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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094825
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ロボット関節構造、および、ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/00 20060101AFI20240703BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B25J17/00 H
B25J5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211649
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】烏山 純一
(72)【発明者】
【氏名】掃部 雅幸
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS34
3C707BS27
3C707CS08
3C707CY29
3C707CY36
3C707HS27
3C707HT11
3C707HT20
3C707HT36
3C707WA03
3C707WA13
3C707WK01
3C707WM24
(57)【要約】
【課題】リンク部材同士を接続する関節部を覆うカバー部材の大型化を抑制可能なロボット関節構造、および、ロボットを提供する。
【解決手段】この人型ロボット100のロボット関節構造100aは、大腿リンク11および下腿リンク12と、大腿リンク11と下腿リンク12とを接続する関節部と、大腿リンク11および下腿リンク12を相対的に回動させる駆動部と、関節部に対して移動可能に配置され、大腿リンク11および下腿リンク12の相対的な回動に合わせて移動するとともに、関節部を覆う可動カバー部材40と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リンク部材および第2リンク部材と、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを接続する関節部と、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材を相対的に回動させる駆動部と、
前記関節部に対して移動可能に配置され、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動するとともに、前記関節部を覆う可動カバー部材と、を備える、ロボット関節構造。
【請求項2】
前記関節部は、前記駆動部の駆動により前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動する係合部を含み、
前記可動カバー部材は、前記係合部と係合する被係合部を含み、前記被係合部に対して前記係合部が係合することによって、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動する、請求項1に記載のロボット関節構造。
【請求項3】
前記係合部は、凸状の突起部と円弧状の長孔部とのいずれか一方を含み、
前記被係合部は、凸状の前記突起部と円弧状の前記長孔部とのいずれか他方を含み、
前記可動カバー部材は、前記長孔部の内周面の一端に対して前記突起部が当接することによって回動するように移動する、請求項2に記載のロボット関節構造。
【請求項4】
前記可動カバー部材は、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の相対的な回動に合わせて、前記突起部が前記長孔部の内部を移動している場合には移動せず、前記突起部が前記長孔部の内周面の一端に対して当接することによって移動する、請求項3に記載のロボット関節構造。
【請求項5】
前記可動カバー部材の回動軸線周りに前記可動カバー部材を前記第1リンク部材に向かって付勢する付勢部材をさらに備える、請求項4に記載のロボット関節構造。
【請求項6】
前記関節部は、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材との間を接続する第3リンク部材を含み、
前記係合部は、前記第3リンク部材に配置された前記突起部を含み、
前記被係合部は、円弧状の前記長孔部を含み、
前記可動カバー部材は、前記長孔部の内周面の一端に対して、前記第3リンク部材に配置された前記突起部が当接することによって移動する、請求項3~5のいずれか1項に記載のロボット関節構造。
【請求項7】
前記第3リンク部材は、軸部材により前記第1リンク部材に対して回動可能に接続されており、
前記可動カバー部材は、前記軸部材に接続されており、前記第1リンク部材に対する前記第3リンク部材の回動と共通の回動軸線周りに回動するように移動する、請求項6に記載のロボット関節構造。
【請求項8】
前記可動カバー部材とは別個に設けられ、前記関節部に固定された状態で前記関節部を覆う固定カバー部材をさらに備え、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材は、互いに屈曲および伸展するように相対的に回動し、
前記固定カバー部材は、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材が互いに伸展した状態において、前記可動カバー部材に覆われ、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材が互いに屈曲した状態において、前記可動カバー部材から前記第2リンク部材の方に露出する、請求項1~5のいずれか1項に記載のロボット関節構造。
【請求項9】
前記可動カバー部材は、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の回動の軸線方向における幅が、前記固定カバー部材よりも大きい、請求項8に記載のロボット関節構造。
【請求項10】
前記固定カバー部材は、前記可動カバー部材から露出した状態で前記可動カバー部材が覆うように移動してくる方の端部において、前記可動カバー部材との間の噛み込みを抑制するように前記可動カバー部材に向かって突出する噛み込み抑制部を含む、請求項8に記載のロボット関節構造。
【請求項11】
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材は、互いに屈曲および伸展するように相対的に回動し、
前記駆動部は、直線移動する先端部が前記関節部に接続されている直線移動機構を含み、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材が互いに屈曲するように回動する場合における回動方向の反対側に配置されており、
前記可動カバー部材は、前記直線移動機構の前記先端部の直線移動による前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動する、請求項1~5のいずれか1項に記載のロボット関節構造。
【請求項12】
前記第1リンク部材は、人型ロボットにおける大腿部の部材であり、
前記第2リンク部材は、前記人型ロボットにおける下腿部の部材であり、
前記可動カバー部材は、膝関節である前記関節部に対して移動可能に配置され、前記大腿部の部材である前記第1リンク部材と、前記下腿部の部材である前記第2リンク部材との相対的な回動に合わせて移動する、請求項1~5のいずれか1項に記載のロボット関節構造。
【請求項13】
第1リンク部材および第2リンク部材と、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを接続する関節部と、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材を相対的に回動させる駆動部と、
前記関節部に対して移動可能に配置され、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動するとともに、前記関節部を覆う可動カバー部材と、を備える、ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ロボット関節構造、および、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットが知られている。たとえば、上記特許文献1には、2本の脚体を有する2足移動ロボットが知られている。2本の脚体の各々は、リンク部材として大腿部および下腿部を有する。大腿部および下腿部は、膝関節により連続するように接続されている。膝関節は、電動モータである膝関節アクチュエータの駆動により回動動作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-88258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1には記載されていないが、リンク部材同士を回動可能に接続する膝関節などの関節部において、関節部を保護するために、関節部を覆うカバー部材を配置する場合がある。その場合に、リンク部材同士の相対的な回動に合わせて、関節部における回転軸部分などの保護対象の部分の位置が変化することがある。そのため、保護対象の部分の位置が変化する場合にも関節部を覆うために、関節部を覆うカバー部材が大型化する。
【0005】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、リンク部材同士を接続する関節部を覆うカバー部材の大型化を抑制可能なロボット関節構造、および、ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の第1の局面によるロボット関節構造は、第1リンク部材および第2リンク部材と、第1リンク部材と第2リンク部材とを接続する関節部と、第1リンク部材および第2リンク部材を相対的に回動させる駆動部と、関節部に対して移動可能に配置され、第1リンク部材および第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動するとともに、関節部を覆う可動カバー部材と、を備える。
【0007】
この開示の第1の局面によるロボット関節構造は、上記のように、関節部に対して移動可能に配置され、第1リンク部材および第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動するとともに、関節部を覆う可動カバー部材を備える。これにより、可動カバー部材が第1リンク部材および第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動するため、関節部における回転軸部分などの保護対象の部分の位置が変化する場合にも、保護対象の部分の位置の変化に合わせて可動カバー部材を移動できる。そのため、可動カバー部材の大きさを大きくすることなく、可動カバー部材を移動させることによって、保護対象の部分の位置が変化する場合にも関節部における保護対象の部分を覆うことができる。その結果、リンク部材同士を接続する関節部を覆うカバー部材の大型化を抑制できる。
【0008】
この開示の第2の局面によるロボットは、第1リンク部材および第2リンク部材と、第1リンク部材と第2リンク部材とを接続する関節部と、第1リンク部材および第2リンク部材を相対的に回動させる駆動部と、関節部に対して移動可能に配置され、第1リンク部材および第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動するとともに、関節部を覆う可動カバー部材と、を備える。
【0009】
この開示の第2の局面によるロボットは、上記のように、関節部に対して移動可能に配置され、第1リンク部材および第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動するとともに、関節部を覆う可動カバー部材を備える。これにより、可動カバー部材が第1リンク部材および第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動するため、関節部における回転軸部分などの保護対象の部分の位置が変化する場合にも、保護対象の部分の位置の変化に合わせて可動カバー部材を移動できる。そのため、可動カバー部材の大きさを大きくすることなく、可動カバー部材を移動させることによって、保護対象の部分の位置が変化する場合にも関節部における保護対象の部分を覆うことができる。その結果、リンク部材同士を接続する関節部を覆うカバー部材の大型化を抑制可能なロボットを提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、リンク部材同士を接続する関節部を覆うカバー部材の大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態による人型ロボットの斜視図である。
図2】人型ロボットにおけるロボット関節構造の全体構成を示したブロック図である。
図3】関節部および駆動部の構成を模式的に示した斜視図である。
図4】関節部および駆動部の構成を説明するための側面図である。
図5】可動カバー部材および固定カバー部材を説明するための模式図であって、回動角度が0度の場合を示した図である。
図6】可動カバー部材および固定カバー部材を説明するための模式図であって、回動角度が60度の場合を示した図である。
図7】回動角度が0度である場合における可動カバー部材の配置を説明するための図である。
図8】可動カバー部材および固定カバー部材を説明するための模式図であって、回動角度が100度の場合を示した図である。
図9】回動角度が100度である場合における可動カバー部材の配置を説明するための図である。
図10】可動カバー部材および固定カバー部材を説明するための模式図であって、回動角度が150度の場合を示した図である。
図11】可動カバー部材の幅と固定カバー部材の幅とを説明するための正面図である。
図12】本開示の一実施形態の変形例によるロボットを説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を具体化した本開示の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1図11を参照して、本実施形態による人型ロボット100の構成について説明する。また、人型ロボット100は、ヒューマノイドとも呼ばれる。なお、人型ロボット100は、ロボットの一例である。
【0014】
図1に示すように、人型ロボット100は、人間の脚部に対応するように左右一対ずつの大腿部1、および、下腿部2を備えている。大腿部1は、人間の大腿に対応している。下腿部2は、人間の下腿に対応している。なお、一対の大腿部1同士の構造は、略同様であって、一対の下腿部2同士の構造は、略同様であるため、以下の説明では、片方の脚部のみにおける大腿部1、および、下腿部2について説明する。
【0015】
人型ロボット100は、大腿リンク11、および、下腿リンク12を有する。大腿リンク11および下腿リンク12は、人型ロボット100の所定の部分における棒状の部材である。具体的には、大腿リンク11は、人型ロボット100における大腿部1の部材である。下腿リンク12は、人型ロボット100における下腿部2の部材である。大腿リンク11および下腿リンク12は、たとえば、アルミまたはステンレスなどの金属部材を含む。なお、大腿リンク11は、第1リンク部材の一例である。下腿リンク12は、第2リンク部材の一例である。
【0016】
関節部20は、大腿リンク11と下腿リンク12とを接続する。関節部20は、人型ロボット100における膝関節である。大腿リンク11および下腿リンク12は、関節部20が回動することによって、相対的に回動する。具体的には、大腿リンク11および下腿リンク12は、互いに屈曲および伸展するように相対的に回動する。大腿リンク11および下腿リンク12が相対的に回動することによって、人型ロボット100は、二足歩行を行う。
【0017】
図2に示すように、人型ロボット100は、ロボット関節構造100aを備えている。本実施形態のロボット関節構造100aは、大腿リンク11、下腿リンク12、および、関節部20を含む。また、ロボット関節構造100aは、駆動部30、可動カバー部材40、固定カバー部材50、および、付勢部材60を備えている。
【0018】
図3に示すように、駆動部30は、直線移動機構31とモータ32とを含む。たとえば、直線移動機構31は、ボールネジ機構を有する。直線移動機構31は、モータ32の回転駆動を駆動源として、直線移動する。駆動部30において、モータ32の回転がベルト部材によって直線移動機構31に伝達されることによって、直線移動機構31の先端部31aが直線移動する。また、直線移動機構31およびモータ32は、大腿リンク11に対して回動可能に配置されている。具体的には、駆動部30の直線移動機構31およびモータ32は、支持部材33を介して大腿リンク11に配置されている。駆動部30は、支持部材33に対して、軸芯33aを回転軸として回動する。また、直線移動機構31は、大腿部1の部材である棒状の大腿リンク11に沿うように配置されている。そして、直線移動機構31の先端部31aは、棒状の大腿リンク11の延びる方向に沿って直線移動する。また、駆動部30では、直線移動機構31の直線移動する先端部31aが、関節部20に接続されている。具体的には、先端部31aは、関節部20に対して回動可能に接続されている。直線移動機構31は、直線移動を行うことによって関節部20を回動させる。すなわち、直線移動機構31の先端部31aが直線移動することによって、駆動部30は、関節部20を回動させて大腿リンク11および下腿リンク12を相対的に回動させる。また、駆動部30は、大腿リンク11および下腿リンク12が互いに屈曲するように回動する場合における回動方向の反対側に配置されている。すなわち、駆動部30は、人型ロボット100において、大腿部1に対して前面方向に配置されている。
【0019】
関節部20は、2つの関節リンク21および関節リンク22を含む。関節リンク21および関節リンク22は、大腿リンク11および下腿リンク12が伸展した状態で、互いに交差するように配置されている。関節リンク21および関節リンク22の各々は、大腿リンク11および下腿リンク12を互いに接続している。また、関節リンク21は、駆動部30の直線移動機構31の先端部31aに接続されている。関節リンク21は、人型ロボット100の左右方向である側方からみてV字形状を有する。なお、関節リンク22は、第3リンク部材の一例である。
【0020】
図4に示すように、具体的には、関節リンク21は、軸部材21aにより駆動部30の直線移動機構31の先端部31aに対して回動可能に接続されている。軸部材21aは、直線移動機構31と関節リンク21との回動の回動軸である。また、関節リンク21は、軸部材21bにより大腿リンク11に対して回動可能に接続されている。関節リンク21は、軸部材21cにより下腿リンク12に対して回動可能に接続されている。すなわち、軸部材21bは、関節リンク21と大腿リンク11との回動の回動軸である。また、軸部材21cは、関節リンク21と下腿リンク12との回動の回動軸である。同様に、関節リンク22は、軸部材22aにより大腿リンク11に対して回動可能に接続されている。関節リンク22は、軸部材22bにより下腿リンク12に対して回動可能に接続されている。軸部材22aは、関節リンク22と大腿リンク11との回動の回動軸である。また、軸部材22bは、関節リンク22と下腿リンク12との回動の回動軸である。軸部材21a、軸部材21b、軸部材21c、軸部材22a、および、軸部材22bの各々は、たとえば、棒状の軸芯と、ボールベアリングとを含む。大腿リンク11の下腿リンク12側の端部と、下腿リンク12の大腿リンク11側の端部との各々は、L字形状を有する。そして、大腿リンク11の下腿リンク12側のL字形状の端部には、軸部材21bおよび軸部材22aが配置されている。同様に、下腿リンク12の大腿リンク11側のL字形状の端部には、軸部材21cおよび軸部材22bが配置されている。
【0021】
駆動部30、大腿リンク11、下腿リンク12、関節リンク21、および、関節リンク22による関節構造では、駆動部30の直線移動機構31が直線移動することによって関節リンク21が回動する。関節リンク21が回動することによって、軸部材21cに接続された下腿リンク12が、関節リンク22により拘束されながら、大腿リンク11に対して相対的に回動する。すなわち、下腿リンク12は、関節リンク22に接続されていることにより向きを変更しながら、関節リンク21の移動によって回動することによって、大腿リンク11に対して相対的に回動する。
【0022】
(カバー部材)
図5に示すように、人型ロボット100は、大腿カバー部材13、および、下腿カバー部材14を備えている。大腿カバー部材13は、大腿部1を覆う。下腿カバー部材14は、下腿部2を覆う。具体的には、大腿カバー部材13は、大腿リンク11、および、駆動部30を覆う筒状の部材である。また、下腿カバー部材14は、下腿リンク12を覆う筒状の部材である。大腿カバー部材13および下腿カバー部材14は、たとえば、樹脂により形成されている。
【0023】
本実施形態では、人型ロボット100のロボット関節構造100aには、関節部20を覆う可動カバー部材40および固定カバー部材50が備えられている。可動カバー部材40は、膝関節である関節部20に対して移動可能に配置されている。固定カバー部材50は、関節部20に固定された状態で関節部20を覆う。固定カバー部材50は、大腿リンク11および下腿リンク12が互いに伸展した状態において、可動カバー部材40に覆われている。可動カバー部材40および固定カバー部材50は、たとえば、樹脂により形成されている。なお、図5では、大腿リンク11、下腿リンク12、および、固定カバー部材50の模式的な形状を示している。
【0024】
図6に示すように、固定カバー部材50は、大腿リンク11および下腿リンク12が互いに屈曲した状態において、可動カバー部材40から下腿リンク12の方に露出する。すなわち、固定カバー部材50は、大腿リンク11および下腿リンク12が互いに屈曲した状態において、可動カバー部材40から、下腿リンク12が配置されている方向である下方に露出する。
【0025】
詳細には、図7に示すように、可動カバー部材40は、大腿リンク11と関節リンク22とを接続する軸部材22aに接続されている。可動カバー部材40は、軸部材22aに対して、大腿リンク11および関節リンク22とは別個に、回動可能に接続されている。可動カバー部材40は、軸部材22aが貫通する孔部42を有する。可動カバー部材40は、孔部42において、軸部材22aに対して回動可能に接続されている。一方で、固定カバー部材50は、関節部20の関節リンク21にねじなどの締結部材によって固定されている。すなわち、固定カバー部材50は、関節リンク21の移動に合わせて、関節リンク21と一体的に移動する。
【0026】
また、可動カバー部材40は、付勢部材60によって、付勢されている。付勢部材60は、可動カバー部材40の回動軸線周りに可動カバー部材40を大腿リンク11に向かって上方に付勢する。付勢部材60は、たとえば、ねじりコイルばねである。付勢部材60は、軸部材22aの周方向に沿って巻き回されている。付勢部材60は、軸部材22aの周方向に沿って付勢力として弾性力を生じるように配置されている。ねじりコイルばねである付勢部材60の一端は、後述する突起部23に係合している。そして、付勢部材60の他端は、可動カバー部材40に配置された固定軸43に係合している。固定軸43は、たとえば、可動カバー部材40の内側にねじなどの締結部材により締結されている。付勢部材60によって固定軸43に対して付勢力が加えられることにより、可動カバー部材40は、大腿リンク11および下腿リンク12の回動角度が所定の範囲内である場合において、大腿リンク11と一体的に移動するように大腿リンク11に向かって付勢されている。
【0027】
〈可動カバー部材の移動〉
本実施形態では、可動カバー部材40は、駆動部30の駆動による大腿リンク11および下腿リンク12の相対的な回動に合わせて移動する。可動カバー部材40は、大腿リンク11に対する関節リンク22の回動と共通の回動軸線周りに回動するように移動する。具体的には、可動カバー部材40は、円弧状の長孔部41を含む。関節部20は、凸状の突起部23を含む。突起部23は、駆動部30の駆動による大腿リンク11および下腿リンク12の相対的な回動に合わせて移動する。長孔部41は、突起部23と係合する。可動カバー部材40は、長孔部41に対して突起部23が係合することによって、大腿リンク11および下腿リンク12の相対的な回動に合わせて移動する。なお、突起部23は、係合部の一例である。長孔部41は、被係合部の一例である。
【0028】
具体的には、突起部23は、関節リンク22に配置されている。関節リンク22が軸部材22aを回転軸として大腿リンク11に対して相対的に回動することによって、突起部23は、軸部材22aを回転軸として回動する。また、突起部23は、長孔部41に係合しながら、円弧状の長孔部41に沿って、長孔部41の内部を移動する。突起部23は、図5に示すように大腿リンク11と下腿リンク12との回動角度が0度の場合には、長孔部41の下方側の一端に配置されている。そして、突起部23は、大腿リンク11と下腿リンク12との相対的な回動に合わせて、長孔部41の内部を回動するように移動する。なお、大腿リンク11と下腿リンク12とが略直線状に並んで配置されている状態を、回動角度が0度であるとしている。
【0029】
図8に示すように、駆動部30の駆動により大腿リンク11および下腿リンク12の相対的な回動に合わせて突起部23が長孔部41の内部を移動している場合には、可動カバー部材40は、移動しない。具体的には、可動カバー部材40は、大腿リンク11と下腿リンク12との相対的な回動角度が0度の状態から100度の状態まで、大腿リンク11に対して相対的な位置関係が変化しない。突起部23は、回動角度が0度から100度までの状態において、軸部材22aを中心として、円弧状の長孔部41の内部を回動する。突起部23は、回動角度が100度の状態において、長孔部41の内周面における上方側の一端に当接する。たとえば、図6に示すように大腿リンク11と下腿リンク12との回動角度が60度の場合には、下腿リンク12および固定カバー部材50が大腿リンク11に対して相対的に回動する一方で、可動カバー部材40は、大腿リンク11に対して移動しない。
【0030】
図9に示すように、回動角度が0度から100度までの状態において、可動カバー部材40は、付勢部材60により大腿リンク11に向かって付勢されることによって、大腿リンク11を覆う大腿カバー部材13に配置された突起部13aに当接した状態で大腿リンク11に対する相対的な位置関係が固定されている。言い換えれば、可動カバー部材40は、回動角度が0度から100度までの状態において、大腿カバー部材13に当接している。
【0031】
図10に示すように、回動角度が100度よりも大きくなると、可動カバー部材40は、関節リンク22に配置された突起部23が長孔部41の内周面の上方側の一端に対して当接することによって、軸部材22aを回転軸として回動するように移動する。具体的には、大腿リンク11と下腿リンク12との相対的な回動による関節リンク22の回動によって、長孔部41の内周面の上方側の一端に当接した状態で、突起部23が上方に向かうように回動する。この突起部23の回動により、可動カバー部材40が、軸部材22aを回転軸として下腿リンク12側に向かって回動するように移動する。回動角度が100度から150度までの状態において、付勢部材60による付勢力によって、可動カバー部材40と突起部23とが一体的に移動する。可動カバー部材40は、回動角度が100度から150度までの状態において、大腿リンク11および下腿リンク12の相対的な回動に合わせて、関節リンク22と一体的に回動する。言い換えると、可動カバー部材40は、大腿リンク11および下腿リンク12の相対的な回動における所定の回動角度範囲において、大腿リンク11および下腿リンク12に対して相対的に回動する。
【0032】
大腿リンク11および下腿リンク12が互いに屈曲した状態から伸展した状態に回動する場合にも、可動カバー部材40は、回動角度が150度の状態から100度の状態まで、関節リンク22と一体的に回動する。そして、可動カバー部材40は、回動角度が100度の状態から0度の状態まで、大腿リンク11に対して相対的に移動しない。回動角度が100度の状態から0度の状態まで、大腿リンク11および下腿リンク12の相対的な回動に合わせて、付勢部材60の付勢力に抗しながら、長孔部41の内部を突起部23が移動する。
【0033】
なお、回動角度が0度の状態から100度の状態まで、大腿リンク11および下腿リンク12を互いに屈曲させるように回動させる場合には、付勢部材60による付勢力が、関節部20の駆動を補助するアシスト力として働く。
【0034】
また、固定カバー部材50は、噛み込み抑制部51を有する。噛み込み抑制部51は、可動カバー部材40から露出した状態で可動カバー部材40が覆うように移動してくる方の固定カバー部材50の端部において、可動カバー部材40との間の噛み込みを抑制するように可動カバー部材40に向かって突出する。すなわち、固定カバー部材50の大腿リンク11側である上方側の端部に、凸状の噛み込み抑制部51が配置されている。噛み込み抑制部51は、固定カバー部材50と一体的に形成されている。噛み込み抑制部51は、固定カバー部材50の大腿リンク11側の端部において、固定カバー部材50と可動カバー部材40との間の距離を小さくするように、可動カバー部材40側に向かって突出しているこぶ状の部分である。噛み込み抑制部51は、回動角度が150度からおよそ100度の状態において、可動カバー部材40から露出するとともに、回動角度がおよそ100度より小さい状態において、可動カバー部材40に覆われる。なお、大腿リンク11と下腿リンク12との相対的な回動において、可動カバー部材40と固定カバー部材50とは互いに当接せずに、離間した状態で移動する。
【0035】
なお、図11に示すように、可動カバー部材40は、大腿リンク11および下腿リンク12の回動の軸線方向おける幅W1が、固定カバー部材50よりも大きい。すなわち、人型ロボット100の正面側から見た場合に、可動カバー部材40の幅W1は、固定カバー部材50の幅W2よりも大きい。したがって、大腿リンク11と下腿リンク12とが互いにほぼ直線状に伸展している状態において、固定カバー部材50の略全体が可動カバー部材40により覆われる。たとえば、人型ロボット100の正面から見た場合に、回動角度が0度の状態において、固定カバー部材50は、可動カバー部材40と、大腿カバー部材13および下腿カバー部材14とによって覆われている。
【0036】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、上記のように、人型ロボット100のロボット関節構造100aは、関節部20に対して移動可能に配置され、第1リンク部材としての大腿リンク11および第2リンク部材としての下腿リンク12の相対的な回動に合わせて移動するとともに、関節部20を覆う可動カバー部材40を備える。これにより、可動カバー部材40が大腿リンク11および下腿リンク12の相対的な回動に合わせて移動するため、関節部20における回転軸部分などの保護対象の部分の位置が変化する場合にも、保護対象の部分の位置の変化に合わせて可動カバー部材40を移動できる。そのため、可動カバー部材40の大きさを大きくすることなく、可動カバー部材40を移動させることによって、保護対象の部分の位置が変化する場合にも関節部20における保護対象の部分を覆うことができる。その結果、リンク部材同士を接続する関節部20を覆うカバー部材の大型化を抑制できる。
【0037】
また、本実施形態では、上記のように、関節部20は、駆動部30の駆動により第1リンク部材としての大腿リンク11および第2リンク部材としての下腿リンク12の相対的な回動に合わせて移動する係合部としての突起部23を含む。可動カバー部材40は、突起部23と係合する被係合部としての長孔部41を含み、長孔部41に対して突起部23が係合することによって、大腿リンク11および下腿リンク12の相対的な回動に合わせて移動する。これにより、関節部20の突起部23が可動カバー部材40の長孔部41に係合することによって、大腿リンク11および下腿リンク12の相対的な回動に合わせて可動カバー部材40を容易に移動させることができる。そのため、可動カバー部材40を容易に移動させることができるので、可動カバー部材40の大型化を抑制するための構造を容易に実現できる。
【0038】
また、本実施形態では、上記のように、関節部20は、係合部として、凸状の突起部23と円弧状の長孔部41とのいずれか一方である突起部23を含む。可動カバー部材40は、被係合部として、凸状の突起部23と円弧状の長孔部41とのいずれか他方である長孔部41を含む。可動カバー部材40は、長孔部41の内周面の一端に対して突起部23が当接することによって回動するように移動する。これにより、円弧状の長孔部41の内周面の一端に対して突起部23が当接することによって、可動カバー部材40を移動させることができるので、長孔部41の大きさを変更することによって、可動カバー部材40の移動範囲を調整することができる。そのため、可動カバー部材40の大型化を抑制しながら、関節部20の保護対象となる部分を関節部20の移動に合わせて正確に覆うことができる。
【0039】
また、本実施形態では、上記のように、可動カバー部材40は、第1リンク部材としての大腿リンク11および第2リンク部材としての下腿リンク12の相対的な回動に合わせて、突起部23が長孔部41の内部を移動している場合には移動せず、突起部23が長孔部41の内周面の一端に対して当接することによって移動する。これにより、突起部23が長孔部41の内部を移動している場合に可動カバー部材40が移動しないので、可動カバー部材40が不必要に移動することに起因して、関節部20の保護が不十分になることを抑制できる。
【0040】
また、本実施形態では、上記のように、人型ロボット100のロボット関節構造100aは、可動カバー部材40の回動軸線周りに可動カバー部材40を第1リンク部材としての大腿リンク11に向かって付勢する付勢部材60を備える。これにより、突起部23が長孔部41の内部を移動している場合に、付勢部材60によって付勢することによって、可動カバー部材40が大腿リンク11に対して相対的に移動しないようにすることができる。また、突起部23が長孔部41の内周面の一端に当接している場合には、付勢部材60により突起部23と可動カバー部材40との相対的な移動を抑制しながら、下腿リンク12側に向かって可動カバー部材40を移動させることができる。そのため、付勢部材60を用いた簡便な構成によって、可動カバー部材40を、大腿リンク11に対して相対的に固定できるとともに、突起部23の移動と一体的に移動させることができる。その結果、大腿リンク11と下腿リンク12との相対的な移動に合わせて、可動カバー部材40を所定の位置に容易に配置することができる。また、大腿リンク11および下腿リンク12を互いに屈曲させるように回動させる場合には、可動カバー部材40を大腿リンク11に向かって付勢する付勢部材60の付勢力によって、回動する駆動を補助できるので、駆動部30の負担を軽減できる。
【0041】
また、本実施形態では、上記のように、関節部20は、第1リンク部材としての大腿リンク11と第2リンク部材としての下腿リンク12との間を接続する第3リンク部材としての関節リンク22を含む。係合部としての突起部23は、関節リンク22に配置されている。可動カバー部材40は、被係合部としての円弧上の長孔部41を含み、長孔部41の内周面の一端に対して、関節リンク22に配置された突起部23が当接することによって移動する。ここで、関節部20において、大腿リンク11と下腿リンク12との間を接続する関節リンク22を配置することによって、大腿リンク11と下腿リンク12とが直接的に接続されている場合に比べて、大腿リンク11と下腿リンク12とを互いに屈曲させる場合における回動角度を大きくすることができる。この場合には、大腿リンク11と下腿リンク12との屈曲が大きくなるため、関節部20の露出する部分が大きくなる。この点を考慮して、本実施形態では、関節リンク22に配置された突起部23が可動カバー部材40に配置された長孔部41の内周面の一端に当接することによって可動カバー部材40が移動する。これにより、関節リンク22の移動に合わせて可動カバー部材40を移動できるので、大腿リンク11と下腿リンク12との回動において回動角度が大きくなる場合に、関節部20を覆うように可動カバー部材40を効果的に移動させることができる。そのため、可動カバー部材40の大型化を効果的に抑制できる。
【0042】
また、本実施形態では、上記のように、第3リンク部材としての関節リンク22は、軸部材22aにより第1リンク部材としての大腿リンク11に対して回動可能に接続されている。可動カバー部材40は、軸部材22aに接続されており、大腿リンク11に対する関節リンク22の回動と共通の回動軸線周りに回動するように移動する。これにより、可動カバー部材40が、関節リンク22の回動と共通の回動軸線周りに回動するため、可動カバー部材40を、関節リンク22の動作に合わせて関節リンク22に追従するように移動させることができる。そのため、関節リンク22の動作に合わせて、関節部20を覆うように可動カバー部材40を容易に移動させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、上記のように、人型ロボット100のロボット関節構造100aは、可動カバー部材40とは別個に設けられ、関節部20に固定された状態で関節部20を覆う固定カバー部材50を備える。第1リンク部材としての大腿リンク11および第2リンク部材としての下腿リンク12は、互いに屈曲および伸展するように相対的に回動する。固定カバー部材50は、大腿リンク11および下腿リンク12が互いに伸展した状態において、可動カバー部材40に覆われている。また、固定カバー部材50は、大腿リンク11および下腿リンク12が互いに屈曲した状態において、可動カバー部材40から下腿リンク12の方に露出する。ここで、大腿リンク11および下腿リンク12が互いに伸展した状態から屈曲した状態となる場合には、関節部20の露出する部分の範囲が大きくなる。そのため、大腿リンク11および下腿リンク12が互いに伸展した状態で固定カバー部材50を可動カバー部材40によって覆うとともに、互いに屈曲した状態で固定カバー部材50を可動カバー部材40から露出させることによって、屈曲の動作に合わせて、可動カバー部材40および固定カバー部材50が関節部20を覆う範囲を大きくすることができる。そのため、固定カバー部材50が無い場合に比べて、可動カバー部材40の大きさを小さくできるので、可動カバー部材40の大型化をより抑制できる。
【0044】
また、本実施形態では、上記のように、可動カバー部材40は、第1リンク部材としての大腿リンク11および第2リンク部材としての下腿リンク12の回動の軸線方向における幅W1が、固定カバー部材50よりも大きい。これにより、固定カバー部材50の全体を可動カバー部材40によって覆うことができる。ここで、大腿リンク11および下腿リンク12が互いに伸展した状態で固定カバー部材50の一部のみが可動カバー部材40に覆われる場合には、互い屈曲した状態で関節部20の保護対象となる部分を覆うために、固定カバー部材50および可動カバー部材40の大きさが大きくなる。そのため、本実施形態のように、可動カバー部材40の幅W1を固定カバー部材50の幅W2よりも大きくすることによって、固定カバー部材50および可動カバー部材40の大型化を抑制できる。
【0045】
また、本実施形態では、上記のように、固定カバー部材50は、可動カバー部材40から露出した状態で可動カバー部材40が覆うように移動してくる方の端部において、可動カバー部材40との間の噛み込みを抑制するように可動カバー部材40に向かって突出する噛み込み抑制部51を含む。これにより、可動カバー部材40に向かって突出する噛み込み抑制部51によって、可動カバー部材40と固定カバー部材50との間に異物が噛み込まれることを抑制することができる。そのため、異物を噛み込むことに起因して大腿リンク11と下腿リンク12との回動動作に異常が発生することを抑制できる。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、第1リンク部材としての大腿リンク11および第2リンク部材としての下腿リンク12は、互いに屈曲および伸展するように相対的に回動する。駆動部30は、直線移動する先端部31aが関節部20に接続されている直線移動機構31を含む。また、駆動部30は、大腿リンク11および下腿リンク12が互いに屈曲するように回動する場合における回動方向の反対側に配置されている。可動カバー部材40は、直線移動機構31の先端部31aの直線移動による大腿リンク11および下腿リンク12の相対的な回動に合わせて移動する。ここで、回動方向の反対側に配置された直線移動機構31により大腿リンク11および下腿リンク12を回動させる場合には、大腿リンク11と下腿リンク12とを接続する関節部20に向かって、回動方向の反対側において直線移動機構31の先端部31aが直線移動する。そのため、関節部20の回動方向の反対側において、直線移動機構31の先端部31aが露出する。これに対して、本実施形態では、直線移動機構31の先端部31aの直線移動による大腿リンク11および下腿リンク12の相対的な回動に合わせて、可動カバー部材40を移動することによって、関節部20の回動方向の反対側において直線移動する直線移動機構31の先端部31aを効果的に覆うことができる。その結果、直線移動機構31が回動方向の反対側において外部に露出することを効果的に抑制できる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、第1リンク部材としての大腿リンク11は、人型ロボット100における大腿部1の部材である。第2リンク部材としての下腿リンク12は、人型ロボット100における下腿部2の部材である。可動カバー部材40は、膝関節である関節部20に対して移動可能に配置され、大腿部1の部材である大腿リンク11と、下腿部2の部材である下腿リンク12との相対的な回動に合わせて移動する。これにより、人型ロボット100の大腿部1および下腿部2の部材である大腿リンク11および下腿リンク12の回動に合わせて可動カバー部材40を移動できる。そのため、関節部20を覆う可動カバー部材40および固定カバー部材50の大型化を抑制しながら、人型ロボット100における関節部20を効果的に覆うことができる。
【0048】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0049】
たとえば、上記実施形態では、人型ロボット100の脚部の大腿部1の第1リンク部材としての大腿リンク11と下腿部2の第2リンク部材としての下腿リンク12とを相対的に回動させるロボット関節構造100aにおいて、関節部20を覆う可動カバー部材40および固定カバー部材50が配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、ロボット関節構造を、人型以外のロボットにおける第1リンク部材と第2リンク部材とを相対的に回動させるようにしてもよい。たとえば、図12に示す変形例によるロボット関節構造のように、4本脚ロボットであるロボット200の脚部において第1リンク部材211および第2リンク部材212を相対的に回動させる場合に、第1リンク部材211および第2リンク部材212を接続する関節部220を覆う可動カバー部材240および固定カバー部材250を配置するようにしてもよい。なお、関節部220、可動カバー部材240、および、固定カバー部材250の構成は、上記実施形態の関節部220、可動カバー部材240、および、固定カバー部材250と同様である。したがって、上記実施形態と同様に、第1リンク部材211および第2リンク部材212の相対的な回動に合わせて、可動カバー部材240が移動する。また、人型ロボットの脚部ではなく、人型ロボットの腕部の肘関節により互いに接続される第1リンク部材および第2リンク部材を相対的に回動させる場合に、第1リンク部材および第2リンク部材を接続する肘関節である関節部に対して、可動カバー部材および固定カバー部材を配置するようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、関節部20の第3リンク部材としての関節リンク22に配置された係合部である凸状の突起部23が、可動カバー部材40の被係合部である円弧状の長孔部41に係合する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、関節部に係合部として長孔部を配置するとともに、可動カバー部材に被係合部として突起部を配置するようにしてもよい。また、長孔部は円弧状ではなく、直線状であってもよい。また、可動カバー部材の被係合部として円弧状の長孔部ではなく、可動カバー部材の一部を切り欠いた切り欠き部を係合部と係合するように配置してもよい。また、可動カバー部材に凸状の被係合部を配置するとともに、係合部を、第3リンク部材の一部を切り欠いた切り欠き部としてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、関節部20の第3リンク部材としての関節リンク22に係合部である突起部23が配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、関節部のもう一方のリンク部材に係合部を配置してもよい。また、関節部以外の部材に可動カバー部材の被係合部と係合する係合部を配置してもよい。たとえば、第2リンク部材に係合部を配置してもよい。固定カバー部材に係合部を配置してもよい。第2リンク部材のカバー部材に係合部を配置してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、可動カバー部材40は、第1リンク部材としての大腿リンク11および第2リンク部材としての下腿リンク12の相対的な回動における所定の回動角度範囲である100度から150度までの回動角度において、大腿リンク11および下腿リンク12に対して相対的に回動する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、可動カバー部材が移動する所定の回動角度範囲は、100度より小さい角度を含んでいてもよいし、150度より大きい範囲を含んでいてもよい。また、所定の回動角度範囲は、100度よりも大きい範囲であってもよいし、150度より小さい範囲であってもよい。また、第1リンク部材および第2リンク部材の相対的な回動における一部の回動角度範囲ではなく、第1リンク部材および第2リンク部材の相対的な回動における全体の回動角度範囲において、可動カバー部材を移動させるようにしてもよい。また、第1リンク部材および第2リンク部材の相対的な回動は、0度から150度ではなくともよい。
【0053】
また、上記実施形態では、ねじりコイルばねである付勢部材60によって可動カバー部材40を付勢する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、付勢部材は、引張コイルばね、板バネ、および、渦巻きバネなどの金属ばねであってもよい。また、付勢部材は、ゴムなどの金属ばね以外の弾性部材であってもよい。また、付勢部材は、ソレノイドアクチュエータなどの駆動部を含むとともに、駆動部による駆動力によって、可動カバー部材を付勢するようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、第1リンク部材としての大腿リンク11に対する第3リンク部材としての関節リンク22の回動軸である軸部材22aが、可動カバー部材40の回動軸である例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、可動カバー部材は、第3リンク部材とは異なる回動軸を有していてもよい。また、可動カバー部材を、回動ではなく直線移動させるようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、可動カバー部材40とは別個に、関節部20に固定された固定カバー部材50が配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、固定カバー部材を配置しなくともよい。また、固定カバー部材を関節部ではなく第2リンク部材に固定するようにしてもよい。また、第1リンク部材側に付勢される可動カバー部材とは別個に、もう一つの可動カバー部材を関節部に対して移動可能に配置するようにしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、固定カバー部材50にこぶ状の噛み込み抑制部51を配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、噛み込み抑制部は、フランジ状に固定カバー部材の端部を折り曲げるようにしてもよい。また、可動カバー部材に噛み込み抑制部を配置するようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、関節部20が関節リンク21および関節リンク22の2つのリンク部材を有する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、関節部がリンク部材を有していなくともよい。たとえば、人型ロボットにおける大腿部の部材である第1リンク部材と、下腿部の部材である第2リンク部材とが、回転軸の軸芯部材である関節部を介して直接的に接続されていてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、駆動部30を、第1リンク部材としての大腿リンク11および第2リンク部材としての下腿リンク12が互いに屈曲するように回動する場合における回動方向の反対側に配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、駆動部を、第1リンク部材および第2リンク部材が互いに屈曲するように回動する場合における回動方向の順方向側に配置するようにしてもよい。また、駆動部は、直線移動する先端部が関節部に接続されている直線移動機構ではなく、回転伝動機構を含んでいてもよい。すなわち、駆動部は、モータの回転の駆動力を、回転移動として伝達することによって、第1リンク部材および第2リンク部材を相対的に回動させるようにしてもよい。
【0059】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0060】
(項目1)
第1リンク部材および第2リンク部材と、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを接続する関節部と、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材を相対的に回動させる駆動部と、
前記関節部に対して移動可能に配置され、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動するとともに、前記関節部を覆う可動カバー部材と、を備える、ロボット関節構造。
【0061】
(項目2)
前記関節部は、前記駆動部の駆動により前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動する係合部を含み、
前記可動カバー部材は、前記係合部と係合する被係合部を含み、前記被係合部に対して前記係合部が係合することによって、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動する、項目1に記載のロボット関節構造。
【0062】
(項目3)
前記係合部は、凸状の突起部と円弧状の長孔部とのいずれか一方を含み、
前記被係合部は、凸状の前記突起部と円弧状の前記長孔部とのいずれか他方を含み、
前記可動カバー部材は、前記長孔部の内周面の一端に対して前記突起部が当接することによって回動するように移動する、項目2に記載のロボット関節構造。
【0063】
(項目4)
前記可動カバー部材は、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の相対的な回動に合わせて、前記突起部が前記長孔部の内部を移動している場合には移動せず、前記突起部が前記長孔部の内周面の一端に対して当接することによって移動する、項目3に記載のロボット関節構造。
【0064】
(項目5)
前記可動カバー部材の回動軸線周りに前記可動カバー部材を前記第1リンク部材に向かって付勢する付勢部材をさらに備える、項目4に記載のロボット関節構造。
【0065】
(項目6)
前記関節部は、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材との間を接続する第3リンク部材を含み、
前記係合部は、前記第3リンク部材に配置された前記突起部を含み、
前記被係合部は、円弧状の前記長孔部を含み、
前記可動カバー部材は、前記長孔部の内周面の一端に対して、前記第3リンク部材に配置された前記突起部が当接することによって移動する、項目3~5のいずれか1項に記載のロボット関節構造。
【0066】
(項目7)
前記第3リンク部材は、軸部材により前記第1リンク部材に対して回動可能に接続されており、
前記可動カバー部材は、前記軸部材に接続されており、前記第1リンク部材に対する前記第3リンク部材の回動と共通の回動軸線周りに回動するように移動する、項目6に記載のロボット関節構造。
【0067】
(項目8)
前記可動カバー部材とは別個に設けられ、前記関節部に固定された状態で前記関節部を覆う固定カバー部材をさらに備え、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材は、互いに屈曲および伸展するように相対的に回動し、
前記固定カバー部材は、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材が互いに伸展した状態において、前記可動カバー部材に覆われ、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材が互いに屈曲した状態において、前記可動カバー部材から前記第2リンク部材の方に露出する、項目1~7のいずれか1項に記載のロボット関節構造。
【0068】
(項目9)
前記可動カバー部材は、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の回動の軸線方向における幅が、前記固定カバー部材よりも大きい、項目8に記載のロボット関節構造。
【0069】
(項目10)
前記固定カバー部材は、前記可動カバー部材から露出した状態で前記可動カバー部材が覆うように移動してくる方の端部において、前記可動カバー部材との間の噛み込みを抑制するように前記可動カバー部材に向かって突出する噛み込み抑制部を含む、項目8または9に記載のロボット関節構造。
【0070】
(項目11)
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材は、互いに屈曲および伸展するように相対的に回動し、
前記駆動部は、直線移動する先端部が前記関節部に接続されている直線移動機構を含み、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材が互いに屈曲するように回動する場合における回動方向の反対側に配置されており、
前記可動カバー部材は、前記直線移動機構の前記先端部の直線移動による前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動する、項目1~10のいずれか1項に記載のロボット関節構造。
【0071】
(項目12)
前記第1リンク部材は、人型ロボットにおける大腿部の部材であり、
前記第2リンク部材は、前記人型ロボットにおける下腿部の部材であり、
前記可動カバー部材は、膝関節である前記関節部に対して移動可能に配置され、前記大腿部の部材である前記第1リンク部材と、前記下腿部の部材である前記第2リンク部材との相対的な回動に合わせて移動する、項目1~11のいずれか1項に記載のロボット関節構造。
【0072】
(項目13)
第1リンク部材および第2リンク部材と、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを接続する関節部と、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材を相対的に回動させる駆動部と、
前記関節部に対して移動可能に配置され、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の相対的な回動に合わせて移動するとともに、前記関節部を覆う可動カバー部材と、を備える、ロボット。
【符号の説明】
【0073】
1 大腿部
2 下腿部
11 大腿リンク(第1リンク部材)
12 下腿リンク(第2リンク部材)
20、220 関節部
22a 軸部材
23 突起部(係合部)
30 駆動部
31 直線移動機構
31a 先端部
40、240 可動カバー部材
41 長孔部
50、250 固定カバー部材
51 噛み込み抑制部
60 付勢部材
100 人型ロボット(ロボット)
100a ロボット関節構造
200 ロボット
211 第1リンク部材
212 第2リンク部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12