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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009486
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240116BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20240116BHJP
【FI】
B60K1/04 A
B60L53/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111046
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 和貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴川 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】松元 隆志
(72)【発明者】
【氏名】森田 晋二郎
(72)【発明者】
【氏名】今野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】西宮 歩
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 芳美
(72)【発明者】
【氏名】小林 皓祐
【テーマコード(参考)】
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D235AA02
3D235AA23
3D235BB05
3D235BB06
3D235BB44
3D235CC15
3D235CC42
3D235DD13
3D235DD19
3D235DD36
3D235EE04
3D235EE64
3D235FF06
3D235FF07
3D235FF32
3D235FF37
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH25
5H125AA01
5H125AB02
5H125AC13
5H125CD04
5H125FF06
(57)【要約】
【課題】車両に搭載される電気部品の保護を図る。
【解決手段】車両(10)は、着座部212と背もたれ部214とを有する座席(18)と、該車両の前後方向において座席の後方側に配置され、蓄電器100を着脱可能に保持する蓄電器保持部40と、蓄電器保持部40に保持された蓄電器100と該車両の車輪(15)を駆動する電動機16とを接続する電力伝達経路222上に設けられる電気接続箱220とを備える。電気接続箱220の少なくとも一部は背もたれ部214の前端と蓄電器保持部40の前端との間に配置される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
着座部と背もたれ部とを有する座席と、
該車両の前後方向において前記座席の後方側に配置され、蓄電器を着脱可能に保持する蓄電器保持部と、
前記蓄電器保持部に保持された前記蓄電器と該車両の車輪を駆動する電動機とを接続する電力伝達経路上に設けられる電気接続箱とを備え、
前記電気接続箱の少なくとも一部が前記背もたれ部の前端と前記蓄電器保持部の前端との間に配置される車両。
【請求項2】
前記背もたれ部の後面には凹部が形成され、前記電気接続箱の少なくとも一部が前記凹部に配置される請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記電気接続箱の全体が前記凹部に配置される請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記電気接続箱の少なくとも一部は、前記前後方向において前記背もたれ部の後端よりも前方側に配置される請求項1に記載の車両。
【請求項5】
前記前後方向において前記電気接続箱の後端は、前記背もたれ部の後端よりも前方側に配置される請求項4に記載の車両。
【請求項6】
該車両の後方視において、前記電気接続箱は少なくとも一部が前記蓄電器保持部に重なるように配置される請求項1~5のいずれか1項に記載の車両。
【請求項7】
前記後方視において、前記電気接続箱は全体が前記蓄電器保持部に重なるように配置される請求項6に記載の車両。
【請求項8】
前記背もたれ部は、乗員が寄り掛かることが可能な着座用位置と、前記着座用位置から前記着座部側に倒れた位置である前倒位置とを取り得るように、該車両の左右方向の回動軸の周りに回動可能に設けられる請求項1~7のいずれか1項に記載の車両。
【請求項9】
前記電力伝達経路には、前記電気接続箱と前記蓄電器保持部とを電気的に接続する第1電力線が設けられ、
前記電気接続箱は前記第1電力線が接続される第1接続部を有し、前記第1接続部が前記電気接続箱の前記回動軸に近い部位に配置される請求項8に記載の車両。
【請求項10】
前記電力伝達経路には、前記電気接続箱と前記電動機とを電気的に接続するための第2電力線が設けられ、
前記電気接続箱は前記第2電力線が接続される第2接続部を有し、前記第2接続部が前記電気接続箱の前記回動軸に近い部位に配置される請求項8又は9に記載の車両。
【請求項11】
前記背もたれ部は前記着座部に対して着脱可能に設けられる請求項8~10のいずれか1項に記載の車両。
【請求項12】
前記電気接続箱は前記着座部から離脱した状態の前記背もたれ部に対して固定可能に設けられる請求項11に記載の車両。
【請求項13】
前記電気接続箱は前記電気接続箱よりも大きな取付板に対して固定可能に設けられ、前記取付板が前記電気接続箱を前方側にした姿勢で前記座席の後面に固定される請求項1~12のいずれか1項に記載の車両。
【請求項14】
前記蓄電器保持部は複数の前記蓄電器を保持可能に構成され、複数の前記蓄電器は該車両の上下方向及び/又は左右方向に少なくとも2つ並んで前記蓄電器保持部に保持される請求項1~13のいずれか1項に記載の車両。
【請求項15】
前記蓄電器保持部は複数の前記蓄電器が前記前後方向に沿って着脱されるように構成される請求項14に記載の車両。
【請求項16】
前記蓄電器保持部は該車両の骨格部材の上方に配置される請求項1~15のいずれか1項に記載の車両。
【請求項17】
前記電気接続箱は、複数の正極電力線が接続される正極部と、複数の負極電力線が接続される負極部とを有する請求項1~16のいずれか1項に記載の車両。
【請求項18】
前記電気接続箱は前記電力伝達経路を遮断する遮断部を有する請求項1~17のいずれか1項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関し、より詳細には、蓄電器保持部に着脱可能に保持された蓄電器と車輪を駆動する電動機との間の電力伝達経路上に電気接続箱を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電池を出入可能に収容する電池収容装置を備えた車両が知られている(特許文献1)。特許文献1にはこのような車両として、車体に搭載された電動モータによって後輪を回転駆動される三輪電気自動車及び、車体に搭載された電動モータによって後輪を回転駆動される四輪電気自動車が開示されている。これらの車両では、車体の後部又は運転座席の下方に電池収容装置が設けられている。電池収容装置が車体の後部に設けられている場合、車体の後方から蓄電池の出し入れが行われる。電池収容装置が運転座席の下方に設けられている場合、車体の側方から蓄電池の出し入れが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/080344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の従来技術では、蓄電池及び電池収容装置の配置が開示されているものの、車輪を駆動する電動機やその他の電気部品の配置については何ら開示されていない。トランクルームのように密閉された空間を有する車両においては、電気部品をトランクルームに配置することで電気部品を飛び石や飛び跳ねた水から保護することができる。一方、トランクルームを有しない小型車両においては、電気部品が飛び石や飛び跳ねた水に晒される虞がある。このように従来技術においては、電気部品の保護が十分ではなく、特にスペースの余裕が小さい小型車両における電気部品の配置に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、車両に搭載される電気部品の保護を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、車両(10、310)であって、着座部(212)と背もたれ部(214)とを有する座席(18)と、該車両の前後方向において前記座席の後方側に配置され、蓄電器(100)を着脱可能に保持する蓄電器保持部(40)と、前記蓄電器保持部に保持された前記蓄電器と該車両の車輪(15、315)を駆動する電動機(16)とを接続する電力伝達経路(222)上に設けられる電気接続箱(220)とを備え、前記電気接続箱の少なくとも一部が前記背もたれ部の前端と前記蓄電器保持部の前端との間に配置される。
【0007】
この態様によれば、電気接続箱の少なくとも一部が座席の背もたれ部の前端とその後方側に配置される蓄電器保持部の前端との間に配置されることにより、電気接続箱が飛び石や飛び跳ねた水に対して保護されやすい。
【0008】
上記の態様において、前記背もたれ部の後面には凹部(228)が形成され、前記電気接続箱の少なくとも一部が前記凹部に配置されると良い。
【0009】
この態様によれば、電気接続箱の少なくとも一部が背もたれ部の後面よりも前方側に配置される。よって、電気接続箱が飛び石や飛び跳ねた水に対してより保護されやすい。また、電気接続箱の配置スペースを小さくすることができる。
【0010】
上記の態様において、前記電気接続箱の全体が前記凹部に配置されると良い。
【0011】
この態様によれば、電気接続箱の全体が飛び石や飛び跳ねた水に対して保護されやすい。また、背もたれ部の外部に電気接続箱の配置スペースが必要ない。
【0012】
上記の態様において、前記電気接続箱の少なくとも一部は、前記前後方向において前記背もたれ部の後端よりも前方側に配置されると良い。
【0013】
この態様によれば、電気接続箱は少なくとも一部が後方から背もたれ部の内部(凹部)に入り込むように配置される。よって、電気接続箱が飛び石や飛び跳ねた水に対してより保護されやすい。また、電気接続箱の配置スペースを小さくすることができる。
【0014】
上記の態様において、前記前後方向において前記電気接続箱の後端は、前記背もたれ部の後端よりも前方側に配置されると良い。
【0015】
この態様によれば、電気接続箱は全体が背もたれ部の内部に配置される。よって、電気接続箱の全体が飛び石や飛び跳ねた水に対して保護されやすい。また、背もたれ部の外部に電気接続箱の配置スペースが必要ない。
【0016】
上記の態様において、該車両の後方視において、前記電気接続箱は少なくとも一部が前記蓄電器保持部に重なるように配置されると良い。
【0017】
この態様によれば、電気接続箱の少なくとも一部が後方から視て蓄電器保持部に隠れる。よって、電気接続箱が後突に対して保護されやすい。
【0018】
上記の態様において、前記後方視において、前記電気接続箱は全体が前記蓄電器保持部に重なるように配置されると良い。
【0019】
この態様によれば、電気接続箱の全体が後方から視て蓄電器保持部に隠れる。よって、電気接続箱が後突に対してより保護されやすい。
【0020】
上記の態様において、前記背もたれ部は、乗員が寄り掛かることが可能な着座用位置と、前記着座用位置から前記着座部側に倒れた位置である前倒位置とを取り得るように、該車両の左右方向の回動軸(280X)の周りに回動可能に設けられると良い。
【0021】
この態様によれば、背もたれ部を前倒位置に回動させることにより、電気接続箱の少なくとも一部が配置された背もたれ部と蓄電器保持部との間の空間を拡大することができる。よって、電気接続箱へのアクセスが容易になり、メンテナンス性が向上する。
【0022】
上記の態様において、前記電力伝達経路には、前記電気接続箱と前記蓄電器保持部とを電気的に接続する第1電力線(223)が設けられ、前記電気接続箱は前記第1電力線が接続される第1接続部(238)を有し、前記第1接続部が前記電気接続箱の前記回動軸に近い部位に配置されると良い。
【0023】
電気接続箱が座席の背もたれ部に取り付けられている場合、背もたれ部を回動させると背もたれ部と一緒に電気接続箱が移動する。この態様によれば、そのような場合に第1電力線が接続される第1接続部の変位が小さく済む。よって、第1接続部の負荷が軽減される。
【0024】
上記の態様において、前記電力伝達経路には、前記電気接続箱と前記電動機とを電気的に接続するための第2電力線(224)が設けられ、前記電気接続箱は前記第2電力線が接続される第2接続部(239)を有し、前記第2接続部が前記電気接続箱の前記回動軸に近い部位に配置されると良い。
【0025】
電気接続箱が座席の背もたれ部に取り付けられている場合、背もたれ部を回動させると背もたれ部と一緒に電気接続箱が移動する。この態様によれば、そのような場合に第2電力線が接続される第2接続部の変位が小さく済む。よって、第2接続部の負荷が軽減される。
【0026】
上記の態様において、前記背もたれ部は前記着座部に対して着脱可能に設けられると良い。
【0027】
この態様によれば、背もたれ部を着座部から離脱することにより、電気接続箱へのアクセスが容易になる。よって、電気接続箱のメンテナンス性が向上する。
【0028】
上記の態様において、前記電気接続箱は前記着座部から離脱した状態の前記背もたれ部に対して固定可能に設けられると良い。
【0029】
この態様によれば、電気接続箱は、背もたれ部を着座部から離脱したときに背もたれ部と共に着座部から離脱される。よって、電気接続箱のメンテナンス性がより向上する。
【0030】
上記の態様において、前記電気接続箱は前記電気接続箱よりも大きな取付板(225)に対して固定可能に設けられ、前記取付板が前記電気接続箱を前方側にした姿勢で前記座席の後面に固定されると良い。
【0031】
この態様によれば、電気接続箱が取付板により後方から覆われることで保護される。
【0032】
上記の態様において、前記蓄電器保持部は複数の前記蓄電器を保持可能に構成され、複数の前記蓄電器は該車両の上下方向及び/又は左右方向に少なくとも2つ並んで前記蓄電器保持部に保持されると良い。
【0033】
この態様によれば、電気接続箱の延在方向に少なくとも2つの蓄電器保持部が並ぶため、後突に対して保護されやすい。
【0034】
上記の態様において、前記蓄電器保持部は複数の前記蓄電器が前記前後方向に沿って着脱されるように構成されると良い。
【0035】
この態様によれば、電気接続箱が蓄電器保持部によって後方から保護される状態で、蓄電器を前後方向に沿って着脱させることができる。
【0036】
上記の態様において、前記蓄電器保持部は該車両の骨格部材(20)の上方に配置されると良い。
【0037】
この態様によれば、電気接続箱が下方からの飛び石や跳ね水に対して骨格部材により保護される。
【0038】
上記の態様において、前記電気接続箱は、複数の正極電力線(234)が接続される正極部(254)と、複数の負極電力線(236)が接続される負極部(256)とを有すると良い。
【0039】
この態様によれば、電気接続箱によって正極部及び負極部が保護される。
【0040】
上記の態様において、前記電気接続箱は前記電力伝達経路を遮断する遮断部(258)を有すると良い。
【0041】
この態様によれば、電気接続箱によって遮断部が保護される。
【発明の効果】
【0042】
以上の態様によれば、車両に搭載される電気部品の保護を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】実施形態に係る車両の斜視図
図2】蓄電器保持部の斜視図
図3】動力装置の取付構造の側面図
図4】動力装置の取付構造の平面図
図5】動力装置の取付構造の後方から視た斜視図
図6】動力装置の取付構造の前方から視た斜視図
図7】覆蓋部材を取り外した状態の取付構造の前方から視た斜視図
図8】車両後部の側面図
図9】背もたれ部の分解断面図
図10】電気自動車の電気系統図
図11】電気接続箱の概略平面図
図12】蓄電器の斜視図
図13】底面側から視た蓄電器の斜視図
図14】下部筐体の底部の斜視図
図15】底面側から視た下部筐体の底部透視斜視図
図16】蓄電器保持部の底部の斜視図(図8中のXVI矢視図)
図17】(A)本発明、(B)比較例を示す、作用効果の説明図
図18】車両後方から視た蓄電器保持部の正面図
図19】他の実施形態による(A)通常位置、(B)後傾位置の座席を示す、作用効果の説明図
図20】他の実施形態による前倒位置の後部座席の斜視図
図21】後方から視た他の実施形態による車両の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。
【0045】
図1は、実施形態に係る車両の斜視図である。図1に示されているように、電気自動車10(車両)は、車体12と、中央1つの前輪14及び左右の後輪15とを有し、車体12に搭載された電動機16(図3参照)によって後輪15を回転駆動される三輪電気自動車である。車体12には、運転席である前部座席17と、前部座席17の後方に配置された後部座席18とが搭載されている。
【0046】
車体12は、図2に示されているように、構造部材として、左右2個の側部材20と、後端連結部材22と、下部中間連結部材24と、左右の突出部材26と、上部中間連結部材28とを含む。左右の側部材20は、電気自動車10の進行方向における左側及び右側において進行方向に延在するように略平行に配置されている。後端連結部材22は、左右方向に延在して左右の側部材20の後端を互いに接続する。下部中間連結部材24は、左右方向に延在して左右の側部材20の前後方向の中間部を互いに接続する。左右の突出部材26は、下部中間連結部材24との接続部と同じ前後方向位置において各側部材20から上方に突出する。上部中間連結部材28は、左右方向に延在して左右の突出部材26の上端を互いに接続する。これらの構造部材は車体12の剛性部材或いは骨格部材であり、板部材を含む車体12の他の部材は構造部材に取り付けられる。
【0047】
車体12の後部には蓄電器保持部40が設けられている。蓄電器保持部40は、後部座席18の後方に配置されており、外枠組立体42を有する。外枠組立体42は、門形をした左右の側部材44と、左右の下部材46と、左右の中間部材48と、後部下連結部材50と、前部下連結部材52と、左右の下部渡し部材54と、後部中間連結部材56と、前部中間連結部材58と、左右の中間渡し部材60と、後部上連結部材62と、鉤形の左右の側部連結部材64とを含む。左右の下部材46は、各側部材44の前後の下端近傍を互いに接続する。左右の中間部材48は、各側部材44の前後の上下方向(鉛直方向)の中間部を互いに接続する。後部下連結部材50は、左右の側部材44の後部の下端近傍を互いに接続する。前部下連結部材52は、左右の側部材44の前部の下端近傍を互いに接続する。左右の下部渡し部材54は、後部下連結部材50と前部下連結部材52との左右端近傍同士を接続する。後部中間連結部材56は、左右の側部材44の後部の上下方向の中間部を互いに接続する。前部中間連結部材58は、左右の側部材44の前部の上下方向の中間部を互いに接続する。左右の中間渡し部材60は、後部中間連結部材56と前部中間連結部材58との左右端近傍同士を接続する。後部上連結部材62は、左右の側部材44の上部後側を互いに接続する。左右の側部連結部材64は、後部上連結部材62と前部中間連結部材58との左右端近傍を各々接続する。
【0048】
左右の下部材46の各々の前後2箇所には脚部材70が取り付けられている。各脚部材70は各側部材20に取り付けられた取付台72にねじ部材74によって固定されている。左右の側部材44の前部には各側部材44より前方に延出した横転U字形の左右の前部取付腕部76が取り付けられている。各前部取付腕部76には取付部材78が取り付けられている。各取付部材78は上部中間連結部材28の左右端近傍に各々に取り付けられた取付台80にねじ部材82によって固定されている。
【0049】
このようにして、外枠組立体42は、左右の側部材20に架け渡され、左右の側部材20及び上部中間連結部材28に固定されている。
【0050】
外枠組立体42の内方には下部筐体90及び上部筐体92が上下に重ね合わせて配置されている。下部筐体90及び上部筐体92は、各々、直方体形状に成形された合成樹脂製であり、実質的に互いに同一構造である。下部筐体90及び上部筐体92は、各々、蓄電器100を収容するために左右に2個の収容室102(収納部、図14参照)を画定している。複数の収容室102は一体構造の下部筐体90及び上部筐体92によって構成されるから、蓄電器保持部40の部品点数の削減が図られる。
【0051】
下部筐体90及び上部筐体92は、各々、左右の側壁の外面に突出形成された鍔部90A、92Aを有する。下部筐体90の左右の鍔部90Aは下部渡し部材54に取り付けられた取付金具94にねじ部材96によって固定されている。上部筐体92の左右の鍔部92Aは中間渡し部材60に取り付けられた取付金具98にねじ部材99によって固定されている。
【0052】
これにより、下部筐体90及び上部筐体92は、上下に重ね合わされた状態で、外枠組立体42を介して、上部中間連結部材28に固定されると共に、左右の側部材20に架け渡されて設けられて各側部材20に固定される。この取付構造により、下部筐体90及び上部筐体92は、車体12に対して高い取付強度をもって堅牢に取り付けられる。更には、この取付構造により、車体12の捩れ剛性が向上する。
【0053】
各収容室102には蓄電器100が出し入れ可能に収容される。各収容室102は、蓄電器100が長方体形状であることにより、蓄電器100の外形に倣った長方体形状の空間であり、前後に略水平方向に長い。各収容室102の長方体を構成する6面のうちの一面(後面)のみが収容室102に対する蓄電器100の出し入れのための開口102Aになっている。各開口102Aは、電気自動車10の進行方向における後方を向くように載置される。
【0054】
下部筐体90及び上部筐体92の後端には一枚の化粧板104が配置されている。化粧板104は、下縁を後部下連結部材50に固定され、上縁を後部上連結部材62に固定されている。各収容室102の開口102Aは化粧板104によって形成される。
【0055】
各蓄電器100は、長方体形状の蓄電器本体100Aと、蓄電器本体100Aの長手方向の一方の端部に設けられ、蓄電器100の持ち運び時及び収容室102に対する出し入れ時に手にて握られる把持部100Bとを有する。蓄電器100が収容室102に対して出し入れされる際には、把持部100Bは車体12の後部側に位置する。各蓄電器100は、外枠組立体42の後部に設けられた扉部材110によって後方から押さえられる。本実施形態の蓄電器100は円筒型のリチウムイオン2次電池セルにより構成されている。
【0056】
収容室102は、下部筐体90及び上部筐体92によって鉛直方向(上下方向)に2段(N段)、各段に水平方向(左右方向)に2列(N列)配置され、合計で2個(N個)、つまり4個設けられている。これにより、収容室102の配列が正面視で略正方形になり、一列配置である場合よりも扉部材110による蓄電器100の押さえ込みが均一に行われるようになる。
【0057】
各収容室102は、開口102Aが、略水平方向に且つ互いに同一方向を向くように配置されている。換言すると、複数の収容室102の開口102Aは、全て電気自動車10の進行方向における後方を向いて開放されている。しかも、各開口102Aは収容に対する蓄電器100の出入方向(前後方向)において互いに略同一の前後位置に設けられている。つまり、各開口102Aは蓄電器100の出入方向に直交する1つの仮想平面内にある。
【0058】
これにより、扉部材110が扁平に単純形状のもので良くなる。使用者により行われる各収容室102に対する複数の蓄電器100の出し入れは全て車体12の後方から行われる。しかも、開口102Aが収容に対する蓄電器100の出入方向において互いに略同一の前後位置に設けられていることにより、各開口102Aから対応する収容室102に対して蓄電器100を出し入れする作業が同じ位置で行われる。そのため、各開口102Aが前後方向に揃っていない場合に比して作業性が向上する。
【0059】
扉部材110は、下部横方向部材112と、上部横方向部材114と、左右の縦方向部材116、118とにより四角枠状に形成されている。下部横方向部材112は、後述する閉扉位置において、下部筐体90の収容室102(下段収容室)の上下方向の1/2の位置に対応する位置の後方を水平方向に延在する。上部横方向部材114は、上部筐体92の収容室102(上段収容室)の上下方向の1/2の位置に対応する位置の後方を水平方向に延在する。左右の縦方向部材116、118は、下部横方向部材112及び上部横方向部材114の延在方向の各端部を互いに接続する。左側の縦方向部材116は、下部筐体90及び上部筐体92よりも左外方で、左側の側部材44よりも右内方を上下方向に延在している。右側の縦方向部材118は、下部筐体90及び上部筐体92よりも右外方で、右側の側部材44よりも左内方を上下方向に延在している。扉部材110は、更に、下部横方向部材112及び上部横方向部材114の延在方向の中間部を互いに接続する中間縦方向部材117を有する。
【0060】
左側の側部材44には取付金具120によって蝶番122の一方の片部が取り付けられている。左側の縦方向部材116には、蝶番122の他方の片部が取り付けられている。蝶番122は、枢軸が上下方向(垂直方向)に延在するように、縦方向部材116及び取付金具120に取り付けられている。
【0061】
扉部材110は、蝶番122により上下方向に延在する軸線周りに回動可能である。扉部材110は、下部筐体90及び上部筐体92の前面に正対して複数の収容室102の開口102Aを一括して閉じる閉扉位置(図2の位置)と、閉扉位置から後方に略90度回動して複数の収容室102の開口102Aを一括して開く開扉位置との間を回動する。
【0062】
なお、扉部材110は、連続した面をもって収容室102の開口102Aの全体(全域)を閉じるものである必要はない。扉部材110は、図示されているように、開口102Aを左右方向に横切る方向に延在する桟(下部横方向部材112、上部横方向部材114)等によって開口102A一部を閉じ、収容室102に収容された蓄電器100の脱落を阻止する構造のものであれば良い。
【0063】
右側の側部材44には取付金具124によって被捕捉部材126が取り付けられている。右側の縦方向部材118には捕捉部材128が取り付けられている。捕捉部材128は、扉部材110が閉扉位置にある時に被捕捉部材126に離脱可能に係合し、扉部材110を閉扉位置に保持する。
【0064】
下部横方向部材112及び上部横方向部材114には、扉部材110が閉扉位置にある時に、各々、開口102Aに向けて突出した複数の突出部材130が取り付けられている。突出部材130は開口102A毎に2個設けられている。
【0065】
各突出部材130はゴム製の先端部を有し、先端部は、扉部材110が閉扉位置にある時に、対応する収容室102に収容されている蓄電器100の把持部100B以外の部分、つまり蓄電器本体100Aの後端面に当接する。
【0066】
各突出部材130の作用により、扉部材110が閉扉位置にある時には、各収容室102に収容された全ての蓄電器100が収容室102から後方に抜け出すことが一斉に阻止される。これにより、蓄電器100の全てが収容室102から後方に抜け出すことの阻止が、扉部材110が閉扉位置に回動されるだけで、捕捉部材128が被捕捉部材126に係合して扉部材110が閉扉位置に保持されて操作性良く簡便且つ確実に行われる。
【0067】
突出部材130は、把持部100Bよりも高剛性の蓄電器本体100Aの後端面を押さえるから、突出部材130が蓄電器100に損傷を与えることなく蓄電器100に抜け出し防止が確実に行われる。つまり、把持部100Bの強度に関係なく、収容室102における蓄電器100の固定が的確に行われる。
【0068】
扉部材110が開扉位置に位置すると、各突出部材130が蓄電器100から離れることが一斉に行われ、各収容室102に収容された全ての蓄電器100が収容室102から後方に抜け出すことの阻止が一斉に解除される。これにより、扉部材110が開扉位置に回動されるだけで、各収容室102に収容されている全ての蓄電器100の取り出しが可能になり、蓄電器100の取り出し作業も操作性良く簡便に行われる。
【0069】
扉部材110は、枠状で、突出部材130の配置に必要な部分にのみ下部横方向部材112及び上部横方向部材114が設けられているから、突出部材130の配置に障害を与えることなく軽量化が図られる。これにより、扉部材110の開閉の操作性が向上する。また、扉部材110が枠状であることにより、扉部材110が閉扉位置にあっても、収容室102に対する蓄電器100の収容状態を後方から視認することができる。
【0070】
扉部材110は、蝶番122によって上下方向に延在する軸線周りに開閉するから、扉部材110を任意の回動位置に止めることができる。また、使用者は、後方から開口102Aに近づきやすく、開口102Aに近い位置で、収容室102に対する蓄電器100の出し入れを行える。
【0071】
図3図7に示されているように、車体12は、構造部材として、更に、第1中間連結部材134と、第2中間連結部材136とを含む。第1中間連結部材134は、左右方向に延在して左右の側部材20の後端近傍を、接続部材132を介して互いに接続する。第2中間連結部材136は、左右方向に延在し、下部中間連結部材24よりも前方において左右の側部材20を互いに接続する。
【0072】
第1中間連結部材134、下部中間連結部材24及び第2中間連結部材136には前側支持部140及び後側支持部142によって動力装置144が取り付けられている。
【0073】
動力装置144は、電動機16及び電動機16に連結され、電動機16の動力を後輪15に伝達する伝達装置148を含む。
【0074】
伝達装置148は、その全体が概ね左右方向(車幅方向)の中央部にある。電動機16は、その略円形箱状のケース147をボルト152によって伝達装置148の略長円形箱状のケース149の前側且つ上方位置に結合されている。伝達装置148のケース149は、前傾姿勢で上下方向に延在し、電動機16のケース147よりも下方に位置する部分を含む。これにより、電動機16は、その全体が伝達装置148の前側において、伝達装置148の下端よりも上方にある。
【0075】
電動機16の出力軸156(図3)はケース147の略中心部から左右の外方に突出した部分を含む。出力軸156の左側の突出部にはインバータ157(図4図7)が取り付けられている。インバータ157は電動機16に一体に設けられている。出力軸156の右側の突出部には駆動プーリ158が取り付けられている。伝達装置148はケース149内に歯車列(不図示)を内蔵している。歯車列の入力軸160はケース149の上部から右外方に突出した部分を含む。入力軸160の突出部には従動プーリ162が取り付けられている。駆動プーリ158と従動プーリ162との間には可撓性を有する帯状の無端伝動体164が掛け渡されている。無端伝動体164は、電動機16と伝達装置148との間で動力伝達を行う。ケース149の下部の左右両側には前述の歯車列の出力部166が設けられている。出力部166には後輪15を駆動するための車軸(不図示)が連結される。
【0076】
電動機16のケース147は、ボルト152による一箇所で伝達装置148のケース149に取り付けられており、ボルト152が出力軸156の径方向外方に偏倚した位置にある。これにより、ケース147がケース149に対してボルト152を中心として回動変位することにより、電動機16はボルト152によって伝達装置148に対する相対位置を変更可能に固定される。この相対位置の変更により、電動機16の出力軸156と伝達装置148の入力軸160との軸間距離が変化し、無端伝動体164の張力が調節される。
【0077】
車体12は、構造部材として、更に、下部中間連結部材24及び第2中間連結部材136から垂下され、電動機16の左右位置にて各々上下に延在する左右の支持ブラケット170を含む。
【0078】
各支持ブラケット170は、側面視で略V字形の左右一対の脚片172及び左右の脚片172の上端を互い結合して前後方向に延在する結合片174を含む。各支持ブラケット170は、結合片174の前端を第2中間連結部材136に結合され、結合片174の後端を下部中間連結部材24に結合されている。
【0079】
左右の支持ブラケット170には、前側支持部140の主要部をなす前側支持部材176によって伝達装置148が取り付けられている。前側支持部材176は、伝達装置148のケース149の左右に沿って略上下方向に延在する左右一対の支持片178及び左右の支持片178の下端部同士を互いに結合する連結片180を含む。この構造により、前側支持部材176の機械的強度が向上する。
【0080】
左右の支持片178の上端部178Aは、各々、ボルト182によって弾性ブッシュ等による振動減衰部材184を介して対応する支持ブラケット170の下端に左右方向に延在する水平軸線周りに枢支されている。つまり、左右の支持片178の上端部178Aは、ボルト182及び振動減衰部材184を含む枢支部186を介して対応する支持ブラケット170に結合されている。なお、左右の枢支部186の水平軸線(ボルト182の中心軸線)は同軸的に存在する。
【0081】
振動減衰部材184を含む枢支部186は支持ブラケット170と支持片178との間の振動の伝達を抑制する。これにより、動力装置144が振動し難くなり、動力装置144の耐久性が向上する。
【0082】
各支持片178は、支持ブラケット170との枢支部186より後方且つ下方に傾斜して延在し、電動機16のケース147の最下端よりも低い位置に延出する部分を含む。各支持片178の下端部178Bはボルト188によって伝達装置148のケース149の前下部に結合されている。
【0083】
つまり、左右の支持片178は、伝達装置148の左右に沿って略上下方向に延在し、各々、支持ブラケット170に結合された上端部178A及び伝達装置148のケース149に結合された下端部178Bを有する。支持ブラケット170により枢支部186の配置の自由度が大きく、設計の自由度が増す。
【0084】
図6及び図7に示すように、各支持片178は、電動機16のケース147の最下端よりも低い位置に延出する部分を含むから、電動機16のケース147に下方からの飛び石や飛来物が当たり難くなり、電動機16への外力の入力を低減できる。これにより、外力に対する電動機16の保護がなされ、電動機16が損傷し難くなる。左右の支持ブラケット170は、左右外方からの飛び石や飛来物が電動機16のケース147に当たり難くする保護部材として作用する。
【0085】
連結片180は、電気自動車10の車両の進行方向に対する左右方向に延在する延在部である。連結片180は、電動機16又は伝達装置148の下方を向く面よりも下方側に配置されると共に、左右方向の長さが、電動機16又は伝達装置148の左右方向の長さよりも長くなるように形成されている。換言すると、連結片180は伝達装置148のケース149の下部前方を左右方向に延在し、伝達装置148に対する前方から飛び石等に対して伝達装置148を保護する部材として作用する。
【0086】
図3図6に示すように、電動機16の下方には覆蓋部材192が配置されている。覆蓋部材192は底板部194、底板部194の左右両縁部より立ち上がった左右の側板部196及び底板部194の前縁部より立ち上がった前板部197を有する。覆蓋部材192は、左右の側板部196の前部のボルト198によって第2中間連結部材136に固定され、左右の側板部196の後部をボルト199によって対応する支持ブラケット170の外側の脚片172に固定されている。これにより、覆蓋部材192は電動機16の前方の第2中間連結部材136から支持片178の近傍に至り、電動機16の下面を覆う。覆蓋部材192は、その最下端をなす底板部194が支持片178の最下端よりも高い位置に位置するよう配置されている。
【0087】
覆蓋部材192により、飛び石等の飛来物が電動機16に、より一層衝突し難くなり、電動機16に大きい外力が入力されることを抑制することが強化される。覆蓋部材192は、その最下端をなす底板部194が支持片178の最下端よりも高い位置に位置するよう配置されている。これにより、支持片178に比して覆蓋部材192に飛び石等の飛来物が当たり難くなり、覆蓋部材192が支持片178に比して低強度のもので構成することができる。
【0088】
後側支持部142は、上下の端部を伝達装置148のケース149の後部の上下2箇所にボルト200によって結合された後側支持部材202を含む。後側支持部材202はケース149の左右両側に各々設けられている。第1中間連結部材134の左右方向の略中央部にはボルト204によって固定部材206が固定されている。後側支持部材202は、中間部をボルト208によって弾性ブッシュ等による振動減衰部材210を介して固定部材206に結合されている。換言すると、後側支持部142は、後側支持部材202により、伝達装置148を左右方向に延在する水平軸線周りに第1中間連結部材134から枢支している。
【0089】
これにより、伝達装置148は、前後両側を、第1中間連結部材134、下部中間連結部材24、第2中間連結部材136から支持される。電動機16は、伝達装置148を介して第1中間連結部材134、下部中間連結部材24、第2中間連結部材136から支持される。
【0090】
振動減衰部材210は第1中間連結部材134と後側支持部材202との間の振動の伝達を抑制する。これにより、動力装置144が振動し難くなり、動力装置144の耐久性が向上する。
【0091】
図8は車両後部の側面図である。図8に示すように、後部座席18は上部中間連結部材28の上の載置されている。後部座席18は、乗員が座る着座部212と、着座部212の後縁から上方へ延出する背もたれ部214とを有する。着座部212は板状をしており、前方に向けて上方へ若干傾斜している。着座部212は、上部中間連結部材28におって後端部を支持されている。背もたれ部214は板状をしており、上方に向けて後方に傾斜した後傾姿勢で着座部212に固定されている。したがって、背もたれ部214の上端は後部座席18の後端をなす。着座部212の上面及び背もたれ部214の前面は柔らかいクッション面とされている。
【0092】
着座部212は、突出部材26によって側部材20よりも高い位置に配置されている。突出部材26は、支持ブラケット170の後端が結合された下部中間連結部材24と前後方向に整合する側部材20の部分に設けられている。着座部212の後部は動力装置144の上方に位置している。蓄電器保持部40は、取付台72を介して側部材20の上に取り付けられ、側部材20よりも高い位置に配置されている。突出部材26は取付台72よりも高く、着座部212の下端は蓄電器保持部40の下端よりも上方に位置している。蓄電器保持部40は動力装置144の上斜め後方に位置している。蓄電器保持部40の外枠組立体42は、上端が背もたれ部214の上端よりも低く且つ前端が背もたれ部214の上端の下方に位置するように、背もたれ部214の後面の近傍に配置されている。
【0093】
背もたれ部214の後面には、電気接続箱220が設けられている。電気接続箱220は、蓄電器保持部40に保持された蓄電器100と後輪15を駆動する電動機16とを接続する電力伝達経路222(図10参照)上に設けられる。電気接続箱220は、背もたれ部214の下部の後面に埋め込まれるように着脱可能に取り付けられている。
【0094】
電力伝達経路222は、蓄電器100と電気接続箱220とを接続するための第1電力線223と、電気接続箱220と電動機16とを接続するための第2電力線224とを含んでいる。第1電力線223及び第2電力線224はそれぞれ、直流回路を構成する2本の電力線を含む電力線の束を意味する。第1電力線223は、下部筐体90又は上部筐体92と電気接続箱220とを接続しており、蓄電器100の数に応じた数だけ設けられている。第2電力線224は、電気接続箱220とDC/DCコンバータ229とを接続している(図10参照)。
【0095】
他の実施形態では、インバータ157が電気接続箱220の内部に設けられ、第2電力線224が電気接続箱220と電動機16とを接続しても良い。この場合、第2電力線224は三相交流線から構成される。
【0096】
図9は背もたれ部214の分解断面図である。図9に併せて示すように、電気接続箱220の後面には取付板225が一体に設けられている。取付板225は、電気接続箱220の外輪郭よりも大きな輪郭形状を有しており、雄ねじ部材や留め具等の締結部材によって着脱可能に電気接続箱220に取り付けられる。電気接続箱220及び取付板225によって接続箱ユニット226が構成される。背もたれ部214の後面には、凹部228が形成されている。凹部228は電気接続箱220に対応する形状をしており、電気接続箱220の全体が凹部228に配置される。取付板225は凹部228の外側に位置しており、取付板225が背もたれ部214に雄ねじ部材や留め具等の締結部材によって締結されることによって接続箱ユニット226が背もたれ部214に固定される。
【0097】
他の実施形態では、凹部228が接続箱ユニット226に対応する形状をしており、接続箱ユニット226の全体が凹部228に配置されても良い。或いは、電気接続箱220に取付板225が設けられなくても良い。この場合、電気接続箱220が背もたれ部214に締結部材によって締結されれば良い。またこの場合、電気接続箱220は、全体が凹部228に配置された状態で背もたれ部214に締結されても良く、一部が凹部228に配置され、残りの部分が凹部228から突出する状態で背もたれ部214に締結されても良い。
【0098】
図10は電気自動車10の電気系統図である。図10に示すように、電力伝達経路222は、電気自動車10に搭載される4つの蓄電器100と電動機16とを、DC/DCコンバータ229及びインバータ157を介して接続する。4つの蓄電器100は並列に電動機16に接続される。電力伝達経路222上には、上記の電気接続箱220に加え、制御装置230及び降圧用DC/DCコンバータ232が設けられている。制御装置230及び降圧用DC/DCコンバータ232は、電気接続箱220の外部に配置され、電気接続箱220の内部で電力伝達経路222に電気的に接続されている。降圧用DC/DCコンバータ232は、電気自動車10に搭載される種々の電装部品や固定バッテリに駆動用又は充填用の電力を供給するために、蓄電器100の電圧を降圧して所望の値に調整する。
【0099】
制御装置230は、CPU、ROM及びRAM等から構成される電子制御装置(ECU)であり、CPUがプログラムを読み込んでプログラムに沿った演算処理を実行することによってDC/DCコンバータ229、インバータ157及び電動機16を制御する。制御装置230は1つのハードウェアとして構成されていても良く、複数のハードウェアからなるユニットとして構成されていても良い。制御装置230には、車両状態、運転操作量等の情報が図示しない通信線を介して入力される。制御装置230は入力されるこれらの情報に基づいて、電動機16の駆動及び回生(電動機16から蓄電器100への充電)を制御する。
【0100】
DC/DCコンバータ229は、電動機16の駆動時に、並列接続された蓄電器100の電圧を昇圧して、インバータ157及び電動機16に印加する出力電圧を所望の値に調整し、インバータ157及び電動機16に供給される駆動電流を調整する。また、DC/DCコンバータ229は、電動機16の回生時に、インバータ157から供給される高圧の直流電力を降圧して、並列接続された蓄電器100に印加する充電電圧を所望の値に調整し、蓄電器100に供給される充電電流を調整する。
【0101】
インバータ157は、三相ブリッジ型インバータとして構成されている。電気自動車10の力行時には、4つの蓄電器100から直流電力がDC/DCコンバータ229を介してインバータ157に供給される。インバータ157は、直流電力を三相の交流電力に変換して電動機16に交流電力を供給する。これにより、電動機16が後輪15を回転駆動し、電気自動車10が走行する。一方、走行中の電気自動車10の制動時に、インバータ157は、電動機16を発電機として機能させるべく回生動作し、電動機16によって発電された交流電力を直流電力に変換する。インバータ157によって変換された高圧の直流電力は、DC/DCコンバータ229を介して降圧され、4つの蓄電器100に直流電力が供給される。これにより、これらの蓄電器100が充電される。
【0102】
DC/DCコンバータ229は、インバータ157の内部に含まれていて良い。他の実施形態では、DC/DCコンバータ229が省略されても良い。この場合、蓄電器100の電圧がそのままインバータ157及び電動機16に印加される。
【0103】
電力伝達経路222は、直流電力のための正極電力線234及び負極電力線236からなる2本の電力線によって構成されている。電力伝達経路222は、上記の通り蓄電器100と電気接続箱220とを接続するための第1電力線223と、電気接続箱220と電動機16とを接続するための第2電力線224とを含む。第1電力線223は、蓄電器100毎に設けられており、電気接続箱220の内部で並列接続されている。第1電力線223はそれぞれ、電気接続箱220に形成された第1接続部238に接続されている。第2電力線224はそれぞれ、電気接続箱220に形成された第2接続部239に接続されている。電気接続箱220と制御装置230及びDC/DCコンバータ229とを接続する電力線は、電気接続箱220に形成された第3接続部240に接続されている。第1接続部238、第2接続部239及び第3接続部240は、電気接続箱220に形成された貫通孔及び、貫通孔に装着された緑当(グロメット)によって構成される。例えば、第1接続部238は第1電力線223が挿通する挿通孔として形成され、第1電力線223は挿通孔を通過して電気接続箱220を貫通する態様で第1接続部238に接続されている。他の実施形態では、複数の第1電力線223が1つの第1接続部238を通過しても良い。また、第1接続部238が電気接続箱220に設けられた接続端子からなり、第1電力線223が端子に接続される態様で第1接続部238に接続されても良い。図示例では、第2接続部239は電気接続箱220の側面の上下の2箇所に配置されている。他の実施形態では、第2電力線224が1つの第2接続部239を通過しても良い。1つ又は2つの第2接続部239は、電気接続箱220の側面の下部(第1接続部238が設けられた側)に設けられると良い。
【0104】
本実施形態では、並列接続された4つの蓄電器100に対して1つのDC/DCコンバータ229が設けられている。したがって、これらの蓄電器100の充電状態が異なる場合、蓄電器100の電圧差によって電圧の高い特定の蓄電器100から電動機16に電流が供給される。このような大電流の発生はバッテリの劣化の原因になり得る。そこで他の実施形態では、並列接続された4つの蓄電器100のそれぞれに対して電流調整器(DC/DCコンバータ229)が個別に設けられても良い。電流調整器は、電気接続箱220の内部に設けられても良く、電気接続箱220の外部に設けられても良い。
【0105】
図11は電気接続箱220の概略平面図である。なお、図11には、想像線で示される後述する蓋体242が外された状態の電気接続箱220が示されている。図11に示すように、電気接続箱220は、一方に開放された浴槽状の箱本体241と、箱本体241の開放面を塞ぐ蓋体242とを有する。図11に関する以下の説明では、電気接続箱220の背もたれ部214への搭載姿勢ではなく、箱本体241の開放面を上にした姿勢を基準にして方向が定義される。
【0106】
箱本体241の上面は平坦をなしており、箱本体241は平面視矩形の収容空間244を内部に画定している。箱本体241の上面には矩形の環状溝246が形成されている。環状溝246には環状のシール部材248の下部が受容される。箱本体241の上面における環状溝246の外側には、蓋体242を取り付けるための複数のねじ孔250が形成されている。蓋体242が図示しない雄ねじ部材によって箱本体241の上面に取り付けられることにより、収容空間244は液密に密閉される。
【0107】
また、箱本体241の外周部には取付板225(図9)に取り付けるための複数の取付孔252が形成されている。他の実施形態では、蓋体242が取付板225としても機能し、蓋体242に背もたれ部214へ取り付けるための取付孔252が形成されても良い。
【0108】
電気接続箱220の収容空間244には、複数の正極電力線234が接続される正極部254及び複数の負極電力線236が接続される負極部256が配置されている。正極部254及び負極部256は、雌ねじが形成された棒板形状の金属片からなるバスバーであって良く、他の形状をしていても良い。正極部254及び負極部256は互いに平行に配置されている。正極部254には4つの蓄電器100の正極に接続された4本の正極電力線234が接続されている。負極部256には4つの蓄電器100の負極に接続された4本の負極電力線236が接続されている。
【0109】
制御装置230は、正極電力線234によって正極部254に接続されると共に、負極電力線236によって負極部256に接続されている。降圧用DC/DCコンバータ232は、2本の正極電力線234によって正極部254に接続されると共に、2本の負極電力線236によって負極部256に接続されている。正極部254の一端には電力伝達経路222を遮断するための遮断部258の一端側が接続されている。DC/DCコンバータ229は、遮断部258の他端側に接続された正極電力線234によって、遮断部258を介して正極部254に接続されると共に、負極電力線236によって負極部256に接続されている。遮断部258は、例えばヒューズであって良く、電磁接触器(コンタクタ)や電磁開閉器や、ブレーカ等であっても良い。
【0110】
図12は蓄電器100の斜視図である。図12に示すように、蓄電器本体100Aの把持部100Bが設けられた長手方向の一方の端部と相反する他方の端面には、雌型接続子100Cが設けられている。雌型接続子100Cが設けられた蓄電器100の端面は、蓄電器100の出し入れの際に奥側に位置する面であり、以下この面を底面と呼ぶ。雌型接続子100Cは、蓄電器本体100Aの底面において、一辺側にオフセットした位置にて該辺に沿って配置されている。よって、蓄電器100は所定の向きをもって収容室102の開口102Aに挿入された場合のみに使用可能である。
【0111】
図13は底面側から視た蓄電器100の斜視図である。図13に示すように、雌型接続子100Cは、台座262と、台座262に支持されることで互いに間隔を置いて並列する複数の雌型端子溝264と、台座262に形成された1対の位置決め孔266とを有する。台座262は、例えば、絶縁性樹脂等の絶縁体からなる。雌型端子溝264は、下部筐体90及び上部筐体92に設けられる後述する雄型端子272(図14)を受容する端子受容溝であり、雄型端子272を受容して挟持によって雄型端子272に電気的に接続する1対の雌型端子を内部に備える。位置決め孔266は、複数の雌型端子溝264の配列方向の外側に配置され、下部筐体90及び上部筐体92に設けられる後述する位置決めピン274(図14)を受容する。
【0112】
図14は下部筐体90の底部の斜視図である。下部筐体90は開口102A側の上部を破断して示されている。下部筐体90の底面には雄型接続子270が設けられている。雄型接続子270は、下部筐体90の底面において、一辺側にオフセットした位置にて該辺に沿って配置されている。雄型接続子270は、下部筐体90の底面から開口102Aに向けて突出する複数の雄型端子272と、複数の雄型端子272の配列方向の外側に配置された1対の位置決めピン274とを有する。複数の雄型端子272の近傍には雄型端子272の配列方向に沿って延在する壁部276が設けられている。
【0113】
蓄電器100が開口102Aから収容室102に挿入されると、雄型接続子270の位置決めピン274が雌型接続子100Cの位置決め孔266に挿入されることで蓄電器100が所定の位置に配置される。そして、雄型接続子270の雄型端子272が雌型接続子100Cの雌型端子に電気的に接続される。これにより、蓄電器100からの給電及び蓄電器100への充電が可能になる。
【0114】
図15は、底面側から視た下部筐体90の底部透視斜視図である。下部筐体90の底部には雄型接続子270が電力線との接続部である電力線接続部278を突出させるように設けられている。雄型接続子270は収容室102毎に設けられる。したがって、下部筐体90の底部には2つの雄型接続子270が設けられる。
【0115】
図16は、蓄電器保持部40の底部の斜視図であり、図8中のXVI矢印方向から視た図(後部座席18が示されない図)に相当する。図示するように、蓄電器保持部40の下部筐体90及び上部筐体92には4つの雄型接続子270が設けられている。各雄型接続子270は、収容室102(図14)の底面の上辺側にオフセットして上辺に沿って配置されている。各雄型接続子270の電力線接続部278の下面には正極電力線234及び負極電力線236(図11参照)を含む第2電力線224(ワイヤーハーネス)が接続されている。第2電力線224は図示しない保持具によって適宜な位置で外枠組立体42に固定されて良い。
【0116】
図8に示すように、電気接続箱220は上部筐体92の前方であって、後部座席18の背もたれ部214と蓄電器保持部40との間に配置されている。下部筐体90に接続された第1電力線223は、下部筐体90の上部から前方斜め上方へ延び、電気接続箱220の下部にて第1接続部238(図10)を通過して電気接続箱220の内部に至っている。上部筐体92に接続された第1電力線223は、上部筐体92の上部から前方斜め下方へ延び、電気接続箱220の下部にて第1接続部238(図10)を通過して電気接続箱220の内部に至っている。電気接続箱220と電動機16とを接続するための第2電力線224は、電気接続箱220の側部にて第2接続部239(図10)を通過して電気接続箱220の外部へ至り、前方斜め下に配置されたDC/DCコンバータ229に至っている。
【0117】
電気接続箱220を電気自動車10の車体12に組み付ける手順は以下の通りである。まず作業者は、蓄電器100が収容されていない空の状態の蓄電器保持部40を車体12に固定する。下部筐体90及び上部筐体92の底面の電力線接続部278には第1電力線223が接続されている。作業者は、これらの第1電力線223を電気接続箱220に接続する。また作業者は、インバータ157から延びる第2電力線224を電気接続箱220に接続する。その後、作業者は、まだ車体12に固定されていない後部座席18の背もたれ部214に電気接続箱220を固定する。最後に作業者は、背もたれ部214に電気接続箱220が固定された後部座席18を車体12に固定する。これにより、電気接続箱220が背もたれ部214と蓄電器保持部40との間に配置された状態で電気自動車10に搭載される。
【0118】
電気自動車10は以上のように構成されている。このように、電気接続箱220の少なくとも一部が背もたれ部214の前端と蓄電器保持部40の前端との間に配置されている。そのため、電気接続箱220が飛び石や飛び跳ねた水に対して保護されやすい。なお、この作用効果は、電気接続箱220の少なくとも一部が背もたれ部214の前端と蓄電器保持部40の前端との間に配置されることによっても奏される。したがって、他の実施形態では、電気接続箱220の一部のみが背もたれ部214の前端と蓄電器保持部40の前端との間に配置されていても良い。
【0119】
図17は、(A)本発明、(B)比較例を示す、作用効果の説明図である。なお、図17(B)の比較例に示す要素についても、本発明と同じ符号を付して説明する。図17(B)に示すように、比較例に示す従来構造の車両では、電気接続箱220が蓄電器保持部40の下方に配置されている。したがって、電気接続箱220が飛び石によって損傷したり飛び跳ねた水を被ったりしやすい。これに対し図17(A)に示す本発明では、電気接続箱220の少なくとも一部が背もたれ部214の前端と蓄電器保持部40の前端との間に配置されることにより、電気接続箱220が飛び石や飛び跳ねた水に対して保護されやすい。
【0120】
本実施形態では、背もたれ部214の後面に形成された凹部228に電気接続箱220が配置されており、電気接続箱220が背もたれ部214の後面よりも前方側に配置されている。言い換えれば、前後方向において電気接続箱220の後端は、背もたれ部214の後端よりも前方側に配置されている。よって、電気接続箱220が飛び石や飛び跳ねた水に対してより保護されやすい。また、背もたれ部214の外部に電気接続箱220の配置スペースが必要ない。なお、本実施形態では電気接続箱220の全体が凹部228に配置されているため、電気接続箱220の全体が飛び石や飛び跳ねた水に対して保護されやすい。ただし、電気接続箱220の一部が凹部228に配置された場合でも、電気接続箱220の一部が背もたれ部214の後面よりも前方側に配置されるため、同様の効果が奏される。言い換えれば、電気接続箱220の少なくとも一部が前後方向において背もたれ部214の後端よりも前方側に配置されていれば、同様の効果が奏される。したがって、他の実施形態では、電気接続箱220の少なくとも一部が凹部228に配置されていても良い。これによっても、電気接続箱220が飛び石や飛び跳ねた水に対してより保護されやすくなる。また、電気接続箱220の配置スペースを小さくすることができる。
【0121】
上記のように電気接続箱220は上部筐体92の前方に配置されている。したがって、電気自動車10の後方視において、電気接続箱220の少なくとも一部が蓄電器保持部40に重なる。これにより、蓄電器保持部40に重なる電気接続箱220の少なくとも一部は、後方から視て蓄電器保持部40に隠れるため、電気接続箱220が後突に対して保護されやすい。
【0122】
図18は、車両後方から視た蓄電器保持部40の正面図である。本実施形態では、電気自動車10の後方視において、電気接続箱220は全体が蓄電器保持部40に重なるように配置されている。これにより、電気接続箱220の全体が後方から視て蓄電器保持部40に隠れる。よって、電気接続箱220が後突に対してより保護されやすい。
【0123】
電気接続箱220は電気接続箱220よりも大きな取付板225に対して固定可能に設けられ、取付板225が電気接続箱220を前方側にした姿勢で後部座席18の後面に固定されている。これにより、電気接続箱220が取付板225により後方から覆われることで保護される。
【0124】
蓄電器保持部40は複数の蓄電器100を保持可能に構成され、複数の蓄電器100は電気自動車10の上下方向及び左右方向に2つ並んで蓄電器保持部40に保持されている。これにより、電気接続箱220が後突に対して保護されやすい。なお、この効果は蓄電器100が電気接続箱220である上下方向及び左右方向の少なくとも一方に並ぶことによって奏される。したがって、他の実施形態では、電気接続箱220の延在方向である上下方向及び/又は左右方向に少なくとも2つ並ぶ複数の蓄電器100が蓄電器保持部40に保持されれば良い。
【0125】
図2及び図8に示すように、蓄電器保持部40は複数の蓄電器100が前後方向に沿って着脱されるように構成されている。これにより、電気接続箱220が蓄電器保持部40によって後方から保護される状態で、蓄電器100を前後方向に沿って着脱させることができる。
【0126】
蓄電器保持部40は電気自動車10の骨格部材である側部材20の上方に配置されている。これにより、電気接続箱220が下方からの飛び石や跳ね水に対して骨格部材により保護される。
【0127】
図11に示すように、電気接続箱220は、複数の正極電力線234が接続される正極部254と、複数の負極電力線236が接続される負極部256とを有している。よって、電気接続箱220によって正極部254及び負極部256が保護される。
【0128】
電気接続箱220は電力伝達経路222を遮断する遮断部258を有している。よって、電気接続箱220によって遮断部258が保護される。
【0129】
次に、図19を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、上記実施形態と異なる点を説明する。
【0130】
図19に示すように、この実施形態では、後部座席18がリクライニング機構280を備えている。背もたれ部214は、リクライニング機構280を介して着座部212に対して左右方向の回動軸280Xの周りに回動可能に設けられている。背もたれ部214は、図19(A)に示す通常位置と、図19(B)に実線で示す後傾位置との間を回動可能である。通常位置は、乗員が後部座席18の座る際に設定される第1着座用位置であり、乗員は通常位置にある背もたれ部214に背中で寄り掛かることができる。後傾位置は、図19(B)に想像線で示される通常位置から後方に回動した後傾位置であり、乗員が後部座席18の座る際に設定される第2着座用位置である。
【0131】
電気接続箱220は背もたれ部214の下部に設けられ、第1電力線223は電気接続箱220の下部にて第1接続部238(図11)を通って電気接続箱220の内部に至っている。また、第2電力線224も電気接続箱220の下部にて第2接続部239(図11)を通って電気接続箱220の内部に至っている。第1電力線223及び第2電力線224が電気接続箱220に接続される位置はリクライニング機構280の回動軸280Xの近傍である。したがって、背もたれ部214が通常位置と後傾位置との間を回動したときに第1電力線223の経路及び第2電力線224の経路は殆ど変化しない。したがって、背もたれ部214が繰り返し回動されても第1電力線223及び第2電力線224の接触不良が起こりにくい。
【0132】
図20は、他の実施形態による前倒位置の後部座席18の斜視図である。背もたれ部214は、更に図19(A)に示す通常位置と図20に示す前倒位置との間を回動可能に設けられている。前倒位置は図19(A)に示す着座用の第1位置から着座部212側に倒れた位置である。
【0133】
このように背もたれ部214は、着座用の第1位置と前倒位置とを取り得るように、左右方向の回動軸280Xの周りに回動可能に設けられている。背もたれ部214を前倒位置に回動させることにより、電気接続箱220の少なくとも一部が配置された背もたれ部214と蓄電器保持部40との間の空間を拡大することができる。よって、電気接続箱220へのアクセスが容易になり、メンテナンス性が向上する。
【0134】
第1電力線223が接続される第1接続部238が電気接続箱220の回動軸280Xに近い部位に配置されることにより、第1接続部238の負荷が軽減される。すなわち、図19に示すように、電気接続箱220が後部座席18の背もたれ部214に取り付けられている場合、背もたれ部214を回動させると背もたれ部214と一緒に電気接続箱220が移動する。本実施形態では、上記構成により、背もたれ部214を回動させた場合に第1電力線223が接続される第1接続部238の変位が小さく済む。よって、第1接続部238の負荷が軽減される。
【0135】
また、第2電力線224が接続される第2接続部239が電気接続箱220の回動軸280Xに近い部位に配置されることにより、第2接続部239の負荷が軽減される。すなわち、背もたれ部214を回動させた場合に第2電力線224が接続される第2接続部239の変位が小さく済む。よって、第2接続部239の負荷が軽減される。
【0136】
更に本実施形態では、背もたれ部214は着座部212に対して着脱可能に設けられている。これにより、背もたれ部214を着座部212から離脱することにより、電気接続箱220へのアクセスが容易になる。よって、電気接続箱220のメンテナンス性が向上する。
【0137】
電気接続箱220は、着座部212から離脱した状態の背もたれ部214に対して固定可能に設けられている。これにより、電気接続箱220は、背もたれ部214を着座部212から離脱したときに背もたれ部214と共に着座部212から離脱される。よって、電気接続箱220のメンテナンス性がより向上する。
【0138】
次に、図21を参照して、他の実施形態による車両について説明する。図21は、後方から視た他の実施形態による車両の斜視図である。図21に示されているように、電気自動車310(車両)は、車体312と、左右の前輪314及び左右の後輪315とを有し、車体312に搭載された電動モータ(不図示)によって後輪315を回転駆動される四輪電気自動車である。
【0139】
車体312の後部であって図示しない後部座席18の後方には、後方に向けて開放された蓄電器室318が設けられていると共に、下端を車体312に水平軸線周りに回動可能に取り付けて蓄電器室318を開閉する後部蓋320が設けられている。蓄電器室318には蓄電器100を保持する蓄電器保持部40が設けられ、蓄電器保持部40と後部座席18との間に図示しない電気接続箱220が設けられている。蓄電器保持部40及び電気接続箱220は上記実施形態のものと同様である。この実施形態でも上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0140】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。例えば、車両は上記実施形態に示したものに限られない。蓄電器100は、上記実施形態ではリチウムイオン2次電池セルにより構成されているが、キャパシタ等の蓄電素子により構成されても良い。また、蓄電器保持部40の収容室102の段数及び各段の配置数は上記実施形態の数に限られない。この他、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、素材など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更することができる。また、上記実施形態は、構成の一部又は全部を互いに組み合わせても良い。一方、上記実施形態に示した各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0141】
10 :電気自動車(車両)
12 :車体
14 :前輪
15 :後輪
16 :電動機
17 :前部座席
18 :後部座席(座席)
20 :側部材(骨格部材)
40 :蓄電器保持部
100 :蓄電器
212 :着座部
214 :背もたれ部
220 :電気接続箱
222 :電力伝達経路
223 :第1電力線
224 :第2電力線
225 :取付板
226 :接続箱ユニット
228 :凹部
234 :正極電力線
236 :負極電力線
238 :第1接続部
239 :第2接続部
254 :正極部
256 :負極部
258 :遮断部
280 :リクライニング機構
280X :回動軸
310 :電気自動車(車両)
315 :後輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
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図19
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図21