(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094881
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷管理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240703BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240703BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240703BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240703BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G06F3/12 339
G06F3/12 303
G06F3/12 373
G06F3/12 374
B41J29/00 Z
B41J29/38 201
G03G21/00 396
H04N1/00 912
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211771
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 哲也
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061BB10
2C061HJ06
2C061HJ08
2C061HK15
2C061HK19
2C061HN15
2H270KA59
2H270ND03
2H270ND06
2H270ND09
2H270ND22
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB30
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC09
5C062AC14
5C062AC22
5C062AC23
5C062AC34
5C062AC58
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF06
5C062AF07
5C062AF08
(57)【要約】
【課題】許容印刷量が少なく印刷ジョブを遂行できない状態となった場合でも、円滑に印刷ジョブを最後まで遂行可能な状態としユーザの利便性向上を図る。
【解決手段】複合機200は、印刷部290と、プロセッサ210と、を有し、プロセッサ210は、印刷ジョブを取得するステップS110と、印刷可能枚数が所定の値となったことを検知するステップS120と、印刷可能枚数が所定の値となったことが検知された場合に、所定条件を満たすか否かを判定するステップS205、ステップS215、ステップS225、ステップS230、ステップS235及びステップS250と、所定条件を満たさないと判定された場合には印刷ジョブの未遂行分を不実行化して停止し、所定条件を満たすと判定された場合には印刷ジョブの未遂行分を印刷再開可能に保持して停止する、ステップS130、ステップS210及びステップS220と、を実行する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷部と、
制御部と、
を有し、
許容印刷量を上限として印刷を実行可能に構成され、かつ、ユーザの金銭的負担により取得される印刷権限が保証する所定の保証印刷量に応じて前記許容印刷量を増加可能に構成された印刷装置であって、
前記制御部は、
印刷ジョブを取得するジョブ取得処理と、
前記許容印刷量が所定の第1閾値となったことを検知する検知処理と、
前記検知処理で前記許容印刷量が前記第1閾値となったことが検知された場合に、所定条件を満たすか否かを判定する第1判定処理と、
前記第1判定処理において前記所定条件を満たさないと判定された場合には前記ジョブ取得処理で取得された前記印刷ジョブの未遂行分を不実行化して停止し、前記所定条件を満たすと判定された場合には前記印刷ジョブの未遂行分を印刷再開可能に保持して停止する、ジョブ停止処理と、
を実行するよう構成される、印刷装置。
【請求項2】
前記所定条件は、
前記印刷装置が、前記許容印刷量が前記第1閾値よりも増大されることが予期されることを含む、請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記所定条件は、
前記印刷装置が、前記印刷権限を管理する情報管理装置に対してオンライン状態にあることを含む、請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
前記所定条件は、
前記検知処理で前記許容印刷量が前記第1閾値となったことが検知されてからの経過期間が、所定の第2閾値以内であることを含む、請求項1記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、さらに、前記許容印刷量に対してユーザの手動操作による購入要求に基づく第1印刷権限に対応する第1保証印刷量が加算される第1モードである場合に、前記印刷装置に対し接続される端末装置においてユーザにより所定操作が行われると、前記第2閾値を増大変更する期間延長処理
を実行するよう構成される、請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
前記所定条件は、
ユーザによる前記印刷ジョブのキャンセル操作がなされていないことを含む、請求項1記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記印刷ジョブの未遂行分を印刷再開可能に保持して停止した前記ジョブ停止処理の後、前記許容印刷量が前記第1閾値よりも増大された場合、前記印刷ジョブの未遂行部分の印刷を実行する
よう構成される。請求項1記載の印刷装置。
【請求項8】
前記所定条件は、
前記許容印刷量に対して、ユーザの手動操作による購入要求に基づかずに自動購入された第2印刷権限に対応する第2保証印刷量が加算される第2モードであることを含む、請求項1記載の印刷装置。
【請求項9】
複数の被記録媒体を載置可能なトレイと、
前記トレイから供給される前記被記録媒体を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構による搬送経路に設けられた前記印刷部であって、前記印刷ジョブに対応した画像を前記複数の被記録媒体に対して順次形成する前記印刷部と、
をさらに有し、
前記制御部は、
前記ジョブ停止処理において、前記所定条件を満たすと判定された場合、前記トレイから新たに取り出すことを停止することで前記印刷ジョブを印刷再開可能に停止する、
よう構成される、請求項1から請求項8のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項10】
複数の被記録媒体を載置可能なトレイと、
前記トレイから供給される前記被記録媒体を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構による搬送経路に設けられた前記印刷部であって、前記印刷ジョブに対応した画像を前記複数の被記録媒体に対して順次形成する前記印刷部と、
をさらに有し、
前記制御部は、
前記ジョブ停止処理において、前記所定条件を満たすと判定された場合、前記トレイから取り出された1つの前記被記録媒体を前記搬送機構により前記搬送経路に沿って搬送し、前記印刷部による印刷位置よりも搬送方向上流側の所定位置で待機させて前記印刷ジョブを印刷再開可能に停止する、
よう構成される、請求項1から請求項8のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項11】
被記録媒体を表裏が逆向きとなるように反転する反転機構をさらに有し、
前記制御部は、
前記被記録媒体の両面に印刷が行われる両面印刷設定がなされており、かつ、前記印刷部により前記被記録媒体の一方面に対し画像の記録を行ったときに前記検知処理において前記許容印刷量が前記第1閾値となったことが検知された場合には、
前記ジョブ停止処理において、前記被記録媒体を前記反転機構により反転した後の所定位置で停止して待機させて前記印刷ジョブを印刷再開可能に停止する、
よう構成される、請求項1から請求項8のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記ジョブ停止処理での前記不実行化として、前記ジョブ取得処理で取得された前記印刷ジョブを削除する
よう構成される、請求項1から請求項8のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記ジョブ停止処理での前記不実行化として、前記ジョブ取得処理で取得された前記印刷ジョブを所定の格納部へ読み出し可能に格納する
よう構成される、請求項1から請求項8のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項14】
前記所定条件は、
ユーザにより前記不実行化の禁止が選択されたことを含む、請求項1記載の印刷装置。
【請求項15】
記憶部をさらに有し、
前記制御部は、さらに、
前記許容印刷量に対して、前記第2モードであるか否かを表す、モード情報を取得して前記記憶部に記憶するモード情報記憶処理と、
入力されたリセット信号に応じて、前記記憶部に記憶された前記モード情報を消去するモード情報消去処理と、
を実行するよう構成される、請求項8記載の印刷装置。
【請求項16】
端末装置と、
シート上に画像を印刷可能な印刷装置と、
前記印刷装置と前記端末装置とに対しネットワーク経由で通信可能な通信I/F、及び、前記印刷装置を管理し、ユーザの金銭的負担により取得される印刷権限が保証する所定の保証印刷量に応じて前記印刷装置の許容印刷量を増加可能とする制御部、を有する情報管理装置と、
を有する印刷管理システムであって、
印刷ジョブを取得する取得部と、
前記許容印刷量が所定の第1閾値となったことを検知する検知部と、
前記検知部により前記許容印刷量が前記第1閾値となったことが検知された場合に、所定条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記所定条件を満たさないと判定された場合には前記取得部により取得された前記印刷ジョブの未遂行分を不実行化し、前記所定条件を満たすと判定された場合には前記印刷ジョブの未遂行分を印刷再開可能に保持して停止する、停止部と、
を有する、印刷管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置を使用するユーザが、サービス提供者に対して印刷内容に応じた課金料金を支払う印刷サービスにおいて、プリペイド方式の料金システムが導入される場合がある。従来、例えば特許文献1に記載のように、ユーザが有償で印刷権限を購入し、その印刷権限が保証する所定の印刷量を上限として印刷を行えるようにした技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、印刷ジョブの遂行の途中で、印刷権限が保証する保証印刷量に基づき印刷装置にて印刷可能な上限値である許容印刷量がゼロとなった場合には、印刷が停止され、印刷ジョブがキャンセルされる。
この場合、ユーザは新たに印刷権限を購入しその印刷権限が保証する保証印刷量を加え許容印刷量を増大させることで、印刷を再開させることができる。しかしながら、その場合、もう一度印刷ジョブを印刷装置へ送信する必要があり、不便である。
【0005】
本発明の目的は、許容印刷量が少なく印刷ジョブを遂行できない状態となった場合でも、円滑に印刷ジョブを最後まで遂行可能な状態としユーザの利便性向上を図れる印刷装置及び印刷管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の印刷装置は、印刷部と、制御部と、を有し、許容印刷量を上限として印刷を実行可能に構成され、かつ、ユーザの金銭的負担により取得される印刷権限が保証する所定の保証印刷量に応じて前記許容印刷量を増加可能に構成された印刷装置であって、前記制御部は、印刷ジョブを取得するジョブ取得処理と、前記許容印刷量が所定の第1閾値となったことを検知する検知処理と、前記検知処理で前記許容印刷量が前記第1閾値となったことが検知された場合に、所定条件を満たすか否かを判定する第1判定処理と、前記第1判定処理において前記所定条件を満たさないと判定された場合には前記ジョブ取得処理で取得された前記印刷ジョブの未遂行分を不実行化して停止し、前記所定条件を満たすと判定された場合には前記印刷ジョブの未遂行分を印刷再開可能に保持して停止する、ジョブ停止処理と、を実行するよう構成される。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本願発明の印刷管理システムは、端末装置と、シート上に画像を印刷可能な印刷装置と、前記印刷装置と前記端末装置とに対しネットワーク経由で通信可能な通信I/F、及び、前記印刷装置を管理し、ユーザの金銭的負担により取得される印刷権限が保証する所定の保証印刷量に応じて前記印刷装置の許容印刷量を増加可能とする制御部、を有する情報管理装置と、を有する印刷管理システムであって、印刷ジョブを取得する取得部と、前記許容印刷量が所定の第1閾値となったことを検知する検知部と、前記検知部により前記許容印刷量が前記第1閾値となったことが検知された場合に、所定条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記所定条件を満たさないと判定された場合には前記取得部により取得された前記印刷ジョブの未遂行分を不実行化し、前記所定条件を満たすと判定された場合には前記印刷ジョブの未遂行分を印刷再開可能に保持して停止する、停止部と、を有する。
【0008】
本願発明によれば、許容印刷量が少なくなり第1閾値に到達している場合であっても、所定条件が満たされている場合にはジョブ停止処理により印刷ジョブの未遂行分が印刷再開可能に保持された状態で停止される。これにより、未遂行分をその後印刷再開することで印刷ジョブを最後まで遂行可能となるため、ユーザにとっての利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、許容印刷量が少なく印刷ジョブを遂行できない状態となった場合でも、円滑に印刷ジョブを最後まで遂行可能な状態としユーザの利便性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る印刷サービス提供システムの構成の一例を表すブロック図である。
【
図2】端末装置の構成の一例を表すブロック図である。
【
図3】印刷サービス提供システムにおける情報の送受形態の一例を表す図である。
【
図4】オートチャージモードへの切替や手動チャージモードへの切替の際に、管理サーバのプロセッサ、複合機のプロセッサ、及び端末装置のCPUが実行する制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
【
図5】複合機がオートチャージモードである場合において、チャージ切れ発生時に、管理サーバのプロセッサ、複合機のプロセッサ、及び端末装置のCPUが実行する制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
【
図6】複合機が手動チャージモードである場合において、チャージ切れ発生時に、管理サーバのプロセッサ、複合機のプロセッサ、及び端末装置のCPUが実行する制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
【
図7】印刷ジョブ判定処理の詳細手順の一例を表すフローチャートである。
【
図8】複合機の搬送機構によるシートの搬送経路の一例を表す模式図である。
【
図9】シートを所定位置まで搬送して待機する変形例において、複合機のプロセッサにより実行される、印刷ジョブ判定処理の詳細手順の一例を表すフローチャートである。
【
図10】印刷ジョブを保留して格納する変形例において、複合機のプロセッサにより実行される、印刷ジョブ判定処理の詳細手順の一例を表すフローチャートである。
【
図11】印刷を開始する前にチャージ切れを判定する変形例において、複合機がオートチャージモードである場合の、管理サーバのプロセッサ、複合機のプロセッサ、及び端末装置のCPUが実行する制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<印刷サービス提供システムの概要>
図1に、実施形態に係る印刷サービス提供システム1の構成の一例を示す。印刷サービス提供システム1は、顧客であるユーザがあらかじめ料金を支払って複合機200の印刷機能を使用するプリペイド印刷サービスを提供する。
図1において、印刷サービス提供システム1は、管理サーバ100と、複合機200と、端末装置300と、取引サーバ400と、を有している。これら管理サーバ100、複合機200、端末装置300、及び取引サーバ400は、ネットワークNTに接続されており、互いに通信可能である。ネットワークNTは携帯電話通信回線を含んでいてよい。なお、印刷サービス提供システム1が印刷管理システムの一例であり、管理サーバ100が情報管理装置の一例であり、複合機200が印刷装置の一例である。
【0013】
<管理サーバ>
管理サーバ100は、例えば複合機200のメーカーが設置及び管理するサーバである。
図1に示すように、管理サーバ100は、プロセッサ110と、記憶装置115と、通信インタフェース190と、を有している。これらプロセッサ110、記憶装置115、及び通信インタフェース190は、バス105を介して互いにデータ送受信可能に接続されている。
【0014】
記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を備えている。揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、処理対象となる各種のプログラムやデータを記憶する。不揮発性記憶装置130は、例えば、ハードディスクドライブ、あるいはソリッドステートドライブであり、プログラム記憶領域131と、データ記憶領域132と、を有している。
【0015】
プログラム記憶領域131には各種プログラムが格納されている。各種プログラムには、後述の
図4~
図6及び
図11のシーケンスチャート等に基づく処理プログラムが含まれる。データ記憶領域132には、例えば、管理対象である複合機200ごとに印刷可能枚数やチャージ枚数等が記憶されている。
【0016】
プロセッサ110は、データ処理を行う装置、例えばCPUであり、プログラム記憶領域131に格納された各種プログラムを実行する。プロセッサ110は、ネットワークNTに接続された端末装置300、複合機200、及び取引サーバ400に対するデータ通信を含む各種の処理を行う。プロセッサ110は、本実施形態の印刷サービス提供システム1による印刷権限の購入を実行する。プロセッサ110と上記プログラム記憶領域131に記憶されたプログラムとが、制御部の一例である。
【0017】
通信インタフェース190は、他の装置と通信するための例えば有線LANインタフェース又は無線インタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。通信インタフェース190が通信I/Fの一例である。
【0018】
なお、上記記憶装置115は上述した装置要素での構成に限られず、例えば、RAM、ROM、EEPROM、HDD、管理サーバ100に着脱されるUSBメモリ等の可搬記録媒体、プロセッサ110が備えるバッファ等、或いはそれらの組み合わせによって構成されてもよい。
また、記憶装置115は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。後述する複合機200の記憶装置215についても同様である。
【0019】
<複合機>
複合機200は、例えば印刷、スキャナ、コピー機能等の複数の機能を有しており、例えば、上記プリペイド印刷サービスの提供を受けるユーザによって保有されている。
図1に示すように、複合機200は、プロセッサ210と、記憶装置215と、表示部240と、操作部250と、搬送機構260と、通信インタフェース270と、印刷部290と、を有している。これらプロセッサ210、記憶装置215、表示部240、操作部250、搬送機構260、通信インタフェース270、及び印刷部290は、バス205を介して互いにデータ送受信可能に接続されている。
【0020】
記憶装置215は、揮発性記憶装置220と、不揮発性記憶装置230と、を備えている。揮発性記憶装置220は、例えば、DRAMであり、印刷対象の画像データを記憶する画像データ記憶領域222を備えている。不揮発性記憶装置230は、例えばNVRAM、フラッシュメモリ等であり、プログラム記憶領域231と、データ記憶領域232と、を備えている。プログラム記憶領域231には各種プログラムが格納されている。各種プログラムには、後述の
図4~
図7、
図9~
図11のシーケンスチャート又はフローチャート等に基づく処理プログラムや、印刷処理プログラムなどのファームウェア等が含まれる。データ記憶領域232には、印刷可能枚数や、複合機200がオートチャージモード又は手動チャージモードのいずれであるかを表すモード情報等が記憶されている。不揮発性記憶装置230が記憶部の一例である。
【0021】
プロセッサ210は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。プロセッサ210は、プログラム記憶領域231に格納された各種プログラムを実行する。プロセッサ210と上記プログラム記憶領域231に記憶されたプログラムとが、制御部の一例である。
【0022】
表示部240は、例えば、液晶ディスプレイであり、種々の情報を表示可能である。操作部250は、ユーザによる操作を受け付ける装置である。ユーザは、操作部250を操作することによって、種々の指示を複合機200に入力可能である。通信インタフェース270は、他の装置と通信するための有線または無線のネットワークインタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。
【0023】
搬送機構260は、複数のシートS(後述の
図8参照)を載置可能なトレイ201(後述の
図8参照)から供給されるシートSを搬送する。印刷部290は、搬送機構260によるシートSの搬送経路に設けられており、搬送機構260により搬送されるシートSに対して印刷ジョブに対応した画像を所定の方式で形成する。所定の方式は特に限定されるものではないが、例えばインクジェット方式やレーザ方式等である。印刷部290は、端末装置300から送信された印刷ジョブ、若しくは、操作部250での操作に基づき自ら生成した印刷ジョブに応じて、シートSに対して印刷を行う。なお、シートSが被記録媒体の一例である。
【0024】
<端末装置>
図2に、端末装置300の構成の一例を示す。端末装置300は、例えばユーザの所有するスマートフォン等の携帯端末であり、無線通信を介してネットワークNTに接続される。
図2に示すように、端末装置300は、CPU310と、メモリ320と、無線通信を介してネットワークNTに接続するための通信制御部330と、タッチパネル340と、大容量記憶装置350と、を有している。
【0025】
大容量記憶装置350は、例えばフラッシュメモリであり、プログラム記憶領域351と、データ記憶領域352と、を備えている。プログラム記憶領域351には各種プログラムが例えばファームウェアとして格納されている。CPU310は、プログラム記憶領域351に格納された各種プログラムを実行する。CPU310は、ネットワークNTに接続された管理サーバ100に対するデータ通信を含む種々の処理を実行する。
【0026】
端末装置300はまた、液晶ディスプレイとタッチパッドを一体的に組み合わせたタッチパネル340で各種の情報の表示と、ユーザによる各種の操作を受け付ける。ユーザは、タッチパネル340を操作することによって、種々の指示を端末装置300に入力可能である。
【0027】
なお、端末装置300として、携帯端末に代えて、例えばタブレットコンピュータやノート型PC、デスクトップ型PC等の他の情報端末を用いてもよい。
【0028】
<取引サーバ>
図1に示すように、取引サーバ400は、ネットワークNTを介してオンラインで決済を行うためのサーバである。取引サーバ400は、プロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するための通信インタフェースと、を有している(図示省略)。
【0029】
<プリペイド印刷サービス>
本実施形態の印刷サービス提供システム1においては、管理サーバ100、複合機200、端末装置300、及び取引サーバ400がネットワークNTを介して情報送受可能に接続されている。情報の送受形態としては、
図3に示すように複数のユーザがそれぞれ所有する複数の端末装置300と、各所に設置される複数の複合機200とが、いずれも管理サーバ100に対して個別に情報を送受する。管理サーバ100は、複数の端末装置300から複数の複合機200を対象にそれぞれ行われたイベントを一元的に管理する。イベントとは、指定した複合機200を対象とする印刷権限の購入又は取得や、印刷の実行等である。管理サーバ100は、端末装置300からの指示に応じて、また、所定条件を満たした際には自動的に、これらのイベントを実行する。
【0030】
本実施形態において印刷サービス提供システム1が提供する印刷サービスは、プリペイド印刷サービスである。プリペイド印刷サービスとは、ユーザの金銭的負担により取得される印刷権限が保証する所定のチャージ枚数が、対象となる複合機200の印刷可能枚数に加算され、当該印刷可能枚数に基づいて当該複合機200における印刷処理を実行できるサービスである。チャージ枚数の印刷可能枚数への加算は、例えば管理サーバ100のプロセッサ110により実行され、例えば定期的なタイミングで複合機200に送信される。印刷可能枚数は、例えば複合機200の不揮発性記憶装置230のデータ記憶領域232に記憶されており、印刷が実行される度に印刷枚数分だけ減少する。印刷可能枚数の減少は例えば複合機200のプロセッサ210により実行され、例えば定期的なタイミングで管理サーバ100に送信される。チャージ枚数が保証印刷量の一例であり、印刷可能枚数が許容印刷量の一例である。
【0031】
本実施形態の印刷サービス提供システム1では、上記印刷権限の購入形態として、ユーザの手動操作による購入要求に基づく印刷権限の購入が実行可能となっている。ユーザの購入要求に基づく印刷権限の購入は、ユーザの操作に応じて端末装置300から管理サーバ100に上記印刷権限の購入申し込みが送信され、管理サーバ100によって受け付けられることにより、実行される。上記印刷権限の購入は、ユーザが所望する任意のタイミングで実行される。例えばユーザは、チャージ枚数50枚=500円、100枚=900円、250枚=2000円、など、互いに価格及び購入単位の異なる複数のチャージプランのうち、いずれかのチャージプランを選択して、対応する印刷権限を購入する。
【0032】
ユーザが購入したチャージプランに対応する印刷権限は、ユーザが指定した複合機200のプリンタIDに対応付けられる形で取得され、当該印刷権限が保証するチャージ枚数が、当該複合機200ごとの印刷可能枚数に対し加算される。なお、上記印刷権限がユーザのユーザIDに対応付けられる形で取得され、上記チャージ枚数がユーザIDごとの印刷可能枚数に加算されてもよい。上記ユーザの手動操作による購入要求に基づく印刷権限の購入を、以下適宜「手動チャージ」と称する。
【0033】
なお、上記のようにユーザが手動チャージにより印刷権限を新規購入した後、対応する複合機200の印刷可能枚数が少なくなるたびに手動チャージにより印刷権限を追加購入するとなると、その都度手間がかかりユーザの負担が大きくなる。
【0034】
そこで、本実施形態の印刷サービス提供システム1では、上記手動チャージ以外の印刷権限の別の購入形態として、ユーザの手動操作による購入要求に基づかない印刷権限の自動購入が実行可能となっている。自動購入された印刷権限が保証するチャージ枚数は、対応する複合機200の印刷可能枚数に対し加算される。上記ユーザの手動操作による購入要求に基づかない印刷権限の自動購入を、以下適宜「オートチャージ」と称する。
【0035】
プリペイド印刷サービスをユーザに提供している状況で、所定の閾値条件を満たしたと管理サーバ100が判断した場合、管理サーバ100によりオートチャージが実行される。つまり、オートチャージが実行されるタイミングは、所定の閾値条件を満たしたタイミングである。本実施形態では、上記所定の閾値条件の一例として、対象となる複合機200の印刷可能枚数が閾値以下となったとき、オートチャージが実行される。閾値はユーザにより自由に設定可能である。
【0036】
<手動チャージモードとオートチャージモード>
複合機200は、一例として、手動チャージモードとオートチャージモードとが切り替え可能に構成されている。手動チャージモードは、ユーザの手動操作による購入要求に基づく印刷権限に対応するチャージ枚数が印刷可能枚数に対して加算されるモードである。オートチャージモードは、ユーザの手動操作による購入要求に基づかずに自動購入された印刷権限に対応するチャージ枚数が印刷可能枚数に対して加算されるモードである。なお、手動チャージモードが第1モードの一例であり、手動操作による購入要求に基づく印刷権限が第1印刷権限の一例であり、手動チャージモードによるチャージ枚数が第1保証印刷量の一例である。また、オートチャージモードが第2モードの一例であり、自動購入された印刷権限が第2印刷権限の一例であり、オートチャージモードによるチャージ枚数が第2保証印刷量の一例である。
【0037】
複合機200は、例えば初期設定では手動チャージモードとなっており、ユーザの要求によりオートチャージモードに切り替えることが可能である。複合機200がオートチャージモードに切り替えられると、当該オートチャージモードであることを表すモード情報が、例えば複合機200の記憶装置215のデータ記憶領域232に記憶される。また、複合機200は、ユーザの要求により手動チャージモードに戻すことが可能である。複合機200が手動チャージモードに切り替えられた場合には、データ記憶領域232に記憶されたオートチャージモードであることを表すモード情報は消去される。
図4に、上記オートチャージモードへの切替や手動チャージモードへの切替の際に、管理サーバ100のプロセッサ110、複合機200のプロセッサ210、及び端末装置300のCPU310が実行する制御手順の一例を示す。
【0038】
図4に示すように、ステップS5では、端末装置300のCPU310は、ユーザによる所定の操作に基づいて、オートチャージモードをONとすることの要求信号を管理サーバ100に送信する。要求信号には、要求対象である複合機200のID情報或いは複合機200のID情報と関連付けられた情報等が含まれる。
【0039】
ステップS10では、管理サーバ100のプロセッサ110は、端末装置300から送信されたオートチャージモードONの要求信号を受信する。
【0040】
ステップS15では、管理サーバ100のプロセッサ110は、要求信号に基づき取得された要求対象である複合機200について、設定情報を手動チャージモードからオートチャージモードに切り替える。
【0041】
ステップS20では、管理サーバ100のプロセッサ110は、オートチャージモードに切り替えたことを表すモード情報を複合機200に送信する。モード情報は、例えばオートチャージモードであることを判別するための判別フラグ等でもよい。
【0042】
ステップS25では、複合機200のプロセッサ210は、管理サーバ100から送信されたモード情報を受信する。
【0043】
ステップS30では、複合機200のプロセッサ210は、上記ステップS25で受信したオートチャージモードであることを表すモード情報を、例えば記憶装置215のデータ記憶領域232に記憶する。なお、上記ステップS25及びステップS30がモード情報記憶処理の一例である。
【0044】
ステップS35では、端末装置300のCPU310は、ユーザによる所定の操作に基づいて、オートチャージモードをOFFとすることの要求信号を管理サーバ100に送信する。要求信号には、要求対象である複合機200のID情報或いは複合機200のID情報と関連付けられた情報等が含まれる。
【0045】
ステップS40では、管理サーバ100のプロセッサ110は、端末装置300から送信されたオートチャージモードOFFの要求信号を受信する。
【0046】
ステップS45では、管理サーバ100のプロセッサ110は、要求信号に基づき取得された要求対象である複合機200について、設定情報をオートチャージモードから手動チャージモードに切り替える。
【0047】
ステップS50では、管理サーバ100のプロセッサ110は、手動チャージモードに切り替えたことを表すモード情報を複合機200に送信する。モード情報は、例えば手動チャージモードであることを判別するための判別フラグ等でもよい。
【0048】
ステップS55では、複合機200のプロセッサ210は、管理サーバ100から送信されたモード情報を受信する。当該モード情報がリセット信号の一例である。
【0049】
ステップS60では、複合機200のプロセッサ210は、上記ステップS55で受信した手動チャージモードであることを表すモード情報を、例えば記憶装置215のデータ記憶領域232に記憶する。この際、プロセッサ210は、データ記憶領域232に記憶されたオートチャージモードであることを表すモード情報を消去する。なお、当該ステップS60がモード情報消去処理の一例である。
【0050】
<実施形態の特徴>
以上のような構成である印刷サービス提供システム1において、複合機200において印刷ジョブによる印刷の遂行の途中で印刷可能枚数が不足した場合には、印刷が停止される。この場合、ユーザは新たにチャージ枚数を購入して印刷可能枚数を増大させることで、印刷を再開させることができる。しかしながら、印刷の停止と共に印刷ジョブがキャンセルされてしまうと、印刷ジョブの未遂行分を印刷するために、もう一度印刷ジョブを複合機200へ送信する必要があり、不便である。また、ユーザが印刷完了分を正しく把握せずに印刷ジョブを送付した場合、重複した印刷がなされてシートSの無駄な消費を招いたり、或いは一部のページが欠損した印刷を招くことにもなる。
【0051】
そこで本実施形態では、印刷ジョブの遂行の途中で印刷可能枚数が不足した場合であっても、所定条件が満たされている場合には、印刷ジョブの未遂行分が印刷再開可能に保持された状態で印刷が停止される。これにより、その後ユーザが新たにチャージ枚数を購入して印刷可能枚数を増大させることで、印刷を再開させて印刷ジョブを最後まで遂行可能となるため、ユーザにとっての利便性を向上することができる。また、印刷ジョブの遂行分に関して重複した印刷がなされてシートSの無駄な消費を招くこともなく、一部のページが欠損した印刷を招くこともない。以下、上記処理を実現するための詳細について説明する。
【0052】
<制御手順>
本実施形態における上記処理を実現するために、管理サーバ100のプロセッサ110、複合機200のプロセッサ210、及び端末装置300のCPU310が実行する制御手順の一例を、
図5及び
図6のシーケンスチャート並びに
図7のフローチャートにより説明する。
【0053】
図5は、複合機200がオートチャージモードである場合のシーケンスチャートである。
図5に示すように、ステップS105では、端末装置300のCPU310は、ユーザによる所定の操作に基づいて、印刷ジョブを複合機200に送信する。
【0054】
ステップS110では、複合機200のプロセッサ210は、端末装置300から送信された印刷ジョブを受信する。なお、ユーザが操作部250を操作して印刷指示をする場合には、プロセッサ210は、操作部250の操作内容に基づいて印刷ジョブを取得してもよい。当該ステップS110がジョブ取得処理の一例であり、当該ステップS110を実行する複合機200が取得部の一例である。
【0055】
ステップS115では、複合機200のプロセッサ210は、上記ステップS110で受信した印刷ジョブに基づく印刷をシートSの1枚分だけ実行する。また、プロセッサ210は、1枚分の印刷の実行と共に印刷可能枚数を1だけ減少させる。
【0056】
ステップS120では、複合機200のプロセッサ210は、チャージ切れとなったことを検知したか否か、すなわち印刷可能枚数が所定の値になったか否かを判定する。所定の値は典型的には0であるが、0以外の値でもよい。例えば、オートチャージモードが設定されている場合のように、ユーザによるチャージ枚数の購入が予定されているような場合には、予め所定の印刷枚数分だけ前借りする形で所定のマイナスの値としてもよい。また、例えば両面印刷をする場合において、片面だけ印刷された状態で印刷停止となるのを回避する場合には、1としてもよい。以下では適宜、印刷可能枚数が所定の値に到達した状態を「チャージ切れ」と称する。上記所定の値が第1閾値の一例であり、当該ステップS120が検知処理の一例であり、当該ステップS120を実行する複合機200が検知部の一例である。プロセッサ210は、チャージ切れとなったことを検知していない場合には(ステップS120:No)、次のステップS125に移行する。
【0057】
ステップS125では、複合機200のプロセッサ210は、印刷ジョブに基づく全枚数の印刷が完了したか否かを判定する。プロセッサ210は、印刷が完了していない場合には(ステップS125:No)、上記ステップS115に戻る。一方、プロセッサ210は、印刷が完了した場合には(ステップS125:Yes)、本シーケンスチャートを終了する。
【0058】
なお、上記ステップS120において、複合機200のプロセッサ210は、チャージ切れとなったことを検知した場合には(ステップS120:Yes)、次のステップS130に移行する。
【0059】
ステップS130では、複合機200のプロセッサ210は、印刷ジョブに基づく印刷を停止する。具体的には、プロセッサ210は、シートSをトレイ201から新たに取り出すことを停止することで、印刷ジョブを印刷再開可能に停止する。
【0060】
ステップS135では、複合機200のプロセッサ210は、複合機200がチャージ切れ状態であることを通知するための通知情報を管理サーバ100に送信する。
【0061】
ステップS140では、管理サーバ100のプロセッサ110は、複合機200から送信された通知情報を受信する。
【0062】
ステップS145では、管理サーバ100のプロセッサ110は、チャージ切れによりオートチャージ完了待ちである旨を通知するための通知情報を端末装置300に送信する。
【0063】
ステップS150では、端末装置300のCPU310は、管理サーバ100から送信された通知情報を受信する。なお、CPU310は、受信した通知情報に基づいて、例えば「チャージ切れにより印刷を一時停止しております。オートチャージが完了して印刷が再開されるまで少々お待ちください。」の表示を行ってもよい。
【0064】
複合機200のプロセッサ210は、上記ステップS135の後、ステップS200に移行して印刷ジョブ判定処理を実行する。印刷ジョブ判定処理では、プロセッサ210は、複合機200の状態やユーザによる操作内容が所定条件を満たすか否かを判定し、所定条件を満たす場合には印刷ジョブの未遂行分を印刷再開可能に保持し、所定条件を満たさない場合には印刷ジョブを未遂行分を含めて削除する。印刷ジョブ判定処理の詳細については後述する。
【0065】
ステップS155では、複合機200のプロセッサ210は、上記ステップS200の印刷ジョブ判定処理において、印刷ジョブが保持されたか否かを判定する。プロセッサ210は、印刷ジョブが削除されている場合には(ステップS155:No)、本シーケンスチャートを終了する。一方、プロセッサ210は、印刷ジョブが保持されている場合には(ステップS155:Yes)、次のステップS175に移行する。
【0066】
管理サーバ100のプロセッサ110は、上記ステップS145の後、ステップS160に移行して、所定のチャージ枚数の自動購入であるオートチャージを実行し、複合機200の印刷可能枚数を増加させる。
【0067】
ステップS165では、管理サーバ100のプロセッサ110は、上記オートチャージにより所定の枚数だけ増加された印刷可能枚数を複合機200に送信する。
【0068】
ステップS175では、複合機200のプロセッサ210は、印刷可能枚数が上記ステップS120の所定の値よりも増大されたか否かを判定する。プロセッサ210は、S165の印刷可能枚数の送信がされる前にて印刷可能枚数が増大されていない場合には(ステップS175:No)、S200に戻る。一方、プロセッサ210は、S165の印刷可能枚数の送信がされて印刷可能枚数が増大されている場合には(ステップS175:Yes)、次のステップS180に移行する。
【0069】
ステップS180では、複合機200のプロセッサ210は、印刷ジョブの未遂行部分の印刷を再開する。その後、本シーケンスチャートを終了する。
【0070】
図6は、複合機200が手動チャージモードである場合のシーケンスチャートである。
図6において、
図5と同じ処理には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0071】
図6のステップS105~ステップS140は、前述の
図5と同様であるため説明を省略する。
【0072】
ステップS146では、管理サーバ100のプロセッサ110は、複合機200がチャージ切れ状態であることを通知するための通知情報を端末装置300に送信する。
【0073】
ステップS151では、端末装置300のCPU310は、管理サーバ100から送信された通知情報を受信する。なお、CPU310は、受信した通知情報に基づいて、複合機200がチャージ切れ状態であることをユーザに知らせるための適宜の表示を行ってもよい。
【0074】
端末装置300のCPU310は、上記ステップS151の後、ステップS152に移行し、手動チャージの実行指示等を含む操作情報を複合機200及び管理サーバ100に送信する。操作情報には、手動チャージの実行指示操作の他、印刷ジョブのキャンセル操作、チャージ切れが検知されてからの経過期間の閾値である待機期間を延長する操作、等が含まれる。
【0075】
管理サーバ100のプロセッサ110は、上記ステップS146の後、ステップS153に移行し、端末装置300からの手動チャージの実行指示の操作情報を受信する。
【0076】
管理サーバ100のプロセッサ110は、上記ステップS153の後、ステップS1554に移行して、ユーザの手動操作による所定のチャージ枚数の購入である手動チャージを実行し、複合機200の印刷可能枚数を所定数だけ増加させる。
【0077】
その後のステップS155、ステップS165~ステップS180及びステップS200は、前述の
図5と同様であるため説明を省略する。
【0078】
図7は、複合機200のプロセッサ210により実行される、上記ステップS200の印刷ジョブ判定処理の詳細内容の一例を表すフローチャートである。
【0079】
図7に示すように、ステップS205では、複合機200のプロセッサ210は、複合機200が管理サーバ100に対してオンライン状態であるか否かを判定する。プロセッサ210は、複合機200がオフライン状態である場合には(ステップS205:No)、所定条件を満たさないと判定し、次のステップS210に移行する。複合機200がオフラインである場合、管理サーバ100から端末装置300にチャージ切れ通知を送信できないか、仮に複合機200がオートチャージモードの場合でも管理サーバ100からオートチャージを実行できないため、所定条件を満たさないと判定する。すなわち所定条件は、複合機200が管理サーバ100に対してオンライン状態にあることを含む。
【0080】
ステップS210では、複合機200のプロセッサ210は、前述のステップS110で取得された印刷ジョブの未遂行分を不実行化する。本実施形態では、プロセッサ210は、不実行化の一例として印刷ジョブを未遂行分を含めて削除する。その後、
図5又は
図6のステップS155に移行する。
【0081】
一方、上記ステップS205において、複合機200のプロセッサ210は、複合機200がオンライン状態である場合には(ステップS205:Yes)、次のステップS215に移行する。
【0082】
ステップS215では、複合機200のプロセッサ210は、複合機200がオートチャージモードであるか否かを判定する。プロセッサ210は、複合機200がオートチャージモードである場合には(ステップS215:Yes)、印刷可能枚数が増大されることが予期されるとみなして所定条件を満たすと判定し、ステップS250に移行する。すなわち所定条件は、複合機200の印刷可能枚数が前述のステップS120の所定の値よりも増大されることが予期されること、その一例として複合機200がオートチャージモードであること、を含む。
【0083】
ステップS250では、複合機200のプロセッサ210は、前述のステップS120においてチャージ切れが検知されてからの経過期間が、所定の閾値である待機期間を経過したか否かを判定する。プロセッサ210は、経過期間が待機期間を経過していない場合には(ステップS250:No)、次のステップS220に移行する。一方、プロセッサ210は、経過期間が待機期間を経過した場合には(ステップS250:Yes)、所定条件を満たさないと判定し、上記ステップS210に移行する。すなわち所定条件は、前述のステップS120においてチャージ切れが検知されてからの経過期間が所定の待機期間以内であることを含む。なお、待機期間が第2閾値の一例である。
【0084】
ステップS220では、複合機200のプロセッサ210は、前述のステップS110で取得された印刷ジョブの未遂行分を印刷再開可能に保持する。具体的には、プロセッサ210は、例えば印刷ジョブに対してどこまで印刷を遂行したかを判別できるように判別フラグを設け、当該印刷ジョブを揮発性記憶装置220又は不揮発性記憶装置230に一時的に記憶させて保持してもよい。その後、
図5又は
図6のステップS155に移行する。
【0085】
一方、上記ステップS215において、複合機200のプロセッサ210は、複合機200が手動チャージモードである場合には(ステップS215:No)、次のステップS225に移行する。
【0086】
ステップS225では、複合機200のプロセッサ210は、待機モードがONであるか否かを判定する。待機モードは、ONにされると印刷ジョブの未遂行分の不実行化が禁止され、OFFにされると印刷ジョブの未遂行分の不実行化が許容されるモードであり、ユーザが予めON又はOFFを選択して設定することが可能である。プロセッサ210は、待機モードがONである場合には(ステップS225:Yes)、ユーザにより印刷ジョブの未遂行分の不実行化の禁止が選択されたとみなして所定条件を満たすと判定し、上記ステップS250に移行する。一方、プロセッサ210は、待機モードがOFFである場合には(ステップS225:No)、次のステップS230に移行する。すなわち所定条件は、ユーザにより印刷ジョブの未遂行分の不実行化の禁止が選択されたことを含む。
【0087】
ステップS230では、複合機200のプロセッサ210は、例えば、前述のステップS152で端末装置300から送信された操作情報に基づいて、ユーザにより手動チャージの実行指示操作、すなわちチャージ枚数の購入操作がなされたか否かを判定する。プロセッサ210は、ユーザにより手動チャージの実行指示操作がなされた場合(ステップS230:Yes)、印刷可能枚数が増大されることが予期されるとみなして所定条件を満たすと判定し、上記ステップS250に移行する。一方、プロセッサ210は、手動チャージの実行指示操作がなされていない場合には(ステップS230:No)、次のステップS235に移行する。すなわち所定条件は、複合機200の印刷可能枚数が前述のステップS120の所定の値よりも増大されることが予期されること、その一例としてユーザにより手動チャージの実行指示操作がなされたこと、を含む。
【0088】
ステップS235では、複合機200のプロセッサ210は、前述のステップS152で端末装置300から送信された操作情報に基づいて、ユーザによる印刷ジョブのキャンセル操作がなされたか否かを判定する。プロセッサ210は、印刷ジョブのキャンセル操作がなされた場合には(ステップS235:Yes)、所定条件を満たさないと判定し、上記ステップS210に移行する。一方、プロセッサ210は、印刷ジョブのキャンセル操作がなされていない場合には(ステップS235:No)、次のステップS240に移行する。すなわち所定条件は、ユーザによる印刷ジョブのキャンセル操作がなされていないことを含む。
【0089】
ステップS240では、複合機200のプロセッサ210は、前述のステップS152で端末装置300から送信された操作情報に基づいて、ユーザによる待機期間の延長操作がなされたか否かを判定する。待機期間は、前述のステップS120においてチャージ切れが検知されてからの経過期間の閾値であり、予め所定の期間(例えば5分)に設定されている。プロセッサ210は、待機期間の延長操作がなされていない場合には(ステップS240:No)、後述のステップS250に移行する。一方、プロセッサ210は、待機期間の延長操作がなされた場合には(ステップS240:Yes)、次のステップS245に移行する。なお、ユーザによる待機期間の延長操作が所定操作の一例である。
【0090】
なお、延長操作は、必ずしも待機期間を延長するための専用の操作である必要はなく、例えば上述した手動チャージの実行指示操作や印刷ジョブのキャンセル操作以外の何らかの操作であってもよい。端末装置300において、そのような何らかの操作があった場合、ユーザの印刷可能枚数増大の意思表示があったとみなして、上記ステップS240の判定が満たされてもよい。この場合には、上記何らかの操作が所定操作の一例となる。
【0091】
ステップS245では、複合機200のプロセッサ210は、ユーザによる待機期間の延長操作に応じて待機期間を増大変更することにより延長する。当該ステップS245が期間延長処理の一例である。
【0092】
なお、上記ステップS205、ステップS215、ステップS225、ステップS230、ステップS235及びステップS250はいずれか1つでも設けられていればよく、1つ以上が省略されていても良い。したがって、上記ステップS205、ステップS215、ステップS225、ステップS230、ステップS235及びステップS250のうち1つ以上が、第1判定処理の一例である。そして、上記ステップS205、ステップS215、ステップS225、ステップS230、ステップS235及びステップS250のうち1つ以上を実行する複合機200が判定部の一例である。また、上記ステップS130、ステップS210及びステップS220が、ジョブ停止処理の一例である。また、上記ステップS130、ステップS210及びステップS220を実行する複合機200が停止部の一例である。
【0093】
<実施形態の効果>
以上説明した複合機200によれば、印刷可能枚数が少なくなり所定の値に到達している場合であっても、所定条件が満たされている場合には、ステップS130及びステップS220により印刷ジョブの未遂行分が印刷再開可能に保持された状態で停止される。これにより、未遂行分をその後印刷再開することで印刷ジョブを最後まで遂行可能となるため、ユーザにとっての利便性を向上することができる。
【0094】
また、本実施形態では特に、複合機200の印刷可能枚数を少なくとも所定の値よりも増大させなければ印刷を実行することができない。本実施形態によれば、印刷可能枚数が所定の値より大きくなることが予期されることを所定条件に含めることで、印刷ジョブを実行しやすくする。
【0095】
また、本実施形態では特に、複合機200が少なくとも管理サーバ100に対してオンライン状態でなければ、管理サーバ100からの通信により複合機200の印刷可能枚数を増大させることができない。本実施形態によれば、複合機200が少なくともオンライン状態であることを所定条件に含めることで、印刷可能枚数の増大に基づき印刷ジョブを実行しやすくする。
【0096】
また、本実施形態では特に、ステップS120でのチャージ切れの検知タイミングからの経過期間の範囲を所定条件に含めることで、無限に待機することによる時間の浪費を回避することができる。
【0097】
また、本実施形態では特に、ユーザが手動操作に基づき印刷可能枚数を増大させる場合に、操作に比較的長時間を要する場合がある。その際、ユーザが端末装置300において延長操作や何らかの操作を行った場合には、手動操作により印刷可能枚数を増大させようとしている可能性がある。本実施形態によれば、複合機200が手動チャージモードであること、及び、上記操作が行われたこと、の2つの条件が揃った場合に、ユーザの印刷可能枚数増大の意思表示があったとみなして、ステップS245により待期期間が延長される。これにより、ユーザが印刷ジョブを印刷再開可能に保持することを望む状況において印刷ジョブを保持せずに削除するまでの上限の時間を延ばすことができる。
【0098】
また、本実施形態では特に、ユーザによるキャンセル操作があった場合には印刷ジョブを保持せずに削除する。本実施形態によれば、ユーザの意思を反映した処理を実行することができる。
【0099】
また、本実施形態では特に、印刷ジョブの停止中に所定条件が満たされることで印刷ジョブの未遂行分の印刷を実行することができる。本実施形態によれば、印刷ジョブの停止中に所定条件を満たすようにユーザを促すことができる。
【0100】
また、本実施形態では特に、印刷可能枚数が少なくなった時に自動的に印刷可能枚数が増大される、いわゆるオートチャージを実現することができる。本実施形態によれば、ユーザにとっての利便性を向上することができる。
【0101】
また、本実施形態では特に、トレイ201からのシートSの新たな取り出しを停止することで、印刷ジョブの停止を実現する。本実施形態によれば、トレイ201からのシートSの新たな取り出しを開始することで、印刷ジョブを再開することができる。
【0102】
また、本実施形態では特に、所定条件が満たされない場合には、印刷ジョブを削除することができる。本実施形態によれば、例えば印刷可能枚数が増加される可能性が低い場合や、ユーザが印刷ジョブの保持を望まないような場合には、従来通りの印刷ジョブを削除する処理を実行できる。
【0103】
また、本実施形態では特に、所定条件は、ユーザにより不実行化の禁止が選択されたことを含む。本実施形態によれば、何としても印刷ジョブを必ず実行したいユーザにとっての利便性を向上することができる。
【0104】
また、本実施形態では特に、ステップS60において、管理サーバ100から送信された手動チャージモードであることを表すモード情報に基づき、データ記憶領域232に記憶されたモード情報を消去可能である。本実施形態によれば、例えば複合機200が他人に譲渡されたような場合に、モード情報がデータ記憶領域232に残されたままの状態で、誤ってチャージ枚数が自動購入されるのを抑制できる。
【0105】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を、順を追って説明する。
【0106】
(1)シートを所定位置まで搬送して待機する場合
例えば、所定条件を満たすと判定された場合に、トレイ201から取り出された1枚のシートSを搬送機構260により所定位置まで搬送して待機させてもよい。
【0107】
図8に、複合機200の搬送機構260によるシートSの搬送経路の一例を模式的に示す。
図8に示すように、複合機200は、トレイ201と、給紙ローラ204と、搬送機構260と、印刷部290と、排出部202と、反転フラッパ203と、を有する。トレイ201内には、複数枚のシートSが積層されて収容されている。給紙ローラ204は、トレイ201の最上部に位置するシートSを1枚ずつ取り出し、順搬送経路L1に供給する。搬送機構260は、複数のローラを有しており、トレイ201から供給されたシートSを順搬送経路L1に沿って搬送する。印刷部290は、搬送されてきたシートSに対して画像を形成して印刷を行う。印刷が完了したシートSは、順搬送経路L1に沿って排出部202へ向けて搬送され、排出部202から排出される。
【0108】
反転フラッパ203は、シートSに両面印刷を行う場合に作動する。搬送機構260は、反転フラッパ203が前側に位置する状態で、表面の印刷が完了したシートSの後端が反転フラッパ203を通過する位置まで搬送した後、順方向での搬送を停止させる。その後、反転フラッパ203が後側に位置するよう移動し、搬送機構260は、シートSを逆搬送経路L2へ向けて搬送する。逆搬送経路L2に沿って搬送されたシートSは、順搬送経路L1に合流する。これにより、表面の印刷が完了したシートSは、裏面を印刷部290に向けるように反転される。
【0109】
図9は、本変形例において、複合機200のプロセッサ210により実行される、上記ステップS200の印刷ジョブ判定処理の詳細内容の一例を表すフローチャートである。
図9において、
図7と同じ処理には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0110】
図9のフローチャートが前述の
図7と異なる点は、ステップS220の後にステップS255を実行する点とS210の後にステップS253を実行する点である。
図9のステップS205~ステップS250は、
図7と同様であるため説明を省略する。
【0111】
複合機200のプロセッサ210は、上記ステップS220の後、ステップS255に移行する。ステップS255では、プロセッサ210は、トレイ201から取り出された1枚のシートSを搬送機構260により順搬送経路L1に沿って搬送し、印刷部290による印刷位置よりも搬送方向上流側の所定位置で待機させる。所定位置は、例えば
図8のシートS1に示す位置である。
【0112】
なお、シートSの両面に印刷が行われる両面印刷設定がなされており、かつ、印刷部290によりシートSの一方面に対し画像の記録を行ったときに、前述のステップS120においてチャージ切れが検知された場合には、次のようにしてもよい。すなわち、プロセッサ210は、シートSを反転フラッパ203及び搬送機構260により反転した後の所定位置で停止して待機させる。所定位置は、例えば
図8のシートS1に示す位置である。なお、反転フラッパ203及び搬送機構260が反転機構の一例である。また、本変形例ではステップS130、ステップS210及びステップS253、ステップS220及びステップS255が、ジョブ停止処理の一例である。
【0113】
本変形例においては、複合機200のプロセッサ210は、上記ステップS210の後、ステップS253に移行する。ステップS253では、プロセッサ210は、所定位置で待機中の或いは待機するため搬送中のシートSが存在する場合に、当該シートSに印刷しないで複合機200の機外に排出する。これにより例えば待機期間が経過しても手動チャージが実行されずに印刷が再開されない場合に、シートSが複合機200の機内に残ったままとなることを防止できる。
【0114】
本変形例においては、チャージ枚数の加算による印刷ジョブの実行に備えて、印刷ジョブの停止時において、シートSを予め印刷部290による印刷位置近くまで搬送し待機させておくことができる。本変形例によれば、停止後の印刷ジョブ再開時におけるシートSへの画像形成を早期に実行することができる。
【0115】
また本変形例においては、両面印刷設定のうちシートSの片面に印刷が終わった時に印刷ジョブが途中で中断された場合、ジョブ再開時のもう片面の印刷に備えて、シートSを予め反転機構により反転後の所定位置で停止させて待機させておく。本本変形例によれば、両面印刷設定時の印刷ジョブ再開時におけるシートSへの画像形成を早期に実行することができる。
【0116】
(2)印刷ジョブを保留して格納する場合
上記実施形態では、印刷ジョブの不実行化の一例として印刷ジョブを削除するようにしたが、削除に限られず、印刷ジョブを保留して適宜の場所に格納することで不実行化してもよい。
【0117】
図10は、本変形例において、複合機200のプロセッサ210により実行される、上記ステップS200の印刷ジョブ判定処理の詳細内容の一例を表すフローチャートである。
図10において、前述の
図7と同じ処理には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0118】
図10のフローチャートが
図7と異なる点は、ステップS210をステップS211に代えた点であり、その他のステップについては
図7と同様であるため説明を省略する。
【0119】
ステップS211では、複合機200のプロセッサ210は、前述のステップS110で取得された印刷ジョブを所定の格納部へ読み出し可能に格納する。所定の格納部は、例えば複合機200の揮発性記憶装置220又は不揮発性記憶装置230でもよいし、管理サーバ100の揮発性記憶装置120又は不揮発性記憶装置130等でもよい。なお、本変形例ではステップS130、ステップS211及びステップS220が、ジョブ停止処理の一例である。
【0120】
本変形例によれば、所定条件が満たされない場合であっても、印刷ジョブを削除せずに所定の格納部に格納して保管しておき、後で読み出して印刷することが可能となる。
【0121】
(3)印刷を開始する前にチャージ切れを判定する場合
上記実施形態では、印刷を1枚実行する度にステップS120でチャージ切れを判定するようにしたが、チャージ切れを判定するタイミングは上記に限られない。例えば、印刷ジョブにページ数や部数が含まれる場合等、複合機200のプロセッサ210が印刷ジョブを取得した際に印刷枚数を把握できる場合には、印刷を開始する前にチャージ切れを判定してもよい。
【0122】
図11は、本変形例において、複合機200がオートチャージモードである場合の、管理サーバ100のプロセッサ110、複合機200のプロセッサ210、及び端末装置300のCPU310が実行する制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
図11において、前述の
図5と同じ処理には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0123】
図11のステップS105及びステップS110は、
図5と同様であるため説明を省略する。複合機200のプロセッサ210は、上記ステップS110の後、次のステップS121に移行する。
【0124】
ステップS121では、複合機200のプロセッサ210は、上記ステップS110で取得した印刷ジョブと現在の印刷可能枚数とに基づき、チャージ切れとなることが予期されるか否かを判定する。言い換えると、プロセッサ210は、上記印刷ジョブを実行した場合に印刷可能枚数が前述の所定の値となることが予期されるか否かを判定する。プロセッサ210は、チャージ切れとなることが予期されない場合には(ステップS121:No)、次のステップS123に移行する。
【0125】
ステップS123では、複合機200のプロセッサ210は、上記ステップS110で受信した印刷ジョブに基づいて印刷を実行する。また、プロセッサ210は、実行した印刷枚数分だけ印刷可能枚数を減少させる。
【0126】
ステップS125では、複合機200のプロセッサ210は、印刷ジョブに基づく全枚数の印刷が完了したか否かを判定する。プロセッサ210は、印刷が完了していない場合には(ステップS125:No)、上記ステップS123に戻る。一方、プロセッサ210は、印刷が完了した場合には(ステップS125:Yes)、本シーケンスチャートを終了する。
【0127】
一方、上記ステップS121において、複合機200のプロセッサ210は、チャージ切れとなることが予期された場合には(ステップS121:Yes)、次のステップS131に移行する。
【0128】
ステップS131では、複合機200のプロセッサ210は、印刷ジョブに基づく印刷を開始せずに待機する。
【0129】
次のステップS135~ステップS175及びステップS200は、
図5と同様であるため説明を省略する。
【0130】
複合機200のプロセッサ210は、上記ステップS175の後、ステップS181に移行する。ステップS181では、プロセッサ210は、上記ステップS110で受信した印刷ジョブに基づいて印刷を開始する。以上により、本シーケンスチャートを終了する。
【0131】
なお、図示は省略するが、複合機200が手動チャージモードである場合は、前述の
図6に示すフローチャートを上記と同様に変更すればよい。
【0132】
本変形例において、ステップS131、ステップS210及びステップS220が、ジョブ停止処理の一例である。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0133】
(4)その他
例えば複合機200において印刷が停止されて待機している間、オートチャージの実行を待っているのか、又は、ユーザによる手動チャージの実行を待っているのか等、待機中の状態を判別可能に表示してもよい。表示の態様は限定されるものではないが、例えば複合機200がLEDランプを有する場合には、オートチャージの実行を待っている場合にはLEDランプを例えば点滅させてもよい。この場合、前述の
図5において、例えばステップS130で印刷が停止された後、ステップS175で増加された印刷可能枚数を受信するまでの間、LEDランプを点滅させてもよい。また、ユーザによる手動チャージの実行を待っている場合には、LEDランプを例えば点灯させてもよい。この場合、前述の
図6において、例えばステップS130で印刷が停止された後、
図7においてステップS230の判定が満たされるまでの間、LEDランプを点灯させてもよい。なお、上記表示はLEDランプに限られず、例えば複合機200の表示部240で表示してもよいし、端末装置300のタッチパネル340で表示してもよい。本変形例によれば、LEDランプを点滅させた場合には、ユーザに対してただ待っていればよいことを知らせることができ、LEDランプを点灯させた場合には、ユーザに手動チャージの実行を促すことができる。
【0134】
また以上では、複合機200が管理サーバ100に対してオフラインである場合には、無条件に印刷ジョブの未遂行分を削除するようにしたが、これに限られない。例えばオフラインの場合でも、前述の待機モードがONに設定されている場合には、印刷ジョブの未遂行分を保持させてもよい。前述のように、待機モードは、ONにされると印刷ジョブの未遂行分不実行化が禁止され、OFFにされると印刷ジョブの未遂行分不実行化が許容されるモードであり、ユーザが予めON又はOFFを選択して設定することが可能である。
【0135】
また、以上の実施形態で説明した複合機200のプロセッサ210による処理の少なくとも一部を、例えば管理サーバ100のプロセッサ110又は端末装置300のCPU310が実行するようにしてもよい。例えば、ジョブ取得処理の一例であるステップS110を、管理サーバ100のプロセッサ110又は端末装置300のCPU310が実行してもよい。この場合、管理サーバ100又は端末装置300が取得部の一例である。また、検知処理の一例であるステップS120を、管理サーバ100のプロセッサ110又は端末装置300のCPU310が実行してもよい。この場合、管理サーバ100又は端末装置300が検知部の一例である。また、第1判定処理の一例であるステップS205、ステップS215、ステップS225、ステップS230、ステップS235及びステップS250のうちの1つ以上を、管理サーバ100のプロセッサ110又は端末装置300のCPU310が実行してもよい。この場合、管理サーバ100又は端末装置300が判定部の一例である。また、ジョブ停止処理の一例であるステップS130、ステップS210及びステップS220を、管理サーバ100のプロセッサ110又は端末装置300のCPU310が実行してもよい。この場合、管理サーバ100又は端末装置300が停止部の一例である。
【0136】
また以上では、印刷装置が複合機200である場合を例にとって説明したが、これに限られない。本発明に係る印刷装置は、複合機以外にも、例えばプリンタ、コピー機でもよい。
【0137】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
但し、例えばしきい値(
図5、
図6、
図7、
図9、
図10、
図11のフローチャート参照)や基準値等、所定の判定基準となる値あるいは区切りとなる値の記載がある場合は、それらに対しての「同一」「等しい」「異なる」等は、上記とは異なり、厳密な意味である。
【0138】
また、
図4~
図7、
図9~
図11に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0139】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0140】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0141】
1 印刷サービス提供システム(印刷管理システムの一例)
100 管理サーバ(情報管理装置の一例)
110 プロセッサ
130 不揮発性記憶装置
190 通信インタフェース(通信I/Fの一例)
200 複合機(印刷装置、取得部、検知部、判定部、停止部の一例)
201 トレイ
210 プロセッサ
230 不揮発性記憶装置(記憶部の一例)
260 搬送機構
290 印刷部
300 端末装置
310 CPU
350 大容量記憶装置
S シート(被記録媒体の一例)