(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094868
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20240703BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20240703BHJP
F16H 57/04 20100101ALI20240703BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K7/116
F16H57/04 J
F16H57/04 K
F16H57/04 Q
F16H57/04 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211737
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】里田 大志
(72)【発明者】
【氏名】石川 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】松崎 良亮
【テーマコード(参考)】
3J063
5H607
5H609
【Fターム(参考)】
3J063AA02
3J063AB02
3J063AC01
3J063XD03
3J063XD15
3J063XD23
3J063XD32
3J063XD43
3J063XD47
3J063XD52
3J063XD62
3J063XD72
3J063XD73
3J063XF02
3J063XF03
3J063XF14
3J063XF15
5H607AA02
5H607BB01
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC03
5H607DD03
5H607DD08
5H607DD19
5H607EE34
5H607EE36
5H607GG01
5H609BB01
5H609BB16
5H609PP05
5H609PP06
5H609QQ05
5H609QQ11
5H609RR37
5H609RR48
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ギヤハウジング内における流体の供給が不十分になることを抑制できる構造を有する駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置100は、ロータ40およびロータの径方向外側に位置するステータ50を有するモータ10と、ロータに接続されたギヤ機構20と、モータを内部に収容するモータハウジング31およびギヤ機構を内部に収容するギヤハウジング32を有するハウジング30と、モータに流体を供給する流体供給部85と、を備える。モータハウジングの内面には、径方向内側に突出する第1突出部が設けられている。第1突出部の径方向内側の面は、ステータコアの径方向外側の面と径方向に対向する対向面である。対向面は、軸方向に見てステータコアの径方向外側の面に沿って延びている。ハウジングの第1流路70は、第1突出部の周方向一方側の第1側面に開口する第1開口部71と、ギヤハウジングの内部に開口する第2開口部72と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心として回転可能なロータおよび前記ロータの径方向外側に位置するステータを有するモータと、
前記ロータに接続されたギヤ機構と、
前記モータを内部に収容するモータハウジングおよび前記ギヤ機構を内部に収容するギヤハウジングを有するハウジングと、
前記モータに流体を供給する流体供給部と、
を備え、
前記ステータは、前記モータハウジング内に固定されたステータコアを有し、
前記モータハウジングの内面には、径方向内側に突出する第1突出部が設けられ、
前記第1突出部の径方向内側の面は、前記ステータコアの径方向外側の面と径方向に対向する対向面であり、
前記対向面は、軸方向に見て前記ステータコアの径方向外側の面に沿って延び、
前記ハウジングは、前記流体が流れる第1流路を有し、
前記第1流路は、
前記第1突出部の周方向一方側の第1側面に開口する第1開口部と、
前記ギヤハウジングの内部に開口する第2開口部と、
を有する、駆動装置。
【請求項2】
前記モータハウジングの内面には、
径方向内側に突出し前記第1突出部と周方向に間隔を空けて配置された第2突出部と、
前記第1突出部と前記第2突出部との周方向の間に位置し、径方向外側に窪む凹部と、
が設けられ、
前記第1開口部は、前記凹部内に開口し、
前記流体供給部は、前記凹部内に配置されている、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記ステータコアは、
前記対向面と径方向に対向するステータコア本体部と、
前記ステータコア本体部から径方向外側に突出し、前記モータハウジングに固定された固定部と、
を有し、
前記固定部は、前記凹部の内部に位置し、
前記流体供給部は、前記固定部と前記第1突出部との周方向の間に位置する、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第1突出部は、前記第2突出部よりも下側に位置する、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第1開口部は、上側に開口している、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記流体供給部は、前記第1開口部に向かって開口する供給口を有する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第1流路は、前記第1開口部から前記第2開口部に向かうに従って下側に位置する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第1開口部は、前記第1側面と前記対向面とに跨って設けられている、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記第1突出部は、前記対向面から径方向外側に窪む溝部を有し、
前記溝部は、前記第1側面から前記第1突出部の周方向他方側の第2側面まで周方向に延びている、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記溝部は、軸方向に間隔を空けて複数設けられ、
前記第1開口部は、前記第1側面のうち周方向に隣り合う前記溝部同士の間に位置する部分に設けられている、請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記ギヤハウジングは、前記モータハウジングの軸方向一方側に位置し、
前記ハウジングは、前記モータハウジングの内部と前記ギヤハウジングの内部とを区画する隔壁部を有し、
前記ギヤハウジングは、前記隔壁部よりも軸方向他方側に位置するベアリング保持部を有し、
前記第2開口部は、前記ベアリング保持部に設けられている、請求項1から10のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記ギヤ機構は、
前記ロータに接続された減速装置と、
前記減速装置に接続された差動装置と、
を有し、
前記ベアリング保持部は、前記差動装置の一部を回転可能に支持するベアリングを保持している、請求項11に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記ハウジングは、
前記流体が貯留される貯留部と、
前記貯留部から少なくとも前記流体供給部まで延びる第2流路と、
を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
減速ギヤ対を収容するギヤ室と電動モータを収容するモータ室とを有するケースを備える車両駆動装置が知られている。例えば、特許文献1には、減速ギヤ対による潤滑油の掻き上げにて、カウンタ軸を軸支する軸受の潤滑を行う車両駆動装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車両駆動装置においては、上述した特許文献1における軸受への潤滑油の供給のように、ギヤ室内の特定の箇所に対して流体を供給することが求められる。しかしながら、特許文献1のような減速ギヤ対による流体の掻き上げを利用する方法では、ギヤ室内の箇所によって流体の供給が不十分となる恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、ギヤハウジング内における流体の供給が不十分になることを抑制できる構造を有する駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動装置の一つの態様は、中心軸線を中心として回転可能なロータおよび前記ロータの径方向外側に位置するステータを有するモータと、前記ロータに接続されたギヤ機構と、前記モータを内部に収容するモータハウジングおよび前記ギヤ機構を内部に収容するギヤハウジングを有するハウジングと、前記モータに流体を供給する流体供給部と、を備える。前記ステータは、前記モータハウジング内に固定されたステータコアを有する。前記モータハウジングの内面には、径方向内側に突出する第1突出部が設けられている。前記第1突出部の径方向内側の面は、前記ステータコアの径方向外側の面と径方向に対向する対向面である。前記対向面は、軸方向に見て前記ステータコアの径方向外側の面に沿って延びている。前記ハウジングは、前記流体が流れる第1流路を有する。前記第1流路は、前記第1突出部の周方向一方側の第1側面に開口する第1開口部と、前記ギヤハウジングの内部に開口する第2開口部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、駆動装置において、ギヤハウジング内における流体の供給が不十分になることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態におけるステータコアおよび第1流体供給部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態における駆動装置の一部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態におけるギヤハウジングを軸方向一方側から見た図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態における第1流路の第2開口部を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態における第1突出部および第1流路の第1開口部を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態における駆動装置の一部を軸方向一方側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、上下方向である。+Z側は、上側であり、-Z側は、下側である。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置が搭載される車両の前後方向である。以下の実施形態において、+X側は、車両における前側であり、-X側は、車両における後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。以下の実施形態において、+Y側は、車両における左側であり、-Y側は、車両における右側である。
【0010】
なお、前後方向の位置関係は、以下の実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、-X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両の右側であり、-Y側は、車両の左側である。また、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
【0011】
適宜図に示す中心軸線J1は、上下方向と交差する方向に延びる仮想軸線である。より詳細には、中心軸線J1は、上下方向と直交するY軸方向、つまり車両の左右方向に延びている。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸線J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸線J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線J1を中心とする周方向、つまり中心軸線J1の軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
以下の説明においては、軸方向のうち左側(+Y側)を「軸方向一方側」と呼び、軸方向のうち右側(-Y側)を「軸方向他方側」と呼ぶ。上下方向は、例えば、鉛直方向であり、前後方向および左右方向は、例えば、鉛直方向と直交する水平方向である。また、前後方向は、上下方向および軸方向の両方と交差する交差方向であり、前側(+X側)は交差方向一方側であり、後側(-X側)は交差方向他方側である。
【0013】
適宜図に示す矢印θは、周方向を示している。以下の説明においては、周方向のうち軸方向他方側(-Y側)から見て中心軸線J1を中心として時計回りに進む側、すなわち矢印θが向く側(+θ側)を「周方向一方側」と呼び、周方向のうち軸方向他方側から見て中心軸線J1を中心として反時計回りに進む側、すなわち矢印θが向く側と逆側(-θ側)を「周方向他方側」と呼ぶ。
【0014】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の駆動装置100は、車両に搭載され、車軸を回転させる駆動装置である。駆動装置100が搭載される車両は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)などのモータを動力源とする車両である。
図1に示すように、駆動装置100は、モータ10と、ギヤ機構20と、ハウジング30と、を備える。ハウジング30は、モータ10を内部に収容するモータハウジング31と、ギヤ機構20を内部に収容するギヤハウジング32と、を有する。
【0015】
モータ10は、中心軸線J1を中心として回転可能なロータ40と、ロータ40の径方向外側に位置するステータ50と、を有する。ロータ40は、中心軸線J1に沿って配置されたモータシャフト41と、モータシャフト41に固定されたロータコア42と、を有する。本実施形態においてモータシャフト41は、中心軸線J1を中心として軸方向に延び、軸方向両側に開口する中空シャフトである。モータシャフト41は、一対のベアリング43a,43bによって、中心軸線J1回りに回転可能に支持されている。一対のベアリング43a,43bは、例えば、ボールベアリングである。モータシャフト41には、モータシャフト41の内部とモータシャフト41の外部とを繋ぐ孔部41aが設けられている。孔部41aは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。図示は省略するが、ロータコア42には、マグネットが保持されている。
【0016】
ステータ50は、ロータ40を囲む環状である。ステータ50は、ステータコア51と、コイルアセンブリ54と、を有する。ステータコア51は、ロータコア42の径方向外側に位置し、ロータコア42と隙間を介して対向して配置されている。ステータコア51は、例えば、電磁鋼板などの板部材が軸方向に複数積層されて構成されている。
図2に示すように、ステータコア51は、ステータコア本体部52と、固定部53と、を有する。
【0017】
ステータコア本体部52は、ロータ40を囲む環状である。本実施形態においてステータコア本体部52は、中心軸線J1を中心として軸方向両側に開口する略円筒状である。ステータコア本体部52は、中心軸線J1を囲む筒状の外周面52cを有する。本実施形態において外周面52cは、中心軸線J1を中心とする略円筒状である。外周面52cは、ステータコア51の径方向外側の面の一部を構成している。本実施形態においてステータコア51の径方向外側の面は、外周面52cと、固定部53の径方向外側面と、によって構成されている。
【0018】
ステータコア本体部52は、軸方向に延びる略円筒状のコアバック52aと、コアバック52aから径方向内側に延びる複数のティース52bと、を有する。コアバック52aの外周面は、ステータコア本体部52の外周面52cである。複数のティース52bは、周方向において一周に亘って等間隔に配置されている。
【0019】
固定部53は、ステータコア本体部52の外周面52cから径方向外側に突出している。固定部53は、モータハウジング31に固定された部分である。固定部53は、軸方向に延びている。固定部53は、例えば、ステータコア本体部52の軸方向一方側の端部からステータコア本体部52の軸方向他方側の端部まで延びている。本実施形態において固定部53は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。固定部53は、例えば、4つ設けられている。
【0020】
各固定部53は、各固定部53を軸方向に貫通する貫通孔53eを有する。貫通孔53eは、例えば、円形状の孔である。
図3に示すように、貫通孔53eには、軸方向に延びるボルト55が通されている。ボルト55は、例えば、軸方向他方側(-Y側)から貫通孔53eに通されて、モータハウジング31に設けられた図示しないねじ穴に締め込まれている。これにより、固定部53がボルト55によってモータハウジング31に固定され、ステータコア51は、モータハウジング31内に固定されている。
【0021】
図2に示すように、固定部53は、第1固定部53aと、第2固定部53bと、第3固定部53cと、第4固定部53dと、を含む。第1固定部53aと第2固定部53bと第3固定部53cと第4固定部53dとは、互いに周方向に間隔を空けて配置されている。第1固定部53aと第2固定部53bと第3固定部53cと第4固定部53dとは、例えば、周方向において一周に亘って等間隔に配置されている。
【0022】
本実施形態において第1固定部53aおよび第2固定部53bは、中心軸線J1よりも上側に位置する。本実施形態において第3固定部53cおよび第4固定部53dは、中心軸線J1よりも下側に位置する。本実施形態において第1固定部53aおよび第4固定部53dは、中心軸線J1よりも後側(-X側)に位置する。本実施形態において第2固定部53bおよび第3固定部53cは、中心軸線J1よりも前側(+X側)に位置する。
【0023】
第1固定部53aは、ステータコア本体部52から上側かつ斜め後側(-X側)に突出している。第2固定部53bは、ステータコア本体部52から上側かつ斜め前側(+X側)に突出している。第3固定部53cは、ステータコア本体部52から下側かつ斜め前側(+X側)に突出している。第4固定部53dは、ステータコア本体部52から下側かつ斜め後側(-X側)に突出している。
【0024】
本実施形態において第1固定部53aと第2固定部53bと第3固定部53cと第4固定部53dとは、周方向位置が互いに異なるが、互いに同じ形状である。本実施形態において各固定部53は、それぞれ周方向に対称な形状である。
図3に示すように、固定部53は、モータハウジング31の内周面から離れて配置されている。固定部53の周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って小さくなっている。固定部53の径方向外端部の外形は、軸方向に見て、径方向外側に凸となる円弧状である。
【0025】
図1に示すように、コイルアセンブリ54は、ステータコア51に取り付けられた複数のコイル54cを有する。図示は省略するが、コイルアセンブリ54は、各コイル54cを結束する結束部材などを有してもよいし、各コイル54c同士を繋ぐ渡り線を有してもよい。コイルアセンブリ54は、ステータコア51よりも軸方向に突出するコイルエンド54a,54bを有する。
【0026】
ギヤ機構20は、ロータ40に接続されている。より詳細には、ギヤ機構20は、モータシャフト41の軸方向一方側(+Y側)の端部に接続されている。ギヤ機構20は、ロータ40の回転を車両の車軸に伝達する。ギヤ機構20は、ロータ40に接続された減速装置21と、減速装置21に接続された差動装置22と、を有する。
【0027】
減速装置21は、第1ギヤシャフト23aと、第2ギヤシャフト23bと、第1ギヤ24aと、第2ギヤ24bと、第3ギヤ24cと、を有する。第1ギヤシャフト23aは、軸方向に延びている。本実施形態において第1ギヤシャフト23aは、中心軸線J1を中心とし、軸方向両側に開口する中空シャフトである。第1ギヤシャフト23aは、一対のベアリング25a,25bによって中心軸線J1回りに回転可能に支持されている。一対のベアリング25a,25bは、例えば、ボールベアリングである。第1ギヤシャフト23aの軸方向他方側(-Y側)の端部は、モータシャフト41の軸方向一方側(+Y側)の端部に接続されている。
【0028】
第2ギヤシャフト23bは、中間軸線J2回りに回転可能である。本実施形態において中間軸線J2は、中心軸線J1と平行に延びる仮想軸線である。
図4に示すように、中間軸線J2は、中心軸線J1よりも上側に位置し、かつ、中心軸線J1よりも後側(-X側)に位置する。
図1に示すように、第2ギヤシャフト23bは、軸方向に延びている。本実施形態において第2ギヤシャフト23bは、中間軸線J2を中心とし、軸方向両側に開口する中空シャフトである。第2ギヤシャフト23bは、一対のベアリング25c,25dによって中間軸線J2回りに回転可能に支持されている。一対のベアリング25c,25dは、例えば、ボールベアリングである。
【0029】
第1ギヤ24aは、第1ギヤシャフト23aの外周面に設けられている。第2ギヤ24bおよび第3ギヤ24cは、第2ギヤシャフト23bの外周面に設けられている。第2ギヤ24bは、第1ギヤ24aと噛み合っている。第3ギヤ24cは、第1ギヤ24aおよび第2ギヤ24bよりも軸方向他方側(-Y側)に位置する。
【0030】
差動装置22は、デフケース22aと、リングギヤ22bと、を有する。デフケース22aおよびリングギヤ22bは、出力軸線J3回りに回転可能である。本実施形態において出力軸線J3は、中心軸線J1と平行に延びる仮想軸線である。
図4に示すように、出力軸線J3は、中心軸線J1よりも上側に位置し、かつ、中間軸線J2よりも下側に位置する。出力軸線J3は、中心軸線J1および中間軸線J2よりも後側(-X側)に位置する。デフケース22aには、車両の車軸が接続されている。
【0031】
図1に示すように、デフケース22aは、図示しない差動機構部を内部に収容するケース部22cと、ケース部22cから出力軸線J3の軸方向に延びる一対のデフケースシャフト22d,22eと、を有する。デフケースシャフト22dは、ケース部22cから軸方向一方側(+Y側)に延びている。デフケースシャフト22eは、ケース部22cから軸方向他方側(-Y側)に延びている。デフケースシャフト22eは、ベアリング25eによって出力軸線J3回りに回転可能に支持されている。ベアリング25eは、例えば、ボールベアリングである。図示は省略するが、デフケースシャフト22dもベアリングによって出力軸線J3回りに回転可能に支持されている。
【0032】
リングギヤ22bは、デフケース22aに設けられている。リングギヤ22bは、第3ギヤ24cと噛み合っている。リングギヤ22bの下側の端部は、ギヤハウジング32内に貯留されたオイルOに浸漬している。リングギヤ22bが回転することで、オイルOがかき上げられる。かき上げられたオイルOは、例えば、減速装置21および差動装置22に潤滑油として供給される。
【0033】
本実施形態のハウジング30において、モータハウジング31とギヤハウジング32とは軸方向に並んで配置されている。ギヤハウジング32は、モータハウジング31の軸方向一方側(+Y側)に位置する。ギヤハウジング32は、モータハウジング31の軸方向一方側に繋がっている。本実施形態においてハウジング30は、ハウジング本体30aと、モータカバー30bと、ギヤカバー30cと、によって構成されている。ハウジング本体30aとモータカバー30bとギヤカバー30cとは、互いに別体である。ハウジング本体30aは、第1周壁部30dと、第2周壁部30eと、隔壁部33と、を有する。また、
図4に示すように、ハウジング本体30aは、側壁部36を有する。つまり、ハウジング30は、第1周壁部30dと、第2周壁部30eと、隔壁部33と、側壁部36と、を有する。本実施形態においてギヤハウジング32は、隔壁部33と側壁部36と第2周壁部30eとギヤカバー30cとによって構成されている。本実施形態においてモータハウジング31は、隔壁部33と第1周壁部30dとモータカバー30bとによって構成されている。
【0034】
図1に示すように、第1周壁部30dは、軸方向他方側(-Y側)に開口する筒状である。第1周壁部30dの軸方向一方側(+Y側)の端部には、隔壁部33が設けられている。第1周壁部30dの軸方向他方側の開口は、第1周壁部30dの軸方向他方側の端部に固定されたモータカバー30bによって塞がれている。モータカバー30bは、モータ10を軸方向他方側から覆っている。モータカバー30bの軸方向一方側の面には、ベアリング43bを保持するベアリング保持部34bが設けられている。ベアリング保持部34bは、ベアリング43bを囲む略円環状である。
【0035】
第2周壁部30eは、軸方向一方側(+Y側)に開口する筒状である。第2周壁部30eの軸方向他方側(-Y側)の端部には、隔壁部33が設けられている。第2周壁部30eの軸方向一方側の開口は、第2周壁部30eの軸方向一方側の端部に固定されたギヤカバー30cによって塞がれている。ギヤカバー30cは、ギヤ機構20を軸方向一方側から覆う蓋部30fと、蓋部30fの径方向外縁部から軸方向他方側に突出する第3周壁部30gと、を有する。第3周壁部30gの軸方向他方側の端部は、第2周壁部30eの軸方向一方側の端部と繋がっている。蓋部30fの軸方向他方側の面には、ベアリング25aを保持するベアリング保持部35aと、ベアリング25cを保持するベアリング保持部35cと、が設けられている。各ベアリング保持部35a,35cは、各ベアリング25a,25cを囲む略円環状である。
【0036】
隔壁部33は、モータハウジング31の内部とギヤハウジング32の内部とを区画している。隔壁部33は、モータハウジング31の内部とギヤハウジング32の内部とを軸方向に隔てる壁部である。隔壁部33は、モータハウジング31の内部とギヤハウジング32の内部とを繋ぐ隔壁開口33aを有する。本実施形態において隔壁開口33aは、隔壁部33の下側の端部を軸方向に貫通している。
【0037】
隔壁部33のうちモータハウジング31の内面の一部を構成する部分、すなわち隔壁部33の軸方向他方側(-Y側)の面には、ベアリング43aを保持するベアリング保持部34aが設けられている。隔壁部33のうちギヤハウジング32の内面の一部を構成する部分、すなわち隔壁部33の軸方向一方側(+Y側)の面には、ベアリング25bを保持するベアリング保持部35bと、ベアリング25dを保持するベアリング保持部35dと、が設けられている。各ベアリング保持部34a,35b,35dは、各ベアリング43a,25b,25dを囲む略円環状である。ベアリング保持部34aの内部とベアリング保持部35bの内部とは、互いに軸方向に繋がっており、隔壁部33を軸方向に貫通する孔を構成している。
【0038】
図4に示すように、側壁部36は、隔壁部33の後側(-X側)に繋がっている。本実施形態では、隔壁部33と側壁部36とによって、ギヤハウジング32を構成する壁部のうち軸方向他方側(-Y側)に位置する壁部が構成されている。第2周壁部30eは、隔壁部33と側壁部36とによって構成される壁部の径方向外縁部から軸方向一方側(+Y側)に突出している。側壁部36は、モータハウジング31よりも後側(-X側)に突出している。
【0039】
図1に示すように、側壁部36は、軸方向他方側(-Y側)に突出する突出壁部36aを有する。突出壁部36aは、出力軸線J3を囲み、軸方向一方側(+Y側)に開口する筒状である。側壁部36は、前後方向(X軸方向)に見て、モータハウジング31と重なっている。突出壁部36aは、出力軸線J3を囲む周壁部36bと、周壁部36bの軸方向他方側の端部に繋がる底壁部36cと、を有する。底壁部36cは、隔壁部33よりも軸方向他方側に位置する。底壁部36cは、ステータ50の軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側に位置する。
【0040】
底壁部36cのうちギヤハウジング32の内面の一部を構成する部分、すなわち底壁部36cの軸方向一方側(+Y側)の面には、デフケースシャフト22eを回転可能に支持するベアリング25eを保持するベアリング保持部35eが設けられている。つまり、ギヤハウジング32は、差動装置22の一部を回転可能に支持するベアリング25eを保持するベアリング保持部35eを有する。ベアリング保持部35eは、出力軸線J3を中心とし、ベアリング25eを囲む略円環状である。ベアリング保持部35eは、隔壁部33よりも軸方向他方側に位置する。本実施形態においてベアリング保持部35eは、前後方向(X軸方向)に見て、モータ10と重なっている。
【0041】
図5に示すように、ベアリング保持部35eは、出力軸線J3を囲む略円筒状の周壁部35gと、周壁部35gの軸方向他方側(-Y側)の端部から出力軸線J3を中心とする径方向の内側に突出する底壁部35hと、を有する。周壁部35gは、軸方向一方側(+Y側)に突出している。底壁部35hは、出力軸線J3を囲む略円環状である。
【0042】
ベアリング保持部35eは、ガイド溝35fを有する。ガイド溝35fは、周壁部35gと底壁部35hとに跨って設けられている。ガイド溝35fのうち周壁部35gに設けられた部分は、出力軸線J3を中心とする径方向の内側に開口し、周壁部35gを軸方向に貫通している。ガイド溝35fのうち底壁部35hに設けられた部分は、軸方向一方側(+Y側)に開口し、底壁部35hを、出力軸線J3を中心とする径方向に貫通している。本実施形態においてガイド溝35fは、ベアリング保持部35eの前側部分(+X側部分)における下側部分に設けられている。
【0043】
図1に示すように、本実施形態においてハウジング30は、流体としてのオイルOが貯留される貯留部39を有する。オイルOは、モータ10を冷却する冷媒として使用される。また、オイルOは、減速装置21および差動装置22に対して潤滑油として使用される。オイルOとしては、例えば、冷媒および潤滑油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0044】
貯留部39は、ハウジング30を構成する壁部のうち下側に位置する底壁部30hと、底壁部30hから上側に突出する複数の壁部と、によって構成されている。底壁部30hは、モータハウジング31を構成する壁部のうち下側に位置する底壁部30iと、ギヤハウジング32を構成する壁部のうち下側に位置する底壁部30jと、によって構成されている。本実施形態においてモータハウジング31の底壁部30iとギヤハウジング32の底壁部30jとは、上下方向において同じ位置に位置する。貯留部39を構成する壁部のうち底壁部30hから上側に突出する複数の壁部は、モータハウジング31を構成する壁部と、ギヤハウジング32を構成する壁部と、を含む。当該複数の壁部は、例えば、隔壁部33、モータカバー30b、および蓋部30fなどを含む。
【0045】
本実施形態において貯留部39は、モータハウジング31に設けられた貯留部39aと、ギヤハウジング32に設けられた貯留部39bと、を有する。貯留部39aの内部と貯留部39bの内部とは、隔壁開口33aを介して繋がっている。隔壁開口33aの内部も、貯留部39の内部の一部を構成している。
【0046】
図3に示すように、モータハウジング31の内面には、径方向内側に突出する突出部37が設けられている。本実施形態において突出部37は、ステータコア51を径方向外側から支持する支持部である。より詳細には、突出部37は、ステータコア本体部52におけるコアバック52aを径方向外側から支持している。本実施形態において突出部37は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の突出部37は、第1突出部37aと、第2突出部37bと、を含む。つまり、モータハウジング31の内面には、径方向内側に突出する第1突出部37aおよび第2突出部37bが設けられている。なお、図示は省略するが、突出部37は3つ以上設けられており、複数の突出部37は、ステータコア51の径方向外側においてステータコア51を囲んで配置されている。
【0047】
本実施形態において第1突出部37aは、ステータコア51の後側(-X側)に位置する。第1突出部37aの径方向内側の面は、ステータコア51の径方向外側の面と径方向に対向する対向面37fである。対向面37fは、軸方向に見てステータコア51の径方向外側の面に沿って延びている。本実施形態において対向面37fは、ステータコア本体部52の外周面52cと径方向に対向し、軸方向に見て外周面52cに沿って延びている。つまり、本実施形態においてステータコア本体部52は、対向面37fと径方向に対向している。対向面37fは、軸方向に見て、中心軸線J1を中心とする円弧状に延びている。本実施形態において対向面37fは、前側(+X側)を向いている。対向面37fは、例えば、外周面52cと接触している。なお、対向面37fは、外周面52cと僅かな隙間を介して対向していてもよい。
【0048】
第1突出部37aは、第1側面37cを有する。第1側面37cは、第1突出部37aの周方向一方側(+θ側)の側面である。第1側面37cの径方向内側の端部は、対向面37fの周方向一方側の端部と繋がっている。本実施形態において第1側面37cは、上側を向いている。より詳細には、第1側面37cは、上側かつ斜め前側(+X側)を向いている。本実施形態において第1側面37cは、軸方向に見て、外周面52cから径方向外側に延びている。軸方向に見て、第1側面37cと、外周面52cのうち第1側面37cの径方向内側の端部から周方向一方側に延びる部分との成す角度φは、例えば、鋭角または直角である。角度φは、一例として、30°以上、90°以下程度である。
図6に示すように、第1側面37cは、軸方向に延びている。
【0049】
第1突出部37aは、対向面37fから径方向外側に窪む溝部37eを有する。溝部37eは、周方向両側に開口している。つまり、溝部37eは、第1側面37cから第1突出部37aの周方向他方側(-θ側)の第2側面37dまで周方向に延びている。そのため、対向面37fがステータコア51の外周面52cと接触する、または僅かな隙間を介して対向しているような場合であっても、後述する第1流体供給部85によってステータ50に供給されたオイルOを、溝部37eを介して、第1突出部37aを周方向に通過させることができる。これにより、ステータ50をオイルOによって冷却しやすくできる。溝部37eは、軸方向に間隔を空けて複数設けられている。
【0050】
図3に示すように、第2突出部37bは、第1突出部37aと周方向に間隔を空けて配置されている。本実施形態において第2突出部37bは、第1突出部37aの周方向一方側(+θ側)に離れて配置されている。本実施形態において第2突出部37bは、第1突出部37aよりも上側かつ前側(+X側)に位置する。つまり、本実施形態において第1突出部37aは、第2突出部37bよりも下側に位置する。第2突出部37bは、ステータコア51の上側に位置する。第2突出部37bの径方向内側の面は、ステータコア51の径方向外側の面と径方向に対向する対向面37gである。対向面37gは、下側を向いている。対向面37gは、向きおよび周方向の位置が異なる点を除いて、第1突出部37aの対向面37fと同様である。
【0051】
モータハウジング31の内面には、径方向外側に窪む凹部38が設けられている。凹部38は、第1突出部37aと第2突出部37bとの周方向の間に位置する。凹部38の内部には、第1固定部53aが位置する。第1固定部53aは、凹部38の内面のうち径方向外側に位置する部分と隙間を空けて対向している。図示は省略するが、凹部38は、軸方向他方側(-Y側)に開口している。
【0052】
凹部38は、第1部分38aと、第2部分38bと、を有する。第1部分38aは、凹部38のうち周方向一方側(+θ側)の部分である。第1部分38aの内部には、第1固定部53aが位置する。第1部分38aの内面のうち径方向外側に位置する部分は、軸方向に見て、第1固定部53aの径方向外側の面に沿って延びており、径方向外側に凹となる略円弧状である。第2部分38bは、凹部38のうち周方向他方側(-θ側)の部分である。第2部分38bの内面のうち径方向外側に位置する部分は、軸方向に見て、径方向外側に凹となる略円弧状である。第1部分38aの内面のうち径方向外側に位置する部分と第2部分38bの内面のうち径方向外側に位置する部分との接続部分は、軸方向に見て、径方向内側に凸となる略円弧状である。
【0053】
図1に示すように、本実施形態において駆動装置100は、モータ10に流体としてのオイルOを供給する第1流体供給部85を備える。本実施形態において第1流体供給部85は、軸方向に延びるパイプである。より詳細には、第1流体供給部85は、軸方向に延び、軸方向両側に開口する円筒状である。第1流体供給部85は、モータハウジング31の内部に位置する。第1流体供給部85の軸方向一方側(+Y側)の端部は、隔壁部33に支持されている。第1流体供給部85の軸方向他方側(-Y側)の端部は、モータカバー30bに支持されている。第1流体供給部85は、ステータコア51の径方向外側に位置する。
【0054】
第1流体供給部85は、ステータコア51に向かって開口する第1供給口85cを有する。
図3に示すように、本実施形態において第1供給口85cは、ステータコア本体部52の外周面52cと隙間を介して径方向に対向して配置されている。本実施形態において第1供給口85cは、パイプである第1流体供給部85aを内面から外面まで貫通する孔によって構成されている。
図1に示すように、第1供給口85cは、軸方向に間隔を空けて複数設けられている。第1流体供給部85は、後述する第2流路80の一部を構成しており、第1流体供給部85の内部には、流体としてのオイルOが流れる。第1流体供給部85の内部を流れるオイルOの一部は、第1供給口85cからモータハウジング31内に噴射されて、ステータコア51に供給される。これにより、第1流体供給部85は、モータ10に流体としてのオイルOを供給する。
【0055】
図2に示すように、本実施形態において第1流体供給部85は、第1流体供給部85aと第1流体供給部85bとの2つ設けられている。第1流体供給部85aは、ステータコア51の上側に位置する。より詳細には、第1流体供給部85aは、ステータコア本体部52の上側に位置し、第1固定部53aと第2固定部53bとの周方向の間に位置する。第1流体供給部85aは、中心軸線J1よりも前側(+X側)に位置する。
【0056】
第1流体供給部85bは、第1流体供給部85aよりも下側かつ後側(-X側)に位置する。第1流体供給部85bは、ステータコア51の後側(-X側)に位置する。より詳細には、第1流体供給部85bは、ステータコア本体部52の後側に位置し、第1固定部53aと第4固定部53dとの周方向の間に位置する。第1流体供給部85bは、中心軸線J1よりも上側に位置する。
図3に示すように、第1流体供給部85bは、凹部38の内部に位置する。より詳細には、第1流体供給部85bは、凹部38の第2部分38bの内部に位置する。第1流体供給部85bは、外周面52cと隙間を介して径方向に対向している。第1流体供給部85bの径方向外側の端部は、第1固定部53aの径方向外側の端部よりも径方向内側に位置する。
【0057】
本実施形態において第1流体供給部85bは、第1固定部53aと第1突出部37aとの周方向の間に位置する。第1流体供給部85bは、第1固定部53aの周方向他方側(-θ側)に位置し、第1固定部53aと隙間を介して周方向に対向している。第1流体供給部85bは、第1突出部37aの周方向一方側(+θ側)に位置し、第1突出部37aの第1側面37cと隙間を介して対向している。第1流体供給部85bにおいて第1供給口85cは、下側かつ斜め前側(+X側)に開口し、外周面52cと隙間を介して対向している。上述したように、第1流体供給部85bにおいて、第1供給口85cは、軸方向に間隔を空けて複数設けられている。
【0058】
第1流体供給部85bは、後述する第1開口部71に向かって開口する第2供給口85dを有する。本実施形態において第2供給口85dは、パイプである第1流体供給部85bを内面から外面まで貫通する孔によって構成されている。第2供給口85dは、第1流体供給部85bの中心軸回りの周方向において、第1供給口85cと異なる位置に位置する。第2供給口85dは、軸方向において、第1供給口85cと異なる位置に位置する。本実施形態において第2供給口85dは、下側かつ僅かに斜め前側に開口している。第1流体供給部85bにおいて、第2供給口85dは、第1供給口85cよりも後側(-X側)に位置する。第1流体供給部85bにおいて、第2供給口85dが開口する方向の上下方向に対する傾きは、第1供給口85cが開口する方向の上下方向に対する傾きよりも小さい。
【0059】
ハウジング30は、流体としてのオイルOが流れる第1流路70を有する。第1流路70は、モータハウジング31の内部とギヤハウジング32の内部とを繋いでいる。
図4に示すように、第1流路70は、第1突出部37aの周方向一方側(+θ側)の第1側面37cに開口する第1開口部71と、ギヤハウジング32の内部に開口する第2開口部72と、を有する。そのため、第1流体供給部85によってモータ10に供給された流体としてのオイルOの一部を、第1流路70を介してギヤハウジング32の内部に送ることができる。また、第1突出部37aは、軸方向に見てステータコア51の径方向外側の面に沿って延びステータコア51の径方向外側の面と対向する対向面37fと、周方向一方側の第1側面37cと、を有する。そのため、
図3に示すように、第1側面37cとステータコア51の径方向外側の面とによって構成される角部90内に、第1流体供給部85によってモータ10に供給されたオイルOの一部を一時的に滞留させやすい。これにより、角部90内に滞留するオイルOの少なくとも一部を第1側面37cに開口する第1開口部71内へと流入させやすい。したがって、第1流路70を介して、ギヤハウジング32の内部にオイルOを好適に送ることができる。そのため、ギヤハウジング32の内部に開口する第2開口部72を、ギヤハウジング32内においてオイルOを供給したい所望の箇所に開口させることで、ギヤハウジング32内の所望の箇所に好適にオイルOを送ることができる。これにより、ギヤハウジング32内におけるオイルOの供給が不十分になることを抑制できる。また、第1側面37cとステータコア51の径方向外側の面とによって構成される角部90をオイルOが一時的に滞留する部分として利用できるため、ハウジング30にオイルOが溜まる部分を別途設ける必要がなく、ハウジング30が複雑化することを抑制できる。
【0060】
なお、本実施形態において角部90は、第1側面37cと、外周面52cのうち第1側面37cの径方向内側の端部から周方向一方側(+θ側)に延びる部分とによって構成されており、角部90の開き角度は、上述した角度φである。
【0061】
本実施形態において第1開口部71は、凹部38内に開口している。また、上述したように、第1流体供給部85bは、凹部38内に配置されている。そのため、第1流体供給部85bから凹部38内に供給されたオイルOを第1開口部71内に好適に流入させやすい。これにより、第1流路70を介して、ギヤハウジング32内にオイルOをより送りやすい。したがって、ギヤハウジング32内におけるオイルOの供給が不十分になることをより抑制できる。
【0062】
また、上述したように、本実施形態において第1流体供給部85bは、凹部38内において、第1固定部53aと第1突出部37aとの周方向の間に位置する。そのため、第1流体供給部85bから凹部38内に供給されたオイルOが、周方向において第1突出部37aが位置する側(-θ側)と異なる側(+θ側)に流れることを、第1固定部53aによって抑制できる。これにより、第1流体供給部85bから凹部38内に供給されたオイルOを角部90内に一時的に滞留させやすくでき、角部90内から第1開口部71へとオイルOをより好適に流入させることができる。したがって、第1流路70を介して、より好適にギヤハウジング32内にオイルOを送ることができ、ギヤハウジング32内におけるオイルOの供給が不十分になることをより好適に抑制できる。
【0063】
また、上述したように、本実施形態では、第1突出部37aは、第2突出部37bよりも下側に位置する。そのため、第1側面37cを上側に向かせやすく、第1側面37cと外周面52cとによって構成される角部90内を上側に開口させやすい。これにより、第1流体供給部85bから凹部38内に供給されたオイルOを、重力を利用して角部90内へと好適に導くことができる。したがって、第1流路70を介して、より好適にギヤハウジング32内にオイルOを送ることができ、ギヤハウジング32内におけるオイルOの供給が不十分になることをより好適に抑制できる。
【0064】
本実施形態において第1開口部71は、上側に開口している。そのため、角部90に一時的に滞留したオイルOを、重力を利用して第1開口部71内へと流入させやすい。これにより、第1流路70を介して、より好適にギヤハウジング32内にオイルOを送ることができ、ギヤハウジング32内におけるオイルOの供給が不十分になることをより好適に抑制できる。
【0065】
なお、本明細書において「第1開口部が上側に開口している」とは、第1開口部を上側から見た際に第1開口部の少なくとも一部が視認できればよく、第1開口部が真上を向いて開口していることに加え、第1開口部が真上に対して上下方向と直交する方向に傾いて開口していることも含む。本実施形態において第1開口部71は、真上を向く向きに対して、前側(+X側)に傾いた向きに開口している。つまり、本実施形態において第1開口部71は、上側および前側に開口している。
【0066】
また、上述したように、本実施形態において第1流体供給部85bは、第1開口部71に向かって開口する供給口として第2供給口85dを有する。そのため、第2供給口85dからモータハウジング31内に流入したオイルOを第1開口部71内に流入させやすい。これにより、第1流路70を介して、より好適にギヤハウジング32内にオイルOを送ることができ、ギヤハウジング32内におけるオイルOの供給が不十分になることをより好適に抑制できる。
【0067】
なお、本明細書において「供給口が第1開口部に向かって開口する」とは、供給口の少なくとも一部が、供給口が開口する方向において第1開口部と対向していればよい。本実施形態においては、第2供給口85dの全体が、第2供給口85dが開口する方向において第1開口部71と対向している。本実施形態において第2供給口85dが開口する方向とは、第2供給口85dを構成する孔が第1流体供給部85bを内面から外面まで貫通する方向である。
【0068】
図6に示すように、本実施形態において第1開口部71は、第1側面37cと対向面37fとに跨って設けられている。そのため、対向面37fと対向する外周面52cに沿って第1突出部37aへと流れるオイルOを第1開口部71内に好適に流入させやすい。これにより、第1流路70を介して、より好適にギヤハウジング32内にオイルOを送ることができ、ギヤハウジング32内におけるオイルOの供給が不十分になることをより好適に抑制できる。
【0069】
ここで、第1流路70内にオイルOが流れ過ぎると、ステータ50を冷却するオイルOの量が不足する恐れがある。また、第1流路70がギヤハウジング32内で開口する箇所によっては、過剰に多いオイルOが流入しない方が好ましい場合もある。これに対して、本実施形態では、上述したように、第1突出部37aは、対向面37fから径方向外側に窪む溝部37eを有し、溝部37eは、第1側面37cから第1突出部37aの周方向他方側の第2側面37dまで周方向に延びている。そのため、角部90に一時的に滞留したオイルOの一部を、溝部37eを介して、第1突出部37aの周方向他方側へと送ることができる。これにより、第1開口部71から第1流路70内にオイルOが流れ過ぎることを抑制できる。したがって、ステータ50を冷却するオイルOの量が不足することを抑制でき、かつ、第1流路70を介してギヤハウジング32内に流入するオイルOの量を好適に調整しやすい。
【0070】
本実施形態において第1開口部71は、第1側面37cのうち周方向に隣り合う溝部37e同士の間に位置する部分に設けられている。そのため、第1開口部71を挟んで配置される2つの溝部37eに流れようとするオイルOの一部を第1開口部71へと流入させやすく、第1流路70内を流れるオイルOの量が少なくなることを抑制できる。本実施形態において第1開口部71は、第1開口部71を軸方向に挟んで配置される一対の溝部37e同士の間の部分において、軸方向他方側(-Y側)に偏った位置に配置されている。第1開口部71を軸方向に挟んで配置される一対の溝部37eのうち軸方向他方側に位置する溝部37eと第1開口部71との間の軸方向の距離は、第1開口部71の軸方向の寸法よりも小さい。本実施形態において第1開口部71は、第1流路70が延びる方向に見て、円形状である。
【0071】
図5に示すように、本実施形態において第2開口部72は、ベアリング保持部35eに設けられている。そのため、第1流路70を介して、ベアリング保持部35eに保持されるベアリング25eに潤滑油としてオイルOを供給することができる。ここで、本実施形態においてベアリング保持部35eは、隔壁部33よりも軸方向他方側(-Y側)に位置するベアリング保持部である。そのため、ベアリング保持部35eには、他のベアリング保持部に比べて、リングギヤ22bによるオイルOのかき上げ、および後述する第2流路80によってオイルOを供給しにくい。本実施形態では、このように、従来ではオイルOを供給しにくい位置に配置されたベアリング保持部35eに対して、第1流路70を介して、オイルOを好適に供給できる。したがって、ギヤハウジング32内におけるオイルOの供給が不十分になることを好適に抑制できる。上述したように本実施形態においてベアリング保持部35eは、差動装置22の一部を回転可能に支持するベアリング25eを保持している。そのため、第2開口部72から流出するオイルOによってベアリング25eの潤滑を好適に維持することができ、ベアリング25eによって差動装置22の一部を好適に回転可能に支持することができる。
【0072】
また、ボールベアリングのようなベアリング25eには、オイルOを供給しすぎると、ベアリング25eの回転性能が低下する恐れがある。これに対して、本実施形態においては、上述したように溝部37eが設けられることで、第2開口部72からベアリング保持部35eに供給されるオイルOの量が多くなり過ぎることを抑制できる。これにより、ベアリング25eの回転性能が低下することを抑制しつつ、ベアリング25eの潤滑を好適に維持することができる。
【0073】
本実施形態において第2開口部72は、ベアリング保持部35eにおける周壁部35gの内周面に開口している。第2開口部72は、軸方向一方側(+Y側)および後側(-X側)に開口している。本実施形態において第2開口部72は、第1流路70が延びる方向に見て、円形状である。
【0074】
本実施形態において第2開口部72は、ガイド溝35fの内面に開口している。そのため、第2開口部72から流出したオイルOをガイド溝35f内に流すことができ、ガイド溝35fを介して、オイルOを、ベアリング保持部35e内に保持されたベアリング25eへと好適に供給しやすい。本実施形態において第2開口部72は、ガイド溝35fのうち周壁部35gに設けられた部分の内面に開口している。
【0075】
図1および
図4に示すように、本実施形態において第1流路70は、第1開口部71から第2開口部72に向かうに従って下側に位置する。そのため、第1開口部71に流入したオイルOを、重力を利用して、第2開口部72まで好適に流すことができる。これにより、ポンプなどを使用することなく、第1流路70内にオイルOを好適に流すことができる。
【0076】
本実施形態において第1流路70は、直線状に延びている。第1流路70は、上下方向に対して前後方向(X軸方向)および軸方向に傾く方向に延びている。
図1に示すように、第1流路70は、第1開口部71から第2開口部72へと下側に向かうに従って、軸方向一方側(+Y側)に位置する。
図4に示すように、第1流路70は、第1開口部71から第2開口部72へと下側に向かうに従って、後側(-X側)に位置する。第1流路70は、例えば、ドリルなどの工具によってハウジング本体30aに穴加工を施すことで作られる。
【0077】
図1に示すように、ハウジング30は、第2流路80を有する。第2流路80の途中には、ポンプ89aと、クーラ89bと、が設けられている。ポンプ89aおよびクーラ89bは、ハウジング30に取り付けられている。第2流路80は、第1接続流路部81と、第2接続流路部82と、第3接続流路部83と、第4接続流路部84と、第1流体供給部85と、第2流体供給部86と、モータシャフト内流路部87と、ギヤシャフト内流路部88a,88bと、を有する。
【0078】
第1接続流路部81は、貯留部39の内部とポンプ89aとを繋いでいる。第1接続流路部81は、ハウジング30の底壁部30hに設けられ、貯留部39内のうち隔壁開口33aの内部に開口している。第2接続流路部82は、ポンプ89aとクーラ89bとを繋いでいる。本実施形態において第2接続流路部82は、モータハウジング31の底壁部30iに設けられている。
【0079】
第3接続流路部83は、クーラ89bと第1流体供給部85の内部とを繋いでいる。このように、本実施形態において第2流路80は、貯留部39から少なくとも第1流体供給部85まで延びている。そのため、ハウジング30の貯留部39内のオイルOを、第2流路80を介して第1流体供給部85に好適に送ることができる。これにより、第1流体供給部85からモータハウジング31内に好適にオイルOを送ることができ、ステータ50を好適に冷却できるとともに、第1流路70を介してギヤハウジング32内にも好適にオイルOを送ることができる。本実施形態において第3接続流路部83は、モータハウジング31の底壁部30iとモータカバー30bとに跨って設けられている。
【0080】
モータシャフト内流路部87は、第3接続流路部83のうちモータカバー30bに設けられた部分からベアリング保持部34b内を介して分岐している。モータシャフト内流路部87は、中空のモータシャフト41によって構成されている。本実施形態のモータシャフト内流路部87内において、オイルOは、軸方向他方側(-Y側)から軸方向一方側(+Y側)へと流れる。モータシャフト内流路部87の軸方向他方側の端部は、ベアリング保持部34b内に繋がっている。第3接続流路部83からモータシャフト内流路部87へと流れるオイルOの一部は、ベアリング保持部34bに保持されたベアリング43bに供給される。
【0081】
モータシャフト内流路部87の内部を流れるオイルOの一部は、モータシャフト41の孔部41aからロータコア42の内部を通過して、ステータ50に飛散する。モータシャフト内流路部87の内部を流れるオイルOの残りは、モータシャフト41の軸方向一方側(+Y側)の端部からベアリング保持部34a内およびベアリング保持部35b内に流れ、ベアリング43a,25bに供給される。
【0082】
第3接続流路部83から第1流体供給部85内へと流れたオイルOの一部は、第1供給口85cおよび第2供給口85dからモータハウジング31内に供給される。第1流体供給部85からモータハウジング31内に供給されたオイルOの一部は第1流路70を介してギヤハウジング32へと流れる。本実施形態では、第1流路70内を流れるオイルOは、第2開口部72からベアリング保持部35e内に流れ、ベアリング25eに供給される。第1流体供給部85からモータハウジング31内に供給されたオイルOの残りは、ステータ50に供給される。ステータ50およびベアリング43a,43bに供給されたオイルOは、下側に落下して、モータハウジング31の貯留部39a内に溜まる。ベアリング25b,25eに供給されたオイルOは、下側に落下してギヤハウジング32の貯留部39b内に溜まる。第1流体供給部85の内部を流れるオイルOの残りは、第2流体供給部86へと流れる。
【0083】
本実施形態において第2流体供給部86は、軸方向に延びるパイプである。より詳細には、第2流体供給部86は、軸方向に延び、軸方向両側に開口する円筒状である。第2流体供給部86は、ギヤハウジング32の内部に位置する。第2流体供給部86の軸方向一方側(+Y側)の端部は、ギヤカバー30cの蓋部30fに支持されている。第2流体供給部86の軸方向他方側(-Y側)の端部は、隔壁部33に支持されている。第2流体供給部86は、隔壁部33を貫通する孔を介して第1流体供給部85aと軸方向に繋がっている。
【0084】
第2流体供給部86は、ギヤ機構20に向かって開口する第3供給口86aを有する。第3供給口86aは、軸方向に間隔を空けて複数設けられている。第1流体供給部85から第2流体供給部86へと流れたオイルOは、軸方向一方側に流れ、一部が第3供給口86aからギヤ機構20へと噴射される。これにより、ギヤ機構20の各ギヤに潤滑油としてオイルOを好適に供給できる。第2流体供給部86内を流れる残りのオイルOは、第4接続流路部84へと流れる。
【0085】
第4接続流路部84は、第2流体供給部86の軸方向一方側(+Y側)の端部とギヤシャフト内流路部88a,88bの軸方向一方側の端部とを繋いでいる。本実施形態において第4接続流路部84は、ギヤカバー30cの蓋部30fに設けられている。第4接続流路部84内を流れるオイルOは、ギヤシャフト内流路部88aとギヤシャフト内流路部88bとに分岐して流れる。
【0086】
ギヤシャフト内流路部88aは、中空の第1ギヤシャフト23aによって構成されている。ギヤシャフト内流路部88bは、中空の第2ギヤシャフト23bによって構成されている。ギヤシャフト内流路部88a,88b内において、オイルOは、軸方向一方側(+Y側)から軸方向他方側(-Y側)へと流れる。ギヤシャフト内流路部88aの軸方向両側の端部は、それぞれベアリング保持部35a,35b内に繋がっている。ギヤシャフト内流路部88bの軸方向両側の端部は、それぞれベアリング保持部35c,35d内に繋がっている。第4接続流路部84からギヤシャフト内流路部88a,88bへと流れるオイルOの一部は、ベアリング保持部35a,35cに保持されたベアリング25a,25cに供給される。ギヤシャフト内流路部88a内を流れるオイルOは、ギヤシャフト内流路部88aの軸方向他方側の端部からベアリング保持部34a,35b内のベアリング43a,25bに供給される。ギヤシャフト内流路部88b内を流れるオイルOは、ギヤシャフト内流路部88bの軸方向他方側の端部からベアリング保持部35d内のベアリング25dに供給される。ベアリング25a,25b,25c,25dに供給されたオイルOは、下側に落下してギヤハウジング32の貯留部39b内に溜まる。
【0087】
以下、上述した実施形態と異なる実施形態について説明する。以下の各実施形態の説明においては、各実施形態の説明よりも上段において説明した構成と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより説明を省略する場合がある。また、各実施形態の説明よりも上段において説明した構成の各部に対応する部分については、同一の名称を付すとともに異なる符号を付して、上述した構成とは異なる点を説明し、上述した構成と同様の点については説明を省略する場合がある。なお、以下の各実施形態において説明を省略した構成としては、矛盾しない範囲内において、各実施形態よりも上段において説明した構成と同様の構成を採用できる。
【0088】
<第2実施形態>
図7に示すように、本実施形態の駆動装置200において、第2流路280における第1流体供給部285および第2流体供給部286は、ハウジング230の壁部内に設けられた流路部である。第1流体供給部285は、モータハウジング31の上側の壁部内に設けられている。第2流体供給部286は、ギヤハウジング32の上側の壁部内に設けられている。第1流体供給部285における第1供給口285cは、モータハウジング31の内面に開口している。図示は省略するが、第1流体供給部285のうち、第1開口部71に向かって開口する第2供給口もモータハウジング31の内面に開口している。第2流体供給部286における第3供給口286aは、ギヤハウジング32の内面に開口している。駆動装置200のその他の構成は、第1実施形態の駆動装置100のその他の構成と同様である。
【0089】
<第3実施形態>
図8に示すように、本実施形態の駆動装置300において、中間軸線J2は、中心軸線J1よりも下側に位置する。本実施形態において中間軸線J2の前後方向(X軸方向)の位置は、中心軸線J1の前後方向の位置とほぼ同じである。本実施形態において出力軸線J3は、中心軸線J1よりも下側に位置し、中心軸線J1よりも後側(-X側)に位置する。本実施形態において出力軸線J3の上下方向の位置は、中間軸線J2の上下方向の位置とほぼ同じである。
【0090】
ハウジング330には、第1貯留部339cと、第2貯留部339dと、が設けられている。第1貯留部339cは、第1実施形態の貯留部39と同様である。第2貯留部339dは、ギヤハウジング332の内部に設けられている。第2貯留部339dは、第1貯留部339cよりも上側に離れて位置する。第2貯留部339dは、上側に開口している。第2貯留部339dは、例えば、樋状である。本実施形態において第2貯留部339dは、中心軸線J1および中間軸線J2よりも後側に位置する。第2貯留部339dは、出力軸線J3の上側に位置する。
【0091】
第2貯留部339d内には、リングギヤ22bによってかき上げられたオイルOの少なくとも一部が流入する。第2貯留部339d内に貯留されたオイルOは、ギヤハウジング332の内面に設けられたベアリング保持部335d,335e内に供給される。図示は省略するが、ベアリング保持部335dは、第1実施形態のベアリング保持部35dが保持するベアリング25dと同様のベアリングを保持している。図示は省略するが、ベアリング保持部335eは、第1実施形態のベアリング保持部35eが保持するベアリング25eと同様のベアリングを保持している。
【0092】
本実施形態において第1流路370の第2開口部372は、第2貯留部339d内に開口している。そのため、第1流体供給部85からモータハウジング31内に供給されたオイルOの一部を、第1流路370を介して、第2貯留部339d内に供給することができる。これにより、第2貯留部339dを介して、ベアリング保持部335d,335e内に保持されたベアリングに好適にオイルOを供給することができる。
【0093】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。流体が流れる第1流路は、第1開口部と第2開口部とを有するならば、どのような構成であってもよい。第1開口部は、第1突出部の周方向一方側の第1側面に開口するならば、どのような向きに開口してもよいし、どのよう形状であってもよい。第1開口部は、対向面に設けられずに、第1側面のみに設けられてもよい。第2開口部は、ギヤハウジングの内部に開口するならば、どのような向きに開口してもよいし、どのような形状であってもよい。第2開口部は、ギヤハウジングの内部のうちのいずれの箇所に開口していてもよい。
【0094】
第1突出部は、径方向内側に突出し、対向面を有するならば、どのような部分であってもよい。第1突出部は、ステータコアを支持していなくてもよい。第1突出部には、溝部が設けられなくてもよい。第1突出部と第2突出部との周方向の間に位置する凹部が設けられる場合、当該凹部内には、流体供給部が位置しなくてもよいし、ステータコアの固定部が位置しなくてもよい。流体供給部によってモータに供給される流体は、特に限定されず、オイル以外の流体であってもよい。流体供給部によってモータに供給される流体は、例えば、水であってもよい。
【0095】
本発明が適用される駆動装置の用途は、特に限定されない。駆動装置は、例えば、車軸を回転させる用途以外の用途で車両に搭載されてもよいし、車両以外の機器に搭載されてもよい。駆動装置が用いられる際の姿勢は、特に限定されない。駆動装置のモータにおける中心軸線は、水平方向に対して傾いていてもよいし、上下方向に延びてもよい。
【0096】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 中心軸線を中心として回転可能なロータおよび前記ロータの径方向外側に位置するステータを有するモータと、前記ロータに接続されたギヤ機構と、前記モータを内部に収容するモータハウジングおよび前記ギヤ機構を内部に収容するギヤハウジングを有するハウジングと、前記モータに流体を供給する流体供給部と、を備え、前記ステータは、前記モータハウジング内に固定されたステータコアを有し、前記モータハウジングの内面には、径方向内側に突出する第1突出部が設けられ、前記第1突出部の径方向内側の面は、前記ステータコアの径方向外側の面と径方向に対向する対向面であり、前記対向面は、軸方向に見て前記ステータコアの径方向外側の面に沿って延び、前記ハウジングは、前記流体が流れる第1流路を有し、前記第1流路は、前記第1突出部の周方向一方側の第1側面に開口する第1開口部と、前記ギヤハウジングの内部に開口する第2開口部と、を有する、駆動装置。
(2) 前記モータハウジングの内面には、径方向内側に突出し前記第1突出部と周方向に間隔を空けて配置された第2突出部と、前記第1突出部と前記第2突出部との周方向の間に位置し、径方向外側に窪む凹部と、が設けられ、前記第1開口部は、前記凹部内に開口し、前記流体供給部は、前記凹部内に配置されている、(1)に記載の駆動装置。
(3) 前記ステータコアは、前記対向面と径方向に対向するステータコア本体部と、前記ステータコア本体部から径方向外側に突出し、前記モータハウジングに固定された固定部と、を有し、前記固定部は、前記凹部の内部に位置し、前記流体供給部は、前記固定部と前記第1突出部との周方向の間に位置する、(2)に記載の駆動装置。
(4) 前記第1突出部は、前記第2突出部よりも下側に位置する、(2)または(3)に記載の駆動装置。
(5) 前記第1開口部は、上側に開口している、(1)から(4)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(6) 前記流体供給部は、前記第1開口部に向かって開口する供給口を有する、(1)から(5)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(7) 前記第1流路は、前記第1開口部から前記第2開口部に向かうに従って下側に位置する、(1)から(6)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(8) 前記第1開口部は、前記第1側面と前記対向面とに跨って設けられている、(1)から(7)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(9) 前記第1突出部は、前記対向面から径方向外側に窪む溝部を有し、前記溝部は、前記第1側面から前記第1突出部の周方向他方側の第2側面まで周方向に延びている、(1)から(8)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(10) 前記溝部は、軸方向に間隔を空けて複数設けられ、前記第1開口部は、前記第1側面のうち周方向に隣り合う前記溝部同士の間に位置する部分に設けられている、(9)に記載の駆動装置。
(11) 前記ギヤハウジングは、前記モータハウジングの軸方向一方側に位置し、前記ハウジングは、前記モータハウジングの内部と前記ギヤハウジングの内部とを区画する隔壁部を有し、前記ギヤハウジングは、前記隔壁部よりも軸方向他方側に位置するベアリング保持部を有し、前記第2開口部は、前記ベアリング保持部に設けられている、(1)から(10)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(12) 前記ギヤ機構は、前記ロータに接続された減速装置と、前記減速装置に接続された差動装置と、を有し、前記ベアリング保持部は、前記差動装置の一部を回転可能に支持するベアリングを保持している、(11)に記載の駆動装置。
(13) 前記ハウジングは、前記流体が貯留される貯留部と、前記貯留部から少なくとも前記流体供給部まで延びる第2流路と、を有する、(1)から(12)のいずれか一項に記載の駆動装置。
【0097】
以上、本明細書において説明した構成および方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0098】
10…モータ、20…ギヤ機構、21…減速装置、22…差動装置、25e…ベアリング、30,230,330…ハウジング、31…モータハウジング、32,332…ギヤハウジング、33…隔壁部、35e…ベアリング保持部、37a…第1突出部、37b…第2突出部、37c…第1側面、37d…第2側面、37e…溝部、37f…対向面、38…凹部、39,39a,39b…貯留部、40…ロータ、50…ステータ、51…ステータコア、52…ステータコア本体部、53…固定部、70,370…第1流路、71…第1開口部、72,372…第2開口部、80…第2流路、85…第1流体供給部(流体供給部)、100,200,300…駆動装置、J1…中心軸線、O…オイル(流体)