(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094797
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】計量キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/22 20060101AFI20240703BHJP
B65D 83/04 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B65D47/22
B65D83/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211582
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】神村 千秋
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB07
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CB04
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA09
3E084FC07
3E084GA08
3E084GB12
3E084HD01
3E084KB10
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC02
3E084LE20
(57)【要約】
【課題】簡易な操作で所定量の粒状物を精度よく計量して取り出すこと。
【解決手段】中栓部材2と取出筒4とを備え、中栓部材は、通過孔3が形成された閉塞壁部11を備え、閉塞壁部は、弾性連結部17を介して装着筒部10に連結された複数の分割壁20を備え、分割壁は通過孔への粒状物の進入を規制する規制部21と作動爪部22とをそれぞれ有し、取出筒は中栓部材に対して下方移動したときに分割壁を押下げる押下部34を有し、分割壁は、押下部による押下げによって通過孔への粒状物の進入が規制された規制位置P1から、通過孔への粒状物の進入を許容し且つ通過孔を通過した粒状物を作動爪部で保持する保持位置に切り換わり、作動爪部には、規制位置から保持位置への分割壁の移行に伴って突起片(当接片)51を変位しながら乗り越えると共に、乗り越え時に突起片によって弾かれる弾性突起片(弾性当接片)50が形成されている計量キャップ1を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物が収容された容器本体の口部に装着される中栓部材と、
前記中栓部材よりも上方に配置されると共に前記中栓部材に対して上下動可能とされ、粒状物が内側を通過する取出筒と、を備え、
前記中栓部材は、
前記容器本体の口部に装着される装着筒部と、
前記装着筒部よりも径方向の内側に配置されると共に、前記容器本体内と前記取出筒内とを連通し、且つ粒状物が内側を通過可能な通過孔が形成された閉塞壁部と、を備え、
前記閉塞壁部は、前記通過孔の中心軸線回りに間隔をあけて配置されると共に、弾性連結部を介して前記装着筒部に連結された複数の分割壁を備え、
複数の前記分割壁は、
前記容器本体内から前記通過孔への粒状物の進入を規制する規制部と、
前記規制部よりも上方に配置されると共に、上方に向けて延び、且つ前記取出筒の内側に配置された作動爪部とをそれぞれ有し、
前記取出筒は、前記中栓部材に対して下方移動したときに、複数の前記分割壁を下方に向けて押下げて、前記弾性連結部を弾性変位させる押下部を有し、
複数の前記分割壁は、前記押下部による押下げによって、前記規制部による前記通過孔への粒状物の進入が規制された規制位置から、前記弾性連結部の弾性変位に伴って前記作動爪部の上端部が互いに接近するように変位して、前記通過孔への粒状物の進入を許容し、且つ前記通過孔を通過した粒状物を前記作動爪部で保持する保持位置に切り換わり、
前記作動爪部の上端部には、前記規制位置から前記保持位置への前記分割壁の移行に伴って、前記取出筒に形成された当接片を変位しながら乗り越えると共に、乗り越え時に前記当接片によって弾かれる弾性当接片が形成されている、計量キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の計量キャップにおいて、
前記取出筒の内周面には、径方向の内側及び下方に向けて開口した収容凹部が形成され、
前記作動爪部は、前記分割壁が前記規制位置に位置しているときに、前記収容凹部内に収容され、
前記当接片は、前記収容凹部を画成する壁面のうち下方を向いた上壁から下方に向けて延びるように形成され、前記弾性当接片よりも径方向の内側に配置されている、計量キャップ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の計量キャップにおいて、
前記容器本体の口部、又は前記装着筒部には、連結筒部が装着され、
前記取出筒及び前記連結筒部は、弾性変形可能に形成され、且つ前記取出筒を下方移動可能に支持する連結部を介して互いに連結されている、計量キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、容器本体内から所定量の粒状物を計量して取り出すことができる計量キャップが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の計量キャップでは、簡易な操作で所定量の粒状物を精度よく計量して取り出すことが困難であり、使用性に課題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡易な操作で所定量の粒状物を精度よく計量して取り出すことができる計量キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る計量キャップは、粒状物が収容された容器本体の口部に装着される中栓部材と、前記中栓部材よりも上方に配置されると共に前記中栓部材に対して上下動可能とされ、粒状物が内側を通過する取出筒と、を備え、前記中栓部材は、前記容器本体の口部に装着される装着筒部と、前記装着筒部よりも径方向の内側に配置されると共に、前記容器本体内と前記取出筒内とを連通し、且つ粒状物が内側を通過可能な通過孔が形成された閉塞壁部と、を備え、前記閉塞壁部は、前記通過孔の中心軸線回りに間隔をあけて配置されると共に、弾性連結部を介して前記装着筒部に連結された複数の分割壁を備え、複数の前記分割壁は、前記容器本体内から前記通過孔への粒状物の進入を規制する規制部と、前記規制部よりも上方に配置されると共に、上方に向けて延び、且つ前記取出筒の内側に配置された作動爪部とをそれぞれ有し、前記取出筒は、前記中栓部材に対して下方移動したときに、複数の前記分割壁を下方に向けて押下げて、前記弾性連結部を弾性変位させる押下部を有し、複数の前記分割壁は、前記押下部による押下げによって、前記規制部による前記通過孔への粒状物の進入が規制された規制位置から、前記弾性連結部の弾性変位に伴って前記作動爪部の上端部が互いに接近するように変位して、前記通過孔への粒状物の進入を許容し、且つ前記通過孔を通過した粒状物を前記作動爪部で保持する保持位置に切り換わり、前記作動爪部の上端部には、前記規制位置から前記保持位置への前記分割壁の移行に伴って、前記取出筒に形成された当接片を変位しながら乗り越えると共に、乗り越え時に前記当接片によって弾かれる弾性当接片が形成されている。
【0007】
本発明に係る計量キャップによれば、中栓部材に対して取出筒を押下げ操作する前段階では、中栓部材の複数の分割壁が規制位置に位置しているので、規制部を利用して通過孔への粒状物の進入を規制することができる。そのため、例えば取出筒の開口部が上方を向いた正立姿勢から下方を向いた倒立姿勢にした場合であっても、粒状物が意図せずに外部に排出されてしまうことを防止することができる。
【0008】
粒状物を取り出す場合には、例えば容器本体を倒立姿勢にした状態で中栓部材に対して取出筒を押下げ操作する。これにより、取出筒の押下部を利用して、弾性連結部を弾性変位させながら複数の分割壁を下方に向けて押下げることができる。これにより、作動爪部の上端部が互いに接近するように複数の分割壁を変位させることができ、複数の分割壁を規制位置から保持位置に切り換えることができる。複数の分割壁を保持位置に位置させることで、容器本体内から通過孔への粒状物の進入を許容することができ、且つ通過孔を通過した粒状物を複数の作動爪部で保持することができる。従って、所定量の粒状物を計量することができる。
【0009】
計量後、中栓部材に対する取出筒の押下げ操作を解除することで、弾性連結部による弾性復元力を利用して、複数の分割壁を保持位置から規制位置に復元移動させることができる。すると、これに伴って作動爪部が上端部を互いに離間させるように変位するので、保持していた所定量の粒状物を解放することができると共に、規制部を利用して容器本体内の別の粒状物が通過孔に進入すること規制することができる。従って、解放した所定量の粒状物を、取出筒を通じて外部に取り出すことができる。
このように、中栓部材に対する取出筒の押下げ操作を行い、その後押下げ操作を解除するだけの簡易な操作で、所定量の粒状物を計量して取り出すことができる。
【0010】
特に、中栓部材に対する取出筒の押下げ操作によって複数の分割壁を規制位置から保持位置に切り換えるときに、作動爪部に形成された弾性当接片が変位しながら取出筒に形成された当接片を乗り越えると共に、乗り越え時に当接片によって弾かれる。これにより、弾性当接片を例えば瞬間的に振動させて音を発生させることができると共に、クリック感のような触感を使用者に付与することができる。
そのため、複数の分割壁が保持位置に切り換わったことを感覚的に把握することができ、取出筒の押下げ操作量が適切であるか、或いは不十分であるかを認識することができる。従って、取出筒の押下げ量不足によって、押下げ操作したにもかかわらず粒状物を取り出すことができない、といった誤使用、誤認識を防止することができる。そのため、使い易く、操作性に優れた計量キャップとすることができる。
【0011】
(2)前記取出筒の内周面には、径方向の内側及び下方に向けて開口した収容凹部が形成され、前記作動爪部は、前記分割壁が前記規制位置に位置しているときに、前記収容凹部内に収容され、前記当接片は、前記収容凹部を画成する壁面のうち下方を向いた上壁から下方に向けて延びるように形成され、前記弾性当接片よりも径方向の内側に配置されても良い。
【0012】
この場合には、複数の分割壁が規制位置に位置しているときに、作動爪部が収容凹部内に収容されているので、通過孔を大きく確保し易い。従って、多様な粒状物に対応し易い。さらに複数の分割壁を規制位置から保持位置に切り換える際に、作動爪部の上端部の径方向の内側に向けた変位量を確保することができる。従って、作動爪部を利用して粒状物をしっかりと保持し易い。さらに収容凹部の上壁を利用して当接片を形成できるので、当接片を形成し易いうえ、通過孔に突出させることなく当接片を形成することができる。
【0013】
(3)前記容器本体の口部、又は前記装着筒部には、連結筒部が装着され、前記取出筒及び前記連結筒部は、弾性変形可能に形成され、且つ前記取出筒を下方移動可能に支持する連結部を介して互いに連結されても良い。
【0014】
この場合には、取出筒を押下げ操作したときに、連結部が弾性変形しながら取出筒の下方移動を支持するので、押下部を利用して複数の分割壁を下方に向けて押下げることができる。従って、取出筒の押下げ操作を解除したときに、連結部の弾性復元力を利用して取出筒を上方に付勢して元の位置に復帰させることができる。そのため、弾性連結部による弾性復元力を利用して、複数の分割壁を保持位置から規制位置に向けて、効率良くスムーズに復元移動させ易い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な操作で所定量の粒状物を精度よく計量して取り出すことができる計量キャップを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る計量キャップの実施形態を示す縦断面図である。
【
図3】
図2に示す中栓部材及び取出筒の一部の周辺を拡大した縦断面図である。
【
図4】
図1に示すオーバーキャップを取り外した後、容器本体を倒立姿勢にした状態で、操作片を押込み操作した状態を示す縦断面図である。
【
図5】
図4に示す状態から、操作片の操作を解除した状態を示す縦断面図である。
【
図6】
図4に示す作動爪部が元の位置に復元変位する途中の状態を示す縦断面図である(容器本体を正立姿勢にしている)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る計量キャップの実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の計量キャップ1は、例えば錠剤等の粒状物Wが収容された容器本体Aの口部A1に装着され、粒状物Wが内側を通過する通過孔3を有する筒状の中栓部材2と、通過孔3を通過した粒状物Wが内側を通過する取出筒4と、有頂筒状のオーバーキャップ5と、を備えている。
【0018】
図1において、中栓部材2、取出筒4及びオーバーキャップ5は、通過孔3の中心軸線Oと同軸に配設されている。以下、中心軸線Oに沿ってオーバーキャップ5側を上方、容器本体A側を下方といい、中心軸線Oに沿う方向を上下方向という。さらに、上下方向から見た平面視において、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
(中栓部材)
図1及び
図2に示すように、中栓部材2は、容器本体Aの口部A1に装着される装着筒部10と、装着筒部10よりも径方向の内側に配置されると共に、容器本体A内と取出筒4内とを連通し、且つ通過孔3が形成された閉塞壁部11と、を備えている。
【0020】
装着筒部10は、容器本体Aの口部A1の内側に密に嵌合したシール筒15と、シール筒15の上端部から径方向の外側に向けて突出すると共に、容器本体Aの口部A1の上端開口縁上に載置されたフランジ部16と、を備えている。
【0021】
閉塞壁部11は、中心軸線O回りに間隔をあけて配置されると共に、弾性連結部17を介して装着筒部10に連結された複数の分割壁20によって構成されている。図示の例では、閉塞壁部11は、周方向に間隔をあけて配置された6つの分割壁20によって構成されているが、分割壁20の数はこの場合に限定されるものではない。
複数の分割壁20は、容器本体A内から通過孔3への粒状物Wの進入を規制する規制部21と、規制部21よりも上方に配置されると共に、上方に向けて延び、且つ取出筒4の内側に配置された作動爪部22と、をそれぞれ備えている。なお、各分割壁20にそれぞれ形成された作動爪部22の内側が通過孔3として機能する。
【0022】
複数の分割壁20のそれぞれは、表裏面が上下方向を向いた主板部20aと、主板部20aにおける径方向の外縁部から上方に向けて延び、且つ上端部に弾性連結部17が連結された側板部20bと、を備えている。
主板部20aは、径方向の外側から内側に向かうにしたがって上方に向けて延びるように湾曲している。従って、上下方向に沿う縦断面視において、主板部20aは下方に向けて突の曲線状に形成されている。主板部20aの上端部は、側板部20bの上端部より下方に位置している。そのため、上下方向に沿う縦断面視において、主板部20aの表裏面に沿う長さは、側板部20bの上下方向の長さより短く形成されている。
【0023】
弾性連結部17は、装着筒部10におけるフランジ部16の内周縁部から上方に向けて延びた後、さらに上方に向かうにしたがって径方向の内側に向けて延びている。従って、弾性連結部17の上端部は、径方向の外側に向けて突の曲面状に形成されている。そして弾性連結部17は、分割壁20における側板部20bの上端部に連結されている。これにより、複数の分割壁20のそれぞれは、弾性連結部17を介して装着筒部10に連結されている。
なお、弾性連結部17は、中心軸線Oに沿った方向から見て、分割壁20における周方向の中央部に位置するように連結されている。この際、弾性連結部17の周方向に沿った周幅は、分割壁20の周方向に沿った周幅よりも小さく形成されている。
【0024】
作動爪部22は、装着筒部10における主板部20aの径方向の内端部から上方に向けて延びるように形成されている。作動爪部22は、分割壁20における周方向の全長にわたって形成されている。そのため作動爪部22は、中心軸線Oを中心とする平面視円弧状に形成されている。
なお、作動爪部22は、主板部20aにおける径方向の内縁部よりも径方向の外側に位置している。従って、主板部20aにおける径方向の内縁部は、作動爪部22よりも径方向に内側に突出した突起部25とされている。そして、この突起部25を含め、分割壁20における主板部20aの下面は、通過孔3への粒状物Wの進入を規制する規制部21として機能する。
【0025】
さらに分割壁20における主板部20aの上面には、上方に向けて突出すると共に、後述する押下部34によって押下される被押下部26が形成されている。被押下部26は、表裏面が周方向を向き、且つ径方向に延びる縦リブ状に形成されている。被押下部26は、作動爪部22の下端部と側板部20bとを径方向に連結している。
【0026】
(取出筒)
図1に示すように、取出筒4は中栓部材2よりも上方に配置されると共に、中栓部材2に対して上下動可能とされている。
取出筒4は、上下方向に延びる筒状に形成され、中栓部材2における被押下部26よりも上方に配置され、且つ作動爪部22よりも上方に突出するように形成されている。取出筒4の下部の内周面には、径方向に内側及び下方に向けて開口した収容凹部30が形成されている。
収容凹部30は、上下方向に延びるように形成されていると共に、複数の作動爪部22のそれぞれに対して径方向に向かい合うように周方向に間隔をあけて複数形成されている。そして、複数の作動爪部22は、収容凹部30内にそれぞれ収容されている。
【0027】
これにより、取出筒4のうち作動爪部22よりも上方に配置された部分が上筒31として機能し、作動爪部22を径方向の外側から囲む部分が下筒32として機能する。
【0028】
上筒31は、内径が複数の作動爪部22の内径と同径に形成されている。上筒31の上端開口部は、粒状物Wを取り出すための取出口33として機能する。上筒31の内部は、通過孔3を通じて容器本体A内に連通している。これにより、上筒31内を容器本体A内の粒状物Wが通過した後、取出口33を通じて外部に取り出される。
【0029】
下筒32の下端開口部は、中栓部材2における被押下部26の上方に配置され、中栓部材2に対して取出筒4の全体が下方移動したときに、被押下部26を介して分割壁20を押下げて、弾性連結部17を弾性変位させる押下部34として機能する。
なお、押下部34は、所定の間隔H1をあけた状態で被押下部26の上端縁よりも上方に位置している。
【0030】
押下部34を利用して複数の分割壁20を押し下げた場合、
図3に示すように、各分割壁20は弾性連結部17の弾性変位によって、弾性連結部17を基点として下方に向けて弾性変位する。これにより、各分割壁20は、規制部21による通過孔3への粒状物Wが規制された
図1に示す規制位置P1から、作動爪部22の上端部が互いに接近するように変位して、通過孔3への進入を許容し、且つ通過孔3を通過した粒状物Wを作動爪部22で保持する保持位置P2に切り換わる(
図4参照)。
【0031】
具体的には、押下部34によって分割壁20が押し下げられた場合、
図3に示す矢印F1の如く作動爪部22の上端部が互いに接近するように径方向の内側に向けて変位し、且つ作動爪部22の下端部、及び分割壁20の主板部20aにおける突起部25が径方向の外側に向けて変位する。これにより、容器本体A内から通過孔3への粒状物Wの進入が許容される。
なお、作動爪部22は、
図1に示すように分割壁20が規制位置P1に位置している際、収容凹部30内に収容されている。そして作動爪部22は、
図4に示すように分割壁20が保持位置P2に位置したときに、収容凹部30内から径方向の内側に変位して粒状物Wを保持する(図示の例では1つ)。
【0032】
図1に示すように、取出筒4における下筒32には、径方向の外側に向かって突出するように形成され、取出筒4を下方に向けて移動させるための環状の操作片35が形成されている。操作片35は、下筒32の周方向に全長にわたって連続して延びている。これにより、例えば容器本体Aを片手で把持しながら、操作片35に対して指先を引っ掛けることが可能とされている。
【0033】
上述のように構成された取出筒4は、連結筒部41及び環状の連結筒(本発明に係る連結部)42を介して容器本体Aの口部A1に組み合わされている。
具体的には、連結筒部41は、容器本体Aの口部A1に装着されている。連結筒42は、弾性変形可能に形成され、且つ取出筒4を下方移動可能に支持すると共に、取出筒4及び連結筒部41を互いに連結している。
なお、本実施形態の連結筒部41及び連結筒42は、取出筒4に一体に形成されているが、この場合に限定されるものではなく、例えば取出筒4とは別体に形成されていても構わない。
【0034】
連結筒部41は、容器本体Aの口部A1の上端部にアンダーカット嵌合によって装着された連結筒45と、連結筒45の上端部から径方向の内側に向かって突出する環状壁46と、環状壁46の内周縁部から上方に向かって延びる上部筒47と、を備えている。
なお、連結筒45の装着方法は、アンダーカット嵌合に限定されるものではなく、例えば、ねじ結合によって容器本体Aの口部A1に装着されても構わない。
【0035】
環状壁46は、中栓部材2のフランジ部16を容器本体Aの口部A1の上端開口縁に対して上方から押え込んでいる。これにより、中栓部材2は、姿勢が安定した状態で容器本体Aの口部A1に装着されている。上部筒47は、中栓部材2における弾性連結部17を径方向の外側から全周にわたって囲んでいる。
【0036】
連結筒42は、上部筒47の上端部と取出筒4における下筒32の外周面とを連結していると共に、弾性連結部17を上方から覆っている。連結筒42は、上方に向けて突となる曲面状に形成され、取出筒4を上下方向に弾性変位可能に支持している。
【0037】
(オーバーキャップ)
図1に示すように、オーバーキャップ5は、容器本体Aの口部A1に例えば、ねじ結合によって着脱可能に装着されている。ただしオーバーキャップ5の装着方法は、ねじ結合に限定されるものではなく、例えばアンダーカット嵌合によって装着されても構わない。
オーバーキャップ5の頂壁には、下方に向けて突出した突起5aが形成されている。突起5aは、中心軸線Oと同軸に配設され、取出筒4及び作動爪部22の内側に挿入されている。突起5aの下端部は、中栓部材2に形成された突起部25よりも上方に位置している。
【0038】
これにより、計量した粒状物Wを取出筒4の取出口33から取り出した後に、容器本体A内の粒状物Wが意図せず通過孔3の内側に存在していたとしても、オーバーキャップ5の装着によって、突起5aを利用して粒状物Wを容器本体A内に突き落として回収することができる。
【0039】
(弾性突起片)
上述のように構成された計量キャップ1において、
図1及び
図2に示すように、作動爪部22の上端部には、上方に向けて突出した弾性突起片(本発明に係る弾性当接片)50が形成されている。弾性突起片50は、作動爪部22の肉厚よりも薄肉に形成され、作動爪部22との接続部分を基点として径方向に弾性変位可能とされている(
図3参照)。
【0040】
なお、弾性突起片50の上端縁と、収容凹部30を画成する壁面のうち下方を向いた上壁との間の上下方向の間隔H2は、押下部34の下端縁と被押下部26の上端縁との間の上下方向の間隔H1よりも大きく形成されている。
これにより、取出筒4の押下げ操作によって、押下部34が被押下部26に対して上方から接触したときに、弾性突起片50が収容凹部30の上壁に対して接触することなく、近接した状態となる。
【0041】
収容凹部30の上壁には、下方に向けて延びる環状の突起片(本発明に係る当接片)51が形成されている。突起片51は、弾性突起片50よりも径方向の内側に配置されていると共に、下方への突出量が上記間隔H2よりも小さくなるように形成されている。ただし、突起片51の下方への突出量は、(間隔H2-間隔H1)よりも大きくなるように形成されている。つまり、突起片51の下端縁は、押下部34が被押下部26に対して上方から接触したときに、弾性突起片50の上端縁よりも下方に位置する。
【0042】
従って、取出筒4の押下げ操作によって、押下部34が被押下部26に対して上方から接触したときに、弾性突起片50が収容凹部30の上壁に対して接触することなく近接し、且つ突起片51が弾性突起片50における上端部に対して、径方向の内側から向かい合うように配置される。
そのため、弾性突起片50は、取出筒4の押下げ操作に伴って規制位置P1から保持位置P2に分割壁20が移行するときに、
図3に示すように突起片51に接触(当接)した後、変位しながら弾性変位する。特に弾性突起片50は、収容凹部30の上壁に対して接触しないため、上壁から抵抗を受けることなくスムーズに弾性変位する。そして弾性突起片50は、突起片51の乗り越え時に突起片51によって強く弾かれる。
【0043】
次に、上述のように構成された計量キャップ1の作用について説明する。
はじめに
図1に示すオーバーキャップ5を取り外した後、例えば容器本体Aを片手で把持しながら、取出口33が上方を向いた正立姿勢から下方を向いた倒立姿勢に反転させる。この段階では、中栓部材2の複数の分割壁20が規制位置P1に位置しているので、規制部21を利用して通過孔3への粒状物Wの進入を規制することができる。従って、粒状物Wが意図せずに取出口33から外部に排出されてしまうことがない。
【0044】
粒状物Wを取り出す場合には、中栓部材2に対して取出筒4を押下げ操作する。具体的には、
図4に示すように、取出口33を下方に向けた状態で、容器本体Aを把持している片手の指先を操作片35に引っ掛けながら、操作片35を容器本体A側に向けて押込み操作する。これにより、押下部34を利用して、弾性連結部17を弾性変位させながら複数の分割壁20を容器本体A側に向けて押し込むことができる。これにより、作動爪部22の上端部が互いに接近するように複数の分割壁20を変位させることができ、複数の分割壁20を規制位置P1から保持位置P2に切り換えることができる。
【0045】
これにより、通過孔3への粒状物Wの進入を許容することができると共に、通過孔3を通過した粒状物Wを複数の作動爪部22で保持(図示の例では1つ)することができる。従って、所定量の粒状物Wを計量することができる。
計量後、
図5に示すように、中栓部材2に対する取出筒4の押込み操作を解除する。これにより、弾性連結部17による弾性復元力を利用して、複数の分割壁20を保持位置P2から規制位置P1に復元移動させることができる。すると、これに伴って作動爪部22が上端部を互いに離間させるように変位するので、保持していた粒状物Wを解放すると共に、収容凹部30内に収容される。また、規制部21を利用して、容器本体A内の別の粒状物Wが通過孔3に進入することを規制することができる。その結果、解放した所定量の粒状物Wのみを、取出口33を通じて、
図5に示す矢印の如く外部に取り出すことができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態による計量キャップ1によれば、容器本体Aを取出口33が下方を向いた倒立姿勢にした状態で、中栓部材2に対する取出筒4の容器本体A側への移動操作を行い、その後に移動操作を解除するだけの簡易な操作で、所定量の粒状物Wを計量して取り出すことができる。
【0047】
なお、容器本体Aを取出口33が上方を向いた正立姿勢にした状態で、中栓部材2に対して取出筒4を容器本体A側に押下げ操作した後、容器本体Aを倒立姿勢にしても構わない。この場合であっても、
図4に示すように、作動爪部22を利用して粒状物Wを保持することができるので、同様の作用効果を奏功することができる。
【0048】
特に、容器本体A側に向けた取出筒4の押込み操作によって、複数の分割壁20を規制位置P1から保持位置P2に切り換えるときに、作動爪部22に形成された弾性突起片50が変位しながら収容凹部30に形成された突起片51を乗り越えると共に、乗り越え時に突起片51によって弾かれる。これにより、弾性突起片50を例えば瞬間的に振動させて音を発生させることができると共に、クリック感のような触感を使用者に付与することができる。
【0049】
従って、複数の分割壁20が保持位置P2に切り換わったことを感覚的に把握することができ、取出筒4の操作量が適切であるか、或いは不十分であるかを認識することができる。従って、取出筒4の操作量不足によって、押込み操作したにもかかわらず粒状物Wを取り出すことができない、といった誤使用、誤認識を防止することができる。そのため、使い易く、操作性に優れた計量キャップ1とすることができる。
【0050】
さらに複数の分割壁20が規制位置P1に位置しているときに、作動爪部22が収容凹部30内に収容されているので、通過孔3を大きく確保し易い。従って、多様な粒状物Wに対応し易い。さらに複数の分割壁20を規制位置P1から保持位置P2に切り換える際に、作動爪部22の上端部の径方向の内側に向けた変位量を確保することができる。従って、作動爪部22を利用して粒状物Wをしっかりと保持し易い。さらには、収容凹部30の上壁を利用して突起片51を形成できるので、突起片51を形成し易いうえ、通過孔3に突出させることなく突起片51を形成することができる。
【0051】
さらに操作片35を利用して取出筒4を操作することができるので、操作し易いうえ、効率良く取出筒4に応力を伝えることができ、スムーズな操作を行うことができる。さらに、粒状物Wが取り出される取出筒4自体に直接、指先等が触れることを抑制することができるので、例えば衛生面の点で使用者の心理的負担を低減することができる。特に取出口33に指先等を触れ難くすることができる。
【0052】
さらに、取出筒4を押下げ操作したときに、連結筒42が弾性変形しながら取出筒4の下方移動を支持するので、押下部34を利用して複数の分割壁20を下方に向けて押下げることができる。従って、取出筒4の押下げ操作を解除したときに、連結筒42の弾性復元力を利用して取出筒4を上方に付勢して元の位置に復帰させることができる。そのため、弾性連結部17による弾性復元力を利用して、複数の分割壁20を保持位置P2から規制位置P1に向けて、効率良くスムーズに復元移動させ易い。
【0053】
特に、取出筒4の押下げ操作を解除したときに、連結筒42の弾性復元力を利用して取出筒4を上方に付勢できる。従って、
図6に示すように、弾性連結部17による弾性復元力に伴って分割壁20が復元移動し、これによって作動爪部22が
図6に示す矢印F2の如く収容凹部30に向けて変位したときに、取出筒4に形成された突起片51を、作動爪部22に形成された弾性突起片50から上方に逃げるように移動させることができる。なお、
図6は、容器本体Aを正立姿勢にした状態を図示している。
【0054】
そのため、複数の分割壁20が保持位置P2から規制位置P1に復帰する場合には、突起片51に対して弾性突起片50を接触(当接)させ難くすることができ、弾性突起片50を弾性変位させることなく、作動爪部22を収容凹部30内に収容することができる。
従って、取出筒4を元の位置に復帰させる場合には、弾性突起片50の弾性変位に起因する音の発生やクリック感のような触感を使用者に与えず、操作に対する違和感を与えることがない。この点においても、使い易く、操作性に優れた計量キャップ1とすることができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが可能であることに加え、各実施形態における変形例を適宜組み合わせてもよい。さらに、本実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0056】
例えば上記実施形態では、取出筒4に収容凹部30を形成したが、収容凹部30は必須のものではなく、具備しなくても構わない。この場合には、取出筒4の内側に複数の作動爪部22を配置すると共に、弾性突起片50が乗り越える突起片51を取出筒4の内周面に形成すれば良い。
さらに上記実施形態では、取出筒4を、連結筒42を介して容器本体Aの口部A1に装着した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば中栓部材2の装着筒部10に装着しても構わない。
【0057】
さらに上記実施形態では、弾性突起片50の上端縁と収容凹部30の上壁との間の上下方向の間隔H2を、押下部34の下端縁と被押下部26の上端縁との間の上下方向の間隔H1よりも大きく形成したが、この場合に限定されるものではなく、例えば同等の間隔としても構わない。
【符号の説明】
【0058】
O…中心軸線
A…容器本体
A1…容器本体の口部
P1…規制位置
P2…保持位置
1…計量キャップ
2…中栓部材
3…通過孔
4…取出筒
10…装着筒部
11…閉塞壁部
17…弾性連結部
20…分割壁
21…規制部
22…作動爪部
30…収容凹部
34…押下部
35…操作片
41…連結筒部
42…連結筒(連結部)
50…弾性突起片(弾性当接片)
51…突起片(当接片)