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  • 特開-車輌用灯具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094894
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】車輌用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/237 20180101AFI20240703BHJP
   F21S 43/27 20180101ALI20240703BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20240703BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20240703BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240703BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240703BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240703BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20240703BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20240703BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240703BHJP
【FI】
F21S43/237
F21S43/27
F21S43/245
F21S43/20
F21V8/00 310
F21V8/00 340
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:55
F21W103:45
F21W103:35
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211793
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生駒 文哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 佑太郎
(72)【発明者】
【氏名】榎本 修輔
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244AA09
3K244BA08
3K244BA16
3K244BA20
3K244BA31
3K244BA48
3K244BA50
3K244CA03
3K244EA08
3K244EC17
3K244EC27
3K244GA01
(57)【要約】
【課題】 光の均一な出射状態を確保して被視認性の向上を図る。
【解決手段】 光源から出射された光を導き所定の方向に延びる導光部と導光部に対して屈曲された屈曲部とを有する導光体を備え、導光部には長手方向における一端面に光源から出射された光が入射される入射面が形成され、屈曲部は導光部の長手方向における他端部に連続され、導光部の長手方向における他端面に拡散ステップが形成された。これにより、導光部で導かれ長手方向における他端面に到達した光が拡散ステップによって拡散された状態で出射されるため、導光部の長手方向における他端部において点光りが生じず、光の均一な出射状態を確保して被視認性の向上を図ることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射された光を導き所定の方向に延びる導光部と前記導光部に対して屈曲された屈曲部とを有する導光体を備え、
前記導光部には長手方向における一端面に前記光源から出射された光が入射される入射面が形成され、
前記屈曲部は前記導光部の長手方向における他端部に連続され、
前記導光部の長手方向における他端面に拡散ステップが形成された
車輌用灯具。
【請求項2】
前記導光体を保持するホルダーが設けられ、
前記屈曲部が前記ホルダーに取り付けられる被取付部として設けられ、
前記被取付部における前記他端面に連続する面に拡散ステップが形成された
請求項1に記載の車輌用灯具。
【請求項3】
前記被取付部が板状に形成され、
前記被取付部の厚みが前記導光部の長手方向に直交する方向における幅より小さくされた
請求項2に記載の車輌用灯具。
【請求項4】
前記被取付部の厚みが2.5mm以上3.0mm以下にされた
請求項3に記載の車輌用灯具。
【請求項5】
前記導光体を覆い前記導光部から出射される光が透過されるインナーレンズが設けられ、
前記導光部の前記他端部が長手方向において先細りの形状に形成された
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の車輌用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射された光を導いて出射する導光体を有する車輌用灯具についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用灯具には光源から出射された光が導光体に入射されて導かれ導光体の出射面から出射されるように構成されたものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1及び特許文献2に記載された車輌用灯具においては、光源に対向して導光体の入射面が位置され、光源から出射された光が導光体で導かれて出射面から出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-236588号公報
【特許文献2】特開2017-220394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような車輌用灯具においては、導光体での導光状態や導光体の形状等によって部分的に光の出射状態が変化してしまい、例えば、一部において他の部分より多くの光が出射され易くなり、一部において他の部分より明るく光る所謂点光りの状態が視認されることがある。特に、導光体の導光方向における端面で全反射(内面反射)が生じると、この端面の周辺の部分において点光りが生じるおそれがある。
【0006】
このような点光りの状態は光の出射ムラを生じて光の均一な出射状態を阻害し、車輌用灯具の被視認性の低下を来すおそれがある。
【0007】
そこで、本発明車輌用灯具は、光の均一な出射状態を確保して被視認性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車輌用灯具は、光源から出射された光を導き所定の方向に延びる導光部と前記導光部に対して屈曲された屈曲部とを有する導光体を備え、前記導光部には長手方向における一端面に前記光源から出射された光が入射される入射面が形成され、前記屈曲部は前記導光部の長手方向における他端部に連続され、前記導光部の長手方向における他端面に拡散ステップが形成されたものである。
【0009】
これにより、導光部で導かれ長手方向における他端面に到達した光が拡散ステップによって拡散された状態で出射される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、導光部で導かれ長手方向における他端面に到達した光が拡散ステップによって拡散された状態で出射されるため、導光部の長手方向における他端部において点光りが生じず、光の均一な出射状態を確保して被視認性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図2乃至図4と共に本発明車輌用灯具の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用灯具の垂直断面図である。
図2】車輌用灯具の一部を示す水平断面図である。
図3】ホルダーの一部と導光体の一部とを示す斜視図である。
図4】導光体の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明車輌用灯具を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0013】
以下には、車輌用灯具からの光の照射方向を前方として前後上下左右の方向を説明する。但し、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0014】
尚、本発明車輌用灯具は、例えば、車体の前端側に取り付けられる場合にはクリアランスランプやターンシグナルランプやデイタイムランニングランプとして用いられることが好適であり、車体の後端側に取り付けられる場合にはテールランプやストップランプやターンシグナルランプとして用いられることが好適である。また、本発明車輌用灯具は、例えば、二つ以上の異なる種類のランプの機能を有するタイプにおける一つのランプとして用いられてもよい。
【0015】
車輌用灯具1は前端に開口を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞するカバー3とを備えている(図1及び図2参照)。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間が灯室5として形成されている。
【0016】
灯室5にはホルダー6が配置されている。ホルダー6は所定の方向に延びるベース部7とベース部7の長手方向における一方の端部から略後方に突出された取付部8とを有している(図2参照)。ベース部7は左右方向に対して前後に傾斜した方向に延びるようにされている。取付部8には、例えば、側方に突出された取付用突部8aが設けられている。
【0017】
ホルダー6には前方に開口された配置凹部6aが形成されている。尚、ホルダー6の内面には反射処理が施されていてもよい。
【0018】
ホルダー6には導光体9が取り付けられて保持されている(図1及び図2参照)。導光体9は透明な樹脂材料又はガラス材料によって形成され、導光部10と第1の被取付部11と第2の被取付部12によって構成されている(図2乃至図4参照)。尚、第1の被取付部11は左右方向において車輌の中央側に位置される部分であり、第2の被取付部12は左右方向において車輌の外側に位置される部分である。
【0019】
導光部10はホルダー6のベース部7に沿って配置される延設部13と延設部13の長手方向における一端部に連続された湾曲部14とから成り、湾曲部14が延設部13から離隔するに従って後方に変位するように湾曲されている。導光部10は長手方向に直交する断面形状が、例えば、略円形状に形成されている。
【0020】
導光部10は長手方向において湾曲部14の端面(一端面)が入射面15として形成され前側の面が出射面16として形成されている。
【0021】
延設部13は湾曲部14と反対側の端部が径変化部13aとして設けられ、径変化部13aが湾曲部14から離隔するに従って径が小さくなる形状に形成されている。
【0022】
第1の被取付部11は径変化部13aの先端部である最も径が小さくされた部分に連続され、導光部10に対して屈曲された屈曲部として設けられている。第1の被取付部11は導光部10から略後方に突出され、導光部10に対して略直角に屈曲されている。第1の被取付部11は板状に形成され、厚み方向が略左右方向にされている。第1の被取付部11には突出方向における先端寄りの位置に被取付孔11aが形成されている。
【0023】
第1の被取付部11は第2の被取付部12とともにホルダー6に取り付けられる部分であり、導光部10に対して弾性変形可能にされている。第1の被取付部の厚みは、例えば、2.5mm以上3.0mm以下にされており、導光部10の長手方向に直交する方向における幅(径)より小さくされている。
【0024】
第2の被取付部12は略前後方向を向く板状に形成され、湾曲部14から側方における外方に突出されている(図4参照)。第2の被取付部12にはネジ挿通孔12aが形成されている。
【0025】
導光体9の一部には拡散ステップ17が形成されている(図3参照)。拡散ステップ17は、例えば、魚眼ステップであり、導光部10における入射面15と反対側の端面10aから第1の被取付部11の厚み方向における外側の面に亘る部分に形成されている。第1の被取付部11においては、拡散ステップ17が被取付孔11aより前側の部分に形成されている。
【0026】
導光体9は第1の被取付部11の被取付孔11aに取付用突部8aが挿入されネジ挿通孔12aに挿通される取付ネジ100がホルダー6の図示しない螺合部に螺合されることによりホルダー6に取り付けられて保持される(図2乃至図4参照)。
【0027】
導光体9がホルダー6に保持された状態においては、導光部10の延設部13がベース部7において配置凹部6aに位置され、入射面15が図示しない光源に対向して位置され、第1の被取付部11が取付部8において配置凹部6aに位置される(図1乃至図3参照)。導光部10は延設部13が第1の被取付部11側の端部から第2の被取付部12側の端部へ行くに従って後方に変位するように左右方向に対して傾斜された状態にされている。
【0028】
導光体9のホルダー6への取付作業においては、第1の被取付部11が導光部10に対して弾性変形可能にされているため、第1の被取付部11を導光部10に対して弾性変形させてネジ挿通孔12aを螺合部に一致させ易くなり、導光体9のホルダー6に対する取付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0029】
また、第1の被取付部11が導光部10に対して弾性変形可能にされていることにより、車輌の走行時における振動等により導光体9に負荷が付与された場合においても被取付孔11aから取付用突部8aが脱落し難く、ホルダー6による導光体9の安定した保持状態を確保することができる。
【0030】
特に、導光体9においては、第1の被取付部11が板状に形成され、第1の被取付部11の厚みが導光部10の長手方向に直交する方向における幅より小さくされているため、第1の被取付部11が導光部10に対して弾性変形し易く第1の被取付部11が取付部8に押し付けられた状態になり易く、ホルダー6による導光体9の安定した保持状態を確保することができる。
【0031】
ホルダー6にはインナーレンズ18が取り付けられている(図1及び図2参照)。インナーレンズ18はホルダー6のベース部7に取り付けられる主機能部19とホルダー6の取付部8に取り付けられる側部20とを有している。主機能部19によって導光部10が覆われ、側部20によって第1の被取付部11が覆われる(図2参照)。インナーレンズ18は導光体9から出射される光を拡散する機能を有している。
【0032】
主機能部19は導光部10の出射面16に対向する光透過部19aと光透過部19aの上端部から後方に突出された上面部19bと光透過部19aの下端部から後方に突出された下面部19cとを有している。
【0033】
インナーレンズ18はホルダー6に前側から取り付けられ、少なくとも導光体9の導光部10と第1の被取付部11を覆う形状に形成されている。このとき導光部10の他端部が長手方向において先細りの形状に形成された径変化部13aとして設けられているため、インナーレンズ18と導光部10の干渉、特に、上面部19b及び下面部19cと径変化部13aとの干渉を回避することが可能になる。従って、導光体9の傷付きを防止することができると共にインナーレンズ18と導光体9の安定した配置状態を確保することができる。
【0034】
上記のように導光体9がインナーレンズ18によって覆われることにより、導光体9が外部から視認し難くされている。
【0035】
灯室5にはエクステンション21が配置されている(図1及び図2参照)。エクステンション21はインナーレンズ18を周囲から囲む状態で配置され、灯室5に配置された各部を外部から視認不能にする機能を有している。エクステンション21にはインナーレンズ18における側部20の一部を除いた部分を外方(側方)から覆う側方遮蔽部21aが設けられている(図2参照)。側方遮蔽部21aによって側部20の前端部20a以外の部分が覆われる。
【0036】
上記のように構成された車輌用灯具1において、光源から光が出射されると、出射された光が入射面15から導光体9に入射され導光部10で端面10aへ向けて導かれる。導光部10で導かれた光Aは導光部10で内面反射(全反射)されながら出射面16から出射される。出射面16から出射された光Aはインナーレンズ18とカバー3を順に透過されて外部へ向けて照射される。このときインナーレンズ18によって光Aが拡散された状態で出射され、光の均一性が確保される。
【0037】
一方、導光部10で導かれ端面10aに達した光Bは、端面10aに拡散ステップ17が形成されているため、端面10aで内面反射されず拡散ステップ17の作用によって拡散された状態で端面10aから出射される。端面10aから出射された光Bはインナーレンズ18における側部20の前端部20aとカバー3を順に透過されて外部へ向けて照射される。
【0038】
このとき光Bは、例えば、前方に対して斜め側方へ向かう光として照射される。従って、この斜め側方へ向かう光Bによって所定の方向から光が視認可能な角度である所謂視認角が保持されてもよい。
【0039】
また、導光部10で導かれ端面10aへ向かった光は一部が第1の被取付部11に達する可能性があるが、このような光Cは、第1の被取付部11の外面に拡散ステップ17が形成されているため、拡散ステップ17の作用によって拡散された状態で第1の被取付部11から出射され、端面10aから出射された光Bと同様に側部20の前端部20aとカバー3を順に透過されて外部へ向けて照射される。
【0040】
上記のように、導光体9には導光部10の端面10aに加えて端面10aに連続する第1の被取付部11の外面にも拡散ステップ17が形成されているため、第1の被取付部11に達する可能性のある光Cも拡散ステップ17の作用によって拡散された状態で第1の被取付部11から出射され、光の利用効率の向上を図ることができる。
【0041】
以上に記載した通り、車輌用灯具1にあっては、導光部10には長手方向における一端面に光源から出射された光が入射される入射面15が形成され、屈曲部は導光部10の長手方向における他端部に連続され、導光部10の長手方向における他端面に拡散ステップ17が形成されている。
【0042】
従って、導光部10で導かれ長手方向における他端面に到達した光Bが拡散ステップ17によって拡散された状態で出射されるため、導光部10の長手方向における他端部において点光りが生じず、光の均一な出射状態を確保して被視認性の向上を図ることができる。
【0043】
また、屈曲部がホルダー6に取り付けられる第1の被取付部11として設けられ、第1の被取付部11における他端面(端面10a)に連続する面に拡散ステップ17が形成されている。
【0044】
従って、第1の被取付部11における他端面に連続する面からも光が拡散された状態で出射されるため、出射される光の均一性及び光の利用効率の向上による被視認性の向上を図ることができる。
【0045】
また、屈曲部として設けられた第1の被取付部11がホルダー6に取り付けられる機能と光を出射する機能との二つの機能を有するため、導光体9の機能性の向上を図ることができる。
【0046】
さらに、第1の被取付部11の厚みが2.5mm以上3.0mm以下にされているため、第1の被取付部11の十分な強度を確保した上で導光部10に対して弾性変形可能な厚さにされるため、第1の被取付部11の破損を防止した上でホルダー6による導光体9の安定した保持状態を確保することができる。
【0047】
尚、上記には、屈曲部として第1の被取付部11が設けられた例を示したが、屈曲部は第1の被取付部11に限られることはなく、導光部10に対して屈曲された部分であれば他の部分であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 車輌用灯具
6 ホルダー
9 導光体
10 導光部
11 第1の被取付部
15 入射面
17 拡散ステップ
18 インナーレンズ
図1
図2
図3
図4