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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094803
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】絶縁ユニット及びケーブル中間接続部
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/08 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
H02G15/08
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211598
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002255
【氏名又は名称】SWCC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 国紀
【テーマコード(参考)】
5G375
【Fターム(参考)】
5G375AA02
5G375CA14
5G375CB06
5G375CB27
5G375CB36
5G375CB55
5G375DB11
5G375DB35
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で高い絶縁性能を実現可能な絶縁ユニット及びケーブル中間接続部を提供する。
【解決手段】絶縁ユニットは、2本の電力ケーブルを接続するプレハブ型のケーブル中間接続部に用いられる絶縁ユニットであって、電力ケーブルのケーブル導体と電気的に接続される内部電極と、内部電極を包囲する絶縁本体部及び絶縁本体部の軸方向に連設される縁切り部を有し、内部電極と一体的に形成される補強絶縁体と、縁切り部が露出するように配置され絶縁本体部の外周面を覆う金属製の保護管と、絶縁本体部と保護管の間に介在する遮へい部と、縁切り部の外周面を覆う樹脂製の保護カバーと、縁切り部及び保護カバーの軸方向の端部に取り付けられる端末取付金具と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の電力ケーブルを接続するプレハブ型のケーブル中間接続部に用いられる絶縁ユニットであって、
前記電力ケーブルのケーブル導体と電気的に接続される内部電極と、
前記内部電極を包囲する絶縁本体部及び前記絶縁本体部の軸方向に連設される縁切り部を有し、前記内部電極と一体的に形成される補強絶縁体と、
前記縁切り部が露出するように配置され前記絶縁本体部の外周面を覆う金属製の保護管と、
前記絶縁本体部と前記保護管の間に介在する遮へい部と、
前記縁切り部の外周面を覆う樹脂製の保護カバーと、
前記縁切り部及び前記保護カバーの前記軸方向の端部に取り付けられる端末取付金具と、を備える、
絶縁ユニット。
【請求項2】
前記縁切り部の外径は、前記絶縁本体部の外径よりも小さく、
前記縁切り部と前記保護カバーとの間に空間が形成されている、
請求項1に記載の絶縁ユニット。
【請求項3】
前記保護管及び前記保護カバーは、それぞれ前記補強絶縁体に固定され、
前記保護管と前記保護カバーとは、前記補強絶縁体の寸法変動を吸収する程度に当接されている、
請求項1又は2に記載の絶縁ユニット。
【請求項4】
前記縁切り部の外周面に配置される樹脂リングを備え、
前記保護管の前記軸方向の端部が前記樹脂リングの外周面に固定されている、
請求項3に記載の絶縁ユニット。
【請求項5】
前記樹脂リングは、前記遮へい部を引出し可能な切欠きを有し、
前記遮へい部は、前記切欠きから引き出され圧着端子を用いて前記保護管の端面に接続されている、
請求項4に記載の絶縁ユニット。
【請求項6】
前記保護カバーは、径方向の内側に張り出して形成され、前記圧着端子が接続されている前記端面の近傍に配置されるバリア壁を有する、
請求項5に記載の絶縁ユニット。
【請求項7】
請求項1に記載の絶縁ユニットと、
前記絶縁ユニットに装着されるケーブル端末部と、を備える、
ケーブル中間接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、絶縁ユニット及びケーブル中間接続部、特に片端に縁切り部を設ける絶縁接続部(IJ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2本の電力ケーブル(例えばCVケーブル)を接続するケーブル中間接続部として、2本の電力ケーブルのケーブル導体を導体接続管によって接続して導体接続部を形成し、この導体接続部を絶縁ユニットに挿入して組み立てられるプレハブ型のケーブル中間接続部(プレハブジョイントとも呼ばれる)が知られている。
【0003】
プレハブ型のケーブル中間接続部に用いられる絶縁ユニットは、一般に、ケーブル導体と電気的に接続される内部電極と、内部電極の外周面を包囲する補強絶縁体と、補強絶縁体の外周面に形成される遮へい部と、遮へい部の外周面に配置される保護銅管と、を有する。また、絶縁ユニットの長手方向における一方の端部には、アダプタ金具を介して絶縁筒と呼ばれる縁切り部材が配置されており、2本の電力ケーブルのケーブル遮へい層が電気的に絶縁されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5074930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、電力ケーブルの高電圧化に伴い、ケーブル中間接続部及び絶縁ユニットに要求される絶縁性能(例えば、インパルス破壊電圧等の絶縁耐力)が、さらに厳しくなっている。
【0006】
本開示の目的は、簡易な構成で高い絶縁性能を実現可能な絶縁ユニット及びケーブル中間接続部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る絶縁ユニットは、
2本の電力ケーブルを接続するプレハブ型のケーブル中間接続部に用いられる絶縁ユニットであって、
前記電力ケーブルのケーブル導体と電気的に接続される内部電極と、
前記内部電極を包囲する絶縁本体部及び前記絶縁本体部の軸方向に連設される縁切り部を有し、前記内部電極と一体的に形成される補強絶縁体と、
前記縁切り部が露出するように配置され前記絶縁本体部の外周面を覆う金属製の保護管と、
前記絶縁本体部と前記保護管の間に介在する遮へい部と、
前記縁切り部の外周面を覆う樹脂製の保護カバーと、
前記縁切り部及び前記保護カバーの前記軸方向の端部に取り付けられる端末取付金具と、を備える。
【0008】
本開示に係るケーブル中間接続部は、
上記の絶縁ユニットと、
前記絶縁ユニットに収容されるケーブル端末部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る絶縁ユニット及びケーブル中間接続部によれば、簡易な構成で高い絶縁性能を実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係るケーブル中間接続部を示す片側断面図である。
図2】実施の形態に係るケーブル中間接続部を示す片側断面図である。
図3】絶縁ユニットの構造を示す一部切欠き斜視断面図である。
図4】絶縁ユニットの構造を示す分解斜視図である。
図5】遮へい部と保護管の接続構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本開示の一実施の形態に係るケーブル中間接続部1を示す片側断面図である。図2は、ケーブル中間接続部1を示す片側断面図であり、絶縁ユニット10の縁切り構造を拡大して示している。また、図1図2では、絶縁ユニット10の構成要素の断面にだけ、ハッチングを施してある。
【0013】
図3は、絶縁ユニット10の構造を示す一部切欠き斜視断面図である。図4は、絶縁ユニット10の構造を示す分解斜視図であり、それぞれの部品を一部切欠き斜視断面で示している。
【0014】
図1図2に示すように、ケーブル中間接続部1は、絶縁ユニット10及びケーブル端末部50を備える。ケーブル中間接続部1は、2本の電力ケーブル51A、51Bを接続するプレハブ型のケーブル中間接続部であり、軸方向の一方(図1では右側)の端部に縁切り構造が設けられている絶縁接続部(IJ)である。
【0015】
以下の説明において、ケーブル中間接続部1の縁切り構造が設けられている側を「縁切り有り側」、反対側を「縁切り無し側」と称する。また、ケーブル端末部50の説明において、それぞれの電力ケーブル51A、51Bの絶縁ユニット10に挿入する側を「先端側」、反対側を「後端側」と称する。すなわち、ケーブル中間接続部1においては、ケーブル中間接続部1の中央側を「先端側」、両端側を「後端側」と称する。ただし、後述する保護管14の説明においては、端末取付フランジ141側を「後端側」、その反対側を「先端側」と称する。また、後述する保護カバー16の説明においては、縁切り有り側に取り付けるため、固定フランジ161側を「後端側」、その反対側を「先端側」と称する。
【0016】
ケーブル端末部50は、図1に示すように、電力ケーブル51A、51Bのそれぞれの先端部に、導体接続管52、ストレスコーン53、圧縮装置54及びケーブル保護金具55を含む接続部品が取り付けられて構成される。
【0017】
電力ケーブル51A、51Bは、例えば、ゴム又はプラスチックで絶縁された超高圧(例えば、345kV級)の電力ケーブルである。電力ケーブル51A、51Bは、それぞれ内側から順に、ケーブル導体511、内部半導電層(符号略)、ケーブル絶縁体512、ケーブル外部半導電層513、ケーブル遮へい層(符号略)、及びケーブルシース(符号略)等を有する。ケーブル端末部50においては、電力ケーブル51A、51Bのそれぞれの先端部から、所定長で段剥ぎすることにより各層が露出する。
【0018】
ケーブル導体511、511は、導体接続管52によって接続される。導体接続管52は、例えば、銅、アルミニウム、銅合金又はアルミニウム合金等からなる通電に適した導電性材料で形成される。導体接続管52とケーブル導体511、511は、導体接続管52にケーブル導体511、511を挿入した状態で、圧縮ダイス等の圧縮治具を用いて圧縮することにより、互いに電気的かつ機械的に接続される。ケーブル導体511、511は、導体接続管52を介して、絶縁ユニット10の内部電極11と電気的に接続される。
【0019】
縁切り有り側の電力ケーブル51Aのケーブル遮へい層は、ケーブル保護金具55を介して、絶縁ユニット10の端末取付金具15と電気的に接続される。縁切り無し側の電力ケーブル51Bのケーブル遮へい層は、ケーブル保護金具55を介して、保護管14と電気的に接続される。
【0020】
ストレスコーン53は、紡錘状に形成され、先端側の絶縁部(符号略)と、後端側の導電部(符号略)と、を有する。絶縁部は、例えば、EPゴム等の絶縁性ゴム材料で筒状に形成され、導電部は、例えば、半導電性のEPゴム等の半導電性ゴム材料で筒状に形成される。絶縁部と導電部は、モールド成型により一体的に形成される。
【0021】
ストレスコーン53の後端部(導電部)は、電力ケーブル51A、51Bのケーブル外部半導電層513に接続される。「電力ケーブル51A、51Bのケーブル外部半導電層513に接続される」とは、ケーブル中間接続部として所定の性能を有する限り、ケーブル外部半導電層513に直接接続される場合、ケーブル外部半導電層513の端部にモールドや導電塗料で再生した外部半導電層の端部を介して接続される場合、いずれの場合も意味する。ストレスコーン53の先端部(絶縁部)は、絶縁ユニット10のケーブル収容部に対応する形状を有する。ストレスコーン53の後端側には、圧縮装置54及びケーブル保護金具55が装着される。
【0022】
圧縮装置54は、ストレスコーン53に当接する押しパイプ541と、ストレスコーン53に向けて押しパイプ541を付勢するコイルスプリング542と、押しパイプ541及びコイルスプリング542を保持する押し金具543と、押し金具543の後端側に取り付けられコイルスプリング542内に挿通されるシャフト544と、シャフト544の後端側を貫通させてナットで固定され、先端面と押し金具543の後端面でコイルスプリング542を保持する座金545と、後端側が座金545を貫通し先端側は絶縁ユニット10側にボルト止めされるテンションボルト546と、を有する。縁切り有り側の電力ケーブル51Aに装着される押しパイプ541は、縁切り構造が設けられている分、縁切り無し側の電力ケーブル51Bに装着される押しパイプ541よりも、軸方向の長さが長い。なお、押しパイプ541は、絶縁材料、金属材料いずれで構成してもよい。
【0023】
絶縁ユニット10は、図1~4に示すように、内部電極11、補強絶縁体12、遮へい部13、保護管14、端末取付金具15及び保護カバー16等を有する。内部電極11及び補強絶縁体12は、例えば、モールド成型により一体的に形成される。
【0024】
内部電極11は、例えば、銅、アルミニウム、銅合金又はアルミニウム合金等からなる通電に適した導電性材料で形成される。内部電極11は、導体接続管52を介して、ケーブル導体511と電気的に接続される。
【0025】
補強絶縁体12は、例えば、機械的強度の高い硬質プラスチック樹脂材料(例えば、エポキシ樹脂やFRP)で形成される。補強絶縁体12は、略円筒形状を有し、内周面によってケーブル端末収容部123が形成されている。ケーブル端末収容部123の軸方向における略中央に、内部電極11が配置される。
【0026】
補強絶縁体12は、内部電極11を包囲する絶縁本体部121と、絶縁本体部121の軸方向の一端に連設された縁切り部122を有する。縁切り部122の外径は、絶縁本体部121の外径よりも小さく、補強絶縁体12は、全体として二段円筒形状を有する。絶縁本体部121の外周面は、保護管14によって覆われ、縁切り部122の外周面は、保護カバー16によって覆われる。
【0027】
縁切り部122の軸方向の長さ及び外径(厚さ)は、要求される絶縁性能及び機械的強度に応じて適宜設定される。縁切り部122の外径を大きくした場合、絶縁性能及び機械的強度を高めることができる。一方、縁切り部122の外径を小さくした場合、絶縁性能及び機械的強度は小さくなるが、絶縁ユニット10の軽量化を図ることができる。
【0028】
遮へい部13は、例えば、絶縁本体部121の外周面に導電塗料の塗布により形成される。遮へい部13は、導電塗料の塗布層の表面にさらに半導電テープや銅メッシュテープ(シールドメッシュ)を巻き付けて形成されてもよい。遮へい部13は、補強絶縁体12における絶縁本体部121の外周面に配置され、縁切り部122の外周面には配置されない。
【0029】
遮へい部13は、保護管14と電気的に接続され、接地される。例えば、錫めっき軟銅編組線などの引出し線21の一端を遮へい部13(例えば、銅メッシュテープ)にはんだ付けし、他端を圧着端子22に接続して、圧着端子22を保護管14の端面にねじ止めすることで、遮へい部13と保護管14とが電気的に接続される(図5参照)。遮へい部13を設けることにより、内部電極11と遮へい部13との間で電界が集中することなく、補強絶縁体12の内部電界が均一化され、電気特性の安定化が図られる。
【0030】
保護管14は、略円筒形状を有する金属製の部材である。保護管14は、例えば、銅、真鍮又はアルミニウム等の金属材料で形成される。保護管14の軸方向の長さは、絶縁本体部121の長さと略同等である。
【0031】
保護管14は、後端側の端部に、径方向内側に張り出して形成される端末取付フランジ141を有する。保護管14の円筒部分と端末取付フランジ141とは、別部材で形成してロー付け等で一体化してもよいし、一つの部材で形成してもよい。端末取付フランジ141の開口141aは、補強絶縁体12のケーブル端末収容部123に適合する。保護管14は、絶縁本体部121の外周面を覆うように配置され、端末取付フランジ141を補強絶縁体12の縁切り無し側の端面、すなわち、絶縁本体部121の端面に、例えば、ボルト止めすることによって固定される。保護管14は、補強絶縁体12の縁切り部122が露出するように配置される。保護管14は、縁切り部122の一部を覆うように配置されてもよい。
【0032】
本実施の形態では、保護管14の先端側の端部は、絶縁本体部121よりも突出しており、絶縁本体部121と縁切り部122の段差部分を覆っている。絶縁本体部121と縁切り部122の段差部分には、樹脂製のサポートリング17が配置される。サポートリング17の外径は、保護管14の内径と略同等である。保護管14の先端側の端部は、サポートリング17の外周面に、止めねじによって固定される。サポートリング17によって、保護管14の先端側の端部のがたつきが防止され、安定性が確保される。
【0033】
また、保護管14の先端側の端部は、補強絶縁体12に直接固定されていない。つまり、補強絶縁体12は、保護管14に対して軸方向に変位可能となっている。これにより、補強絶縁体12は、保護管14に拘束されることなく、軸方向に熱膨張又は熱収縮することができる。
【0034】
サポートリング17は、外周面に、軸方向(厚さ方向)に貫通する切欠き溝17aを有する。切欠き溝17aを介して、遮へい部13に接続された引出し線21が引き出される(図5参照)。なお、遮へい部13に接続された引出し線21を引き出すための切欠きは、溝形状に限定されず、貫通孔であってもよい。
【0035】
端末取付金具15は、フランジ形状を有する金属製の部材である。端末取付金具15は、例えば、銅、真鍮又はアルミニウム等の金属材料で形成される。端末取付金具15の開口15aは、補強絶縁体12のケーブル端末収容部123に適合する。端末取付金具15の外径は、縁切り部122の外径よりも大きい。端末取付金具15は、補強絶縁体12の縁切り有り側の端面、すなわち縁切り部122の端面に、例えば、ボルト止めにより固定される。また、端末取付金具15には、保護カバー16が、例えば、ボルト止めにより固定される。
【0036】
保護カバー16は、略円筒形状を有する樹脂性の部材である。保護カバー16は、例えば、ソマライト、ガラス繊維入りナイロン又は塩化ビニル等の樹脂材料で形成される。保護カバー16は、絶縁ユニット10内への水や塵埃の侵入を防止する。
【0037】
保護カバー16は、後端側の端部に、径方向内側に張り出して形成される固定フランジ161を有する。固定フランジ161の開口161aは、縁切り部122の外形に適合する。保護カバー16は、縁切り部122の外周面を覆うように配置され、固定フランジ161を端末取付金具15に、例えば、ボルト止めすることによって固定される。固定フランジ161と端末取付金具15との間には、Oリング等のシール部材19が配置される。
【0038】
保護カバー16の内径は、保護管14の先端側の端部の外径と略同等であり、縁切り部122の外径よりも大きい。保護カバー16と縁切り部122との間には空間23が形成される。空間23は、実施の形態では、縁切り部122の外周面と、保護カバー16の内周面と、固定フランジ161の先端面と、バリア壁162の後端面とで囲まれた空間で形成されている。
【0039】
保護カバー16の軸方向の長さは、縁切り部122の長さよりも長い。保護カバー16は、例えば、先端側の端部により保護管14の先端側の端部が覆われるように配置される。保護カバー16と保護管14との間には、Oリング等のシール部材18が配置される。
【0040】
保護カバー16の先端側の端部は、保護管14と径方向に重なっているだけであり、保護管14と保護カバー16とはボルトやねじ等で直接固定されていない。つまり、保護管14は端末取付フランジ141によって補強絶縁体12に固定され、保護カバー16は補強絶縁体12に固定された端末取付金具15に固定されているが、保護管14と保護カバー16とは直接固定されておらず、保護管14と保護カバー16とは、補強絶縁体12の寸法変動を吸収する程度に当接されているだけである。これにより、補強絶縁体12は、保護管14にも保護カバー16にも拘束されることなく、ケーブル中間接続部1を使用中の軸方向への熱膨張又は熱収縮に対する寸法変動を吸収することができる。また、内部電極11と補強絶縁体12を一体成型した後の補強絶縁体12の軸方向の寸法のバラツキ(いわゆる製造公差)を吸収することができる。なお、保護カバー16を補強絶縁体12の変形に追従できる樹脂で形成した場合は、補強絶縁体12に直接固定されてもよい。
【0041】
図示を省略するが、絶縁ユニット10の外周面は、全体にわたって、熱収縮チューブによって覆われている。保護カバー16の先端側の端部と保護管14の先端側の端部は、熱収縮チューブによって押圧され密着する。
【0042】
保護カバー16は、径方向内側に張り出して形成されるバリア壁162を有する。バリア壁162の開口162aは、縁切り部122の外形に適合する。バリア壁162は、保護管14の先端側の端面の近傍、すなわち、保護管14に接続された圧着端子22の近傍に配置される。バリア壁162は、圧着端子22と端末取付金具15との間(あるいは、圧着端子22と、端末取付金具15に固定フランジ161を固定しているボルトとの間)での閃絡を抑制する。この閃絡を防止するための縁切り部122の軸方向の長さが十分に確保されている場合は、バリア壁162は無くてもよいが、バリア壁162を設けることで、閃絡の起因となる圧着端子22、引出線21及び圧着端子22を固定するねじ等の金属の突起物の影響を最小限にすることができ、縁切り部122の軸方向の長さを必要以上に確保する必要がなくなるため、絶縁ユニット10(ひいてはケーブル中間接続部1)の軸方向の長さを抑制することができる。
【0043】
ケーブル中間接続部1の組立工程では、電力ケーブル51A、51Bの先端部を段剥ぎした後、ケーブル保護金具55、圧縮装置54、ストレスコーン53を電力ケーブル51A、51Bに挿通する。また、縁切り有り側の電力ケーブル51A(縁切り無し側の電力ケーブル51Bでもよい)に、絶縁ユニット20を挿通する。この状態で、電力ケーブル51A、51Bのケーブル導体511、511に導体接続管52を取り付ける。
【0044】
次に、絶縁ユニット10及びケーブル端末部50を軸方向に相対移動させて、絶縁ユニット10の内部電極11とケーブル端末部50の導体接続管52とが電気的に接続されるように、位置決めし、固定する。そして、ストレスコーン53を絶縁ユニット10側に移動させ、続いて圧縮装置54をストレスコーン53側に移動させながら、コイルスプリング542を圧縮させてストレスコーン53の先端部を絶縁本体部121の内面に押し付け、所定の状態で圧縮装置54を固定する。
【0045】
また、ケーブル保護金具55を端末取付金具15(縁切り有り側)又は端末取付フランジ141(縁切り無し側)にボルト止めし、ケーブル保護金具55の後端部に、防水のための防食層56を形成する。このように、ケーブル中間接続部1は、比較的簡単な作業で組み立てることができる。
【0046】
ケーブル中間接続部1において、縁切り有り側の電力ケーブル51Aのケーブル遮へい層は、ケーブル保護金具55を介して、絶縁ユニット10の端末取付金具15と電気的に接続され、接地される。縁切り無し側の電力ケーブル51Bのケーブル遮へい層は、ケーブル保護金具55を介して、保護管14と電気的に接続され、接地される。端末取付金具15と保護管14の間は、縁切り部122及び空間23によって物理的に離間しているので、これらの軸方向の長さを調整することで、高い絶縁性能を確保することができ、電力ケーブル51A、51Bのケーブル遮へい層を確実に縁切りすることができる。
【0047】
このように、実施の形態に係る絶縁ユニット10及びケーブル中間接続部1は、以下の特徴事項を単独で、又は、適宜組み合わせて備えている。
【0048】
すなわち、絶縁ユニット10は、2本の電力ケーブル51A、51Bを接続するプレハブ型のケーブル中間接続部1に用いられる絶縁ユニットであって、電力ケーブル51A、51Bのケーブル導体511と電気的に接続される内部電極11と、内部電極11を包囲する絶縁本体部121及び絶縁本体部121の軸方向に連設される縁切り部122を有し、内部電極11と一体的に形成される補強絶縁体12と、縁切り部122が露出するように配置され絶縁本体部121の外周面を覆う金属製の保護管14と、絶縁本体部121と保護管14の間に介在する遮へい部13と、縁切り部122の外周面を覆う樹脂製の保護カバー16と、縁切り部122及び保護カバー16の軸方向の端部に取り付けられる端末取付金具15と、を備える。
【0049】
また、ケーブル中間接続部1は、絶縁ユニット10と、絶縁ユニット10に装着されるケーブル端末部50と、を備える。
【0050】
絶縁ユニット10及びケーブル中間接続部1によれば、簡易な構成で高い絶縁性能を実現可能である。具体的には、縁切り部122の軸方向の長さを調整することで所望の絶縁性能を容易に実現することができる。また、ケーブル中間接続部1では、特許文献1に記載のケーブル中間接続部における端部埋込電極及び絶縁筒が省略され、簡易な構成となっている。
【0051】
また、絶縁ユニット10において、縁切り部122の外径は、絶縁本体部121の外径よりも小さく、縁切り部122と保護カバー16との間に空間23が形成されている。これにより、高い絶縁性能を確保しつつ、絶縁ユニット10の軽量化を図ることができる。
【0052】
また、絶縁ユニット10において、保護管14及び保護カバー16はそれぞれ補強絶縁体12に固定され、保護管14と保護カバー16とは、補強絶縁体12の寸法変動を吸収する程度に当接している。これにより、保護管14及び保護カバー16によって拘束されることなく、補強絶縁体12は熱膨張又は熱収縮することができる。すなわち、補強絶縁体12が熱膨張又は熱収縮しても補強絶縁体12に内部応力が生じることはなく、熱的変形に起因する劣化を抑制することができる。また、製造公差による補強絶縁体12の軸方向寸法のバラツキを吸収できるため、容易に絶縁ユニット10(ケーブル中間接続部1)を形成することができる。
【0053】
また、絶縁ユニット10は、縁切り部122の外周面に配置されるサポートリング17(樹脂リング)を備え、保護管14の軸方向の端部がサポートリング17の外周面に固定されている。これにより、保護管14に対する補強絶縁体12の変位を許容しつつ、保護管14の先端側の端部のがたつきを抑制して安定性を向上できる。
【0054】
また、絶縁ユニット10において、サポートリング17(樹脂リング)は、遮へい部13を引出し可能な切欠き溝17a(切欠き)を有し、遮へい部13は、切欠き溝17aから引き出され圧着端子22を用いて保護管14の端面に接続されている。これにより、遮へい部13を引き出して保護管14に確実に接続することができるとともに、従来のようにはんだ付けにより接続する場合に比較して、接続作業を簡略化することができる。
【0055】
また、絶縁ユニット10において、保護カバー16は、径方向の内側に張り出して形成され、圧着端子22が接続されている保護管14の端面の近傍に配置されるバリア壁162を有する。これにより、圧着端子22、引出線21及び圧着端子22を固定するねじ等の金属の突起物に起因する閃絡を防止でき、高い絶縁性能を確保することができる。
【0056】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0057】
例えば、実施の形態では、補強絶縁体12において、縁切り部122の外径が絶縁本体部121の外径よりも小さくなっているが、縁切り部122と絶縁本体部121の外径は同等であってもよい。つまり、縁切り部122と保護カバー16の間に空間23は形成されなくてもよい。
【0058】
また、実施の形態では、保護管14の先端側の端部がサポートリング17に固定されているが、サポートリング17を省略し、最外層に設けられる熱収縮チューブによって保護管14を補強絶縁体12に押し付ける構成としてもよい。
【0059】
また、実施の形態では、保護管14及び保護カバー16の外周には熱収縮チューブを設けているが、熱収縮チューブに代えて絶縁テープ等を巻き付けて形成するテープ巻き層によって形成してもよい。
【0060】
また例えば、縁切り部122の外周面の縁切り性能を有する限り、空間23に絶縁性の介在物が入ってもよい。
【0061】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1 ケーブル中間接続部
10 絶縁ユニット
11 内部電極
12 補強絶縁体
121 絶縁本体部
122 縁切り部
13 遮へい部
14 保護管
15 端末取付金具
16 保護カバー
17 サポートリング(樹脂リング)
21 引出し線
22 圧着端子
23 空間
50 ケーブル端末部
51A、51B 電力ケーブル
511 ケーブル導体
図1
図2
図3
図4
図5