(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094871
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】取付構造、取付部材及び接続構造
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20240703BHJP
H01R 12/91 20110101ALI20240703BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R12/91
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211742
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝正
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB26
5E223AC05
5E223BA01
5E223BA07
5E223CB22
5E223CB24
5E223CB31
5E223CB38
5E223CD01
5E223DB11
5E223DB14
5E223DB33
5E223EA02
5E223EA33
(57)【要約】
【課題】支持部と当該支持部から延びる形状を有する延出部とを有する構造において、延出部の振動を抑制することができる取付部材を提供する。
【解決手段】取付対象物18は、支持部20と、支持部20から延びる形状を有する複数の延出部30と、を備える。取付部材19は、基部側接触部51,52a,61,62と、非基部側接触部52b,63と、を有する。基部側接触部51,52a,61,62は、支持部20と基部31のうち少なくとも一方に接触し、非基部側接触部52b,63は、非基部32に接触する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物と、前記取付対象物に取り付けられる取付部材と、を備える取付構造であって、
前記取付対象物は、
支持部と、
前記支持部に支持され、前記支持部から延びる形状を有する延出部と、を有し、
前記延出部は、前記支持部に近い部分である基部と、前記支持部から遠い部分である非基部と、を有し、
前記取付部材は、前記支持部と前記基部のうち少なくとも一方に接触する基部側接触部と、前記非基部に接触する非基部側接触部と、を有する、
取付構造。
【請求項2】
前記基部側接触部及び前記非基部側接触部の少なくとも一方は、前記取付対象物に対し、互いに対向する2方向から接触する、
請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記取付部材は、前記取付対象物に接触する接触部材を有し、
前記接触部材は、互いに別体として形成された一対の挟持部材であって、前記取付対象物を挟持するように配置される前記一対の挟持部材を有する、
請求項1に記載の取付構造。
【請求項4】
前記取付部材は、前記一対の挟持部材とは別体として形成された保持部材を有し、
前記保持部材は、前記一対の挟持部材が前記取付対象物を挟持するように配置された状態を保持する、
請求項3に記載の取付構造。
【請求項5】
前記保持部材は、前記一対の挟持部材が前記取付対象物を挟持する方向に、前記一対の挟持部材を付勢する、
請求項4に記載の取付構造。
【請求項6】
前記保持部材として、
前記基部側接触部に対応する位置に配置される基部側保持部材と、
前記非基部側接触部に対応する位置に配置される非基部側保持部材と、が設けられる、
請求項4に記載の取付構造。
【請求項7】
前記保持部材は、
前記一対の挟持部材を押圧する一対の押圧壁と、
前記一対の押圧壁を連結する一対の連結壁と、を有する、
請求項4に記載の取付構造。
【請求項8】
前記保持部材は、前記一対の挟持部材を包囲するように配置され、
前記一対の挟持部材と前記保持部材とが接触する箇所には、前記接触部材と前記取付対象物との接触状態を維持するための複数の突起が形成される、
請求項4に記載の取付構造。
【請求項9】
前記延出部は、導電部材であり、
前記延出部のうち前記支持部に支持された側とは反対側の部分は、コネクタに接続される、
請求項1に記載の取付構造。
【請求項10】
前記コネクタは、フローティングコネクタである、
請求項9に記載の取付構造。
【請求項11】
前記コネクタは、端子を備え、
前記端子は、
前記延出部に接触する変位部と、
前記変位部を弾性的に支持するバネ部と、を有し、
前記バネ部は、その板厚方向をある仮想平面内に向け、
前記基部側接触部及び前記非基部側接触部の少なくとも一方は、前記取付対象物に対し、互いに対向する2方向であって前記仮想平面に沿う方向から接触する、
請求項10に記載の取付構造。
【請求項12】
前記コネクタは、ボトムエントリータイプである、
請求項9に記載の取付構造。
【請求項13】
前記支持部は、絶縁部材であり、前記延出部は、前記絶縁部材に保持された端子である、
請求項1に記載の取付構造。
【請求項14】
取付対象物に取り付けるための取付部材であって、
前記取付対象物は、
支持部と、
前記支持部に支持され、前記支持部から延びる形状を有する延出部と、を有し、
前記延出部は、前記支持部に近い部分である基部と、前記支持部から遠い部分である非基部と、を有し、
前記取付部材は、前記支持部と前記基部のうち少なくとも一方に接触する基部側接触部と、前記非基部に接触する非基部側接触部と、を有する、
取付部材。
【請求項15】
接続対象物と、前記接続対象物に接続されるコネクタと、を備える接続構造であって、
前記接続対象物は、取付対象物と、前記取付対象物に取り付けられる取付部材と、を有し、
前記取付対象物は、
支持部と、
前記支持部に支持され、前記支持部から延びる形状を有する延出部と、を有し、
前記延出部は、前記支持部に近い部分である基部と、前記支持部から遠い部分である非基部と、を有し、
前記取付部材は、前記支持部と前記基部のうち少なくとも一方に接触する基部側接触部と、前記非基部に接触する非基部側接触部と、を有する、
接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、取付構造、取付部材及び接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されたような構造が知られている。この構造では、オス部材が2つのメス端子を介して2つの基板を電気的に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構造において基板間の距離が大きいと、オス部材の長さも長くなる。オス部材が長くなるほど固有振動数が下がり、振動環境下に置かれた場合に共振が発生する可能性が高くなる。その結果、オス部材が破損したり、オス部材とメス端子の接触部分で微摺動摩耗が発生したりする等の不具合が起こりやすくなる。
【0005】
基板間の距離を変えずに共振を抑制する方法として、オス部材の板厚や幅を大きくしたりオス部材の材料を剛性が高いものに変更したりして、固有振動数を上げる方法が考えられる。しかしながら、オス部材の変更が不能な場合、上記方法を採用することができない。また、オス部材の変更が可能であっても、材料の選定や設計変更、金型起工といった工程が必要になり、膨大な時間とコストがかかる。
【0006】
本開示の1つの目的は、支持部と当該支持部から延びる形状を有する延出部とを有する構造において、延出部の振動を抑制することができる取付部材及びこれを用いた取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る取付構造は、取付対象物と、前記取付対象物に取り付けられる取付部材と、を備える取付構造であって、前記取付対象物は、支持部と、前記支持部に支持され、前記支持部から延びる形状を有する延出部と、を有し、前記延出部は、前記支持部に近い部分である基部と、前記支持部から遠い部分である非基部と、を有し、前記取付部材は、前記支持部と前記基部のうち少なくとも一方に接触する基部側接触部と、前記非基部に接触する非基部側接触部と、を有する。
【0008】
本態様では、取付構造は、取付対象物を備える。取付対象物は、支持部と、支持部から延びる形状を有する延出部と、を備える。
延出部は支持部に支持されているものの支持部から延びる形状を有するので、延出部の固有振動数は低くなりやすい。取付構造が振動環境下に置かれる場合、当該振動環境の振動数が延出部の固有振動数に近いと共振が発生し、延出部が大きく振動してしまうおそれがある。
【0009】
また、本態様では、取付構造は、取付対象物に取り付けられる取付部材を備える。取付部材は、基部側接触部と、非基部側接触部と、を有する。基部側接触部は、支持部と基部のうち少なくとも一方に接触し、非基部側接触部は、非基部に接触する。なお、基部は、延出部のうち支持部に近い部分を意味し、非基部は、延出部のうち支持部から遠い部分を意味する。
このため、取付部材が取り付けられた延出部の固有振動数は、取付部材が取り付けられていない延出部の固有振動数よりも高くなる。
【0010】
したがって、本態様によれば、取付部材により固有振動数を調整でき、その結果、延出部の振動を抑制することができる。
【0011】
なお、後述の実施形態では、延出部が、一直線に延びる棒状部である例を説明するが、本態様の延出部はこれに限定されない。本態様の延出部は、例えば、曲線部分を含む棒状部であってもよいし、板状部(板状に形成された部分又は部材)であってもよい。
また、後述の実施形態では、基部側接触部が、支持部と基部のうち両方に接触する例を説明するが、本態様の基部側接触部はこれに限定されない。本態様の基部側接触部は、基部に接触すると共に支持部に接触しないものであってもよいし、支持部に接触すると共に基部に接触しないものであってもよい。
また、後述の実施形態では、支持部と延出部とが、異なる材料で形成される例を説明するが、本態様はこれに限定されない。本態様の支持部と基部とは、同じ材料で一体に形成されてもよい。
また、後述の実施形態では、支持部が延出部の基部側を移動しないように支持する例を説明するが、本態様はこれに限定されない。本態様の支持部は、例えば、延出部としてのオス部材が接続されたメス端子(特許文献1参照)であってもよい。この場合、基部側接触部が接触するのは、メス端子の脚部であってもよいし、回路基板や他の部材(筐体等)であってもよい。
また、後述の実施形態では、延出部が導電性の部材である例を説明するが、本開示の延出部はこれに限定されない。
また、後述の実施形態では、取付構造を有する物が、コネクタの接続対象物である例を説明するが、本態様はこれに限定されない。本態様の取付構造を有する物は、接続対象物でなくてもよい。例えば、延出部のうち支持部に支持された側とは反対側の部分は、コネクタではなく、基板に直接接合されてもよい。また、延出部のうち支持部に支持された側とは反対側の部分は、他の部材や部品に接続や接合されていなくてもよい。
また、後述の実施形態では、取付対象物が複数の延出部を備え、複数の延出部が支持部に支持されている例を説明するが、本態様はこれに限定されない。本態様の取付対象物が備える延出部は、1つであってもよい。
また、後述する実施形態では、延出部における基部と非基部との境界が、断面形状が変化する部分であるとして説明するが、本態様はこれに限定されない。本態様において、延出部における基部と非基部との境界は明確に定まるものではないし、定める必要もない。
【0012】
第2の態様に係る取付構造は、第1の態様において、前記基部側接触部及び前記非基部側接触部の少なくとも一方は、前記取付対象物に対し、互いに対向する2方向から接触する。
【0013】
本態様では、基部側接触部及び非基部側接触部の少なくとも一方は、取付対象物に対し、互いに対向する2方向から接触する。
このため、当該対向する2方向への振動に関する固有振動数を効果的に上げることができる。
【0014】
なお、本態様は、圧入によって取付部材が取付対象物に取り付けられる場合を含む。この場合、基部側接触部及び非基部側接触部の少なくとも一方が、互いに対向する2方向以外から接触しないときには、当該2方向以外の面で圧入時に擦れない。圧入時に擦れないことは、取付対象物や取付部材の表面が削れることを抑制できる。延出部が端子である場合は、表面が圧入時に削れない面を相手端子との接触面にすることが好ましい。
【0015】
第3の態様に係る取付構造は、第1又は第2の態様において、前記取付部材は、前記取付対象物に接触する接触部材を有し、前記接触部材は、互いに別体として形成された一対の挟持部材であって、前記取付対象物を挟持するように配置される前記一対の挟持部材を有する。
【0016】
本態様では、取付部材は、取付対象物に接触する接触部材を有する。接触部材は、互いに別体として形成された一対の挟持部材を有する。一対の挟持部材は、取付対象物を挟持するように配置される。
このため、取付対象物に取付部材を取り付ける作業が圧入でない。その結果、圧入の際の取付対象物や取付部材の表面の削れを避けることができる。
なお、後述する実施形態では、取付部材が保持部材を更に有する例を説明するが、本態様はこれに限定されない。取付部材が保持部材を有しない場合、一対の挟持部材が取付対象物を挟持するように配置された状態を保持するための構造を当該一対の挟持部材自身が有してもよい。このような構造としては、例えば、爪部と孔部とが係合する構造や、接着剤等が挙げられる。
【0017】
第4の態様に係る取付構造は、第3の態様において、前記取付部材は、前記一対の挟持部材とは別体として形成された保持部材を有し、前記保持部材は、前記一対の挟持部材が前記取付対象物を挟持するように配置された状態を保持する。
【0018】
本態様では、取付部材は、一対の挟持部材とは別体として形成された保持部材を有する。保持部材は、一対の挟持部材が取付対象物を挟持するように配置された状態を保持する。
このため、一対の挟持部材自身が上記状態を保持するための構造を有する必要がない。
【0019】
第5の態様に係る取付構造は、第4の態様において、前記保持部材は、前記一対の挟持部材が前記取付対象物を挟持する方向に、前記一対の挟持部材を付勢する。
【0020】
本態様では、保持部材は、一対の挟持部材が取付対象物を挟持する方向に、一対の挟持部材を付勢する。
このため、一対の挟持部材を取付対象物に良好に接触させることができる。
【0021】
第6の態様に係る取付構造は、第4又は第5の態様において、前記保持部材として、前記基部側接触部に対応する位置に配置される基部側保持部材と、前記非基部側接触部に対応する位置に配置される非基部側保持部材と、が設けられる。
【0022】
本態様では、保持部材として、基部側接触部に対応する位置に配置される基部側保持部材と、非基部側接触部に対応する位置に配置される非基部側保持部材と、が設けられる。
このため、基部側保持部材と非基部側保持部材のうち片方のみが設けられる態様と比較して、固有振動数を効果的に上げることができる。
【0023】
第7の態様に係る取付構造は、第4~第6の何れかの態様において、前記保持部材は、前記一対の挟持部材を押圧する一対の押圧壁と、前記一対の押圧壁を連結する一対の連結壁と、を有する。
【0024】
本態様では、保持部材は、一対の挟持部材を押圧する一対の押圧壁と、一対の押圧壁を連結する一対の連結壁と、を有する。
このため、一対の挟持部材を包囲するように保持部材を配置することができる。
【0025】
第8の態様に係る取付構造は、第4~第7の何れかの態様において、前記保持部材は、前記一対の挟持部材を包囲するように配置され、前記一対の挟持部材と前記保持部材とが接触する箇所には、前記接触部材と前記取付対象物との接触状態を維持するための複数の突起が形成される。
【0026】
本態様では、保持部材は、一対の挟持部材を包囲するように配置される。このため、保持部材が外れにくい。
しかし、何らかの原因により保持部材の形状が歪んでしまうと、一対の挟持部材を有する接触部材と取付対象物との接触状態が所望の状態から変化してしまうおそれがある。
そこで、本態様では、一対の挟持部材と保持部材とが接触する箇所に、接触部材と取付対象物との接触状態を維持するための複数の突起が形成される。
このため、保持部材の形状が多少歪んでも、複数の突起が形成された各々の位置で一対の挟持部材と保持部材とが接触した状態を維持することができる。その結果、接触部材と取付対象物との接触状態を適切に維持することができる。
【0027】
なお、後述の実施形態では、突起が、保持部材が取り付けられる方向と同じ方向に直線状に延びる突起である例を説明するが、本態様はこれに限定されない。本態様の突起は、直線状に延びる突起でなくてもよいし、点状の突起であってもよい。
また、後述の実施形態では、突起が、保持部材に形成される例を説明するが、本態様はこれに限定されない。本態様の突起は、一対の挟持部材に形成されてもよい。
【0028】
第9の態様に係る取付構造は、第1~第8の何れかの態様において、前記延出部は、導電部材であり、前記延出部のうち前記支持部に支持された側とは反対側の部分は、コネクタに接続される。
【0029】
本態様では、延出部は、導電部材である。そして、延出部のうち支持部に支持された側とは反対側の部分は、コネクタに接続される。
このため、本態様の取付構造を有する接続対象物とコネクタとの接続構造であって、導電部材である延出部と、コネクタが備える端子との微摺動摩耗等が抑制された接続構造を実現することができる。
【0030】
第10の態様に係る取付構造は、第9の態様において、前記コネクタは、フローティングコネクタである。
【0031】
本態様では、コネクタは、フローティングコネクタである。
延出部のうち支持部に支持された側とは反対側の部分がフローティングコネクタに接続されるので、延出部が振動しやすい。よって、本開示の技術による振動抑制が特に有効である。
【0032】
第11の態様に係る取付構造は、第10の態様において、前記コネクタは、端子を備え、前記端子は、前記延出部に接触する変位部と、前記変位部を弾性的に支持するバネ部と、を有し、前記バネ部は、その板厚方向をある仮想平面内に向け、前記基部側接触部及び前記非基部側接触部の少なくとも一方は、前記取付対象物に対し、互いに対向する2方向であって前記仮想平面に沿う方向から接触する。
【0033】
本態様では、コネクタの端子が有するバネ部は、その板厚方向をある仮想平面内に向ける。このため、変位部は、当該仮想平面に沿う方向に変位しやすい。
そこで、本態様では、互いに対向する2方向(基部側接触部及び非基部側接触部の少なくとも一方が取付対象物に対し接触する2方向)は、当該仮想平面に沿う方向である。
このため、延出部の振動を効果的に抑制することができる。
【0034】
第12の態様に係る取付構造は、第9~第11の何れかの態様において、前記コネクタは、ボトムエントリータイプである。
【0035】
本態様では、コネクタは、ボトムエントリータイプである。
このため、延出部が長くなりやすく、振動が起こりやすい。よって、本開示の技術による振動抑制が特に有効である。
【0036】
第13の態様に係る取付構造は、第1~第12の何れかの態様において、前記支持部は、絶縁部材であり、前記延出部は、前記絶縁部材に保持された端子である。
【0037】
本態様では、支持部は、絶縁部材であり、延出部は、絶縁部材に保持された端子である。このため、絶縁部材に保持された端子の振動を抑制することができる。
【0038】
第14の態様に係る取付部材は、取付対象物に取り付けるための取付部材であって、前記取付対象物は、支持部と、前記支持部に支持され、前記支持部から延びる形状を有する延出部と、を有し、前記延出部は、前記支持部に近い部分である基部と、前記支持部から遠い部分である非基部と、を有し、前記取付部材は、前記支持部と前記基部のうち少なくとも一方に接触する基部側接触部と、前記非基部に接触する非基部側接触部と、を有する。
【0039】
本態様は、取付対象物に取り付けるための取付部材に関する。取付部材を取付対象物に取り付けることで、延出部の振動が抑制された取付構造又は接続構造を実現することができる。
【0040】
第15の態様に係る接続構造は、接続対象物と、前記接続対象物に接続されるコネクタと、を備える接続構造であって、前記接続対象物は、取付対象物と、前記取付対象物に取り付けられる取付部材と、を有し、前記取付対象物は、支持部と、前記支持部に支持され、前記支持部から延びる形状を有する延出部と、を有し、前記延出部は、前記支持部に近い部分である基部と、前記支持部から遠い部分である非基部と、を有し、前記取付部材は、前記支持部と前記基部のうち少なくとも一方に接触する基部側接触部と、前記非基部に接触する非基部側接触部と、を有する。
【0041】
本態様は、接続対象物とコネクタとの接続構造に関する。接続対象物が第1の態様に係る取付構造を有しているので、延出部とコネクタの端子との微摺動摩耗等を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図5】取付対象物と一対の挟持部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本開示の好適な実施形態について説明する。
【0044】
図1~
図4は、本実施形態に係る接続構造10を示す。
接続構造10は、コネクタ11と、接続対象物12と、を備える。つまり、接続構造10は、コネクタ11と接続対象物12との接続構造である。
【0045】
(コネクタ11)
図3、
図4に示すように、コネクタ11は、基板13の上面13aに取り付けられる。コネクタ11は、ボトムエントリータイプのコネクタである。コネクタ11には、基板13の下面13b側から接続対象物12が接続される。
【0046】
コネクタ11は、所謂フローティングコネクタである。
図14に示すように、コネクタ11は、複数(5個)の端子14と、固定ハウジング15と、可動ハウジング16と、複数(2個)の補強部材17と、を備える。
【0047】
各端子14は、基板13とピン端子30とを電気的に中継する。固定ハウジング15は、複数の端子14及び複数の補強部材17によって、基板13に固定される。可動ハウジング16は、固定ハウジング15に対して移動可能に構成される。複数の補強部材17は、固定ハウジング15の基板13に対する固定を補強する。
【0048】
複数の端子14は、互いに同じ構成を有する。複数の端子14は、X方向を配列方向として一列に配列される。
【0049】
端子14は、基板13に固定される固定部14aと、固定部14aに対して変位可能な変位部14bと、固定部14aと変位部14bとを繋ぐバネ部14cと、を有する。
【0050】
固定部14aは、基板13に接続されると共に固定ハウジング15に保持される。
【0051】
変位部14bは、可動ハウジング16に保持されると共にピン端子30と接触する。変位部14bは、ピン端子30をY方向で挟み込むようにピン端子30に接触する。
【0052】
バネ部14cは、板厚方向に曲げられた部分を複数有する。バネ部14cは、その全体において、板厚方向をX方向に垂直な平面に沿う方向に向ける。このため、変位部14bは、X方向よりもY方向に変位しやすくなっている。
【0053】
補強部材17は、固定ハウジング15のX方向両側に取り付けられると共に、基板13に接合される。
【0054】
(接続対象物12)
接続対象物12は、コネクタ11が接続される対象物である。
接続対象物12は、取付対象物18と、取付部材19と、を備える。接続対象物12は、取付対象物18に取付部材19が取り付けられた取付構造18,19を有する。
【0055】
(取付対象物18)
取付対象物18は、取付部材19が取り付けられる対象物である。
取付対象物18は、絶縁部材20(例えば樹脂部材)と、複数のピン端子30と、隣接導電部材40と、を有する。以下、絶縁部材20を支持部20といい、ピン端子30を延出部30ということがある。ピン端子30は、例えば、信号用の端子として用いられる。
【0056】
複数のピン端子30及び隣接導電部材40は、絶縁部材20に支持されると共に、絶縁部材20から上方向(+Z方向)に延出する。取付対象物18は、例えば、複数のピン端子30及び隣接導電部材40をインサート品とするインサート成形により作られる。
【0057】
絶縁部材20は、図示しない筐体等に固定される。絶縁部材20は、複数のピン端子30を支持する第一支持部21と、隣接導電部材40を支持する第二支持部22と、第一支持部21と第二支持部22とを連結する連結部23と、を有する。なお、複数のピン端子30及び隣接導電部材40は、図示しない筐体等から延出している。
第一支持部21、連結部23及び第二支持部22のY寸法は、同じである。
第一支持部21の上面と第二支持部22の上面とは、同じ高さに位置する。連結部23の上面は、第一支持部21の上面よりも下側に位置する。
【0058】
複数のピン端子30は、X方向を配列方向として一列に配列される。複数のピン端子30は、互いに同じ構成を有する。
ピン端子30は、本体部31と、先端部32と、を有する。以下、本体部31を基部31といい、先端部32を非基部32ということがある。
先端部32は、本体部31よりも断面形状(Z方向に垂直な断面の形状)が小さい。具体的には、先端部32のX寸法は、本体部31のX寸法よりも小さく、先端部32のY寸法は、本体部31のY寸法よりも小さい。本体部31の+X方向側の面は、先端部32の+X方向側の面と同一平面上に位置する。本体部31の+Y方向側の面は、先端部32の+Y方向側の面と同一平面上に位置する。
【0059】
より具体的には、本体部31のZ寸法は、先端部32のZ寸法よりも大きい。本体部31及び先端部32は、共に、矩形(具体的には正方形)の断面形状を有する。ピン端子30のY寸法(すなわち本体部31のY寸法)は、絶縁部材20の第一支持部21のY寸法よりも小さい。
【0060】
隣接導電部材40は、例えば、電源用の端子として用いられる。なお、隣接導電部材40は、各図において簡略化して描かれている。
【0061】
(取付部材19)
取付部材19は、取付対象物18に取り付けられる部材である。取付部材19は、複数のピン端子30の振動を抑制するための部材である。取付部材19における各部分の寸法等は、接続対象物12がコネクタ11に接続された状態における、複数のピン端子30の振動を抑制するように設計される。
【0062】
取付部材19は、一対の挟持部材50,60と、複数(2つ)の保持部材70,80と、を備える。
一対の挟持部材50,60は、取付対象物18をY方向(挟持方向)から挟み込むように配置される。以下、Y方向を挟持方向ということがある。
複数の保持部材70,80は、一対の挟持部材50,60が取付対象物18をY方向から挟み込むように配置された状態を保持する。
【0063】
一対の挟持部材50,60は、一方側挟持部材50と他方側挟持部材60とから構成される。一方側挟持部材50と他方側挟持部材60とは、類似の構成を有する。以下、両者を区別しないときは、単に挟持部材50,60という。
【0064】
図5、
図12に示すように、一方側挟持部材50は、絶縁部材20に挟持方向一方側(+Y方向側)から接触する第一接触面51と、ピン端子30に挟持方向一方側から接触する第二接触面52と、を有する。
一方側挟持部材50の第一接触面51及び第二接触面52は、共に、法線方向を挟持方向他方側を向ける平面である。
一方側挟持部材50の第二接触面52は、第一接触面51よりも挟持方向他方側に位置する。
【0065】
図4に示すように、ピン端子30では、本体部31の+Y方向側の面が先端部32の+Y方向側の面と同一平面上に位置するので、第二接触面52は、ピン端子30のうち本体部31及び先端部32の両方に挟持方向一方側から接触する。
具体的には、第二接触面52は、その下部52aにおいてピン端子30の本体部31に接触し、その上部52bにおいてピン端子30の先端部32に接触する。
第一接触面51及び第二接触面52の下部52aが本開示の「基部側接触部」に相当し、第二接触面52の上部52bが本開示の「非基部側接触部」に相当する。
【0066】
図5、
図11に示すように、他方側挟持部材60は、絶縁部材20に挟持方向他方側(-Y方向側)から接触する第一接触面61と、ピン端子30の本体部31に挟持方向他方側から接触する第二接触面62と、ピン端子30の先端部32に挟持方向他方側から接触する第三接触面63と、を有する。
他方側挟持部材60の第一接触面61、第二接触面62及び第三接触面63は、いずれも、法線方向を挟持方向一方側(+Y方向)に向ける平面である。
他方側挟持部材60の第二接触面62は、第一接触面61よりも挟持方向一方側に位置し、他方側挟持部材60の第三接触面63は、第二接触面62よりも挟持方向一方側に位置する。
【0067】
図12に示すように、一方側挟持部材50は、複数(6つ)の突出壁54を有する。複数の突出壁54の各々は、挟持方向他方側に突出し、Z方向に延びる。複数の突出壁54のうち隣り合う2つの突出壁54の間には、各ピン端子30が配置される配置溝55が形成される。配置溝55の底面が第二接触面52となる。このため、第二接触面52は、複数(5つ)に分離されている。
【0068】
図11に示すように、他方側挟持部材60は、複数(6つ)の突出壁64を有する。複数の突出壁64の各々は、挟持方向一方側に突出し、Z方向に延びる。複数の突出壁64のうち隣り合う2つの突出壁64の間には、各ピン端子30が配置される配置溝65が形成される。配置溝65の底面が第二接触面62及び第三接触面63となる。このため、第二接触面62及び第三接触面63は、複数(5つ)に分離されている。
【0069】
図6~
図8に示すように、一方側挟持部材50の複数の突出壁54と、他方側挟持部材60の複数の突出壁64とは、挟持方向で接触しないように形成される。これにより、一方側挟持部材50と他方側挟持部材60とは、互いに接触しない。
一方側挟持部材50の第二接触面52に対する突出壁54の突出量(Y方向の突出量)は、他方側挟持部材60の第三接触面63に対する突出壁64の突出量とほぼ同じである。そして、一方側挟持部材50の第二接触面52に対する突出壁54の突出量は、他方側挟持部材60の第二接触面52に対する突出壁64の突出量よりも小さい。
【0070】
図11に示すように、一方側挟持部材50の挟持方向一方側(+Y方向)の面には、挟持方向他方側に窪んだ凹部56が形成される。
図12に示すように、他方側挟持部材60の挟持方向他方側(-Y方向)の面には、挟持方向一方側に窪んだ凹部66が形成される。
凹部56及び凹部66は、一対の挟持部材50,60の上部に形成される。一対の挟持部材50,60のうち凹部56及び凹部66が形成された部分には、後述する第二保持部材80が取り付けられる。
これにより、一対の挟持部材50,60の上部において断面積が小さくなっている。
【0071】
図7に示すように、隣り合う突出壁54の間のX方向の距離は、ピン端子30の本体部31のX寸法よりも大きく、具体的には1.1倍以上である。ピン端子30の本体部31は、当該本体部31に隣接する2つの突出壁54の両方とX方向の距離を開けて配置される。
隣り合う突出壁64の間のX方向の距離についても同様である。
【0072】
一対の挟持部材50,60は、例えば合成樹脂で形成されるが、他の材料で形成されてもよい。
【0073】
(複数の保持部材70,80)
複数の保持部材70,80は、第一保持部材70と、第二保持部材80と、から構成される。
【0074】
一対の挟持部材50,60が取付対象物18をY方向から挟み込むように配置された状態で、まず、第一保持部材70が+Z方向側から取り付けられ、次に、第二保持部材80が+Z方向側から取り付けられる。
【0075】
図2に示すように、第一保持部材70は、一対の挟持部材50,60の下部を包囲する状態となり、第二保持部材80は、一対の挟持部材50,60の上部を包囲する状態となる。これにより、一対の挟持部材50,60が取付対象物18をY方向から挟み込むように配置された状態が保持される。
【0076】
図13に示すように、第一保持部材70は、一対の挟持部材50,60の下部を挟持方向外側から押圧する一対の押圧壁71と、一対の押圧壁71を互いに連結する一対の連結壁72と、を有する。第一保持部材70は、一対の押圧壁71と一対の連結壁72とにより、四角筒状に形成される。
【0077】
一対の押圧壁71は、挟持方向で対称な構成を有する。
各押圧壁71は、複数(5つ)の突起73を有する。複数の突起73は、押圧壁71の挟持方向内側の面に形成される。各突起73は、上下方向に延びる突起であり、押圧壁71の上端から下端まで連続的に形成される。複数の突起73が、一対の挟持部材50,60に接触する。
一方の押圧壁71の突起73と他方の押圧壁71の突起73との間の挟持方向の距離は、第一保持部材70を一対の挟持部材50,60に取り付けた状態で、各突起73がある程度潰れるように設定される。
【0078】
一方の押圧壁71に設けられた複数の突起73のX方向の位置は、他方の押圧壁71に設けられた複数の突起73のX方向の位置と一致する。
複数の突起73のX方向の位置は、それぞれ、複数のピン端子30に対応する位置である。具体的には、複数の突起73のX方向の位置は、複数のピン端子30の本体部31の中心軸のX方向の位置と一致する。このため、一対の挟持部材50,60が各ピン端子30に確実に接触するようになっている。
【0079】
図13に示すように、一対の連結壁72のうち一方の連結壁72は、切欠部74を有する。切欠部74は、連結壁72の下端に設けられた切欠きであり、下側に開放される。切欠部74には、絶縁部材20の連結部23が配置される。
【0080】
第二保持部材80は、一対の挟持部材50,60の上部を挟持方向外側から押圧する一対の押圧壁81と、一対の押圧壁81を互いに連結する一対の連結壁82と、を有する。第二保持部材80は、一対の押圧壁81と一対の連結壁82とにより、四角筒状に形成される。
第二保持部材80のX寸法は、第一保持部材70のX寸法と同じであり、第二保持部材80のY寸法は、第一保持部材70のY寸法よりも小さい。これにより、第二保持部材80は、第一保持部材70よりも断面積が小さく、そして質量が小さくなっている。
【0081】
一対の押圧壁81は、挟持方向で対称な構成を有する。
各押圧壁81は、複数(5つ)の突起83を有する。複数の突起83は、押圧壁81の挟持方向内側の面に形成される。各突起83は、上下方向に延びる突起であり、押圧壁81の上端から下端まで連続的に形成される。複数の突起83が、一対の挟持部材50,60に接触する。
一方の押圧壁81の突起83と他方の押圧壁81の突起83との間の挟持方向の距離は、第二保持部材80を一対の挟持部材50,60に取り付けた状態で、各突起83がある程度潰れるように設定される。
【0082】
一方の押圧壁81に設けられた複数の突起83のX方向の位置は、他方の押圧壁81に設けられた複数の突起83のX方向の位置と一致する。複数の突起83のX方向の位置は、複数の突起73のX方向の位置と一致する。
【0083】
複数の保持部材70,80は、例えば合成樹脂で形成されるが、他の材料で形成されてもよい。
【0084】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0085】
本実施形態では、
図1、
図2に示すように、コネクタ11の接続対象物12が有する取付構造18,19は、取付対象物18を備える。取付対象物18は、支持部20と、支持部20から延びる形状を有する複数の延出部30と、を備える。
延出部30は支持部20に支持されているものの支持部20から延びる形状を有するので、延出部30の固有振動数は低くなりやすい。取付構造18,19が振動環境下に置かれる場合、当該振動環境の振動数が延出部30の固有振動数に近いと共振が発生し、延出部30が大きく振動してしまうおそれがある。
【0086】
また、本実施形態では、
図2に示すように、取付構造18,19は、取付対象物18に取り付けられる取付部材19を備える。
図4に示すように、取付部材19は、基部側接触部51,52a,61,62と、非基部側接触部52b,63と、を有する。基部側接触部51,52a,61,62は、支持部20と基部31のうち少なくとも一方に接触し、非基部側接触部52b,63は、非基部32に接触する。
このため、取付部材19が取り付けられた延出部30の固有振動数は、取付部材19が取り付けられていない延出部30の固有振動数よりも高くなる。
したがって、本実施形態によれば、取付部材19により固有振動数を調整でき、その結果、延出部30の振動を抑制することができる。
【0087】
なお、本開示において、基部は、延出部のうち支持部に近い部分を意味し、非基部は、延出部のうち支持部から遠い部分を意味する。そのため、ピン端子30の本体部31のうち下部のみを基部と把握し、本体部31の上部及び先端部32を非基部と把握することもできる。このように把握した場合、取付部材19のうち、本体部31の上部に接触する部分も、非基部側接触部に相当する。
【0088】
また、本実施形態では、
図4~
図8に示すように、基部側接触部51,52a,61,62及び非基部側接触部52b,63の少なくとも一方(本実施形態では両方)は、取付対象物18に対し、互いに対向する2方向(+Y方向と-Y方向)から接触する。
このため、当該対向する2方向への振動に関する固有振動数を効果的に上げることができる。
【0089】
また、本実施形態では、取付部材19は、取付対象物18に接触する接触部材50,60を有する。接触部材50,60は、互いに別体として形成された一対の挟持部材50,60を有する。一対の挟持部材50,60は、取付対象物18を挟持するように配置される。
このため、取付対象物18に取付部材19を取り付ける作業が圧入でない。その結果、圧入の際の取付対象物18や取付部材19の表面の削れを避けることができる。
【0090】
また、本実施形態では、取付部材19は、一対の挟持部材50,60とは別体として形成された保持部材70,80を有する。保持部材70,80は、一対の挟持部材50,60が取付対象物18を挟持するように配置された状態を保持する。
このため、一対の挟持部材50,60自身が上記状態を保持するための構造を有する必要がない。
【0091】
また、本実施形態では、保持部材70,80は、一対の挟持部材50,60が取付対象物18を挟持する方向に、一対の挟持部材50,60を付勢する。
このため、一対の挟持部材50,60を取付対象物18に良好に接触させることができる。
【0092】
また、本実施形態では、保持部材70,80として、基部側接触部51,52a,61,62に対応する位置に配置される基部側保持部材70と、非基部側接触部52b,63に対応する位置に配置される非基部側保持部材80と、が設けられる。
このため、基部側保持部材70と非基部側保持部材80のうち片方のみが設けられる態様と比較して、固有振動数を効果的に上げることができる。
特に、本実施形態では、基部側保持部材70は、延出部30の延出方向であるZ方向で、支持部20と延出部30との境界を跨ぐ範囲に配置される。このため、より一層効果的に、固有振動数を上げることができる。
また、本実施形態では、非基部側保持部材80は、延出部30の延出方向であるZ方向で、延出部30の本体部31と先端部32との境界を跨ぐ範囲に配置される。このため、より一層効果的に、固有振動数を上げることができる。
【0093】
また、本実施形態では、
図13に示すように、保持部材70,80は、一対の挟持部材50,60を押圧する一対の押圧壁71,81と、一対の押圧壁71,81を連結する一対の連結壁72,82と、を有する。
このため、
図2に示すように、一対の挟持部材50,60を包囲するように保持部材70,80を配置することができる。
【0094】
また、本実施形態では、
図2に示すように、保持部材70,80は、一対の挟持部材50,60を包囲するように配置される。このため、保持部材70,80が外れにくい。
しかし、何らかの原因により保持部材70,80の形状が歪んでしまうと、一対の挟持部材50,60を有する接触部材50,60と取付対象物18との接触状態が所望の状態から変化してしまうおそれがある。
具体的に説明すると、例えば、本実施形態の保持部材70,80の場合は、一対の押圧壁71,81の中央付近(X方向における中央付近)同士が互いに離れるように保持部材70,80の形状が歪んでしまうおそれがある。この場合、X方向における中央付近において、保持部材70,80と一対の挟持部材50,60との間に隙間が生じてしまい、その結果、接触部材50,60と取付対象物18との接触状態が所望の状態から変化してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、一対の挟持部材50,60と保持部材70,80とが接触する箇所に、接触部材50,60と取付対象物18との接触状態を維持するための複数の突起73,83が形成される。
このため、保持部材70,80の形状が多少歪んでも、複数の突起73,83が形成された各々の位置で一対の挟持部材50,60と保持部材70,80とが接触した状態を維持することができる。その結果、接触部材50,60と取付対象物18との接触状態を適切に維持することができる。
【0095】
また、本実施形態では、延出部30は、導電部材30である。そして、延出部30のうち支持部20に支持された側とは反対側の部分は、コネクタ11に接続される。
このため、
図3、
図4に示すように、本実施形態の取付構造18,19を有する接続対象物12とコネクタ11との接続構造10であって、導電部材30である延出部30と、コネクタ11が備える端子14との微摺動摩耗等が抑制された接続構造10を実現することができる。
【0096】
また、本実施形態では、コネクタ11は、フローティングコネクタである。
延出部30のうち支持部20に支持された側とは反対側の部分がフローティングコネクタ11に接続されるので、延出部30が振動しやすい。よって、本開示の技術による振動抑制が特に有効である。
【0097】
また、本実施形態では、
図14に示すように、コネクタ11の端子14が有するバネ部14cは、その板厚方向をある仮想平面(X方向に垂直な平面)内に向ける。このため、変位部14bは、当該仮想平面(X方向に垂直な平面)に沿う方向に変位しやすい。
そこで、本実施形態では、互いに対向する2方向(基部側接触部51,52a,61,62及び非基部側接触部52b,63の少なくとも一方が取付対象物18に対し接触する2方向、本実施形態の挟持方向)は、当該仮想平面(X方向に垂直な平面)に沿う方向である。
このため、延出部30の振動を効果的に抑制することができる。
【0098】
また、本実施形態では、
図4に示すように、コネクタ11は、ボトムエントリータイプである。
このため、延出部30が長くなりやすく、振動が起こりやすい。よって、本開示の技術による振動抑制が特に有効である。
【0099】
また、本実施形態では、
図1に示すように、支持部20は、絶縁部材20であり、延出部30は、絶縁部材20に保持された端子30である。このため、絶縁部材20に保持された端子30の振動を抑制することができる。
【0100】
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態には限定されない。
【符号の説明】
【0101】
10 接続構造
11 コネクタ
12 接続対象物
13 基板
14 端子
14b 変位部
14c バネ部
18,19 取付構造
18 取付対象物
19 取付部材
20 絶縁部材(支持部)
30 ピン端子(延出部、導電部材、端子)
31 本体部(基部)
32 先端部(非基部)
50,60 一対の挟持部材(接触部材)
51,52a,61,62 基部側接触部
52b,63 非基部側接触部
70,80 保持部材
70 第一保持部材(基部側保持部材)
80 第二保持部材(非基部側保持部材)
71,81 押圧壁
72,82 連結壁
73,83 突起