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  • 特開-電気自動車の駆動用バッテリ取付構造 図1
  • 特開-電気自動車の駆動用バッテリ取付構造 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094800
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電気自動車の駆動用バッテリ取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240703BHJP
   B62D 21/02 20060101ALI20240703BHJP
   B62D 21/15 20060101ALI20240703BHJP
   B60R 11/06 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62D21/02 Z
B62D21/15 Z
B60R11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211590
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】安東 孝朗
(72)【発明者】
【氏名】ベッタコテ ラウール
(72)【発明者】
【氏名】キラッケ チラッカル ジャビンラル
【テーマコード(参考)】
3D020
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D020BA15
3D020BB02
3D020BC19
3D020BD05
3D203AA31
3D203BA03
3D203BC31
3D203CA25
3D203CA28
3D203CA43
3D203CB09
3D203CB19
3D203DB05
3D203DB07
3D203DB10
3D235AA06
3D235BB07
3D235CC14
3D235EE63
3D235FF02
3D235HH26
(57)【要約】
【課題】側面衝突した際の筐体及びこれに収容される駆動用バッテリへの衝突力を緩和できる電気自動車の駆動用バッテリ取付構造を提供する。
【解決手段】車両100の駆動用バッテリ取付構造1は、車両100において車台を構成するシャシフレーム10と、駆動用バッテリ22、32が収容され、シャシフレーム10より車幅方向外側に張り出した筐体21、31と、筐体21、31をシャシフレーム10に取り付けるための取付部材40、50と、シャシフレーム10に取り付けられた衝撃緩和部材61~64と、を備え、取付部材40、50は、少なくともシャシフレーム10の長手方向前後2か所で筐体21、31をシャシフレーム10へ固定し、衝撃緩和部材61~64は、車両100の車幅方向において筐体21、31に対し面一または外側に突出するよう、取付部材40、50間に配置される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車において車台を構成するシャシフレームと、
駆動用バッテリが収容され、前記シャシフレームより車幅方向外側に張り出した筐体と、
前記筐体を前記シャシフレームに取り付けるための取付部材と、
前記シャシフレームに取り付けられた衝撃緩和部材と、を備え、
前記取付部材は、少なくとも前記シャシフレームの長手方向前後2か所で前記筐体を前記シャシフレームへ固定し、
前記衝撃緩和部材は、前記電気自動車の車幅方向において前記筐体に対し面一または外側に突出するよう、前記取付部材間に配置されることを特徴とする電気自動車の駆動用バッテリ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の駆動用バッテリ取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は、駆動用モータへの電力供給のための駆動用バッテリを備えている。例えば、トラックでは駆動用バッテリが取付部材によってシャシフレームに取り付けられている。下記特許文献1には、シャシフレーム5の上方に、バッテリを含む部品が収容される部品収容部6(筐体)を備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-149823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シャシフレームより車幅方向外側に突出した筐体を搭載する特許文献1のような車両においては、他車両が自車両側面へ衝突する際の筐体及びこれに収容される駆動用バッテリへの影響を考慮する必要がある。
【0005】
しかし、特許文献1には、側面衝突における筐体及びこれに収容される駆動用バッテリへの影響を考慮した構造について開示されていない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、側面衝突した際の筐体及びこれに収容される駆動用バッテリへの衝突力を緩和できる電気自動車の駆動用バッテリ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0008】
本適用例に係る電気自動車の駆動用バッテリ取付構造は、電気自動車において車台を構成するシャシフレームと、駆動用バッテリが収容され、前記シャシフレームより車幅方向外側に張り出した筐体と、前記筐体を前記シャシフレームに取り付けるための取付部材と、前記シャシフレームに取り付けられた衝撃緩和部材と、を備え、前記取付部材は、少なくとも前記シャシフレームの長手方向前後2か所で前記筐体を前記シャシフレームへ固定し、前記衝撃緩和部材は、前記電気自動車の車幅方向において前記筐体に対し面一または外側に突出するよう、前記取付部材間に配置されることを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、衝撃緩和部材が電気自動車の車幅方向において筐体に対し面一または外側に突出するように配置されている。このため、本適用例を適用した電気自動車(自車両)の側面へ他車両が衝突する場合においては、他車両は自車両の筐体に衝突する時または前に衝撃緩和部材に衝突し、自車両に加わる衝突力が衝撃緩和部材により吸収されることになる。よって、自車両の筐体及びこれに収容されている駆動用バッテリに加わる衝突力を緩和することができる。
【0010】
よって、本発明によれば、側面衝突した際の筐体及びこれに収容される駆動用バッテリへの衝突力を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る電気自動車の駆動用バッテリ取付構造を含む車両の概略構成図である。
図2図1に示すA-A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図1図2を適宜参照しつつ、本発明に係る電気自動車の駆動用バッテリ取付構造における一実施形態について説明する。
【0013】
(電気自動車の駆動用バッテリ取付構造の構成)
図1においては、本実施形態に係る駆動用バッテリ取付構造1を含む車両100の概略構成図、より具体的には車両100の概略的な上面視図が示されている。図2においては、図1に示すA-A線に沿う断面図が示されている。以下において、車両100の車幅方向を単に「車幅方向」と言及する。
【0014】
車両100は、モータ駆動のトラックであり、車両前後方向に延びるシャシフレーム10の前部にキャブCが設けられたものである。シャシフレーム10は、左右一対のサイドレール11a、11bと、一対のサイドレール11a、11bを連結する車幅方向に延びる複数(図1では2つ)のクロスメンバ12、13とにより構成されている。
【0015】
車両100においては、図示しない駆動用モータに電力を供給するためのバッテリユニット20、30が取付部材40、50を介してシャシフレーム10に取り付けられている。詳しくは、駆動用バッテリ取付構造1は、シャシフレーム10と、第1筐体21と、第1バッテリ22と、第1取付部材40と、ツールボックス(衝撃緩和部材)61、62とを備えている。
【0016】
さらに、駆動用バッテリ取付構造1は、第2筐体31と、第2バッテリ32と、第2取付部材50と、バッテリ制御ユニット(衝撃緩和部材)63と、センサ制御ユニット(衝撃緩和部材)64とを備えている。
【0017】
第1筐体21は、第1取付部材40を介してシャシフレーム10の下方に設けられている。第1筐体21は、複数のパネル材を組み合わせて中空の概略直方体に形成されている。第1筐体21の内部には第1バッテリ22が収容されている。第1筐体21は、シャシフレーム10よりも車幅方向外側に張り出している。第1筐体21の上面におけるサイドレール11a、11b間には、第1バッテリ22に関係する第1電装品ユニット23が設けられている。
【0018】
第1バッテリ22は、車両100の駆動用モータの電源として機能する高電圧バッテリである。第1バッテリ22としては、例えば、リチウムイオン電池が挙げられる。
【0019】
第1取付部材40は、第1筐体21の上面の前後左右4か所にて、第1筐体21とサイドレール11a、11bとを連結している。具体的には、第1取付部材40は、第1右前取付部材41、第1右後取付部材42、第1左前取付部材43、第1左後取付部材44を有している。これら取付部材41~44については、それぞれ取付位置や取付向きが異なるが基本構成は同じであるため、代表的に第1右前取付部材41の詳しい構成について説明する。
【0020】
図2に示すように、第1右前取付部材41は、断面S字状のブラケット41aの下部において第1筐体21と複数の締結部材B1(ボルト及びナット)により連結されている。ブラケット41aの上部は、マウント41bと複数の締結部材B2(ボルト)により連結されている。マウント41bの車幅方向内側側面はサイドレール11aの側面と当接し、これらは複数の締結部材B3(ボルト)により連結されている。マウント41bは、例えばラバーマウントであり、ゴムなどの弾性体からなり、第1筐体21をサイドレール11aに対して弾性的に保持する。
【0021】
ツールボックス61、62は、第1筐体21上の左右それぞれに、前後の取付部材間(41と42との間、43と44との間)に位置して設けられている。各ツールボックス61、62は、金属からなる箱状をなしており、作業者の道具を収容可能なものである。各ツールボックス61、62は、図示しない締結部材によりサイドレール11a、11bに固定されている。
【0022】
ツールボックス61、62は、車幅方向において第1筐体21に対し外側に突出している。言い換えれば、ツールボックス61、62の車幅方向外側の面は、第1筐体21において対応する側面よりも外側に位置している。つまり、ツールボックス61、62は、車両100への側面衝突に対して、第1筐体21及び第1バッテリ22に加わる衝撃を緩和する衝撃緩和部材である。例えば他車両200が車両100の右側に衝突する場合、まず右側のツールボックス61が他車両200と接触することで衝撃を緩和する。
【0023】
第2筐体31は、車両100の前後方向における第1筐体21の前方及びキャブCの後方に配置されている。第2筐体31、第2バッテリ32、第2電装品ユニット33、第2取付部材50は、それぞれ第1筐体21、第1バッテリ22、第1電装品ユニット23、第1取付部材40と同様の構成である。第2筐体31は、第2バッテリ32を収納し、第2右前取付部材51、第2右後取付部材52、第2左前取付部材53、第2左後取付部材54によりシャシフレーム10に取り付けられている。
【0024】
一方で、第2筐体31側には、ツールボックス61、62に代えて、右側にバッテリ制御ユニット63が、左側にセンサ制御ユニット64が前後の取付部材間(51と52との間、53と54との間)に配置されている。バッテリ制御ユニット63及びセンサ制御ユニット64は、金属からなる箱状のケース内に各種電子機器が収納されたものである。バッテリ制御ユニット63及びセンサ制御ユニット64は、図示しない締結部材によりサイドレール11a、11bに固定されている。
【0025】
バッテリ制御ユニット63及びセンサ制御ユニット64は、ツールボックス61、62と同じように、車幅方向において第2筐体31に対し外側に突出している。言い換えれば、バッテリ制御ユニット63及びセンサ制御ユニット64の車幅方向外側の面は、第2筐体31において対応する側面よりも外側に位置している。つまり、バッテリ制御ユニット63及びセンサ制御ユニット64は、車両100への側面衝突に対して、第2筐体31及び第2バッテリ32に加わる衝撃を緩和する衝撃緩和部材である。
【0026】
(電気自動車の駆動用バッテリ取付構造の効果)
車両100の駆動用バッテリ取付構造1によれば、ツールボックス61、62、バッテリ制御ユニット63、及びセンサ制御ユニット64等の衝撃緩和部材が車幅方向において第1筐体21、第2筐体31に対し外側に突出するように配置されている。このため、車両100(自車両)の左右側面へ他車両200が衝突する場合においては、他車両200が第1筐体21及び第2筐体31に衝突する前に衝撃緩和部材に衝突し、車両100に加わる衝突力が衝撃緩和部材により吸収されることになる。よって、第1筐体21、第2筐体31及びこれらに収容されている第1バッテリ22、第2バッテリ32に加わる衝突力を緩和することができる。
【0027】
(その他)
上記一実施形態においては、衝撃緩和部材61~64を車幅方向において第1筐体21及び第2筐体31に対し外側に突出するように構成しているが、衝撃緩和部材61~64を車幅方向において第1筐体21及び第2筐体31に対し面一となるように構成してもよい。言い換えると、車幅方向における衝撃緩和部材61~64と第1筐体21又は第2筐体31の外側端部とは、車両100の前後方向及び上下方向に広がる同一平面上にあってもよい。
【0028】
上記一実施形態において、筐体として第1筐体21と第2筐体31とを備えているが、筐体としては少なくとも第1筐体21及び第2筐体31のいずれかが備わっていればよく、第1筐体21及び第2筐体31以外の筐体が備わっていてもよい。また、上記一実施形態において、衝撃緩和部材61~64のうち少なくとも1つが備わっていればよく、衝撃緩和部材61~64以外の衝撃緩和部材が備わっていてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 駆動用バッテリ取付構造
10 シャシフレーム
11a、11b サイドレール
12、13 クロスメンバ
20 バッテリユニット
21 第1筐体
22 第1バッテリ
23 第1電装品ユニット
30 バッテリユニット
31 第2筐体
32 第2バッテリ
33 第2電装品ユニット
40 第1取付部材
41 第1右前取付部材
41a ブラケット
41b マウント
42 第1右後取付部材
43 第1左前取付部材
44 第1左後取付部材
50 第2取付部材
51 第2右前取付部材
52 第2右後取付部材
53 第2左前取付部材
54 第2左後取付部材
61、62 ツールボックス(衝撃緩和部材)
63 バッテリ制御ユニット(衝撃緩和部材)
64 センサ制御ユニット(衝撃緩和部材)
100 車両
200 他車両
B1~B3 締結部材
図1
図2