(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094778
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】塗布具付き容器
(51)【国際特許分類】
A45D 33/00 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
A45D33/00 650D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211545
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
(57)【要約】
【課題】 容器本体の収納部に対する塗布具の取り出しなどを容易とした塗布具付き容器を創出することを課題とする。
【解決手段】 内容物を収容する内容物収容部13及び塗布具Pを収納する収納部Q並びに口筒部11を備えた容器本体10と、蓋体20と、を有し、前記収納部Qは、前記内容物収容部13の上端に設けられて前記塗布具Pを載置する載置部16と、前記塗布具Pを囲繞する載置外周壁17とを有して構成され、前記内容物収容部13は、その第2中心軸線O2が前記口筒部11の第1中心軸線O1に対して偏芯して形成されており、前記収納部Q内で且つ前記第1中心軸線O1に対し前記第2中心軸線O2と対向する位置に、前記載置外周壁17の一部を周方向及び径方向に間欠させて成る挿入部19を形成した構成とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する内容物収容部(13)及び塗布具(P)を収納する収納部(Q)並びに口筒部(11)を備えた容器本体(10)と、前記口筒部(11)に対して開閉可能に設けられた蓋体(20)と、を有する塗布具付き容器であって、
前記収納部(Q)は、前記内容物収容部(13)の上端に設けられて前記塗布具(P)を載置する載置部(16)と、該載置部(16)の径方向外側の位置に周設されて前記塗布具(P)を囲繞する載置外周壁(17)とを有して構成され、
前記内容物収容部(13)は、その第2中心軸線(O2)が前記口筒部(11)の第1中心軸線(O1)に対して偏芯して形成されており、
前記収納部(Q)内で且つ前記第1中心軸線(O1)に対し前記第2中心軸線(O2)と対向する位置に、前記載置外周壁(17)の一部を周方向及び径方向に間欠させて成る挿入部(19)が形成されていることを特徴とする塗布具付き容器。
【請求項2】
口筒部(11)と載置外周壁(17)との間に、口筒部(11)の上端から下方に位置する載置外周壁(17)の上端に向かって縮径状に形成されて成る案内部(18)が設けられている請求項1記載の塗布具付き容器。
【請求項3】
蓋体(20)の周壁部(22)の内周面に、容器本体(10)の口筒部(11)の外周面に形成された雄ネジ(11a)に螺合する雌ネジ(23)を形成すると共に、前記蓋体(20)の中心軸線を第1中心軸線(O1)に一致させている請求項1又は2記載の塗布具付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば化粧用パウダーなどの粉状の内容物を収容する容器として、内容物を収容する容器本体と、容器本体の口筒部を覆う蓋体と、口筒部に対して着脱自在に設けられたトレイ(収納部)とを備えた塗布具付き容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
これらの塗布具付き容器では、パフなどの塗布具が底部に孔を備えたトレイの内側に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の塗布具付き容器では、蓋体を開蓋状態とすることで、トレイ(収納部)の内側に収納されている塗布具の取り出しが可能となるが、塗布具の外縁部が容器本体の口筒部の内周面に接触し又は近接して配置される場合には、容器本体からの塗布具の取り出しなどの操作が困難になるという問題があった。
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、容器本体の収納部に対する塗布具の取り出しなどを容易とした塗布具付き容器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
内容物を収容する内容物収容部及び塗布具を収納する収納部並びに口筒部を備えた容器本体と、前記口筒部に対して開閉可能に設けられた蓋体と、を有する塗布具付き容器であって、
前記収納部は、前記内容物収容部の上端に設けられて前記塗布具を載置する載置部と、該載置部の径方向外側の位置に周設されて前記塗布具を囲繞する載置外周壁とを有して構成され、
前記内容物収容部は、その第2中心軸線が前記口筒部の第1中心軸線に対して偏芯して形成されており、
前記収納部内で且つ前記第1中心軸線に対し前記第2中心軸線と対向する位置に、前記載置外周壁の一部を周方向及び径方向に間欠させて成る挿入部が形成されていることを特徴とする、と云うものである。
本発明の主たる手段では、塗布具を収納部に収納した状態で、塗布具の側面と口筒部の内周面との間に挿入部を形成することができるため、塗布具を容易且つ確実に持ち上げて取り出すことができる。
【0006】
また本発明の他の手段は、上記主たる手段に、口筒部と載置外周壁との間に、口筒部の上端から下方に位置する載置外周壁の上端に向かって縮径状に形成されて成る案内部が設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、案内部が、塗布具を収納部内の載置部に導くための補助ガイドとして機能するため、塗布具を容易且つ確実に収納することができる。
【0007】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、蓋体の周壁部の内周面には、容器本体の口筒部の外周面に形成された雄ネジに螺合する雌ネジを形成すると共に、前記蓋体の中心軸線を第1中心軸線に一致させている、との手段を加えたものである。
上記手段では、蓋体による容器本体の閉塞を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、容器本体側の収納部に収納されている塗布具を容易且つ確実に取り出すことができる。
また塗布具を容易且つ確実に容器本体側の収納部に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施例として、閉蓋状態を示す塗布具付き容器の縦断面図である。
【
図2】(a)開蓋状態を示す塗布具付き容器の平面図、(b)はその縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
尚、以下においては、後述する第1中心軸線O1に沿う方向を軸方向、上下方向又は高さ方向と称し、第1中心軸線O1に直交する方向を径方向、第1中心軸線O1の周りを周回する方向を周方向、蓋開き方向又は蓋閉じ方向と称して説明する。
【0011】
図1乃至
図3に示すように、本発明の塗布具付き容器1は、パウダーやクリーム状などの化粧料などの内容物を収容する容器本体10と、容器本体10の口筒部11を閉塞可能に設けられた蓋体20とを有して合成樹脂材料によって形成されており、口筒部11の上端と蓋体20の内面との間にはシール部材30が配置されている。
【0012】
容器本体10は、上端に口筒部11が設けられた円筒状の外壁部12と、底壁14の外縁部から上方に向かって垂直に連設された内周壁15を有して有底筒状に形成された内容物収容部13と、内容物収容部13の上端に設けられた収納部Qとを有して一体に形成されている。また口筒部11の外周面には雄ネジ11aが螺旋状に周設されており、この雄ネジ11aの径方向の中心(口筒部11の中心でもある)を通る中心線が第1中心軸線O1である。尚、内容物収容部13を含め、塗布具付き容器1はその全体が上面視において円形状に形成されている。
【0013】
内容物収容部13は、第1中心軸線O1に対して若干ではあるが図示左方向に寄った位置に形成されており、内容物収容部13及び収納部Qの中心を通る第2中心軸線O2は第1中心軸線O1に対して図示左方向に偏芯している。この内容物収容部13には例えば粉末状又はクリーム状などの化粧料などの内容物が収容される。
【0014】
収納部Qは、内容物収容部13の上部(内周壁15の上縁部)に、第2中心軸線O2に対して同心円環状に形成されて塗布具Pを載置する載置部16と、この載置部16の径方向外側の位置に塗布具Pを囲繞可能に周設された載置外周壁17とを有して一体に形成されており、本実施例では載置外周壁17の上部に、口筒部11の上端から下方に位置する載置外周壁17の上端に向かって縮径状(断面傾斜状)に周設された案内部18が設けられている。
【0015】
更に収納部Q内で且つ第1中心軸線O1に対し第2中心軸線O2と対向する位置には、載置外周壁17及び載置外周壁17の上端から上方に向けて形成された案内部18の一部を周方向及び径方向に間欠させた空きスペースからなる挿入部19が設けられている。本実施例では、載置部16と挿入部19とは上面が段差なく径方向に連なっている。また、この構成に代えて、例えば載置部16と挿入部19との間に、挿入部19に指先を挿入した際に、塗布具Pに指が掛かる程度に載置部16が挿入部19に対して下方の位置に形成されていても良いし、載置部16の上面が挿入部19よりも上方の位置に形成されても良い。
【0016】
図1に示すように、蓋体20は円板状の天壁部21と、天壁部21の周縁部に垂下設された短筒状の周壁部22を有して一体に形成されており、周壁部22の内周面には容器本体10側の雄ネジ11aに螺合する雌ネジ23が周設されている。そして、本実施例では、天壁部21の下面に、例えばハイシートパッキン、ゴム又はエラストマーなどの弾性部材から構成されるシール部材30が固定されている。ただし、シール部材30に代えて、天壁部21の下面から下方に延び、口筒部11との間を密にシールするシール筒を設ける構成としても良い。
尚、天壁部21の中心を通る蓋体20の中心軸線は、雄ネジ11aの径方向の中心(口筒部11の中心)を通る第1中心軸線O1に一致している。
【0017】
塗布具Pは、例えばウレタンやNBR(ニトリルゴム)のような柔らかい素材によって略円板状に形成され、化粧料を吸着し使用者の顔面などに塗布するパフなどである。塗布具Pは、その外径寸法が載置外周壁17の内径寸法と同等か、小さい径寸法で形成されており、収納部Qの内側に収納可能となっている。
【0018】
上記構成から成る塗布具付き容器1では、
図1に示す閉蓋状態から蓋体20を第1中心軸線O1に対して蓋開き方向に回転させることにより、
図2(a)(b)に示す開蓋状態に設定することができ、また開蓋状態から蓋閉じ方向に回転させることにより蓋体20が口筒部11に螺合した閉蓋状態とすることができる。
【0019】
塗布具付き容器1の内部に塗布具Pが収納されている場合、塗布具Pは収納部Qの内側、すなわち第1中心軸線O1から図示左寄りに偏芯した第2中心軸線O2を中心とする円環状の載置部16に載置され且つ載置外周壁17の内側に収納されている。このため、使用者は、挿入部19内に、より詳しくは塗布具Pの図示右側面と口筒部11の内周面とが径方向に対向する空きスペース内に指先を挿入することが可能となっている。
【0020】
よって、使用者は挿入部19に指先を挿入し、続けて指先を径方向内側に屈曲させることにより、指先を載置部16と塗布具Pを間に容易に進入させることが可能となり、これにより塗布具Pを収納部Qから簡単且つ確実に持ち上げて取り出すことができる。
【0021】
また塗布具Pの収納は、塗布具Pを、収納部Qの上方から載置部16上に載置させることにより行うが、載置外周壁17の上部に縮径状に形成されている案内部18が塗布具Pを下方の載置部16に導く補助ガイドとして機能するため、塗布具Pを収納部Q内に容易且つ確実に収納することが可能である。
【0022】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【0023】
例えば、上記実施例では案内部18を縮径状に形成して塗布具Pを載置部16に導く補助ガイドとする場合を示して説明したが、案内部18を有しない構成とすることも可能である。この構成では案内部18を有しない分だけ第1中心軸線O1に対する第2中心軸線O2の偏芯量を大きくすることができ、結果としてより広い空きスペースからなる挿入部19を確保することが可能となるため、指が太い使用者であっても塗布具Pを容易に取り出すことができるようになる。
【0024】
また上記実施例では、内容物収容部13を含めて塗布具付き容器1の全体が上面視において円形状である場合を示して説明したが、内容物収容部13や収納部Qの形状は上面視円形状に限定されるものではない。また蓋体20と容器本体10とが螺合によって係止される場合には、各ネジ部(雄ネジ11a及び雌ネジ23)が形成される口筒部11の外周面及び蓋体20の内周面が共に円筒状に形成される構成であれば、容器本体10の外壁部12や蓋体20の外周面を例えば角筒形状など円筒状以外の形状としても良い。更に蓋体20と容器本体10とが、例えばヒンジ連結すると共にアンダーカット嵌合する構成とした場合には、口筒部11の外周面及び蓋体20の内周面を円筒状以外の形状とすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、塗布具付き容器の分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 :塗布具付き容器
10 :容器本体
11 :口筒部
11a :雄ネジ
12 :外壁部
13 :内容物収容部
14 :底壁
15 :内周壁
16 :載置部
17 :載置外周壁
18 :案内部
19 :挿入部
20 :蓋体
21 :天壁部
22 :周壁部
23 :雌ネジ
30 :シール部材
O1 :第1中心軸線
O2 :第2中心軸線
P :塗布具
Q :収納部