(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094853
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】飛行体を用いた救援物資供給システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240703BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240703BHJP
B64U 20/87 20230101ALI20240703BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20240703BHJP
B64U 101/57 20230101ALN20240703BHJP
【FI】
G06Q50/30
B64U10/13
B64U20/87
G08G5/00 A
B64U101:57
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211709
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 功朗
(72)【発明者】
【氏名】秋田 実
(72)【発明者】
【氏名】小▲柳▼ 嵐士
(72)【発明者】
【氏名】前田 朋樹
(72)【発明者】
【氏名】大見 正宣
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅敦
(72)【発明者】
【氏名】清水 啓行
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB08
5H181CC04
5H181FF14
5H181FF22
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】救援物資を必要とする場所へ迅速に供給することができる飛行体を用いた救援物資供給システムを提供すること。
【解決手段】本開示の一態様は、運行管理部60は、情報収集ドローン10Aを識別コードICの表示場所へ順番に飛行させて、各表示場所でカメラ71に識別コードICを撮影させ、その撮影された識別コードICに含まれる情報を集約し、前記情報に基づき特定された救援物資RSを搭載する物資運搬ドローン10Bを複数の物資運搬ドローン10Bから選定し、その選定した物資運搬ドローン10Bを、特定された避難所SHへ飛行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上にて表示された識別コードを撮影するカメラを備えた情報収集飛行体と、
異なる救援物資を搭載した複数の物資運搬飛行体と、
前記情報収集飛行体及び複数の前記物資運搬飛行体との間で各種情報を送受信して各飛行体の運行を管理する運行管理部と、を有し、
前記識別コードは、その情報として位置情報とその場所で必要な前記救援物資の情報とを含み、予め決められた複数の異なる場所にて表示されるものであり、
前記運行管理部は、
前記情報収集飛行体を前記識別コードの表示場所へ順番に飛行させて、各表示場所で前記カメラに前記識別コードを撮影させ、その撮影された前記識別コードに含まれる前記情報を集約し、
前記情報に基づき特定された前記救援物資を搭載する前記物資運搬飛行体を複数の前記物資運搬飛行体から選定し、その選定した前記物資運搬飛行体を、前記情報に基づき特定された場所へ飛行させること、
を特徴する飛行体を用いた救援物資供給システム。
【請求項2】
請求項1の飛行体を用いた救援物資供給システムにおいて、
前記情報収集飛行体は、前記救援物資を搭載しており、
前記運行管理部は、特定された前記救援物資が前記情報収集飛行体に搭載される前記救援物資に該当する場合には、前記情報収集飛行体を、特定された場所へ飛行させること、
を特徴とする飛行体を用いた救援物資供給システム。
【請求項3】
請求項1または2の飛行体を用いた救援物資供給システムにおいて、
前記識別コードの情報は、更に、複数の異なる場所毎の被害度の情報を含み、
前記被害度は、少なくとも前記救援物資が供給されるまでの時間として許容できる時間に基づき定められるものであって、
前記運行管理部は、前記被害度に基づき、選定した前記物資運搬飛行体を特定された場所へ飛行させること、
を特徴とする飛行体を用いた救援物資供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、救援物資が必要な場所(例えば、災害地の避難所など)へ飛行体により救援物資を供給する飛行体を用いた救援物資供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘリコプタに設けられたデジタルカメラで避難所に設置された識別コードを撮影し、撮影した識別コードの情報を所定のアドレス宛に電子メールで送信するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自然災害の発生時、被災地においては、複数の避難所毎に、必要な救援物資を迅速に供給しなければならない状況が生じうる。特に、被害度の高い地域の避難所では、緊急度の高い救援物資(例えば、医療品など)を必要とし、救援物資が供給されるまでに許容される時間が限られているので、救援物資を迅速に供給する必要がある。
【0005】
ここで、特許文献1においては、避難所に設置された識別コードの情報を電子メールで送信した後、どのような対応がなされるのかについて何ら開示がなく、救援物資を必要とする場所へ救援物資を迅速に供給する手法については具体的に開示されていない。
【0006】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、救援物資を必要とする場所へ迅速に供給することができる飛行体を用いた救援物資供給システムを提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、飛行体を用いた救援物資供給システムにおいて、地上にて表示された識別コードを撮影するカメラを備えた情報収集飛行体と、異なる救援物資を搭載した複数の物資運搬飛行体と、前記情報収集飛行体及び複数の前記物資運搬飛行体との間で各種情報を送受信して各飛行体の運行を管理する運行管理部と、を有し、前記識別コードは、その情報として位置情報とその場所で必要な前記救援物資の情報とを含み、予め決められた複数の異なる場所にて表示されるものであり、前記運行管理部は、前記情報収集飛行体を前記識別コードの表示場所へ順番に飛行させて、各表示場所で前記カメラに前記識別コードを撮影させ、その撮影された前記識別コードに含まれる前記情報を集約し、前記情報に基づき特定された前記救援物資を搭載する前記物資運搬飛行体を複数の前記物資運搬飛行体から選定し、その選定した前記物資運搬飛行体を、特定された場所へ飛行させること、を特徴とする。
【0008】
この態様によれば、情報収集飛行体により識別コードの情報を迅速に収集し、運行管理部により識別コードの情報を集約し、識別コードの情報に基づき特定された場所へ物資運搬飛行体により救援物資を迅速に運搬できる。そのため、救援物資を必要とする場所へ迅速に供給することができる。
【0009】
上記の態様においては、前記情報収集飛行体は、前記救援物資を搭載しており、前記運行管理部は、特定された前記救援物資が前記情報収集飛行体に搭載される前記救援物資に該当する場合には、前記情報収集飛行体を、特定された場所へ飛行させること、が好ましい。
【0010】
この態様によれば、救援物資が必要な場所へ情報収集飛行体が救援物資を直接供給するので、救援物資を必要とする場所にさらに迅速に供給することができる。そのため、例えば緊急性を要する救援物資を必要とする場所にさらに迅速に供給することができる。
【0011】
上記の態様においては、前記識別コードの情報は、更に、複数の異なる場所毎の被害度の情報を含み、前記被害度は、少なくとも前記救援物資が供給されるまでの時間として許容できる時間に基づき定められるものであって、前記運行管理部は、前記被害度に基づき、選定した前記物資運搬飛行体を特定された場所へ飛行させること、が好ましい。
【0012】
この態様によれば、複数の異なる場所毎に、その被害度に応じて救援物資を供給する優先度を定め、その優先度に応じて適切な順序で救援物資を供給することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の飛行体を用いた救援物資供給システムによれば、救援物資を必要とする場所へ迅速に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態の救援物資供給システムの構成図である。
【
図3】情報収集ドローンの構成を示すブロック図である。
【
図5】物資運搬ドローンの構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態の救援物資供給システムが救援物資を供給する際に行う処理の内容を示すフローチャート図である。
【
図7】本実施形態の救援物資供給システムにより救援物資が供給される様子を示すイメージ図である。
【
図8】情報収集ドローン救援物資を搭載している例において、救援物資供給システムにより救援物資が供給される様子を示すイメージ図である。
【
図9】識別コードに含まれる情報に被害度の情報を含む例において、救援物資供給システムにより救援物資が供給される様子を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の飛行体を用いた救援物資供給システムの実施形態の一例であるドローンを用いた救援物資供給システム1について説明する。
【0016】
(救援物資供給システムの構成)
本実施形態の救援物資供給システム1は、
図1に示すように、情報収集ドローン10Aと、物資運搬ドローン10Bと、運行管理部60を有する。なお、情報収集ドローン10Aは本開示の「情報収集飛行体」の一例であり、物資運搬ドローン10Bは本開示の「物資運搬飛行体」の一例である。
【0017】
情報収集ドローン10Aと物資運搬ドローン10B(以下、適宜、「ドローン10A,B」という。)は、無人航空機などの飛行体である。このドローン10A,Bは、
図2と
図4に示すように、各種装置を備える機体本体部11と、機体本体部11から放射状に配置されるプロペラ部12と、エンジン発電ユニット13を有する。
【0018】
プロペラ部12には、
図3と
図5に示すように、プロペラ21とモータ22とが設けられている。プロペラ21は、
図2と
図4に示すように、複数設けられている。そして、この複数のプロペラ21を同時に回転させることにより、ドローン10A,Bが飛行する。モータ22は、各々のプロペラ21に設けられ、プロペラ21を回転させる。
【0019】
モータ22は、機体本体部11に設けられるESC(Electric Speed Controller)36(インバータ(不図示))とパワーコントロールユニット35とを介して、機体本体部11に設けられるバッテリ31やエンジン発電ユニット13に備わるジェネレータ42に電気的に接続されている。これにより、ジェネレータ42にて発電された電力やバッテリ31から放電される電力が、パワーコントロールユニット35とESC36とを介して、モータ22に供給される。
【0020】
そして、機体本体部11には、
図3と
図5に示すように、バッテリ31と、燃料タンク32と、制御部33と、FC(すなわち、フライトコントローラ)34と、パワーコントロールユニット35と、ESC36と、通信部37などが設けられている。
【0021】
バッテリ31は、電力を充放電可能な充放電部(二次電池、蓄電池)である。このバッテリ31は、パワーコントロールユニット35を介して、ジェネレータ42と電気的に接続されており、ジェネレータ42で発電された電力を充電する。また、バッテリ31は、パワーコントロールユニット35とESC36とを介して、モータ22と電気的に接続されており、モータ22に供給する電力を放電する。また、バッテリ31において、バッテリ31の電流・電圧やバッテリ31の温度やSOC(State Of Charge、充電率)を検出するセンサが設けられており、該センサはそれらの情報に関する信号を制御部33へ送る。
【0022】
燃料タンク32は、エンジン発電ユニット13に備わるエンジン41を駆動させるために使用する燃料(例えば、ガソリン)を貯留している。また、燃料タンク32に設けられた不図示のレベルセンサは、制御部33へ燃料の残量の情報に関する信号を送る。
【0023】
制御部33は、小型のコンピュータとして構成されており、ドローン10A,Bの全体を制御する。例えば、制御部33は、エンジン41の駆動を制御して、ジェネレータ42での発電を制御する。本実施形態では、情報収集ドローン10Aの制御部33は、通信部37を介して、カメラ71で撮影した識別コードICの情報に関する信号を、運行管理部60へ送信する。また、物資運搬ドローン10Bの制御部33は、運行管理部60から送信される物資運搬ドローン10Bの運行に関する信号を、通信部37を介して、受信する。
【0024】
FC34は、ドローン10A,Bの飛行の制御を行う装置である。このFC34は、制御部33とESC36へ推力指示の信号を送る一方で、制御部33からSOCの情報に関する信号を受け取る。また、FC34は、後述するコントローラ51から操縦者の操作指示の信号を受け取り、後述する各種センサ52から検出結果の情報に関する信号を受け取る。
【0025】
パワーコントロールユニット35は、モータ22へ供給される電力を制御する装置(電力制御部)である。このパワーコントロールユニット35は、ジェネレータ42で発電された電力を受給したり、バッテリ31との間で電力の供給及び受給を行ったり、ESC36へ電力を供給したりする。また、パワーコントロールユニット35は、制御部33から充放電切替指示の信号を受け取る。
【0026】
ESC36は、モータ22の回転数を制御する装置である。このESC36は、パワーコントロールユニット35から供給される電力を、駆動電力として、モータ22に供給する。また、ESC36は、FC34から推力指示の信号を受け取る。
【0027】
通信部37は、情報収集ドローン10Aと、物資運搬ドローン10Bと、運行管理部60との間で通信を行うための装置である。
【0028】
エンジン発電ユニット13は、エンジン41とジェネレータ42を備えている。エンジン41は、ジェネレータ42の動力源であって、例えば、小型のディーゼルエンジンやレシプロエンジンなどである。すなわち、エンジン41は、モータ22又はバッテリ31へ供給する電力をジェネレータ42で発電する場合に駆動される。そのため、エンジン41は、制御部33から、発電電力指示の信号を受け取る。
【0029】
また、ドローン10A,Bは、
図3と
図5に示すように、コントローラ51と、各種センサ52を有する。コントローラ51は、ドローン10A,Bの操縦用の端末であるとともに、カメラ71からの情報及びサーバ(不図示)との通信により状況を把握するための端末である。また、コントローラ51は、非常時には、ドローン10A,Bのマニュアル操作用のコントローラとして機能する。このコントローラ51は、例えば、ジョイスティックにより操作することができるものである。また、各種センサ52は、高度や姿勢や緯度や経度や加速度や障害物などを検出するセンサである。
【0030】
そして、本実施形態におけるドローン10A,Bにおいては、モータ22とバッテリ31とエンジン41によりシリーズハイブリッドシステムが構成されている。すなわち、ドローン10A,Bはハイブリッドドローンであって、このドローン10A,Bにおいては、エンジン41が発電のみに使用され、モータ22がプロペラ21の駆動に使用され、さらに電力を回収するためのバッテリ31を有するシステムが構成されている。このようにして、ドローン10A,Bは、エンジン41の駆動によりジェネレータ42にて発電し、発電した電力でモータ22を駆動してプロペラ21を駆動することにより、飛行する。また、ドローン10A,Bは、エンジン41の駆動によりジェネレータ42にて発電した際の余剰電力を、バッテリ31に一旦蓄え、必要に応じてモータ22の駆動に用いる。
【0031】
このような構成のドローン10A,Bは、モータ22に電力を供給し、複数のプロペラ21を回転させることにより飛行する。そして、プロペラ21の回転数を制御し、プロペラ21の回転によって得られる揚力をドローン10A,B自体の重力とバランスさせることで、ドローン10A,Bの飛行を制御することができる。具体的には、プロペラ21により発生させる揚力を大きくしてドローン10A,Bの上昇飛行を実現させることができ、プロペラ21により発生させる揚力を小さくしてドローン10A,Bの下降飛行を実現させることができる。また、各々のプロペラ21の回転数を制御して、複数のプロペラ21の回転によって発生する揚力に不均衡を生じさせることにより、ドローン10A,Bの前進・後進・左右移動飛行を実現することができる。そして、相対回転するプロペラ21の回転数に差を設けることにより、旋回(回転)飛行を実現することができる。
【0032】
本実施形態では、情報収集ドローン10Aは、
図2に示すように、カメラ71を備えている。このカメラ71は、複数の異なる場所(例えば、被災地の複数の異なる避難所SH)の地上にて表示される識別コードICを撮影するための撮影装置である。ここで、識別コードICは、その情報として、避難所SHの位置情報と、その避難所SHで必要な救援物資RSの情報とを含んでいる。そして、識別コードICは、予め決められた複数の異なる避難所SHにて表示されている。なお、識別コードは、例えばQRコード(登録商標)である。
【0033】
物資運搬ドローン10Bは、
図4に示すように、救援物資RSを搭載するための物資収容ケース81を備えている。本実施形態では、
図1に示すように、物資運搬ドローン10Bは、複数設けられ、それぞれ、物資収容ケース81にて異なる救援物資RSを搭載している。
【0034】
運行管理部60は、ドローン10A,Bの通信部37との間で各種情報を送受信して、ドローン10A,Bの運行(すなわち、飛行)を管理する装置である。
【0035】
(救援物資供給システムの作用)
次に、本実施形態の救援物資供給システム1の作用として、救援物資供給システム1を用いた救援物資RSの供給方法について説明する。
【0036】
本実施形態では、
図6に示すように、運行管理部60は、まず、災害発生時に情報収集指示を受信する(ステップS1)。
【0037】
次に、運行管理部60は、情報収集ドローン10Aを、複数の異なる避難所SH毎の識別コードICの表示場所へ順番に飛行させて、各識別コードICの表示場所にてカメラ71で識別コードICを撮影する(ステップS2)。
【0038】
例えば、
図7に示す例では、情報収集ドローン10Aは、第1避難所SH1と第2避難所SH2と第3避難所SH3のそれぞれの識別コードICの表示場所へ順番に飛行して、各識別コードICの表示場所にてカメラ71で識別コードICを撮影する。
【0039】
次に、
図6に示すように、運行管理部60は、各避難所SHにてカメラ71で撮影された識別コードICの撮影データを情報収集ドローン10Aから受信する(ステップS3)。そして、このようにして、運行管理部60は、識別コードICに含まれる情報を集約する。
【0040】
例えば、
図7に示す例では、運行管理部60は、第1避難所SH1と第2避難所SH2と第3避難所SH3にてカメラ71で撮影された識別コードICの撮影データを情報収集ドローン10Aから受信する。
【0041】
次に、
図6に示すように、運行管理部60により、撮影し集約された識別コードICに含まれる情報に基づき、救援物資RSが必要な避難所SHと、その避難所SHで必要な救援物資RSと、を特定する(ステップS4)。
【0042】
例えば、
図7に示す例では、運行管理部60は、受信した識別コードICの撮影データから、識別コードICに含まれる情報として、救援物資RSが必要な避難所SHの情報と、その避難所SHで必要な救援物資RSの情報とを抽出し、救援物資RSが必要な避難所SHとして第1避難所SH1と第2避難所SH2を特定し、第1避難所SH1で必要な救援物資RSが医薬品であり、第2避難所SH2で必要な救援物資RSが食料品であると特定する。
【0043】
次に、
図6に示すように、運行管理部60は、複数の物資運搬ドローン10Bの中から、ステップS4で特定された救援物資RSを搭載する物資運搬ドローン10Bを選定する(ステップS5)。このとき、ステップS4で特定された救援物資RSを搭載する物資運搬ドローン10Bが複数ある場合には、特定された救援物資RSが必要な避難所SHに最も近い位置に存在する物資運搬ドローン10Bを選定する。
【0044】
例えば、
図7に示す例では、運行管理部60は、第1物資運搬ドローン10B1と第2物資運搬ドローン10B2と第3物資運搬ドローン10B3の中から、救援物資RSとして医薬品を搭載する第1物資運搬ドローン10B1と、救援物資RSとして食料品を搭載する第2物資運搬ドローン10B2を選定する。
【0045】
次に、
図6に示すように、運行管理部60は、選定した物資運搬ドローン10Bを、ステップS4で特定された避難所SHへ飛行させる(ステップS6)。そして、これにより、ステップS4で特定された避難所SHに、必要な救援物資RSを供給できる。
【0046】
例えば、
図7に示す例では、運行管理部60は、救援物資RSとして医薬品を搭載する第1物資運搬ドローン10B1を、必要な救援物資RSが医薬品である第1避難所SH1へ飛行させる。また、運行管理部60は、救援物資RSとして食料品を搭載する第2物資運搬ドローン10B2を、必要な救援物資RSが食料品である第2避難所SH2へ飛行させる。そして、これにより、第1避難所SH1に必要な救援物資RSである医薬品を供給でき、第2避難所SH2に必要な救援物資RSである食料品を供給できる。
【0047】
また、情報収集ドローン10Aが、救援物資RSを搭載していてもよい。そして、運行管理部60は、ステップS4で特定された救援物資RSが情報収集ドローン10Aに搭載される救援物資RSに該当する場合には、情報収集ドローン10Aを、ステップS4で特定された避難所SHへ飛行させてもよい。
【0048】
例えば、
図8に示す例では、情報収集ドローン10Aが、救援物資RSとして医薬品を搭載しているとする。すると、第1避難所SH1で必要な救援物資RSが、医薬品であるので、情報収集ドローン10Aに搭載される救援物資RSに該当する。そこで、運行管理部60は、情報収集ドローン10Aを、第1避難所SH1へ飛行させる。そして、これにより、第1避難所SH1へ必要な救援物資RSである医薬品をさらに迅速に供給できる。
【0049】
また、識別コードICに含まれる情報は、更に、複数の異なる避難所SH毎の被害度の情報を含んでいてもよい。この被害度は、少なくとも、救援物資RSを供給する許容時間(すなわち、負傷者の状態などを考慮して人命救助の観点から避難所SHに救援物資RSが供給されるまでの時間として許容できる残された時間)に基づき定められる。そして、運行管理部60は、被害度に基づき、選定した物資運搬ドローン10Bを特定された避難所SHへ飛行させてもよい。
【0050】
例えば、
図9に示す例では、災害による被害度について大きい方から小さい方へ向かって第2避難所SH2、第3避難所SH3、第1避難所SH1である場合(すなわち、第1避難所SH1が「小」、第2避難所SH2が「大」、第3避難所SH3が「中」である場合)を示す。この場合、運行管理部60は、1番目に優先度が1位の第2避難所SH2へ第1物資運搬ドローン10B1を飛行させ、次に、2番目に優先度が2位の第3避難所SH3へ第2物資運搬ドローン10B2を飛行させ、次に、3番目に優先度が3位の第1避難所SH1へ第3物資運搬ドローン10B3を飛行させる。これにより、避難所SHの被害度に応じて救援物資RS(例えば、医薬品などの緊急性を要する物資)を迅速に供給できる。
【0051】
(本実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、運行管理部60は、情報収集ドローン10Aを識別コードICの表示場所へ順番に飛行させる。そして、運行管理部60は、各表示場所でカメラ71に識別コードICを撮影させ、その撮影された識別コードICに含まれる情報に基づき、救援物資RSが必要な避難所SHと、その避難所SHで必要な救援物資RSと、を特定する。そして、運行管理部60は、特定された救援物資RSを搭載する物資運搬ドローン10Bを、複数の物資運搬ドローン10Bの中から選定し、その選定した物資運搬ドローン10Bを特定された避難所SHへ飛行させる。
【0052】
このようにして、情報収集ドローン10Aにより複数の異なる避難所SHにて表示される識別コードICの情報を迅速に収集し、運行管理部60により集約された識別コードICの情報をもとに救援物資RSが必要な避難所SHとその避難所SHで必要な救援物資RSを迅速に特定し、特定された避難所SHへ物資運搬ドローン10Bにより救援物資RSを迅速に運搬できる。そのため、救援物資RSを必要とする避難所SHへ迅速に供給することができる。したがって、一刻を争う止血剤や消毒薬などの医薬品の救援物資RSを必要とする避難所SHへ迅速に供給することができる。
【0053】
また、1つのドローンに搭載できる救援物資RSの量には限界があるが、本実施形態では、ドローンとして、情報収集ドローン10Aの他に、救援物資RSを運搬するための専用の物資運搬ドローン10Bとを有し、かつ、物資運搬ドローン10Bを複数有することから、多くの救援物資RSを避難所SHへ迅速に供給できる。
【0054】
また、このように本実施形態の救援物資供給システム1は、識別コードICを読むための専用の情報収集ドローン10Aを先行で飛行させて、情報収集ドローン10Aから得られた情報に基づいて複数の物資運搬ドローン10Bで各避難所SHへ救援物資RSを供給する簡単な構成である。そのため、簡単なドローンの運行管理(すなわち、簡単なシステム構成)で確実かつ迅速に救援物資RSを必要な避難所SHに届けることができる。
【0055】
また、情報収集ドローン10Aは、救援物資RSを搭載していてもよい。そして、運行管理部60は、特定された救援物資RSが情報収集ドローン10Aに搭載される救援物資RSに該当する場合には、情報収集ドローン10Aを、特定された避難所SHへ飛行させてもよい。
【0056】
これにより、救援物資RSが必要な避難所SHへ情報収集ドローン10Aが救援物資RSを直接供給するので、救援物資RSを必要とする避難所SHにより迅速に供給することができる。そのため、例えば医薬品などの緊急性を要する救援物資RSを必要とする避難所SHにさらに迅速に供給することができる。
【0057】
また、識別コードICの情報は、更に、複数の異なる避難所SH毎の被害度の情報を含んでいてもよい。なお、この被害度は、少なくとも救援物資RSを供給する許容時間に基づき定められるものとする。そして、運行管理部60は、被害度に基づき、選定した物資運搬ドローン10Bを特定された救援物資RSが必要な避難所SHへ飛行させてもよい。
【0058】
これにより、複数の異なる避難所SH毎に、その被害度に応じて救援物資RSを供給する優先度を定め、その優先度に応じて適切な順序で救援物資RSを供給することができる。
【0059】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【0060】
例えば、情報収集ドローン10Aは、複数設けられていてもよい。
【0061】
また、災害対策本部(不図示)が、運行管理部60にて集約された識別コードICに含まれる情報に基づき、救援物資RSが必要な場所(例えば、避難所SH)とその場所で必要な救援物資RSとを特定してもよい。そして、運行管理部60が、災害対策本部にて特定された救援物資RSを搭載する物資運搬ドローン10Bを複数の物資運搬ドローン10Bから選定し、その選定した物資運搬ドローン10Bを、災害対策本部にて特定された場所へ飛行させてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 救援物資供給システム
10A 情報収集ドローン
10B 物資運搬ドローン
10B1 第1物資運搬ドローン
10B2 第2物資運搬ドローン
10B3 第3物資運搬ドローン
33 制御部
37 通信部
60 運行管理部
71 カメラ
81 物資収容ケース
SH 避難所
SH1 第1避難所
SH2 第2避難所
SH3 第3避難所
IC 識別コード
RS 救援物資