第1方向に沿って延伸し、複数の前記第2リードフレームの前記第2チップ領域の前記一方の側部に設けられ、
前記第3リードフレームは複数設けられ、複数の前記第2半導体チップの前記第2出力電極に電気的にそれぞれ接続され、
前記配線部材は複数設けられ、複数の前記第2半導体チップの前記第2出力電極に接続され、前記第1リードフレームの前記第1配線領域に前記絶縁部材を介してそれぞれ接続される、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1リードフレームの複数の前記第1チップ領域は前記第1配線領域に沿って、所定の間隔を空けて前記第1配線領域にそれぞれ接続されて、
複数の前記第2リードフレームの前記第2チップ領域は、前記第1配線領域に沿って、複数の前記第1チップ領域の側部にそれぞれ隣接して配置されている、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1半導体チップの前記おもて面の端部に第1制御電極を設けられ、
前記第2半導体チップの前記おもて面の端部に第2制御電極を設けられ、
複数の前記第1半導体チップは前記第1制御電極が前記一方の側部を向いて前記第1チップ領域にそれぞれ接合され、
複数の前記第2半導体チップは前記第2制御電極が前記一方の側部を向いて複数の前記第2リードフレームの前記第2チップ領域にそれぞれ接合されている、
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1制御電極及び前記第2制御電極にそれぞれ制御信号を入力する制御部をさらに含む、
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記制御部は、平面視で、前記第1リードフレームの前記第1配線領域の複数の前記第2半導体チップに対して反対側に設けられている、
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記第1制御電極及び前記第2制御電極に第1制御信号及び第2制御信号をそれぞれ入力する複数の制御チップ、をさらに含む、
請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
平面視で、前記配線部材の前記第1リードフレームの前記第1配線領域に重畳する部分は、前記第1配線領域に沿って広がっている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記配線部材は、前記第2出力電極に対して導電性のスペーサを介して接続されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記配線部材は、平面視で、前記第2出力電極に対向する面の部分に凸部を備え、前記凸部により前記第2出力電極に接続されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記絶縁部材は、誘電性を備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記配線部材は、前記絶縁部材に替えて、前記第1リードフレームの前記第1配線領域にチップコンデンサを介して接続されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、P型のリードフレームにFWD(Free Wheeling Diode)チップ及びパワートランジスタチップがそれぞれ接合され、N型のリードフレームにFWDチップ及びパワートランジスタチップがそれぞれ接合されている。さらに、P型のリードフレームのFWDチップ及びパワートランジスタチップのそれぞれのおもて側の電極がN型のリードフレームにDLBフレームにより接続されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、半導体パワーモジュールでは、P側電極板のおもて面にパワートランジスタの裏面電極(コレクタ)が、出力用導電板のおもて面にパワートランジスタの裏面電極(コレクタ)がそれぞれ接続されている。出力用導電板の裏面に絶縁基板を介してN側電極板が設けられている。出力用導電板のパワートランジスタのおもて面電極(エミッタ)がN側電極板に接続されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-081947号公報
【特許文献2】特開2009-071130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、配線インダクタンスの発生を抑制する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、おもて面に設けられた第1出力電極と裏面に設けられた第1入力電極とを含む第1半導体チップと、前記第1半導体チップの前記第1入力電極が接合された第1チップ領域と第1配線領域とを含む第1リードフレームと、おもて面に設けられた第2出力電極と裏面に設けられた第2入力電極とを含み、前記第1チップ領域の側部に隣接する第2半導体チップと、前記第2半導体チップの前記第2出力電極と電気的に接続される第3リードフレームと、前記第2半導体チップの前記第2出力電極に接続され、前記第1リードフレームの前記第1配線領域に絶縁部材を介して接続される配線部材と、を含む半導体装置が提供される。
【0007】
前記第2半導体チップの前記第2入力電極が接合され、前記第1チップ領域の側部に隣接する第2チップ領域と前記第1半導体チップの前記第1出力電極と電気的に接続される第2配線領域とを含む第2リードフレーム、をさらに含んでよい。
【0008】
前記第2リードフレームの前記第2チップ領域は前記第1チップ領域に対して第1方向に隣接し、前記第1リードフレームの前記第1配線領域は前記第1方向に沿って、前記第2リードフレームの前記第2チップ領域の一方の側部に設けられてよい。
【0009】
前記第3リードフレームは、前記第2リードフレームの前記第2チップ領域の前記一方の側部の反対側の他方の側部に設けられてよい。
前記第2リードフレームの前記第2配線領域は、前記第2チップ領域から前記第1リードフレームの前記第1チップ領域の前記他方の側部に延伸してよい。
【0010】
前記配線部材は、平板状であって、平面視で矩形状を成してよい。
前記配線部材は、前記第2半導体チップの前記第2出力電極から、さらに、前記他方の側部に延伸して、前記第3リードフレームに接続されてよい。
【0011】
前記第1半導体チップ及び前記第2半導体チップがそれぞれ複数設けられ、前記第1リードフレームは複数の前記第1半導体チップがそれぞれ接合される前記第1チップ領域を複数含み、前記第2リードフレームは複数設けられて、前記第1方向に沿って一列に配置されて、複数の前記第2半導体チップがそれぞれ接合され、前記第1リードフレームの前記第1配線領域は、前記第1方向に沿って延伸し、複数の前記第2リードフレームの前記第2チップ領域の前記一方の側部に設けられ、前記第3リードフレームは複数設けられ、複数の前記第2半導体チップの前記第2出力電極に電気的にそれぞれ接続され、前記配線部材は複数設けられ、複数の前記第2半導体チップの前記第2出力電極に接続され、前記第1リードフレームの前記第1配線領域に前記絶縁部材を介してそれぞれ接続されてよい。
【0012】
前記第1リードフレームの複数の前記第1チップ領域は前記第1配線領域に沿って、所定の間隔を空けて前記第1配線領域にそれぞれ接続されて、複数の前記第2リードフレームの前記第2チップ領域は、前記第1配線領域に沿って、複数の前記第1チップ領域の側部にそれぞれ隣接して配置されてよい。
【0013】
前記第1半導体チップの前記おもて面の端部に第1制御電極を設けられ、前記第2半導体チップの前記おもて面の端部に第2制御電極を設けられ、複数の前記第1半導体チップは前記第1制御電極が前記一方の側部を向いて前記第1チップ領域にそれぞれ接合され、複数の前記第2半導体チップは前記第2制御電極が前記一方の側部を向いて複数の前記第2リードフレームの前記第2チップ領域にそれぞれ接合されてよい。
【0014】
前記第1制御電極及び前記第2制御電極にそれぞれ制御信号を入力する制御部をさらに含んでよい。
前記制御部は、平面視で、前記第1リードフレームの前記第1配線領域の複数の前記第2半導体チップに対して反対側に設けられてよい。
【0015】
前記制御部は、前記第1制御電極及び前記第2制御電極に第1制御信号及び第2制御信号をそれぞれ入力する複数の制御チップ、をさらに含んでよい。
平面視で、前記配線部材の前記第1リードフレームの前記第1配線領域に重畳する部分は、前記第1配線領域に沿って広がってよい。
【0016】
前記配線部材は、前記第2出力電極に対して導電性のスペーサを介して接続されていてよい。
前記配線部材は、平面視で、前記第2出力電極に対向する面の部分に凸部を備え、前記凸部により前記第2出力電極に接続されていてよい。
【0017】
前記絶縁部材は、誘電性を備えてよい。
前記配線部材は、前記絶縁部材に替えて、前記第1リードフレームの前記第1配線領域にチップコンデンサを介して接続されていてよい。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となりうる。
【発明の効果】
【0019】
開示の技術によれば、配線インダクタンスの発生を抑制し、半導体装置の信頼性の低下を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の実施の形態の半導体装置の平面図である。
【
図2】第1の実施の形態の半導体装置の2a側(A)及び2b側(B)側面図である。
【
図3】第1の実施の形態の半導体装置の封止体を除いた平面図である。
【
図4】第1の実施の形態の半導体装置に含まれるリードフレームの平面図である。
【
図5】第1の実施の形態の半導体装置の封止体を除いた側面図である。
【
図6】第1の実施の形態の半導体装置の機能を実現する回路を示す等価回路図である。
【
図7】参考例の半導体装置の封止体を除いた平面図である。
【
図8】参考例の半導体装置の機能を実現する回路を示す等価回路図である。
【
図9】第2の実施の形態の半導体装置の封止体を除いた平面図である。
【
図10】第3の実施の形態の半導体装置の封止体を除いた平面図である。
【
図11】第3の実施の形態の半導体装置に含まれるリードフレームの平面図である。
【
図12】第3の実施の形態の半導体装置の封止体を除いた側面図である。
【
図13】第3の実施の形態の半導体装置の機能を実現する回路を示す等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、「おもて面」及び「上面」とは、図の半導体装置1,1bにおいて、上側(+Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「上」とは、図の半導体装置1,1bにおいて、上側(+Z方向)の方向を表す。「裏面」及び「下面」とは、図の半導体装置1,1bにおいて、下側(-Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「下」とは、図の半導体装置1,1bにおいて、下側(-Z方向)の方向を表す。必要に応じて他の図面でも上記と同様の方向性を意味する。「高位」とは、図の半導体装置1,1bにおいて、上側(+Z方向)の位置を表す。同様に、「低位」とは、図の半導体装置1,1bにおいて、下側(-Z方向)の位置を表す。「おもて面」、「上面」、「上」と「裏面」、「下面」、「下」と「側面」とは、相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。また、以下の説明において「主成分」とは、80vol%以上含む場合を表す。また、「略同一」とは、±10%以内の範囲であればよい。また、「垂直」、「平行」とは、±10°以内の範囲であればよい。
【0022】
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態の半導体装置1の外観について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、第1の実施の形態の半導体装置の平面図であり、
図2は、第1の実施の形態の半導体装置の2a側(A)及び2b側(B)側面図である。なお、
図2(A)は、
図1の半導体装置1を+Y方向に見た側面図である。
図2(B)は、
図1の半導体装置1を+X方向に見た側面図である。
【0023】
半導体装置1は、後述する半導体チップ及び各種リードフレームとこれらを封止する封止体2とを含んでいる。封止体2は、平板状であって、立方体を成している。封止体2は、平面視で矩形状の上面2eと上面2eに対向し、上面2eの反対側の下面2fとを含んでいる。上面2eと下面2fとの形状及びサイズは略等しい。上面2eと下面2fとは略平行を成している。さらに、封止体2は、平面視で、上面2e及び下面2fの四方を順に取り囲む長側面2a、短側面2b、長側面2c、短側面2dを含んでいる。長側面2a,2cは、半導体装置1の平面視で長辺に対応し、短側面2b,2dは、半導体装置1の平面視で短辺に対応する。すなわち、長側面2a,2cは、半導体装置1の長手方向に平行であって、短側面2b,2dは、半導体装置1の短手方向に平行である。
【0024】
また、半導体装置1は、封止体2の一対の短側面2b,2dに締結部2gがそれぞれ形成されている。例えば、締結部2gは、短側面2b,2dのそれぞれのほぼ中央に形成されていてよい。
図1における締結部2gの形成位置は一例であり、この場合に限らない。締結部2gは、ボルト(図示を省略)が挿通される径である。締結部2gは、封止体2の上面2e及び下面2fの間を貫通している。
図1及び
図2では、締結部2gが平面視でU字状である場合を示している。この場合に限らず、平面視で円形状であってもよい。半導体装置1の裏面(下面2f)に冷却ユニットを取り付ける場合に、締結部2gにボルトを挿通させて、ボルトで冷却ユニットを締結する。このようにして半導体装置1に冷却ユニットを取り付けることができる。なお、冷却ユニットとは、例えば、ヒートシンク、冷媒により冷却する冷却装置が挙げられる。
【0025】
また、封止体2の一対の長側面2a,2cから各種リードフレームがそれぞれ延伸している。詳細は後述するものの、長側面2aからは主電流リードフレームが、長側面2cからは制御リードフレームがそれぞれ延伸している。
【0026】
このような封止体2は、熱硬化性樹脂と当該熱硬化性樹脂に含有されている無機物フィラーとを含んでいる。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂を含む群から選択される少なくとも1種を主成分とする。熱硬化性樹脂は、好ましくは、エポキシ樹脂を主成分とする。また、無機物フィラーには、高絶縁で高熱伝導の無機物が用いられる。無機物は、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化硼素を含む群から選択される少なくとも1種を主成分とする。無機物フィラーは、好ましくは、酸化珪素を主成分とする。無機物フィラーは、例えば、封止体2の原料全体の70vol%以上、90vol%以下である。
【0027】
次に、半導体装置1に含まれる封止体2により封止される半導体チップ及び各種リードフレームを含む構成部品について、
図3~
図5を用いて説明する。
図3は、第1の実施の形態の半導体装置の封止体を除いた平面図であって、
図4は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれるリードフレームの平面図である。
図5は、第1の実施の形態の半導体装置の封止体を除いた側面図である。なお、
図3は、
図1の半導体装置1の封止体2を除いた場合の平面図である。
図4は、
図3において、封止体2に封止される各種リードフレームのみを示している。
図5は、
図3において、-X方向側(短側面2b側)の端部の側面図である。すなわち、
図5は、
図3において、+X方向に見た側面図である。また、
図3~
図5では、参考までに、封止体2の位置を図示している。
【0028】
半導体装置1は、主電流リードフレーム11~17と、制御リードフレーム20a~20p,21と、絶縁シート30と、放熱板35と、半導体チップ3a1~3a3,3b~3dと、制御IC(Integrated Circuit)4とを含んでいる。さらに、半導体装置1は、配線部材40a~40c,41a~41cを含んでいる。また、制御IC4a~4cと半導体チップ3a1~3a3,3b~3dとは制御ワイヤ47a~47c,48a~48c及びセンスワイヤ46a~46cにより電気的かつ機械的に接続されている。
【0029】
制御ワイヤ47a~47c,48a~48c及びセンスワイヤ46a~46cは、導電性に優れた金属を主成分として構成されている。このような金属は、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの1種を含む合金が挙げられる。
【0030】
なお、主電流リードフレーム11~17は、封止体2の長側面2aから外側(-Y方向)に延伸している。制御リードフレーム20a~20p,21は、封止体2の長側面2cから外側(+Y方向)に延伸している。但し、図面では、長側面2a,2cからのそれぞれの延伸部分の記載は省略している。
【0031】
主電流リードフレーム11~17は、導電性に優れた材質により構成されている。このような材質として、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの1種を含む合金により構成されている。なお、ここでは、主電流リードフレーム11~17は、銅または銅合金を主成分として構成されている。主電流リードフレーム11~17に対して、耐食性に優れた材質によりめっき処理を行ってもよい。この際のめっき材は、例えば、ニッケル、金、または、少なくともこれらの1種を含む合金である。主電流リードフレーム11~17は、それぞれ、所定の距離以上、隙間が空いている。これにより、主電流リードフレーム11~17間の沿面距離が維持される。
【0032】
主電流リードフレーム11は、
図4に示されるように、外部接合領域11aと配線領域11bとチップ領域11c,11d,11eと配線領域11fとを一体的に含んでいる。なお、チップ領域11c,11d,11e内に記載されている破線の四角の領域は半導体チップ3a1,3a2,3a3の配置位置を示している。半導体チップ3a1,3a2,3a3は、チップ領域11c,11d,11eに接合部材44を介して接合される。接合部材44は、はんだまたは焼結材である。はんだは、所定の合金を主成分とする鉛フリーはんだにより構成される。所定の合金とは、例えば、錫-銀からなる合金、錫-亜鉛からなる合金、錫-アンチモンからなる合金のうち少なくともいずれかの合金である。はんだには、銅、ビスマス、インジウム、ニッケル、ゲルマニウム、コバルトまたはシリコン等の添加物が含まれてもよい。また、焼結材は、例えば、銀、金、銅の粉末である。
【0033】
外部接合領域11aは、平面視で封止体2の長側面2aの短側面2d近傍から-Y方向に延伸している。外部接合領域11aは、延伸途中で、屈曲して+Z方向に延伸してよい。
【0034】
配線領域11bは、外部接合領域11aとチップ領域11cとを一体的に接続している。配線領域11bは、短側面2dに平行を成し、長側面2aから長側面2cに向かってチップ領域11cにまで延伸している。
【0035】
チップ領域11c~11eは、所定の間隔を空けて、短側面2b,2dの中央付近にて長側面2a,2cに沿ってそれぞれ等間隔に隙間を空けて配置されている。配線領域11fは、後述する主電流リードフレーム12~16に対して長側面2c側を、短側面2bから長側面2a,2cに平行に短側面2bに向けて延伸している。なお、チップ領域11eは、後述する主電流リードフレーム15,16の配線領域15b,16bとの間に突出する領域を含んでいる。この領域は、チップ領域11eの放熱性を向上に寄与する。
【0036】
配線領域11fには、チップ領域11c~11eの長側面2c側が一体的に接続されている。なお、配線領域11fは、チップ領域11eから短側面2b側に、後述するチップ領域16c程度、延伸してよい。すなわち、配線領域11fは、チップ領域16cに配置される半導体チップ3cよりも短側面2b側に延伸してよい。
【0037】
主電流リードフレーム12は、
図4に示されるように、外部接合領域12aと配線領域12bとチップ領域12cとを一体的に含んでいる。なお、チップ領域12c内に記載されている破線の四角の領域は半導体チップ3bの配置位置を示している。半導体チップ3bは、チップ領域12cに接合部材44を介して接合される。
【0038】
外部接合領域12aは、平面視で封止体2の長側面2aの外部接合領域11aに対して-X方向側の隣から-Y方向に延伸している。外部接合領域12aは、延伸途中で、屈曲して+Z方向に延伸してよい。
【0039】
配線領域12bは、外部接合領域12aとチップ領域12cとを一体的に接続している。配線領域12bは、外部接合領域12aから-X方向及び+Y方向による斜めの方向に向けてチップ領域12cに延伸している。チップ領域12cは、チップ領域11c,11dの間にチップ領域11c,11d及び配線領域11fに対して等間隔に隙間を空けて配置されている。
【0040】
主電流リードフレーム13は、
図4に示されるように、外部接合領域13aと配線領域13bとを一体的に含んでいる。外部接合領域13aは、平面視で封止体2の長側面2aの外部接合領域12aに対して-X方向側の隣から外側(-Y方向)に延伸している。外部接合領域13aは、延伸途中で屈曲して+Z方向に延伸してよい。
【0041】
配線領域13bは、外部接合領域13aに一体的に接続している。配線領域13bは、外部接合領域13aから短側面2b,2dに平行であって、長側面2cに向けて、チップ領域12cまで延伸している。
【0042】
主電流リードフレーム14は、
図4に示されるように、外部接合領域14aと配線領域14bとチップ領域14cとを一体的に含んでいる。なお、チップ領域14c内に記載されている破線の四角の領域は半導体チップ3cの配置位置を示している。半導体チップ3cは、チップ領域14cに接合部材44を介して接合される。
【0043】
外部接合領域14aは、平面視で封止体2の長側面2aの外部接合領域13aに対して-X方向側の隣から-Y方向に延伸している。外部接合領域14aは、延伸途中で屈曲して+Z方向に延伸してよい。
【0044】
配線領域14bは、外部接合領域14aとチップ領域14cとを一体的に接続している。配線領域14bは、外部接合領域14aから-X方向及び+Y方向による斜めの方向に向けてチップ領域14cに延伸している。チップ領域14cは、チップ領域11d,11eの間にチップ領域11d,11e及び配線領域11fに対して所定の隙間を空けて配置されている。
【0045】
主電流リードフレーム15は、
図4に示されるように、外部接合領域15aと配線領域15bとを一体的に含んでいる。外部接合領域15aは、平面視で封止体2の長側面2aの外部接合領域14aに対して-X方向側の隣から外側(-Y方向)に延伸している。外部接合領域15aは、延伸途中で屈曲して+Z方向に延伸してよい。配線領域15bは、外部接合領域15aに一体的に接続している。配線領域15bは、外部接合領域15aから、長側面2cに向けて、チップ領域14cまで延伸している。
【0046】
主電流リードフレーム16は、
図4に示されるように、外部接合領域16aと配線領域16bとチップ領域16cとを一体的に含んでいる。なお、チップ領域16c内に記載されている破線の四角の領域は半導体チップ3dの配置位置を示している。半導体チップ3dは、チップ領域16cに接合部材44を介して接合される。
【0047】
外部接合領域16aは、平面視で封止体2の長側面2aの外部接合領域15aに対して-X方向側の隣から-Y方向に延伸している。外部接合領域16aは、延伸途中で屈曲して+Z方向に延伸してよい。
【0048】
配線領域16bは、外部接合領域16aとチップ領域16cとを一体的に接続している。配線領域16bは、外部接合領域16aから長側面2cに向けてチップ領域16cに延伸している。チップ領域16cは、チップ領域11eの-X方向の隣であって、チップ領域11e及び配線領域11fに対して所定の隙間を空けて配置されている。
【0049】
主電流リードフレーム17は、
図4に示されるように、外部接合領域17aと配線領域17bとを一体的に含んでいる。外部接合領域17aは、平面視で封止体2の長側面2aの外部接合領域16aに対して-X方向側の隣から外側(-Y方向)に延伸している。外部接合領域17aは、延伸途中で屈曲して、+Z方向に延伸してよい。配線領域17bは、外部接合領域17aに一体的に接続している。配線領域17bは、外部接合領域17aから配線領域16bまで延伸している。
【0050】
なお、主電流リードフレーム11,12,14,16の外部接合領域11a,12a,14a,16a及び主電流リードフレーム13,15,17は、チップ領域11c~11e,12c,14c,16c及び配線領域11fよりも鉛直上方(+Z方向)に位置している。配線領域11b,12b,14b,16bは、傾斜して、外部接合領域11a,12a,14a,16aとチップ領域11c,12c,14c,16cとを接続している。
【0051】
絶縁シート30は、平面視で矩形状を成している。絶縁シート30は、熱硬化性樹脂と無機物フィラーとを含むシートである。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂を含む群から選択される少なくとも1種を主成分とする。好ましくは、エポキシ樹脂を主成分とする。また、無機物フィラーには、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化硼素を含む群から選択される少なくとも1種を主成分とする無機物が用いられる。このような絶縁シート30は、少なくとも、主電流リードフレーム11のチップ領域11c~11e,12c及び配線領域11fと主電流リードフレーム12,14,16のチップ領域12c,14c,16cが配置されている。
【0052】
放熱板35は、平面視で矩形状を成し、絶縁シート30のサイズと同等、または、大きくてよい。このような放熱板35は、熱伝導性に優れた金属を主成分として構成されている。金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を含む合金である。放熱板35の耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。また、放熱板35の裏面は封止体2の下面2fから露出されている。この際、放熱板35の裏面は封止体2の下面2fに対して同一平面を成し、または、下面2fよりも-Z方向に突出してもよい。なお、本実施の形態では、放熱板35の裏面が封止体2の下面2fに対して同一平面を成している場合を例示している(
図5)。
【0053】
半導体チップ3a1~3a3,3b~3dは、例えば、RC(Reverse Conducting)-IGBT(Insulated Gated Bipolar Transistor)のスイッチング素子である。RC-IGBTは、IGBTとFWDが1チップ内に構成されている。RC-IGBTチップは、IGBTとFWDとが逆並列で接続された回路が構成されている。このような半導体チップ3a1~3a3,3b~3dは、例えば、シリコンにより構成されてよい。
【0054】
このような半導体チップ3a1~3a3,3b~3dは、おもて面に制御電極3fとしてゲート電極と出力電極3gとしてエミッタ電極とを含んでいる。なお、この半導体チップ3a1~3a3,3b~3dは、制御電極3fを角部にそれぞれ備えている。出力電極3gは、おもて面の制御電極3fを除いた範囲に備えられている。また、半導体チップ3a1~3a3,3b~3dは、裏面に入力電極3hとしてコレクタ電極を備えている。また、
図3に示される半導体チップ3a1~3a3,3b~3dは、制御電極3fが長側面2c側を向いて配置されている。
【0055】
また、半導体チップ3a1~3a3,3b~3dは、炭化シリコンにより構成されるパワーデバイスであってもよい。このパワーデバイスの一例として、パワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)が挙げられる。パワーMOSFETのボディダイオードが、RC-IGBTのFWDと同様の機能を果たしてよい。このような半導体チップ3a1~3a3,3b~3dは、おもて面に、制御電極3fとしてゲート電極及び出力電極3gとしてソース電極を、裏面に入力電極3hとしてドレイン電極をそれぞれ備えている。
【0056】
制御リードフレーム20a~20p,21は、導電性に優れた材質により構成されている。このような材質として、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの1種を含む合金により構成されている。なお、ここでは、制御リードフレーム20a~20p,21は、銅または銅合金を主成分として構成されている。また、制御リードフレーム20a~20p,21に対して、耐食性に優れた材質によりめっき処理を行うことも可能である。この際のめっき材は、例えば、ニッケル、金、または、少なくともこれらの1種を含む合金である。また、制御リードフレーム20a~20p,21は、それぞれ、所定の距離以上、隙間が空いている。これにより、制御リードフレーム20a~20p,21間の沿面距離が維持される。
【0057】
制御リードフレーム20a~20pは、主電流リードフレーム11の配線領域11fから長側面2c側にそれぞれ設けられている。さらに、制御リードフレーム20a~20pは、短側面2dから短側面2bに向かって、長側面2cに沿ってそれぞれ設けられている。制御リードフレーム20a~20pは平面視で封止体2の長側面2cから外側(+Y方向)に延伸している。制御リードフレーム20a~20pは、延伸途中で屈曲して+Z方向に延伸してよい。
【0058】
制御リードフレーム21は、平面視でU字状を成して、IC領域21b~21d及び外部接合領域21a,21eを含んでいる。外部接合領域21aは、
図4に示されるように、長側面2c及び短側面2dにより構成される角部近傍であって、制御リードフレーム20a,20bの間に設けられている。外部接合領域21aは、
図4に示されるように、平面視で封止体2の長側面2cから外側(+Y方向)に延伸している。外部接合領域21dは、延伸途中で屈曲して、+Z方向に延伸してよい。
【0059】
外部接合領域21eは、
図4に示されるように、長側面2c及び短側面2bにより構成される角部近傍であって、制御リードフレーム20pの-X方向の隣に設けられている。外部接合領域21eは、平面視で封止体2の長側面2cから外側(+Y方向)に延伸している。外部接合領域21eは、延伸途中で屈曲して+Z方向に延伸してよい。
【0060】
このような制御リードフレーム21は、外部接合領域21aから長側面2aに向かって内側に入り込み、主電流リードフレーム11の配線領域11fの側部を配線領域11fに沿って延伸し、外部接合領域21eに続いている。その途中の主電流リードフレーム11の配線領域11fに平行な領域にIC領域21a~21cがそれぞれ設けられている。IC領域21b~21dには制御IC4a~4cが接合部材44(図示を省略)を介してそれぞれ設けられる。
【0061】
制御IC4a~4cは、制御チップの一例であって、ハイサイド側及びローサイド側の両方の半導体チップ3a~3dを制御するため、HVIC(High Voltage Integrated Circuit)及びLVIC(Low Voltage Integrated Circuit)の両方を兼ねるハイブリッド型のICである。制御IC4a~4cは、制御リードフレーム20a~20e,20f~20j,20k~20pにワイヤ(符号省略)によりそれぞれ接続されている。また、制御IC4a~4cは、制御リードフレーム21にワイヤ(符号省略)によりそれぞれ接続されている。
【0062】
制御IC4a~4cは、ハイサイド側の半導体チップ3a1~3a3の制御電極3fに制御ワイヤ47a~47cを経由して直接接続されている。なお、制御IC4a~4cは、ハイサイド側の半導体チップ3a1~3a3の出力電極3gにセンスワイヤ46a~46cによりそれぞれ直接接続されている。また、制御IC4a~4cは、ローサイド側の半導体チップ3b~3dの制御電極3fに制御ワイヤ48a~48cを経由して直接接続されている。
【0063】
配線部材40a~40c,41a~41cは、導電性に優れた材質により構成されている。このような材質として、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの1種を含む合金により構成されている。なお、ここでは、配線部材40a~40c,41a~41cは、銅または銅合金を主成分として構成されている。配線部材40a~40c,41a~41cに対して、耐食性に優れた材質によりめっき処理を行うことも可能である。この際のめっき材は、例えば、ニッケル、金、または、少なくともこれらの1種を含む合金である。また、配線部材40a~40c,41a~41cは、平面視で、直線状であって、ストライプ型(短冊型)を成している。配線部材40a~40c,41a~41cはそれぞれ短側面2b,2dに平行であって、長側面2a,2dに直交してそれぞれ設けられている。この場合の±X方向の幅は、例えば、0.5mm以上、3.5mm以下であり、±Z方向の厚さは、0.1mm以上、3.0mm以下である。
【0064】
配線部材40a~40cの中間部分は、主電流リードフレーム12,14,16にそれぞれ接合された半導体チップ3b~3dの出力電極3gに接合部材44とスペーサ42と接合部材44とを介して電気的に接合されている。なお、
図5には、半導体チップ3dに接合された配線部材40cを例示している。他の半導体チップ3b,3c及び配線部材40a,40bも同様に接合される。
【0065】
スペーサ42は導電性に優れた材質により構成されている。このような材質として、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの1種を含む合金により構成されている。ここでは、スペーサ42は、銅または銅合金を主成分として構成されている。なお、配線部材40a~40cの半導体チップ3b~3dの出力電極3gに対向する面の部分に凸部を備えて、当該凸部により出力電極3gに接合してもよい。
【0066】
また、配線部材40a~40cの長側面2a(-Y方向)側の一端部は、主電流リードフレーム13,15,17の配線領域13b,15b,17bに接合部材44を介して電気的に接続されている。
【0067】
さらに、配線部材40a~40cの中間部分から長側面2c(+Y方向)に延伸する長側面2c(+Y方向)側の他端部は、主電流リードフレーム11の配線領域11fにスペーサ43を介して接続されている。
【0068】
スペーサ43は、誘電性を有する絶縁材料により構成されている。このようなスペーサ43の主成分となる材料は、例えば、プラスチック、セラミックスが挙げられる。また、絶縁材料により構成されるスペーサ43に代わり、配線部材40a~40cの他端部と主電流リードフレーム11の配線領域11fとをチップコンデンサを介して接続してもよい。
【0069】
配線部材41a~41cの長側面2c(+Y方向)側の他端部は、主電流リードフレーム11にそれぞれ接合された半導体チップ3a1,3a2,3a3の出力電極3gに接合部材44及び既述のスペーサ42を介して電気的に接合されている。また、配線部材41a~41cの長側面2a(-Y方向)側の一端部は、主電流リードフレーム12,14,16の配線領域12b,14b,16bに接合部材44を介して電気的に接続されている。なお、配線部材41a~41cの場合でも、接合部材44に替えて、導電性接着剤のみを利用してもよい。また、配線部材41a~41cの他端部は凸部を備えてよい。
【0070】
次に、上記の主電流リードフレーム11~17と、制御リードフレーム20a~20p,21と、配線部材40a~40c,41a~41cと、半導体チップ3a1~3a3,3b~3dと、制御IC4a~4cとで、実現される回路構成について
図3~
図5並びに
図6を用いて説明する。
図6は、第1の実施の形態の半導体装置の機能を実現する回路を示す等価回路図である。
【0071】
半導体装置1は、
図6に示されるように、3相のインバータ回路部を含む。インバータ回路部は、直流を交流に変換する回路である。外部の直流電源の正極と負極とが高電位の接続点Pと低電位の接続点N(U),N(V),N(W)とにそれぞれ接続される。また、負荷が接続点U,V,Wに接続される。半導体チップ3a1~3a3,3b~3dは制御IC4a~4cから入力される制御信号に応じて接続点Pから入力された直流電流を変換し、接続点U,V,Wから3相交流として出力する。
【0072】
接続点Pは、主電流リードフレーム11の外部接合領域11aに対応し、主電流リードフレーム11が半導体チップ3a1の入力電極3hに接続されている。主電流リードフレーム11の半導体チップ3a1の出力電極3gは配線部材41a及び主電流リードフレーム12を介して半導体チップ3bの入力電極3hに接続されている。
【0073】
接続点Uは、主電流リードフレーム12の外部接合領域12aに対応し、主電流リードフレーム12に半導体チップ3bの入力電極3hが接続されている。半導体チップ3bの入力電極3hと半導体チップ3a1の出力電極3gとは主電流リードフレーム12及び配線部材41aを介してそれぞれ接続されている。接続点N(U)は、主電流リードフレーム13の外部接合領域13aに対応し、半導体チップ3bの出力電極3gに配線部材40aを介してそれぞれ接続されている。
【0074】
また、半導体チップ3a1の入力電極3hと半導体チップ3bの出力電極3gとの間に、配線領域11fとスペーサ43(並びに接合部材44)と配線部材40aとにより、スナバコンデンサが構成されている。
【0075】
なお、制御IC4aは、制御リードフレーム20a~20e,21にワイヤにより接続されている。制御IC4aは、制御リードフレーム20a~20e,21から入力される信号に応じて、ハイサイド側の半導体チップ3a1の制御電極3fに、また、ローサイド側の半導体チップ3bの制御電極3fにそれぞれ制御信号を入力する。
【0076】
接続点Pは、主電流リードフレーム11の外部接合領域11aに対応し、主電流リードフレーム11が半導体チップ3a2の入力電極3hに接続されている。主電流リードフレーム11の半導体チップ3a2の出力電極3gは配線部材41b及び主電流リードフレーム14を介して半導体チップ3cの入力電極3hに接続されている。
【0077】
接続点Vは、主電流リードフレーム14の外部接合領域14aに対応し、主電流リードフレーム14に半導体チップ3cの入力電極3hが接続されている。半導体チップ3cの入力電極3hと半導体チップ3a2の出力電極3gとは主電流リードフレーム14及び配線部材41bを介してそれぞれ接続されている。接続点N(V)は、主電流リードフレーム15の外部接合領域15aに対応し、半導体チップ3cの出力電極3gに配線部材40bを介してそれぞれ接続されている。
【0078】
また、半導体チップ3a2の入力電極3hと半導体チップ3cの出力電極3gとの間に、配線領域11fとスペーサ43(並びに接合部材44)と配線部材40aとにより、スナバコンデンサが構成されている。
【0079】
なお、制御IC4bは、制御リードフレーム20f~20j,21にワイヤにより接続されている。制御IC4bは、制御リードフレーム20f~20j,21から入力される信号に応じて、ハイサイド側の半導体チップ3a2の制御電極3fに、また、ローサイド側の半導体チップ3cの制御電極3fにそれぞれ制御信号を入力する。
【0080】
接続点Pは、主電流リードフレーム11の外部接合領域11aに対応し、主電流リードフレーム11が半導体チップ3a3の入力電極3hに接続されている。主電流リードフレーム11の半導体チップ3a3の出力電極3gは配線部材41c及び主電流リードフレーム16を介して半導体チップ3dの入力電極3hに接続されている。
【0081】
接続点Wは、主電流リードフレーム16の外部接合領域16aに対応し、主電流リードフレーム16に半導体チップ3dの入力電極3hが接続されている。半導体チップ3dの入力電極3hと半導体チップ3a3の出力電極3gとは主電流リードフレーム16及び配線部材41cを介してそれぞれ接続されている。接続点N(W)は、主電流リードフレーム17の外部接合領域17aに対応し、半導体チップ3dの出力電極3gに配線部材40cを介してそれぞれ接続されている。
【0082】
また、半導体チップ3a3の入力電極3hと半導体チップ3dの出力電極3gとの間に、配線領域11fとスペーサ43(並びに接合部材44)と配線部材40cとにより、スナバコンデンサが構成されている。
【0083】
なお、制御IC4bは、制御リードフレーム20k~20p,21にワイヤにより接続されている。制御IC4cは、制御リードフレーム20k~20p,21から入力される信号に応じて、ハイサイド側の半導体チップ3a3の制御電極3fに、また、ローサイド側の半導体チップ3dの制御電極3fにそれぞれ制御信号を入力する。
【0084】
ここで、参考例の半導体装置について
図7を用いて説明する。
図7は、参考例の半導体装置の封止体を除いた平面図である。なお、
図7は、半導体装置1000に対して封止体2を除いた平面図であって、半導体装置1の
図3に対応する。また、この場合も封止体2の位置を図示している。
【0085】
半導体装置1000は、主電流リードフレーム51~57と、複数の制御リードフレーム90と、絶縁シート30と、放熱板(図示を省略)と、半導体チップ60a1~60a3,60b~60dと、制御IC100,101とを含んでいる。さらに、半導体装置1000は、主電流ワイヤ71~76を含んでいる。また、制御IC100,101と半導体チップ60a1~60a3,60b~60dとは制御ワイヤ81~86により電気的かつ機械的に接続されている。半導体装置1000もまた、これらの構成が封止体2により封止されている。この際、
図7では、主電流ワイヤ71~76の接合部は白抜きの四角で示している。
【0086】
なお、主電流リードフレーム51~57は、封止体2の長側面2aから外側(-Y方向)に延伸している。制御リードフレーム90は、封止体2の長側面2cから外側(+Y方向)に延伸している。但し、図面では、主電流リードフレーム51~57及び複数の制御リードフレーム90の長側面2a,2cからのそれぞれの延伸部分の記載は省略している。また、主電流リードフレーム51~57と、複数の制御リードフレーム90とは、半導体装置1の含まれる主電流リードフレーム11~17と制御リードフレーム20a~20p,21と同じ材質、同じ厚さであってよい。また、絶縁シート30及び放熱板35は、半導体装置1に含まれるものと同様である。
【0087】
主電流リードフレーム51~54は、
図7に示されるように、短側面2dから短側面2bに向かって、順に設けられている。さらに、主電流リードフレーム55~57が、長側面2aに沿って、-X方向に向けて順に設けられている。また、主電流リードフレーム51~57の半導体チップ60a1~60a3,60b~60dが配置される領域は絶縁シート30上に配置されている。なお、半導体チップ60a1~60a3,60b~60dは、おもて面に制御電極61及び出力電極62を、裏面に入力電極(図示を省略)をそれぞれ含んでいる。
【0088】
主電流リードフレーム51上には、ハイサイド側の半導体チップ60a1~60a3が短側面2dから短側面2bに向かって順に設けられている。この際、半導体チップ60a1~60a3は、長側面2aに平行であって一直線状を成して配置されている。主電流リードフレーム52~54上には、ローサイド側の半導体チップ60b~60dがそれぞれ接合されている。
【0089】
半導体チップ60a1~60a3の裏面の入力電極は主電流リードフレーム51に接合されている。主電流リードフレーム51上の半導体チップ60a1~60a3の出力電極62は、主電流ワイヤ71~73を介して、主電流リードフレーム52~54にそれぞれ直接接続されている。
【0090】
半導体チップ60b~60dの裏面の入力電極は主電流リードフレーム52~54に接合されている。主電流リードフレーム52~54上の半導体チップ60b~60dの出力電極62は、主電流ワイヤ74~76を介して、主電流リードフレーム55~57にそれぞれ直接接続されている。
【0091】
制御IC100,101は、所定の制御リードフレーム90に配置されて、別の制御リードフレーム90にそれぞれ電気的に接続されている。制御IC100は、HVICである。制御IC100は、ハイサイド側の半導体チップ60a1~60a3の制御電極61にそれぞれ制御ワイヤ81~83により直接接続されている。制御IC101は、LVICである。制御IC101は、ローサイド側の半導体チップ60b~60dの制御電極61にそれぞれ制御ワイヤ84~86により直接接続されている。
【0092】
次に、上記の主電流リードフレーム51~57と、制御リードフレーム90と、主電流ワイヤ71~76と、半導体チップ60a1~60a3,60b~60dと、制御IC100,101とで、実現される回路構成について
図7並びに
図8を用いて説明する。
図8は、参考例の半導体装置の機能を実現する回路を示す等価回路図である。
【0093】
半導体装置1000は、
図8に示されるように、3相のインバータ回路部を含む。外部の直流電源の正極と負極とが高電位の接続点Pと低電位の接続点N(U),N(V),N(W)とにそれぞれ接続される。また、負荷が接続点U,V,Wに接続される。半導体チップ60a1~60a3及び半導体チップ60b~60dは制御IC100及び制御IC101から入力される制御信号に応じて接続点Pから入力された直流電流を変換し、接続点U,V,Wから3相交流として出力する。
【0094】
接続点Pは、主電流リードフレーム51の端部に対応し、主電流リードフレーム51を介して半導体チップ60a1~60a3の入力電極に接続されている。主電流リードフレーム51の半導体チップ60a1の出力電極62は主電流ワイヤ71及び主電流リードフレーム52を介して半導体チップ60bの入力電極に接続されている。
【0095】
接続点Uは、主電流リードフレーム52の端部に対応し、主電流リードフレーム52を介して半導体チップ60bの入力電極に接続されている。接続点Vは、主電流リードフレーム53の端部に対応し、主電流リードフレーム53を介して半導体チップ60cの入力電極と、主電流ワイヤ72を介して半導体チップ60a2の出力電極62とにそれぞれ接続されている。
【0096】
接続点Wは、主電流リードフレーム54の端部に対応し、主電流リードフレーム54を介して半導体チップ60dの入力電極と、主電流ワイヤ73を介して半導体チップ60a3の出力電極62とにそれぞれ接続されている。
【0097】
接続点N(U)は、主電流リードフレーム55の端部に対応し、半導体チップ60bの出力電極62に主電流ワイヤ74を介して接続されている。接続点N(V)は、主電流リードフレーム56の端部に対応し、半導体チップ60cの出力電極62に主電流ワイヤ75を介して接続されている。接続点N(W)は、主電流リードフレーム57の端部に対応し、半導体チップ60dの出力電極62に主電流ワイヤ76を介して接続されている。
【0098】
このような半導体装置1000では、スイッチングの切り替え時の単位時間当たりの電流が急激に変化すると、主電流ワイヤ71~75及び主電流リードフレーム51において配線インダクタンスに起因して、半導体チップ60a1~60a3,60b~60dは、逆起電圧が印加されて破壊してしまうおそれがある。
【0099】
例えば、定格電圧が600V、定格電流が30Aの半導体装置1000においてスイッチングの切り替え時の電流・電圧の計測を行った。これによれば、駆動電圧400Vで使用したところ、半導体装置1000の半導体チップ60a1の電圧値は、遮断時の電流変化(dt/dt)と主電流リードフレーム51及び主電流ワイヤ71の配線インダクタンスで発生する逆起電力とが重畳されるために、チップ耐圧の600Vを超える電圧の発生が計測された。この際、半導体チップ60a1が故障してしまい、半導体装置1000が機能しなくなってしまう。
【0100】
一方、半導体装置1では、ローサイド側の半導体チップ3b~3dの出力電極3gと正極の主電流リードフレーム11の配線領域11fとの間を絶縁性のスペーサ43を介して配線部材40a~40cにより接続している。すなわち、半導体チップ3a1~3a3の入力電極3hと半導体チップ3b~3dの出力電極3gとのそれぞれの間にスナバコンデンサが形成される。このため、半導体装置1では、主電流リードフレーム11と配線部材41a~41c,40a~40cにおける配線インダクタンスで発生する逆起電圧がスナバコンデンサで緩和される。このため、半導体チップ3a1~3a3,3b~3dに対する逆起電圧が緩和され、半導体チップ3a1~3a3,3b~3dの故障の発生が抑制される。
【0101】
上記の半導体装置1は、半導体チップ3a1と、主電流リードフレーム11と、半導体チップ3bと、主電流リードフレーム13と、配線部材40aとを含んでいる。半導体チップ3a1は、おもて面に設けられた出力電極3gと裏面に設けられた入力電極3hとを含む。主電流リードフレーム11は、半導体チップ3a1の入力電極3hが接合されたチップ領域11cと配線領域11fとを含む。半導体チップ3bは、おもて面に設けられた出力電極3gと裏面に設けられた入力電極3hとを含み、チップ領域11cの側部に隣接する。主電流リードフレーム13は、半導体チップ3bの出力電極3gと電気的に接続される。配線部材40aは、半導体チップ3bの出力電極3gに接続され、主電流リードフレーム11の配線領域11fに絶縁性のスペーサ43を介して接続される。この際、配線部材40a及びスペーサ43により、半導体チップ3a1の入力電極3hと半導体チップ3bの出力電極3gとの間にスナバコンデンサが構成される。このため、配線部材40a及び主電流リードフレーム11に配線インダクタンスで発生する逆起電力がスナバコンデンサで緩和されて、半導体チップ3a1,3bの耐圧破壊の発生が防止される。また、同様にして、半導体チップ3a2及び半導体チップ3cと、半導体チップ3a3及び半導体チップ3dとでも同様に耐圧破壊の発生が防止される。この結果、半導体装置1の信頼性の低下が防止される。
【0102】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、半導体装置1のスナバコンデンサの静電容量を変化させた場合について
図9を用いて説明する。
図9は、第2の実施の形態の半導体装置の封止体を除いた平面図である。なお、
図9の半導体装置1aは、
図3の半導体装置1と同一の構成には同一の符号を付している。また、
図9では、一部の符号を省略している。ここでも、参考までに、封止体2の位置を図示している。半導体装置1aに含まれる配線部材40a~40cは、半導体装置1のものと形状が異なっている。すなわち、半導体装置1aに含まれる配線部材40a~40cは、平面視で、主電流リードフレーム11の配線領域11fに対する重畳箇所に接合領域40a1~40c1が形成されている。
【0103】
配線部材40a~40cの接合領域40a1~40c1は、配線領域11fに沿って延伸している。すなわち、配線部材40a~40cは、平面視で、T字状を成している。なお、図示を省略しているものの、スペーサ43もまた配線部材40a~40cの接合領域40a1~40c1に対応して、配線領域11fに沿って設けられている。
【0104】
なお、
図9では、接合領域40a1~40c1が配線領域11fに沿って±X方向に延伸している場合を示している。接合領域40a1~40c1は、この場合に限らず、配線領域11fに沿って+X方向または-X方向に延伸してもよい。また、接合領域40a1~40c1の形状はそれぞれ異なっていてもよい。スペーサ43もまた配線部材40a~40cの接合領域40a1~40c1の形状に対応して設けられる。
【0105】
すなわち、半導体装置1aの配線部材40a~40cと主電流リードフレーム11の配線領域11fとの重畳する面積は、半導体装置1の配線部材40a~40cと主電流リードフレーム11の配線領域11fとの重畳する面積よりも広くなる。このため、半導体装置1aに構成されるスナバコンデンサの静電容量は、半導体装置1に構成されるスナバコンデンサの静電容量よりも大きくなる。したがって、第2の実施の形態の半導体装置1aは、第1の実施の形態の半導体装置1よりも逆起電圧の緩和効果が向上する。
【0106】
なお、半導体装置1に構成されるスナバコンデンサの静電容量を変化させるためには、第2の実施の形態のように配線部材40a~40cと主電流リードフレーム11の配線領域11fとの重畳する面積を変化させる場合に限らない。例えば、半導体装置1において、配線部材40a~40cの主電流リードフレーム11の配線領域11fとの重畳する部分を配線領域11fに近づかせても(場合によっては遠ざけても)よい。また、スペーサ43に、誘電率が高い材質を用いてもよい。または、上記の3つの場合を適宜組み合わせてもよい。
【0107】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、上記の参考例のリードフレームに対して、第1の実施の形態のようにスナバコンデンサを含ませた場合について説明する。以下、第3の実施の形態の半導体装置1bについて、
図10~
図12を用いて説明する。
図10は、第3の実施の形態の半導体装置の封止体を除いた平面図である。
図11は、第3の実施の形態の半導体装置に含まれるリードフレームの平面図である。
図12は、第3の実施の形態の半導体装置の封止体を除いた側面図である。なお、
図10及び
図11は、第1の実施の形態の
図3及び
図4に対応している。また、
図12は、第1の実施の形態の
図5に対応しており、
図10において、-X方向側の端部の側面図である。すなわち、
図12は、
図10において、短辺2b側から+X方向に見た側面図である。また、
図10~
図12でも、参考までに、封止体2の位置を図示している。
【0108】
半導体装置1bは、主電流リードフレーム51~57と、複数の制御リードフレーム90と、絶縁シート30と、放熱板35と、半導体チップ3a1~3a3,3b~3dと、制御IC100,101とを含んでいる。さらに、半導体装置1bは、配線部材45a~45cを含んでいる。また、制御IC100,101と半導体チップ3a1~3a3及び半導体チップ3b~3dとは制御ワイヤ81~83及び制御ワイヤ84~86により直接接続されている。なお、主電流リードフレーム51~57は、封止体2の長側面2aから外側(-Y方向)に延伸している。複数の制御リードフレーム90は、封止体2の長側面2cから外側(+Y方向)に延伸している。但し、図面では、主電流リードフレーム51~57及び複数の制御リードフレーム90の長側面2a,2cからのそれぞれの延伸部分の記載は省略している。
【0109】
主電流リードフレーム51~57は、第1の実施の形態の主電流リードフレーム11~17と同様の材質により構成されている。また、主電流リードフレーム51~57は、それぞれ、所定の距離以上、隙間が空いている。これにより、主電流リードフレーム51~57間の沿面距離が維持される。
【0110】
主電流リードフレーム51は、
図11に示されるように、外部接合領域51aと配線領域51bとチップ領域51cと配線領域51fとを一体的に含んでいる。なお、半導体チップ3a1~3a3は、チップ領域51cに接合部材44を介して接合される。
【0111】
外部接合領域51aは、平面視で封止体2の長側面2aの短側面2d近傍から外側(-Y方向)に延伸している。外部接合領域51aは、延伸途中で屈曲して、+Z方向に延伸してよい。
【0112】
配線領域51bは、外部接合領域51aとチップ領域51cとを一体的に接続している。配線領域51bは、外部接合領域51aから長側面2cに向かってチップ領域51cにまで延伸している。
【0113】
チップ領域51cは、3つの半導体チップ3a1~3a3が配置可能な面積を備える。なお、チップ領域51c内に記載されている破線の四角の領域は半導体チップ3a1~3a3の配置位置を示している。半導体チップ3a1~3a3は、チップ領域51cに接合部材44を介して接合される。半導体チップ3a1~3a3は、短側面2dから短側面2bに向かって配置される。配線領域51fは、チップ領域51cの長側面2c側から長側面2a,2cに平行に短側面2bに向けて延伸している。配線領域51fには、最も短側面2b側に位置するチップ領域54cまで延伸している。
【0114】
主電流リードフレーム52は、
図11に示されるように、外部接合領域52aと配線領域52bとチップ領域52cとを一体的に含んでいる。なお、チップ領域52c内に記載されている破線の四角の領域は半導体チップ3bの配置位置を示している。半導体チップ3bは、チップ領域52cに接合部材44を介して接合される。
【0115】
外部接合領域52aは、平面視で封止体2の長側面2aの外部接合領域51aに対して-X方向側の隣から外側(-Y方向)に延伸している。外部接合領域52aは、延伸途中で屈曲して、+Z方向に延伸してよい。
【0116】
配線領域52bは、外部接合領域52aとチップ領域52cとを一体的に接続している。配線領域52bは、外部接合領域52aから主電流リードフレーム51,53の間を通過してチップ領域52cに延伸している。チップ領域52cは、チップ領域51c,53cの間にチップ領域51c,53c及び配線領域51fに対して所定の隙間を空けて配置されている。
【0117】
主電流リードフレーム53は、
図11に示されるように、外部接合領域53aと配線領域53bとチップ領域53cとを一体的に含んでいる。なお、チップ領域53c内に記載されている破線の四角の領域は半導体チップ3cの配置位置を示している。半導体チップ3cは、チップ領域53cに接合部材44を介して接合される。
【0118】
外部接合領域53aは、平面視で封止体2の長側面2aの外部接合領域52aに対して-X方向側の隣から外側(-Y方向)に延伸している。外部接合領域53aは、延伸途中で屈曲して、+Z方向に延伸してよい。
【0119】
配線領域53bは、外部接合領域53aとチップ領域53cとを一体的に接続している。配線領域53bは、外部接合領域53aから主電流リードフレーム52,54の間を通過してチップ領域53cに延伸している。チップ領域53cは、チップ領域52c,54cの間にチップ領域52c,54c及び配線領域51fに対して所定の隙間を空けて配置されている。
【0120】
主電流リードフレーム54は、
図11に示されるように、外部接合領域54aと配線領域54bとチップ領域54cとを一体的に含んでいる。なお、チップ領域54c内に記載されている破線の四角の領域は半導体チップ3dの配置位置を示している。半導体チップ3dは、チップ領域54cに接合部材44を介して接合される。
【0121】
外部接合領域54aは、平面視で封止体2の長側面2aの外部接合領域53aに対して-X方向側の隣から外側(-Y方向)に延伸している。外部接合領域54aは、延伸途中で屈曲して+Z方向に延伸してよい。
【0122】
配線領域54bは、外部接合領域54aとチップ領域54cとを一体的に接続している。配線領域54bは、外部接合領域54aから主電流リードフレーム53,55の間を通過してチップ領域54cに延伸している。チップ領域54cは、チップ領域53cの隣にチップ領域53c及び配線領域51fに対して所定の隙間を空けて配置されている。
【0123】
主電流リードフレーム55は、
図11に示されるように、外部接合領域55aと配線領域55bとを一体的に含んでいる。外部接合領域55aは、平面視で封止体2の長側面2aの外部接合領域54aに対して-X方向側の隣から外側(-Y方向)に延伸している。外部接合領域55aは、延伸途中で屈曲して+Z方向に延伸してよい。配線領域55bは、外部接合領域55aに一体的に接続している。配線領域55bは、配線領域54bのチップ領域54cに隣接する部分の近くまで延伸し、所定の間隔を開けて配置されている。
【0124】
主電流リードフレーム56は、
図11に示されるように、外部接合領域56aと配線領域56bとを一体的に含んでいる。外部接合領域56aは、平面視で封止体2の長側面2aの外部接合領域55aに対して-X方向側の隣から外側(-Y方向)に延伸している。外部接合領域56aは、延伸途中で屈曲して+Z方向に延伸してよい。配線領域56bは、外部接合領域56aに一体的に接続している。配線領域56bは、配線領域54bのチップ領域54cに隣接する部分の近くまで延伸し、所定の間隔を開けて配置されている。
【0125】
主電流リードフレーム57は、
図11に示されるように、外部接合領域57aと配線領域57bとを一体的に含んでいる。外部接合領域57aは、平面視で封止体2の長側面2aの外部接合領域56aに対して-X方向側の隣から外側(-Y方向)に延伸している。外部接合領域57aは、延伸途中で屈曲して+Z方向に延伸してよい。配線領域57bは、外部接合領域57aに一体的に接続している。配線領域57bは、配線領域54bのチップ領域54cに隣接する部分の近くまで延伸し、所定の間隔を開けて配置されている。
【0126】
なお、主電流リードフレーム51~54の外部接合領域51a~54a及び主電流リードフレーム55~57は、チップ領域51c~54c及び配線領域51fよりも鉛直上方(+Z方向)に位置している。配線領域51b~54bは、傾斜して、外部接合領域51a~54aとチップ領域51c~54cとを接続している。
【0127】
絶縁シート30、放熱板35、半導体チップ3a1~3a3,3b~3dは、第1の実施の形態と同様の形状や材質、構造である。制御リードフレーム90は、第1の実施の形態の制御リードフレーム20a~20p,21と同様の材質、同様の厚さで構成されている。
【0128】
半導体チップ3a1~3a3は、主電流リードフレーム51のチップ領域51cに制御電極3fが長側面2c側を向いて配置されている。半導体チップ3a1~3a3の出力電極3gは、主電流ワイヤ71~73を介して、主電流リードフレーム52~54の配線領域52b~54bにそれぞれ直接接続されている。
【0129】
半導体チップ3b~3dは、主電流リードフレーム52~54のチップ領域52c~54cに制御電極3fが長側面2c側を向いて配置されている。半導体チップ3b~3dの出力電極3gは、主電流ワイヤ74~76を介して、主電流リードフレーム55~57の配線領域55b~57bにそれぞれ直接接続されている。
【0130】
また、配線部材45a~45cは、半導体チップ3b~3dの出力電極3gと主電流リードフレーム51の配線領域51fとに接続されている。この際、配線部材45a~45cの長側面2a側の一端部は、半導体チップ3b~3dの出力電極3gに対しては、接合部材44、スペーサ42、接合部材44を介して接合されている。配線部材45a~45cの長側面2c側の他端部は、主電流リードフレーム51の配線領域51fに対して、絶縁性のスペーサ43を介して接合されている。配線部材45a~45cは、第1の実施の形態の配線部材40a~40cと長さは異なるが、同じ材料、同じ厚さ、同じ形状を成している。
【0131】
複数の制御リードフレーム90は、
図10及び
図11に示されるように、平面視で、主電流リードフレーム51に対して長側面2c側にそれぞれ設けられている。制御IC100,101は、既述の通り、所定の制御リードフレーム90に配置されて、別の制御リードフレーム90にそれぞれ電気的に接続されている。制御IC100は、ハイサイド側の半導体チップ3a1~3a3の制御電極3fにそれぞれ制御ワイヤ81~83により直接接続されている。また、符号は省略するものの、制御IC100は、ハイサイド側の半導体チップ3a1~3a3の出力電極3gにそれぞれセンスワイヤにより直接接続されている。制御IC101は、ローサイド側の半導体チップ3b~3dの制御電極3fにそれぞれ制御ワイヤ84~86により直接接続されている。
【0132】
次に、上記の主電流リードフレーム51~57と、複数の制御リードフレーム90と、配線部材45a~45cと、半導体チップ3a1~3a3,3b~3dと、制御IC100,101とで実現される回路構成について
図10~
図12並びに
図13を用いて説明する。
図13は、第3の実施の形態の半導体装置の機能を実現する回路を示す等価回路図である。半導体装置1bの含まれる回路構成は、参考例の半導体装置1000の回路構成に対して、スナバコンデンサを含む。
【0133】
半導体装置1bは、
図13に示されるように、3相のインバータ回路部を含む。外部の直流電源の正極と負極とが高電位の接続点Pと低電位の接続点N(U),N(V),N(W)とにそれぞれ接続される。また、負荷が接続点U,V,Wに接続される。半導体チップ3a1~3a3及び半導体チップ3b~3dは制御IC100及び制御IC101から入力される制御信号に応じて接続点Pから入力された直流電流を変換し、接続点U,V,Wから3相交流として出力する。
【0134】
接続点Pは、主電流リードフレーム51の外部接合領域51aに対応し、主電流リードフレーム51を介して半導体チップ3a1~3a3の入力電極3hにそれぞれ接続されている。主電流リードフレーム51の半導体チップ3a1~3a3のそれぞれの出力電極3gは主電流ワイヤ71~73及び主電流リードフレーム52~54を介して半導体チップ3b~3dの入力電極3hに接続されている。
【0135】
接続点Uは、主電流リードフレーム52の外部接合領域52aに対応し、主電流リードフレーム52を通じて半導体チップ3bの入力電極3hと主電流ワイヤ71を介して半導体チップ3a1の出力電極3gとに接続されている。
【0136】
接続点N(U)は、主電流リードフレーム55の外部接合領域55aに対応し、主電流リードフレーム55及び主電流ワイヤ74を経由して、半導体チップ3bの出力電極3gに接続されている。
【0137】
また、半導体チップ3bの出力電極3gと半導体チップ3a1の入力電極3hとの間に、配線領域51fとスペーサ43と配線部材45aとにより、スナバコンデンサが構成されている。
【0138】
制御IC100は、複数の制御リードフレーム90にワイヤにより接続されている。制御IC100は、複数の制御リードフレーム90から入力される信号に応じて、ハイサイド側の半導体チップ3a1~3a3の制御電極3fにそれぞれ制御信号を入力する。
【0139】
接続点Vは、主電流リードフレーム53の外部接合領域53aに対応し、主電流リードフレーム53を通じて半導体チップ3cの入力電極3hと、主電流ワイヤ72を介して半導体チップ3a2の出力電極3gとにそれぞれ接続されている。接続点N(V)は、主電流リードフレーム56の外部接合領域56aに対応し、半導体チップ3cの出力電極3gに主電流ワイヤ75を介して接続されている。
【0140】
また、半導体チップ3cの出力電極3gと半導体チップ3a2の入力電極3hとの間に、配線領域51fとスペーサ43と配線部材45bとにより、スナバコンデンサが構成されている。
【0141】
接続点Wは、主電流リードフレーム54の外部接合領域54aに対応し、主電流リードフレーム54を通じて半導体チップ3dの入力電極3hと、主電流ワイヤ73を介して半導体チップ3a3の出力電極3gとにそれぞれ接続されている。接続点N(W)は、主電流リードフレーム57の外部接合領域57aに対応し、半導体チップ3dの出力電極3gに主電流ワイヤ76を介して接続されている。
【0142】
また、半導体チップ3dの出力電極3gと半導体チップ3a3の入力電極3hとの間に、配線領域51fとスペーサ43と配線部材45cとにより、スナバコンデンサが構成されている。
【0143】
なお、制御IC101は、複数の制御リードフレーム90にワイヤにより接続されている。制御IC101は、複数の制御リードフレーム90から入力される信号に応じて、ローサイド側の半導体チップ3b~3dの制御電極3fにそれぞれ制御信号を入力する。
【0144】
したがって、このような半導体装置1bでも、ローサイド側の半導体チップ3b~3dの出力電極3gと正極の主電流リードフレーム51の配線領域11fとの間を絶縁性のスペーサ43を介して配線部材45a~45cにより接続している。すなわち、半導体チップ3a1~3a3の入力電極3hと半導体チップ3b~3dの出力電極3gとのそれぞれの間にスナバコンデンサが形成される。このため、半導体装置1bでは、主電流リードフレーム51と主電流ワイヤ71~76における配線インダクタンスで発生する逆起電圧がスナバコンデンサで緩和される。このため、第1の実施の形態と比べると配線のインダクタンスが大きくなるため、必要なスナバコンデンサの容量が大きくなるが、半導体チップ3a1~3a3,3b~3dの耐圧破壊の発生が防止される。この結果、半導体装置1bの信頼性の低下が防止される。
【符号の説明】
【0145】
1,1a,1b 半導体装置
2 封止体
2a,2c 長側面
2b,2d 短側面
2e 上面
2f 下面
2g 締結部
3a1,3a2,3a3,3b,3c,3d 半導体チップ
3f 制御電極
3g 出力電極
3h 入力電極
4a,4b,4c 制御IC
11~17主電流リードフレーム
11a,12a,13a,14a,15a,16a,17a 外部接合領域
11b,11f,12b,13b,14b,15b,16b,17b 配線領域
11c~11e,12c,14c,16c チップ領域
20a~20p,21 制御リードフレーム
21a,21e 外部接合領域
21b~21d IC領域
30 絶縁シート
35 放熱板
40a~40c,41a~41c,45a~45c 配線部材
40a1~40c1 接合領域
42 スペーサ(導電性)
43 スペーサ(絶縁部材:誘電体)
44 接合部材
46a~46c センスワイヤ
47a~47c,48a~48c 制御ワイヤ
51~57 主電流リードフレーム
51a~57a 外部接合領域
51b~57b,51f 配線領域
51c~54c チップ領域
71~76 主電流ワイヤ
81~86 制御ワイヤ
90 制御リードフレーム
100,101 制御IC