(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094842
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】運転支援システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211677
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正行
(72)【発明者】
【氏名】江崎 徹
(72)【発明者】
【氏名】坂本 淳一
(72)【発明者】
【氏名】志村 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 敏宏
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181DD06
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】簡易な構成によって自車両の車幅方向への移動に伴うリスクの存在を運転者に報知できる運転支援システムを提供すること。
【解決手段】運転支援システム1は、車両Vの車幅方向への移動に伴うリスクの存在を運転者に報知するものであって、車両Vの周囲に存在する周囲交通参加者及び車両Vの周囲の交通環境の少なくとも何れかを認識する車載外界認識装置2と、車載外界認識装置2による認識結果に基づいて車幅方向への移動に伴うリスクの有無を判定するリスク判定装置6と、方向指示器作動操作を受け付ける方向指示器操作子33に対し操作反力又は振動を発生するアクチュエータ36と、リスク判定装置6によってリスクが有ると判定されている場合、アクチュエータを操作することによって操作反力を大きくするか又は振動を発生させる報知制御装置7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の車幅方向への移動に伴うリスクの存在を前記自車両の運転者に報知する運転支援システムであって、
前記自車両の周囲に存在する周囲交通参加者及び前記自車両の周囲の交通環境の少なくとも何れかを認識する外界認識装置と、
前記外界認識装置による認識結果に基づいて前記車幅方向への移動に伴うリスクの有無を判定するリスク判定装置と、
方向指示器作動操作を受け付ける方向指示器操作子に対し操作反力又は振動を発生するアクチュエータと、
前記リスク判定装置によってリスクが有ると判定されている場合、前記アクチュエータを操作することによって前記操作反力を大きくするか又は前記振動を発生させる報知制御装置と、を備えることを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
前記方向指示器操作子への物体の接触を検出する接触センサと、
前記運転者が聴覚、視覚、及び触覚の少なくとも何れかによって認知可能な態様で作動するマンマシンインターフェースと、をさらに備え、
前記報知制御装置は、前記接触センサによって物体の接触が検出された場合、前記リスク判定装置による判定結果に基づいて定めた態様で前記マンマシンインターフェースを作動させることを特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記自車両のステアリングハンドルの操舵操作履歴、前記方向指示器操作子のスイッチ操作履歴、及び前記方向指示器の作動履歴の少なくとも何れかを記録する履歴記録装置と、
前記自車両の車線変更動作が終了した後、前記外界認識装置による認識結果、前記操舵操作履歴、前記スイッチ操作履歴、及び前記作動履歴の少なくとも何れかに基づいて、前記車線変更動作の実行時における前記方向指示器の作動の有無、前記自車両が車線を跨ぎ始めた時刻と前記方向指示器操作子をオン操作した時刻との先後、前記自車両が前記車線を跨ぎ始めた時刻から所定時間以上過去の時刻における前記オン操作の有無、前記自車両が前記車線を跨ぎ始めた地点から所定距離以上手前の地点における前記オン操作の有無、及び前記自車両が前記車線を跨ぎ終えた時刻と前記方向指示器操作子をオフ操作した時刻との先後、の少なくとも何れかを判定し、この判定の結果に基づいて定めた態様で前記マンマシンインターフェースを作動させる方向指示器操作評価装置と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の運転支援システム。
【請求項4】
前記自車両のステアリングハンドルの操舵操作履歴、前記方向指示器操作子のスイッチ操作履歴、及び前記方向指示器の作動履歴の少なくとも何れかを記録する履歴記録装置と、
前記自車両の右左折動作が終了した後、前記外界認識装置による認識結果、前記操舵操作履歴、前記スイッチ操作履歴、及び前記作動履歴の少なくとも何れかに基づいて、前記右左折動作の実行時における前記方向指示器の作動の有無、前記右左折動作の開始時刻と前記方向指示器操作子をオン操作した時刻との先後、前記右左折動作の開始時刻から所定時間以上過去の時刻における前記オン操作の有無、及び前記右左折動作を開始した地点から所定距離以上手前の地点における前記オン操作の有無の少なくとも何れかを判定し、この判定の結果に基づいて定めた態様で前記マンマシンインターフェースを作動させる方向指示器操作評価装置と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援システムに関する。より詳しくは、車線変更や右左折等の自車両の車幅方向への移動に伴うリスクを運転者に報知する運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現へ向けて、運転者による周囲の状態の認知を支援する運転支援技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。
【0003】
特許文献1に示された運転支援技術では、運転席のヘッドレスト、背もたれ、及び座面等に複数の振動体を設け、自車両の周囲に障害物が近接している場合、障害物に対応した振動体を振動させる。これにより特許文献1に示された運転支援技術では、運転者に対し危険度が高い方向を報知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献1に示された運転支援技術では、運転者に対し危険度が高い方向を報知するためには、運転席に数多くの振動体を設ける必要があり、コストが増加するおそれがある。
【0006】
本発明は、簡易な構成によって自車両の車幅方向への移動に伴うリスクの存在を運転者に報知できる運転支援システムを提供することを目的としたものであり、ひいては持続可能な輸送システムの発展に寄与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る運転支援システム(例えば、後述の運転支援システム1)は、自車両(例えば、後述の車両V)の車幅方向への移動に伴うリスクの存在を前記自車両の運転者に報知するものであって、前記自車両の周囲に存在する周囲交通参加者及び前記自車両の周囲の交通環境の少なくとも何れかを認識する外界認識装置(例えば、後述の車載外界認識装置2)と、前記外界認識装置による認識結果に基づいて前記車幅方向への移動に伴うリスクの有無を判定するリスク判定装置(例えば、後述のリスク判定装置6)と、方向指示器作動操作を受け付ける方向指示器操作子(例えば、後述の方向指示器操作子33)に対し操作反力又は振動を発生するアクチュエータ(例えば、後述のアクチュエータ36)と、前記リスク判定装置によってリスクが有ると判定されている場合、前記アクチュエータを操作することによって前記操作反力を大きくするか又は前記振動を発生させる報知制御装置(例えば、後述の報知制御装置7)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
(2)この場合、前記運転支援システムは、前記方向指示器操作子への物体の接触を検出する接触センサ(例えば、後述の接触センサ35)と、前記運転者が聴覚、視覚、及び触覚の少なくとも何れかによって認知可能な態様で作動するマンマシンインターフェース(例えば、後述のHMI4)と、をさらに備え、前記報知制御装置は、前記接触センサによって物体の接触が検出された場合、前記リスク判定装置による判定結果に基づいて定めた態様で前記マンマシンインターフェースを作動させることが好ましい。
【0009】
(3)この場合、前記運転支援システムは、前記自車両のステアリングハンドルの操舵操作履歴、前記方向指示器操作子のスイッチ操作履歴、及び前記方向指示器の作動履歴の少なくとも何れかを記録する履歴記録装置(例えば、後述の履歴記録装置5)と、前記自車両の車線変更動作が終了した後、前記外界認識装置による認識結果、前記操舵操作履歴、前記スイッチ操作履歴、及び前記作動履歴の少なくとも何れかに基づいて、前記車線変更動作の実行時における前記方向指示器の作動の有無、前記自車両が車線を跨ぎ始めた時刻と前記方向指示器操作子をオン操作した時刻との先後、前記自車両が前記車線を跨ぎ始めた時刻から所定時間以上過去の時刻における前記オン操作の有無、前記自車両が前記車線を跨ぎ始めた地点から所定距離以上手前の地点における前記オン操作の有無、及び前記自車両が前記車線を跨ぎ終えた時刻と前記方向指示器操作子をオフ操作した時刻との先後、の少なくとも何れかを判定し、この判定の結果に基づいて定めた態様で前記マンマシンインターフェースを作動させる方向指示器操作評価装置(例えば、後述の方向指示器操作評価装置8)と、を備えることが好ましい。
【0010】
(4)この場合、前記運転支援システムは、前記自車両のステアリングハンドルの操舵操作履歴、前記方向指示器操作子のスイッチ操作履歴、及び前記方向指示器の作動履歴の少なくとも何れかを記録する履歴記録装置(例えば、後述の履歴記録装置5)と、前記自車両の右左折動作が終了した後、前記外界認識装置による認識結果、前記操舵操作履歴、前記スイッチ操作履歴、及び前記作動履歴の少なくとも何れかに基づいて、前記右左折動作の実行時における前記方向指示器の作動の有無、前記右左折動作の開始時刻と前記方向指示器操作子をオン操作した時刻との先後、前記右左折動作の開始時刻から所定時間以上過去の時刻における前記オン操作の有無、及び前記右左折動作を開始した地点から所定距離以上手前の地点における前記オン操作の有無の少なくとも何れかを判定し、この判定の結果に基づいて定めた態様で前記マンマシンインターフェースを作動させる方向指示器操作評価装置(例えば、後述の方向指示器操作評価装置8)と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
(1)本発明において、リスク判定装置は、外界認識装置による周囲交通参加者及び交通環境の少なくとも何れかに対する認識結果に基づいて、自車両の車幅方向への移動に伴うリスクの有無を判定する。また報知制御装置は、リスク判定装置によって車幅方向への移動に対しリスクが有ると判定されている場合、アクチュエータを操作することによって方向指示器操作子に対する操作反力を大きくするか又は振動を発生させる。従って本発明によれば、例えば運転者が車幅方向への移動に伴うリスクの存在を認識しないまま方向指示器操作子を指で操作すると、方向指示器操作子の操作反力が大きくなるか又は振動が発生するので、運転者は車幅方向への移動に伴うリスクの存在を認識することができる。また本発明では、方向指示器操作子の操作反力を大きくするか又は振動を発生させることにより、運転者に対し車幅方向への移動が拒まれているかのような違和感を覚えさせることができるので、リスクを伴う車幅方向への移動を未然に防ぐことができる。このように本発明では、運転者は方向指示器操作子を操作している時にリスクの存在に関する通知を受けることができるので、運転者に対し方向指示器操作子の操作を習慣付けることもでき、ひいては持続可能な輸送システムの発展に寄与することもできる。また本発明では、方向指示器操作子にアクチュエータを設けるだけでリスクの存在を運転者に報知できるので、運転席に多数の振動体を設ける場合よりもコストを低減することができる。
【0012】
(2)本発明では、接触センサによって物体の接触が検出された場合、リスク判定装置による判定結果に基づいて定めた態様でマンマシンインターフェースを作動させる。このように本発明では、運転者は方向指示器操作子を触っている時に車幅方向への移動に伴うリスクの存在に関する通知を、マンマシンインターフェースを介して受けることができるので、運転者に対し方向指示器操作子の操作を習慣付けることができ、ひいては持続可能な輸送システムの発展に寄与することもできる。
【0013】
(3)本発明において、方向指示器操作評価装置は、自車両の車線変更動作が終了した後、車線変更動作の実行時における方向指示器の作動の有無、自車両が車線を跨ぎ始めた時刻と方向指示器操作子をオン操作した時刻との先後、自車両が車線を跨ぎ始めた時刻から所定時間以上過去の時刻におけるオン操作の有無、自車両が車線を跨ぎ始めた地点から所定距離以上手前の地点におけるオン操作の有無、及び自車両が車線を跨ぎ終えた時刻と方向指示器操作子をオフ操作した時刻との先後の少なくとも何れかを判定し、この判定の結果に基づいて定めた態様でマンマシンインターフェースを作動させる。これにより、運転者に対し車線変更を行う際における方向指示器操作子の適切なタイミングの下での操作を習慣付けることができるので、持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【0014】
(4)本発明において、方向指示器操作評価装置は、自車両の右左折動作が終了した後、右左折動作の実行時における方向指示器の作動の有無、右左折動作の開始時刻と方向指示器操作子をオン操作した時刻との先後、右左折動作の開始時刻から所定時間以上過去の時刻におけるオン操作の有無、及び右左折動作を開始した地点から所定距離以上手前の地点におけるオン操作の有無の少なくとも何れかを判定し、この判定の結果に基づいて定めた態様でマンマシンインターフェースを作動させる。これにより、運転者に対し右左折を行う際における方向指示器操作子の適切なタイミングの下での操作を習慣付けることができるので、持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る運転支援システム及びこの運転支援システムが搭載された車両の構成を模式的に示す図である。
【
図2】報知制御装置におけるリスク報知処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【
図3】方向指示器操作評価装置における車線変更時評価処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【
図4】方向指示器操作評価装置における右左折時評価処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る運転支援システム1について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る運転支援システム1及びこの運転支援システム1が搭載された自車両V(以下、単に「車両V」とも言う)の構成を模式的に示す図である。なお以下では、車両Vは、運転者が着座する運転席が、進行方向に沿って視て車幅方向右側に設けられた所謂右ハンドルの四輪車両である場合について説明するが、本発明はこれに限らない。車両は、運転席が進行方向に沿って視て車幅方向左側に設けられた所謂左ハンドルの四輪車両であってもよい。
【0018】
運転支援システム1は、車両Vの運転者がこれから行おうとする車幅方向への移動(例えば、車線変更や右左折等)に伴うリスクの存在を運転者に報知するとともに、運転者に対し適切な方向指示器操作子の操作を習慣付けることにより、運転者による安全な運転を支援するためのものである。なお以下では、運転支援システム1を
図1に示すような四輪自動車である車両Vに搭載した場合について説明するが、本発明はこれに限らない。本発明は、方向指示器及び方向指示器操作子を備えるものであれば、トラックや鞍乗型車両等の四輪自動車以外の車両に搭載してもよい。また本実施形態において交通参加者とは、車両や歩行者等、各々の意思に基づいて移動する者をいう。
【0019】
運転支援システム1は、車両Vの周囲(進行方向前方、進行方向後方、及び両側方を含む)に存在する交通参加者(以下、「周囲交通参加者」とも言う)及び車両Vの周囲の交通環境を認識する車載外界認識装置2と、運転者が車両Vを車幅方向へ移動するために操作するステアリング装置3と、運転者が認知可能な態様で作動するマンマシンインターフェース4(以下、「HMI(Human Machine Interface)」との略称で表記する場合もある)と、運転者によるステアリング装置3の操作履歴や方向指示器の作動履歴等記録する履歴記録装置5と、車載外界認識装置2による認識結果に基づいて車幅方向への移動に伴うリスクの有無を判定するリスク判定装置6と、リスク判定装置6による判定結果に基づいて生成した情報を運転者に報知する報知制御装置7と、運転者による方向指示器の使用を評価する方向指示器操作評価装置8と、を備える。
【0020】
車載外界認識装置2は、カメラユニット21a,21bと、複数(例えば、5つ)のライダユニット22a,22b,22c,22d,22eと、複数(例えば、5つ)のレーダユニット23a,23b,23c,23d,23eと、周囲認識装置24と、ナビゲーション装置25と、を備える。
【0021】
前方カメラユニット21a及び後方カメラユニット21bは、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラを備え、車両Vの進行方向前方及び進行方向後方を撮影する。これらカメラユニット21a,21bは、それぞれ進行方向前方側及び進行方向後方側へ向けた状態で、例えば車両Vのルーフの車室内に取り付けられている。これらカメラユニット21a,21bによって撮影された画像は、周囲認識装置24へ送信される。
【0022】
ライダユニット22a~22eは、それぞれパルス状に発光するレーザー照射に対する対象からの散乱光を測定することにより、車両Vの周囲の対象を検出するライダ(Light Detection and Ranging(LIDAR))である。第1ライダユニット22aは、車両Vの前部のうち進行方向に沿って視て右隅側に設けられ、車両Vの周囲の前方やや右側の対象を検出する。第2ライダユニット22bは、車両Vの前部のうち進行方向に沿って視て左隅側に設けられ、車両Vの周囲の前方やや左側の対象を検出する。第3ライダユニット22cは、車両Vの後部のうち車幅方向中央に設けられ、車両Vの周囲の後方の対象を検出する。第4ライダユニット22dは、車両Vの右側部のうち後部側に設けられ、車両Vの周囲の右側方やや後方側の対象を検出する。第5ライダユニット22eは、車両Vの左側部のうち後部側に設けられ、車両Vの周囲の左側方やや後方側の対象を検出する。これらライダユニット22a~22eの検出信号は、周囲認識装置24へ送信される。
【0023】
レーダユニット23a~23eは、それぞれミリ波照射に対する対象物からの反射波を測定することにより、車両Vの周囲の対象を検出するミリ波レーダである。第1レーダユニット23aは、車両Vの前部のうち進行方向に沿って視て右隅側に設けられ、車両Vの周囲の前方やや右側の対象を検出する。第2レーダユニット23bは、車両Vの前部のうち進行方向に沿って視て左隅側に設けられ、車両2の周囲の前方やや左側の対象を検出する。第3レーダユニット23cは、車両Vの前部のうち車幅方向中央に設けられ、車両Vの周囲の前方の対象を検出する。第4レーダユニット23dは、車両Vの後部のうち進行方向に沿って視て右隅側に設けられ、車両Vの周囲の後方やや右側の対象を検出する。第5レーダユニット23eは、車両Vの後部のうち進行方向に沿って視て左隅側に設けられ、車両Vの周囲の後方やや左側の対象を検出する。これらレーダユニット23a~23eの検出信号は、周囲認識装置24へ送信される。
【0024】
周囲認識装置24は、これらカメラユニット21a,21b、ライダユニット22a~22e、及びレーダユニット23a~23eによる検出結果に対してセンサフュージョン処理を行うことにより、周囲交通参加者や交通参加者以外の物標(すなわち、障害物、道路、車線、及び標識等)等を認識するとともに、各周囲交通参加者の種別及び移動状態(すなわち、位置、移動方向、移動速度、及び移動加速度等)に関する情報や物標の位置、種別、及び内容等に関する情報を含む周囲認識情報を取得する。周囲認識装置24は、取得した周囲認識情報をリスク判定装置6や方向指示器操作評価装置8等へ送信する。
【0025】
ナビゲーション装置25は、例えば、GNSS衛星から受信した信号に基づいて現在の車両Vの位置を特定するGNSS受信機や、地図情報を記憶する記憶装置等を備える。ナビゲーション装置25は、これらGNSS受信機や記憶装置等を利用して取得した車両Vの現在位置や周囲の道路の種別等に関する交通環境情報をリスク判定装置6へ送信する。
【0026】
ステアリング装置3は、ステアリングハンドル31と、ステアリングセンサ32と、方向指示器操作子33と、を備える。
【0027】
ステアリングハンドル31は、例えば円環状であり、車両Vを車幅方向へ移動させるための運転者による操舵操作(すなわち、ステアリングシャフトを中心としたステアリングハンドル31の回転操作)を受け付ける。ステアリングセンサ32は、ステアリングハンドル31の操舵角を検出し、検出値に応じた操舵角検出信号を履歴記録装置5や方向指示器操作評価装置8等へ送信する。
【0028】
方向指示器操作子33は、運転者による方向指示器作動操作を受け付ける操作子であり、例えばステアリングハンドル31の近傍に設けられている。方向指示器操作子33は、例えばレバー状であり、中立位置から時計周り側又は反時計周り側へ傾倒自在である。方向指示器操作子33には、運転者による方向指示器操作子33の方向指示器作動操作を検出し、車両Vの車体の前後右隅に設けられた右側方向指示器38R,39R及び車体の前後左隅に設けられた左側方向指示器38L,38Rをオン/オフさせる方向指示器スイッチ(図示せず)が設けられている。
【0029】
方向指示器スイッチは、運転者による方向指示器操作子33に対する右側方向指示器オン操作(すなわち、運転者が方向指示器操作子33を中立位置から時計周り側へ傾倒させる操作)を検出した場合、右側方向指示器38R,39Rを点灯させる。方向指示器スイッチは、以上のようにして右側方向指示器オン操作を検出した後、運転者による方向指示器操作子33に対する右側方向指示器オフ操作(すなわち、運転者が方向指示器操作子33を中立位置に戻す操作)を検出した場合、又は操舵角が所定角を跨いで右折側から中立側へ変化した場合、右側方向指示器38R,39Rを消灯させる。
【0030】
方向指示器スイッチは、運転者による方向指示器操作子33に対する左側方向指示器オン操作(すなわち、運転者が方向指示器操作子33を中立位置から反時計周り側へ傾倒させる操作)を検出した場合、左側方向指示器38L,39Lを点灯させる。方向指示器スイッチは、以上のようにして左側方向指示器オン操作を検出した後、運転者による方向指示器操作子33に対する左側方向指示器オフ操作(すなわち、運転者が方向指示器操作子33を中立位置に戻す操作)を検出した場合、又は操舵角が所定角を跨いで左折側から中立側へ変化した場合、左側方向指示器38L,39Lを消灯させる。
【0031】
また方向指示器スイッチは、方向指示器38R,38L,39R,39Lの作動状態に関する方向指示器作動状態情報や、運転者による方向指示器操作子33に対するオン/オフ操作の検出タイミングを示す方向指示器操作検出情報等を履歴記録装置5へ送信する。
【0032】
また方向指示器操作子33には、その表面への物体の接触を検出する接触センサ35と、方向指示器操作子33に対し操作反力を発生するアクチュエータ36と、が設けられている。
【0033】
接触センサ35は、方向指示器操作子33の表面に物体(例えば、運転者の指)が接触すると、接触検出信号を報知制御装置7へ送信する。アクチュエータ36は、報知制御装置7からの指令に応じて作動し、方向指示器操作子33への右側方向指示器作動操作又は左側方向指示器作動操作に対する操作反力を発生する。従ってアクチュエータ36が右側方向指示器作動操作に対する操作反力を発生すると、運転者は、この操作反力に抗して方向指示器操作子33を時計周り側へ傾倒させる必要がある。またアクチュエータ36が左側方向指示器操作に対する操作反力を発生すると、運転者は、この操作反力に抗して方向指示器操作子33を反時計周り側へ傾倒させる必要がある。
【0034】
なお本実施形態では、アクチュエータ36は、方向指示器操作子33へ操作反力を発生する場合について説明するが、本発明はこれに限らない。アクチュエータ36は、報知制御装置7からの指令に応じて、方向指示器操作子に振動を発生してもよい。
【0035】
履歴記録装置5は、ステアリングセンサ32から逐次送信される操舵角検出信号、並びに方向指示器スイッチから逐次送信される方向指示器作動状態情報及び方向指示器操作検出情報に基づいて、運転者によるステアリングハンドル31の操作履歴である操舵操作履歴と、運転者による方向指示器操作子33の操作履歴であるスイッチ操作履歴と、方向指示器38R,38L,39L,39Rの方向指示器作動履歴と、を記録する。この履歴記録装置5に記録された操舵操作履歴、スイッチ操作履歴、及び方向指示器作動履歴は、方向指示器操作評価装置8によって適宜読み込まれる。
【0036】
リスク判定装置6は、周囲認識装置24から逐次送信される周囲認識情報やナビゲーション装置25から逐次送信される交通環境情報等に基づいて、以下で説明する手順に従って車両Vの車幅方向への移動に伴うリスクの有無を判定する。
【0037】
初めにリスク判定装置6は、周囲認識情報及び交通環境情報等に基づいて、予め定められた複数の車幅方向移動動作パターンの中から、車両Vが現在から所定時間先の将来までの間に実行し得る動作パターンを予想動作パターンとして決定する。ここでリスク判定装置6には、車両Vが現在の走行レーンから進行方向右側に隣接する走行レーンへ移動する右側車線変更動作パターン、車両Vが現在の走行レーンから進行方向左側に隣接する走行レーンへ移動する左側車線変更動作パターン、車両Vが進行方向前方に存在する右折地点において右折する右折動作パターン、及び車両Vが進行方向前方に存在する左折地点において左折する左折動作パターン等、複数の動作パターンが定められている。
【0038】
すなわちリスク判定装置6は、現在、車両Vが複数の走行レーンが定められた道路を走行中でありかつ車両Vの進行方向右側に走行レーンが存在する場合、右側車線変更動作パターンを予想動作パターンとして決定する。リスク判定装置6は、現在、車両Vが複数の走行レーンが定められた道路を走行中でありかつ車両Vの進行方向左側に走行レーンが存在する場合、左側車線変更動作パターンを予想動作パターンとして決定する。リスク判定装置6は、現在、車両Vの進行方向前方に交差点が存在する場合、及び車両Vの進行方向右前方に車両Vが進入可能な幅の道路やスペースが存在する場合、右折動作パターンを予想動作パターンとして決定する。またリスク判定装置6は、現在、車両Vの進行方向前方に交差点が存在する場合、及び車両Vの進行方向左前方に車両Vが進入可能な幅の道路やスペースが存在する場合、左折動作パターンを予想動作パターンとして決定する。
【0039】
次にリスク判定装置6は、周囲認識情報及び交通環境情報等に基づいて、以上の手順によって決定した予想動作パターン毎に周囲交通参加者との接触リスクや法令の違反リスク等の有無を判定する。
【0040】
より具体的には、リスク判定装置6は、例えば車両Vの右側方に周囲交通参加者が存在する場合、車両Vの右後方に車両Vより高い速度で移動する周囲交通参加者が存在する場合、右側車線変更動作パターンには周囲交通参加者に対する接触リスクが存在すると判定する。リスク判定装置6は、例えば車両Vの左側方に周囲交通参加者が存在する場合、車両Vの左後方に車両Vより高い速度で移動する周囲交通参加者が存在する場合、左側車線変更動作パターンには周囲交通参加者に対する接触リスクが存在すると判定する。またリスク判定装置6は、例えば車両Vの現在の走行レーンが法令によって車線変更禁止であると定められている場合、右側車線変更動作パターン及び左側車線変更動作パターンには違反リスクが存在すると判定する。
【0041】
リスク判定装置6は、例えば車両Vの右側方に存在する道路やスペース(すなわち、右折後に進入する道路やスペース)は、法令によって現在の車両Vの位置からの進入が禁止されている道路やスペースである場合、右折動作パターンには違反リスクが存在すると判定する。またリスク判定装置6は、例えば車両Vの左側方に存在する道路やスペース(すなわち、左折後に進入する道路やスペース)は、法令によって現在の車両Vの位置からの進入が禁止されている道路やスペースである場合、左折動作パターンには違反リスクが存在すると判定する。
【0042】
リスク判定装置6は、以上の手順によって予想動作パターン毎にリスクの有無を判定した後、この判定結果に関するリスク情報を報知制御装置7へ送信する。ここでリスク判定装置6から報知制御装置7へ送信されるリスク情報には、決定した予想動作パターンに関する情報、予想動作パターン毎の接触リスク及び違反リスクの有無に関する情報、接触リスクの内容に関する情報(すなわち、車両Vと接触する可能性のある周囲交通参加者の存在の有無及び位置等)、並びに違反リスクの内容に関する情報(すなわち、違反するおそれがある法令の内容)等が含まれる。
【0043】
HMI4は、運転者が聴覚によって認知可能な態様で作動する聴覚報知装置、運転者が視覚によって認知可能な態様で作動する視覚報知装置、及び運転者が触覚によって認知可能な態様で作動する触覚報知装置等によって構成される。
【0044】
聴覚報知装置は、運転者が着座する運転席のヘッドレストに設けられたヘッドレストスピーカや運転席の近傍に設けられたメインスピーカ等を備える。従って聴覚報知装置は、具体的な音声メッセージや効果音を発することにより、車両Vと接触する可能性のある周囲交通参加者の存在や位置に関する情報や、及び違反するおそれがある法令の内容に関する情報等を運転者に報知することができる。
【0045】
視覚報知装置は、運転者が視認可能な位置に設けられたモニタやフロントガラスに映像を表示させるヘッドアップディスプレイ等を備える。従って視覚報知装置は、画像を表示することにより、車両Vと接触する可能性のある周囲交通参加者の存在や位置に関する情報や、及び違反するおそれがある法令の内容に関する情報等を運転者に報知することができる。
【0046】
触覚報知装置は、運転者が装着するシートベルトの張力を変化させるシートベルト制御装置や運転席に設けられた振動子を振動させる座席振動装置等を備える。従って触覚報知装置は、シートベルトの張力を変化させたり振動子を振動させたりすることにより、何らかのリスクの存在を運転者に報知することができる。
【0047】
報知制御装置7は、接触センサ35から送信される接触検出信号及びリスク判定装置6から送信されるリスク情報に基づいて定めたタイミングでアクチュエータ36やHMI4を作動させることにより、運転者に対し車両Vの車幅方向への移動に伴うリスクの存在を報知する。
【0048】
図2は、報知制御装置7におけるリスク報知処理の具体的な手順を示すフローチャートである。報知制御装置7は、車両Vの走行中、
図2に示すリスク報知処理を所定の制御周期の下で繰り返し実行する。
【0049】
始めにステップST1では、報知制御装置7は、接触センサ35によって物体の接触が検出されているか否か、すなわち運転者の手が方向指示器操作子33に接触しているか否かを判定する。報知制御装置7は、ステップST1の判定結果がNOである場合、すなわち運転者の手が方向指示器操作子33に接触していない場合、アクチュエータ36を用いたリスク報知(後述のステップST6参照)やHMI4を用いたリスク報知(後述のステップST3参照)を行うことなく
図2に示すリスク報知処理を終了する。従って運転者は、少なくとも方向指示器操作子33に手を触れていることを条件として以下で説明するリスク報知による利益を受けることができる。よって
図2に示すリスク報知処理によれば、運転者に対し方向指示器操作子33の操作を習慣付けることができる。また報知制御装置7は、ステップST1の判定結果がYESである場合、ステップST2に移る。
【0050】
ステップST2では、報知制御装置7は、リスク判定装置6からリスク情報を取得し、ステップST3に移る。ステップST3では、報知制御装置7は、運転者の手が方向指示器操作子33に接触していると判定されたことに応じて(ステップST1参照)、ステップST2で取得したリスク情報に基づいて定めた態様でHMI4を作動させ、ステップST4に移る。より具体的には、報知制御装置7は、HMI4の聴覚報知装置、視覚報知装置、及び触覚報知装置を適宜組み合わせて作動させることによって、車両Vと接触する可能性のある周囲交通参加者の存在や位置に関する情報や、違反するおそれがある法令の内容に関する情報等を運転者に報知する。
【0051】
ステップST4では、報知制御装置7は、ステップST2で取得したリスク情報に基づいて、車両Vは現在から所定時間先の将来までの間に車幅方向への移動を行う可能性があるか否かを判定する。換言すれば報知制御装置7は、予め定められた複数の車幅方向移動動作パターンの中から少なくとも1つの動作パターンが予想動作パターンとして決定されたか否かを判定する。報知制御装置7は、ステップST4の判定結果がYESである場合、ステップST5に移り、ステップST4の判定結果がNOである場合、アクチュエータ36を用いたリスク報知(後述のステップST6参照)を行うことなく
図2に示すリスク報知処理を終了する。
【0052】
ステップST5では、報知制御装置7は、ステップST2で取得したリスク情報に基づいて、接触リスク又は違法リスクが有ると判定された予想動作パターンは存在するか否かを判定する。報知制御装置7は、ステップST5の判定結果がYESである場合、ステップST6に移り、ステップST5の判定結果がNOである場合、アクチュエータ36を用いたリスク報知(後述のステップST6参照)を行うことなく
図2に示すリスク報知処理を終了する。
【0053】
ステップST6では、報知制御装置7は、以上のようにリスクが有ると判定された予想動作パターンが存在しかつ運転者の手が方向指示器操作子33に接触していると判定されたことに応じて(ステップST1~ST5参照)、アクチュエータ36を操作することにより、方向指示器操作子33に対し操作反力を発生させた後、
図2に示すリスク報知処理を終了する。従って運転者は、方向指示器操作子33に対する操作反力の増大を介して接触リスクや違反リスクの存在を認識することができる。よって本実施形態に係る運転支援システム1によれば、運転者が車幅方向への移動を開始する前の予備的な行動として方向指示器操作子33を傾倒させる前、すなわち方向指示器38R,38L,39R,39Lが点灯し始める前に、運転者に対しリスクを伴う車幅方向への移動を思いとどまらせることができる。
【0054】
図1に戻り、方向指示器操作評価装置8は、車載外界認識装置2による認識結果、履歴記録装置5に記録された操舵操作履歴及びスイッチ操作履歴に基づいて、車線変更時又は右左折時における運転者による方向指示器38R,38L,39R,39L及び方向指示器操作子33(以下、「方向指示器等」とも言う)の使用態様が適切であるかどうかを判定するとともに、この判定の結果に応じた態様でHMI4を作動させることにより、運転者に対し方向指示器等の適切な使用を促す。
【0055】
図3は、方向指示器操作評価装置8における車線変更時評価処理の具体的な手順を示すフローチャートである。方向指示器操作評価装置8は、車両Vの走行中、
図3に示す車線変更時評価処理を所定の制御周期の下で繰り返し実行する。
【0056】
始めにステップST11では、方向指示器操作評価装置8は、周囲認識装置24から送信される周囲認識情報及びナビゲーション装置25から送信される交通環境情報に基づいて、車両Vの車線変更動作が終了した直後であるか否かを判定する。方向指示器操作評価装置8は、ステップST11の判定結果がYESである場合、ステップST12に移り、NOである場合、
図3に示す車線変更時評価処理を終了する。
【0057】
ステップST12では、方向指示器操作評価装置8は、履歴記録装置5に記録された操舵操作履歴、スイッチ操作履歴、及び方向指示器作動履歴を参照することにより、車線変更動作の実行時に方向指示器38R,38L,39R,39Lが作動していたか否かを判定する。ここで車線変更動作が実行されていた時間は、例えば操舵操作履歴を参照することによって特定することができる。また方向指示器38R,38L,39R,39Lが作動していた時間は、例えばスイッチ操作履歴又は方向指示器作動履歴を参照することによって特定することができる。よってステップST12では、方向指示器操作評価装置8は、これら特定した時間を比較することによって、車線変更動作の実行時における方向指示器38R,38L,39R,39Lの作動の有無を判定することができる。方向指示器操作評価装置8は、ステップST12の判定結果がYESである場合、ステップST13に移り、NOである場合、ステップST16に移る。
【0058】
ステップST16では、方向指示器操作評価装置8は、第1評価処理を実行し、
図3に示す車線変更時評価処理を終了する。ここで車両Vの周囲交通参加者は、車両Vの運転者による車線変更の意思を方向指示器38R,38L,39R,39Lによって認識する。このため運転者は車線変更動作の実行時は方向指示器38R,38L,39R,39Lを作動させなければならない。そこでステップST16における第1評価処理では、方向指示器操作評価装置8は、車線変更動作の実行時に方向指示器38R,38L,39R,39Lの作動が無かったと判定されたことに応じて、例えばHMI4の聴覚報知装置を作動させることによって、警告音を発音させたり、車線変更動作の実行時には方向指示器38R,38L,39R,39Lを作動させなければならない旨の音声メッセージを発音させたりする。
【0059】
ステップST13では、方向指示器操作評価装置8は、車両Vが車線を跨ぎ始めた時刻は、方向指示器操作子33がオン操作された時刻よりも後であるか否かを判定する。ここで車両Vが車線を跨ぎ始めた時刻は、周囲認識情報を参照することによって特定することができる。また方向指示器操作子33がオン操作された時刻は、スイッチ操作履歴を参照することによって特定することができる。よってステップST13では、方向指示器操作評価装置8は、これら特定した時刻を比較することによって、車両Vが車線を跨ぎ始めた時刻と方向指示器操作子33がオン操作された時刻との先後を判定することができる。方向指示器操作評価装置8は、ステップST13の判定結果がYESである場合、ステップST14に移り、NOである場合、ステップST17に移る。
【0060】
ステップST17では、方向指示器操作評価装置8は、第2評価処理を実行し、
図3に示す車線変更時評価処理を終了する。ここで車両Vの周囲交通参加者による車両Vの車線変更動作の認識遅れを防ぐためには、運転者は車両Vが車線を跨ぎ始める前に方向指示器38R,38L,39R,39Lを作動させなければならない。そこでステップST17における第2評価処理では、方向指示器操作評価装置8は、車線変更動作の実行時に方向指示器38R,38L,39R,39Lの作動が有ったものの、方向指示器操作子33がオン操作された時刻は車両Vが車線を跨ぎ始めた時刻よりも後であったと判定されたことに応じて、例えばHMI4の聴覚報知装置を作動させることによって、第1評価処理よりも弱いレベルの警告音を発音させたり、方向指示器38R,38L,39R,39Lが作動する前に車両Vが車線を跨ぎ始めた旨の音声メッセージを発音させたりする。
【0061】
ステップST14では、方向指示器操作評価装置8は、方向指示器操作子33がオン操作された時刻に所定時間A(例えば、3秒)を加えた時刻は、車両Vが車線を跨ぎ始めた時刻よりも先であるか否かを判定する。すなわちこのステップST14の判定は、車両Vが車線を跨ぎ始めた時刻から所定時間A以上過去の時刻における方向指示器操作子33のオン操作の有無を判定することと等価である。方向指示器操作評価装置8は、ステップST14の判定結果がYESである場合、ステップST15に移り、NOである場合、ステップST18に移る。
【0062】
なお本実施形態では、方向指示器操作評価装置8は、ステップST14において時刻を基準として適切な方向指示器等の操作の有無を判定したが、本発明はこれに限らない。すなわち方向指示器操作評価装置8は、ステップST14では、車両Vが車線を跨ぎ始めた地点から所定距離B(例えば、30m)以上手前の地点における方向指示器操作子33のオン操作の有無を判定してもよい。すなわち方向指示器操作評価装置8は、車両Vが車線を跨ぎ始めた地点から所定距離B以上手前の地点において方向指示器操作子33のオン操作が有った場合、ステップST15に移り、車両Vが車線を跨ぎ始めた地点から所定距離B以上手前の地点において方向指示器操作子33のオン操作が無かった場合、ステップST18に移る。
【0063】
ステップST18では、方向指示器操作評価装置8は、第3評価処理を実行し、
図3に示す車線変更時評価処理を終了する。ここで交通を円滑にするためには、運転者は車両Vが車線変更動作を開始する前に余裕を持って方向指示器38R,38L,39R,39Lを作動させる必要がある。換言すれば、運転者が車線変更動作を開始する前に余裕を持って方向指示器38R,38L,39R,39Lを作動させることにより、運転者は円滑に車線変更動作を行うことができる。そこでステップST18における第3評価処理では、方向指示器操作評価装置8は、車両Vが車線を跨ぎ始める前に方向指示器操作子33のオン操作があったものの、方向指示器操作子33のオン操作から車線を跨ぎ始めるまでの間の時間や距離に余裕が無かったと判定されたことに応じて、例えばHMI4の聴覚報知装置を作動させることによって、方向指示器38R,38L,39R,39Lをもう少し早く作動させれば円滑に車線変更を行うことができる旨の音声メッセージを発音させる。
【0064】
ステップST15では、方向指示器操作評価装置8は、車両Vが車線を跨ぎ終えた時刻は、方向指示器操作子33がオフ操作された時刻よりも後であるか否かを判定する。ここで車両Vが車線を跨ぎ終えた時刻は、周囲認識情報を参照することによって特定することができる。またまた方向指示器操作子33がオフ操作された時刻は、スイッチ操作履歴を参照することによって特定することができる。よってステップST15では、方向指示器操作評価装置8は、これら特定した時刻を比較することによって、車両Vが車線を跨ぎ終えた時刻と方向指示器操作子33がオフ操作された時刻との先後を判定することができる。方向指示器操作評価装置8は、ステップST15の判定結果がNOである場合、ステップST20に移り、YESである場合、ステップST19に移る。
【0065】
ステップST19では、方向指示器操作評価装置8は、第4評価処理を実行し、
図3に示す車線変更時評価処理を終了する。このステップST19における第4評価処理では、方向指示器操作評価装置8は、適切なタイミングで方向指示器操作子33のオン操作が有ったものの、車両Vが車線を跨ぎ終える前、すなわち車線変更動作が完了する前に方向指示器操作子33のオフ操作が有ったと判定されたことに応じて、例えばHMI4の聴覚報知装置を作動させることによって、車線変更が完了するまで方向指示器38R,38L,39R,39Lを作動し続ければ理想的である旨の音声メッセージを発音させる。
【0066】
ステップST20では、方向指示器操作評価装置8は、第5評価処理を実行し、
図3に示す車線変更時評価処理を終了する。このステップST20における第5評価処理では、方向指示器操作評価装置8は、車線変更動作の前後にわたり理想的なタイミングで方向指示器操作子33の操作が有ったと判定されたことに応じて、例えばHMI4の聴覚報知装置を作動させることによって、運転者にポジティブな印象を与えるメロディを発音させたり、方向指示器38R,38L,39R,39Lの作動タイミングは理想的である旨の音声メッセージを発音させたりする。
【0067】
図4は、方向指示器操作評価装置8における右左折時評価処理の具体的な手順を示すフローチャートである。方向指示器操作評価装置8は、車両Vの走行中、
図4に示す右左折時評価処理を所定の制御周期の下で繰り返し実行する。
【0068】
始めにステップST31では、方向指示器操作評価装置8は、周囲認識装置24から送信される周囲認識情報及びナビゲーション装置25から送信される交通環境情報に基づいて、車両Vの右左折動作が終了した直後であるか否かを判定する。方向指示器操作評価装置8は、ステップST31の判定結果がYESである場合、ステップST32に移り、NOである場合、
図4に示す右左折時評価処理を終了する。
【0069】
ステップST32では、方向指示器操作評価装置8は、履歴記録装置5に記録された操舵操作履歴、スイッチ操作履歴、及び方向指示器作動履歴を参照することにより、右左折動作の実行時に方向指示器38R,38L,39R,39Lが作動していたか否かを判定する。ここで右左折動作が実行されていた時間は、例えば操舵操作履歴を参照することによって特定することができる。また方向指示器38R,38L,39R,39Lが作動していた時間は、例えばスイッチ操作履歴又は方向指示器作動履歴を参照することによって特定することができる。よってステップST32では、方向指示器操作評価装置8は、これら特定した時間を比較することによって、右左折動作の実行時における方向指示器38R,38L,39R,39Lの作動の有無を判定することができる。方向指示器操作評価装置8は、ステップST32の判定結果がYESである場合、ステップST33に移り、NOである場合、ステップST36に移る。
【0070】
ステップST36では、方向指示器操作評価装置8は、第6評価処理を実行し、
図4に示す右左折時評価処理を終了する。ここで車両Vの周囲交通参加者は、車両Vの運転者による右左折の意思を方向指示器38R,38L,39R,39Lによって認識する。このため運転者は右左折動作の実行時は方向指示器38R,38L,39R,39Lを作動させなければならない。そこでステップST36における第6評価処理では、方向指示器操作評価装置8は、右左折動作の実行時に方向指示器38R,38L,39R,39Lの作動が無かったと判定されたことに応じて、例えばHMI4の聴覚報知装置を作動させることによって、警告音を発音させたり、右左折動作の実行時には方向指示器38R,38L,39R,39Lを作動させなければならない旨の音声メッセージを発音させたりする。
【0071】
ステップST33では、方向指示器操作評価装置8は、右左折動作の開始時刻は、方向指示器操作子33がオン操作された時刻よりも後であるか否かを判定する。ここで右左折動作の開始時刻とは、所定の右左折地点の近傍において操舵角が中立位置から変化し始めた時刻に相当し、周囲認識情報及び操舵操作履歴を参照することによって特定することができる。また方向指示器操作子33がオン操作された時刻は、スイッチ操作履歴を参照することによって特定することができる。よってステップST33では、方向指示器操作評価装置8は、これら特定した時刻を比較することによって、右左折動作の開始時刻と方向指示器操作子33がオン操作された時刻との先後を判定することができる。方向指示器操作評価装置8は、ステップST33の判定結果がYESである場合、ステップST34に移り、NOである場合、ステップST37に移る。
【0072】
ステップST37では、方向指示器操作評価装置8は、第7評価処理を実行し、
図4に示す右左折時評価処理を終了する。ここで車両Vの周囲交通参加者による車両Vの右左折動作の認識遅れを防ぐためには、運転者は右左折動作を開始する前に方向指示器38R,38L,39R,39Lを作動させなければならない。そこでステップST37における第7評価処理では、方向指示器操作評価装置8は、右左折動作の実行時に方向指示器38R,38L,39R,39Lの作動が有ったものの、方向指示器操作子33がオン操作された時刻は車両Vが右左折動作の開始時刻よりも後であったと判定されたことに応じて、例えばHMI4の聴覚報知装置を作動させることによって、第6評価処理よりも弱いレベルの警告音を発音させたり、方向指示器38R,38L,39R,39Lが作動する前に右左折が開始された旨の音声メッセージを発音させたりする。
【0073】
ステップST34では、方向指示器操作評価装置8は、方向指示器操作子33がオン操作された時刻に所定時間C(例えば、3秒)を加えた時刻は、右左折動作の開始時刻よりも先であるか否かを判定する。すなわちこのステップST34の判定は、右左折動作の開始時刻から所定時間C以上過去の時刻における方向指示器操作子33のオン操作の有無を判定することと等価である。方向指示器操作評価装置8は、ステップST34の判定結果がYESである場合、ステップST39に移り、NOである場合、ステップST38に移る。
【0074】
なお本実施形態では、方向指示器操作評価装置8は、ステップST34において時刻を基準として適切な方向指示器等の操作の有無を判定したが、本発明はこれに限らない。すなわち方向指示器操作評価装置8は、ステップST34では、右左折動作を開始した地点から所定距離D(例えば、30m)以上手前の地点における方向指示器操作子33のオン操作の有無を判定してもよい。すなわち方向指示器操作評価装置8は、右左折動作を開始した地点から所定距離D以上手前の地点において方向指示器操作子33のオン操作が有った場合、ステップST39に移り、右左折動作を開始した地点から所定距離D以上手前の地点において方向指示器操作子33のオン操作が無かった場合、ステップST38に移る。
【0075】
ステップST38では、方向指示器操作評価装置8は、第8評価処理を実行し、
図4に示す右左折時評価処理を終了する。ここで交通を円滑にするためには、運転者は車両Vが右左折動作を開始する前に余裕を持って方向指示器38R,38L,39R,39Lを作動させる必要がある。換言すれば、運転者が右左折動作を開始する前に余裕を持って方向指示器38R,38L,39R,39Lを作動させることにより、運転者は円滑に右左折動作を行うことができる。そこでステップST38における第8評価処理では、方向指示器操作評価装置8は、右左折動作を開始する前に方向指示器操作子33のオン操作があったものの、方向指示器操作子33のオン操作から右左折動作を開始するまでの間の時間や距離に余裕が無かったと判定されたことに応じて、例えばHMI4の聴覚報知装置を作動させることによって、方向指示器38R,38L,39R,39Lをもう少し早く作動させれば円滑に右左折を行うことができる旨の音声メッセージを発音させる。
【0076】
ステップST39では、方向指示器操作評価装置8は、第9評価処理を実行し、
図4に示す右左折時評価処理を終了する。このステップST39における第9評価処理では、方向指示器操作評価装置8は、右左折動作の前後にわたり理想的なタイミングで方向指示器操作子33の操作が有ったと判定されたことに応じて、例えばHMI4の聴覚報知装置を作動させることによって、運転者にポジティブな印象を与えるメロディを発音させたり、方向指示器38R,38L,39R,39Lの作動タイミングは理想的である旨の音声メッセージを発音させたりする。
【0077】
本実施形態に係る運転支援システム1によれば、以下の効果を奏する。
(1)リスク判定装置6は、車載外界認識装置2による周囲交通参加者及び交通環境の少なくとも何れかに対する認識結果に基づいて、車両Vの車幅方向への移動に伴うリスクの有無を判定する。また報知制御装置7は、リスク判定装置6によって車幅方向への移動に対しリスクが有ると判定されている場合、アクチュエータ36を操作することによって方向指示器操作子33に対する操作反力を大きくするか又は振動を発生させる。従って運転支援システム1によれば、例えば運転者が車幅方向への移動に伴うリスクの存在を認識しないまま方向指示器操作子33を指で操作すると、方向指示器操作子33の操作反力が大きくなるか又は振動が発生するので、運転者は車幅方向への移動に伴うリスクの存在を認識することができる。また運転支援システム1では、方向指示器操作子33の操作反力を大きくするか又は振動を発生させることにより、運転者に対し車幅方向への移動が拒まれているかのような違和感を覚えさせることができるので、リスクを伴う車幅方向への移動を未然に防ぐことができる。このように運転支援システム1では、運転者は方向指示器操作子33を操作している時にリスクの存在に関する通知を受けることができるので、運転者に対し方向指示器操作子33の操作を習慣付けることもでき、ひいては持続可能な輸送システムの発展に寄与することもできる。また運転支援システム1では、方向指示器操作子33にアクチュエータ36を設けるだけでリスクの存在を運転者に報知できるので、運転席に多数の振動体を設ける場合よりもコストを低減することができる。
【0078】
(2)運転支援システム1では、接触センサ35によって物体の接触が検出された場合、リスク判定装置6による判定結果に基づいて定めた態様でHMI4を作動させる。このように運転支援システム1では、運転者は方向指示器操作子33を触っている時に車幅方向への移動に伴うリスクの存在に関する通知を、HMI4を介して受けることができるので、運転者に対し方向指示器操作子33の操作を習慣付けることができ、ひいては持続可能な輸送システムの発展に寄与することもできる。
【0079】
(3)方向指示器操作評価装置8は、車両Vの車線変更動作が終了した後、車線変更動作の実行時における方向指示器38R,38L,39R,39Lの作動の有無、車両Vが車線を跨ぎ始めた時刻と方向指示器操作子33をオン操作した時刻との先後、車両Vが車線を跨ぎ始めた時刻から所定時間A以上過去の時刻におけるオン操作の有無、車両Vが車線を跨ぎ始めた地点から所定距離B以上手前の地点におけるオン操作の有無、及び車両Vが車線を跨ぎ終えた時刻と方向指示器操作子33をオフ操作した時刻との先後の少なくとも何れかを判定し、この判定の結果に基づいて定めた態様でHMI4を作動させる。これにより、運転者に対し車線変更を行う際における方向指示器操作子33の適切なタイミングの下での操作を習慣付けることができるので、持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【0080】
(4)方向指示器操作評価装置8は、車両Vの右左折動作が終了した後、右左折動作の実行時における方向指示器38R,38L,39R,39Lの作動の有無、右左折動作の開始時刻と方向指示器操作子33をオン操作した時刻との先後、右左折動作の開始時刻から所定時間C以上過去の時刻におけるオン操作の有無、及び右左折動作を開始した地点から所定距離D以上手前の地点におけるオン操作の有無の少なくとも何れかを判定し、この判定の結果に基づいて定めた態様でHMI4を作動させる。これにより、運転者に対し右左折を行う際における方向指示器操作子33の適切なタイミングの下での操作を習慣付けることができるので、持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【0081】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
【0082】
例えば上記実施形態では、方向指示器操作評価装置8は、ステップST12~ST15及びステップST32~ST34の判定結果に応じた態様でHMI4を作動させることにより、運転者に対し方向指示器等の適切な使用を促したが、本発明はこれに限らない。方向指示器操作評価装置8は、ステップST12~ST15及びステップST32~ST34の判定結果に応じたスコアを運転者に対して付与し、このスコアを運転者に報知することによって運転者に対し方向指示器等の適切な使用を促してもよい。この場合、方向指示器操作評価装置8は、第1評価処理(又は第6評価処理)を実行する場合、第2評価処理(又は第7評価処理)を実行する場合、第3評価処理(又は第8評価処理)を実行する場合、第4評価処理を実行する場合、及び第5評価処理(又は第9評価処理)を実行する場合の順で高評価となるように運転者にスコアを付与することが好ましい。
【0083】
例えば上記実施形態では、車載外界認識装置2は、カメラユニット21a~21bやライダユニット22a~22e等、車両Vと共に移動する車載センサを利用して取得した情報に基づいて車両Vの周囲交通参加者や交通環境を認識したが、本発明はこれに限らない。車載外界認識装置2は、車両Vと周囲交通参加者との間の車車間通信や、車両Vと交通管理サーバとの間の無線による通信等を介して取得した情報に基づいて車両Vの周囲交通参加者や交通環境を認識してもよい。
【符号の説明】
【0084】
V…車両
1…運転支援システム
2…車載外界認識装置(外界認識装置)
3…ステアリング装置
31…ステアリングハンドル
32…ステアリングセンサ
33…方向指示器操作子
35…接触センサ
36…アクチュエータ
38R,38L,39R,39L…方向指示器
4…HMI(マンマシンインターフェース)
5…運転履歴記録装置
6…リスク判定装置
7…報知制御装置
8…方向指示器操作評価装置