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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094785
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】物流容器検査用装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20240703BHJP
   G01N 21/90 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G01N21/84 C
G01N21/90 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211562
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】500321955
【氏名又は名称】日本パレットレンタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】竹野 洋介
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA07
2G051AB02
2G051CA04
2G051CA08
2G051DA07
(57)【要約】
【課題】 パレット等の物流容器の検査を適切に行う。
【解決手段】 物流容器検査用装置1は、物流容器100の検査に用いられる装置であって、物流容器100を鉛直方向の下方から支持すると共に搬送する搬送機構10と、搬送機構によって搬送される途中の物流容器100を当該搬送機構10から持ち上げる持上機構20と、持上機構20によって持ち上げられた物流容器を撮像可能な位置に位置決めして設けられると共に物流容器を撮像する撮像装置30とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物流容器の検査に用いられる物流容器検査用装置であって、
物流容器を鉛直方向の下方から支持すると共に搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送される途中の物流容器を当該搬送機構から持ち上げる持上機構と、
前記持上機構によって持ち上げられた物流容器を撮像可能な位置に位置決めして設けられると共に物流容器を撮像する撮像装置と、
を備える物流容器検査用装置。
【請求項2】
前記持上機構は、前記物流容器の向かい合う端部を支持して持ち上げるための爪を有する請求項1に記載の物流容器検査用装置。
【請求項3】
少なくとも1つの前記爪は、前記物流容器に接し得ると共に、当該物流容器を位置合わせするための当該物流容器に対して傾斜した面を有する請求項2に記載の物流容器検査用装置。
【請求項4】
前記撮像装置には、前記持上機構によって持ち上げられた物流容器を水平方向から撮像可能な位置に位置決めして設けられる撮像装置が含まれる請求項1~3の何れか一項に記載の物流容器検査用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット等の物流容器を検査する物流容器検査用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の搬送等に用いられるパレットは、通常、繰り返し用いられる。そのため、定期的又は使用の後にパレットが適切に使用可能であるかの検査が行われる。検査の方法の一つとして、パレットを撮像し、撮像によって得られた画像を用いて検査を行う方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-42193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パレットの検査のための撮像は、例えば、洗浄したパレットを搬送する際に行うことが考えられる。搬送の際にパレットを撮像することで、パレットを入れ替えながらの撮像を容易に行うことができる。しかしながら、搬送の際にパレットを撮像しようとすると、搬送用の装置の一部(例えば、装置のフレーム)によって死角となる部分ができ、画像に写らない部分が生じ、適切にパレットの検査を行えないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、パレット等の物流容器の検査を適切に行うことができる物流容器検査用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る物流容器検査用装置は、物流容器の検査に用いられる物流容器検査用装置であって、物流容器を鉛直方向の下方から支持すると共に搬送する搬送機構と、搬送機構によって搬送される途中の物流容器を当該搬送機構から持ち上げる持上機構と、持上機構によって持ち上げられた物流容器を撮像可能な位置に位置決めして設けられると共に物流容器を撮像する撮像装置と、を備える。
【0007】
本発明に係る物流容器検査用装置では、持上機構によって持ち上げられた物流容器が撮像装置によって撮像される。持上機構による持ち上げによって物流容器の位置を、撮像装置による撮像に適切な位置とすることができる。その結果、本発明に係る物流容器検査用装置によれば、物流容器の検査を適切に行うことができる。
【0008】
持上機構は、物流容器の向かい合う端部を支持して持ち上げるための爪を有することとしてもよい。この構成によれば、物流容器の位置を、撮像装置による撮像に適切な位置とするために、適切かつ確実に物流容器を持ち上げることができる。その結果、物流容器の検査を適切かつ確実に行うことができる。
【0009】
少なくとも1つの爪は、物流容器に接し得ると共に、当該物流容器を位置合わせするための当該物流容器に対して傾斜した面を有することとしてもよい。この構成によれば、撮像装置による撮像のために物流容器の位置合わせすることができる。その結果、物流容器の検査を更に適切に行うことができる。
【0010】
撮像装置には、持上機構によって持ち上げられた物流容器を水平方向から撮像可能な位置に位置決めして設けられる撮像装置が含まれることとしてもよい。この構成によれば、撮像装置による物流容器の水平方向からの撮像を適切に行うことができる。その結果、物流容器の検査を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によればパレット等の物流容器の検査を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る物流容器検査用装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る物流容器検査用装置の構成を示す図である。
図3】パレットの持ち上げを行わずに撮像を行う場合の構成を示す図である。
図4】パレットの持ち上げを行わずに撮像を行う場合の構成を示す図である。
図5】パレットの持ち上げを行わずに撮像を行った場合のパレットの画像の例を示す図である。
図6】持上機構の爪の例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る物流容器検査用装置で取得されるパレットの画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面と共に本発明に係る物流容器検査用装置の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0014】
図1及び図2に、本実施形態に係る物流容器検査用装置1を示す。物流容器検査用装置1は、物流容器の検査に用いられる装置である。本実施形態では、検査対象である物流容器はパレット100である。パレット100は、物品を積載して拠点間の輸送等に用いられる。検査対象であるパレット100は、例えば以下のような従来のパレットでよい。パレット100は、概ね直方体の形状である。パレット100は、物品を積載する、最も広い面である積載面100aを有している。また、パレット100は、フォークリフトのフォークの抜き差し等が行われる孔101が設けられている。なお、検査対象である物流容器はパレット100以外の物流容器であってもよい。
【0015】
上述したようにパレット100は、通常、繰り返し用いられる。使用時等にパレット100が破損すると、次回のパレット100の使用に支障が生じる。物流容器検査用装置1を用いたパレット100の検査は、パレット100が適切に使用可能であるかを検査するものである。物流容器検査用装置1を用いたパレット100の検査は、例えば、定期的又はパレット100の使用の後に行われる。但し、物流容器検査用装置1を用いたパレット100の検査は、上記以外の目的で行われてもよい。
【0016】
詳細には後述するように物流容器検査用装置1は、検査対象のパレット100を撮像する。撮像によって得られたパレット100の画像が用いられて検査が行われる。パレット100の画像を用いた検査は、従来と同様に行われればよい。例えば、パレット100の画像を用いた検査は、コンピュータによる画像解析によって行われる。また、物流容器検査用装置1は、後述する構成に加えてパレット100の画像からパレット100を検査する機構を有していてもよい。
【0017】
物流容器検査用装置1を用いたパレット100の検査は、例えば、パレット100の洗浄後に行われる。洗浄後に検索を行うことで適切な検査を行うことができる。この場合、物流容器検査用装置1は、パレットを洗浄する装置に接続されて設けられていてもよい。但し、物流容器検査用装置1を用いたパレット100の検査は、上記以外の任意の状況で行われてもよい。
【0018】
引き続いて、本実施形態に係る物流容器検査用装置1の構成を説明する。図1に示すように物流容器検査用装置1では、パレット100は予め定められた方向Dに搬送される。パレット100の搬送は、パレット100の積載面100aが鉛直方向の上方を向いた状態で水平方向に行われる。この際、パレット100の積載面100aが鉛直方向の下方を向いた状態であってもよい。また、パレット100に設けられる孔101は、パレット100の搬送方向Dとは垂直な方向とされる。従って、孔101の開口部は、パレット100の搬送方向Dの側面側に位置する。図1は、物流容器検査用装置1をパレット100の搬送方向Dの側方から見た図である。図2は、物流容器検査用装置1をパレット100の搬送方向Dの正面から見た図である。
【0019】
図1に示すように物流容器検査用装置1は、搬送機構10と、持上機構20と、撮像装置30(撮像装置30a~30eの総称)とを備える。
【0020】
搬送機構10は、物流容器を鉛直方向の下方から支持すると共に搬送する機構である。本実施形態では、搬送機構10は、例えば以下の構成を取る。搬送機構10は、チェーンコンベアである。搬送機構10は、図示しない2つのローラーチェーンと、それぞれのローラーチェーンと組み合わせられるスプロケット11を備える。ローラーチェーンは、パレット100を鉛直方向の下方から支持し(即ち、パレット100がローラーチェーンに載せられて)、パレット100が搬送方向Dに移動するように駆動する。
【0021】
ローラーチェーン及びスプロケット11は、パレット100を搬送方向Dに搬送できる位置に配置される。1つのローラーチェーンに対して2つのスプロケット11が、パレット100を搬送方向D(図1の左右方向、図2の奥行方向)において離れて設けられる。1つのローラーチェーンは、2つのスプロケット11に組み合わせられて、2つのスプロケット11を両端として周状となる。周状のローラーチェーンの鉛直方向の上部の部分は、パレット100の搬送方向Dに延びている。2つのローラーチェーンが、パレット100の搬送が行えるように一定の間隔を空けて並べて設けられる。
【0022】
2つのローラーチェーンの鉛直方向の上部の部分は、その部分に載せられたパレット100を鉛直方向の下方から支持すると共に当該搬送方向Dに搬送する。ローラーチェーンには、組み合わせられたスプロケット11の少なくとも1つから動力が伝達されて、当該動力によってローラーチェーンは、上に載せられたパレット100を搬送するように駆動する。
【0023】
また、搬送機構10は、2つのローラーチェーンに対応する2つのフレーム12を備える。フレーム12は、ローラーチェーンの保護等のために、ローラーチェーンのパレット100を搬送する部分に設けられる部材である。フレーム12は、ローラーチェーンの当該部分に延びる細長い形状である。
【0024】
また、搬送機構10は、2つのガイド13を備える。ガイド13は、ローラーチェーンによってパレット100が搬送される際に、パレット100の側方への移動を防止する部材である。2つのガイド13はそれぞれ、ローラーチェーンに載せられるパレット100の両側面の位置に、パレット100の搬送方向Dに沿うと共にパレット100の幅の間隔を空けて設けられる。
【0025】
ここで、上記の搬送機構10でパレット100が支持されている際に、パレット100の検査のためにパレット100を撮像する場合に生じる問題を説明する。図3及び図4は、それぞれ図1及び図2に対応する説明用の図であり、本実施形態の持上機構20を備えない従来の物流容器検査用装置の例を示している。この物流容器検査用装置では、パレット100の撮像のために、例えば、搬送機構10に対して図3及び図4に示すように撮像装置130(撮像装置130a~130eの総称)が、予め位置決めして設けられる。図3及び図4において、撮像装置130から出ている線は、撮像装置130の撮像方向及び撮像範囲を示している。
【0026】
撮像装置130aは、パレット100の上面(例えば、パレット100の積載面100a)を撮像するための撮像装置である。撮像装置130bは、パレット100の下面(例えば、パレット100の積載面100aに対する裏面100b)を撮像するための撮像装置である。撮像装置130cは、パレット100の搬送方向Dの前面100cを撮像するための撮像装置である。撮像装置130dは、パレット100の搬送方向Dの後面100dを撮像するための撮像装置である。撮像装置130eは、パレット100の側面(孔101の開口を有する面)100eを撮像するための撮像装置である。
【0027】
各撮像装置130a~130eは、撮像するパレット100の面毎に面全体を撮像できるように配置する位置を変えて複数設けられていてもよい。例えば、図3及び図4に示す例では、撮像するパレット100の面毎に2つの撮像装置130a~130eが設けられる。
【0028】
図5に撮像装置130によって撮像されるパレット100の画像の例を示す。図5(a)は、撮像装置130bによって撮像されるパレット100の下面(例えば、上記の裏面100b)の画像である。図5(a)に示すように、この画像には、搬送機構10のフレーム12が写り込んでしまい、パレット100におけるフレーム12の後ろの部分が死角となる。
【0029】
図5(b)は、撮像装置130cによって撮像されるパレット100の搬送方向Dの前面100cの画像である。パレット100の搬送の妨げになるため、パレット100の搬送方向Dの正面の位置には、撮像装置130cを配置することはできない。そのため、図3及び図4に示すように、撮像装置130cは、例えば、パレット100の位置と鉛直方向にずらした位置(例えば、上方)に設けられる。このため、図5(b)に示すように撮像されるパレット100の搬送方向Dの前面100cは、本来の形状の矩形とはならず、台形となってしまう。なお、図5(b)は、2つの撮像装置130cによって撮像された部分毎のパレット100の搬送方向Dの前面100cの画像を繋ぎ合わせたものであるため、2つの台形となっている。また、撮像装置130dによって撮像されるパレット100の搬送方向Dの後面100dの画像も同様である。
【0030】
図5(c)は、撮像装置130eによって撮像されるパレット100の側面100eの画像である。図5(c)に示すように、この画像には、搬送機構10のガイド13が写り込んでしまい、パレット100におけるガイド13の後ろの部分が死角となる。
【0031】
上記の通り、上記の搬送機構10でパレット100が支持されている際に撮像されるパレット100の画像は、死角ができたり、正面から撮像されないものになったりする。このような画像を用いると、適切にパレット100の検査を行えないおそれがある。本実施形態に係る物流容器検査用装置1は、適切にパレット100の検査を行うことができる画像を取得するためのものである。
【0032】
なお、上記の搬送機構10は、パレット100の搬送に用いられる従来の搬送機構であってもよい。また、搬送機構10は、パレット100を鉛直方向の下方から支持すると共に搬送するものであれば、上記以外の構成であってもよい。
【0033】
持上機構20は、搬送機構10によって搬送される途中の物流容器を当該搬送機構10から持ち上げる機構である。持上機構20は、物流容器の向かい合う端部を支持して持ち上げるための爪を有していてもよい。少なくとも1つの爪は、物流容器に接し得ると共に、当該物流容器を位置合わせするための当該物流容器に対して傾斜した面を有していてもよい。
【0034】
持上機構20は、搬送機構10によって搬送される途中のパレット100を、予め決められた位置で、搬送機構10から離れるように鉛直方向上方に持ち上げるものである。持上機構20による持ち上げは、撮像されるパレット100の画像の死角をできるだけ小さくし、また、パレット100を正面から撮像可能とするために行われる。
【0035】
持上機構20は、パレット100の向かい合う端部を支持して持ち上げる。持上機構20は、複数の爪21と当該爪21に接続されるシリンダ22とを有する。爪21は、搬送機構10によって支持されているパレット100の下面(例えば、上記の裏面100b)の端部を、鉛直方向下方から支持する面を有する。シリンダ22は、爪21を上下に駆動させる装置である。シリンダ22としては、例えば、圧力又は電動で動作する従来のアクチュエータを用いることができる。
【0036】
図1及び図2に実線で示すパレット100は、持上機構20によって持ち上げられた状態のパレット100である。なお、図2には、持上機構20のシリンダ22を示していない。図1及び図2に一点鎖線で示すパレット100は、持上機構20によって持ち上げられておらず、搬送機構10によって支持された状態のパレット100である。
【0037】
持上機構20は、パレット100の搬送方向Dの前後方向の端部を支持して、予め決められた高さまでパレット100を持ち上げる。そのため、爪21及びシリンダ22は、搬送機構10によってパレット100が搬送される途中の位置に、パレット100の搬送方向Dの前後方向にパレット100の長さの間隔を空けて位置決めして設けられる。
【0038】
爪21は、パレット100を確実に支持できるように、パレット100の幅方向に複数(例えば、2つ)設けられていてもよい。例えば、シリンダ22に複数に枝分かれした爪21が設けられてもよい。あるいは、複数の爪21毎にシリンダ22が接続されていてもよい。
【0039】
図6に爪21を示す。図6は、図1と同様の方向から見た図である。爪21は、パレット100に接する面として、水平な面21aと、水平な面の外側に続くと共にパレット100に対して傾斜した傾斜面21bを有する。傾斜面21bは、外側に行くほど高くなっている。水平な面21aは、パレット100を持ち上げる際にパレット100を支持する面である。傾斜面21bは、パレット100を位置合わせするための面である。傾斜面21bによる位置合わせは、パレット100の搬送方向Dの前後方向の位置合わせである。なお、パレット100の搬送方向Dの側面方向は搬送機構10のガイド13によって位置合わせがなされている。
【0040】
パレット100の搬送方向Dの前後方向に設けられる爪21は、シリンダ22によって同時に持ち上げられる。パレット100が位置合わせされた状態は、図6(b)に示すように、パレット100が、爪21の水平な面21aでのみ支持された状態である。パレット100が、持上機構20に対して搬送方向Dの前後方向にずれていると、図6(a)に示すように、パレット100の端部が、一方の爪21の傾斜面21bに接する。その状態で爪21がシリンダ22によって持ち上げられると、傾斜面21bによる傾斜によってパレット100は水平な面21aに移動し、図6(b)に示すように、パレット100が、爪21の水平な面21aでのみ支持された状態となる。
【0041】
上記の構成では、傾斜面21bは、両側の爪21に設けられているが、位置合わせが可能であれば、傾斜面21bは、一方の爪21のみに設けられていてもよい。
【0042】
パレット100を、持上機構20によって持ち上げられる位置に大まかに位置決めするため、搬送機構10に、搬送中のパレット100の搬送を当該位置で機械的に停止させるストッパ等の機構を設けておいてもよい。
【0043】
なお、持上機構20の構成は、搬送機構10によって搬送される途中のパレット100を当該搬送機構10から持ち上げるものであれば、上記以外の構成であってもよい。例えば、持上機構20を支持する位置は、パレット100の搬送方向Dの前後方向の端部ではなく、側面の端部等であってもよい。
【0044】
撮像装置30は、持上機構20によって持ち上げられた物流容器を撮像可能な位置に位置決めして設けられると共に物流容器を撮像する装置である。撮像装置30には、持上機構20によって持ち上げられた物流容器を水平方向から撮像可能な位置に位置決めして設けられる撮像装置が含まれていてもよい。
【0045】
撮像装置30は、例えば、従来のパレット100の検査のための撮像に用いられるカメラである。図1及び図2に示すように撮像装置30は、持上機構20によって持ち上げられたパレット100を撮像できる位置に予め位置決めして設けられる。図1及び図2において、撮像装置30から出ている線は、撮像装置30の撮像方向及び撮像範囲を示している。
【0046】
撮像装置30は、検査対象のパレット100の面毎に設けられる。撮像装置30aは、パレット100の上面(例えば、パレット100の積載面100a)を撮像するための撮像装置である。撮像装置30bは、パレット100の下面(例えば、上記の裏面100b)を撮像するための撮像装置である。撮像装置30cは、パレット100の搬送方向Dの前面100cを撮像するための撮像装置である。撮像装置30dは、パレット100の搬送方向Dの後面100dを撮像するための撮像装置である。撮像装置30eは、パレット100の側面(孔101の開口を有する面)100eを撮像するための撮像装置である。
【0047】
各撮像装置30a~30eは、撮像するパレット100の面毎に面全体を撮像できるように配置する位置を変えて複数設けられていてもよい。例えば、図1及び図2に示す例では、撮像するパレット100の面毎に2つの撮像装置30a~30eが設けられる。パレット100の搬送方向Dの前面100c、後面100d及び側面100eを撮像する撮像装置30c~30eは、持上機構20によって持ち上げられたパレット100の位置と同程度の鉛直方向の、パレット100を水平方向の正面から撮像可能な位置に設けられる。
【0048】
撮像装置30は、持上機構20によって持ち上げられたパレット100を撮像して、パレット100の画像を取得する。上述したようにパレット100の画像は、パレット100の検査に用いられる。例えば、撮像装置30は、取得した画像を、パレット100の画像からパレット100を検査する機構に出力する。
【0049】
図7に撮像装置30(本実施形態に係る物流容器検査用装置1)によって撮像されるパレット100の画像の例を示す。図7(a)は、撮像装置30aによって撮像されるパレット100の下面(例えば、上記の裏面100b)の画像である。図5(a)に示す画像とは異なり、図7(a)に示すようにこの画像には、搬送機構10のフレーム12が写り込んでいない。この画像には、パレット100の端部に持上機構20の爪21が写っているものの、フレーム12が写り込んでいる図5(a)に示す画像と比べて、パレット100における死角の部分が大幅に減少している。
【0050】
図7(b)は、撮像装置30cによって撮像されるパレット100の搬送方向Dの前面100cの画像である。上述したように、撮像装置30cは、持上機構20によって持ち上げられたパレット100の正面の位置に設けられる。従って、図7(b)に示すように撮像されるパレット100の搬送方向Dの前面100cは、本来の形状の矩形となる。また、撮像装置30dによって撮像されるパレット100の搬送方向Dの後面100dの画像も同様である。
【0051】
図7(c)は、撮像装置30eによって撮像されるパレット100の側面100eの画像である。図5(b)に示す画像とは異なり、図7(c)に示すように、この画像では搬送機構10のガイド13がパレット100と重畳する位置にならず、パレット100における死角の部分がない。このように本実施形態に係る物流容器検査用装置1は、適切にパレット100の検査を行うことができる画像を取得できる。
【0052】
なお、撮像装置30は、持上機構20によって持ち上げられたパレット100を撮像可能な位置に位置決めして設けられればよく、上記以外の構成であってもよい。例えば、撮像装置30は、上記のパレット100の全ての面を撮像できる位置に配置されなくてもよく、上記のパレット100の一部の面のみを撮像できる位置に配置されてもよい。
【0053】
また、物流容器検査用装置1は、上述した構成10~30に加えて、パレット100の撮像をより適切に行うための構成を備えていてもよい。例えば、物流容器検査用装置1は、持上機構20によって持ち上げられると共に撮像装置30によって撮像されるパレット100を照らす照明を備えていてもよい。以上が、本実施形態に係る物流容器検査用装置1の構成である。
【0054】
引き続いて、本実施形態に係る物流容器検査用装置1の動作を説明する。まず、検査対象となるパレット100が搬送機構10に載せられると、搬送機構10によってパレット100が鉛直方向の下方から支持されると共に搬送される。パレット100が搬送されて予め決められた位置までくると、持上機構20によってパレット100が搬送機構10から持ち上げられる。持ち上げられたパレット100は、撮像装置30によって撮像される。撮像によって得られたパレット100の画像は、パレット100の検査に用いられる。以上が、本実施形態に係る物流容器検査用装置1の動作である。
【0055】
本実施形態では、持上機構20による持ち上げによってパレット100の位置を、撮像装置30による撮像に適切な位置とすることができる。これによって、例えば、上述したようにパレット100の画像の死角を減少又は無くすことができる。あるいは、画像のパレット100の形状を矩形等の適切なものとすることができる。その結果、本実施形態によれば、パレット100の検査を適切に行うことができる。
【0056】
また、本実施形態のように持上機構20は、パレット100の向かい合う端部を支持して持ち上げるための爪21を有していてもよい。この構成によれば、パレット100の位置を、撮像装置30による撮像に適切な位置とするために、適切かつ確実にパレット100を持ち上げることができる。その結果、パレット100の検査を適切かつ確実に行うことができる。
【0057】
また、本実施形態のように爪21は、パレット100に接し得ると共に、パレット100を位置合わせするための当該パレット100に対して傾斜した面21bを有していてもよい。この構成によれば、撮像装置30による撮像のためにパレット100の位置合わせすることができる。これによって、撮像装置30による撮像の際にパレット100の位置をずれがないものとすることができ、パレット100の画像を更に適切なものとすることができる。その結果、パレット100の検査を更に適切に行うことができる。但し、爪21の形状は必ずしも上記である必要はない。また、持上機構20は、パレット100を持ち上げることができる構成であれば、爪21を有している必要はない。
【0058】
また、本実施形態のように撮像装置30には、持上機構20によって持ち上げられたパレット100を水平方向から撮像可能な位置に位置決めして設けられる撮像装置30c~30eが含まれていてもよい。この構成によれば、撮像装置30c~30eによるパレット100の水平方向からの撮像を適切に行うことができる。例えば、上述したように画像のパレット100の形状を矩形等の適切なものとすることができる。その結果、パレット100の検査を適切に行うことができる。
【0059】
本開示の物流容器検査用装置は、以下の構成を有する。
[1] 物流容器の検査に用いられる物流容器検査用装置であって、
物流容器を鉛直方向の下方から支持すると共に搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送される途中の物流容器を当該搬送機構から持ち上げる持上機構と、
前記持上機構によって持ち上げられた物流容器を撮像可能な位置に位置決めして設けられると共に物流容器を撮像する撮像装置と、
を備える物流容器検査用装置。
[2] 前記持上機構は、前記物流容器の向かい合う端部を支持して持ち上げるための爪を有する[1]に記載の物流容器検査用装置。
[3] 少なくとも1つの前記爪は、前記物流容器に接し得ると共に、当該物流容器を位置合わせするための当該物流容器に対して傾斜した面を有する[2]に記載の物流容器検査用装置。
[4] 前記撮像装置には、前記持上機構によって持ち上げられた物流容器を水平方向から撮像可能な位置に位置決めして設けられる撮像装置が含まれる[1]~[3]の何れかに記載の物流容器検査用装置。
【符号の説明】
【0060】
1…物流容器検査用装置、10…搬送機構、11…スプロケット、12…フレーム、13…ガイド、20…持上機構、21…爪、22…シリンダ、30(30a~30e)…撮像装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7