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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094898
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ロボットの関節構造体およびロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/00 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B25J17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211805
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】柚木崎 創
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】掃部 雅幸
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CY36
3C707HS27
3C707HT11
3C707HT20
3C707HT21
3C707WA03
3C707WA13
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制することが可能なロボットを提供する。
【解決手段】この人型ロボット100の腰関節10は、第1フレーム20と、第2フレーム30と、支持部40と、第2フレーム30の両側に各々一方端が接続され、伸縮動作する他方端を有する第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62と、ピッチ軸線A1周りに回動可能に配置され、第1フレーム20、および、第1直動アクチュエータ61の他方端と回動可能に接続される第1リンク機構50aと、ピッチ軸線A1周りに回動可能に配置され、第1フレーム20、および、第2直動アクチュエータ62の他方端と回動可能に接続される第2リンク機構50bと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フレームおよび第2フレームと、
前記第2フレームを第1軸線周りに回動可能に支持するとともに、前記第1軸線に直交する第2軸線周りに前記第1フレームに回動可能に支持される支持部と、
前記第2フレームの両側に各々一方端が接続され、伸縮動作する他方端を有する第1直動アクチュエータおよび第2直動アクチュエータと、
前記第1軸線周りに回動可能に配置され、前記第1フレーム、および、前記第1直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第1リンク機構と、
前記第1軸線周りに回動可能に配置され、前記第1フレーム、および、前記第2直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第2リンク機構と、を備える、ロボットの関節構造体。
【請求項2】
前記第1リンク機構および前記第2リンク機構は、各々、一方端が前記第2フレームに回動可能に接続される第1リンク部と、一方端が前記第1リンク部に回動可能に接続され、他方端が前記第1フレームに回動可能に接続される第2リンク部と、を含み、
前記第1直動アクチュエータは、一方端が前記第2フレームに回動可能に接続され、他方端が前記第1リンク部の他方端に回動可能に接続されており、
前記第2直動アクチュエータは、一方端が前記第2フレームに回動可能に接続され、他方端が前記第1リンク部の他方端に回動可能に接続されている、請求項1に記載のロボットの関節構造体。
【請求項3】
前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータは、各々、前記第1リンク部の他方端でかつ前記第1フレームから遠い部分に接続され、
前記第2リンク部は、前記第1リンク部の他方端でかつ前記第1フレームに近い部分に接続されている、請求項2に記載のロボットの関節構造体。
【請求項4】
前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータが、同じ長さの分伸張することにより、前記第2フレームが前記第1フレームに対して、前記第1軸線周りに回動する、請求項1に記載のロボットの関節構造体。
【請求項5】
前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータのうちの一方が伸張し、前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータのうちの他方が、前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータのうちの一方の伸張量と同じ分収縮することにより、前記第2フレームが前記第1フレームに対して、前記第2軸線周りに回動する、請求項1に記載のロボットの関節構造体。
【請求項6】
前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータのうちの一方が伸張および収縮しない状態で、前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータのうちの他方が伸張することにより、前記第2フレームが、前記第1フレームに対して、前記第1軸線周りに回動するとともに前記第2軸線周りに回動する、請求項1に記載のロボットの関節構造体。
【請求項7】
前記関節構造体は、ロボットの腰関節、首関節および手首関節のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のロボットの関節構造体。
【請求項8】
腰関節、首関節および手首関節のうちの少なくとも1つを構成する関節構造体を備え、
前記関節構造体は、
第1フレームおよび第2フレームと、
前記第2フレームを第1軸線周りに回動可能に支持するとともに、前記第1軸線に直交する第2軸線周りに前記第1フレームに回動可能に支持される支持部と、
前記第2フレームの両側に各々一方端が接続され、伸縮動作する他方端を有する第1直動アクチュエータおよび第2直動アクチュエータと、
前記第1軸線周りに回動可能に配置され、前記第1フレーム、および、前記第1直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第1リンク機構と、
前記第1軸線周りに回動可能に配置され、前記第1フレーム、および、前記第2直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第2リンク機構と、を含む、ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ロボットの関節構造体およびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットの関節構造体が開示されている。特許文献1では、第1部材に対して第2部材を、互いに直交する第1軸線および第2軸線周りに回動させるロボットの関節構造体が開示されている。関節構造体は、第1部材を第1軸線周りに回動可能に支持する支持部材を備える。また、第2部材は、支持部材に対して第2軸線周りに回動する。また、関節構造体は、第1部材と第2部材との間に配置され、第1部材と第2部材とに接続される一対の直動アクチュエータを備える。一対の直動アクチュエータは、各々、第1部材から第2部材まで渡るように配置されている。そして、一対の直動アクチュエータが共に同じ量の分、伸縮することにより、第1部材に対して第2部材が第1軸線周りに回動する。また、一対の直動アクチュエータが共に同じ量で、伸縮方向を異ならせることにより、第1部材に対して第2部材が第2軸線周りに回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-91145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のロボットの関節構造体では、直動アクチュエータが、第1部材から第2部材まで渡るように配置されている。このため、直動アクチュエータの各々の長さが、比較的大きくなり、直動アクチュエータが大型化する。その結果、関節構造体が大型化するという問題点がある。
【0005】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、大型化を抑制することが可能なロボットの関節構造体およびロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の第1の局面によるロボットの関節構造体は、第1フレームおよび第2フレームと、第2フレームを第1軸線周りに回動可能に支持するとともに、第1軸線に直交する第2軸線周りに第1フレームに回動可能に支持される支持部と、第2フレームの両側に各々一方端が接続され、伸縮動作する他方端を有する第1直動アクチュエータおよび第2直動アクチュエータと、第1軸線周りに回動可能に配置され、第1フレーム、および、第1直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第1リンク機構と、第1軸線周りに回動可能に配置され、第1フレーム、および、第2直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第2リンク機構と、を備える。
【0007】
この開示の第1の局面によるロボットの関節構造体は、上記のように、第1軸線周りに回動可能に配置され、第1フレーム、および、第1直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第1リンク機構と、第1軸線周りに回動可能に配置され、第1フレーム、および、第2直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第2リンク機構と、を備える。これにより、第1直動アクチュエータおよび第2直動アクチュエータが、各々、第1リンク機構および第2リンク機構を介して第1フレームに接続されているので、第1直動アクチュエータおよび第2直動アクチュエータを、各々、第1フレームから第2フレームまで渡らせることなく、第1リンク機構および第2リンク機構を介して第1フレームに接続することができる。そのため、第1直動アクチュエータおよび第2直動アクチュエータを小型化することができる。その結果、ロボットの関節構造体の大型化を抑制できる。
【0008】
この開示の第2の局面によるロボットは、腰関節、首関節および手首関節のうちの少なくとも1つを構成する関節構造体を備え、関節構造体は、第1フレームおよび第2フレームと、第2フレームを第1軸線周りに回動可能に支持するとともに、第1軸線に直交する第2軸線周りに第1フレームに回動可能に支持される支持部と、第2フレームの両側に各々一方端が接続され、伸縮動作する他方端を有する第1直動アクチュエータおよび第2直動アクチュエータと、第1軸線周りに回動可能に配置され、第1フレーム、および、第1直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第1リンク機構と、第1軸線周りに回動可能に配置され、第1フレーム、および、第2直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第2リンク機構と、を含む。
【0009】
この開示の第2の局面によるロボットは、上記のように、第1軸線周りに回動可能に配置され、第1フレーム、および、第1直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第1リンク機構と、第1軸線周りに回動可能に配置され、第1フレーム、および、第2直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第2リンク機構と、を備える。これにより、第1直動アクチュエータおよび第2直動アクチュエータが、各々、第1リンク機構および第2リンク機構を介して第1フレームに接続されているので、第1直動アクチュエータおよび第2直動アクチュエータを、各々、第1フレームから第2フレームまで渡らせることなく、第1リンク機構および第2リンク機構を介して第1フレームに接続することができる。そのため、第1直動アクチュエータおよび第2直動アクチュエータを小型化することができる。その結果、ロボットの関節構造体の大型化を抑制することが可能なロボットを提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ロボットの関節構造体の大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態による人型ロボットの斜視図である。
図2】一実施形態による腰関節が直立している状態を示す図である。
図3】一実施形態による腰関節を側方から見た模式図である。
図4】一実施形態による第1リンク機構を示す図である。
図5】一実施形態による腰関節が前側に傾いた状態を示す図である。
図6】一実施形態による腰関節が反時計周りに回動した状態を示す図である。
図7】一実施形態による腰関節が時計周りに回動した状態を示す図である。
図8】一実施形態による腰関節が前側に傾き、かつ、時計周りに回動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を具体化した本開示の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本願明細書において、上下方向をZ方向とする。上方向をZ1方向として、下方向をZ2方向とする。Z方向に直交する方向をX方向とする。X方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とする。Z方向およびX方向に直交する方向をY方向とする。Y方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とする。なお、Y1側は、人型ロボット100の前側に対応する。
【0013】
図1を参照して、本実施形態による人型ロボット100の構成について説明する。また、人型ロボット100は、ヒューマノイドとも呼ばれる。なお、人型ロボット100は、ロボットの一例である。
【0014】
図1に示すように、人型ロボット100は、頭部1、上胴体部2、下胴体部3、腕部4、手部5、脚部6、および、足部7を備えている。また、人型ロボット100は、首関節8、肩関節9、腰関節10、股関節11、膝関節12、足首関節13、肘関節14、手首関節15および指関節16を備えている。腰関節10は、関節構造体の一例である。
【0015】
頭部1と上胴体部2とは、首関節8を介して屈曲可能に接続されている。これにより、頭部1は、上胴体部2に対して、前屈動作、後屈動作、および、左右の旋回動作を行うことが可能である。なお、頭部1が上胴体部2に対して側屈してもよい。
【0016】
上胴体部2と下胴体部3とは、腰関節10を介して屈曲可能に接続されている。これにより、上胴体部2は、下胴体部3に対して、前屈動作、後屈動作、および、左右の旋回動作を行うことが可能である。下胴体部3は、人間の骨盤に対応する。なお、上胴体部2が下胴体部3に対して側屈してもよい。
【0017】
腕部4は、肘関節14を有する。肘関節14が屈曲することにより、腕部4は、屈曲動作を行う。
【0018】
手部5は、腕部4の先端に配置されている。手部5と腕部4とは、手首関節15により接続されている。手部5は、指関節16を有する。
【0019】
脚部6は、膝関節12を有する。そして、膝関節12が屈曲することにより、脚部6は、屈曲動作を行う。
【0020】
上胴体部2と腕部4とは、肩関節9により接続されている。また、下胴体部3と脚部6とは、股関節11により接続されている。脚部6と足部7とは、足首関節13により接続されている。
【0021】
上記の各関節には、各々、各関節を駆動させるためのモータが設けられている。モータによって、各関節を駆動させることにより、人型ロボット100は、屈曲動作や旋回動作を行う。
【0022】
(腰関節)
腰関節10の具体的な構成について説明する。図2に示すように、腰関節10は、第1フレーム20と、第2フレーム30と、支持部40と、第1リンク機構50aと、第2リンク機構50bと、第1直動アクチュエータ61と、第2直動アクチュエータ62と、を備える。腰関節10は、第1フレーム20に対して、第2フレーム30を、ピッチ軸線A1周りに回動させ、ヨー軸線A2周りに回動させる。なお、以下の説明では、第2フレーム30が、第1フレーム20に対して傾いていない、X-Z平面に沿った状態での腰関節10の構成について説明する。
【0023】
第1フレーム20は、第1部分21と第2部分22とを有する。第1部分21は、略円環形状を有する。第2部分22は、一対配置されている。一対の第2部分22は、ピッチ軸線A1と平行に配置されている。また、一対の第2部分22は、ヨー軸線A2に対して両側に配置されている。一対の第2部分22は、各々、第1部分21からZ1側に突出している。一対の第2部分22の側面には、各々、X1方向またはX2方向に各々延びる軸部23が配置されている。また、第2部分22を設けずに、第1部分21の外周方向の側面に、X1方向またはX2方向に各々延びる一対の軸部23を配置してもよい。また、一対の第2部分22は、ヨー軸線A2に対して両側に配置されていなくてもよい。たとえば、一対の第2部分22を、ヨー軸線A2よりもY2側に配置してもよい。また、一対の第2部分22を、ヨー軸線A2よりもY1側に配置してもよい。
【0024】
第2フレーム30は、第1部分31と第2部分32とを有する。第1部分31は、略平板形状を有する。第2部分32は、第1部分31のZ2側に配置され、略円柱形状を有する。第2部分32は、一対配置されている。第1部分31の側面のZ1側には、X1方向およびX2方向に各々延びる軸部33が配置されている。また、支持部40は、第2部分42を貫通するように、X方向に沿って延びる軸部44を含む。一対の第2部分32は、軸部44に軸受を介して接続されている。軸部44は、一対の第2部分32の一方の側面からX1方向に突出し、一対の第2部分32の他方の側面からX2方向に突出している。なお、軸部44が、第2部分42のX1側とX2側とに分離された状態で配置されていてもよい。なお、上記の説明では、軸部44が支持部40に含まれている例を示したが、軸部44が第2フレーム30に含まれていてもよい。
【0025】
支持部40は、X方向に沿ったピッチ軸線A1周りに回動可能に第2フレーム30を支持する。また、支持部40は、X方向に直交するZ方向に沿ったヨー軸線A2周りに、第1フレーム20に回動可能に支持されている。なお、ピッチ軸線A1およびヨー軸線A2は、それぞれ、第1軸線および第2軸線の一例である。具体的には、支持部40は、第1部分41と第2部分42とを含む。第1部分41は、略円柱形状を有しており、Z方向に沿って配置されている。第2部分42は、略円柱形状を有しており、X方向に沿って配置されている。第2部分42は、第2フレーム30の一対の第2部分32の間に配置されている。第2部分42には、X方向に沿う孔部43が形成されている。軸部44は、第2部分42の孔部43に挿入されている。これにより、第2フレーム30は、支持部40に対して、ピッチ軸線A1周りに回動する。
【0026】
なお、第1フレーム20、第2フレーム30および支持部40の形状は、上記の形状に限られない。
【0027】
ここで、本実施形態では、第1リンク機構50aおよび第2リンク機構50bは、各々、第2フレーム30のX方向の両側に配置されている。第1リンク機構50aは、ピッチ軸線A1周りに回動可能に配置され、第1フレーム20、および、第1直動アクチュエータ61の他方端と回動可能に接続される。第2リンク機構50bは、ピッチ軸線A1周りに回動可能に配置され、第1フレーム20、および、第2直動アクチュエータ62の他方端と回動可能に接続される。具体的には、第2フレーム30のX1方向側に第1リンク機構50aが配置され、第2フレーム30のX2方向側に第2リンク機構50bが配置されている。第1リンク機構50aおよび第2リンク機構50bは、各々、第1フレーム20の軸部23に回動可能に接続され、軸部44に回動可能に接続されている。
【0028】
また、本実施形態では、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62は、第2フレーム30の両側に各々一方端が接続され、伸縮動作する他方端を有する。具体的には、第1直動アクチュエータ61は、第2フレーム30のX1側において、一方端が第2フレーム30に回動可能に接続され、他方端が第1リンク機構50aを介して第1フレーム20に接続されている。第1直動アクチュエータ61は、第2フレーム30のX1側において、一方端が第2フレーム30の軸部33に回動可能に接続され、他方端が第1リンク機構50aに回動可能に接続されている。
【0029】
また、第2直動アクチュエータ62は、第2フレーム30のX2側において、一方端が第2フレーム30に回動可能に接続され、他方端が第2リンク機構50bを介して第1フレーム20に接続されている。第2直動アクチュエータ62は、第2フレーム30のX2側において、一方端が第2フレーム30の軸部33に回動可能に接続され、他方端が第2リンク機構50bに回動可能に接続されている。
【0030】
第1直動アクチュエータ61は、モータ63と、ロッド64とを含む。ロッド64の基端側には、図示しないボールネジとギアヘッドが配置されている。モータ63によりギアヘッドが回転されることにより、ロッド64がA1方向またはA2方向に移動する。これにより、第1直動アクチュエータ61が伸縮する。なお、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62は、同一の構成を有する。また、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62の構成は、上記の構成に限られない。
【0031】
本実施形態では、図3に示すように、第1リンク機構50aは、第1リンク部51と第2リンク部52と、を含む。第1リンク部51は、一方端が軸部44に回動可能に接続されている。第2リンク部52は、一方端が第1リンク部51に回動可能に接続され、他方端が第1フレーム20に回動可能に接続されている。第1直動アクチュエータ61は、一方端が第2フレーム30に回動可能に接続され、他方端が第1リンク部51の他方端に回動可能に接続されている。具体的には、第1リンク部51の一方端は、軸部44に回動可能に接続されている。第2リンク部52の一方端は、第1リンク部51に回動可能に接続され、他方端が第1フレーム20の軸部23に回動可能に接続されている。また、第1リンク部51は、略三角柱形状を有する。なお、第1リンク部51の形状は、略三角柱形状に限られない。たとえば、第1リンク部51が、略V字形状であってもよい。また、第2リンク部52は、略棒形状を有する。なお、第2リンク部52の形状は略棒形状に限られない。また、第2リンク機構50bの構成は、第1リンク機構50aの構成と同様である。
【0032】
また、本実施形態では、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62は、各々、第1リンク部51の他方端でかつ第1フレーム20から遠い部分に接続されている。第2リンク部52は、第1リンク部51の他方端でかつ第1フレーム20に近い部分に接続されている。具体的には、上記のように、第1リンク部51は、略三角柱形状を有する。第1リンク部51は、第1リンク部51のY1側の頂点近傍において、軸部44に回動可能に接続されている。また、第1リンク部51は、第1リンク部51のZ1側の頂点近傍において、第1直動アクチュエータ61の他方端に回動可能に接続されている。また、第1リンク部51は、第1リンク部51のZ2側の頂点近傍において、第2リンク部52の一方端に回動可能に接続されている。なお、第2リンク機構50bも、リンク機構50と同様の構成を有する。
【0033】
また、支持部40と第1フレーム20との間には軸受が配置されている。軸受は、支持部40を第1フレーム20に対して回動可能に支持する。
【0034】
(リンク機構の構成)
次に、第1リンク機構50aの具体的な構成について説明する。なお、第2リンク機構50bの構成は、第1リンク機構50aと同様であるので説明を省略する。
【0035】
図4に示すように、第1直動アクチュエータ61と第1リンク部51とは、転がり軸受51aを介して接続されている。図4に示すように、転がり軸受51aは、第1リンク部51に、一対配置されている。一対の転がり軸受51aは軸部51bにより接続されている。第1直動アクチュエータ61の他方端には孔部61aが形成されており軸部51bは、孔部61aに挿入されている。なお、転がり軸受51aが、第1直動アクチュエータ61に配置されてもよい。
【0036】
図4に示すように、第1フレーム20と第1リンク部51とは、転がり軸受51cを介して接続されている。転がり軸受51cは、第1リンク部51に、一対配置されている。一対の転がり軸受51cに、第1フレーム20の軸部44が挿入されている。図3に示すように第2フレーム30がZ方向に沿って直立している状態で、転がり軸受51aの高さ位置は、転がり軸受51cの高さ位置よりも上である。なお、転がり軸受51aの高さ位置と転がり軸受51cの高さ位置との関係は、上記の関係に限られない。
【0037】
図4に示すように、第1リンク部51と第2リンク部52とは、転がり軸受51dを介して接続されている。転がり軸受51dは、第1リンク部51に、一対配置されている。一対の転がり軸受51dは軸部51eにより接続されている。第2リンク部52の一方端は、球面継手からなる。第2リンク部52の一方端には、軸部51eに備えられたボール部材に球面接触する内周面を有するソケットが配置されている。軸部51eは、ボール部材に圧入されている。図3に示すように第2フレーム30がZ方向に沿って直立している状態で、軸部51eの高さ位置は、転がり軸受51cの高さ位置よりも下である。なお、軸部51eの高さ位置と転がり軸受51cの高さ位置との関係は、上記の関係に限られない。
【0038】
第2リンク部52の他方端も、球面継手からなる。第2リンク部52の一方端には、第1フレーム20の軸部23に備えられたボール部材に球面接触する内周面を有するソケットが配置されている。第1フレーム20の軸部23は、ボール部材に圧入されている。
【0039】
(腰関節の動作)
次に、腰関節10の動作について説明する。本実施形態では、図5に示すように、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62が、同じ長さの分伸張することにより、第2フレーム30が第1フレーム20に対して、ピッチ軸線A1周りに回動する。具体的には、図2に示す第2フレーム30がX-Z平面に沿って配置されている状態から、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62が、同じ長さの分伸張することにより、第2フレーム30がピッチ軸線A1周りにC1側に回動する。これにより、人型ロボット100の上胴体部2が前側に傾斜する。なお、図2に示す第2フレーム30がX-Z平面に沿って配置されている状態から、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62が、同じ長さの分収縮することにより、第2フレーム30がピッチ軸線A1周りにC2側に回動する。これにより、人型ロボット100の上胴体部2が後ろ側に傾斜する。
【0040】
本実施形態では、図6に示すように、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62のうちの一方が伸張し、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62のうちの他方が、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62のうちの一方の伸張量と同じ分収縮することにより、第2フレーム30が第1フレーム20に対して、ヨー軸線A2周りに回動する。たとえば、図6に示すように、第1直動アクチュエータ61が伸張し、第2直動アクチュエータ62が収縮することにより、第2フレーム30がヨー軸線A2を反時計周りに回動する。また、図7に示すように、第1直動アクチュエータ61が収縮し、第2直動アクチュエータ62が伸張することにより、第2フレーム30がヨー軸線A2を時計周りに回動する。
【0041】
本実施形態では、図8に示すように、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62のうちの一方が伸張および収縮しない状態で、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62のうちの他方が伸張することにより、第2フレーム30が、第1フレーム20に対して、ピッチ軸線A1周りに回動するとともにヨー軸線A2周りに回動する。たとえば、第1直動アクチュエータ61が伸張および収縮しない状態で、第2直動アクチュエータ62が伸張することにより、第2フレーム30が、ピッチ軸線A1周りをC1側に回動するとともにヨー軸線A2を時計周りに回動する。また、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62の伸縮方向が同じで、かつ、伸縮量を互いに異ならせることにより、第2フレーム30が、第1フレーム20に対して、ピッチ軸線A1周りに回動するとともにヨー軸線A2周りに回動する。また、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62の伸縮方向が反対で、かつ、伸縮量を互いに異ならせることにより、第2フレーム30が、第1フレーム20に対して、ピッチ軸線A1周りに回動するとともにヨー軸線A2周りに回動する。
【0042】
[本実施形態の効果]
腰関節10は、ピッチ軸線A1周りに回動可能に配置され、第1フレーム20、および、第1直動アクチュエータ61の他方端と回動可能に接続される第1リンク機構50aと、ピッチ軸線A1周りに回動可能に配置され、第1フレーム20、および、第2直動アクチュエータ62の他方端と回動可能に接続される第2リンク機構50bと、を備える。これにより、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62が、各々、第1リンク機構50aおよび第2リンク機構50bを介して第1フレーム20に接続されているので、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62を、各々、第1フレーム20から第2フレーム30まで渡らせることなく、第1リンク機構50aおよび第2リンク機構50bを介して第1フレーム20に接続することができる。そのため、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62を小型化することができる。その結果、人型ロボット100の腰関節10の大型化を抑制できる。
【0043】
第1リンク機構50aおよび第2リンク機構50bは、各々、一方端が第2フレーム30に回動可能に接続される第1リンク部51と、一方端が第1リンク部51に回動可能に接続され、他方端が第1フレーム20に回動可能に接続される第2リンク部52と、を含む。第1直動アクチュエータ61は、一方端が第2フレーム30に回動可能に接続され、他方端が第1リンク部51の他方端に回動可能に接続されている。第2直動アクチュエータ62は、一方端が第2フレーム30に回動可能に接続され、他方端が第1リンク部51の他方端に回動可能に接続されている。これにより、第1直動アクチュエータ61が伸縮した場合には、第2フレーム30に回動可能に接続される第1リンク部51の一方端が支点となり、第2リンク部52により第1フレーム20をヨー軸線A2周りに回動させることができる。第2直動アクチュエータ62が伸縮した場合も同様である。
【0044】
第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62は、各々、第1リンク部51の他方端でかつ第1フレーム20から遠い部分に接続され、第2リンク部52は、第1リンク部51の他方端でかつ第1フレーム20に近い部分に接続されている。これにより、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62の第1リンク部51に接続される部分と、第2リンク部52の第1リンク部51に接続される部分とが離間するので、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62と、第2リンク部52との干渉を抑制できる。
【0045】
第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62が、同じ長さの分伸張することにより、第2フレーム30が第1フレーム20に対して、ピッチ軸線A1周りに回動する。これにより、人型ロボット100の上胴体部2を前傾または後傾させることができる。
【0046】
第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62のうちの一方が伸張し、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62のうちの他方が、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62のうちの一方の伸張量と同じ分収縮することにより、第2フレーム30が第1フレーム20に対して、ヨー軸線A2周りに回動する。これにより、人型ロボット100の上胴体部2を、ヨー軸線A2周りに回動させることができる。
【0047】
第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62のうちの一方が伸張および収縮しない状態で、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62のうちの他方が伸張することにより、第2フレーム30が、第1フレーム20に対して、ピッチ軸線A1周りに回動するとともにヨー軸線A2周りに回動する。これにより、人型ロボット100の上胴体部2を、前傾または後傾させるとともに、ヨー軸線A2周りに回動させることができる。
【0048】
腰関節10は、人型ロボット100の腰関節10である。これにより、人型ロボット100が大型化することを抑制できる。
【0049】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0050】
上記実施形態では、第1リンク機構50aおよび第2リンク機構50bが、各々、第1リンク部51および第2リンク部52を含む例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、第1リンク機構50aおよび第2リンク機構50bが、各々、3つ以上のリンク部を含んでいてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62は、各々、第1リンク部51の他方端でかつ第1フレーム20から遠い部分に接続され、第2リンク部52は、第1リンク部51の他方端でかつ第1フレーム20に近い部分に接続されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、第1リンク部51の同じ場所に、第1直動アクチュエータ61および第2直動アクチュエータ62の各々と、第2リンク部52とを回動可能に接続してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、支持部40と第1フレーム20との間に軸受部70が配置される例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、支持部40と第1フレーム20とが摺動するように支持部40と第1フレーム20とを接触させてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、人型ロボット100の腰関節10に本開示が適用される例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、人型ロボット100の首関節8および手首関節15に本開示を適用してもよい。なお、首関節8および手首関節15は、関節構造体の一例である。また、人型ロボット100の足首関節13に本開示を適用してもよい。また、人型ロボット100以外のロボットの関節に本開示を適用してもよい。
【0054】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0055】
(項目1)
第1フレームおよび第2フレームと、
前記第2フレームを第1軸線周りに回動可能に支持するとともに、前記第1軸線に直交する第2軸線周りに前記第1フレームに回動可能に支持される支持部と、
前記第2フレームの両側に各々一方端が接続され、伸縮動作する他方端を有する第1直動アクチュエータおよび第2直動アクチュエータと、
前記第1軸線周りに回動可能に配置され、前記第1フレーム、および、前記第1直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第1リンク機構と、
前記第1軸線周りに回動可能に配置され、前記第1フレーム、および、前記第2直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第2リンク機構と、を備える、ロボットの関節構造体。
【0056】
(項目2)
前記第1リンク機構および前記第2リンク機構は、各々、一方端が前記第2フレームに回動可能に接続される第1リンク部と、一方端が前記第1リンク部に回動可能に接続され、他方端が前記第1フレームに回動可能に接続される第2リンク部と、を含み、
前記第1直動アクチュエータは、一方端が前記第2フレームに回動可能に接続され、他方端が前記第1リンク部の他方端に回動可能に接続されており、
前記第2直動アクチュエータは、一方端が前記第2フレームに回動可能に接続され、他方端が前記第1リンク部の他方端に回動可能に接続されている、項目1に記載のロボットの関節構造体。
【0057】
(項目3)
前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータは、各々、前記第1リンク部の他方端でかつ前記第1フレームから遠い部分に接続され、
前記第2リンク部は、前記第1リンク部の他方端でかつ前記第1フレームに近い部分に接続されている、項目2に記載のロボットの関節構造体。
【0058】
(項目4)
前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータが、同じ長さの分伸張することにより、前記第2フレームが前記第1フレームに対して、前記第1軸線周りに回動する、項目1から項目3までのいずれか1項に記載のロボットの関節構造体。
【0059】
(項目5)
前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータのうちの一方が伸張し、前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータのうちの他方が、前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータのうちの一方の伸張量と同じ分収縮することにより、前記第2フレームが前記第1フレームに対して、前記第2軸線周りに回動する、項目1から項目4までのいずれか1項に記載のロボットの関節構造体。
【0060】
(項目6)
前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータのうちの一方が伸張および収縮しない状態で、前記第1直動アクチュエータおよび前記第2直動アクチュエータのうちの他方が伸張することにより、前記第2フレームが、前記第1フレームに対して、前記第1軸線周りに回動するとともに前記第2軸線周りに回動する、項目1から項目5までのいずれか1項に記載のロボットの関節構造体。
【0061】
(項目7)
前記関節構造体は、ロボットの腰関節、首関節および手首関節のうちの少なくとも1つを含む、項目1から項目6までのいずれか1項に記載のロボットの関節構造体。
【0062】
(項目8)
腰関節、首関節および手首関節のうちの少なくとも1つを構成する関節構造体を備え、
前記関節構造体は、
第1フレームおよび第2フレームと、
前記第2フレームを第1軸線周りに回動可能に支持するとともに、前記第1軸線に直交する第2軸線周りに前記第1フレームに回動可能に支持される支持部と、
前記第2フレームの両側に各々一方端が接続され、伸縮動作する他方端を有する第1直動アクチュエータおよび第2直動アクチュエータと、
前記第1軸線周りに回動可能に配置され、前記第1フレーム、および、前記第1直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第1リンク機構と、
前記第1軸線周りに回動可能に配置され、前記第1フレーム、および、前記第2直動アクチュエータの他方端と回動可能に接続される第2リンク機構と、を含む、ロボット。
【符号の説明】
【0063】
8 首関節(関節構造体)
10 腰関節(関節構造体)
15 手首関節(関節構造体)
20 第1フレーム
30 第2フレーム
40 支持部
50a 第1リンク機構
50b 第2リンク機構
51 第1リンク部
52 第2リンク部
61 第1直動アクチュエータ
62 第2直動アクチュエータ
100 人型ロボット(ロボット)
A1 ピッチ軸線(第1軸線)
A2 ヨー軸線(第2軸線)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8