(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094891
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】移動制御装置、その制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/73 20150101AFI20240703BHJP
【FI】
E05F15/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211789
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】522457793
【氏名又は名称】株式会社ハウディ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100202913
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 敦史
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100166442
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋雅
(72)【発明者】
【氏名】浅田 一憲
(72)【発明者】
【氏名】浅田 風太
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA04
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA13
2E052EB01
2E052EC02
2E052GA05
2E052GB01
2E052GD07
2E052KA27
(57)【要約】
【課題】より多くの状況に対応可能であり、汎用性の高い制御システムを提供する。
【解決手段】制御装置10は、ドア、エスカレータ等の利用者の移動を制御するための移動制御機構を制御する装置である。制御装置10は、撮像装置18により取得された移動制御機構の利用者の画像を解析し、利用者が属す分類または属性用に設定された動作制御情報を取得する。制御装置10は、動作制御情報に基づいて、移動制御機構を駆動するドア駆動部20を制御することにより、移動制御機構の動作を制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の移動を制御するための移動制御機構を制御する制御装置であって、
前記移動制御機構の利用者の画像を取得し、これを解析し、利用者に設定された動作制御情報を取得する情報取得部と、
取得した動作制御情報に基づいて、前記移動制御機構の動作を制御する制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記移動制御機構は、通路を開閉して、通行者の移動を制御する開閉装置であり、
前記制御装置は、前記開閉装置を制御するものであり、
前記情報取得部は、前記開閉装置を通過する通行者用に設定された開閉態様に対応付けられた動作制御情報を取得し、
前記制御部は、取得した動作制御情報に基づいて、前記開閉装置の開閉動作を制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、前記通行者の画像を解析して、通行者の属性又は通行者が属す分類を取得し、取得した属性又は分類に対応する開閉態様を示す動作制御情報を取得する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記情報取得部は、利用者の画像と対応する開閉態様とを予め学習した学習済モデルに、前記開閉装置の利用者の画像を適用して、動作制御情報を取得する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記移動制御機構は、歩行者を載せて搬送するエスカレータであり、
前記制御装置は、前記エスカレータの搬送速度を制御し、
前記情報取得部は、前記エスカレータの搭乗者に設定された搬送速度を示す動作制御情報を取得し、
前記制御部は、取得した動作制御情報に基づいて、前記エスカレータの動作を制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
利用者の移動を制御するための移動制御機構と、
前記移動制御機構の可動部を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御することにより、前記移動制御機構を制御する、請求項1から5の何れか1項に記載の制御装置と、
を備える、移動制御装置。
【請求項7】
コンピュータを、
移動制御機構の利用者の画像を解析し、利用者に設定された動作制御情報を取得する情報取得部、
取得した動作制御情報に基づいて、前記移動制御機構の動作を制御する制御部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動制御装置、その制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動ドアは、人等が接近したときに開閉動作を行うだけではなく、より細かい制御を必要とされる場合がある。例えば、特許文献1には、身体障害者等が車椅子で移動する際、共通する同一周波数の信号で自動ドアを一定時間開くことのできるリモコン式発信機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された発明では、車椅子に付帯のリモコン式発信機が必須であり、かつ、通常の動作モードと車椅子の利用者に特化した動作モードとを切り替えるだけであり、使用できる状況が限られてしまい、実用性が低い。
【0005】
同様の問題は、自動ドア等の開閉装置に限定されず、エスカレータ、エレベーター、リフト等の、利用者の移動を制御する移動制御装置とそれを制御する制御装置に共通して存在する。また、制御装置は、汎用の端末にプログラムをインストールすることにより実現ができれば、便利である。
【0006】
本発明は、より多くの状況に対応可能であり、汎用性の高い移動制御装置とその制御装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の制御装置は、
利用者の移動を制御するための移動制御機構を制御する制御装置であって、
前記移動制御機構の利用者の画像を取得し、これを解析し、利用者に設定された動作制御情報を取得する情報取得部と、
取得した動作制御情報に基づいて、前記移動制御機構の動作を制御する制御部と、
を備える。
【0008】
また、本発明の移動制御装置は、
利用者の移動を制御するための移動制御機構と、
前記移動制御機構の可動部を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御することにより、前記移動制御機構を制御する制御装置と、
を備える。
【0009】
また、本発明のプログラムは、
コンピュータを、
移動制御機構の利用者の画像を解析し、利用者に設定された動作制御情報を取得する情報取得部、
取得した動作制御情報に基づいて、前記移動制御機構の動作を制御する制御部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より多くの状況に対応可能であり、汎用性の高い移動制御装置とその制御装置およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る自動ドア全体の概観図である。
【
図2】
図1に示す制御システムの物理的構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示す制御システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図4】(a)~(d)は、
図3に示す分類情報の具体例を示す図である。
【
図5】
図2に示す制御部が実行する開閉制御処理のフローチャートである。
【
図6】変形例1に係る開閉制御テーブルの一例を示す図である。
【
図7】第2実施形態の制御装置に配置されるニューラルネットワークの構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図7に示すニューラルネットワークの学習処理のフローチャートである。
【
図9】第2実施形態の制御部による開閉制御処理のフローチャートである。
【
図10】第3実施形態において、自動ドアを開くタイミングを説明するための図である。
【
図11】本発明の第4実施形態による制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る移動制御装置とその制御装置について図面等を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る、移動制御装置の一例である自動ドア1000の一例の全体構成図である。
図1に示すように、自動ドア1000は、縦枠VF、無目TR、ドア100、制御システム1を備える。制御システム1は、制御装置10、撮像装置18、ドア駆動部20、スピーカ30、および表示部40を備える。
【0013】
縦枠VFは、開口部の左右端縁に起設される枠である。
無目TRは、開口部の上部に水平に配設され、両端が縦枠VFに固定されている。無目TRの内部には、制御装置10、ドア駆動部20、スピーカ30、が収納されている。無目TRの下端面には、ドア100を案内するガイドレールGRが取り付けられている。また、無目TRには、撮像装置18が固定されている。
【0014】
ドア100は、ドア駆動部20の動作により開閉方向に移動し、開口部を開状態または閉状態にする可動部である。ドア100の開閉構造は任意であるが、本実施形態においては、左ドア100Lと右ドア100Rがそれぞれ左右方向にスライド移動して開口部を開閉する引分式であるものとする。
【0015】
ドア100の取り付け方法および開閉方法は任意であるが、例えば、左ドア100Lは、ドアハンガ101Lおよび102LによってガイドレールGRに懸吊する。また、右ドア100Rは、ドアハンガ101Rおよび102RによってガイドレールGRに懸吊する。
【0016】
無目TRの両端部には、ドア駆動部20を構成する駆動プーリ202と従動プーリ203が配置されており、ベルト204が環状に巻き付けられている。ベルト204の上段には、ドアハンガ102Lが連結され、ベルト204の下段には、ドアハンガ102Rが連結されている。これにより、左ドア100Lと、ドア100Rは、ベルト204の動きに応じて左右に移動する。
【0017】
ドア100の左右両側には、嵌殺戸FDが設けられている。
【0018】
制御システム1は、ドア100の開閉動作を制御すると共に、スピーカ30と表示部40の動作を制御するものであり、前述のように、制御装置10、撮像装置18、ドア駆動部20、スピーカ30、および表示部40を備える。
撮像装置18は、無目TRに固定されており、自動ドア1000に繋がる通路の画像を取得し、取得した画像(正確には、画像データ)を制御装置10に供給する。
【0019】
ドア駆動部20は、制御装置10から出力された制御信号に従って、ドア100を開閉する動力機構である。ドア駆動部20は、モータ201と、前述の駆動プーリ202、従動プーリ203、ベルト204を備える。モータ201が駆動プーリ202を回転させることによって、ベルト204を時計回りまたは反時計回りに動かすことができる。ベルト204の動きに連動して、ドア100Lと100Rが開閉する。
【0020】
スピーカ30は、制御装置10の制御に従って、音声メッセージや警告音を発する。表示部40は、自動ドア1000の近傍に配置され、制御装置10の制御に従って、メッセージや警告を表示する。なお、スピーカ30及び表示部40は、自動ドア1000に一体的に設けられていてもよいし、スピーカ付きのモニター装置等を利用してもよい。
【0021】
制御装置10は、撮像装置18から通路を撮影した画像を取得し、取得した画像をデータ処理して、ドア駆動部20とスピーカ30と表示部40とを制御する。制御装置10はコンピュータを備える。ここで、コンピュータとは、制御部、記憶装置等を備え、プログラムを適宜読み出して実行することにより、各種機能を実行する。この例では、制御装置10は、物理的には、
図2に示すように、制御部12、ROM(Read Only Memory)14、RAM(Random Access Memory)15、補助記憶装置16、I/O装置17を備える。これらの部位は、バスラインBLを介して相互に接続されている。
【0022】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、ROM14または補助記憶装置16に格納されたオペレーティングシステム(OS)、各種のアプリケーションプログラムをRAM15に読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、自動ドア1000のドア100の開閉制御を実行する。より具体的には、制御部12は、I/O装置17を介して撮像装置18から通路の画像を取得し、取得した画像を処理して、通行者の有無と通行者の属する分類を判別する。制御部12は、判別した分類に対応する分類情報に従って、I/O装置17を介して、ドア駆動部20を制御し、ドア100L、100Rを開閉させる。また、制御装置10は、I/O装置17を介して、スピーカ30と表示部40に制御信号を出力する。
【0023】
ROM14は、制御部12が実行する各種プログラムやプログラム実行の際に使用する各種固定データ等を記憶する不揮発性メモリである。
【0024】
RAM15は、ROM14または補助記憶装置16から読み出されたプログラムやデータを一時的に保持する揮発性メモリであり、制御部12の作業領域として使用される。
【0025】
補助記憶装置16は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の書き換え可能な不揮発性の記憶装置から構成され、制御部12が実行するプログラム、そのプログラムを実行する際に用いられるデータ、プログラムの実行により生成されたデータを記憶する。また、補助記憶装置16は、後述する分類情報記憶部11として機能する。
【0026】
I/O装置17は、制御部12と外部装置との間のデータおよび制御信号の入出力を行うインタフェースである。ここで、外部装置とは、撮像装置18、ドア駆動部20、スピーカ30、表示部40等である。
【0027】
制御装置10は、機能的には、
図3に示すように、分類情報記憶部11と、制御部12とを備えている。分類情報記憶部11は、補助記憶装置16上に配置され、制御部12がドア100の動作を制御するための情報を分類毎に記憶する。分類は、利用者の属性に応じて設定されている。本実施形態では、分類情報記憶部11は、分類Aと、分類Bと、分類Cと、通常分類の計4つの分類の分類情報を格納したテーブルを記憶している。なお、どのような属性を有する通行人をどのような分類に割り当てるかは任意である。
【0028】
分類情報の具体例を
図4を参照して説明する。
分類Aは、白杖利用者、すなわち、視覚に障害を有する属性の通行者の分類である。分類Aの分類情報は、
図4(a)に示すように、白杖利用者の画像の特徴データAと、分類A用の開閉態様情報Aを含む。
特徴データAは、撮像装置18から供給された画像に含まれる白杖利用者の画像を特定するためのデータである。特徴データの抽出手法自体は既知の任意の手法を採用可能である。
開閉態様情報Aとして、ドア開速度として300mm/s、ドア閉速度として100mm/s、ドア開時間(ドア100が開いている状態を保持する時間)として5s、ドア100に配置されているタッチスイッチが操作されたときに強制開放すること、スピーカ30から音声メッセージAを放音すること、表示部40にメッセージAを表示することが設定されている。
【0029】
分類Bは、車椅子の利用という属性を有する通行者の分類である。分類Bの分類情報は、
図4(b)に示すように、車椅子利用者の画像の特徴データBと、分類B用の開閉態様情報Bを含む。
特徴データBは、撮像装置18から供給された画像に含まれる車椅子利用者の画像を特定するためのデータである。特徴データの抽出手法自体は既知の任意の手法を採用可能である。
開閉状態情報Bとして、ドア開速度として350mm/s、ドア閉速度として150mm/s、ドア開時間として6s、ドア100に配置されているタッチスイッチが操作されたときに強制開放すること、スピーカ30から音声メッセージBを放音すること、表示部40にメッセージBを表示することが設定されている。
【0030】
分類Cは、ベビーカーを利用しているという属性を有する通行者の分類である。分類Cの分類情報は、
図4(c)に示すように、ベビーカー利用者の画像の特徴データCと、分類C用の開閉態様情報Cを含む。
特徴データCは、撮像装置18から供給された画像に含まれるベビーカー利用者の画像を特定するためのデータである。特徴データの抽出手法自体は既知の任意の手法を採用可能である。
開閉態様情報Cとして、ドア開速度として400mm/s、ドア閉速度として200mm/s、ドア開時間として7s、ドア100に配置されているタッチスイッチが操作されたときに強制開放すること、スピーカ30から音声メッセージCを放音すること、表示部40にメッセージCを表示することが設定されている。
【0031】
通常分類は、分類A~Cには、属さない一般的な利用者の分類である。
通常分類用の分類情報は、
図4(d)に示すように、通行者の画像の特徴データと、通常分類用の開閉態様情報を含む。
通行者の画像の特徴データは、撮像装置18から供給された画像に含まれる通行者(白杖利用者、車椅子利用者、ベビーカー利用者を含む)の画像を特定するためのデータである。
通常分類用の開閉態様情報として、ドア開速度として500mm/s、ドア閉速度として250mm/s、ドア開時間として4s、ドア100に配置されているタッチスイッチが操作されたときに強制開放すること、スピーカ30からは音声メッセージの出力がなく、表示部40にメッセージを表示しないことが設定されている。
【0032】
図4に示すように、分類A~Cの開閉態様は、通常分類の開閉態様よりも、開速度及び閉速度が遅く、開放時間が長いというように、ハンデキャップを有する通行者が自動ドア1000を通り易く設定されている。
【0033】
なお、
図4に示した開閉態様は、理解を容易にするための一例にすぎない。さらに、開閉態様としてどのようなパラメータを設定するかは任意であり、より多くても少なくてもよい。例えば、最大開時の開口の幅・サイズ等を設定してもよい。
【0034】
次に、上記構成を有する制御システム1、制御装置10及び自動ドア1000の動作を説明する。
図5は、自動ドア1000の制御部12の動作のフローチャートである。
自動ドア1000が起動されると、制御部12は、初期化処理終了後、
図5に示す開閉制御処理を開始し、撮像装置18から、自動ドア1000に繋がる通路の画像(正確には画像データ)を取得(受信)する(ステップS11)。
【0035】
制御部12は、取得した画像中に、自動ドア1000の通行者が写っているか否かを、画像中に通常用特徴データを検出できるか否かにより判別する(ステップS12)。通行者が写っていない場合(ステップS12:No)、ステップS11にリターンする。
【0036】
一方、通行者が写っていると判別した場合(ステップS12:Yes)、写っている通行者が属す分類を判別し、判別した分類に対応する開閉態様を特定する(ステップS13)。より詳細に説明すると、制御部12は、写っている通行者が白杖利用者、車椅子利用者、ベビーカー利用者、その他、の何れに該当するかを判別する。具体的には、取得した画像中に、特徴データA、特徴データB、又は特徴データCを検出できるか否かを判別し、特徴データAを検出できた場合には分類Aに属すと判別し、特徴データBを検出した場合には分類Bに属すと判別し、特徴データCを検出できた場合には分類Cに属すと判別する。一方、特徴データA~Cのいずれも検出できない場合には、通常の通行者であると判別する。
【0037】
制御部12は、判別した分類に対応する開閉態様を特定する。具体的には、判別した分類が「分類A:白杖利用者」である場合には、
図4(a)に示す開閉態様情報Aを読み出し、判別した分類が「分類B:車椅子利用者」である場合には、
図4(b)に示す開閉態様情報Bを読み出し、判別した分類が「分類C:ベビーカー利用者」である場合には、
図4(c)に示す制御態様情報Cを読み出し、判別した分類が「通常分類」である場合には、
図4(d)に示す通常用開閉態様情報を読み出す。制御部12は、読み出した開閉態様情報で特定される開閉態様を特定する。
【0038】
なお、ステップS11とS13では、制御部12は、ドア100の利用者の画像を取得し、これを解析して、利用者に設定された動作制御情報の一例である開閉態様情報を取得する情報取得部として機能する。
【0039】
続いて、制御部12は、ステップS13で特定した開閉態様に従って、ドア駆動部20、スピーカ30、表示部40を制御する制御動作を行う(ステップS14)。
【0040】
続いて、制御部12は、ドア100の開閉制御動作を終了したか否かを判断する(ステップS15)。開閉動作を終了していると判別した場合(ステップS15:Yes)、ステップS11に戻る。一方、開閉動作を終了していない場合(ステップS15:No)、ステップS14へ戻り、特定した開閉態様での開閉制御動作を継続する。
【0041】
このような開閉制御によれば、通行者が、白杖利用者、車椅子利用者、又は、ベビーカー利用者の場合、ハンデキャップに応じて、通常よりも遅い開閉速度、通常よりも長い開時間で、開閉する。このため、ハンデキャップを有する通行者が安心して安全に自動ドア1000を通ることができる。
【0042】
本実施の形態においては、ドア100は、通路を開閉して通行者の移動を制御する開閉装置であり、利用者の移動を制御するための移動制御機構の一例である。ドア駆動部20は、ドア100を駆動する駆動部の一例であり、制御装置10は、ドア駆動部20を介してドア100を制御する制御装置の一例であり、自動ドア1000は、移動制御装置の一例である。制御部20は、動作制御情報の一例である開閉態様情報を取得する情報取得部として機能すると共に、動作制御情報に基づいて移動制御機構の動作の一態様である開閉動作を制御する制御部として機能する。
【0043】
(変形例1)
第1実施形態においては、通行者を通常分類とA~Cの4つの分類に分類したが、分類は任意である。例えば、通行者の属性情報(性別、年代、体型、白杖利用の有無、車椅子利用の有無、ベビーカー利用の有無、同伴者の有無...)の組み合わせ別に分類を設定し、開閉態様(動作態様)を定めてもよい。この場合、例えば、
図6に例示するような、属性の組み合わせ(分類)と開閉態様とを対応付けた開閉制御テーブルを分類情報記憶部11に記憶させる。制御部12は、
図5の開閉制御処理を行う際に、ステップS13で、
図6に示す開閉制御テーブルを参照し、画像に含まれている通行者の属性の組みあわせを特定し、特定した属性の組みあわせ(分類)に合致する開閉態様を特定する。制御部12は、特定した開閉態様でドア100、スピーカ30、表示部40を制御する(ステップS14,S15)。
【0044】
(変形例2)
実施形態1では、本発明を、人が通る自動ドア1000の制御に適用したが、人が通過するだけでなく、ロボット、トラック、フォークリフト等の搬送装置、大きさの異なる装置が通過する場所における自動ドア、シャッター、シートシャッター等の開閉制御に好適に用いることができる。
【0045】
この場合、開閉態様としては、
図4(a)~(d)に例示する項目に限定されず、例えば、ドア開口量を含んでもよい。例えば、通行者が歩行者である場合、ドア開口量を「小」とし、通行者がトラックの場合、ドア開口量を「大」とするなどすればよい。
【0046】
この例では、人が通るだけであるにも関わらずに最大開口量までドアが開くようなことを防止できる。また、大きな開口が必要な場合にも特別な操作をすることなくドアを適切な開口量まで開けることができ、使い勝手がよい。
【0047】
分類に応じてドアの開口量を制御する例に限らず、撮像装置18が撮像した画像から通行者のサイズを特定して、特定したサイズに基づいて必要な開口量を特定してもよい。また、分類により特定される開口量と画像から特定した通行者のサイズに対応する開口量とを照合して、より広い開口量を採用してもよい。
【0048】
(第2実施形態)
第1実施形態では、通行者の画像の特徴量に基づいて、通行者の分類を求めたが、この発明はこれに限定されない。例えば、機械学習により、通行人又は装置が属す分類(属性)を求めることも可能である。
【0049】
機械学習の手法は任意であるが、一例としてニューラルネットワークを用いる例を説明する。
この場合、教師データとして、例えば、撮像装置18で取得した通行者(人又は装置)の画像とその通行者の分類の組を複数用意し、教師データとする。
並行して、ニューラルネットワークを用意する。ニューラルネットワークの構造は限定されない。例えば、
図7に示すように、1層の中間層を有し、入力層のニューロンNの数を、1枚の画像の画素の数mと同一とし、出力層のニューロンNの数を分類の数或いは属性の組みあわせの数と同一とする。なお、1枚の画像の画素の中から予め選択されたm個の画素の画像データを入力データとしてもよい。
【0050】
入力層の各ニューロンNには、画像の各画素の何れかが割り当てられる。出力層の各ニューロンNには、例えば、第1実施形態で例示した分類の何れか又は第1変形例で示した属性の組みあわせが割り当てられる。
【0051】
次に、教師データを用いて、各教師データの画像の各画素の画像データD1~Dmを入力層のニューロンNに入力したときに、対応する分類又は属性の組みあわせが割り当てられたニューロンNが発火するように、学習処理を行う。この学習処理を、
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0052】
まず、未学習の教師データを1つ選択する(ステップS21)。
次に、選択した教師データの画像の各画素の画像データD1~Dmを入力層のニューロンNに入力する(ステップS22)。
次に、選択された教師データの対応する分類が割り当てられた出力層のニューロンNが発火するように、各シナプス結合の重み係数Wと各ニューロンNのバイアスとを、バックプロパゲーション法などを用いて調整する(ステップS23)。
【0053】
次に、学習処理が終了したか否かを判別する(ステップS24)。未学習の教師データが残っていて学習が終了していない場合(ステップS24:NO)、ステップS21にリターンする。未学習の教師データが残っていない場合(ステップS24:YES)、学習処理を終了する。
【0054】
最終的に得られた重み係数Wとバイアスのセットを学修済モデルとして、制御装置10の補助記憶装置16に格納する。なお、学習済モデルの生成は、制御装置10で行う必要はなく、他のコンピュータ装置で行ってもよい。
【0055】
使用段階では、
図9に示す開閉制御処理を実行する。
まず、制御部12は、起動時に、補助記憶装置16から学習済モデルを読み出し、ニューラルネットワークを構築する(ステップS31)。
次に、制御部12は、撮像装置18から画像を取得する(ステップS32)。
【0056】
制御部12は、取得した画像の各画素の画像データD1~Dmをニューラルネットワークの入力層のニューロンNに入力し、発火した出力層のニューロンNに対応する分類又は属性の組みあわせを取得する(ステップS33)。制御部12は、さらに、分類又は属性の組みあわせに対応する開閉態様情報を補助記憶装置16から読み出し、開閉態様を特定する(ステップS33)。
【0057】
なお、ステップS32とS34では、制御部12は、開閉制御装置の一例であるドア100の利用者の画像を取得し、これを解析して、利用者に設定された開閉態様情報を取得する情報取得部として機能する。
【0058】
次に、制御部12は、ステップS33で特定した開閉態様で、ドア100を開閉するように、ドア駆動部20を制御する(ステップS34)。
【0059】
続いて、開閉制御動作の終了条件を満たしたか否かを判別し(ステップS35)、満たしていなければ(ステップS35:NO)、ステップS34にリターンし、満たしていれば(ステップS35:YES)、ステップS32にリターンする。
【0060】
この構成によれば、機械学習を用いて、通行者に適した開閉態様でドア100を開閉することができる。なお、本実施形態においては、画像をニューラルネットワークにより解析して得られた分類情報が開閉態様に対応付けられており、開閉態様に対応付けられた開閉制御情報の一例に相当する。
【0061】
なお、ニューラルネットワークの出力として、分類情報或いは属性の組みあわせではなく、開閉態様情報を設定してもよい。この場合、ニューラルネットワークにより得られる開閉態様情報が開閉態様を示している。ニューラルネットワークは、情報取得部の一例である。
【0062】
(第3実施形態)
上記実施形態においては、ドア開閉動作のパラメータとして、主に、開速度、開放時間、閉速度を例示したが、ハンデキャップを有する通行者の場合、ドアの開動作を開始するタイミングも重要である。例えば、白杖使用者の場合、白杖がドアに接触する前に、ドア100を開くことが望ましく、ベビーカー利用者の場合、ベビーカーの先端が接触する前にドア100を開くことが望ましい。
【0063】
そこで、例えば、撮像装置18から提供される画像から判別される通行者の位置から、ドア100を開き始めるタイミングを制御するようにしてもよい。
【0064】
例えば、
図10に例示するように、i)通常の通行者については、開動作開始タイミング(ドア100を開き始めるタイミング)がもっとも遅く(通行者が自動ドア1000に近づいた時点で開始)、ii)通行者が車椅子利用、ベビーカーB型の場合、開動作開始タイミングが次に遅く、iii)通行者が白杖利用、ベビーカーA型利用、台車利用の場合、次に遅く(最も早く)、なるように、通行者の位置と開動作開始タイミングとを対応付けてもよい。
【0065】
この場合、制御部12は、通行者の現在位置を求め、通行者の属性に対応した位置に通行者が達した(又は達したと推定される)時点で、ドア100を開き始めるようにドア駆動部20を制御する。具体的には、制御部12は、通行者の分類(又は属性の組みあわせ)と通行者の現在位置とを求め、分類(又は属性の組みあわせ)に対応する位置に通行者が達した(又は達したと推定される)時点で、ドア100を開き始めるようにドア駆動部20を制御する。
通行者の位置は、例えば、i)撮像装置18をステレオタイプとして、ステレオ画像から通行者までの距離を求める方法、ii)通路に光スイッチを配置して光スイッチのオン・オフで検出する方法、iii)通路にマット状の重量センサを配置してオン・オフで検出する方法など任意である。
【0066】
本発明の自動ドアは、建物の開口部、通路に設置される自動ドアに限らず、例えば、エレベーターに設置される自動ドア、鉄道車両に設置される自動ドア、鉄道駅のホームに設置されるホームドア等も含む。また、水平方向にスライド動作する扉を備える開閉装置に限定されず、シャッター、カーテン、ネット等を左右方向に開閉、上下方向に開閉する構成等でもよい。さらに、スライド式に限定されず、蝶番式の開き戸、折り戸、回転式など、出入り口、通路を開放及び遮断できるものを広く含む。
【0067】
なお、複数の通行者が同時期に自動ドア1000を通過する場合には、制御装置10は、最も安全な開閉動作を決定してもよい。
【0068】
(第4実施形態)
第1から第3の実施形態では、自動ドア等の開閉装置を例にこの発明を説明した。この発明は、これに限らず、例えば、エスカレータ(所謂歩く歩道を含む)、エレベーター、リフトなどの可動部を有する移動・搬送機構の制御にも適用できる。開閉装置と移動・搬送装置は、通行人或いは利用者の移動を制御する装置であり、移動制御機構と呼ぶこととする。
【0069】
例えば、エスカレータであれば、搭乗者の分類や属性の組みに応じて搬送速度を変更するような制御を行ってもよいし、乗り口、降り口の案内、上り、下りの案内、ベビーカー利用の注意喚起等の音声案内等の制御を行ってもよい。この場合、例えば、
図11に例示するように制御システム1Aを構成する制御装置10Aは、分類情報記憶部11Aに、分類毎に、エスカレータ自体とスピーカから放音するメッセージと、表示部に表示する情報を格納する。
図11の例では、分類Aに分類される白杖利用者がエスカレータを使用する場合に、搬送速度は、30m/mとし、乗り口近傍のスピーカAについては、「上りエスカレータです。1m先が乗り口です。」という音声メッセージを流し、降り口近傍のスピーカBについては、「1m先が降り口です。」といったメッセージを流し、乗り口近傍の表示部Aについては「通常より遅めの速度で運転しています」、降り口近傍の表示部Bには「ステップにお気を付けてください。」というメッセージを表示することが設定されている。
【0070】
このような構成において、制御部12Aは、
図5のステップS11又は
図9のステップS32において、撮像装置18で撮影されたステレオ画像を取得する。
【0071】
制御部12Aは、
図5のステップS13又は
図9のステップS33において、取得した画像を解析することにより、例えば、利用者の分類または属性の組み合わせを判別する。制御部12Aは、画像解析により得られた分類または属性に応じた分類情報を分類情報記憶部11Aから読み出す。また、制御部12Aは、画像解析により、利用者の位置を判別する。
【0072】
制御部12Aは、
図5のステップS14又は
図9のステップS34において、エスカレータ駆動部20Aを制御して、動作態様情報で特定される運転態様でエスカレータを運転する。
図11の例では、利用者が分類Aに属す白杖利用者であるため、エスカレータを通常より遅めの30m/mで運転する。
また、制御部12Aは、運転態様情報に従って、利用者が位置Aに達すると、乗り口近傍に設置されているスピーカAから、「上りエスカレータです。1m先が乗り口です。」などの案内を放音する。また、制御部12Aは、利用者が位置Bに達すると、降り口近傍に設置されているスピーカBから、「上りエスカレータです。1m先が降り口です。」などの案内を放音する。また、表示部A,Bには、既定のメッセージを表示する。
【0073】
制御部12Aは、撮像画像から、利用者がエスカレータを降りたと判別すると、運転速度を通常の50m/mに戻す。また、表示部A,Bに表示するメッセージを通常のメッセージに戻す。
【0074】
なお、制御部12Aは、エスカレータに、異なる分類に属す複数の利用者が乗っていると判別した場合には、移動速度については、利用者別に判別した移動速度のうちの最も遅い速度に合わせて運転し、乗り口と降り口については、個別に案内する。
なお、エスカレータについても、第1変形例、第2変形例、或いは、第2実施形態、第3実施形態と同様の構成を採用することも可能である。
【0075】
第4実施形態においては、エスカレータは、利用者の移動を制御するための移動制御機構の一例であり、エスカレータ駆動部20Aは、エスカレータを駆動する駆動部の一例であり、制御装置10Aは、エスカレータ駆動部20Aを介してエスカレータを制御する制御装置の一例であり、エスカレータシステムは、移動制御装置の一例である。また、動作態様情報は、動作制御情報の一例である。
【0076】
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0077】
例えば、上記実施の形態においては、制御対象物であるドアやエスカレータの動作を制御するための動作制御情報の例として、開閉態様情報と動作態様情報とを例示したが、制御対象物の動作を適切に制御できるならば、データの内容は任意である。
【0078】
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできる。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0079】
1 制御システム
10、10A 制御装置
11、11A 分類情報記憶部
12、12A 制御部
18 撮像装置
20 ドア駆動部
20A エスカレータ駆動部
30,30A,30B スピーカ
40,40A,40B 表示部