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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009483
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】回路装置及び表示システム
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20240116BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240116BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240116BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20240116BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20240116BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240116BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240116BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20240116BHJP
   F21Y 105/16 20160101ALN20240116BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240116BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 642J
F21S2/00 480
H05B45/20
H05B47/165
G02F1/133 535
G02F1/13357
G09G3/34 J
F21Y105:16
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111037
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 泰俊
(72)【発明者】
【氏名】アナンド クマー アナンダバイラバサミー
(72)【発明者】
【氏名】マズロエイ セブダニ マムード
(72)【発明者】
【氏名】ダールマン タイラー
【テーマコード(参考)】
2H193
2H391
3K244
3K273
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZF13
2H193ZG02
2H193ZG14
2H193ZG41
2H193ZG50
2H193ZR06
2H193ZR20
2H391AA01
2H391AB04
2H391AB21
2H391CB13
2H391FA07
3K244AA01
3K244BA08
3K244BA21
3K244BA23
3K244CA02
3K244DA01
3K244GA02
3K273PA09
3K273QA23
3K273RA02
3K273RA05
3K273RA17
3K273SA03
3K273SA04
3K273SA35
3K273SA46
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA77
3K273TA78
5C006EA01
5C006FA22
5C006FA54
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD05
5C080JJ02
5C080JJ04
5C080KK20
5C080KK43
(57)【要約】
【課題】バックライトから表示パネルの画素に届く光の輝度を演算するときの処理負荷を低減可能な回路装置等を提供すること。
【解決手段】回路装置100は輝度解析回路140と輝度情報演算回路150と色補正回路160とを含む。輝度解析回路140は、画像データIMAの輝度解析を行い、その輝度解析の結果に基づいて、ローカルディミング制御における調光情報を求める。輝度情報演算回路150は、n×m個の光源素子の調光情報に基づいて、そのn×m個の光源素子から対象画素20に届く光の輝度を示す輝度情報を演算する。n×m個の光源素子は、バックライト210の複数の光源素子のうち、ローカルディミング制御における色補正の対象画素20の周囲に配置された光源素子である。色補正回路160は、輝度情報に基づいて対象画素20の画像データの色補正を行い、色補正後の画像データIMBを表示装置200に出力する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元配置された複数の光源素子を含むバックライト、及び表示パネルを有する表示装置のローカルディミング制御を行う回路装置であって、
画像データの輝度解析を行い、前記輝度解析の結果に基づいて、前記ローカルディミング制御における調光情報を求める輝度解析回路と、
前記複数の光源素子のうち、前記ローカルディミング制御における色補正の対象画素の周囲に配置されるn×m個の光源素子(n、mの各々は2以上8以下の整数)の前記調光情報に基づいて、前記n×m個の光源素子から前記対象画素に届く光の輝度を示す輝度情報を演算する輝度情報演算回路と、
前記輝度情報に基づいて前記対象画素の画像データの色補正を行い、色補正後の画像データを前記表示装置に出力する色補正回路と、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載された回路装置において、
前記輝度情報演算回路は、
前記n×mの光源素子の各光源素子から前記表示パネルに届く光の減衰特性と、前記各光源素子と前記対象画素の距離情報とに基づいて、前記輝度情報を演算することを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項2に記載された回路装置において、
前記減衰特性は、光源素子の位置から所定距離範囲において非減衰の特性であることを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項2に記載された回路装置において、
前記輝度情報演算回路は、
前記n×m個の光源素子における第j列の光源素子と前記対象画素との間の水平方向における水平距離がujであり(jは1以上m以下の整数)、前記n×m個の光源素子における第i行の光源素子と前記対象画素との間の垂直方向における垂直距離がviであり(iは1以上n以下の整数)、前記n×m個の光源素子における第i行第j列の光源素子の発光輝度がLED_BLijであり、前記減衰特性を示す関数がαであるとき、
【数6】
【数7】
により、輝度PIX_BLを前記輝度情報として演算することを特徴とする回路装置。
【請求項5】
請求項2に記載された回路装置において、
前記輝度情報演算回路は、
前記距離情報に対して前記減衰特性が対応付けられたテーブルと、前記距離情報とに基づいて、前記輝度情報を演算することを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項5に記載された回路装置において、
前記距離情報は、
前記n×m個の光源素子の各光源素子と前記対象画素との間の水平方向における水平距離と、前記各光源素子と前記対象画素との間の垂直方向における垂直距離とであり、
前記テーブルは、
前記水平距離及び前記垂直距離に対して前記減衰特性が対応付けられた2次元テーブルであることを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項2に記載された回路装置において、
前記距離情報は、
前記各光源素子と前記対象画素との間の距離の二乗であることを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項2に記載された回路装置において、
前記減衰特性は、
前記距離情報と、前記各光源素子から前記表示パネルに届く光の減衰率との関係に基づいて設定されていることを特徴とする回路装置。
【請求項9】
請求項8に記載された回路装置において、
前記表示装置は、
前記バックライトと前記表示パネルとの間に設けられ、前記バックライトからの光を拡散する拡散シートを含み、
前記減衰特性は、
前記距離情報と前記減衰率との関係、及び前記拡散シートの拡散特性に基づいて設定されていることを特徴とする回路装置。
【請求項10】
請求項1に記載された回路装置において、
前記バックライトの前記複数の光源素子が非正方格子で配置されているとき、
前記輝度情報演算回路は、
前記n×mの光源素子を含むs×tの光源素子(s、tは、s×tがn×mより大きい整数となるような整数)が仮想的にs×tの正方格子に配置されていると仮定して、前記輝度情報を演算することを特徴とする回路装置。
【請求項11】
請求項10に記載された回路装置において、
前記輝度情報演算回路は、
前記s×tの光源素子のうち前記n×mの光源素子が、前記輝度解析回路が演算する前記調光情報に基づいて発光状態又は消灯状態であると共に、前記s×tの光源素子のうち前記n×mの光源素子以外の仮想的な光源素子が、消灯状態であるとして、前記輝度情報を演算することを特徴とする回路装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載された回路装置と、
前記表示装置と、
を含むことを特徴とする表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置及び表示システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バックライトをローカルディミング制御する表示装置が開示されている。バックライトには、複数の光源が設けられており、互いに独立して発光強度を変更可能な複数の制御エリアに分割されている。表示装置は、バックライト発光強度決定部とバックライト制御部と輝度分布算出部と画像データ補正部とを含む。バックライト発光強度決定部は、入力画像データに基づいて制御エリアごとの光源の発光強度を決定し、その発光強度を示す発光強度データを生成する。バックライト制御部は、発光強度データに基づいて、複数の光源のそれぞれに対して、駆動信号を出力する。輝度分布算出部は、発光強度データに基づいて表示パネル上の輝度分布を算出する。画像データ補正部は、表示パネル上の輝度分布に基づいて、入力画像データを補正し、補正後画像データを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-009170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、「輝度分布算出部は、発光強度データに基づいて表示パネル上の輝度分布を算出する」ことが開示されている。しかし、特許文献1には、表示パネル上の輝度分布を算出する際に、バックライトに配置された複数の光源のうち、いずれの光源を輝度分布の算出に用いるのかについては、開示も示唆もされていない。例えば、バックライトに配置された複数の光源の全てが輝度分布の算出に用いられるとすると、輝度分布算出の処理負荷が非常に大きくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、2次元配置された複数の光源素子を含むバックライト、及び表示パネルを有する表示装置のローカルディミング制御を行う回路装置であって、画像データの輝度解析を行い、前記輝度解析の結果に基づいて、前記ローカルディミング制御における調光情報を求める輝度解析回路と、前記複数の光源素子のうち、前記ローカルディミング制御における色補正の対象画素の周囲に配置されるn×m個の光源素子(n、mの各々は2以上8以下の整数)の前記調光情報に基づいて、前記n×m個の光源素子から前記対象画素に届く光の輝度を示す輝度情報を演算する輝度情報演算回路と、前記輝度情報に基づいて前記対象画素の画像データの色補正を行い、色補正後の画像データを前記表示装置に出力する色補正回路と、を含む回路装置に関係する。
【0006】
また本開示の他の態様は、上記の回路装置と、前記表示装置と、を含む表示システムに関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の表示システムを含む電子機器の構成例。
図2】回路装置の詳細構成例。
図3】輝度情報を求める際に光源素子を選択する手法を説明する図。
図4】対象画素と各光源素子の間の距離を説明する図。
図5】減衰特性の例。
図6】yz平面における表示装置の断面図。
図7】回路装置が行う処理のタイミングチャート。
図8】1次元の減衰率テーブルの例。
図9】2次元の減衰率テーブルの例。
図10】6×6の光源素子が選択されるときの、対象画素と各光源素子の間の距離を説明する図。
図11】菱形配置の例と、その場合における対象画素と各光源素子の間の距離を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.電子機器、表示システム及び回路装置
図1は、本実施形態の表示システムを含む電子機器の構成例である。電子機器500は、処理装置300と表示システム400とを含む。電子機器500は、一例としては、ディスプレイを含む車載クラスターパネル、ヘッドアップディスプレイ等を含む車載表示機器、テレビジョン装置、或いはディスプレイを含む情報処理装置である。
【0010】
表示システム400は、回路装置100と表示装置200とを含む。回路装置100は、例えば、半導体基板に複数の回路素子が集積された集積回路装置である。なお、図1には回路装置100と表示装置200を別の構成要素として記載したが、回路装置100が表示装置200内に含まれてもよい。
【0011】
表示装置200は、バックライト210と表示パネル220と表示ドライバー230と光源ドライバー240と表示コントローラー250とを含む。表示装置200の一例は、テレビジョン装置又は情報処理装置等に用いられるディスプレイである。或いは、表示装置200は、目への投写装置を含むヘッドマウントディスプレイ、或いは、スクリーンへの投写装置を含むヘッドアップディスプレイ等であってもよい。表示装置200がヘッドアップディスプレイであるとき、表示装置200は、更に、バックライト210から出射されて表示パネル220を透過した光をスクリーンに投影するための光学系を含む。
【0012】
バックライト210に対する平面視において、バックライト210には光源素子が2次元配置されている。光源素子は、電力供給により光を発する発光素子であり、例えば無機発光ダイオード、或いは有機発光ダイオードである。ローカルディミング制御において、2次元配置された各光源素子の光量が互いに独立に制御される。或いは、バックライトが、平面視において各エリアが複数の光源素子を含む複数のエリアに分割され、各エリアに含まれた光源素子は同一の光量に制御されると共に、各エリアの光量が互いに独立に制御されてもよい。
【0013】
光源素子の2次元配置の一例は、複数行と複数列の交点の全てに光源素子が配置された正方配置である。但し2次元配置は正方配置に限定されない。例えば、2次元配置は例えば菱形配置又は千鳥配置と呼ばれる配置であってもよい。この配置において、奇数行及び偶数行の一方と奇数列との交点、及び奇数行及び偶数行の他方と偶数列との交点に光源素子が配置され、それ以外の交点に光源素子が配置されない。
【0014】
光源ドライバー240は、回路装置100から調光データDDIMを受信し、その調光データDDIMに基づいてバックライト210の各光源素子を駆動する。光源ドライバー240は例えば集積回路装置である。なお、光源ドライバーが複数設けられ、その各光源ドライバーが別個の集積回路装置であってもよい。
【0015】
表示パネル220は、バックライト210からの光を透過し、その透過率が制御されることで画像を表示する電気光学パネルである。例えば、表示パネル220は液晶表示パネルである。
【0016】
表示コントローラー250は、回路装置100から画像データIMBを受信し、その画像データIMBと、表示タイミングを制御するタイミング制御信号とを、表示ドライバー230に送信する。なお、表示コントローラー250は、受信した画像データIMBに対する階調補正、ホワイトバランス補正又は拡大縮小等の画像処理を行ってもよい。
【0017】
表示ドライバー230は、受信した画像データとタイミング制御信号に基づいて表示パネルを駆動することで、表示パネル220に画像を表示させる。なお、表示コントローラー250と表示ドライバー230の各々が別の集積回路装置で構成されてもよいし、一体の集積回路装置で構成されてもよい。
【0018】
処理装置300は、回路装置100に画像データIMAを送信する。処理装置300は、例えばCPU、マイクロコンピューター、DSP、ASIC又はFPGA等のプロセッサーである。
【0019】
回路装置100は、画像データIMAを受信し、その画像データIMAに基づいて表示装置200のローカルディミング制御を行う。回路装置100は、画像データIMAを輝度解析することでバックライト210の各光源素子又は各エリアの発光輝度を調光情報として決定し、その調光情報を示す調光データDDIMを光源ドライバー240に出力する。また回路装置100は、調光情報に基づいて画像データIMAに対する色補正を行い、色補正後の画像データIMBを表示コントローラー250に出力する。
【0020】
図2は、回路装置の詳細構成例である。回路装置100は、インターフェース回路110と光源制御回路130と輝度解析回路140と輝度情報演算回路150と色補正回路160と記憶回路170とを含む。以下、ローカルディミングにおいてバックライト210の発光素子毎に独立に調光される場合を例に説明するが、エリア毎に独立に調光されてもよい。
【0021】
インターフェース回路110は、処理装置300から画像データIMAを受信する。インターフェース回路110は、LVDS、パラレルRGB方式又はディスプレイポート等の様々な画像インターフェース方式のインターフェース回路であってよい。
【0022】
輝度解析回路140は、画像データIMBの輝度を解析し、その解析結果に基づいて各発光素子の発光輝度を決定し、その各発光素子の発光輝度を示す調光データLLDを調光情報として光源制御回路130と輝度情報演算回路150に出力する。例えば、輝度解析回路140は、バックライト210の発光素子に対応する画像エリアにおいて、その画像エリアに属する画素データの最大輝度を決定し、その最大輝度を表示装置200において表示できる範囲で最小のバックライト発光輝度を決定し、それを、その発光素子の発光輝度とする。
【0023】
光源制御回路130は、各光源素子の発光輝度を示す調光データLLDに基づいて、各光源素子の発光輝度を示す調光データDDIMを光源ドライバー240に出力する。光源ドライバー240は、調光データDDIMが示す各光源素子の発光輝度に対応したパルス幅のPWM信号で各発光素子を駆動する。これにより、各発光素子が、ローカルディミングで制御される発光輝度で発光する。
【0024】
輝度情報演算回路150は、調光データLLDが示す各発光素子の発光輝度に基づいて、バックライト210から表示パネル220の各画素に届く光の輝度を示す輝度情報を求め、その輝度情報を照明輝度データLPXとして色補正回路160に出力する。輝度情報演算回路150は、輝度情報を求めようとしている画素を対象画素として、その対象画素の周囲に配置された所定数の光源素子から対象画素に届く光の輝度を、演算式又はテーブルを用いて求める。この点の詳細については後述する。
【0025】
記憶回路170は、輝度情報を求める際に用いられる減衰情報を記憶する。輝度情報演算回路150は、記憶回路170に記憶された減衰情報に基づいて輝度情報を求める。減衰情報は、光源素子から画素までの距離と、光源素子から画素まで届く光の減衰率との関係を示す減衰特性である。この特性は、輝度分布とも呼ばれる。輝度情報が演算式で求められる場合には、記憶回路170は、その演算式、或いは演算式に含まれる係数等を記憶する。輝度情報がテーブルで求められる場合には、記憶回路170は、そのテーブルを記憶する。記憶回路170は、レジスターであってもよいし、或いはRAM又は不揮発性メモリー等のメモリーであってもよい。
【0026】
色補正回路160は、照明輝度データLPXに基づいて画像データIMAの色補正を行い、補正後の画像データIMBを表示ドライバー230に出力する。具体的には、色補正回路160は、各画素の画素データに、その画素に届く光の輝度の逆数を乗算し、その結果をその画素の新たな画素データとする。
【0027】
光源制御回路130、輝度解析回路140、輝度情報演算回路150及び色補正回路160は、デジタル信号を処理するロジック回路である。光源制御回路130、輝度解析回路140、輝度情報演算回路150及び色補正回路160の各々が、別個にロジック回路で構成されてもよいし、それらの一部又は全部が一体のロジック回路で構成されてもよい。或いは、DSP等のプロセッサーが、光源制御回路130、輝度解析回路140、輝度情報演算回路150及び色補正回路160の機能が記述された命令セット又はプログラムを実行することで、それらの回路の機能を実現してもよい。
【0028】
2.第1実施形態
図3は、輝度情報を求める際に光源素子を選択する手法を説明する図である。互いに直交する3方向をx方向、y方向及びz方向とする。xy平面に平行にバックライト210と表示パネル220が設けられ、表示パネル220のz方向側にバックライト210が設けられるとする。x方向は表示パネル220の水平方向であり、y方向は表示パネル220の垂直方向である。なお、ここではバックライト210に複数の光源素子10が正方配置される例を示す。
【0029】
輝度情報演算回路150が輝度情報を求めようとする画素を対象画素20とし、そのxy座標を(xP、yP)とする。輝度情報演算回路150は、対象画素20を順次にずらしながら輝度情報を求めることで、表示パネル220の各画素の輝度情報を求める。
【0030】
光源素子10のxy座標を(xL、yL)とする。表示パネル220とバックライト210をz方向に平面視し、各光源を点光源とみなしたとき、その点光源に対応した表示パネル220上の座標が、(xL、yL)である。
【0031】
輝度情報演算回路150は、対象画素20の周囲のn×mの光源素子を選択する。光源素子が正方配置される場合には、n×mはn行m列を意味する。図3には、n=m=4の例を示すが、nとmの各々が2以上8以下の整数であればよい。具体的には、輝度情報演算回路150は、xL≦xPにおいて|xL-xP|が最小の列及び|xL-xP|が2番目に小さい列と、xP<xPにおいて|xL-xP|が最小の列及び|xL-xP|が2番目に小さい列とを選択する。輝度情報演算回路150は、yL≦yPにおいて|yL-yP|が最小の行及び|yL-yP|が2番目に小さい行と、yP<yPにおいて|yL-yP|が最小の行及び|xL-xP|が2番目に小さい行とを選択する。そして、輝度情報演算回路150は、上記で選択した4列と4行の交点に存在する4×4の光源素子10を、対象画素20の輝度情報を求めるための光源素子群15として選択する。
【0032】
図4に、対象画素と各光源素子の間の距離を説明する図を示す。光源素子群15に属する4×4の光源素子のうち第i行第j列の光源素子をLDijと表す。光源素子LDijのxy座標を(xLj,yLi)と表す。iは1以上n=4以下の整数であり、jは1以上m=4以下の整数である。
【0033】
距離はxy平面或いは表示パネル220上における距離である。距離は、メートル等の実距離であってもよいし、或いは所定単位で規定された距離であってもよい。例えば、所定単位が、表示パネル220の画素ピッチであるとき、距離は、表示パネル220上の画素数で示される。
【0034】
輝度情報演算回路150は、x方向における光源素子と対象画素20の間の距離u1~u4と、y方向における光源素子と対象画素20の間の距離v1~v4とを求める。ujは、水平方向における第j列の光源素子と対象画素20との間の距離である。具体的には、uj=xLj-xPである。viは、垂直方向における第i行の光源素子と対象画素20との間の距離である。具体的には、vi=yLi-yPである。
【0035】
輝度情報演算回路150は、下式(1)と(2)により、光源素子群15に属する4×4の光源素子から対象画素20に届く光の輝度PIX_BLを演算する。Lijは、光源素子LDijと対象画素20の間の距離の二乗である。LED_BLijは、輝度解析回路140が決定した光源素子LDijの発光輝度である。α(Lij)は、Lijを変数とする関数であり、距離の二乗がLijであるときに光源素子LDijから対象画素20に届く光の減衰率を示す。
【数1】
【数2】
【0036】
図5に、減衰特性の例を示す。ここでは減衰率の最大値が1に規格化されているとする。距離ゼロは、表示パネル220における光源素子の直上を意味しており、そこから所定距離Laまでは減衰率が1で一定である。距離Laは、バックライト210の平面視における光源素子の大きさを示している。即ち、光源素子は、平面視において半径Laの円と同程度の大きさを有する。輝度情報の演算においては光源素子を点光源としているが、距離Laまで一定減衰率とした減衰特性を用いることで、光源素子の面積を考慮した輝度情報を求めることができる。
【0037】
距離Laより離れると、減衰率は単調減少し、減衰率はゼロに漸近していく。減衰率がほぼゼロと見なせる距離においては、その光源素子から対象画素に届く光を無視できる。本実施形態において、対象画素20の周辺のn×mの光源素子より遠い光源素子は、その光源素子から対象画素20に届く光を無視できる光源素子である。即ち、光源素子から対象画素20に届く光を無視できない光源素子をn×mの光源素子として選択していることになる。どの程度の減衰率を無視できると見なすかは、求めるべき輝度情報の精度に依存する。nとmを大きくするほど遠くの光源まで考慮されるので精度の高い輝度情報が得られ、nとmを小さくするほど、考慮される光源の数が減るので処理負荷が小さくなる。nとmは、輝度情報の精度と処理負荷に応じて決定されればよい。
【0038】
なお、バックライト210に設けられた複数の光源素子に対して共通の減衰特性が用いられてもよいし、或いは光源素子毎の減衰特性が用いられてもよいし、或いはバックライト210の領域毎に減衰特性が定められ、同じ領域に属する光源素子については共通の減衰特性が用いられてもよい。
【0039】
図6は、yz平面における表示装置の断面図である。表示ドライバー230、光源ドライバー240及び表示コントローラー250の図示を省略する。
【0040】
表示装置200は拡散シート260を含む。拡散シート260は、バックライト210と表示パネル220の間に、xy平面に平行に設けられる。拡散シート260は、一方の面から入射した光を拡散させて他方の面から出射する。これにより、バックライト210の各光源素子10から出射した光は、拡散シート260により拡散され、より拡がった光として表示パネル220に入射する。拡散シート260を設けた場合には、図5の減衰特性は、拡散シート260の影響を受けた後の減衰率を示す。即ち、光源素子から出射された光の減衰率と、拡散シート260の拡散特性とに基づいて、拡散特性が決まっている。
【0041】
拡散特性は、例えば輝度センサー等を用いて測定により取得されてもよいし、或いはコンピューターを用いたシミュレーション処理により取得されてもよい。
【0042】
図7は、回路装置が行う処理のタイミングチャートである。第1フレームF1において、インターフェース回路110が第1フレームF1の画像データIMA1を受信する。輝度解析回路140は、受信された画像データIMA1を、ラインバッファー又は画像メモリー等にバッファリングし、そのバッファリングされた画像データIMA1に対して輝度解析を行い、調光データLLD1を出力する。
【0043】
第2フレームF2において、インターフェース回路110が第2フレームF2の画像データIMA2を受信する。輝度解析回路140は、受信された画像データIMA2を、ラインバッファー又は画像メモリー等にバッファリングし、そのバッファリングされた画像データIMA2に対して輝度解析を行い、調光データLLD2を出力する。
【0044】
また第2フレームF2において、光源制御回路130は、第1フレームF1で算出された調光データLLD1を用いてバックライト210の輝度を制御する。輝度情報演算回路150は、第1フレームF1で算出された調光データLLD1を用いて、n×mの光源素子から対象画素20に届く光の輝度を求める。色補正回路160は、求められた輝度を用いて、第2フレームF2の画像データIMA2を色補正する。以降のフレームにおいて同様の処理が繰り返される。
【0045】
以上の実施形態では、回路装置100は表示装置200のローカルディミング制御を行う。表示装置200は、2次元配置された複数の光源素子を含むバックライト210、及び表示パネル220を有する。回路装置100は輝度解析回路140と輝度情報演算回路150と色補正回路160とを含む。輝度解析回路140は、画像データIMAの輝度解析を行い、その輝度解析の結果に基づいて、ローカルディミング制御における調光情報を求める。輝度情報演算回路150は、n×m個の光源素子の調光情報に基づいて、そのn×m個の光源素子から対象画素20に届く光の輝度を示す輝度情報を演算する。n×m個の光源素子は、バックライト210の複数の光源素子のうち、ローカルディミング制御における色補正の対象画素20の周囲に配置された光源素子である。n、mの各々は2以上8以下の整数である。色補正回路160は、輝度情報に基づいて対象画素20の画像データの色補正を行い、色補正後の画像データIMBを表示装置200に出力する。
【0046】
本実施形態によれば、バックライト210の全ての光源素子ではなくn×mの限られた数の光源素子が選択され、そのn×m個の光源素子から対象画素20に届く光の輝度が演算される。これにより、バックライト210の全ての光源素子を考慮して輝度を演算する場合に比べて、演算負荷を低減できる。演算負荷が低減されることで、例えば、マイクロコンピューター等に比べて演算処理能力が劣るASIC等によりローカルディミング制御を行うことが可能になる。
【0047】
また本実施形態では、輝度情報演算回路150は、n×mの光源素子の各光源素子から表示パネル220に届く光の減衰特性と、各光源素子と対象画素の距離情報とに基づいて、輝度情報を演算する。
【0048】
図5で説明したように、減衰特性は、光源素子と対象画素20との間の距離と、その距離における減衰率の関係を示している。本実施形態によれば、輝度情報演算回路150は、減衰特性と、各光源素子と対象画素の距離情報に基づいて、その距離情報が示す距離における減衰率を求め、その減衰率から輝度情報を演算できる。
【0049】
また本実施形態では、減衰特性は、光源素子の位置から所定距離範囲において非減衰の特性である。
【0050】
本実施形態によれば、実際には平面視において面積がある光源素子を、その光源素子の中心等に位置する点光源とみなすことができる。そして、光源素子の面積の影響を、所定距離範囲において非減衰の特性によって表すことが可能になる。これにより、光源素子の面積を考慮した輝度演算が不要になるため、輝度演算のアルゴリズム簡素化又は演算負荷の低減が可能になる。
【0051】
なお、図5では所定距離範囲が半径Laの円であるが、所定距離範囲は等方性の範囲に限定されず異方性の範囲であってもよい。例えば第2、第4実施形態のような異方性の減衰特性を用いる場合には、その異方性の減衰特性において異方性の所定距離範囲を定義できる。
【0052】
また本実施形態では、輝度情報演算回路150は、上式(1)と(2)により、輝度PIX_BLを輝度情報として演算する。
【0053】
本実施形態によれば、減衰特性を示す関数αを用いて各光源素子から対象画素20に届く光の輝度を求め、その輝度を、n×m個の光源素子について積算する。これにより、n×m個の光源素子から対象画素20に届く光の輝度PIX_BLを演算できる。
【0054】
また本実施形態では、距離情報は、各光源素子と対象画素20との間の距離の二乗Lijである。
【0055】
距離を求めるためには、水平方向の距離と垂直方向の距離の二乗和を求め、その二乗和の平方根を求める必要がある。本実施形態によれば、距離情報として距離の二乗Lijを用いることで、処理負荷の高い平方根の演算が不要となり、処理負荷を低減できる。
【0056】
また本実施形態では、減衰特性は、距離情報と、各光源素子から表示パネル220に届く光の減衰率との関係に基づいて設定されている。
【0057】
上式(4)に示すように、減衰率βに各光源素子の発光輝度を乗じることで、各光源素子から表示パネル220に届く光の輝度を求めることができる。そして、その輝度を、n×m個の光源素子について積算することで、n×m個の光源素子から対象画素20に届く光の輝度を演算できる。
【0058】
また本実施形態では、表示装置200は拡散シート260を含む。拡散シート260は、バックライト210と表示パネル220との間に設けられ、前記バックライト210からの光を拡散する。減衰特性は、距離情報と減衰率との関係、及び拡散シート260の拡散特性に基づいて設定されている。
【0059】
本実施形態によれば、拡散シート260を設けることで、表示パネル220に当たる光の均一性が向上する。均一性が向上した光に残るムラは減衰特性に反映され、その減衰特性を用いることで、n×m個の光源素子から対象画素20に届く光の輝度を演算できる。
【0060】
3.第2~第6実施形態
以下、第2~第6実施形態について説明する。各実施形態において、第1実施形態と異なる部分を主に説明し、第1実施形態と同じ部分については説明を省略する。
【0061】
第2実施形態について説明する。上式(2)のα(Lij)と図5において、減衰特性は、光源素子の座標を中心として等方性の特性である。第2実施形態では、輝度情報演算回路150は、光源素子の座標を中心として異方性の減衰特性を用いて輝度情報を求める。
【0062】
具体的には、輝度情報演算回路150は、下式(3)により輝度PIX_BLを演算する。Θijは、光源素子LDijと対象画素20を結ぶ線と基準線との成す角度であり、光源素子LDijを基準とする対象画素20の方向を示す。基準線は、例えばx方向又はy方向に平行な線である。α(Lij,Θij)は、LijとΘijを変数とする関数であり、距離の二乗がLijであり且つ角度がΘijであるときに光源素子LDijから対象画素20に届く光の減衰率を示す。
【数3】
【0063】
次に第3実施形態について説明する。輝度情報演算回路150は、減衰特性として1次元の減衰率テーブルを用いる。1次元の減衰率テーブルは、光源素子の座標を中心として等方性の減衰特性を示す。
【0064】
図8に、1次元の減衰率テーブルの例を示す。減衰率テーブルは、光源素子と対象画素20の間の距離の二乗を入力とし、その入力に対する減衰率を出力するテーブルである。輝度情報演算回路150は、上式(1)に示す距離の二乗Lijに基づいて減衰率テーブルを参照し、Lijに対応した減衰率β(Lij)を求め、下式(4)により輝度PIX_BLを演算する。
【数4】
【0065】
輝度情報演算回路150は、線形補間により減衰率β(Lij)を求めてもよい。例えばLij=6.25とする。輝度情報演算回路150は、テーブルに含まれる距離の二乗のうちLij=6.25の上下に隣接する2つの距離の二乗4、9を選択し、それに対応する減衰率0.95、0.85を取得する。輝度情報演算回路150は、取得した減衰率0.95、0.85を用いて線形補間により、Lij=6.25における減衰率β(Lij)を求める。
【0066】
以上の実施形態では、輝度情報演算回路150は、距離情報に対して減衰特性が対応付けられたテーブルと、距離情報とに基づいて、輝度情報を演算する。
【0067】
本実施形態によれば、距離情報に対して減衰特性が対応付けられたテーブルと距離情報とを用いることで、各光源素子から表示パネル220に届く光の輝度を求めることができる。そして、その輝度を、n×m個の光源素子について積算することで、n×m個の光源素子から対象画素20に届く光の輝度を演算できる。
【0068】
次に第4実施形態について説明する。輝度情報演算回路150は、減衰特性として2次元の減衰率テーブルを用いる。2次元の減衰率テーブルは、光源素子の座標を中心として異方性の減衰特性を表すことが可能である。
【0069】
図9に、2次元の減衰率テーブルの例を示す。ここでは等方的な減衰特性を示すが、異方性の減衰特性であってもよい。減衰率テーブルは、光源素子と対象画素20の間の水平方向の距離及び垂直方向の距離を入力とし、その入力に対する減衰率を出力するテーブルである。輝度情報演算回路150は、図4に示す水平方向の距離uj及び垂直方向の距離viに基づいて減衰率テーブルを参照し、uj及びviに対応した減衰率γ(uj,vi)を求め、下式(5)により輝度PIX_BLを演算する。
【数5】
【0070】
輝度情報演算回路150は、線形補間により減衰率γ(uj,vi)を求めてもよい。例えばuj=1.5、vi=1.5とする。輝度情報演算回路150は、テーブルに含まれる水平方向の距離のうちuj=1.5の上下に隣接する2つの距離1、2を選択し、且つテーブルに含まれる垂直方向の距離のうちvi=2.5の上下に隣接する2つの距離2、3を選択する。輝度情報演算回路150は、(uj,vi)=(1,2)、(1,3)、(2,2)、(2,3)に対応する減衰率0.8、0.6、0.6、0.5を取得する。輝度情報演算回路150は、取得した減衰率0.8、0.6、0.6、0.5を用いて線形補間により、uj=1.5、vi=1.5における減衰率γ(uj,vi)を求める。
【0071】
以上の実施形態では、距離情報は、n×m個の光源素子の各光源素子LDijと対象画素20との間の水平方向における水平距離ujと、各光源素子と対象画素20との間の垂直方向における垂直距離viとである。テーブルは、水平距離uj及び垂直距離viに対して減衰特性が対応付けられた2次元テーブルである。
【0072】
本実施形態によれば、水平距離uj及び垂直距離viに対して減衰特性が対応付けられたテーブルと水平距離uj及び垂直距離viとを用いることで、各光源素子から表示パネル220に届く光の輝度を求めることができる。そして、その輝度を、n×m個の光源素子について積算することで、n×m個の光源素子から対象画素20に届く光の輝度を演算できる。また、2次元テーブルを用いることで、異方性の減衰特性により輝度情報を演算できるようになる。
【0073】
次に第5実施形態について説明する。輝度情報演算回路150は、光源素子群15として6×6の光源素子を選択する。n×mが4×4でない場合の一例であって、上述したようにnが2以上8以下であり且つmが2以上8以下であればよい。
【0074】
図10に、6×6の光源素子が選択されるときの、対象画素と各光源素子の間の距離を説明する図を示す。図4と同様に、6×6の光源素子のうち第i行第j列の光源素子をLDijと表し、光源素子LDijのxy座標を(xLj,yLi)と表す。このとき、iは1以上n=6以下の整数であり、jは1以上m=6以下の整数である。各光源素子から対象画素20に届く光の輝度PIX_BLは、第1~第4実施形態で説明した演算手法のいずれの手法で演算されてもよい。
【0075】
次に第6実施形態について説明する。第6実施形態では、バックライト210の2次元配置が菱形配置になっている。菱形配置は千鳥配置とも呼ばれる。
【0076】
図11に、菱形配置の例と、その場合における対象画素と各光源素子の間の距離を説明する図を示す。輝度情報演算回路150は、正方配置を仮定し、その正方配置におけるs×tの格子点を選択する。図11ではs=t=6としており、その6×6の格子点の半数に光源素子が配置されている。図11では、iとjが共に奇数の格子点と、iとjが共に偶数の格子点に、光源素子LDijが配置されている。iが奇数でjが偶数、及びiが偶数でjが奇数の格子点には、光源素子が配置されていない。
【0077】
このとき、輝度情報演算回路150は、6×6の格子点の全てに光源素子が仮想的に配置されていると仮定し、そのうち実際に配置された光源素子が調光データLLDに基づいて制御され、実際には配置されない仮想的な光源素子が消灯しているとみなして、各光源素子から対象画素20に届く光の輝度PIX_BLを演算する。輝度PIX_BLは、第1~第4実施形態で説明した演算手法のいずれの手法で演算されてもよい。
【0078】
図11の例において、s×t=6×6であり、そのうち半数に光源素子は配置されているので、光源素子群15として選択される光源素子の数はn×m=(6×6)/2=18である。これは、n×m=3×6又はn×m=6×3とみなすこともできる。s、tは、s×tがn×mより大きい整数となるような整数であればよい。
【0079】
なお、菱形配置においてn×mの光源素子を選択する手法は上記に限定されない。例えば、バックライト210において奇数行及び奇数列の交点である奇数交点群と、偶数行及び偶数列の交点である偶数交点群とに光源素子が配置されているとする。このとき、輝度情報演算回路150は、奇数交点群の光源素子のうち対象画素20の周囲p×qの光源素子と、偶数交点群の光源素子のうち対象画素20の周囲p×qの光源素子と、を選択する。例えばp×q=4×4とすると、n×m=(4×4)×2=32である。これは、n×m=4×8又はn×m=8×4とみなすこともできる。p、qは、p×qがn×mより小さい整数となるような整数であればよい。輝度情報演算回路150は、選択したn×mの光源素子から対象画素20に届く光の輝度PIX_BLを演算する。輝度PIX_BLは、第1~第4実施形態で説明した演算手法のいずれの手法で演算されてもよい。
【0080】
以上の実施形態では、バックライト210の複数の光源素子10が非正方格子で配置されている。このとき、輝度情報演算回路150は、n×mの光源素子を含むs×tの光源素子が仮想的にs×tの正方格子に配置されていると仮定して、輝度情報を演算する。s、tは、s×tがn×mより大きい整数となるような整数である。
【0081】
本実施形態によれば、光源素子の配置が正方格子でない場合であっても、輝度情報演算回路150が、光源素子の配置が正方格子である場合に輝度情報を演算するアルゴリズムと同じアルゴリズムを用いて、輝度情報を演算できる。
【0082】
また本実施形態では、輝度情報演算回路150は、s×tの光源素子のうちn×mの光源素子が、輝度解析回路140が演算する調光情報に基づいて発光状態又は消灯状態であると共に、s×tの光源素子のうちn×mの光源素子以外の仮想的な光源素子が、消灯状態であるとして、輝度情報を演算する。
【0083】
本実施形態によれば、輝度情報演算回路150が、光源素子の配置が正方格子である場合に輝度情報を演算するアルゴリズムにおいて、s×tの光源素子のうちn×mの光源素子以外の仮想的な光源素子が消灯状態であるとみなすことで、n×mの光源素子から表示パネル220に届く光の輝度を演算できる。
【0084】
以上に説明した本実施形態の回路装置は、2次元配置された複数の光源素子を含むバックライト、及び表示パネルを有する表示装置のローカルディミング制御を行う。回路装置は、輝度解析回路と輝度情報演算回路と色補正回路とを含む。輝度解析回路は、画像データの輝度解析を行い、輝度解析の結果に基づいて、ローカルディミング制御における調光情報を求める。輝度情報演算回路は、n×m個の光源素子の調光情報に基づいて、n×m個の光源素子から対象画素に届く光の輝度を示す輝度情報を演算する。n×m個の光源素子は、複数の光源素子のうち、ローカルディミング制御における色補正の対象画素の周囲に配置される。n、mの各々は2以上8以下の整数である。色補正回路は、輝度情報に基づいて対象画素の画像データの色補正を行い、色補正後の画像データを表示装置に出力する。
【0085】
本実施形態によれば、バックライトの全ての光源素子ではなくn×mの限られた数の光源素子が選択され、そのn×m個の光源素子から対象画素に届く光の輝度が演算される。これにより、バックライトの全ての光源素子を考慮して輝度を演算する場合に比べて、演算負荷を低減できる。
【0086】
また本実施形態では、輝度情報演算回路は、n×mの光源素子の各光源素子から表示パネルに届く光の減衰特性と、各光源素子と対象画素の距離情報とに基づいて、輝度情報を演算してもよい。
【0087】
本実施形態によれば、輝度情報演算回路は、各光源素子から表示パネルに届く光の減衰特性と、各光源素子と対象画素の距離情報に基づいて、その距離情報が示す距離における減衰率を求め、その減衰率から輝度情報を演算できる。
【0088】
また本実施形態では、減衰特性は、光源素子の位置から所定距離範囲において非減衰の特性であってもよい。
【0089】
本実施形態によれば、実際には平面視において面積がある光源素子を、その光源素子の中心等に位置する点光源とみなすことができる。そして、光源素子の面積の影響を、所定距離範囲において非減衰の特性によって表すことが可能になる。これにより、光源素子の面積を考慮した輝度演算が不要になるため、輝度演算のアルゴリズム簡素化又は演算負荷の低減が可能になる。
【0090】
また本実施形態では、n×m個の光源素子における第j列の光源素子と対象画素との間の水平方向における水平距離がujである。jは1以上m以下の整数である。n×m個の光源素子における第i行の光源素子と対象画素との間の垂直方向における垂直距離がviである。iは1以上n以下の整数である。n×m個の光源素子における第i行第j列の光源素子の発光輝度がLED_BLijである。減衰特性を示す関数がαである。このとき、輝度情報演算回路は、上式(1)と(2)により、輝度PIX_BLを輝度情報として演算してもよい。
【0091】
本実施形態によれば、減衰特性を示す関数αを用いて各光源素子から対象画素に届く光の輝度を求め、その輝度を、n×m個の光源素子について積算する。これにより、n×m個の光源素子から対象画素に届く光の輝度PIX_BLを演算できる。
【0092】
また本実施形態では、輝度情報演算回路は、距離情報に対して減衰特性が対応付けられたテーブルと、距離情報とに基づいて、輝度情報を演算してもよい。
【0093】
本実施形態によれば、距離情報に対して減衰特性が対応付けられたテーブルと距離情報とを用いることで、各光源素子から表示パネルに届く光の輝度を求めることができる。そして、その輝度を、n×m個の光源素子について積算することで、n×m個の光源素子から対象画素に届く光の輝度を演算できる。
【0094】
また本実施形態では、距離情報は、n×m個の光源素子の各光源素子と対象画素との間の水平方向における水平距離と、各光源素子と対象画素との間の垂直方向における垂直距離とであってもよい。テーブルは、水平距離及び垂直距離に対して減衰特性が対応付けられた2次元テーブルであってもよい。
【0095】
本実施形態によれば、水平距離及び垂直距離に対して減衰特性が対応付けられたテーブルと水平距離及び垂直距離とを用いることで、各光源素子から表示パネルに届く光の輝度を求めることができる。そして、その輝度を、n×m個の光源素子について積算することで、n×m個の光源素子から対象画素に届く光の輝度を演算できる。また、2次元テーブルを用いることで、異方性の減衰特性により輝度情報を演算できるようになる。
【0096】
また本実施形態では、距離情報は、各光源素子と対象画素との間の距離の二乗であってもよい。
【0097】
距離を求めるためには、水平方向の距離と垂直方向の距離の二乗和を求め、その二乗和の平方根を求める必要がある。本実施形態によれば、距離情報として距離の二乗を用いることで、処理負荷の高い平方根の演算が不要となり、処理負荷を低減できる。
【0098】
また本実施形態では、減衰特性は、距離情報と、各光源素子から表示パネルに届く光の減衰率との関係に基づいて設定されていてもよい。
【0099】
減衰率に各光源素子の発光輝度を乗じることで、各光源素子から表示パネルに届く光の輝度を求めることができる。そして、その輝度を、n×m個の光源素子について積算することで、n×m個の光源素子から対象画素に届く光の輝度を演算できる。
【0100】
また本実施形態では、表示装置は拡散シートを含んでもよい。拡散シートは、バックライトと表示パネルとの間に設けられ、バックライトからの光を拡散してもよい。減衰特性は、距離情報と減衰率との関係、及び拡散シートの拡散特性に基づいて設定されていてもよい。
【0101】
本実施形態によれば、拡散シートを設けることで、表示パネルに当たる光の均一性が向上する。均一性が向上した光に残るムラは減衰特性に反映され、その減衰特性を用いることで、n×m個の光源素子から対象画素に届く光の輝度を演算できる。
【0102】
また本実施形態では、バックライトの複数の光源素子が非正方格子で配置されていてもよい。このとき、輝度情報演算回路は、n×mの光源素子を含むs×tの光源素子が仮想的にs×tの正方格子に配置されていると仮定して、輝度情報を演算してもよい。s、tは、s×tがn×mより大きい整数となるような整数であってもよい。
【0103】
本実施形態によれば、光源素子の配置が正方格子でない場合であっても、輝度情報演算回路が、光源素子の配置が正方格子である場合に輝度情報を演算するアルゴリズムと同じアルゴリズムを用いて、輝度情報を演算できる。
【0104】
また本実施形態では、輝度情報演算回路は、s×tの光源素子のうちn×mの光源素子が、輝度解析回路が演算する調光情報に基づいて発光状態又は消灯状態であると共に、s×tの光源素子のうちn×mの光源素子以外の仮想的な光源素子が、消灯状態であるとして、輝度情報を演算してもよい。
【0105】
本実施形態によれば、輝度情報演算回路が、光源素子の配置が正方格子である場合に輝度情報を演算するアルゴリズムにおいて、s×tの光源素子のうちn×mの光源素子以外の仮想的な光源素子が消灯状態であるとみなすことで、n×mの光源素子から表示パネルに届く光の輝度を演算できる。
【0106】
また本実施形態の表示システムは、上記のいずれかに記載された回路装置と、表示装置と、を含む。
【0107】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また回路装置、バックライト、表示装置、表示システム、処理装置及び電子機器等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0108】
10…光源素子、15…光源素子群、20…対象画素、100…回路装置、110…インターフェース回路、130…光源制御回路、140…輝度解析回路、150…輝度情報演算回路、160…色補正回路、170…記憶回路、200…表示装置、210…バックライト、220…表示パネル、230…表示ドライバー、240…光源ドライバー、250…表示コントローラー、260…拡散シート、300…処理装置、400…表示システム、500…電子機器、IMA,IMB…画像データ、LDij…光源素子、La…所定距離、Lij…距離の二乗、PIX_BL…輝度、uj…水平方向の距離、vi…垂直方向の距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11