IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川崎重工業株式会社の特許一覧

特開2024-94810灰中未燃分濃度計測システム及び方法、並びに静電分離装置
<>
  • 特開-灰中未燃分濃度計測システム及び方法、並びに静電分離装置 図1
  • 特開-灰中未燃分濃度計測システム及び方法、並びに静電分離装置 図2
  • 特開-灰中未燃分濃度計測システム及び方法、並びに静電分離装置 図3
  • 特開-灰中未燃分濃度計測システム及び方法、並びに静電分離装置 図4
  • 特開-灰中未燃分濃度計測システム及び方法、並びに静電分離装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094810
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】灰中未燃分濃度計測システム及び方法、並びに静電分離装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20240703BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20240703BHJP
   G01N 21/359 20140101ALI20240703BHJP
   B03C 7/02 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G01N21/27 B
F23G5/50 N
G01N21/359
B03C7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211618
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井原 崇之
(72)【発明者】
【氏名】山形 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】雄関 康隆
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智之
(72)【発明者】
【氏名】池田 光毅
【テーマコード(参考)】
2G059
3K062
4D054
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB09
2G059CC20
2G059DD20
2G059EE02
2G059EE12
2G059GG01
2G059GG02
2G059JJ05
2G059JJ17
2G059KK01
2G059MM01
2G059MM03
2G059MM05
2G059MM10
3K062AA24
3K062DA40
4D054GA04
4D054GB08
4D054GB09
(57)【要約】
【課題】燃料の種類の変動に影響を受けずに灰中未燃分濃度の測定を行う。
【解決手段】第1反射光強度指標及び第2反射光強度指標をそれぞれ灰の反射光の光強度を表す指標とし、灰の特性データは、灰の第1反射光強度指標、及び、灰の第2反射光強度指標と灰中未燃分濃度の相関情報を含む。灰中未燃分濃度計測システムは、複数件の特性データを記憶した記憶装置と、選択部及び灰中未燃分濃度算出部を含む演算装置とを備える。選択部は、記憶された複数件の特性データの中から、対象灰と第1反射光強度指標が一致又は相似する1つの特性データを選択する。灰中未燃分濃度算出部は、選択された特性データ中の相関情報を用いて、対象灰の第2反射光強度指標と対応する灰中未燃分濃度を対象灰の灰中未燃分濃度として算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1反射光強度指標及び第2反射光強度指標をそれぞれ灰の反射光の光強度を表す指標とし、灰の特性データは、前記灰の前記第1反射光強度指標、及び、前記灰の前記第2反射光強度指標と灰中未燃分濃度の相関情報を含み、複数件の前記特性データを記憶した記憶装置と、
対象灰の前記第1反射光強度指標を取得し、前記記憶装置に記憶された複数件の前記特性データの中から、前記対象灰と前記第1反射光強度指標が一致又は相似する1つの前記特性データを選択する選択部と、前記対象灰の前記第2反射光強度指標を取得し、選択された前記特性データ中の前記相関情報を用いて、前記対象灰の前記第2反射光強度指標と対応する灰中未燃分濃度を前記対象灰の灰中未燃分濃度として算出する灰中未燃分濃度算出部とを有する演算装置と、を備える、
灰中未燃分濃度計測システム。
【請求項2】
灰に対して光を照射する光源と、前記灰の反射光を前記複数の波長に分光して波長ごとの反射光強度を測定する分光器とを有する測定装置を、更に備え、
前記演算装置は、前記測定装置で測定された前記対象灰の複数の波長の反射光強度を取得し、前記複数の波長の反射光強度に基づいて前記対象灰の前記第1反射光強度指標と前記第2反射光強度指標とを算出する指標演算部を更に有する、
請求項1に記載の灰中未燃分濃度計測システム。
【請求項3】
前記第1反射光強度指標が、前記対象灰の反射率を前記反射率の平均値で除することによって標準化された反射率のスペクトルである、
請求項1又は2に記載の灰中未燃分濃度計測システム。
【請求項4】
前記第2反射光強度指標が、前記対象灰について測定された反射光強度を標準白色板について測定された反射光強度で除して得られた反射率である、
請求項1又は2に記載の灰中未燃分濃度計測システム。
【請求項5】
前記特性データは、燃料種に関する情報を更に含み、
前記演算装置は、選択された前記特性データ中の前記燃料種を前記対象灰の燃料種と推定する燃料種推定部を更に有する、
請求項1又は2に記載の灰中未燃分濃度計測システム。
【請求項6】
導電性粒子及び絶縁性粒子が混在する灰からなる灰層と、
前記灰から静電分離によって分離された前記導電性粒子を含む第1粉体が回収される導電性粒子回収容器と、
前記灰から前記第1粉体が取り除かれた第2粉体が回収される絶縁性粒子回収容器と、
前記第1粉体及び前記第2粉体のうち少なくとも一方の灰中未燃分濃度を計測する、請求項1に記載の灰中未燃分濃度計測システムとを、備える、
静電分離装置。
【請求項7】
前記灰中未燃分濃度計測システムが、前記灰の灰中未燃分濃度を更に計測する、
請求項6に記載の静電分離装置。
【請求項8】
前記灰層の底部に配置されたガス分散板と、
前記ガス分散板より上方の前記灰層内に配置された少なくとも1つの振動体と、
前記ガス分散板を通じて前記灰層を上昇する流動化ガスを供給する流動化ガス供給装置と、
前記灰層の上方に配置された上部電極と、
前記ガス分散板と同一面又は前記ガス分散板より上方の前記灰層内に配置された下部電極と、
前記上部電極及び前記下部電極のうち一方をマイナス電極とし他方をプラス電極としてこれらの電極間に電界を生じさせるように前記上部電極と前記下部電極の電極間に電圧を印加する電源装置と、
前記灰層の表面から前記上部電極へ向けて飛び出した前記導電性粒子を捕捉する捕捉装置と、
コントローラとを更に備え、
前記コントローラは、計測された灰中未燃分濃度を取得し、計測された前記第1粉体の灰中未燃分濃度が所定の第1閾値以上となるように、又は、計測された前記第2粉体の灰中未燃分濃度が所定の第2閾値以下となるように、前記灰層への前記灰の供給量、電極間に印加される電圧、前記捕捉装置の捕捉速度、前記振動体の振動速度及び振幅、並びに、前記ガス分散板の傾斜角度のうち少なくとも1つを調整する、
請求項6又は7に記載の静電分離装置。
【請求項9】
第1反射光強度指標及び第2反射光強度指標をそれぞれ灰の反射光の光強度を表す指標とし、灰の特性データは、前記灰の前記第1反射光強度指標、及び、前記灰の前記第2反射光強度指標と灰中未燃分濃度の相関情報を含み、複数件の前記特性データを記憶装置に記憶すること、
対象灰の前記第1反射光強度指標を取得し、前記記憶装置に記憶された複数件の前記特性データのなかから前記対象灰と前記第1反射光強度指標が一致又は相似する1つの前記特性データを選択すること、及び、
前記対象灰の前記第2反射光強度指標を取得し、選択された前記特性データ中の前記相関情報を用いて、前記対象灰の前記第2反射光強度指標と対応する灰中未燃分濃度を前記対象灰の灰中未燃分濃度として算出すること、を含む、
灰中未燃分濃度計測方法。
【請求項10】
前記対象灰に対して光を照射し、分光器で前記対象灰の反射光を前記複数の波長に分光して波長ごとの反射光強度を測定すること、
測定された前記対象灰の複数の波長の反射光強度に基づいて前記第1反射光強度指標と前記第2反射光強度指標とを算出することを、更に含む、
請求項9に記載の灰中未燃分濃度計測方法。
【請求項11】
前記第1反射光強度指標が、前記対象灰の反射率を前記反射率の平均値で除することによって標準化された反射率のスペクトルである、
請求項9又は10に記載の灰中未燃分濃度計測方法。
【請求項12】
前記第2反射光強度指標が、前記対象灰について測定された反射光強度を標準白色板について測定された反射光強度で除して得られた反射率である、
請求項9又は10に記載の灰中未燃分濃度計測方法。
【請求項13】
前記特性データは、燃料種に関する情報を更に含み、
選択された前記特性データ中の前記燃料種を前記対象灰の燃料種と推定することを、更に含む、
請求項9又は10に記載の灰中未燃分濃度計測方法。
【請求項14】
前記対象灰について、強熱により発生するガスを分析すること又は強熱後の重量を計測することにより灰中未燃分濃度を計測すること、及び、
前記計測された灰中未燃分濃度で、前記記憶装置に記憶された前記対象灰の前記特性データ、又は、前記対象灰と対応する燃料種の灰の前記特性データを修正すること、を更に含む、
請求項9又は10に記載の灰中未燃分濃度計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、石炭などの燃料の燃焼により発生した灰中に残存する未燃分の質量割合(以下、「灰中未燃分濃度」と称する)を計測する灰中未燃分濃度計測システム及び方法、並びに、灰中未燃分濃度計測システムを具備する静電分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、灰に光を照射し、反射光の強さから灰の明度を測定し、灰の明度に基づいて灰中未燃分濃度を求める、灰中未燃分濃度の計測方法が提案されている。特許文献1は、この種の灰中未燃分濃度計測システムを開示する。
【0003】
特許文献1の灰の色計測装置(これは、灰中未燃分濃度計測システムと対応する)は、ろ紙に吸着された灰に対し投光する光源と、反射光を検知して反射光の明度に応じた出力を出す反射光用センサと、反射光用センサの出力から灰の明度を判断する色判断手段と、灰の明度と灰中未燃分濃度との相関情報から灰中未燃分濃度を演算する演算装置とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2-130453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃料が燃焼して生じる灰の色は、燃料の種類(即ち、組成)に影響を受ける。そのため、明度が等しい灰であっても、灰中未燃分濃度が異なることがある。よって、特許文献1の灰中未燃分濃度計測システムでは、燃料又は灰の種類に応じて適切な灰の明度と灰中未燃分との相関情報を選択しなければ、求めた灰中未燃分濃度の値の信頼性が低下するおそれがある。
【0006】
本開示は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料の種類の変動に影響されず、信頼性のある灰中未燃分濃度の測定を行い得る技術を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る灰中未燃分濃度計測システムは、
第1反射光強度指標及び第2反射光強度指標をそれぞれ灰の反射光の光強度を表す指標とし、灰の特性データは、前記灰の前記第1反射光強度指標、及び、前記灰の前記第2反射光強度指標と灰中未燃分濃度の相関情報を含み、複数の前記特性データを記憶した記憶装置と、
対象灰の前記第1反射光強度指標を取得し、前記記憶装置に記憶された複数の前記特性データの中から、前記対象灰と前記第1反射光強度指標が一致又は相似する1つの前記特性データを選択する選択部と、前記対象灰の前記第2反射光強度指標を取得し、選択された前記特性データ中の前記相関情報を用いて、前記対象灰の前記第2反射光強度指標と対応する灰中未燃分濃度を前記対象灰の灰中未燃分濃度として算出する灰中未燃分濃度算出部とを有する演算装置と、を備えるものである。
【0008】
本開示の一態様に係る静電分離装置は、
導電性粒子及び絶縁性粒子が混在する灰からなる灰層と、
前記灰から静電分離によって分離された前記導電性粒子を含む第1粉体が回収される導電性粒子回収容器と、
前記灰から前記第1粉体が取り除かれた第2粉体が回収される絶縁性粒子回収容器と、
前記第1粉体及び前記第2粉体のうち少なくとも一方の灰中未燃分濃度を計測する、前記灰中未燃分濃度計測システムとを、備えるものである。
【0009】
本開示の一態様に係る灰中未燃分濃度計測方法は、
第1反射光強度指標及び第2反射光強度指標をそれぞれ灰の反射光の光強度を表す指標とし、灰の特性データは、前記灰の前記第1反射光強度指標、及び、前記灰の前記第2反射光強度指標と灰中未燃分濃度の相関情報を含み、複数の前記特性データを記憶装置に記憶すること、
対象灰の前記第1反射光強度指標を取得し、前記記憶装置に記憶された複数の前記特性データのなかから前記対象灰と前記第1反射光強度指標が一致又は相似する1つの前記特性データを選択すること、及び、
前記対象灰の前記第2反射光強度指標を取得し、選択された前記特性データ中の前記相関情報を用いて、前記対象灰の前記第2反射光強度指標と対応する灰中未燃分濃度を前記対象灰の灰中未燃分濃度として算出すること、を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、燃料の種類の変動に影響されず、信頼性のある灰中未燃分濃度の測定を行い得る技術を提案できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る灰中未燃分濃度計測システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、灰中未燃分濃度計測方法の処理の流れ図である。
図3図3は、反射率波形の一例を示す図である。
図4図4は、標準化された反射率波形の一例を示す図である。
図5図5は、本開示の一実施形態に係る静電分離装置の全体的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本開示の一実施形態に係る灰中未燃分濃度計測システム6の概略構成を示す図である。灰中未燃分濃度計測システム6は、石炭灰などの燃料の燃焼により発生した灰の灰中未燃分濃度を測定するものである。灰中未燃分濃度とは、灰中に残存する未燃分の質量割合である。
【0013】
〔灰中未燃分濃度計測システム6の概略構成〕
灰中未燃分濃度計測システム6は、測定装置5と演算装置71と記憶装置73とを備える。測定装置5は、灰81の反射光の光強度(以下、「反射光強度」と称する)を測定する。なお、反射には、鏡面反射、拡散反射、内部反射などの形態があり、特に限定されるわけではないが、拡散反射、或いは、拡散反射及び鏡面反射による反射光が灰中未燃分濃度の計測に利用されてよい。
【0014】
演算装置71は、測定された灰81の波長ごとの反射光強度に基づいて、第1反射光強度指標I1及び第2反射光強度指標I2を求め、第1反射光強度指標I1及び第2反射光強度指標I2を利用して灰81の灰中未燃分濃度を求める。第1反射光強度指標I1及び第2反射光強度指標I2は、いずれも、灰の反射光強度の大きさを表す指標である。第1反射光強度指標I1及び第2反射光強度指標I2に、同一の指標が採用されてもよい。第1反射光強度指標I1は、主に、計測対象である対象灰の燃料種を特定するために利用される。ここで、対象灰とは、測定対象の灰を意味する。また、第2反射光強度指標I2は、主に、対象灰の灰中未燃分濃度を特定するために利用される。
【0015】
演算装置71は、測定された対象灰の反射光強度に基づいて第1反射光強度指標I1、及び第2反射光強度指標I2を求める指標演算部711と、予め与えられた複数件の特性データのなかから対象灰の特性データを選択する選択部712と、対象灰の灰中未燃分濃度を算出する灰中未燃分濃度算出部713と、対象灰の燃料種を推定する燃料種推定部714との各機能部を有する。これらの機能部は、演算装置71のプロセッサが所定のプログラムを実行することによって演算装置71上で実現される。これらの機能部の処理については後ほど詳細に説明する。
【0016】
測定装置5は、測定ケース61と、測定ケース61内に配置されたステージ62、光源63、受光部64、及び標準白色板65と、分光器68と、アクチュエータ66とを備える。光ファイバ67の先端部が受光部64となっていて、受光部64で受け取った光は光ファイバ67を介して分光器68へ伝送される。
【0017】
測定ケース61の内部は暗室となっている。測定ケース61内の上部には、光源63と受光部64とが配置されている。光源63からの光の照射領域にステージ62が配置されている。ステージ62には灰81が供給される。灰81は、例えば管路を気流搬送又は自重搬送されている灰の一部が抜き出されて、サンプリング配管などを通じてステージ62上へ供給されたものである。灰81の量は予め定められていてよい。
【0018】
光源63としては、波長帯域が比較的広く、出力が一定であるものが望ましい。このような光源63として、白熱灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザー励起光源、及び、マルチチップLEDなどが例示される。
【0019】
受光部64は、ステージ62及びステージ62上の灰81からの反射光を受光できるように配置されている。受光部64には、光源63が照射した光がステージ62、灰81、又は標準白色板65ではね返って入射する。受光部64に入射した光は、光ファイバ67を通じて分光器68へ伝送される。分光器68は、反射光を波長ごとに分光して、波長ごとの光強度を測定する。分光器68は、光源63の波長帯域と対応したものが採用される。例えば、光源63が白熱灯である場合、約400乃至850nmの波長帯域において4nmごとの光強度が測定されてよい。或いは、約900乃至1700nmの赤外域において、4nmごとの光強度が測定されてよい。
【0020】
標準白色板65は、アクチュエータ66の動作によって、光源63の照射領域へ進出した位置と照射領域から後退した位置との間を往復移動可能である。標準白色板65が照射領域へ進出した位置にあるとき、標準白色板65に光が照射され、標準白色板65で反射した光が受光部64へ入射する。標準白色板65が照射領域から後退した位置にあるとき、標準白色板65には光は照射されず、ステージ62及びステージ62上の灰81に光が照射され、ステージ62又は灰81で反射した光が受光部64へ入射する。なお、標準白色板65は、ステージ62と置き換えできるように構成されていてもよい。
【0021】
演算装置71は、測定装置5の動作の制御と、灰中未燃分濃度を求める演算とを行う。表示装置72は演算装置71と接続されており、演算装置71での演算結果が表示装置72で表示出力される。記憶装置73は、演算装置71と情報の書き込みと読み出しが可能に接続されている。
【0022】
記憶装置73には、演算装置71が灰中未燃分濃度の演算で用いる情報が記憶されたデータベース76が構築されている。データベース76には、複数件の特性データが格納されている。各特性データは、識別情報と、灰の燃料種と、灰の第1反射光強度指標I1と、灰の第2反射光強度指標I2と灰中未燃分濃度の相関情報とを含む。演算装置71は、特性データをデータベース76から読み出すことができる。データベース76は、演算装置71と通信ネットワークを介して通信可能に接続されたサーバ75に構築されていてもよい。サーバ75に格納された情報は、演算装置71だけではなく、他の情報端末からも読み出し可能である。
【0023】
特性データに含まれる「燃料種」は、灰を生じさせた燃料の種類に係る情報である。燃料種として、石炭採掘炭鉱名(即ち、産地)、石炭の炭質(無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、及び褐炭などの炭種)、バイオマス燃料の種類、などが例示される。このように特性データに燃料種が含まれることから、燃料種を推定することができる。
【0024】
特性データに含まれる「第1反射光強度指標I1」は、反射光強度、又は、反射光強度に相関する値である。このような第1反射光強度指標I1は、反射光強度、較正された反射光強度、反射率、及び、標準化された反射率のうちいずれかのスペクトルであってよい。スペクトルは、縦軸を指標値とし、横軸を波長とし、複数の波長の指標値を波長の長さに従って配列したものである。ここで、指標値は、反射光強度、較正された反射光強度、反射率、又は、標準化された反射率である。或いは、第1反射光強度指標I1は、反射光強度の代替値のスペクトルであってもよい。反射光強度の代替値とは、反射光強度を直接的に表すものではないが、反射光強度を間接的に表す値である。
【0025】
第1反射光強度指標I1は燃料種ごとに異なり、同じ燃料種では第1反射光強度指標I1は一致又は相似することが分かっている。そのため、既知の燃料種の第1反射光強度指標I1なかから、対象灰の第1反射光強度指標I1と形状が一致又は相似するものを探索し、探索結果に基づいて対象灰の燃料種を推定することが可能である。
【0026】
較正された反射光強度は、測定された灰の反射光強度と、標準白色板の反射光強度を用いて、次式1で求められる。
<式1>較正された反射光強度=標準白色板の反射光強度-灰の反射光強度
【0027】
反射率は、測定された灰の反射光強度と、標準白色板の反射光強度とから、次式2で求められる。
<式2>反射率=灰の反射光強度÷標準白色板の反射光強度
【0028】
標準化された反射率は、測定された反射率と、反射率の平均値と、任意の係数Kを用いて、次式3で求められる。反射率の平均値は、測定した波長帯域の反射率の平均値である。係数Kは、正の数であればよく、例えば2である。また、係数Kは、波長に応じて異なる数であってもよい。
<式3>標準化された反射率=反射率÷(反射率の平均値×K)
【0029】
第1反射光強度指標I1が反射光強度スペクトルの場合、横軸を波長とし縦軸を反射光強度とし、複数の波長の反射光強度を波長の長さに従って配列したものが第1反射光強度指標I1として採用される。また、第1反射光強度指標I1が較正された反射光強度スペクトルの場合、横軸を波長とし縦軸を較正された反射光強度とし、複数の波長の較正された反射光強度を波長の長さに従って配列したものが第1反射光強度指標I1として採用される。また、第1反射光強度指標I1が反射率スペクトルの場合、横軸を波長とし縦軸を反射率とし、複数の波長の反射率を波長の長さに従って配列したものが第1反射光強度指標I1として採用される。また、第1反射光強度指標I1が標準化された反射率スペクトルの場合、横軸を波長とし縦軸を標準化された反射率とし、複数の波長の標準化された反射率を波長の長さに従って配列したものが第1反射光強度指標I1として採用される。第1反射光強度指標I1は上記のうちいずれが採用されてもよいが、第1反射光強度指標I1はスペクトル形状の比較のために用いられることから、燃料種に関わらずスペクトルの平均値が実質的に同一となるように標準化された反射率スペクトルが第1反射光強度指標I1として採用されることが好ましい。なお、燃料種比較のために、標準化された反射率の中の最大値が同一となるように調整された反射率スペクトルが採用されてもよい。
【0030】
第1反射光強度指標I1は、試験により求めることができる。例えば、測定装置5で測定された反射光強度の値又はその値を用いて第1反射光強度指標求めることができる。
【0031】
特性データに含まれる「第2反射光強度指標I2と灰中未燃分濃度の相関情報」は、第2反射光強度指標I2と灰中未燃分濃度の関係を表す情報である。灰中未燃分の濃度に比例して反射光強度が小さくなる傾向を示すため、同一の燃料種同士では、反射光強度が小さいほど灰中未燃分濃度が大きい。このことから、既知の第2反射光強度指標I2と灰中未燃分濃度の相関情報を用いることによって、測定された第2反射光強度指標I2から灰中未燃分濃度を推定できる。
【0032】
相関情報は、例えば、灰中未燃分濃度が既知の灰についての第2反射光強度指標I2と灰中未燃分濃度の関係を示した検量線である。但し、相関情報は検量線に限定されず、第2反射光強度指標I2と灰中未燃分濃度の関係が式やテーブルで表されたものであってもよい。第2反射光強度指標I2と灰中未燃分濃度の相関情報は試験により得られる。なお、灰中未燃分濃度の算出に用いられる第2反射光強度指標I2の値は、測定された第2反射光強度指標I2の最大値であってもよいし、測定された第2反射光強度指標I2の所定の波長帯域の積算値であってもよいし、測定された所定の波長の第2反射光強度指標I2であってもよい。
【0033】
第2反射光強度指標I2は、反射光強度、又は、反射光強度に相関する値である。このような第2反射光強度指標I2は、反射光強度、較正された反射光強度、標準化された反射率、又は、反射率であってよい。但し、第2反射光強度指標I2は光強度に基づいて灰中未燃分濃度を求めるために用いられることから、第2反射光強度指標I2として反射率又は較正された反射光強度が採用されることが好ましい。
【0034】
〔灰中未燃分濃度計測方法〕
ここで、上記構成の灰中未燃分濃度計測システム6を用いた灰中未燃分濃度計測方法について説明する。図2は、灰中未燃分濃度計測方法の処理の流れ図である。
【0035】
測定装置5のステージ62では、定常的に、アクチュエータ66によって標準白色板65が光源63の照射領域へ進出した状態とされたうえ、灰81が供給される。これにより、ステージ62に供給されている灰81と、光源63及び受光部64とは、標準白色板65によって隔離される。なお、光源63、受光部64、及び標準白色板65の各々は適時にエアパージクリーニングされる。
【0036】
任意のタイミングに、測定装置5で、標準白色板65の反射光の波長ごとの反射光強度、即ち、反射光強度スペクトルを測定する(ステップS1)。予め設定された時刻に反射光強度スペクトルが測定されるように、測定装置5が制御されてもよい。そして、標準白色板65について、光源63による照射、及び、分光器68による分光解析がm回繰り返される。測定された標準白色板65の反射光強度が任意の閾値よりも低い場合、光源63の劣化が疑われることから、測定装置5に警告を出力して処理を終了する。一方、反射光強度が任意の閾値よりも高い場合、アクチュエータ66が動作して、標準白色板65は照射領域から退避した位置へ移動される。なお、標準白色板65への照射及び分光解析を行う場合に、標準白色板65をステージ62を覆う位置へ進出させるが、これに代えて、ステージ62と標準白色板65とが置換されてもよい。
【0037】
次に、測定装置5で、灰81の反射光の波長ごとの反射光強度、即ち、反射光強度スペクトルを測定する(ステップS2)。灰81について、光源63による照射、及び、分光器68による分光解析がn回繰り返される。測定が終われば、アクチュエータ66が動作して、標準白色板65は照射領域へ進出した位置へ移動されるとともに、ステージ62上の灰81は、測定ケース61から排出される。このあと、ステージ62はエアパージクリーニングされるとよい。
【0038】
演算装置71は、上記の一連の操作によって測定された標準白色板65の反射光強度スペクトル及び灰81の反射光強度スペクトルを取得する(ステップS3)。ここで、演算装置71は、m回測定された標準白色板65の反射光強度スペクトルの標準偏差と、n回測定された灰81の反射光強度スペクトルの標準偏差とを求め、標準偏差が所定の閾値よりも大きい場合には、光源63の劣化、各部へのエアパージ不足、ステージ62への灰供給状態不良等の測定装置5の不具合又は測定ミスが疑われることから表示装置72に警告を出力して、処理を終了する。演算装置71は、標準偏差が所定の閾値以下である場合には、処理を継続する。
【0039】
演算装置71の指標演算部711は、測定された灰81の反射光強度スペクトルから、反射率スペクトルを求める(ステップS4)。灰81の反射光強度を標準白色板65の反射光強度で除して求めた反射率では、測定された灰81の反射光強度から光源63の経時劣化の進捗段階による影響が除去されている。なお、反射率を求める際の灰81の各波長の反射光強度は、n回測定された反射光強度の平均値であってよい。同様に、標準白色板65の反射光の各波長の光強度は、m回測定された光強度の平均値であってよい。反射率スペクトルの一例が図3に示されている。
【0040】
また、演算装置71の指標演算部711は、反射率スペクトルから標準化された反射率スペクトルを求める(ステップS5)。標準化された反射率スペクトルの一例が図4に示されている。
【0041】
燃料種及び灰中未燃分濃度が既知の試験用の灰81について、上記ステップS1~S5の処理を行って、測定された標準白色板65の反射光強度スペクトル、測定された灰81の反射光強度スペクトル、灰81の反射率スペクトル、及び、灰81の標準化された反射率スペクトルを得る。試験用の灰81の識別情報と、燃料種と、灰中未燃分濃度と、測定された標準白色板65の反射光強度スペクトルと、測定された灰81の反射光強度スペクトルと、灰81の反射率スペクトルと、灰81の標準化された反射率スペクトルと、灰81の反射率スペクトルと灰中未燃分濃度の相関情報とは、試験用の灰81の特性データとして、識別情報に紐づけられてデータベース76に格納される。灰81の反射率スペクトルと灰中未燃分濃度の相関情報は、測定された試験用の灰81の反射率スペクトルと灰中未燃分濃度とから生成され得る。本実施形態では、特性データに含まれる情報のうち、灰81の標準化された反射率スペクトルが第1反射光強度指標I1として用いられ、灰81の反射率が第2反射光強度指標I2として用いられる。このようにしてデータベース76には、予め複数件の特性データが記憶されている。データベース76に蓄積された特性データは、実際の灰中未燃分濃度の計測結果に基づいて逐次追加又は更新されてよい。
【0042】
なお、試験用の灰81の灰中未燃分濃度は、未燃分分析装置77を用いて測定されてもよい。未燃分分析装置77では、試験用の灰81は試験容器に充填され、強熱前の灰81の質量が測定され、炉で強熱され、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素量は赤外線分析により計測され、強熱前の質量に対する発生二酸化炭素量の割合が灰中未燃分濃度として算出される。灰中未燃分濃度計測システム6では灰81の灰中未燃分濃度を短時間で連続的に計測することができるが、未燃分分析装置77では試験容器への充填、加熱炉への出し入れ操作、加熱時間などの計測作業に比較的時間を要する。また、未燃分分析装置77は、強熱後の発生ガスに対するガス分析(例えば、赤外線分析や蛍光X線分析等)などの測定方法だけに限定されず、例えば強熱減量試験法を適用してよい。なお、未燃分分析装置77は測定装置5に対して遠隔地に設置されていてもよい。
【0043】
図2に戻って、演算装置71の選択部712は、対象灰81の第1反射光強度指標I1と相関性の高い第1反射光強度指標I1を含む特性データをデータベース76の複数件の特性データの中から探索し(ステップS6)、該当する特性データ又はその識別情報を選択する(ステップS7)。本実施形態では、第1反射光強度指標I1として標準化された反射率スペクトルが用いられていることから、「相関性の高いスペクトル」とは、2つのスペクトルの形状が一致する又は相似することを意味する。また、相関性の高いスペクトルとは、2つのスペクトルの偏差が小さいことを意味する。対象灰81の第1反射光強度指標I1が機械学習済モデルによって分類されることによって、対象灰81の第1反射光強度指標I1と相関性の高い第1反射光強度指標I1を有する特性データが特定されてもよい。
【0044】
演算装置71の灰中未燃分濃度算出部713は、データベース76からステップS9で選択された特性データに含まれる第2反射光強度指標I2と灰中未燃分濃度の相関情報を読み出し(ステップS8)、この相関情報を利用して、対象灰81の第2反射光強度指標I2と対応する灰中未燃分濃度を対象灰81の灰中未燃分濃度として求める(ステップS9)。ここで、灰中未燃分濃度の算出のために、対象灰81の第2反射光強度指標I2のうち、特定の波長の第2反射光強度指標I2が利用されてもよいし、測定された全波長の第2反射光強度指標I2が利用されてもよい。
【0045】
演算装置71は、対象灰81について、求めた灰中未燃分濃度と、測定された反射光強度スペクトルと、反射率スペクトルと、標準化された反射率スペクトルとを含む新たな特性データを生成し、対象灰81の識別情報に紐づけてデータベース76に格納する。
【0046】
対象灰81の灰中未燃分濃度は、未燃分分析装置77においても計測されてよい。この場合、灰中未燃分濃度計測システム6で計測された灰中未燃分濃度と未燃分分析装置77で計測された灰中未燃分濃度とが比較され、灰中未燃分濃度計測システム6の計測精度が評価されてよい。また、未燃分分析装置77で計測された灰中未燃分濃度で、記憶装置73に記憶された対象灰81の特性データ、又は、対象灰81と対応する燃料種の灰の特性データが修正又は補正されてもよい。これにより、特性データが逐次適切に更新されて、灰中未燃分濃度計測システム6ではより高い精度で灰中未燃分濃度を計測することが可能となる。
【0047】
[灰中未燃分濃度計測システム6の適用例]
次に、灰中未燃分濃度計測システム6を静電分離装置1に適用した例を説明する。図5は、本開示の一実施形態に係る静電分離装置1の全体的な構成を示す図である。静電分離装置1は、導電性粒子16及び絶縁性粒子18が混在する灰81から、主に導電性粒子16を分離するものである。この静電分離装置1は、例えば、未燃炭素(導電性粒子16)と灰分(絶縁性粒子18)を含む石炭灰(灰81)から未燃炭素を分離するために用いられ得る。以下、静電分離装置1の構成について詳細に説明するが、灰中未燃分濃度計測システム6が適用される静電分離装置1の構成はこれに限定されず、灰中未燃分濃度計測システム6は灰81から導電性粒子16を静電分離する装置に広く適用することができる。
【0048】
〔静電分離装置1の構成〕
図5に示す静電分離装置1は、灰層15が形成された容器25と、灰層15の底部に配置されたガス分散板26と、ガス分散板26と同一面(又は、ガス分散板26より上方)の灰層15内に配置された少なくとも1つの振動体Vと、ガス分散板26を通じて灰層15を上昇する流動化ガス31を供給する流動化ガス供給装置29と、灰層15の上方に配置された上部電極22と、ガス分散板26と同一面(又は、ガス分散板26より上方)の灰層15内に配置された下部電極28と、捕捉装置50と、電源装置20と、コントローラ2とを備える。
【0049】
捕捉装置50として、コンベヤ式捕捉装置が採用されている。捕捉装置50は、無端状のコンベヤベルト51と、コンベヤベルト51の回転駆動装置55からなる。コンベヤベルト51は、不導体からなる。
【0050】
コンベヤベルト51の環の内側に上部電極22が配置されている。コンベヤベルト51は、環の外側の面を搬送面52としている。灰層15の上方且つ上部電極22の下方を「捕捉領域10」と規定する。回転するコンベヤベルト51は、搬送面52が下向きの姿勢で捕捉領域10を通過する。捕捉領域10を通過するコンベヤベルト51の搬送面52は、略水平であってよい。
【0051】
捕捉装置50は、粒子分離部材43を備える。粒子分離部材43の下方には、導電性粒子回収容器41が設けられている。粒子分離部材43は、例えば、へら状の部材であって、コンベヤベルト51に付着した粒子を掻き落とすことができる。へら状の粒子分離部材43として、スクレーパが例示される。但し、粒子分離部材43は、除電機能を有する部材であって、コンベヤベルト51に付着した粒子の除電を行うことにより、コンベヤベルト51から粒子を分離させるものであってもよい。除電機能を有する粒子分離部材43として、除電ブラシが例示される。
【0052】
容器25の底部には、多数の微小孔を有するガス分散板26が配置されている。ガス分散板26は、多孔板であってもよいし、多孔シートであってもよい。ガス分散板26の傾斜角度は可変であってよい。本開示ではガス分散板26として金属製のガス分散板が採用されており、ガス分散板26が下部電極28の機能を併せ備えている。容器25には、供給装置によって、導電性粒子16及び絶縁性粒子18が混在する灰81が供給される。容器25内に堆積した灰81によって、灰層15が形成される。
【0053】
灰81が容器25の第1側に連続的又は断続的に供給されることによって、灰81は容器25の第1側から反対側の第2側に向かって徐々に移動する。容器25の第2側には、容器25からオーバーフローした粒子(主に絶縁性粒子18)を回収する絶縁性粒子回収容器40が設けられている。
【0054】
容器25の下方には、風箱30が設けられている。風箱30には、流動化ガス供給装置29から流動化ガス31が供給される。流動化ガス31は、例えば、空気であってよい。流動化ガス31は、除湿されたガスであることが望ましい。流動化ガス31は、風箱30から前記容器25の底部から灰層15内へ導入され、ガス分散板26、下部電極28及び中間電極34を通過しながら灰層15を上昇する。
【0055】
ガス分散板26と同一面、又は、ガス分散板26より上方の灰層15内には、少なくとも1つの振動体Vが配置されている。振動体Vは加振装置35により加振され、振動体Vの振幅と振動速度が可変である。本実施形態においては、振動体Vはガス分散板26より上方の灰層15内に配置された金属製のメッシュ板で構成され、振動体Vは中間電極34としての機能を併せ備えている。但し、中間電極34が省略され、振動体Vのみが設けられていてもよい。
【0056】
電源装置20は、上下方向に対峙する上部電極22及び下部電極28の両電極間に電圧を印加することにより、上部電極22及び下部電極28のうち一方をマイナス(-)電極とし他方をプラス(+)電極とし両電極間に電界を生じさせる。本実施形態では、上部電極22がマイナス電極となり下部電極28がプラス電極となるように、電源装置20によって上部電極22にマイナス電圧が与えられ、下部電極28が接地されている。一例として、上部電極22と下部電極28との間隔が数十mm乃至数百mmである場合に、上部電極22と下部電極28との間に生じる電界の強度の絶対値は0.1乃至1.5kV/mm程度であってよい。
【0057】
また、電源装置20は、中間電極34がマイナス電極とプラス電極のうち下部電極28と同じ極性となるように、上部電極22と中間電極34の電極間に電圧を印加する。上部電極22と中間電極34の各々との電位差は、上部電極22と下部電極28との電位差以下であればよい。
【0058】
コントローラ2は静電分離装置1の動作を司る。具体的には、コントローラ2は電源装置20、回転駆動装置55、及び加振装置35と接続されており、これらに対して制御指令を出力する。コントローラ2は、適切な電界強度が得られるように電源装置20を動作させる。コントローラ2は、振動体Vの適切な振動速度及び振幅が得られるように加振装置35を動作させる。コントローラ2は、コンベヤベルト51の適切な回転速度が得られるように回転駆動装置55を動作させる。容器25への灰81の供給量が、コントローラ2によって制御されていてもよい。
【0059】
〔静電分離方法〕
ここで、上記構成の静電分離装置1を用いた静電分離方法を説明する。静電分離装置1では、上部電極22と下部電極28との間に生じた電界によって不導体(絶縁体・誘導体)であるコンベヤベルト51に誘電分極が生じ、コンベヤベルト51のうち捕捉領域10を通過する下向きの搬送面52に上部電極22と対応したマイナス又はプラスの電荷が発生する。本実施形態では、上部電極22がマイナス電極であるから、搬送面52にはマイナスの電荷が発生する。
【0060】
容器25内の灰層15は流動化ガス31によって流動化され、灰層15には上下及び左右方向の灰81の流れが生じている。つまり、灰層15は攪拌されている。この攪拌によって下部電極28及び/又は中間電極34と接触した導電性粒子16は下部電極28と対応したプラス又はマイナスに帯電する。本実施形態では、下部電極28がプラス電極であるから、導電性粒子16はプラスに帯電する。絶縁性粒子18(不導体)は、下部電極28と接触しても帯電しない。
【0061】
帯電した導電性粒子16は、灰81の流れによって灰層15の表層部まで移動して、コンベヤベルト51の下向きの搬送面52に静電気力によって引き付けられ、灰層15から飛び出して下向きの搬送面52に付着する。導電性粒子16は上部電極22へ直接に接触しないので、帯電した状態を維持でき、コンベヤベルト51の下向きの搬送面52に引き付けられた状態を継続することができる。
【0062】
上記のようにコンベヤベルト51の搬送面52に付着した導電性粒子16は、コンベヤベルト51の回転によって電界の外へ運ばれる。そして、導電性粒子16は、電界の外で粒子分離部材43によってコンベヤベルト51の搬送面52から剥がされて、導電性粒子回収容器41に回収される。
【0063】
一方、灰層15にある絶縁性粒子18は帯電していないため、コンベヤベルト51の下向きの搬送面52に静電気によって引き付けられることなく、灰層15内に留まる。容器25に投入された灰81は、容器25を第1側から第2側へ向かうに従って導電性粒子16の割合が低下し、絶縁性粒子18の割合が高まる。容器25の第2側に配置された絶縁性粒子回収容器40では、容器25からオーバーフローした絶縁性粒子18の割合が高い灰81が回収される。
【0064】
〔灰中未燃分濃度計測システム6の適用〕
上記構成の静電分離装置1は灰中未燃分濃度計測システム6を備え、灰中未燃分濃度計測システム6は絶縁性粒子回収容器40へ流入する粉体Cの灰中未燃分濃度を計測する。但し、灰中未燃分濃度計測システム6は、容器25へ流入する静電分離される前の灰81、及び、導電性粒子回収容器41へ流入する粉体Bのうち少なくとも一方の灰中未燃分濃度を更に計測するように構成されていてもよい。本開示に係る静電分離装置1の灰中未燃分濃度計測システム6は、灰81、粉体B、及び粉体Cの灰中未燃分濃度を計測することができる。
【0065】
灰中未燃分濃度計測システム6は、第1の測定装置5A、第2の測定装置5B、及び第3の測定装置5Cを備える。第1の測定装置5Aは、容器25へ流入する灰81をサンプリングして、灰81の反射光の波長ごとの光強度、即ち、光スペクトルを測定する。第2の測定装置5Bは、導電性粒子回収容器41へ流入する粉体Bをサンプリングして、粉体Bの反射光の波長ごとの光強度、即ち、光スペクトルを測定する。第3の測定装置5Cは、絶縁性粒子回収容器40へ流入する粉体Cをサンプリングして、粉体Cの反射光の波長ごとの光強度、即ち、光スペクトルを測定する。演算装置71は、第1乃至第3の測定装置5A,5B,5Cから反射光の波長ごとの光強度に係る情報を取得して、灰81、粉体B、及び粉体Cの各々の灰中未燃分濃度を求め、表示装置72に表示出力する。
【0066】
粉体Bは、導電性粒子16である未燃炭素を多く含む。粉体Cは、絶縁性粒子18である灰分を多く含む。従って、静電分離装置1によって灰81が適切に静電分離されている場合は、粉体Cの灰中未燃分濃度は、原料の灰中未燃分濃度よりも低く、且つ、粉体Bの灰中未燃分濃度よりも低い。粉体Cの灰中未燃分濃度が所定の閾値よりも高い場合は、静電分離が十分に行われておらず、粉体Cに多くの導電性粒子16が混入していることが推定される。一方で、粉体Bの灰中未燃分濃度が所定の閾値よりも低い場合は、粉体Bに多くの絶縁性粒子18が混入していることが推定される。
【0067】
作業者は、表示装置72に表示された灰81、粉体B、及び粉体Cの各々の灰中未燃分濃度に基づいて、適切な静電分離が行われるように、静電分離装置1で行われる静電分離に影響を与える制御パラメータを調整することができる。静電分離装置1の制御パラメータには、灰81の供給量、電界強度、コンベヤベルト51の搬送速度、並びに、振動体Vの振動速度及び振幅などが含まれる。
【0068】
或いは、灰中未燃分濃度計測システム6で計測された灰81、粉体B、及び粉体Cの灰中未燃分濃度に係る情報はコントローラ2へ伝達され、コントローラ2が灰81、粉体B、及び粉体Cの灰中未燃分濃度に基づいて適切な静電分離が行われるように静電分離装置1の制御パラメータを自動調整してもよい。この場合、コントローラ2は、粉体Bの灰中未燃分濃度が所定の第1閾値以上となるように、静電分離装置1の制御パラメータを調整してよい。或いは、コントローラ2は、粉体Cの灰中未燃分濃度が所定の第2閾値以下となるように、静電分離装置1の制御パラメータを調整してよい。或いは、コントローラ2は、粉体Cの灰中未燃分濃度を灰81の灰中未燃分濃度で除した値が所定の第3閾値以下となるように、静電分離装置1の制御パラメータを調整してよい。
【0069】
〔総括〕
以上に説明した通り、本開示の第1の項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6は、
第1反射光強度指標I1及び第2反射光強度指標I2をそれぞれ灰81の反射光の光強度を表す指標とし、灰81の特性データは、灰81の第1反射光強度指標I1、及び、灰81の第2反射光強度指標I2と灰中未燃分濃度の相関情報を含み、複数件の特性データを記憶した記憶装置73と、
対象灰81の第1反射光強度指標I1を取得し、記憶装置73に記憶された複数件の特性データの中から、対象灰81と第1反射光強度指標I1が一致又は相似する1つの特性データを選択する選択部712と、対象灰81の第2反射光強度指標I2を取得し、選択された特性データ中の相関情報を用いて、対象灰81の第2反射光強度指標I2と対応する灰中未燃分濃度を対象灰81の灰中未燃分濃度として算出する灰中未燃分濃度算出部713とを有する演算装置71と、を備えるものである。
【0070】
本開示の第2の項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6は、第1の項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6において、
灰81に対して光を照射する光源63と、灰81の反射光を複数の波長に分光して波長ごとの反射光強度を測定する分光器68とを有する測定装置5を、更に備え、
演算装置71は、測定装置5で測定された対象灰81の複数の波長の反射光強度を取得し、複数の波長の反射光強度に基づいて対象灰81の第1反射光強度指標I1と第2反射光強度指標I2とを算出する指標演算部711を更に有するものである。
【0071】
また、本開示の第9の項目に係る灰中未燃分濃度計測方法は、
第1反射光強度指標I1及び第2反射光強度指標I2をそれぞれ灰81の反射光の光強度を表す指標とし、灰81の特性データは、灰81の第1反射光強度指標I1、及び、灰81の第2反射光強度指標I2と灰中未燃分濃度の相関情報を含み、複数件の特性データを記憶装置73に記憶すること、
対象灰81の第1反射光強度指標I1を取得し、記憶装置73に記憶された複数件の特性データのなかから対象灰81と第1反射光強度指標I1が一致又は相似する1つの特性データを選択すること、及び、
対象灰81の第2反射光強度指標I2を取得し、選択された特性データ中の相関情報を用いて、対象灰81の第2反射光強度指標I2と対応する灰中未燃分濃度を対象灰81の灰中未燃分濃度として算出すること、を含むものである。
【0072】
また、本開示の第10の項目に係る灰中未燃分濃度計測方法は、第9の項目に係る灰中未燃分濃度計測方法において、
対象灰81に対して光を照射し、分光器68で対象灰81の反射光を複数の波長に分光して波長ごとの反射光強度を測定すること、
測定された対象灰81の複数の波長の反射光強度に基づいて第1反射光強度指標I1と第2反射光強度指標I2とを算出することを、更に含むものである。
【0073】
第1及び第2の項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6、並びに、第9及び第10の項目に係る灰中未燃分濃度計測方法によれば、対象灰の反射光強度特性に基づいて対象灰の特性データが特定され、当該特性データに含まれる相関情報を用いて測定された光強度から対象灰の灰中未燃分濃度が算出される。よって、灰の種類の変動に影響されずに、対象灰に対応した相関関係を用いて灰中未燃分濃度を算出することができるので、灰中未燃分濃度を灰採取から短時間で算定できる。
【0074】
なお、上記の灰中未燃分濃度計測システム6の測定装置5、演算装置71、及び、記憶装置73は一箇所に集中して配置されていてもよい。或いは、上記の灰中未燃分濃度計測システム6の測定装置5、演算装置71、及び、記憶装置73は、分散して配置されて、通信ネットワークを介して通信可能に接続されていてもよい。また、演算装置71の機能の少なくとも一部分がクラウドサービスにより提供されてもよい。この場合、コンピュータからアクセスを受けたクラウドサーバが所定のプログラムを実行することによって演算装置71として機能し、コンピュータへ灰中未燃分濃度計測結果を返してもよい。演算装置71は、灰中未燃分濃度計測結果をクラウドストレージに保存してもよい。
【0075】
本開示の第3の項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6は、第1又は2の項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6において、第1反射光強度指標I1が、対象灰81の反射率を反射率の平均値で除することによって標準化された反射率のスペクトルであるものである。
【0076】
また、本開示の第11の項目に係る灰中未燃分濃度計測方法は、第9又は10の項目に係る灰中未燃分濃度計測方法において、第1反射光強度指標I1が、対象灰81の反射率を反射率の平均値で除することによって標準化された反射率のスペクトルであるものである。
【0077】
第3の項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6及び第11の項目に係る灰中未燃分濃度計測方法によれば、第1反射光強度指標I1として標準化された反射率が用いられることによって、比較的単純な方法で反射光強度指標を得ることができる。また、第1反射光強度指標I1のスペクトルとして標準化された反射率スペクトルが用いられることによって、スペクトルの形状の比較が容易である。
【0078】
本開示の第4の項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6は、第1乃至3のいずれかの項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6において、第2反射光強度指標I2が、対象灰81について測定された反射光強度を標準白色板65について測定された反射光強度で除して得られた反射率であるものである。
【0079】
また、本開示の第12の項目に係る灰中未燃分濃度計測方法は、第9乃至11のいずれかの項目に係る灰中未燃分濃度計測方法において、第2反射光強度指標I2が、対象灰81について測定された反射光強度を標準白色板65について測定された反射光強度で除して得られた反射率であるものである。
【0080】
第4の項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6及び第12の項目に係る灰中未燃分濃度計測方法によれば、第2反射光強度指標I2として反射率が用いられることによって、比較的単純な方法で反射光強度指標を得ることができる。また、第2反射光強度指標I2として反射率が用いられることによって、測定された反射光強度スペクトルに含まれる灰81の反射光以外の要素が除かれた情報が用いられるので、灰81の反射光強度の度合いをより正確に捉えることができる。
【0081】
本開示の第5の項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6は、第1乃至4のいずれかの項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6において、特性データは、燃料種に関する情報を更に含み、演算装置71は、選択された特性データ中の燃料種を対象灰81の燃料種と推定する燃料種推定部714を更に有するものである。
【0082】
また、本開示の第13の項目に係る灰中未燃分濃度計測方法は、第9乃至12のいずれかの項目に係る灰中未燃分濃度計測方法において、特性データは、燃料種に関する情報を更に含み、選択された特性データ中の燃料種を対象灰81の燃料種と推定することを、更に含むものである。
【0083】
第5の項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6及び第13の項目に係る灰中未燃分濃度計測方法によれば、対象灰81の燃料種を特定することができるので、灰81の次のプロセスにおいて灰81の燃料種に応じた制御を行うことができる。
【0084】
本開示の第14の項目に係る灰中未燃分濃度計測方法は、第9乃至13のいずれかの項目に係る灰中未燃分濃度計測方法において、対象灰81について、強熱により発生するガスを分析すること又は強熱後の重量を計測することにより灰中未燃分濃度を計測すること、及び、計測された灰中未燃分濃度で、記憶装置73に記憶された対象灰81の特性データ、又は、対象灰81と対応する燃料種の灰の特性データを修正すること、を更に含むものである。
【0085】
第14の項目に係る灰中未燃分濃度計測方法によれば、特性データが逐次適切に更新されて、より高い精度で反射光強度に基づいて灰中未燃分濃度を計測することが可能となる。
【0086】
本開示の第6の項目に係る静電分離装置1は、
導電性粒子16及び絶縁性粒子18が混在する灰81からなる灰層15と、
灰81から静電分離によって分離された導電性粒子16を含む第1粉体Bが回収される導電性粒子回収容器41と、
灰81から第1粉体Bが取り除かれた第2粉体Cが回収される絶縁性粒子回収容器40と、
第1粉体B及び第2粉体Cのうち少なくとも一方の灰中未燃分濃度を計測する、第1乃至5のいずれかの項目に係る灰中未燃分濃度計測システム6とを、備えるものである。
【0087】
本開示の第7の項目に係る静電分離装置1は、第6の項目に係る静電分離装置1において、灰中未燃分濃度計測システム6が、灰81の灰中未燃分濃度を更に計測するものである。
【0088】
第6及び第7の項目に係る静電分離装置1によれば、静電分離装置1で分離回収される第1粉体B、第2粉体Cの灰中未燃分濃度を灰中未燃分濃度計測システム6を用いてオンラインで監視することが可能となる。静電分離装置1では、供給される灰81の種類によって分離性能が大幅に変動するが、測定された灰中未燃分濃度に基づいて静電分離装置1の適正な運転条件を連続的にフィードバックすることが可能となる。
【0089】
本開示の第8の項目に係る静電分離装置1は、第6又は7の項目に係る静電分離装置1において、
灰層15の底部に配置されたガス分散板26と、
ガス分散板26より上方の灰層15内に配置された少なくとも1つの振動体Vと、
ガス分散板26を通じて灰層15を上昇する流動化ガス31を供給する流動化ガス供給装置29と、
灰層15の上方に配置された上部電極22と、
ガス分散板26と同一面又はガス分散板26より上方の灰層内に配置された下部電極28と、
上部電極22及び下部電極28のうち一方をマイナス電極とし他方をプラス電極としてこれらの電極間に電界を生じさせるように上部電極22と下部電極28の電極間に電圧を印加する電源装置20と、
灰層15の表面から上部電極22へ向けて飛び出した導電性粒子16を捕捉する捕捉装置50と、
コントローラ2とを更に備え、
コントローラ2は、計測された灰中未燃分濃度を取得し、計測された第1粉体Bの灰中未燃分濃度が所定の第1閾値以上となるように、又は、計測された第2粉体Cの灰中未燃分濃度が所定の第2閾値以下となるように、灰層15への灰81の供給量、電極間に印加される電圧、捕捉装置50の捕捉速度、振動体Vの振動速度及び振幅、並びに、ガス分散板26の傾斜角度のうち少なくとも1つを調整するように構成されたものである。
【0090】
第8の項目に係る静電分離装置1によれば、計測された粉体の灰中未燃分濃度に応じて適正な運転条件となるように制御パラメータが自動的に調整される。よって、静電分離装置1において所望の分離性能を自動的に維持することが可能となり、ひいては静電分離装置1の遠隔操作の実現に寄与することができる。
【0091】
本明細書で開示する演算装置71及びコントローラ2について、これらのデバイスの機能は、開示された機能を実行するように構成又はプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせを含む回路、又は、処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見做される。本開示において、回路、ユニット、又は手段は、列挙された機能を実行するハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、或いは、列挙された機能を実行するようにプログラム又は構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサの構成に使用される。
【0092】
本開示の前述の議論は、例示及び説明の目的で提示されたものであり、本開示を本明細書に開示される形態に限定することを意図するものではない。例えば、前述の詳細な説明では、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で1つの実施形態にまとめられている。但し、本開示に含まれる複数の特徴は、上記で論じたもの以外の代替の実施形態、構成、又は態様に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 :静電分離装置
2 :コントローラ
5 :測定装置
6 :灰中未燃分濃度計測システム
15 :灰層
16 :導電性粒子
18 :絶縁性粒子
20 :電源装置
22 :上部電極
25 :容器
26 :ガス分散板
28 :下部電極
29 :流動化ガス供給装置
31 :流動化ガス
40 :絶縁性粒子回収容器
41 :導電性粒子回収容器
50 :捕捉装置
63 :光源
68 :分光器
71 :演算装置
711 :指標演算部
712 :選択部
713 :灰中未燃分濃度算出部
714 :燃料種推定部
73 :記憶装置
81 :灰
B :第1粉体
C :第2粉体
V :振動体
図1
図2
図3
図4
図5