(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094840
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】射出成形機の制御装置、及び射出成形機の管理システム
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20240703BHJP
B29C 45/84 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211675
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】羽野 勝之
(72)【発明者】
【氏名】堀川 朋紀
(72)【発明者】
【氏名】松永 拓也
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM20
4F206AM22
4F206AM23
4F206AP10
4F206AP18
4F206JA07
4F206JL02
4F206JL09
4F206JM00
4F206JP13
4F206JP14
4F206JP15
4F206JP22
4F206JP27
4F206JP30
4F206JQ88
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】射出成形機の稼働率の向上を図る。
【解決手段】一実施形態に係る射出成形機の制御装置は、当該射出成形機で行われた処置毎に、当該処置に関する情報と、当該処置に対応したユーザを示したユーザ情報と、当該処置に対応するための時間に関する情報と、を対応付けて記憶部に記憶し、記憶部を参照して、ユーザ情報で示されたユーザ毎に、処置の回数又は処置に要した時間が認識可能となる、図形で表して表示部に表示するように構成されている制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該射出成形機で行われた処置毎に、当該処置に関する情報と、当該処置に対応したユーザを示したユーザ情報と、当該処置に対応するための時間に関する情報と、を対応付けて記憶部に記憶し、
前記記憶部を参照して、前記ユーザ情報で示されたユーザ毎に、前記処置の回数又は前記処置に要した時間が認識可能となる、図形で表して表示部に表示するように構成されている制御部と、
を備える射出成形機の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ユーザ情報で示されたユーザ毎にグラフを分ける又はグラフ内の項目で分けて、前記処置の回数又は前記処置に要した時間を前記表示部に表示するように構成されている、
請求項1に記載の射出成形機の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記処置に要した時間として、前記処置に要した合計時間、又は、前記処置に要した平均時間を表示するように構成されている、
請求項1に記載の射出成形機の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記合計時間、前記平均時間、又は前記回数に応じて、前記合計時間、前記平均時間、又は前記回数を表した、図形を構成する要素を並び替えて前記表示部に表示するように構成されている、
請求項3に記載の射出成形機の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記合計時間、前記平均時間、又は前記回数を第1の図形で表すと共に、前記合計時間、前記平均時間、又は前記回数の累積比率を第2の図形で表すように構成されている、
請求項3又は4に記載の射出成形機の制御装置。
【請求項6】
前記処置は、前記ユーザによる前記射出成形機の停止、前記射出成形機で検出された異常に基づいた停止、及び、前記射出成形機の成形条件の変更のうち一つ以上である、
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の射出成形機の制御装置。
【請求項7】
複数の射出成形機と、当該複数の射出成形機を管理する管理装置と、で構成された管理システムであって、
前記複数の射出成形機の各々は、当該射出成形機で行われた処置毎に、当該処置を示した情報と、当該処置に対応したユーザを示したユーザ情報と、当該処置に要した時間に関する情報と、を対応付けて送信し、
前記管理装置は、
前記複数の射出成形機の各々から、前記処置を示した情報と、前記処置に対応するユーザを示したユーザ情報と、前記処置に要した時間に関する情報と、を受信し、
前記射出成形機で行われた前記処置毎に、前記処置を示した情報と、前記処置に対応したユーザを示したユーザ情報と、前記処置に要した時間に関する情報と、を対応付けて記憶部に記憶し、
前記記憶部を参照して、前記ユーザ情報で示されたユーザ毎に、前記処置の回数又は前記処置に要した時間が認識可能となる、図形で表して表示部に表示するように構成されている制御部と、を備える、
射出成形機の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機の制御装置、及び射出成形機の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機では、成形品を製造するために、成形機の動作に関する様々な設定値や成形材料等の条件が複雑に影響している。このため、射出成形機では、不良品が連続して成形されないように、不良品が成形された際に変更された成形条件に関する設定項目の設定値の変更履歴を抽出し、当該変更履歴を表示する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。これにより、設定項目の変更が成形条件に与える影響を短時間で把握できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、設定項目の設定値の変更履歴を表示するに留まり、射出成形機の稼働率を下げている要因を把握するのは難しい。特に射出成形機においては、不良が発生しないように成形品を製造するための条件が複雑に影響しているので、稼働率を向上させるためには、ユーザの熟練度又はスキルが重要となる。つまり、射出成形機の停止若しくは成形条件の変更などの回数、又は射出成形機が停止してから成形を開始するまでに要した時間を、ユーザ別に認識することで、稼働率を下げている要因を把握することが容易になると考えられる。
【0005】
本発明の一態様は、射出成形機で行われた処置に関する情報を、ユーザ別に図形で表示することで、稼働率を下げている要因を把握して、射出成形機の稼働率の向上を図る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る射出成形機の制御装置は、当該射出成形機で行われた処置毎に、当該処置に関する情報と、当該処置に対応したユーザを示したユーザ情報と、当該処置に対応するための時間に関する情報と、を対応付けて記憶部に記憶し、記憶部を参照して、ユーザ情報で示されたユーザ毎に、処置の回数又は処置に要した時間が認識可能となる、図形で表して表示部に表示するように構成されている制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、稼働率を下げている要因を把握して、射出成形機の稼働率の向上を図る技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る射出成形機の制御装置の構成要素を機能ブロックで示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る停止履歴記憶部のテーブル構造を示した図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る成形条件変更履歴記憶部のテーブル構造を示した図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る表示装置に表示される作業者別異常履歴の表示画面の一例を示した図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る表示装置に表示される異常履歴の表示画面の一例を示した図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る表示装置に表示される作業者別停止履歴の表示画面の一例を示した図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る表示装置に表示される作業者別停止履歴の表示画面の一例を示した図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る表示装置に表示される成形条件変更回数履歴の表示画面の一例を示した図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る表示装置に表示される成形不良解消履歴の表示画面の一例を示した図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係る射出成形機の管理システムの構成を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
図2は、第1の実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。本明細書において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機10の幅方向である。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
【0011】
図1~
図2に示すように、射出成形機10は、金型装置800を開閉する型締装置100と、金型装置800で成形された成形品を突き出すエジェクタ装置200と、金型装置800に成形材料を射出する射出装置300と、金型装置800に対し射出装置300を進退させる移動装置400と、射出成形機10の各構成要素を制御する制御装置700と、射出成形機10の各構成要素を支持するフレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置100を支持する型締装置フレーム910と、射出装置300を支持する射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910および射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ930を介して床2に設置される。射出装置フレーム920の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
【0012】
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0013】
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定金型810が取付けられる固定プラテン110と、可動金型820が取付けられる可動プラテン120と、固定プラテン110に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる移動機構102と、を有する。
【0014】
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。
【0015】
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型820が取付けられる。
【0016】
移動機構102は、固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧、および型開を行う。移動機構102は、固定プラテン110と間隔をおいて配置されるトグルサポート130と、固定プラテン110とトグルサポート130を連結するタイバー140と、トグルサポート130に対して可動プラテン120を型開閉方向に移動させるトグル機構150と、トグル機構150を作動させる型締モータ160と、型締モータ160の回転運動を直線運動に変換する運動変換機構170と、固定プラテン110とトグルサポート130の間隔を調整する型厚調整機構180と、を有する。
【0017】
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。なお、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
【0018】
なお、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
【0019】
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
【0020】
なお、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
【0021】
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、型開閉方向に移動するクロスヘッド151と、クロスヘッド151の移動によって屈伸する一対のリンク群と、を有する。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
【0022】
なお、トグル機構150の構成は、
図1および
図2に示す構成に限定されない。例えば
図1および
図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
【0023】
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
【0024】
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0025】
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、および型開工程などを行う。
【0026】
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
【0027】
なお、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0028】
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
【0029】
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、昇圧工程で発生させた型締力が維持される。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間にキャビティ空間801(
図2参照)が形成され、射出装置300がキャビティ空間801に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。
【0030】
キャビティ空間801の数は、1つでもよいし、複数でもよい。後者の場合、複数の成形品が同時に得られる。キャビティ空間801の一部にインサート材が配置され、キャビティ空間801の他の一部に成形材料が充填されてもよい。インサート材と成形材料とが一体化した成形品が得られる。
【0031】
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
【0032】
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型820から成形品を突き出す。
【0033】
型閉工程、昇圧工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
【0034】
脱圧工程および型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程および型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
【0035】
なお、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0036】
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0037】
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0038】
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。なお、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
【0039】
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。なお、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
【0040】
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に従動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の従動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。なお、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
【0041】
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。なお、複数の型厚調整機構が組み合わせて用いられてもよい。
【0042】
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。なお、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0043】
型締装置100は、金型装置800の温度を調節する金型温調器を有してもよい。金型装置800は、その内部に、温調媒体の流路を有する。金型温調器は、金型装置800の流路に供給する温調媒体の温度を調節することで、金型装置800の温度を調節する。
【0044】
なお、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
【0045】
なお、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
【0046】
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0047】
エジェクタ装置200は、可動プラテン120に取付けられ、可動プラテン120と共に進退する。エジェクタ装置200は、金型装置800から成形品を突き出すエジェクタロッド210と、エジェクタロッド210を可動プラテン120の移動方向(X軸方向)に移動させる駆動機構220とを有する。
【0048】
エジェクタロッド210は、可動プラテン120の貫通穴に進退自在に配置される。エジェクタロッド210の前端部は、可動金型820のエジェクタプレート826と接触する。エジェクタロッド210の前端部は、エジェクタプレート826と連結されていても、連結されていなくてもよい。
【0049】
駆動機構220は、例えば、エジェクタモータと、エジェクタモータの回転運動をエジェクタロッド210の直線運動に変換する運動変換機構とを有する。運動変換機構は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0050】
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、エジェクタロッド210を設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、エジェクタプレート826を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータを駆動してエジェクタロッド210を設定移動速度で後退させ、エジェクタプレート826を元の待機位置まで後退させる。
【0051】
エジェクタロッド210の位置や移動速度は、例えばエジェクタモータエンコーダを用いて検出する。エジェクタモータエンコーダは、エジェクタモータの回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。なお、エジェクタロッド210の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド210の移動速度を検出するエジェクタロッド移動速度検出器は、エジェクタモータエンコーダに限定されず、一般的なものを使用できる。
【0052】
(射出装置)
射出装置300の説明では、型締装置100の説明やエジェクタ装置200の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0053】
射出装置300はスライドベース301に設置され、スライドベース301は射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800にタッチし、シリンダ310内で計量された成形材料を、金型装置800内のキャビティ空間801に充填する。射出装置300は、例えば、成形材料を加熱するシリンダ310と、シリンダ310の前端部に設けられるノズル320と、シリンダ310内に進退自在に且つ回転自在に配置されるスクリュ330と、スクリュ330を回転させる計量モータ340と、スクリュ330を進退させる射出モータ350と、射出モータ350とスクリュ330の間で伝達される荷重を検出する荷重検出器360と、を有する。
【0054】
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
【0055】
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0056】
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0057】
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
【0058】
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
【0059】
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(
図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
【0060】
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(
図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
【0061】
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
【0062】
なお、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
【0063】
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
【0064】
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
【0065】
荷重検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される荷重を検出する。検出した荷重は、制御装置700で圧力に換算される。荷重検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の荷重の伝達経路に設けられ、荷重検出器360に作用する荷重を検出する。
【0066】
荷重検出器360は、検出した荷重の信号を制御装置700に送る。荷重検出器360によって検出される荷重は、スクリュ330と成形材料との間で作用する圧力に換算され、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
【0067】
なお、成形材料の圧力を検出する圧力検出器は、荷重検出器360に限定されず、一般的なものを使用できる。例えば、ノズル圧センサ、又は型内圧センサが用いられてもよい。ノズル圧センサは、ノズル320に設置される。型内圧センサは、金型装置800の内部に設置される。
【0068】
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。充填工程と保圧工程とをまとめて射出工程と呼んでもよい。
【0069】
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。なお、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0070】
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば荷重検出器360を用いて検出する。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
【0071】
計量工程におけるスクリュ330の位置および回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置および計量完了位置が設定される。これらの位置は、前側から後方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
【0072】
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内のキャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
【0073】
充填工程におけるスクリュ330の位置および移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置およびV/P切換位置が設定される。これらの位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
【0074】
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、荷重検出器360によって検出される。スクリュ330の圧力が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で前進される。一方、スクリュ330の圧力が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、スクリュ330の圧力が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で前進される。
【0075】
なお、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0076】
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば荷重検出器360を用いて検出する。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力および保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
【0077】
保圧工程では金型装置800内のキャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0078】
なお、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ進退不能に配置され、またはスクリュが回転自在に且つ進退自在に配置される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが進退自在に配置される。
【0079】
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
【0080】
(移動装置)
移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0081】
移動装置400は、金型装置800に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置800に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
【0082】
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切換えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。なお、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
【0083】
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
【0084】
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
【0085】
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
【0086】
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型810から離間される。
【0087】
なお、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
【0088】
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、
図1~
図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704と、通信インターフェース705とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。また、制御装置700は、通信インターフェース705で外部の装置に情報を送信する。
【0089】
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し生産する。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
【0090】
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の完了は型開工程の開始と一致する。
【0091】
なお、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、型締工程の間に行われてよい。この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないためである。
【0092】
なお、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程以外の工程を有してもよい。
【0093】
例えば、保圧工程の完了後、計量工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された計量開始位置まで後退させる計量前サックバック工程が行われてもよい。計量工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を削減でき、計量工程の開始時のスクリュ330の急激な後退を防止できる。
【0094】
また、計量工程の完了後、充填工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)まで後退させる計量後サックバック工程が行われてもよい。充填工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を削減でき、充填工程の開始前のノズル320からの成形材料の漏出を防止できる。
【0095】
制御装置700は、作業者による入力操作を受け付ける操作装置750や画面を表示する表示装置760と接続されている。操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネル770で構成され、一体化されてよい。表示装置760としてのタッチパネル770は、制御装置700による制御下で、画面を表示する。タッチパネル770の画面には、例えば、射出成形機10の設定、現在の射出成形機10の状態等の情報が表示されてもよい。タッチパネル770は、表示された画面領域に操作を受け付け可能とする。また、タッチパネル770の画面領域には、例えば、作業者による入力操作を受け付けるボタン、入力欄等の操作部が表示されてもよい。操作装置750としてのタッチパネル770は、作業者による画面上の入力操作を検出し、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。これにより、例えば、作業者は、画面に表示される情報を確認しながら、画面に設けられた操作部を操作して、射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。また、作業者が画面に設けられた操作部を操作することにより、操作部に対応する射出成形機10の動作を行わせることができる。なお、射出成形機10の動作は、例えば、型締装置100、エジェクタ装置200、射出装置300、移動装置400等の動作(停止も含む)であってもよい。また、射出成形機10の動作は、表示装置760としてのタッチパネル770に表示される画面の切り替え等であってもよい。
【0096】
なお、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、タッチパネル770として一体化されているものとして説明したが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750および表示装置760は、型締装置100(より詳細には固定プラテン110)の操作側(Y軸負方向)に配置される。
【0097】
(第1の実施形態)
図3は、一実施形態に係る射出成形機10の制御装置700の構成要素を機能ブロックで示す図である。
図3に図示される各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU701にて実行されるプログラムにて実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。
図3に示すように、制御装置700のCPU701は、表示制御部711と、操作受付部712と、取得部713と、判定部714と、記録部715と、を備える。また、制御装置700は、記憶媒体702に、停止履歴記憶部721と、成形条件変更履歴記憶部722と、を備える。
【0098】
表示制御部711は、表示装置760に情報を表示するための制御を行う。例えば、表示制御部711は、射出成形機10の設定を変更するための設定画面を表示する制御を行う。さらには、表示制御部711は、停止履歴記憶部721及び成形条件変更履歴記憶部722に記憶された情報に基づいて、履歴に関する画面を表示する。
【0099】
操作受付部712は、操作装置750に対する入力操作を受け付ける。
【0100】
例えば、操作受付部712は、表示装置760に表示する画面を設定するための操作を受け付ける。表示制御部711は、受け付けた操作に従って画面を表示する制御を行う。
【0101】
取得部713は、射出成形機10に設けられた各種センサから、検知結果を示す信号(情報の一例)を取得する。例えば、取得部713は、射出成形機10が異常で停止した際に、射出成形機10に設けられた各種センサから、射出成形機10で生じた異常の種別を判定可能な信号を取得する。
【0102】
判定部714は、射出成形機10が異常で停止した際に、取得部713により取得された信号に基づいて、射出成形機10で生じた異常の種別を判定する。本実施形態では、異常の種別として、例えば、サイクル異常、金型保護、成形品判別異常、付帯設備異常(ストッカ)、及び充填ピーク圧異常とするが、射出成形機10で生じた異常であれば判定可能とする。また、判定部714は、送信された信号から、射出成形機10の停止時刻を検出できる。
【0103】
記録部715は、射出成形機10が停止する毎に、(処置の対象となる)停止内容と、当該停止に対応して処置を行った作業者を示したユーザIDと、停止に対応する処置に要した時間に関する情報と、を対応付けて停止履歴記憶部721に記録する。本実施形態では、射出成形機の停止として、作業者の操作による射出成形機10の停止、及び、射出成形機10で検出された異常に基づいた停止のうちいずれか一つ以上を含むものとする。
【0104】
本実施形態に係るユーザIDは、ユーザを示したユーザ情報の一例を示している。ユーザ情報は、ユーザIDのように変更者または作業者ひとりひとりを識別するためにIDとして割り振られる場合もあるが、複数人で一つのユーザ情報を共有する場合もある。本実施形態では、ユーザIDが、変更者個人または作業者個人を識別する例について示しているが、複数人で構成されるグループごとに識別情報を割り当てるユーザ情報であってもよい。
【0105】
さらに、記録部715は、射出成形機10の成形不良等の理由によって条件変更(作業者の処置の一例)が行われる毎に、条件変更を示した情報と、当該条件変更に対応する変更者を示したユーザIDと、条件変更を行った時刻(条件変更に要した時間に関する情報の一例)と、を対応付けて、成形条件変更履歴記憶部722に記録する。条件変更と紐づけて記録される情報については、ユーザIDは変更者として記録される。
【0106】
なお、ユーザIDは、射出成形機10にログインしているユーザを識別する情報であるため、停止に対応して処置を行っていたユーザが、射出成形機10の条件変更を行う場合もある。この場合、停止履歴記憶部721に記録される作業者、及び、成形条件変更履歴記憶部722に記録されるの変更者は、同一のユーザIDとなる。
【0107】
本実施形態では、記録部715が停止履歴記憶部721及び成形条件変更履歴記憶部722に情報を記録する例について説明する。なお、本実施形態は、記録部715が行う情報の記録を、停止履歴記憶部721及び成形条件変更履歴記憶部722に対して行うもの制限するものではなく、停止履歴記憶部721又は成形条件変更履歴記憶部722に対して行ってもよいし、他のテーブル構成を有する記憶部に行ってもよい。
【0108】
さらには、本実施形態の記録部715が行う記録は、パレート図等として表示したい処置に関する情報の記録であればよい。
【0109】
本実施形態では、射出成形機10で行われる処置に関する情報として、作業者による射出成形機10の停止、射出成形機10で検出された異常に基づいた停止、及び、射出成形機の成形条件の変更、に関する情報が、記憶媒体702に記憶される場合について説明する。本実施形態は、記憶媒体702に記憶される処置に関する情報が、作業者による射出成形機10の停止、射出成形機10で検出された異常に基づいた停止、及び、射出成形機10の成形条件の変更に関する情報に制限するものではなく、作業者等による作業が必要なために射出成形機10の停止が必要となる処置に関する情報であればよい。換言すれば、当該処置に対応するためには、作業者等の経験又はスキルが必要となる。そこで、本実施形態においては作業者別に、当該作業者の対応を可視化することで、当該作業者等の経験又はスキルを把握する。
【0110】
次に、停止履歴記憶部721及び成形条件変更履歴記憶部722について説明する。
【0111】
停止履歴記憶部721は、射出成形機10の停止履歴を記憶する。
図4は、本実施形態に係る停止履歴記憶部721のテーブル構造を示した図である。本実施形態に係る停止履歴記憶部721は、作業者による射出成形機10の停止、及び、射出成形機10で検出された異常に基づいた停止に関する情報が記録される。
【0112】
図4に示されるように、停止履歴記憶部721は、条件名と、停止内容と、種類と、作業者(処置に対応するユーザを示したユーザ情報の一例)と、合計時間と、発生時刻と、再開時刻(処置に要した時間に関する情報の一例)と、を対応付けて記憶する。本実施形態に係る停止履歴記憶部721は、射出成形機10が停止する毎に、記録部715によってレコードが記録される。
図4に示される例は、停止履歴記憶部721が記憶している情報の一部を示したものとする。
【0113】
条件名は、射出成形機10が成形品を成形するための条件であって、例えば成形品ごとに設定された名称とする。
【0114】
種類は、射出成形機10を停止させた理由に関する情報が登録される。種類としては、手動と異常とが存在する。手動とは、作業者が手動で停止させたことを示している。異常とは、制御装置700が成形時に検出された異常に基づいて停止したことを示している。
【0115】
停止内容(処置に関する情報の一例)は、射出成形機10が停止した内容が登録される。種類が手動の場合には、操作装置750から入力された停止理由が登録される。種類が異常の場合には、判定部714により判定された異常の種別を示す情報が登録される。
【0116】
作業者(処置に対応するユーザの一例)は、射出成形機10が停止している間に、停止対応する作業を行った作業者を識別する情報が登録される。本実施形態では、射出成形機10が停止した場合に、停止に対応する作業を行うために射出成形機10に対してログインしたユーザを作業者とする。具体的には、射出成形機10が異常停止した場合に、当該異常を解消するために射出成形機10にログインしたユーザIDが、作業者を示す情報として登録される。また、作業者が射出成形機10を停止させた場合には、射出成形機10を停止させた作業者のユーザIDが、作業者を示す情報として登録される。
【0117】
合計時間は、以下に示す停止時刻と再開時刻との差で算出される時間であって、射出成形機10の停止に対応する作業に要した時間を示している。停止時刻と再開時刻との差の算出は、記録部715が行ってもよい。
【0118】
停止時刻は、射出成形機10が停止した時刻を示している。停止時刻には、射出成形機10の成形時に検出された異常によって停止した時刻、及び作業者によって停止された時刻を含んでいる。
【0119】
再開時刻は、停止に対応する作業が終了して、射出成形機10による成形が開始した時刻を示している。
【0120】
本実施形態は、射出成形機10の停止に対応する作業に要した時間の一例として、停止時刻から再開時刻の差である時間を管理する例について説明する。しかしながら、本実施形態は、停止に対応する作業に要した時間を、停止時刻から再開時刻の差に制限するものではない。例えば、停止に対応する作業に要した時間として、異常発生から異常解消までの時間であってもよいし、作業者の作業開始から作業完了までの時間であってもよい。
【0121】
成形条件変更履歴記憶部722は、射出成形機10の成形条件の変更履歴を記憶する。
図5は、本実施形態に係る成形条件変更履歴記憶部722のテーブル構造を示した図である。
【0122】
成形条件変更履歴記憶部722は、条件名と、変更時刻と、変更項目と、変更前と、変更後と、変更者と、変更理由と、を対応付けて記憶する。本実施形態に係る停止履歴記憶部721は、射出成形機10において成形条件が変更される毎に、記録部715によってレコードが登録される。
図5に示される例は、成形条件変更履歴記憶部722が記憶している情報の一部を示したものとする。
【0123】
条件名は、射出成形機10が成形品を成形するための条件であって、例えば成形品ごとに条件が設定される。
【0124】
変更時刻は、変更者からの操作に応じて射出成形機10で成形品の成形条件が変更された時刻を示している。本実施形態に係る変更者は、成形条件を変更した者であればよい。例えば、成形条件の変更と共に停止対応する作業を行っている場合には、停止履歴記憶部721に作業者として登録されたユーザIDが、成形条件変更履歴記憶部722に変更者として登録されることもある。
【0125】
変更項目は、成形条件として変更(処置の一例)された項目を示している。変更前は、変更項目における変更前のパラメータを示している。変更後は、変更項目における変更後のパラメータを示している。
【0126】
変更者は、成形条件の変更を行った変更者を識別する情報が登録される。例えば、射出成形機10の成形条件を変更するために射出成形機10に対してログインしたユーザIDが変更者を示す情報として登録される。
【0127】
変更理由は、成形条件を変更した理由を示した情報が登録される。例えば、操作受付部712が成形条件を変更するためのログインしたユーザから、成形条件の変更と共に、変更理由の入力を受け付けた場合に、当該変更理由が登録される。
【0128】
<画面の説明>
本実施形態に係る射出成形機10においては、上述した構成を備えることで様々な画面を表示することができる。例えば、表示制御部711は、後述する画面を生成するための設定画面を、表示装置760に表示してもよい。当該画面の表示は、任意のユーザであればよく、例えば、射出成形機10が設置してある工場等の管理者により行われる。
【0129】
当該設定画面では、操作受付部712が操作装置750を介して、表示対象となる期間の設定を受け付ける。具体的には、操作受付部712が、設定画面で表示されるプルダウンメニュー等から、表示するグラフの種類の選択を受け付けてもよい。操作受付部712が、表示するグラフの種類の選択を受け付けた後、グラフ作成ボタンの押下を受け付けた場合に、表示制御部711が、後述するように処置の回数又は処置に要した時間が認識可能となる図形で表して画面に表示する。ここで、図形で表すとは、回数又は時間の量を図の形として表すことをいう。点の集合体、および、点と線との集合体で表したものは含むが、表のように文字、数字、または、文字および/または数字の組み合わせのみで表すものを除く。このように表した図形を「表した図形」とよぶことがある。また、図形の一部分を取り出して、「図形を構成する要素」と呼ぶことがある。図形を構成する要素とは、例えば、棒グラフまたはパレート図の棒、あるいは、円グラフの2本の弦で区分された領域のように、図形を構成する他の要素と区別可能な要素のことをいう。本実施形態においては、表示されるグラフが、パレート図の場合について説明する。パレート図とは、棒を長い順に並べた棒グラフ(第1の図形の一例)と、累積比率(第2の図形の一例)を示した折れ線グラフと、を複合的に示した図である。なお、本実施形態は、図形で表した場合の表示態様の一例としてパレート図を表示する場合を表したもので、パレート図以外の表示態様であってもよい。例えば、棒グラフ、円グラフ、又は折れ線グラフなど、作業者等毎に、処置の回数又は処置に要した時間を認識可能となる図形(各種グラフを含む)で表されればよい。例えば、棒グラフの場合、作業者毎の、処置の回数又は処置に要した時間を棒として表してよい。例えば、円グラフの場合、作業者毎の、処置の回数又は処置に要した時間を円グラフの2本の弦で区分された領域(以下、面積とも称する)として表してよい。例えば、折れ線グラフの場合、作業者毎の、処置の回数又は処置に要した時間を、グラフ上の値として表してよい。
【0130】
さらに、本実施形態では、グラフの種類と、射出成形機10の工程(例えば、計量工程、充填工程、及び保圧工程等)とが対応付けられてもよい。これにより、操作受付部712が、グラフの種類を選択する前に、工程の選択を受け付けることで、当該工程に関連するグラフの種類を提示してもよい。そして、操作受付部712は、提示されたグラフの種類から選択を受け付けてもよい。当該操作によって、グラフの種類の選択が容易になり、操作性を向上させることができる。
【0131】
本実施形態に係る表示制御部711は、停止履歴記憶部721又は成形条件変更履歴記憶部722を参照して、処置の回数又は処置に要した時間を、作業者又は変更者別に認識可能に図形(例えばパレート図)で表して表示装置760に表示するように構成されている。
【0132】
図6は、本実施形態に係る表示装置760に表示される作業者別異常履歴の表示画面の一例を示した図である。
図6に示される例は、期間2022年6月4日13:45~6月12日13:45までに生じた異常の履歴のパレート図(グラフの一例)を、作業者別に分けて表している。
図6に示される異常の履歴のパレート図は、
図4の停止履歴記憶部721を参照して生成される。このため、パレート図は、作業者別の表示となる。なお、以降の
図7~
図9に示されるパレート図も、
図4の停止履歴記憶部721を参照するので、
図7~
図9に示されたユーザは作業者を示している。
【0133】
図6のパレート
図1601は、作業者がユーザAの場合の異常履歴を示し、パレート
図1602は、作業者がユーザBの場合の異常履歴を示している。つまり、表示制御部711は、停止履歴記憶部721に格納された情報のうち、種類が"異常"であり、且つ設定された期間内のレコードを抽出し、作業者毎に作成したパレート
図1601、1602を表示する。
図6で示される画面では、作業者別異常履歴を2人分表示する例について説明するが、1人分又は3人分以上表示してもよい。本実施形態では、複数人分のパレート図の表示することで、管理者は、当該画面を参照して、作業者間の比較を行うことができる。
【0134】
パレート
図1601、及びパレート
図1602の各々には、停止内容(異常内容)別に、異常を解消するまでに要した時間の合計を、棒の長さで示している。
【0135】
また、パレート
図1601、及びパレート
図1602に示される例では、合計時間(棒の長さ)に応じて、合計時間を表した棒を長い順に並び替えて表示される。以下に示すパレート図においても同様に、図形を構成する要素が、量が多い順に並び替えて表示される。図形を構成する要素は、上述した通りとする。量は、
図6で示される例では、合計時間を示している。なお、本実施形態は、量を、合計時間に制限するものではなく、例えば、平均時間を含む時間に関する情報、又は、回数であってもよい。つまり、表示制御部711は、合計時間、平均時間、又は回数の多い順に、図形を構成する要素を並び変えてもよい。これにより、例えば、棒グラフやパレート図であれば、量を棒として長い順に表示され、円グラフであれば量を面積として広い順に表示され、折れ線グラフであれば量を値として大きい順に表示されてよい。
【0136】
図6に示される例では、異常が複数回生じた場合には、複数回の合計時間を棒の長さで示している。
図6に示される例では、1つの棒内に、回数別に要した時間で、表示態様(例えば色又は網掛け)を異ならせて示している。例えば、パレート
図1601のサイクル異常を示す棒では、サイクル異常が3回生じていることを示している。さらに、サイクル異常を示す棒では、サイクル異常が発生する毎に当該サイクル異常を解消するために要した時間を、表示態様を異ならせて示されている。他の異常内容を示す棒も同様に、異常が発生する毎に当該異常を解消するために要した時間を示している。当該表示によって、ユーザ毎に異常が発生した回数、及び発生する毎に当該異常を解消するまでに要した時間を認識できる。
【0137】
さらには、パレート
図1601には、異常内容ごとの合計時間の累積比率を示した折れ線1611が示され、パレート
図1602には、異常内容ごとの合計時間の累積比率を示した折れ線1612が示されている。そしてパレート
図1601及びパレート
図1602では、異常内容ごとの合計時間の累積比率が最終的に100%となる。当該画面を参照しているユーザ(例えば管理者)は、折れ線1611又は折れ線1612を視認することで、異常内容ごとの合計時間の比率を認識できる。
【0138】
つまり、
図6に示される表示では、異常が発生する毎に、作業者が当該異常を解消するまでに要した時間を認識できる。したがって、作業者が当該異常に対応するスキルを有しているか否か、及び当該異常の発生を抑制できるスキルを有しているか否かを認識できる。したがって、管理者は、当該スキルを作業者から確認し、当該スキルを他の作業者に伝えることで、稼働率の向上を実現できる。
【0139】
本実施形態は、作業者別に異常を解消するまでに要した時間を認識可能な表示であればよく、
図6に示される画面の表示に制限するものではない。次に、異常履歴の表示画面の別態様について説明する。
【0140】
図7は、本実施形態に係る表示装置760に表示される異常履歴の表示画面の一例を示した図である。
【0141】
図7のパレート
図1701は、射出成形機10において、期間2022年6月4日13:45~6月12日13:45に生じた異常を示した履歴を示している。つまり、表示制御部711は、停止履歴記憶部721に格納された情報のうち、種類が"異常"であり、且つ設定された期間内のレコードを抽出して作成したパレート図を表示する。
図7で示される画面例では、射出成形機10を利用した作業者が3人の場合について示している。
【0142】
パレート
図1701には、停止内容(異常内容)別に、異常を解消するまでに要した時間の合計が棒グラフで表示される。
【0143】
図7に示される例では、異常内容毎に、当該異常を解消するまでに要した時間の全作業者の合計を、当該異常内容の棒の長さで示している。
図7で示される例では、1つの棒内に、作業者別に当該異常を解消するために要した合計時間で、表示態様を異ならせて示している。例えば、サイクル異常を示す棒は、ユーザA、ユーザB、及びユーザCの各々について、異常を解消するまでに要した合計時間毎に表示態様を異ならせている。当該表示によって、ユーザ毎に当該異常を解消するまでに要した合計時間を認識できる。
【0144】
パレート
図1701に示される例では、合計時間(棒の長さ)に応じて、合計時間を表した棒を長い順に並び替えて表示される。
【0145】
さらには、パレート
図1701には、異常内容ごとの合計時間の累積比率を示した折れ線1702が示されている。そしてパレート
図1701では、異常内容ごとの合計時間の累積比率が最終的に100%となる。ユーザは、折れ線1702を参照することで、異常内容ごとの合計時間の比率を認識できる。
【0146】
つまり、
図7に示される表示では、作業者毎に、作業者が当該異常を解消するまでに要した合計時間を認識できる。したがって、作業者が当該異常に対応するスキルを有しているか否か、及び当該異常の発生を抑制できるスキルを有しているか否かを認識できる。
【0147】
なお、
図6、
図7に示される例では、異常を解消するために要した合計時間を、パレート図で表す例について説明した。しかしながら、本実施形態は、異常を解消するために要した合計時間を表すための図形を、パレート図に制限するものではなく、異常を解消するために要した合計時間を、例えば、棒グラフの棒、円グラフの面積、又は折れ線グラフの値等の、図形を構成する要素で表示してもよい。また、
図6、
図7に示される例では、本実施形態が表示するパレート図の一例を示したものであって、合計時間をパレート図の棒の長さで表示する態様に制限するものではない。例えば、異常を解消するために要した平均時間、又は異常が生じた回数を、パレート図若しくは棒グラフの棒の長さ、円グラフの面積、又は、折れ線の値等で表示してもよい。また、パレート図の棒は、色又は網掛け等を行わずに表示してもよい。
【0148】
パレート図の棒の長さで、異常を解消するために要した平均時間を表す場合には、管理者は、異常を解消するための作業者のスキル又は手際の良さを評価できる。本実施形態では、平均時間を算出する手法として、例えば、合計時間を、異常が生じた回数で除算して平均時間を算出してもよい。異常の種類によっては、作業者若しくは機械ごとに頻度が多い異常、または、作業者若しくは射出成形機の個体ごとに頻度が少ない異常もある。このため、平均時間の算出手法は、単純に合計時間を回数で除算して算出する手法に制限するものではない。例えば、回数、作業者、または、射出成形機の個体に応じた補正値で、算出された平均時間を補正しても良い。
【0149】
パレート図の棒の長さで、異常が生じた回数を表示する場合には、管理者は、作業者ごとに異常が生じる頻度を評価できる。例えば、管理者は、異常が生じる頻度が多い作業者に対して、作業者の作業手順等を調査、確認することで、異常が生じる理由の抽出、当該理由の解消を行うことで、稼働率の向上を図ることが可能となる。
【0150】
パレート図の棒の長さで、異常を解消するために要した合計時間を表示する場合には、管理者は、異常が生じる頻度、及び異常に対応する時間を総合的に考慮して、作業者を評価できる。つまり、作業者のスキル又は手際の良さの評価できると共に、異常が生じる頻度を認識できるので、上述したように異常が生じる理由の抽出、当該理由の解消等の対応が可能となる。
【0151】
図6、
図7では、パレート図において、異常内容別に異常を解消するために要した合計時間を、棒の長さで表示する場合について説明した。しかしながら、本実施形態は、パレート図を、異常内容別に異常を解消するために要した合計時間を、棒の長さで表示する態様に制限するものではない。・次に作業者別に、異常を解消するために要した合計時間を棒の長さで表示する例について説明する。
【0152】
まずは、操作受付部712が、設定画面から、表示対象となる期間の設定を受け付けた後、プルダウンメニュー等から、作業者別停止履歴の選択を受け付ける例とする。その後、操作受付部712が、グラフ作成ボタンの押下を受け付けた場合に、表示制御部711が、後述する画面を表示する。
【0153】
図8は、本実施形態に係る表示装置760に表示される作業者別停止履歴の表示画面の一例を示した図である。
図8に示される例は、期間2022年6月4日13:45~6月12日13:45までに生じた停止の履歴を示している。具体的には、本実施形態に係る表示制御部711は、停止履歴記憶部721に格納された情報のうち、設定された期間内のレコードを抽出し、抽出したレコードを作業者毎に分けた後、作業者ごとの合計時間を棒の長さで表したパレート図を表示する。
【0154】
つまり、
図8に示されたパレート
図1800では、図形を構成する要素の一例である棒で表される項目として、作業者別に分けられている。当該棒の長さは、当該作業者が、射出成形機10が停止してから再開するまでに要した合計時間を示している。
【0155】
図8のパレート
図1800は、棒1801が、ユーザAが作業者の場合の再開するまでに要した合計時間を示し、棒1802が、ユーザBが作業者の場合の再開するまでに要した合計時間を示し、棒180Cが、ユーザCが作業者の場合の再開するまでに要した合計時間を示している。
【0156】
棒1801、棒1802、及び棒180Cは、停止内容ごとに表示態様(色又は網掛け)を異ならせて示している。これにより、停止内容ごとに要した時間を認識できる。当該表示によって、各作業者が再開するまでに要した時間を、停止内容別に認識できる。
【0157】
パレート
図1800に示される例では、合計時間(棒の長さ)に応じて、合計時間を表した棒を長い順に並び替えて表示される。管理者は、パレート
図1800を参照することで、合計時間順に作業者を認識できる。
【0158】
さらには、パレート
図1800には、作業者ごとの合計時間の累積比率を示した折れ線1804が示されている。パレート
図1800では、作業者ごとの合計時間の累積比率が最終的に100%となる。管理者は、折れ線1804を参照することで、作業者ごとの合計時間の比率を認識できる。
【0159】
つまり、
図8に示される表示では、成形を停止させてから再開するまでに要した時間を作業者別に認識できる。当該表示によって、稼働率を低下させている作業者を把握できる。さらには、把握した作業者において、どの停止内容で時間を要しているのか把握できるので、作業率を低下させている作業者の当該停止内容における作業手順の確認等を行うことで、稼働率の向上を実現できる。
【0160】
図8では、作業者別に全ての停止内容の合計時間をパレート図で示した例について説明した。しかしながら、作業者別の合計時間の表示は、
図8で示される例に制限するものではない。次に、停止内容ごとにパレート図を分けて、各作業者の合計時間を表示する例について説明する。
【0161】
図9は、本実施形態に係る表示装置760に表示される作業者別停止履歴の表示画面の一例を示した図である。
図9に示される例は、期間2022年6月4日13:45~6月12日13:45までに生じたスクリュ清掃及び段取のパレート図を示している。
【0162】
図9のパレート
図1901は、スクリュ清掃の停止履歴を示し、パレート
図1902は、段取りの停止履歴を示している。つまり、表示制御部711は、停止履歴記憶部721に格納された情報のうち、停止内容が"スクリュ清掃"であり、且つ設定された期間内のレコードを抽出し、"スクリュ清掃"のパレート図を表示する。さらに、表示制御部711は、停止履歴記憶部721に格納された情報のうち、停止内容が"段取"であり、且つ設定された期間内のレコードを抽出し、"段取"のパレート図を表示する。
【0163】
パレート
図1901、及びパレート
図1902の各々には、作業者別に、停止してから再開するまでに要した合計時間を、棒の長さで示している。
【0164】
図9のパレート
図1901は、棒1911が、ユーザCが作業者の場合にスクリュ清掃で停止させた後に再開するまでに要した合計時間を示し、棒1912が、ユーザAが作業者の場合にスクリュ清掃で停止させた後に再開するまでに要した合計時間を示し、棒1913が、ユーザBが作業者の場合にスクリュ清掃で停止させた後に再開するまでに要した合計時間を示している。
【0165】
図9のパレート
図1902は、棒1921が、ユーザBが作業者の場合に段取で停止させた後に再開するまでに要した合計時間を示し、棒1922が、ユーザAが作業者の場合に段取で停止させた後に再開するまでに要した合計時間を示し、棒1923が、ユーザCが作業者の場合に段取で停止させた後に再開するまでに要した合計時間を示している。
【0166】
図9に示される例では、作業者ごとの棒の長さは、停止内容で示された停止が複数回生じた場合には、複数回の合計時間を示している。
図9に示される例では、1つの棒内に、回数別に要した時間で、表示態様(例えば、網掛け又は色)を異ならせて示している。例えば、パレート
図1901では、作業者がユーザCの場合、スクリュ清掃が3回行われたことが認識できる。さらに、3回の各々について再開するまでの時間が示されている。他の作業者を示す棒も同様に、回数別に要した時間を示している。当該表示によって、作業者毎に停止させた回数、及び1回ごとに再開するまでに要した時間を認識できる。
【0167】
また、パレート
図1901、及びパレート
図1902に示される例では、合計時間(棒の長さ)に応じて、合計時間を表した棒を長い順に並び替えて表示される。
【0168】
さらには、パレート
図1901には、作業者ごとの合計時間の累積比率を示した折れ線1914が示され、パレート
図1902には、作業者ごとの合計時間の累積比率を示した折れ線1924が示されている。そしてパレート
図1901及びパレート
図1902では、作業者ごとの合計時間の累積比率が最終的に100%となる。管理者は、折れ線1914又は折れ線1924を参照することで、作業者ごとの合計時間の比率を認識できる。
【0169】
図9に示される表示では、作業者毎に、作業者が再開するまでに要した時間を認識できる。したがって、停止内容ごとに稼働率を低下させている作業者を把握できる。当該作業者の当該停止内容に対する作業手順の確認等を行うことで、稼働率の向上を実現できる。
【0170】
なお、
図8、
図9に示される例では、作業者ごとに、再開するまでに要した合計時間を、パレート図で表す例について説明した。しかしながら、本実施形態は、異常を解消するために要した合計時間を表すための図形を、パレート図に制限するものではなく、再開するまでに要した合計時間を、例えば、棒グラフの棒、円グラフの面積、又は折れ線グラフの値等の、図形を構成する要素で表示してもよい。また、
図8、
図9に示される例は、作業者ごとの合計時間をパレート図の棒の長さで表示する例に制限するものではなく、例えば平均時間、又は停止させた回数を、パレート図若しくは棒グラフの棒の長さ、円グラフの面積、又は折れ線の値等で表示してもよい。平均時間を算出する手法として、例えば、合計時間を、停止させた回数で除算して平均時間を算出してもよい。停止の種類によっては、作業者若しくは機械ごとに頻度が多い異常、または、作業者若しくは射出成形機の個体ごとに頻度が少ない異常もある。このため、平均時間の算出手法は、単純に合計時間を回数で除算して算出する手法に制限するものではない。例えば、回数、作業者、または、射出成形機の個体に応じた補正値で、算出された平均時間を補正しても良い。また、パレート図の棒は、色又は網掛け等を行わずに表示してもよい。合計時間、平均時間、又は回数を棒の長さで表示した場合の効果は上述した通りとする。
【0171】
図8、
図9では、パレート図において、作業者別に再開するまでに要した合計時間を表示する場合について説明した。しかしながら、本実施形態は、再開するまでに要した時間に関するパレート図の表示に制限するものではない。次に、成形条件の変更履歴をパレート図として表示する場合について説明する。
【0172】
まずは、操作受付部712が、設定画面から、表示対象となる期間の設定を受け付けた後、プルダウンメニュー等から、成形条件の変更回数履歴の選択を受け付ける例とする。その後、操作受付部712が、グラフ作成ボタンの押下を受け付けた場合に、表示制御部711が、後述する画面を表示する。
【0173】
図10は、本実施形態に係る表示装置760に表示される成形条件変更回数履歴の表示画面の一例を示した図である。
図10に示される例は、期間2022年7月20日9:30~7月27日13:45までにショート又はバリが生じた場合に成形条件を変更した回数を示したパレート図を示している。
図10に示される成形条件変更回数履歴のパレート図は、
図5の成形条件変更履歴記憶部722を参照して生成される。このため、
図10のパレート図は、変更者別の表示となる。なお、以降の
図11に示されるパレート図も、
図5の成形条件変更履歴記憶部722を参照するので、変更者別の表示となる。
【0174】
図10のパレート
図2001は、ショートが生じた場合の成形条件の変更回数を示し、パレート
図2002は、バリが生じた場合の成形条件の変更回数を示している。
【0175】
表示制御部711は、成形条件変更履歴記憶部722に格納された情報のうち、変更理由が"ショート"であり、且つ設定された期間内のレコードを抽出し、ショートが生じた場合の成形条件の変更回数を示したパレート
図2001を表示する。さらに、表示制御部711は、停止履歴記憶部721に格納された情報のうち、変更理由が"バリ"であり、且つ設定された期間内のレコードを抽出し、バリが生じた場合の成形条件の変更回数を示したパレート
図2002を表示する。
【0176】
パレート
図2001、及びパレート
図2002の各々には、変更者別に、成形条件の変更回数を棒の長さで示している。
【0177】
図10のパレート
図2001は、棒2011が、ユーザAが変更者の場合にショートが発生した場合に成形条件の変更回数を示し、棒2012が、ユーザCが変更者の場合にショートが発生した場合に成形条件の変更回数を示し、棒2013が、ユーザBが変更者の場合にショートが発生した場合に成形条件の変更回数を示している。
【0178】
図10のパレート
図2002は、棒2021が、ユーザAが変更者の場合にバリが発生した場合に成形条件の変更回数を示し、棒2022が、ユーザCが変更者の場合にバリが発生した場合に成形条件の変更回数を示し、棒2023が、ユーザBが変更者の場合にバリが発生した場合に成形条件の変更回数を示している。
【0179】
図10に示される例では、成形品に不良が発生した場合に変更者ごとに成形条件を変更した回数を認識できる。
【0180】
また、パレート
図2001、及びパレート
図2002に示される例では、変更回数に応じて、変更回数を表した棒を長い順に並び替えて表示される。
【0181】
さらには、パレート
図2001には、変更者ごとの変更回数の累積比率を示した折れ線2014が示され、パレート
図2002には、変更者ごとの変更回数の累積比率を示した折れ線2024が示されている。そしてパレート
図2001及びパレート
図2002では、変更者ごとの変更回数の累積比率が最終的に100%となる。管理者は、折れ線2014又は折れ線2024を参照することで、変更者ごとに、変更回数の比率を認識できる。
【0182】
図10に示される表示では、変更者毎に、成形条件の変更回数を認識できる。変更回数が多くなるのは、当該変更者が適切な成形条件を設定できず、繰り返し成形条件の変更を行ったための可能性がある。つまり、変更回数の変更者ごとの違いは、当該変更者のスキル及び熟練度合いに基づく可能性がある。換言すれば、スキルを有している者又は熟練者ほど成形条件を変更する回数が低減すると考えられる。
【0183】
そこで、本実施形態では、表示制御部711が、
図10に示される画面を表示することで、変更者ごとに成形条件の変更回数を認識できる。そして、管理者は、当該認識結果に基づいて、例えば、成形条件の変更回数が少ない変更者が、成形条件の変更回数が多い変更者に、成形条件の変更手法を教示するように調整できる。このように変更者のスキル等を考慮した調整を行うことで、成形条件の変更回数を低減させて、稼働率の向上を実現できる。
【0184】
図10では変更者ごとに成形条件の変更回数を示した例について説明した。しかしながら、本実施形態は、成形条件の変更回数を表すための図形を、パレート図に制限するものではなく、成形条件の変更回数を、例えば、棒グラフの棒、円グラフの面積、又は折れ線グラフの値等の、図形を構成する要素で表示してもよい。また、本実施形態は、成形条件の変更に関する図形の表示を、成形条件の変更回数のみに制限するものではない。例えば、変更者別に、成形条件の変更に要した時間を図形に表してもよい。
【0185】
成形条件の変更に要した時間は、例えば、成形条件変更履歴記憶部722に記憶されている情報から導出してもよい。例えば、変更履歴及び変更者が同一のレコードから、導出してもよい。
図5に示される例では、変更理由"ショート"で変更者"ユーザC"のレコードが複数連続である場合、表示制御部711は、当該複数のレコードのうち最も早い時刻(例えば、2022/7/25 11:09)から、当該複数のレコードのうち、最も遅い時刻(例えば、2022/7/25 11:19)までの時間を、成形条件の変更に要した時間とみなして、パレート図を表示してもよい。
【0186】
成形条件の変更に要した時間の導出手法は、他の手法を用いてもよい。例えば、成形条件変更履歴記憶部722に記憶されているレコードの変更時刻を、当該成形条件の変更の開始時刻とした上で、成形条件の変更の終了の判定(換言すれば、終了時刻の特定)には、射出成形機10の不良品判定機能を用いてもよい。つまり、射出成形機10の射出成型時に検出される圧力等のパラメータが、射出成形機10に設定された監視範囲内から外れて、成形条件の変更が行われた場合に、制御装置700は、変更者の成形条件の変更等が行われた後、当該パラメータが監視範囲内に含まれるようになった時刻を、成形条件の変更の終了時刻とみなしてもよい。当該成形条件の変更の終了時刻は、開始時刻と対応付けて、成形条件変更履歴記憶部722等に登録されてもよい。
【0187】
他の例としては、成形条件変更履歴記憶部722に記憶されているレコードの変更時刻を、当該成形条件の変更の開始時刻とした上で、操作受付部712が、成形条件の設定画面に表わされた設定終了ボタンの押下を受け付けた場合に、当該押下された時刻を、成形条件の変更の終了時刻とみなしてもよい。当該成形条件の変更の終了時刻は、開始時刻と対応付けて成形条件変更履歴記憶部722に登録されてもよい。
【0188】
他の例としては、設計条件を変更するためにユーザがログインした場合に、ユーザがログインした時刻を成形条件の変更の開始時刻とし、ユーザがログアウトした時刻を成形条件の変更の終了時刻とみなしてもよい。当該開始時刻及び終了時刻は、成形条件変更履歴記憶部722に登録されてもよい。
【0189】
図11は、本実施形態に係る表示装置760に表示される成形不良解消履歴の表示画面の一例を示した図である。
図11に示される例は、期間2022年7月20日9:30~7月27日13:45までにショートが生じた場合に成形不良が解消するまでに要した合計時間を示したパレート図を示している。
【0190】
表示制御部711は、成形条件変更履歴記憶部722に格納された情報のうち、変更理由が"ショート"であり、且つ設定された期間内のレコードを抽出し、成形条件の変更の開始時間及び終了時刻を導出し、ショートが生じた場合に成形不良が解消するまでに要した合計時間を示したパレート
図2101を表示する。成形条件の変更の開始時刻及び終了時刻の導出手法は、上述した通りとして説明を省略する。
【0191】
パレート
図2101は、変更者別に、ショートが生じた場合に成形不良が解消するまでに要した合計時間を棒の長さで示している。
【0192】
図11のパレート
図2101は、棒2111が、ユーザAが変更者の場合にショートが発生した場合に成形不良が解消するまでに要した合計時間を示し、棒2112が、ユーザBが変更者の場合にショートが発生した場合に成形不良が解消するまでに要した合計時間を示し、ユーザCが変更者の場合にショートが発生した場合に成形不良が解消するまでに要した合計時間を示している。
【0193】
図11に示される例では、変更者ごとの棒の長さは、成形不良が複数回生じた場合には、複数回の合計時間を示している。
図11に示される例では、1つの棒内に、回数別に要した時間で、表示態様(例えば色又は網掛け)を異ならせて示している。例えば、パレート
図2101では、ユーザAが変更者の場合、5回成形不良が生じていることが認識できる。さらに、5回の各々について成形不良が解消するまでに要した時間が示されている。他の変更者についても同様に、回数別に要した時間を示している。当該表示によって、ユーザ毎に成形不良が生じた回数、及び1回ごとに成形不良を解消するまでに要した時間を認識できる。
【0194】
また、パレート
図2101に示される例では、合計時間(棒の長さ)に応じて、合計時間を表した棒を長い順に並び替えて表示される。
【0195】
さらには、パレート
図2101には、変更者ごとの成形不良を解消するまでに要した合計時間の累積比率を示した折れ線2114が示されている。そしてパレート
図2101では、変更者ごとの合計時間の累積比率が最終的に100%となる。管理者は、折れ線2114を参照することで、変更者ごとに成形不良を解消するまでに要した合計時間の比率を認識できる。
【0196】
図11に示される表示では、変更者毎に、変更者ごとの成形不良を解消するまでに要した合計時間を認識できる。成形不良を解消するまでに要した合計時間が長くなるのは、成形条件の設定に要した時間が長くなる、又は、当該変更者が適切な成形条件を設定できないので、繰り返し成形条件の変更を行ったための可能性がある。つまり、合計時間の変更回数の変更者ごとの違いは、当該変更者のスキル及び熟練度合いに基づく可能性がある。つまり、本実施形態では、
図11に示される表示によって、変更者毎のスキル及び習熟度合いを認識できる。そして、管理者は、当該認識結果に基づいて、例えば、合計時間の短い変更者が、合計時間の長い変更者に、成形条件の変更手法を教えるように調整できる。当該調整によって、成形条件の変更回数を低減させることで、稼働率の向上を実現できる。
【0197】
図11に示される例では成形不良を解消するために要した合計時間を、パレート図で表す例について説明した。しかしながら、本実施形態は、成形不良を解消するために要した合計時間を表すための図形を、パレート図に制限するものではなく、成形不良を解消するために要した合計時間を、例えば、棒グラフの棒、円グラフの面積、又は折れ線グラフの値等の、図形を構成する要素で表示してもよい。なお、
図11に示される例では、変更者ごとに合計時間を、パレート図の棒の長さを示す例について説明した。しかしながら、
図11に示される例は、合計時間を棒の長さで表示する例に制限するものではなく、例えば平均時間を、パレート図若しくは棒グラフの棒の長さ、円グラフの面積、又は折れ線の値等で表示してもよい。平均時間を算出する手法として、例えば、合計時間を、成形不良が発生した回数で除算して平均時間を算出してもよい。停止の種類によっては、変更者若しくは機械ごとに頻度が多い異常、または、作業者若しくは射出成形機の個体ごとに頻度が少ない異常もある。このため、平均時間の算出手法は、単純に合計時間を回数で除算して算出する手法に制限するものではない。例えば、回数、作業者、または、射出成形機の個体に応じた補正値で、算出された平均時間を補正しても良い。
【0198】
(第2の実施形態)
上述した実施形態においては、射出成形機10の表示装置を操作してパレート図を表示する態様について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、パレート図を表示する装置を、射出成形機10に制限するものではない。そこで、第2の実施形態では、管理システムでパレート図を表示する例について説明する。
【0199】
図12は、第2の実施形態に係る射出成形機の管理システムの構成を例示した図である。
図12に示される管理システムでは、管理装置2201と、第1の射出成形機10aと、第2の射出成形機10bと、第3の射出成形機10cと、で構成されている。
【0200】
第1の射出成形機10a、第2の射出成形機10b、及び第3の射出成形機10cの構成は、上述した実施形態の射出成形機10と同様の構成として説明を省略する。
【0201】
管理装置2201は、第1の射出成形機10a、第2の射出成形機10b、及び第3の射出成形機10cを管理する。
【0202】
また、管理装置2201は、記憶媒体2202と通信可能に接続されている。記憶媒体2202には、停止履歴記憶部2202aと成形条件変更履歴記憶部2202bとが設けられている。停止履歴記憶部2202a及び成形条件変更履歴記憶部2202bのテーブル構成は、停止履歴記憶部721及び成形条件変更履歴記憶部722と同様として説明を省略する。
【0203】
第1の射出成形機10a、第2の射出成形機10b、第3の射出成形機10c、及び管理装置2201との間は通信ネットワークNTを介して接続されている。
【0204】
第1の射出成形機10a、第2の射出成形機10b、及び第3の射出成形機10cの各々は、停止履歴記憶部721及び成形条件変更履歴記憶部722に格納されている情報を、管理装置2201に送信する。
【0205】
例えば、第1の射出成形機10a、第2の射出成形機10b、及び第3の射出成形機10cの各々は、射出成形機10が停止する毎に、停止履歴記憶部721の停止内容及び種類(停止に対して行われた処置を示した情報の一例)と、当該処置に対応する作業者を示したユーザIDと、合計時間、停止時刻及び再開時刻(処置に要した時間に関する情報の一例)と、を対応付けて、管理装置2201に送信する。
【0206】
同様に、第1の射出成形機10a、第2の射出成形機10b、及び第3の射出成形機10cの各々は、成形条件の変更(処置の一例)が行われる毎に、変更項目(処置の一例)、変更前の値、変更後の値と、成形条件を変更した変更者を示したユーザID、変更時刻(当該処置に要した時間に関する情報の一例)とを対応付けて、管理装置2201に送信する。
【0207】
管理装置2201は、送信されてきた情報を、停止履歴記憶部2202a又は成形条件変更履歴記憶部2202bに記録する。これにより、管理装置2201は、第1の射出成形機10a、第2の射出成形機10b、及び第3の射出成形機10cの情報をまとめて管理できる。
【0208】
そして、管理装置2201には、(図示しない)表示装置(表示部の一例)が設けられている。そして管理装置2201に設けられた(図示しない)制御装置が、プログラムを読み込むことで、上述した実施形態の制御装置700と同様の機能を実現する。
【0209】
つまり、管理装置2201の制御装置は、停止履歴記憶部2202a及び成形条件変更履歴記憶部2202bを参照して、各作業者又は各変更者が処置を行った回数若しくは処置に要した時間を認識可能なパレート図を表示する。本実施形態で表示されるパレート図は、上述した実施形態と同様の表示態様として、説明を省略する。
【0210】
本実施形態においては、管理システムであっても、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0211】
上述した実施形態においては、射出成形機10又は管理システムにおいて、作業者又は変更者毎に、射出成形機10に対して行った作業に要した時間(合計時間若しくは平均時間)、又は作業の回数が、画面に表わされた図形によって確認できる。これにより、各作業者又は各変更者が行った作業が適切か否かを判断できる。したがって、各作業者又は各変更者が行った作業が適切になるように見直しを行うことができるので、射出成形機10の稼働率の向上を実現できる。
【0212】
以上、本発明に係る射出成形機の制御装置、及び射出成形機の管理システムの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0213】
10 射出成形機
300 射出装置
700 制御装置
701 CPU
711 表示制御部
712 操作受付部
713 取得部
714 判定部
715 記録部
702 記憶媒体
721 停止履歴記憶部
722 成形条件変更履歴記憶部