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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094819
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】取付部材
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20240703BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20240703BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20240703BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20240703BHJP
   H05K 7/20 20060101ALN20240703BHJP
【FI】
H05K7/12 B
H05K1/18 Z
H01L23/40 E
F16B5/02 E
H05K7/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211639
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 正幸
【テーマコード(参考)】
3J001
4E353
5E322
5E336
5F136
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001JA03
3J001KA00
3J001KB06
4E353AA06
4E353BB05
4E353BB07
4E353CC02
4E353CC12
4E353CC13
4E353CC16
4E353DD08
4E353DD11
4E353DR02
4E353DR24
4E353DR27
4E353DR36
4E353DR49
4E353GG17
4E353GG30
5E322AA11
5E322AB01
5E322AB04
5E336CC56
5E336DD21
5E336DD32
5E336EE15
5E336GG30
5F136EA01
5F136EA33
5F136EA40
5F136EA41
(57)【要約】
【課題】製造コストの増大を抑制しつつ、被取付部材へ電子部品を押し付ける押圧荷重を適正な押圧荷重にすることができる取付部材を提供する。
【解決手段】被取付部材に電子部品を取り付ける取付部材であって、予め決められた第1方向と直交し、前記電子部品と接触し、前記電子部品を前記被取付部材へ押し付ける第1端部と、前記第1方向において前記第1端部と対向する第2端部とを有する押圧部材を備え、前記押圧部材には、前記押圧部材が有する端部のうち前記第1端部及び前記第2端部と異なる2つの端部のうちの一方から前記第1方向と交差するように延伸する第1空隙が形成されている、取付部材。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材に電子部品を取り付ける取付部材であって、
予め決められた第1方向と直交し、前記電子部品と接触し、前記電子部品を前記被取付部材へ押し付ける第1端部と、前記第1方向において前記第1端部と対向する第2端部とを有する押圧部材を備え、
前記押圧部材には、前記押圧部材が有する端部のうち前記第1端部及び前記第2端部と異なる2つの端部のうちの一方から前記第1方向と交差するように延伸する第1空隙が形成されている、
取付部材。
【請求項2】
前記第1空隙は、前記第1方向と交差するように延伸した後に前記第1方向に延伸するように前記押圧部材に形成されている、
請求項1に記載の取付部材。
【請求項3】
前記押圧部材には、前記第1空隙に加えて、前記2つの端部のうちの他方から前記第1方向と交差するように延伸する第2空隙が形成されている、
請求項1に記載の取付部材。
【請求項4】
前記押圧部材には、前記第1空隙に加えて、前記2つの端部のうちの他方から前記第1方向と交差するように延伸する第2空隙が形成されている、
請求項2に記載の取付部材。
【請求項5】
前記第2空隙は、前記第1方向と交差するように延伸した後に前記第1方向に延伸するように前記押圧部材に形成されている、
請求項4に記載の取付部材。
【請求項6】
前記押圧部材には、前記第1空隙及び前記第2空隙に加えて、前記2つの端部の間において前記第1方向と交差する第3空隙が形成されており、
前記押圧部材の表面に沿って前記第1端部と前記第2端部とを繋ぐ仮想的な直線は、前記第1空隙、前記第2空隙、前記第3空隙の少なくとも1つと交差する、
請求項3に記載の取付部材。
【請求項7】
前記押圧部材には、前記第1空隙及び前記第2空隙に加えて、前記2つの端部の間において前記第1方向と交差する第3空隙が形成されており、
前記押圧部材の表面に沿って前記第1端部と前記第2端部とを繋ぐ仮想的な直線は、前記第1空隙、前記第2空隙、前記第3空隙の少なくとも1つと交差する、
請求項4に記載の取付部材。
【請求項8】
前記押圧部材には、前記第1空隙及び前記第2空隙に加えて、前記2つの端部の間において前記第1方向と交差する第3空隙が形成されており、
前記押圧部材の表面に沿って前記第1端部と前記第2端部とを繋ぐ仮想的な直線は、前記第1空隙、前記第2空隙、前記第3空隙の少なくとも1つと交差する、
請求項5に記載の取付部材。
【請求項9】
前記第3空隙には、前記第1方向と略平行に延伸するように形成された空隙が含まれている、
請求項6から8のうちいずれか一項に記載の取付部材。
【請求項10】
前記押圧部材に形成される空隙は、前記第1端部と前記第2端部とを前記押圧部材の上面に沿って最短で結ぶ最短経路の長さが、前記第1方向における長さのうち前記第1端部と前記第2端部とを接続する仮想的な線分の長さよりも長くなるように前記押圧部材に形成されている、
請求項3から8のうちいずれか一項に記載の取付部材。
【請求項11】
前記押圧部材に形成される空隙は、前記第1端部と前記第2端部とを前記押圧部材の上面に沿って最短で結ぶ最短経路の長さが、前記第1方向における長さのうち前記第1端部と前記第2端部とを接続する仮想的な線分の長さよりも長くなるように前記押圧部材に形成されている、
請求項9に記載の取付部材。
【請求項12】
前記最短経路は、前記第1方向と非平行な部分経路を含む、
請求項10に記載の取付部材。
【請求項13】
前記最短経路は、前記第1方向と非平行な部分経路を含む、
請求項11に記載の取付部材。
【請求項14】
固定部材により前記被取付部材に固定される被固定部材と、
前記被固定部材と前記押圧部材とを接続する接続部材と、
を備え、
前記第2端部は、前記接続部材と前記押圧部材との境界部分である、
請求項1に記載の取付部材。
【請求項15】
前記押圧部材と前記被固定部材とのそれぞれは、平板形状の部材であり、
前記押圧部材を含む仮想的な平面は、前記被固定部材を含む仮想的な平面と交差する、
請求項14に記載の取付部材。
【請求項16】
前記押圧部材と前記被固定部材とのそれぞれは、平板形状の部材であり、
前記押圧部材を含む仮想的な平面は、前記被固定部材を含む仮想的な平面に略含まれる、
請求項14に記載の取付部材。
【請求項17】
被取付部材に第1電子部品を取り付ける第1取付部材と、前記被取付部材に第2電子部品を取り付ける第2取付部材とを備え、
前記第1取付部材は、予め決められた第1方向と直交し、前記第1電子部品と接触し、前記第1電子部品を前記被取付部材へ押し付ける第1端部と、前記第1方向において前記第1端部と対向する第2端部とを有する第1押圧部材を備え、
前記第1押圧部材には、前記第1押圧部材が有する端部のうち前記第1端部及び前記第2端部と異なる2つの端部のうちの一方から前記第1方向と交差するように延伸する第1空隙が形成されている、
取付部材。
【請求項18】
前記第2取付部材は、前記第1方向と直交し、前記第2電子部品と接触し、前記第2電子部品を前記被取付部材へ押し付ける第3端部と、前記第1方向において前記第3端部と対向する第4端部とを有する第2押圧部材を備え、
前記第2押圧部材には、前記第2押圧部材が有する端部のうち前記第3端部及び前記第4端部と異なる2つの端部のうちの一方から前記第1方向と交差するように延伸する第2空隙が形成されている、
請求項17に記載の取付部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、取付部材に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品が取り付けられる放熱板、基板等の被取付部材へ電子部品を取り付ける方法についての研究、開発が行われている。
【0003】
これに関し、放熱板との間で電子部品を挟み、且つ、弾性力によって放熱板へ電子部品を押し付けて固定する板状の押圧辺部を有する取付部材が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03-010546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載されたような取付部材は、放熱板へ電子部品を押し付ける押圧荷重を予め決められた押圧荷重にするためには、押圧辺部の長さが短いほど、公差設定を厳しくする必要がある。これは、低コスト化の妨げとなることがあり、望ましくない。一方、当該取付部材は、押圧辺部の長さが長いほど、材料費が増大して低コスト化の妨げとなることに加えて、小型化の妨げにもなる。
【0006】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、製造コストの増大を抑制しつつ、被取付部材へ電子部品を押し付ける押圧荷重を適正な押圧荷重にすることができる取付部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、被取付部材に電子部品を取り付ける取付部材であって、予め決められた第1方向と直交し、前記電子部品と接触し、前記電子部品を前記被取付部材へ押し付ける第1端部と、前記第1方向において前記第1端部と対向する第2端部とを有する押圧部材を備え、前記押圧部材には、前記押圧部材が有する端部のうち前記第1端部及び前記第2端部と異なる2つの端部のうちの一方から前記第1方向と交差するように延伸する第1空隙が形成されている、取付部材である。
【0008】
また、本発明の一態様は、第1取付部材と、第2取付部材とを備え、前記第1取付部材と前記第2取付部材との少なくとも一方は、予め決められた第1方向と直交し、前記電子部品と接触し、前記電子部品を前記被取付部材へ押し付ける第1端部と、前記第1方向において前記第1端部と対向する第2端部とを有する押圧部材を備え、前記押圧部材には、前記押圧部材が有する端部のうち前記第1端部及び前記第2端部と異なる2つの端部のうちの一方から前記第1方向と交差するように延伸する第1空隙が形成されている、取付部材である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造コストの増大を抑制しつつ、被取付部材へ電子部品を押し付ける押圧荷重を適正な押圧荷重にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る取付部材1の構成の第1例を示す図である。
図2図1に示した押圧部材11の上面図である。
図3】取付部材1の構成の第2例を示す斜視図である。
図4】取付部材1の構成の第3例を示す斜視図である。
図5】取付部材1の構成の第4例を示す斜視図である。
図6】取付部材1の構成の第5例を示す斜視図である。
図7】実施形態の変形例に係る取付部材2の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
<取付部材の概要>
まず、本実施形態に係る取付部材の概要について説明する。
【0013】
実施形態に係る取付部材は、被取付部材に電子部品を取り付ける取付部材である。実施形態に係る取付部材は、押圧部材を備える。押圧部材は、第1端部と、第2端部を有する。第1端部は、予め決められた第1方向と直交し、電子部品と接触し、電子部品を被取付部材へ押し付ける端部のことである。第2端部は、前記第1方向において第1端部と対向する端部のことである。そして、押圧部材には、前記押圧部材が有する端部のうち前記第1端部及び前記第2端部と異なる2つの端部のうちの一方から第1方向と交差するように延伸する第1空隙が形成されている。
【0014】
これにより、実施形態に係る取付部材は、製造コストの増大を抑制しつつ、被取付部材へ電子部品を押し付ける押圧荷重を適正な押圧荷重にすることができる。
【0015】
以下では、実施形態に係る取付部材の構成について、詳しく説明する。
【0016】
<取付部材の構成>
まず、図1を参照し、実施形態に係る取付部材1の構成について説明する。図1は、実施形態に係る取付部材1の構成の第1例を示す図である。
【0017】
ここで、三次元座標系TCは、三次元座標系TCが描かれた図における方向を示す三次元直交座標系である。以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるX軸を、単にX軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるY軸を、単にY軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるZ軸を、単にZ軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、Z軸の正方向を上又は上方向と称し、Z軸の負方向を下又は下方向と称して説明する。
【0018】
取付部材1は、被取付部材へ電子部品を取り付ける部材である。ここで、被取付部材は、電子部品を取り付ける対象となる部材であれば、如何なる部材であってもよく、例えば、放熱板、基板等である。以下では、一例として、図1に示したように、取付部材1が被取付部材HSへ電子部品EPを取り付ける場合について説明する。
【0019】
被取付部材HSは、例えば、矩形状の放熱板である。なお、被取付部材HSは、放熱板に代えて、基板、電子部品EP以外の電子部品、図示しない筐体等であってもよい。
【0020】
電子部品EPは、例えば、トランジスタである。なお、電子部品EPは、トランジスタに代えて、他の電子部品であってもよい。
【0021】
取付部材1は、固定部材FXによって被取付部材HSに固定されている。換言すると、取付部材1は、固定部材FXによって被取付部材HSに取り付けられている。図1に示した例では、固定部材FXは、ねじであるが、被取付部材HSへ取付部材1を固定可能な他の部材であってもよい。
【0022】
取付部材1は、押圧部材11と、把持部材12と、被固定部材13と、接続部材14を備える。なお、取付部材1は、把持部材12と、被固定部材13と、接続部材14とのうちの少なくとも1つを備えない構成であってもよい。
【0023】
押圧部材11は、第1端部E1と、第2端部E2を有する部材である。第1端部E1は、押圧部材11が有する端部のうち、予め決められた第1方向と直交し、電子部品EPと接触し、電子部品EPを被取付部材HSへ押し付ける端部のことである。第2端部E2は、押圧部材11が有する端部のうち、第1方向において第1端部E1と対向する端部のことである。図1に示した例では、押圧部材11は、略矩形平板形状の部材である。このため、当該例では、第1端部E1と第2端部E2とは、製造誤差等によるずれを除いて略平行である。以下では、一例として、図1に示したように、第1端部E1と第2端部E2とがX軸と平行である場合について説明する。以下では、一例として、第1方向が、第1端部E1と直交する方向のうち、押圧部材11が有する上面に沿って第1端部E1から第2端部E2へ向かう方向である場合について説明する。この場合、第1方向は、Y軸と平行な方向である。また、以下では、一例として、図1に示したように、押圧部材11が有する上面と直交する方向が、Z軸と平行な場合について説明する。なお、第1端部E1は、湾曲していてもよい。この場合、第1端部E1と直交する方向は、例えば、第1端部E1の両端を結ぶ仮想的な線分と直交する方向であってもよく、第1端部E1の形状に応じた他の仮想的な線分と直交する方向であってもよい。また、第2端部E2は、第1端部E1と非平行であってもよく、湾曲していてもよい。また、押圧部材11は、弾性変形可能であり、且つ、弾性力によって電子部品EPを被取付部材HSへ押し付けることが可能な部材であれば、略平板形状と異なる形状の部材であってもよい。
【0024】
把持部材12は、予め決められた第2方向へ第1端部E1から突出している略矩形平板形状の部材であり、電子部品を鋭利な第1端部E1によって押圧させないために押圧部材11を曲げて作製される部材である。このため、前述の第1端部E1は、把持部材12と押圧部材11との境界部分である。ここで、第2方向は、取付部材1が被取付部材HSに取り付けられている場合において、押圧部材11の上面と交差する方向のうち被取付部材HSから離れる方向であれば、如何なる方向であってもよい。図1に示した例では、第2方向は、当該場合において押圧部材11の上面と直交する方向のうち被取付部材HSから離れる方向である。例えば、ユーザーは、被取付部材HSの予め決められた位置に電子部品EPを配置し、配置した電子部品EPが被取付部材HSに対して動き辛くなるように取付部材1によって電子部品EPを被取付部材HSに取り付ける。そして、取付部材1によって電子部品EPを被取付部材HSへ取り付ける際、取付部材1の押圧部材11は、弾性変形し、電子部品EPを被取付部材HSへ押し付ける。すなわち、取付部材1は、押圧部材11と被取付部材HSとの間において、押圧部材11の弾性力によって電子部品EPを被取付部材HSに押し付けて取り付けることができる。なお、把持部材12は、略矩形平板形状に代えて、他の形状であってもよい。
【0025】
被固定部材13は、固定部材FXにより被取付部材HSに固定される部材である。図1に示した例では、被固定部材13は、略矩形平板形状の部材であり、中央付近に固定部材FXが挿通される開口が、ねじ穴として形成されている。そして、当該例では、被固定部材13は、当該開口に挿通された固定部材FXによって被取付部材HSに固定されている。なお、被固定部材13は、固定部材FXにより被取付部材HSに固定可能な形状であれば、略矩形平板形状に代えて、他の形状であってもよい。
【0026】
接続部材14は、被固定部材13と押圧部材11とを接続する部材である。このため、前述の第2端部E2は、接続部材14と押圧部材11との境界部分である。図1に示した例では、接続部材14は、被固定部材13と接続部材14との境界部分から予め決められた第3方向に延伸する略矩形平板形状の部材である。ここで、第3方向は、例えば、被取付部材HSの上面と直交する方向のうちの被取付部材HSから離れる方向である。これにより、取付部材1は、当該上面に対して第1端部E1よりも第2端部E2の方を高くすることができ、その結果、押圧部材11による押圧荷重の大きさを保ちつつ、押圧部材11と被取付部材HSとの間に電子部品EPを挟み易くすることができる。また、この場合、略矩形平板形状の押圧部材11を含む仮想的な平面は、略矩形平板形状の被固定部材13を含む仮想的な平面と交差する。なお、第3方向は、被取付部材HSの上面と交差する他の方向であってもよい。また、第3方向は、当該上面と略平行な方向であってもよい。この場合、略矩形平板形状の押圧部材11を含む仮想的な平面は、略矩形平板形状の被固定部材13を含む仮想的な平面と、製造誤差等による歪みを除いて、略平行である。
【0027】
ここで、このような構成の取付部材1では、押圧部材11が電子部品EPを被取付部材HSへ押し付ける押圧荷重Fは、以下の式(1)によって押圧部材11のたわみ量Xと関係付けられる。
【0028】
X=(F×L)/(3×E×I) ・・・(1)
【0029】
ここで、上記の式(1)において、Lは、押圧部材11の上面(すなわち、第1端部E1と第2端部E2とを接続する面)に沿った経路のうち、第1端部E1と第2端部E2とを最短で結ぶ最短経路の長さを示す。例えば、Lは、押圧部材11に空隙が形成されていない場合、第1方向における長さのうち第1端部E1と第2端部E2とを接続する仮想的な線分の長さと一致する。ここで、空隙は、例えば、切り欠き、開口等のことであるが、これらに限られるわけではない。また、式(1)において、Eは、押圧部材11のヤング率であり、例えば、押圧部材11がSUS304CSP製である場合、186000N/mmである。また、式(1)において、Iは、押圧部材11の断面二次モーメントであり、例えば、押圧部材11の形状が矩形平板形状である場合、第1方向と直交する方向における押圧部材11の幅と押圧部材11の板厚の三乗とを乗じた値を12で除した値である。なお、以下では、説明の便宜上、当該線分の長さのことを、比較対象長さと称して説明する。
【0030】
上記の式(1)によって算出されるたわみ量Xの公差は、Lが短いほど小さくなる。たわみ量Xの公差が小さくなることは、取付部材1の製造コストの増大を意味し、望ましいことではない。一方、第1方向における押圧部材11の長さを長くすると、たわみ量Xの公差を大きくすることができる。しかしながら、この場合も、押圧部材11の材料費が増大し、取付部材1の製造コストの増大を招く。そして、Lは、押圧部材11に空隙が形成されていない場合、第1方向における押圧部材11の長さを長くしない限り、前述の比較対象長さよりも長くすることができない。
【0031】
そこで、取付部材1は、比較対象長さよりもLが長くなるように、押圧部材11に空隙が形成されている。これにより、取付部材1は、たわみ量Xの公差を、押圧部材11に空隙が形成されていない場合と比較して大きくすることができる。その結果、取付部材1は、製造コストの増大を抑制しつつ、被取付部材HSへ電子部品EPを押し付ける押圧荷重を適正な押圧荷重にすることができる。
【0032】
図2は、図1に示した押圧部材11の上面図である。なお、以下では、説明の便宜上、押圧部材11の重心を通り、且つ、第1方向と平行な仮想的な軸を、押圧部材11の中心軸と称して説明する。図2に示したL1は、前述の比較対象長さの一例を示す。また、図1及び図2に示したように、押圧部材11には、第1方向と交差する3つの空隙が形成されている。以下では、説明の便宜上、これら3つの空隙のそれぞれを、空隙C1、空隙C2、空隙C3と称して説明する。
【0033】
空隙C1は、押圧部材11が有する端部のうち第1端部E1及び第2端部E2と異なる2つの端部のうちの一方から第1方向と交差するように延伸する空隙である。図1及び図2に示した例では、空隙C1は、押圧部材11が有する端部のうちX軸の正方向側の端部から第1方向と直交するように延伸する切り欠きである。より具体的には、当該例では、空隙C1は、当該端部からX軸の負方向に向かって延伸し、その後、Y軸の正方向に向かって延伸するL字型の切り欠きである。なお、空隙C1は、当該端部からY軸と斜交する方向に向かって延伸し、その後、Y軸の正方向に向かって延伸する切り欠きであってもよい。また、空隙C1は、当該端部からY軸と直交する方向に向かって延伸し、その後、X軸と斜交する方向に向かって延伸する切り欠きであってもよい。また、空隙C1は、当該端部からY軸と斜交する方向に向かって延伸し、その後、X軸と斜交する方向に向かって延伸する切り欠きであってもよい。
【0034】
空隙C2は、押圧部材11が有する端部のうち第1端部E1及び第2端部E2と異なる2つの端部のうちの他方から第1方向と交差するように延伸する空隙である。図1及び図2に示した例では、空隙C2は、押圧部材11が有する端部のうちX軸の負方向側の端部から第1方向と直交するように延伸する切り欠きである。より具体的には、空隙C2は、当該端部から、X軸の正方向に向かって延伸し、その後、Y軸の正方向に向かって延伸するL字型の切り欠きである。なお、空隙C2は、当該端部からY軸と斜交する方向に向かって延伸し、その後、Y軸の正方向に向かって延伸する切り欠きであってもよい。また、空隙C2は、当該端部からY軸と直交する方向に向かって延伸し、その後、X軸と斜交する方向に向かって延伸する切り欠きであってもよい。また、空隙C2は、当該端部からY軸と斜交する方向に向かって延伸し、その後、X軸と斜交する方向に向かって延伸する切り欠きであってもよい。
【0035】
空隙C3は、押圧部材11が有する端部のうち第1端部E1及び第2端部E2と異なる2つの端部の間において、第1方向と交差する空隙である。図1及び図2に示した例では、空隙C3は、当該2つの端部の間において、第1方向と交差するように押圧部材11に形成された開口である。より具体的には、空隙C3は、当該2つの端部の間において、空隙C1及び空隙C2よりも第2端部E2の近くに形成されており、且つ、空隙C1及び空隙C2それぞれの一部を囲むように形成されたU字型の開口である。
【0036】
そして、図1及び図2に示した例では、空隙C1、空隙C2、空隙C3のそれぞれは、押圧部材11の形状が、押圧部材11の中心軸を境に線対称な形状となるように形成されている。この場合、押圧部材11の表面に沿って第1端部E1と第2端部E2とを繋ぐ仮想的な直線は、空隙C1、空隙C2、空隙C3の少なくとも1つと交差する。図2に示した一点鎖線LNは、このような仮想的な直線の一例を示す。図2に示したように、一点鎖線LNは、空隙C1及び空隙C3のそれぞれを1回ずつ交差している。このような事情は、押圧部材11の表面に沿って第1端部E1と第2端部E2とを繋ぐ仮想的な他の如何なる直線についても同様に成り立っている。この場合、押圧部材11の上面に沿った経路のうち、第1端部E1と第2端部E2とを最短で結ぶ最短経路は、押圧部材11に形成された空隙の存在により、図2に示したように、第1端部E1と第2端部E2との間において第1方向と非平行な部分経路を1つ以上含むことになる。具体的には、図2に示した例では、当該最短経路は、図2に示した点線によって示される経路、すなわち、部分経路CP1~部分経路CP5を含む経路である。部分経路CP1は、第1端部E1上の位置P1から、第1端部E1よりも第2端部E2に近い位置P2へ第1方向と平行に向かう経路のことである。部分経路CP2は、位置P2よりもX軸の負方向側に位置する位置P3へ位置P2からX軸と平行に向かう経路のことである。部分経路CP3は、位置P3よりも第1端部E1に近く、且つ、位置P3よりもX軸の負方向側に位置する位置P4へ位置P3から向かう経路のことである。部分経路CP4は、位置P4よりもX軸の負方向側に位置する位置P5へ位置P4からX軸と平行に向かう経路のことである。部分経路CP5は、位置P5から第2端部E2上に位置する位置P6へ第1方向と平行に向かう経路のことである。このように、当該例では、当該最短経路は、押圧部材11に形成された空隙C1、空隙C2、空隙C3の存在により、第1端部E1と第2端部E2との間において第1方向と非平行な部分経路を2つ含んでいる。その結果、当該最短経路の長さであるLは、図2に示した点線によって示される経路の長さL2と一致する。そして、図2に示したように、L2>L1である。これにより、図2に示した押圧部材11では、前述のたわみ量Xの公差は、押圧部材11に空隙が形成されていない場合と比較して大きくなる。従って、取付部材1は、製造コストの増大を抑制しつつ、被取付部材HSへ電子部品EPを押し付ける押圧荷重を適正な押圧荷重にすることができる。
【0037】
なお、空隙C1と空隙C2との少なくとも一方は、Y軸の正方向に向かって延伸する部分を有さない構成であってもよい。ただし、取付部材1は、空隙C1と空隙C2との少なくとも一方が、Y軸の正方向に向かって延伸する部分を有する場合、押圧部材11がしなり易くなり、より確実に、たわみ量Xの交差を大きくすることができる。
【0038】
また、押圧部材11は、図3に示したように空隙が形成される構成であってもよい。図3は、取付部材1の構成の第2例を示す斜視図である。なお、図3では、図が煩雑になるのを防ぐため、被取付部材HS、固定部材FXのそれぞれを省略している。図3に示した例では、押圧部材11には、空隙C4と、空隙C5が形成されている。
【0039】
空隙C4は、押圧部材11が有する端部のうち第1端部E1及び第2端部E2と異なる2つの端部のうちの一方から第1方向と交差するように延伸する空隙である。図3に示した例では、空隙C4は、押圧部材11が有する端部のうちX軸の正方向側の端部から第1方向と直交するように延伸する切り欠きである。より具体的には、空隙C4は、当該端部からX軸の負方向に向かって延伸する切り欠きである。
【0040】
空隙C5は、押圧部材11が有する端部のうち第1端部E1及び第2端部E2と異なる2つの端部のうちの他方から第1方向と交差するように延伸する空隙である。図3に示した例では、空隙C5は、押圧部材11が有する端部のうちX軸の負方向側の端部から第1方向と直交するように延伸する切り欠きである。より具体的には、空隙C5は、当該端部から、X軸の正方向に向かって延伸する切り欠きである。
【0041】
また、空隙C5は、空隙C4よりも第1端部E1に近い切り欠きである。そして、空隙C5の一部は、第1方向に向かって押圧部材11を見た場合、空隙C4の一部と重なっている。このため、図3に示した例では、押圧部材11の表面に沿って第1端部E1と第2端部E2とを繋ぐ仮想的な直線は、空隙C4、空隙C5のうちのいずれか一方又は両方と交差する。その結果、当該例では、押圧部材11の上面に沿った経路のうち、第1端部E1と第2端部E2とを最短で結ぶ最短経路CP6は、押圧部材11に形成された空隙C4及び空隙C5の存在により、図3に示したように、第1端部E1と第2端部E2との間において第1方向と非平行な部分経路を1つ以上含むことになる。すなわち、図3に示した押圧部材11では、たわみ量Xの公差は、押圧部材11に空隙が形成されていない場合と比較して大きくなる。従って、取付部材1は、押圧部材11の構成が図3に示した構成であったとしても、製造コストの増大を抑制しつつ、被取付部材HSへ電子部品EPを押し付ける押圧荷重を適正な押圧荷重にすることができる。
【0042】
また、押圧部材11は、図4に示したように空隙が形成される構成であってもよい。図4は、取付部材1の構成の第3例を示す斜視図である。なお、図4では、図が煩雑になるのを防ぐため、被取付部材HS、固定部材FXのそれぞれを省略している。図4に示した例では、押圧部材11には、空隙C6と、空隙C7と、空隙C8が形成されている。
【0043】
空隙C6は、押圧部材11が有する端部のうち第1端部E1及び第2端部E2と異なる2つの端部のうちの一方から第1方向と交差するように延伸する空隙である。図4に示した例では、空隙C6は、押圧部材11が有する端部のうちX軸の正方向側の端部から第1方向と直交するように延伸する切り欠きである。より具体的には、空隙C6は、当該端部からX軸の負方向に向かって押圧部材11の中心軸の手前まで延伸する切り欠きである。
【0044】
空隙C7は、押圧部材11が有する端部のうち第1端部E1及び第2端部E2と異なる2つの端部のうちの他方から第1方向と交差するように延伸する空隙である。図4に示した例では、空隙C7は、押圧部材11が有する端部のうちX軸の負方向側の端部から第1方向と直交するように延伸する切り欠きである。より具体的には、空隙C7は、当該端部からX軸の正方向に向かって押圧部材11の中心軸の手前まで延伸する切り欠きである。
【0045】
空隙C8は、第1端部E1から第1方向に向かって延伸する部分を有する切り欠きである。より具体的には、空隙C8は、第1端部E1から中心軸に沿って第1方向に向かって第2端部E2の手前まで延伸し、その後、X軸の正方向とX軸の負方向とのそれぞれに向かって延伸する切り欠きである。
【0046】
そして、図4に示した例では、空隙C6、空隙C7、空隙C8のそれぞれは、押圧部材11の形状が、押圧部材11の中心軸を境に線対称な形状となるように形成されている。また、当該例では、空隙C8の一部は、第1方向に向かって押圧部材11を見た場合、空隙C6、空隙C7それぞれの一部と重なっている。このため、当該例では、押圧部材11の表面に沿って第1端部E1と第2端部E2とを繋ぐ仮想的な直線は、空隙C6、空隙C7、空隙C8のうちの少なくとも1つと交差する。その結果、当該例では、押圧部材11の上面に沿った経路のうち、第1端部E1と第2端部E2とを最短で結ぶ最短経路CP7は、押圧部材11に形成された空隙C6、空隙C7、空隙C8の存在により、図4に示したように、第1端部E1と第2端部E2との間において第1方向と非平行な部分経路を1つ以上含むことになる。すなわち、図4に示した押圧部材11では、たわみ量Xの公差は、押圧部材11に空隙が形成されていない場合と比較して大きくなる。従って、取付部材1は、押圧部材11の構成が図4に示した構成であったとしても、製造コストの増大を抑制しつつ、被取付部材HSへ電子部品EPを押し付ける押圧荷重を適正な押圧荷重にすることができる。
【0047】
また、押圧部材11は、図5に示したように空隙が形成される構成であってもよい。図5は、取付部材1の構成の第4例を示す斜視図である。なお、図5では、図が煩雑になるのを防ぐため、被取付部材HS、固定部材FXのそれぞれを省略している。図5に示した例では、押圧部材11には、空隙C9と、空隙C10と、空隙C11が形成されている。
【0048】
空隙C9は、押圧部材11が有する端部のうち第1端部E1及び第2端部E2と異なる2つの端部のうちの一方から第1方向と交差するように延伸する空隙である。図5に示した例では、空隙C9は、押圧部材11が有する端部のうちX軸の正方向側の端部に形成された切り欠きである。より具体的には、空隙C9は、当該端部からX軸の負方向に向かって押圧部材11の中心軸の手前まで延伸する切り欠きである。
【0049】
空隙C10は、押圧部材11が有する端部のうち第1端部E1及び第2端部E2と異なる2つの端部のうちの他方から第1方向と交差するように延伸する空隙である。図5に示した例では、空隙C10は、押圧部材11が有する端部のうちX軸の負方向側の端部に形成された切り欠きである。より具体的には、空隙C10は、当該端部から、X軸の正方向に向かって押圧部材11の中心軸の手前まで延伸する切り欠きである。
【0050】
空隙C11は、第1端部E1から第1方向に向かって延伸する部分を有する切り欠きである。より具体的には、空隙C11は、第1端部E1から中心軸に沿って第1方向に向かって第2端部E2の手前まで延伸し、第1端部E1から中心軸に沿って第1方向に向かって所定の第1距離進んだ位置からX軸の正方向とX軸の負方向とのそれぞれに向かって延伸し、更に、第1端部E1から中心軸に沿って第1方向に向かって所定の第2距離進んだ位置からX軸の正方向とX軸の負方向とのそれぞれに向かって延伸する切り欠きである。ただし、第2距離は、第1距離より長い距離である。
【0051】
そして、図5に示した例では、空隙C9、空隙C10、空隙C11のそれぞれは、押圧部材11の形状が、押圧部材11の中心軸を境に線対称な形状となるように形成されている。また、当該例では、空隙C11の一部は、第1方向に向かって押圧部材11を見た場合、空隙C9、空隙C10それぞれの一部と重なっている。このため、当該例では、押圧部材11の表面に沿って第1端部E1と第2端部E2とを繋ぐ仮想的な直線は、空隙C9、空隙C10、空隙C11のうちの少なくとも1つと交差する。その結果、当該例では、押圧部材11の上面に沿った経路のうち、第1端部E1と第2端部E2とを最短で結ぶ最短経路CP8は、押圧部材11に形成された空隙C9、空隙C10、空隙C11の存在により、図5に示したように、第1端部E1と第2端部E2との間において第1方向と非平行な部分経路を1つ以上含むことになる。すなわち、図5に示した押圧部材11では、たわみ量Xの公差は、押圧部材11に空隙が形成されていない場合と比較して大きくなる。従って、取付部材1は、押圧部材11の構成が図5に示した構成であったとしても、製造コストの増大を抑制しつつ、被取付部材HSへ電子部品EPを押し付ける押圧荷重を適正な押圧荷重にすることができる。
【0052】
以上のように、たわみ量Xの公差は、Lによって特徴付けることができ、Lを長くすることによって大きくすることができる。しかしながら、たわみ量Xの公差を大きくすることは、Lを長くする構成に代えて、第1端部E1と第2端部E2との間における押圧部材11の幅を単に狭くすることによっても実現することができる。これは、第1端部E1と第2端部E2との間における押圧部材11の幅を狭くした場合、押圧部材11が相対的にしなり易くなるからである。ただし、この場合、たわみ量Xの公差と、押圧部材11の幅との間の関係は、押圧部材11の幅を狭くした位置に応じて変化する。このため、第1端部E1と第2端部E2との間における押圧部材11の幅を単に狭くすることによってたわみ量Xの公差を大きくするためには、この関係を事前の試験、シミュレーション等によって得ておく必要がある。
【0053】
図6は、取付部材1の構成の第5例を示す斜視図である。なお、図6では、図が煩雑になるのを防ぐため、被取付部材HS、固定部材FXのそれぞれを省略している。図6に示した例では、押圧部材11には、空隙C12が形成されている。
【0054】
空隙C12は、押圧部材11が有する端部のうち第1端部E1及び第2端部E2と異なる2つの端部のうちの一方から第1方向と交差するように延伸する空隙である。図6に示した例では、空隙C12は、押圧部材11が有する端部のうちX軸の負方向側の端部から第1方向と直交するように延伸する切り欠きである。より具体的には、空隙C12は、当該端部から、X軸の正方向に向かって延伸する切り欠きである。この場合、空隙C12は、第1方向に向かって押圧部材11を見た場合、第1端部E1の一部と重なっている。このため、図6に示した例では、押圧部材11の上面に沿った経路のうち、第1端部E1と第2端部E2とを最短で結ぶ最短経路の長さは、前述の比較対象長さと一致する。しかしながら、この場合、図6における第1端部E1と第2端部E2との間には、空隙C12が形成されていることにより、第1方向と直交する方向の幅が狭くなっている箇所が存在する。具体的には、図6に示した幅W1は、図6に示した幅W2よりも狭い。このため、図6に示した押圧部材11でも、たわみ量Xの公差は、押圧部材11に空隙が形成されていない場合と比較して大きくなる。従って、取付部材1は、押圧部材11の構成が図6に示した構成であったとしても、製造コストの増大を抑制しつつ、被取付部材HSへ電子部品EPを押し付ける押圧荷重を適正な押圧荷重にすることができる。なお、幅W1は、押圧部材11が有する部分のうち第1方向において空隙C12よりも第2端部E2に近い部分と、押圧部材11が有する部分のうち第1方向において空隙C12よりも第1端部E1に近い部分とを接続する部分の第1方向と直交する方向における幅のことである。一方、幅W2は、押圧部材11が有する部分のうち第1方向において空隙C12よりも第2端部E2に近い部分、又は、押圧部材11が有する部分のうち第1方向において空隙C12よりも第1端部E1に近い部分の第1方向と直交する方向における幅のことである。
【0055】
<実施形態の変形例>
以下、図7を参照し、実施形態の変形例について説明する。図7は、実施形態の変形例に係る取付部材2の構成の一例を示す図である。取付部材2は、2以上の取付部材を備える。そして、これら2以上の取付部材の少なくとも1つは、実施形態に係る取付部材1である。図7に示した例では、取付部材2は、第1取付部材1Aと第2取付部材1Bとの2つの取付部材を備える。そして、これら2つの取付部材は、両方とも取付部材1である。なお、取付部材2は、3以上の取付部材を備える構成であってもよい。この場合、3以上の取付部材のうちの少なくとも1つは、実施形態に係る取付部材1である。
【0056】
より具体的には、取付部材2では、第1取付部材1Aの被固定部材13と、第2取付部材1Bの被固定部材13とは、単一の略矩形平板形状の部材として構成されている。また、取付部材2では、第1取付部材1Aの押圧部材11を含む仮想的な平面は、第2取付部材1Bの押圧部材11を含む仮想的な平面を含む。これにより、取付部材2は、第1取付部材1Aによって電子部品EP1を被取付部材HSに取り付けでき、且つ、第2取付部材1Bによって電子部品EP2を被取付部材HSに取り付けることができる。そして、取付部材2は、製造コストの増大を抑制しつつ、被取付部材へ電子部品を押し付ける押圧荷重を適正な押圧荷重にすることができる。
【0057】
なお、上記において説明した事項は、如何様に組み合わされてもよい。また、上記において説明した事項は、上記において説明した取付部材1、取付部材2の機能を阻害しない限り、如何様に改変されてもよい。
【0058】
以上のように、実施形態に係る取付部材(上記において説明した例では、取付部材1)は、被取付部材(上記において説明した例では、被取付部材HS)に電子部品(上記において説明した例では、電子部品EP)を取り付ける取付部材であって、予め決められた第1方向(上記において説明した例では、Y軸の正方向)と直交し、電子部品と接触し、電子部品を被取付部材へ押し付ける第1端部(上記において説明した例では、第1端部E1)と、第1方向において第1端部と対向する第2端部(上記において説明した例では、第2端部E2)とを有する押圧部材(上記において説明した例では、押圧部材11)を備え、押圧部材には、押圧部材が有する端部のうち第1端部及び第2端部と異なる2つの端部(上記において説明した例では、押圧部材11が有する端部のうち第1端部E1及び第2端部E2と異なる2つの端部)のうちの一方から第1方向と交差するように延伸する空隙(上記において説明した例では、空隙C1、空隙C4、空隙C6、空隙C9、空隙C12等)が形成されている。これにより、当該取付部材は、製造コストの増大を抑制しつつ、被取付部材へ電子部品を押し付ける押圧荷重を適正な押圧荷重にすることができる。
【0059】
<付記>
[1]
被取付部材に電子部品を取り付ける取付部材であって、予め決められた第1方向と直交し、前記電子部品と接触し、前記電子部品を前記被取付部材へ押し付ける第1端部と、前記第1方向において前記第1端部と対向する第2端部とを有する押圧部材を備え、前記押圧部材には、前記押圧部材が有する端部のうち前記第1端部及び前記第2端部と異なる2つの端部のうちの一方から前記第1方向と交差するように延伸する第1空隙が形成されている、取付部材。
[2]
前記第1空隙は、前記第1方向と交差するように延伸した後に前記第1方向に延伸するように前記押圧部材に形成されている、[1]に記載の取付部材。
[3]
前記押圧部材には、前記第1空隙に加えて、前記2つの端部のうちの他方から前記第1方向と交差するように延伸する第2空隙が形成されている、[1]又は[2]に記載の取付部材。
[4]
前記第2空隙は、前記第1方向と交差するように延伸した後に前記第1方向に延伸するように前記押圧部材に形成されている、[3]に記載の取付部材。
[5]
前記押圧部材には、前記第1空隙及び前記第2空隙に加えて、前記2つの端部の間において前記第1方向と交差する第3空隙が形成されており、
前記押圧部材の表面に沿って前記第1端部と前記第2端部とを繋ぐ仮想的な直線は、前記第1空隙、前記第2空隙、前記第3空隙の少なくとも1つと交差する、[3]又は[4]に記載の取付部材。
[6]
前記第3空隙には、前記第1方向と略平行に延伸するように形成された空隙が含まれている、[5]に記載の取付部材。
[7]
前記押圧部材に形成される空隙は、前記第1端部と前記第2端部とを前記押圧部材の上面に沿って最短で結ぶ最短経路の長さが、前記第1方向における長さのうち前記第1端部と前記第2端部とを接続する仮想的な線分の長さよりも長くなるように前記押圧部材に形成されている、[3]から[6]のうちいずれか一項に記載の取付部材。
[8]
前記最短経路は、前記第1方向と非平行な部分経路を含む、[7]に記載の取付部材。
[9]
固定部材により前記被取付部材に固定される被固定部材と、前記被固定部材と前記押圧部材とを接続する接続部材と、を備え、前記第2端部は、前記接続部材と前記押圧部材との境界部分である、[1]から[8]のうちいずれか一項に記載の取付部材。
[10]
前記押圧部材と前記被固定部材とのそれぞれは、平板形状の部材であり、前記押圧部材を含む仮想的な平面は、前記被固定部材を含む仮想的な平面と交差する、[9]に記載の取付部材。
[11]
前記押圧部材と前記被固定部材とのそれぞれは、平板形状の部材であり、前記押圧部材を含む仮想的な平面は、前記被固定部材を含む仮想的な平面に略含まれる、[9]に記載の取付部材。
[12]
被取付部材に第1電子部品を取り付ける第1取付部材と、前記被取付部材に第2電子部品を取り付ける第2取付部材とを備え、前記第1取付部材は、予め決められた第1方向と直交し、前記第1電子部品と接触し、前記第1電子部品を前記被取付部材へ押し付ける第1端部と、前記第1方向において前記第1端部と対向する第2端部とを有する第1押圧部材を備え、前記第1押圧部材には、前記第1押圧部材が有する端部のうち前記第1端部及び前記第2端部と異なる2つの端部のうちの一方から前記第1方向と交差するように延伸する第1空隙が形成されている、取付部材。
[13]
前記第2取付部材は、前記第1方向と直交し、前記第2電子部品と接触し、前記第2電子部品を前記被取付部材へ押し付ける第3端部と、前記第1方向において前記第3端部と対向する第4端部とを有する第2押圧部材を備え、前記第2押圧部材には、前記第2押圧部材が有する端部のうち前記第3端部及び前記第4端部と異なる2つの端部のうちの一方から前記第1方向と交差するように延伸する第2空隙が形成されている、[12]に記載の取付部材。
【0060】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1、2…取付部材、1A…第1取付部材、1B…第2取付部材、11…押圧部材、12…把持部材、13…被固定部材、14…接続部材、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12…空隙、E1…第1端部、E2…第2端部、EP、EP1、EP2…電子部品、FX…固定部材、HS…被取付部材、TC…三次元座標系
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7