(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094835
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B25J19/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211665
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】田中 光晴
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707CS08
3C707CV08
3C707CW08
3C707CX01
3C707CX03
3C707CY22
3C707CY36
3C707HS27
3C707HT02
(57)【要約】
【課題】アームの関節に作用するトルクの調整幅を広くすることができるロボットを提供する。
【解決手段】本発明のロボット1は、ベースアーム3に対して回動可能に接続されるメインアーム4と、ベースアーム3に対して回動可能であり、メインアーム4の動作に対して関節9にかかるトルクを調整するように駆動されるサブアーム5と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースアームに対して回動可能に接続されるメインアームと、
前記ベースアームに対して回動可能であり、前記メインアームの動作に対して関節にかかるトルクを調整するように駆動されるサブアームと、
を有するロボット。
【請求項2】
前記メインアームの反ベースアーム側には、ワークを保持するアタッチメントを有し、
前記サブアーム側には、前記アタッチメントを有さない、
請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記メインアームが複数のリンクで構成され、
前記サブアーム側には、前記メインアームの各リンクよりも密度の大きいカウンターウエイトが配置される、
請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記ベースアームに対して前記メインアームを回動可能にする回動軸から前記メインアームの先端部までの水平方向の距離が大きくなるように前記メインアームを動かした場合に、前記サブアームを、前記メインアームの先端部から前記サブアームの重心が遠ざかるように動かす、
請求項1に記載のロボット。
【請求項5】
前記メインアームには、アタッチメントを有し、
前記アタッチメントが物体を把持した際に、前記サブアームを、前記メインアームの先端部から前記サブアームの重心が遠ざかるように動かす、
請求項1に記載のロボット。
【請求項6】
前記ベースアームの基端側は、移動可能な台車に配置され、
前記メインアームを動かす際に、前記サブアームを前記台車が接地している地面に接触させる、
請求項1から請求項3のいずれかに記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アームの基端側(根本側)の関節に作用する負荷(トルク)を軽減するため、アームの回動に応じてカウンターウエイトの位置を変更するロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたロボットは、カウンターウエイトの移動範囲でしか負荷を軽減できないため、アームの関節に作用するトルクを軽減できる調整幅が狭いという問題を有していた。
【0005】
本発明は、アームの関節に作用するトルクの調整幅をより広くすることができるロボットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロボットは、ベースアームに対して回動可能に接続されるメインアームと、前記ベースアームに対して回動可能であり、前記メインアームの動作に対して関節にかかるトルクを調整するように駆動されるサブアームと、を有している。
【発明の効果】
【0007】
本発明のロボットは、アームの関節に作用するトルクの調整幅を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るロボットを示す図であり、ロボットの待機状態における正面図である。
【
図2】
図1のA1-A1線に沿ってベースアームを切断して示す断面図であり、メインアーム及びサブアームの駆動機構を示す図である。
【
図3】メインアームを待機状態から作業位置まで展開した状態におけるロボットの正面図である。
【
図4】メインアームのエンドエフェクタがワークを把持した状態におけるロボットの正面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るロボットを示す図であり、メインアームのエンドエフェクタがワークを把持した状態におけるロボットの背面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の第1変形例に係るロボットを示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の第2変形例に係るロボットの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、各実施形態について詳細に説明する。
【0010】
<<第1実施形態>>
図1は、第1実施形態に係るロボット1を示す図であり、ロボット1の待機状態における正面図である。また、
図2は、
図1のA1-A1線に沿ってベースアーム3を切断して示す断面図であり、メインアーム4及びサブアーム5の駆動機構6を示す図である。
【0011】
(ロボットの構成)
図1に示すように、本実施形態に係るロボット1は、このロボット1の複雑な動きを制御するコントローラ7と、プログラムの作成や起動・ティーチング作業を行うための入力・操作装置としてのティーチングペンダント8と、が接続されている。
【0012】
図1及び
図2に示すように、本実施形態において、ロボット1は、地面10上(仮想平面と平行な面上)を移動可能な台車11(移動体)上にベースアーム3の基端側が乗せられている。このロボット1は、台車11の上面12(仮想平面と平行な面)に設置されたベースアーム3と、このベースアーム3に関節9を構成するメイン駆動軸(回動軸)13を介して揺動可能に取り付けられたメインアーム4と、メイン駆動軸13を回動させる駆動機構6と、メイン駆動軸13に基端側が一体回動できるように取付けられたサブアーム5と、を有している。なお、関節9は、メイン駆動軸13と駆動機構6とで構成される。
【0013】
また、
図1及び
図2に示すように、ベースアーム3は、台車11の上面12に対する垂線である回転軸線15を中心として図示しない回動機構によって回動させられるようになっている。このベースアーム3のボディ16は、円筒状胴部17と、この円筒状胴部17の上部開口端を塞ぐ半球状の頭部18と、で形作られている。ベースアーム3のボディ16には、回転軸線15に対して直交するように貫通するメイン駆動軸13が一対のベアリング20,20によって回動自在に支持されている。ボディ16から外部に突出したメイン駆動軸13の一端側には、メインアーム4の基端側が一体回動できるように取り付けられている。また、ボディ16から外部に突出したメイン駆動軸13の他端側には、サブアーム5の基端側が一体回動できるように取り付けられている。
【0014】
図2に示すように、メイン駆動軸13は、ボディ16の内部空間21において、ボディ16に内蔵された駆動機構6に接続されている。この駆動機構6は、取付プレート22を介してボディ16の内壁面23に保持されたメインアクチュエータ14と、このメインアクチュエータ14の回転をメイン駆動軸13に伝達するベルト機構24と、を有している。メインアクチュエータ14は、メイン駆動軸13を回転駆動するためのメインモータ25(例えば、サーボモータ)と、このメインモータ25の出力軸の回転を減速して伝達する減速機26と、停電時等にメイン駆動軸13の動きを瞬時に停止させるブレーキ27と、図示しない各種センサ(例えば、出力軸の回動角度を検知するエンコーダ、トルクセンサ、加速度センサ等)と、を組み合わせて構成されている。ベルト機構24は、メインモータ25の出力軸に固定された駆動側プーリ28と、メイン駆動軸13に固定されて被動側プーリ30と、これら駆動側プーリ28と被動側プーリ30とに掛け渡されたベルト31と、を有している。
【0015】
図1に示すように、メインアーム4は、第1メインリンク32から第3メインリンク34までの複数のリンク32~34で構成されており、第3メインリンク34の先端側(反ベースアーム3側)にエンドエフェクタ(アタッチメント)35が取り付けられている。第1メインリンク32は、その基端側(一端側)がメイン駆動軸13に固定され、その先端側(他端側)が第1関節36を介して第2メインリンク33の基端側(一端側)に相対回動可能に接続されている。第2メインリンク33は、その先端側(他端側)が第2関節37を介して第3メインリンク34の基端側(一端側)に相対回動可能に接続されている。なお、第1関節36には、第2メインリンク33を第1メインリンク32に対して揺動させる第1アクチュエータ38が設置されている。また、第2関節37には、第3メインリンク34を第2メインリンク33に対して揺動させる第2アクチュエータ40が設置されている。
【0016】
図1及び
図2に示すように、サブアーム5は、第1サブリンク41から第2サブリンク42までの複数のリンク41,42で構成されている。サブアーム5の第1サブリンク41の基端側(一端側)は、メイン駆動軸13に固定されている。サブアーム5の第1サブリンク41の先端側(他端側)は、関節43を介してサブアーム5の第2サブリンク42の基端側(一端側)に相対回動可能に接続されている。サブアーム5の第2サブリンク42は、関節43を構成するサブアーム側アクチュエータ44によってサブアーム5の第1サブリンク41に対して回動させられるようになっている。なお、サブアーム5の第2サブリンク42の先端には、メインアーム4のエンドエフェクタ35のようなアタッチメントが取り付けられておらず、メインアーム4の第1~第3メインリンク32~34よりも密度の大きな材料で形成されたカウンターウエイト42aが取り付けられている。なお、サブアーム5は、第2サブリンク42の長さを十分に確保できる場合等において、カウンターウエイト42aを適宜省略してもよい。
【0017】
図1に示すように、ロボット1の待機状態の姿勢は、メインアーム4及びサブアーム5がメイン駆動軸13寄りに折り畳まれた状態になっている。したがって、本実施形態に係るロボット1は、待機状態におけるベースアーム3の周辺の設置スペースを作業状態におけるベースアーム3の周辺の設置スペースよりも大幅に少なくすることができる。
【0018】
また、
図1に示すように、ロボット1は、待機状態において、メインアーム4の自重によるメイン駆動軸13回りのトルクが右回り方向に作用し、サブアーム5の自重によるメイン駆動軸13回りのトルクが左回り方向に作用する姿勢になっている。
【0019】
図3は、メインアーム4を待機状態から作業位置(物体であるワーク45が置かれた位置)まで展開した状態におけるロボット1の正面図である。すなわち、
図3は、メイン駆動軸13(ベースアーム3とメインアーム4との回動軸)からメインアーム4の先端部までの距離が大きくなるようにメインアーム4を動かした状態のロボット1の正面図である。つまり、ベースアーム14に対してメインアーム4を回動可能にする回動軸(メイン駆動軸13)からメインアーム4の先端部までの水平方向の距離が大きくなるようにメインアーム4を動かしている。
【0020】
この
図3に示すように、サブアーム5は、メインアーム4が待機状態から作業位置まで展開されると、サブアーム側アクチュエータ44が作動して、第2サブリンク42の先端側を第1サブリンク41から離す方向(サブアーム5の重心がメインアーム4の先端部から遠ざかる方向)に展開する(第1段階の展開)。これにより、メイン駆動軸13には、サブアーム5の自重によるトルクがメインアーム4の自重によるトルクをより大きく減じる方向に作用する。すなわち、サブアーム5は、メインアーム4の動作に対して関節9(メイン駆動軸13)にかかるトルクを調整する(メインアーム4の作用トルクの逆方向にトルクを作用させる)ように駆動される。なお、サブアーム5を待機状態から展開するタイミングは、メインアーム4の展開と同時にしてもよく、また、メインアーム4が作業位置まで展開した後であってもよい。また、サブアーム5を待機状態から展開させる量(第2サブリンク42の回動量)は、メインアーム4の展開量(第1メインリンク32の回動量)に応じて決定してもよい。
【0021】
図4は、メインアーム4のエンドエフェクタ(アタッチメント)35がワーク45を把持した状態におけるロボット1の正面図である。
【0022】
この
図4に示すように、サブアーム5は、作業位置まで展開したメインアーム4のエンドエフェクタ35がワーク45を把持すると、第2サブリンク42がメインアームと反対側に動かされ、第2サブリンク42が第1段階の展開位置からさらに大きく展開する(第2段階の展開)。
【0023】
この
図4の状態において、メイン駆動軸13には、メインアーム4の自重及びワーク45の重量による右回り方向のトルクとサブアーム5の自重による左回り方向のトルクとが作用する。この際、サブアーム5の自重による駆動軸回りのトルクは、サブアーム5の第2サブリンク42が第1段階の展開よりも大きく展開しているため、第1段階の展開時よりも大きくなっている。その結果、ロボット1は、メインアーム4のエンドエフェクタ35がワーク45を把持して持ち上げる場合に、メイン駆動軸13を駆動するメインモータ25の負荷をサブアーム5によって軽減することができる。このように、本実施形態に係るロボット1は、メイン駆動軸に作用するメインアーム側による負荷(メインアーム4の自重及びワーク45の重量による負荷)に応じ、サブアーム5の第2サブリンク42の展開量(待機状態の折り畳まれた姿勢からの展開量)を変化させてもよい。
【0024】
(本実施形態の効果)
本実施形態のロボット1は、
図1、
図3及び
図4で示したように、サブアーム5が待機状態の折り畳まれた姿勢からベースアーム3から離れる方向(メインアーム4の展開方向と逆の方向)に展開するようになっており、ケースの内部空間内でカウンターウエイトを移動させる従来技術と比較し、メイン駆動軸13(関節9)に作用させるトルク(メインアーム4の自重等によるメイン駆動軸13回りのトルクを減じる方向のトルク)の調整幅が大きくなる。
【0025】
また、本実施形態のロボット1は、メインアーム4の自重及びワーク45の重量によるメイン駆動軸13回りのトルクが右回り方向に作用し、サブアーム5の自重によるメイン駆動軸13回りのトルクが左回り方向に作用する(メインアーム4の自重及びワーク45の重量によるトルクに対して逆方向に作用する)ようになっている。そのため、本実施形態のロボット1は、エンドエフェクタ35によってワーク45を把持して持ち上げる際に、メインアーム4の自重及びワーク45の重量によるメイン駆動軸13回りのトルクをサブアーム5の自重によるメイン駆動軸13回りのトルクによって小さくすることができ(関節9にかかるトルクを調整でき)、メイン駆動軸13を駆動するメインモータ25の負荷を軽減できるため、メインモータ25の小型化が可能になる。
【0026】
また、本実施形態のロボット1は、待機状態において、メインアーム4及びサブアーム5が折り畳まれた姿勢であるため、待機状態におけるロボット1の大きさをメインアーム4の作動時におけるロボット1の大きさよりも小さくすることができる。その結果、本実施形態のロボット1によれば、待機状態の設置スペースを小さくすることができる。
【0027】
また、本実施形態に係るロボット1は、サブアーム5の先端側にカウンターウエイト42aが配置されているため、ロボット1の作動スペースが狭くてサブアーム5の長さが制限され、サブアーム5の長さを十分に確保できない場合にも、メインアーム4の自重等によるメイン駆動軸13(関節9)回りのトルクを減じる方向のトルクを効果的に作用させることができる。
【0028】
また、本実施形態のロボット1は、ベースアーム3が台車11に乗せられて移動できるようになっているため、メインアーム4の関節9回りの作用トルクをサブアーム5の関節9回りの作用トルクで減じ、ベースアーム3の関節9回りの作用トルクを調整でき、台車11上の姿勢が安定する。
【0029】
また、本実施形態のロボット1は、メインアーム4の先端側にエンドエフェクタ35を取り付けているが、サブアーム5の先端側にエンドエフェクタ35を取り付けていないため、メインアーム4の先端側とサブアーム5の先端側の両側にエンドエフェクタ35を取り付ける場合と比較し、全体構成を小さくできる(全体構造をコンパクト化することが可能になる)。
【0030】
なお、本実施形態に係るロボット1は、4軸制御の構成になっているが、この構成に限定されず、3軸以下の制御構成又は5軸以上の制御構成にしてもよい。
【0031】
また、本実施形態に係るロボット1は、移動可能な台車11上に設置されているが、これに限られず、ベースアーム3を地面10上に直接設置するか、又は、地面10上に設置された移動不能な基台(不図示)上に設置してもよい。
【0032】
<<第2実施形態>>
図5は、本発明の第2実施形態に係るロボット1を示す背面図であり、メインアーム4のエンドエフェクタ35がワーク45を把持した状態におけるロボット1の背面図である。なお、本実施形態に係るロボット1の説明において、第1実施形態に係るロボット1と同様の構成部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0033】
この
図5に示すように、本実施形態のロボット1は、メインアーム4が待機状態から作業位置まで展開すると、サブアーム5が待機状態からメインアーム4の回動方向と同一方向に回動し、サブアーム5の先端5aを地面10に当接させた姿勢が保持されるようになっている。
【0034】
このようなロボット1は、メインアーム4のエンドエフェクタ35がワーク45を把持して持ち上げる際に、サブアーム5の先端5aがワーク45とベースアーム3との間の地面10に当接し、台車11上に乗せられているベースアーム3の転倒を防止することができる。
【0035】
また、本実施形態のロボット1は、地面10に接地させたサブアーム5に地面10から反力(サブアーム5の重さ等に対する反力)が作用し、その反力によって生じるメイン駆動軸13回りのトルクがメインアーム4の重さやワーク45の重さによって生じるメイン駆動軸13回りのトルクを減じる方向(逆回り方向)に作用し、関節9にかかるトルクを調節することが可能になる。
【0036】
また、本実施形態のロボット1は、第1実施形態に係るロボット1と同様に、待機状態において、メインアーム4及びサブアーム5が折り畳まれた姿勢であるため、待機状態におけるロボット1の大きさをメインアーム4の作動時におけるロボット1の大きさよりも小さくすることができる(
図1参照)。その結果、本実施形態のロボット1は、第1実施形態に係るロボット1と同様に、待機状態の設置スペースを小さくすることができる。
【0037】
<<第1変形例>>
図6は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係るロボット1を示す図であり、メインアーム4を待機状態から作業位置(ワーク45が置かれた位置)まで展開した状態におけるロボット1の正面図である。なお、本変形例に係るロボット1の説明において、第1実施形態に係るロボット1と同様の構成部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0038】
図6に示すように、本変形例に係るロボット1は、接続リング55の一端側が第1サブリング41と第2サブリング42の関節43に相対回動可能な状態で接続され、接続リングの他端側が第1メインリンク32と第2メインリンク33の第1関節36に相対回動可能な状態で接続されている。
【0039】
このような本変形例に係るロボット1は、第1関節36に作用する負荷(第2メインリンク33。第3メインリンク34、エンドエフェクタ35、ワーク45の重量等)を第1メインリンク32と接続リンク55とで支える構造になっているため、第1メインリンク32が接続リンク55によって補強される。
【0040】
また、本変形例に係るロボット1は、第1実施形態のロボット1と同様に、メインアーム4の関節9(メイン駆動軸13)に作用するトルク(メインアームの自重等によるメイン駆動軸13回りのトルク)の調整幅を大きくすることができる。
【0041】
<<第2変形例>>
図7は、本発明の第1実施形態の第2変形例に係るロボット1を示す図であり、メインアーム4のエンドエフェクタ35がワーク45を把持した状態におけるロボット1の背面図である。
【0042】
本変形例に係るロボット1は、メインアーム4の基端側の関節9(メイン駆動軸13)とメインアーム4の先端側(エンドエフェクタ35側)との距離が大きくなるようにメインアーム4を動かした場合に、サブアーム5をメインアーム4と逆の方向(反対側)に動かすようになっている。すなわち、本変形例に係るロボット1は、サブアーム5をメインアーム4の回動方向と逆の方向に回動させ、その後にサブアーム5をメイン駆動軸13にロックし、サブアーム5を地面10と平行な方向に展開することにより(第1サブリンク41及び第2サブリンク42をメインアーム4の展開方向と逆方向に水平に展開することにより)、メイン駆動軸13に作用させるサブアーム5の自重によるトルク(メインアーム4の作用トルクと逆方向のトルク)を最も大きくするようになっている。
【0043】
このような本変形例に係るロボット1は、第1実施形態のロボット1と同様に、メインアーム4の関節9(メイン駆動軸13)に作用するトルク(メインアームの自重等によるメイン駆動軸13回りのトルク)の調整幅を大きくすることができる。
【0044】
また、本変形例のロボット1は、メインアーム4の自重によるメイン駆動軸13回りのトルクが左回り方向に作用し、サブアーム5の自重によるメイン駆動軸13回りのトルクが右回り方向に作用する(メインアーム4の自重によるトルクに対して逆方向に作用する)ようになっている。そのため、本実施形態のロボット1は、エンドエフェクタ35でワーク45を把持して持ち上げる際に、メインアーム4の自重及びワーク45の重量によるメイン駆動軸13(関節9)回りのトルクをサブアーム5の自重によるメイン駆動軸13(関節9)回りのトルクによってより小さくすることができるため(関節9にかかるトルクを調整できるため)、メイン駆動軸13を駆動するメインモータ25の負荷をより軽減でき、メインモータ25の小型化が可能になる。
【0045】
また、本変形例のロボット1は、第1実施形態に係るロボット1と同様に、待機状態において、メインアーム4及びサブアーム5が折り畳まれた姿勢を保持することにより、待機状態におけるロボット1の大きさをメインアーム4の作動時におけるロボット1の大きさよりも小さくすることができる。その結果、本実施形態のロボット1は、第1実施形態に係るロボット1と同様に、待機状態の設置スペースを小さくすることができる。
【0046】
<<第3変形例>>
本発明の第3変形例に係るロボット1は、サブアーム5の第1サブリンクを第2サブリンクよりも重くし、メインアーム4が展開した場合(メインアーム4の先端部がメイン駆動軸13から遠ざかる方向に移動した場合)に、サブアーム5の重心位置がメインアーム4の先端部から遠ざかるようにサブアーム5を動かして、メイン駆動軸13周りのトルクを減じる。
【0047】
本変形例のロボット1は、メインアーム4が展開した場合に、サブアーム5の重心位置がメイン駆動軸13から遠ざかる方向に移動させることができる限り、必ずしもサブアーム5の先端側をメイン駆動軸13から遠ざけなくてもよい。なお、本変形例のロボット1は、サブアーム5のカウンターウエイト42aを省略してもよい。
【0048】
本変形例のロボット1は、第1実施形態のロボット1と同様の効果を得ることができる。
また、本変形例のロボット1は、メインアーム4の展開時にサブアーム5を必ずしも展開させなくてもよく、作動時におけるサブアーム5の周囲のスペースを小さくできる。
【0049】
<<その他の実施形態>>
本発明のロボット1は、各実施形態及び各変形例に例示したロボット1のメインアーム4とサブアーム5の長さの比率に限定されず、作業現場やワーク45の重量等に応じて、最適の比率が決定される。例えば、ロボット1は、メインアーム4の長さとアブアーム5の長さを一対一にしてもよい。
【0050】
また、本発明のロボット1は、サブアーム5の第2サブリンク42の全体又は一部(先端側)を他部よりも比重の重い材料で形成してもよい。
【0051】
また、本発明のロボット1において、メインアーム4とサブアーム5の作動のタイミングは、メインアーム4とサブアーム5とを同時に作動させるか、メインアーム4を作動させた後にサブアーム5を作動させるか、又はサブアーム5を先に作動させた後にメインアーム4を作動させるか、ロボット1の作業内容等に応じて適宜決定される。
【0052】
また、本発明のロボット1は、エンドエフェクタ35が各実施形態及び各変形例に例示した把持アタッチメントに限定されない。つまり、ワークを保持するアタッチメントであれば適用できる。例えば、吸着ハンド、磁力ハンド、その他用途別専用ハンド(例えば、溶接、ねじ締め、紫外線照射等のハンド)等のいずれかをエンドエフェクタ35としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 ロボット
3 ベースアーム
4 メインアーム
5 サブアーム
9 関節
10 地面
11 台車(移動体)
13 メイン駆動軸(回動軸)
32 第1メインリンク
33 第2メインリンク
34 第3メインリンク
35 エンドエフェクタ(アタッチメント)
45 ワーク(物体)