(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094900
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ロボットの脚
(51)【国際特許分類】
B25J 5/00 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B25J5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211808
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】柚木崎 創
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】掃部 雅幸
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CS08
3C707CY37
3C707WA02
3C707WA14
3C707WM23
(57)【要約】
【課題】衝撃吸収部材の寿命が短くなることを抑制可能なロボットの脚を提供する。
【解決手段】このロボット100の脚3は、脚部30と、脚部30の先端に配置されるねじ部34と、ねじ部34に取り付けられる衝撃吸収部材40と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚部と、
前記脚部の先端に配置される取付部と、
前記取付部に取り付けられる衝撃吸収部材と、を備える、ロボットの脚。
【請求項2】
前記取付部は、スクリューネジ形状を有するネジ部を含み、
前記衝撃吸収部材は、ネジ挿入孔部を含み、
前記衝撃吸収部材の前記ネジ挿入孔部に前記ねじ部がねじ込まれることにより、前記ネジ挿入孔部の内面に雌ネジが形成されることによって、前記衝撃吸収部材が前記脚部の先端に固定されている、請求項1に記載のロボットの脚。
【請求項3】
前記衝撃吸収部材は、球形状または半球形状を有する、請求項1に記載のロボットの脚。
【請求項4】
前記衝撃吸収部材は、球形状を有し、
前記ねじ部は、前記衝撃吸収部材の前記脚部に近い側から前記球形状の衝撃吸収部材の中心よりも床面に近い側に渡ってねじ込まれている、請求項3に記載のロボットの脚。
【請求項5】
前記脚部は、中空形状を有し、前記ねじ部の基端側に接続され、前記中空形状の脚部の内部に挿入される挿入部と、前記挿入部を前記脚部に固定する固定部材と、を含む、請求項1に記載のロボットの脚。
【請求項6】
前記衝撃吸収部材を覆うように配置され、床面から前記衝撃吸収部材にかかる力を受けるカバー部をさらに備える、請求項1に記載のロボットの脚。
【請求項7】
前記脚部は、
大腿部と、
前記大腿部に対して屈曲する下腿部と、を含み、
前記カバー部は、前記衝撃吸収部材のうちの、前記大腿部と前記下腿部との屈曲方向と反対側を覆う、請求項6に記載のロボットの脚。
【請求項8】
前記衝撃吸収部材は、球形状を有し、
前記カバー部は、前記大腿部と前記下腿部との屈曲方向と反対側において、前記球形状の衝撃吸収部材の表面に沿うように配置されている、請求項7に記載のロボットの脚。
【請求項9】
前記カバー部は、前記脚部が挿入される脚部挿入孔部を含み、前記脚部に対して相対的にスライド移動する、請求項6に記載のロボットの脚。
【請求項10】
前記衝撃吸収部材は、球形状を有し、
前記脚部に対して相対的にスライド移動する前記カバー部は、前記脚部が直立した状態において、前記球形状の衝撃吸収部材の前記脚部に近い側から前記球形状の衝撃吸収部材の中心よりも床面に近い側まで渡るように前記衝撃吸収部材を覆う、請求項9に記載のロボットの脚。
【請求項11】
前記脚部は、4つ配置されており、
前記4つの脚部の各々の前記ねじ部に前記衝撃吸収部材がねじ込まれている、請求項1に記載のロボットの脚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ロボットの脚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脚部を備えるロボットが開示されている。特許文献1では、4つの脚部を有するロボットが開示されている。特許文献1では、4つの脚部の各々の先端には、脚先部が取り付けられている。脚先部は、脚部に固定される固定部材と、固定部材の床面側に取り付けられる衝撃吸収部材と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のロボットでは、固定部材に対する衝撃吸収部材の取り付け方法は具体的には記載されていないが、衝撃吸収部材の床面側の部分に孔部を形成し、孔部に下方からボルトを挿入し、ボルトにより衝撃吸収部材を固定部材に締結固定していると考えられる。この場合、衝撃吸収部材の床面側の部分に孔部が形成されているため、衝撃吸収部材が床面に接地した際に孔部に異物が嵌まり込むという不都合がある。このため、衝撃吸収部材に亀裂などが生じやすく、衝撃吸収部材の寿命が短くなるという問題点がある。
【0005】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、衝撃吸収部材の寿命が短くなることを抑制可能なロボットの脚を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の一の局面によるロボットの脚は、脚部と、脚部の先端に配置される取付部と、取付部に取り付けられる衝撃吸収部材と、を備える。
【0007】
この開示の一の局面によるロボットの脚は、上記のように、衝撃吸収部材が脚部の先端に配置される取付部に取り付けられるので、衝撃吸収部材の床面側の部分に孔部を形成することなく、衝撃吸収部材の床面とは反対側である脚部側で衝撃吸収部材を固定することができる。その結果、衝撃吸収部材の床面側の部分には孔部が形成されないので、衝撃吸収部材の寿命が短くなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ロボットの衝撃吸収部材の寿命が短くなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態によるロボットをY1側から見た図である。
【
図2】一実施形態によるロボットをX1側から見た図である。
【
図3】一実施形態によるロボットの脚部が屈曲した状態を示す図である。
【
図4】
図2の200-200線に沿った断面図である。
【
図5】脚部に衝撃吸収部をねじ込む前の状態を示す図である。
【
図6】一実施形態によるロボットの脚部が屈曲した状態における、脚部、衝撃吸収部材およびカバー部の断面図である。
【
図8】変形例によるカバー部の移動を規制するピン部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を具体化した本開示の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本願明細書において、上下方向をZ方向とする。上方向をZ1方向として、下方向をZ2方向とする。Z方向に直交する方向をX方向とする。X方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とする。Z方向およびX方向に直交する方向をY方向とする。Y方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とする。なお、X1側は、ロボット100の前面側である。
【0011】
本実施形態によるロボット100の構成について説明する。
【0012】
図1および
図2に示すように、ロボット100は、頭部10、胴体部20、および、脚部30を含む脚3を備えている。本実施形態では、脚部30は、4つ配置されている。ロボット100は、床面1上を歩行する。なお、床面1は、屋内の床面1に加えて屋外の地面も含む。
【0013】
脚部30は、大腿部31と、下腿部32と、を含む。下腿部32は、大腿部31に対して屈曲する。大腿部31と下腿部32とは、関節33により接続されている。
図3に示すように、4つの脚部30のうちのX1側に配置されている脚部30aでは、大腿部31と下腿部32とは、X1側に向かって屈曲する。また、4つの脚部30のうちのX2側に配置されている脚部30bでは、大腿部31と下腿部32とは、X2側に向かって屈曲する。
【0014】
図1に示すように、ロボット100は、衝撃吸収部材40を備えている。衝撃吸収部材40は、脚部30の先端に配置され、床面1からの衝撃を吸収する。たとえば、衝撃吸収部材40は、ゴムからなる。衝撃吸収部材40は、ロボット100が歩行する際に、床面1から脚部30に伝達する衝撃を吸収する。
【0015】
ここで、本実施形態では、
図4に示すように、脚3は、ねじ部34を備えている。ねじ部34は、脚部30の先端に配置されている。衝撃吸収部材40は、ねじ部34にねじ込まれることにより、脚部30の先端に取り付けられている。なお、脚部30の先端とは、下腿部32の床面1側の下端部32bである。なお、ねじ部34は、取付部の一例である。
【0016】
また、4つの脚部30の各々の先端にねじ部34が配置されている。4つの脚部30の各々のねじ部34に衝撃吸収部材40がねじ込まれている。4つの脚部30、および、4つの脚部30の各々に固定された衝撃吸収部材40の構成は、同様である。
【0017】
本実施形態では、
図5に示すように、ねじ部34は、スクリューネジ形状を有する。衝撃吸収部材40は、ネジ挿入孔部41を含む。衝撃吸収部材40のネジ挿入孔部41にねじ部34がねじ込まれることにより、ネジ挿入孔部41の内面41aに
図4に示される雌ネジ42が形成されることによって、衝撃吸収部材40が脚部30の先端に固定されている。具体的には、ねじ部34は、床面1に向かって先細るスクリューネジ形状を有する。スクリューネジ形状のねじ部34は、雄ネジ34aを有する。ねじ部34にねじ込まれる前の衝撃吸収部材40には、予めネジ挿入孔部41が形成されている。ネジ挿入孔部41は、たとえば、略円筒形状を有する。そして、衝撃吸収部材40のネジ挿入孔部41にねじ部34がねじ込まれることにより、ねじ部34の雄ネジ34aによって、ネジ挿入孔部41の内面41aに雌ネジ42が形成される。衝撃吸収部材40がねじ部34にねじ込まれた後、ねじ部34の雄ネジ34aと、ネジ挿入孔部41の雌ネジ42が係合するので、衝撃吸収部材40の床面1側への脱離が抑制される。
【0018】
本実施形態では、
図4に示すように、衝撃吸収部材40は、球形状を有する。なお、球形状とは、完全な球形状と、完全な球形状から少し歪んだ形状も含む概念である。ねじ部34は、脚部30に近い側から球形状の衝撃吸収部材40の中心Cよりも床面1に近い側に渡ってねじ込まれている。つまり、
図5に示すように、ねじ部34の長さLは、球形状の衝撃吸収部材40の半径rよりも大きい。
【0019】
本実施形態では、
図5に示すように、脚部30は、中空形状を有する。具体的には、脚部30の下腿部32は、中空形状を有する。脚部30は、挿入部35と、固定部材36と、を含む。挿入部35は、ねじ部34の基端側に接続されている。挿入部35は、中空形状の脚部30の内部に挿入される。固定部材36は、挿入部35を脚部30に固定する。具体的には、脚部30は、中空の角柱形状を有している。挿入部35も角柱形状を有している。脚部30の内側に、挿入部35がZ2側から挿入されている。固定部材36は、たとえば、
図4に示すボルト部材36aとナット部材36bとを含む。脚部30の下腿部32には、孔部32aが形成され、挿入部35には、孔部35aが形成されている。脚部30に衝撃吸収部材40がねじ込まれた状態の挿入部35が挿入され、カバー部50がZ2側に移動された状態で、脚部30、挿入部35およびカバー部50に貫通するようにボルト部材36aが挿入される。そして、X2側からボルト部材36aにナット部材36bが締結される。これにより、挿入部35が下腿部32に対して固定される。また、下腿部32は、たとえば、金属により形成されている。ねじ部34および挿入部35は、たとえば、樹脂により形成されている。ねじ部34および挿入部35は、一体的に形成されている。また、下腿部32および挿入部35の形状は角柱形状に限られず、たとえば、円筒形状でもよい。
【0020】
本実施形態では、
図4に示すように、カバー部50は、衝撃吸収部材40を覆うように配置されている。カバー部50は、床面1から衝撃吸収部材40にかかる力を受ける。カバー部50は、たとえば、樹脂により形成されている。
【0021】
本実施形態では、カバー部50は、衝撃吸収部材40のうちの、大腿部31と下腿部32との屈曲方向と反対側を覆う。
図6に示すように、X1側に配置されている脚部30aでは、大腿部31と下腿部32とは、X1側に向かって屈曲する。カバー部50は、衝撃吸収部材40のうちのX2側を覆う。なお、カバー部50は、衝撃吸収部材40のうちの、大腿部31と下腿部32との屈曲方向と反対側を覆う第1部分と、大腿部31と下腿部32との屈曲方向に配置される第2部分52とを含む。第2部分52も、部分的に衝撃吸収部材40を覆っている。
【0022】
また、
図3に示すように、X2側に配置されている脚部30bでは、大腿部31と下腿部32とは、X2側に向かって屈曲する。カバー部50は、衝撃吸収部材40のうちのX1側を覆う。
【0023】
本実施形態では、
図6に示すように、カバー部50は、大腿部31と下腿部32との屈曲方向と反対側において、球形状の衝撃吸収部材40の表面40aに沿うように配置されている。具体的には、カバー部50の床面1側の内面50aは、球形状の衝撃吸収部材40の表面40aに沿うように湾曲した形状を有する。また、カバー部50の内面50aと衝撃吸収部材40の表面40aとは接触している。
【0024】
本実施形態では、
図5に示すように、カバー部50は、脚部30が挿入される脚部挿入孔部50bを含む。カバー部50は、脚部30に対して相対的にスライド移動する。具体的には、脚部挿入孔部50bは、脚部30の形状に対応する。たとえば、脚部挿入孔部50bは、角柱形状の脚部30の脚部30に対応するように、脚部挿入孔部50bのX-Y平面に沿った断面は、矩形形状である。カバー部50は、脚部30に沿って、Z1側およびZ2側にスライド移動する。
【0025】
本実施形態では、
図4に示すように、脚部30に対して相対的にスライド移動するカバー部50は、脚部30が直立した状態において、球形状の衝撃吸収部材40の脚部30に近い側から球形状の衝撃吸収部材40の中心Cよりも床面1に近い側まで渡るように衝撃吸収部材40を覆う。具体的には、カバー部50は、脚部30の下腿部32の下端部32bから、衝撃吸収部材40の中心Cよりも床面1に近い側まで渡るように配置されている。
【0026】
衝撃吸収部材40の取り付け方法について説明する。
図5に示すように、衝撃吸収部材40には、予めネジ挿入孔部41が形成されている。また、カバー部50は、脚部30に沿ってZ1側にスライド移動されている。そして、作業者は、衝撃吸収部材40を片手で保持し、衝撃吸収部材40のネジ挿入孔部41をねじ部34に差し込む。そして、作業者は、衝撃吸収部材40を回転させて、衝撃吸収部材40をねじ部34にねじ込む。その後、
図4に示すように、カバー部50の内面50aと衝撃吸収部材40の表面40aとが接触するまで、カバー部50が、脚部30に沿ってZ2側にスライド移動される。また、カバー部50の床面1に近い側の端部50cが、衝撃吸収部材40の表面40aの下方に引っ掛かるので、カバー部50の移動が規制される。
【0027】
[本実施形態の効果]
衝撃吸収部材40が脚部30の先端に配置されるねじ部34に取り付けられるので、衝撃吸収部材40の床面1側の部分に孔部を形成するとこなく、衝撃吸収部材40の床面1とは反対側である脚部30側で衝撃吸収部材40を固定することができる。その結果、衝撃吸収部材40の床面1側の部分には孔部が形成されないので、衝撃吸収部材40の寿命が短くなることを抑制できる。また、作業者はドライバなどの工具を用いることなく、片方の手で把持した衝撃吸収部材40をねじ部34にねじ込むだけで衝撃吸収部材40を脚部30の先端に固定することができる。また、作業者は、片方の手で衝撃吸収部材40して、衝撃吸収部材40を回転させてねじ部34に対するねじ込みを解除することにより、衝撃吸収部材40を取り外すことができる。その結果、衝撃吸収部材40を容易に取り付けることができる。
【0028】
ねじ部34は、スクリューネジ形状を有し、衝撃吸収部材40は、ネジ挿入孔部41を含み、衝撃吸収部材40のネジ挿入孔部41にねじ部34がねじ込まれることにより、ネジ挿入孔部41の内面41aに雌ネジ42が形成されることによって、衝撃吸収部材40が脚部30の先端に固定されている。これにより、衝撃吸収部材40にネジ挿入孔部41が含まれているので、作業者は、容易に、ねじ部34とネジ挿入孔部41とを位置合わせすることができる。そのため、衝撃吸収部材40を脚部30の先端に容易に取り付けることができるので、衝撃吸収部材40をより容易に交換できる。また、ネジ挿入孔部41の内面41aに雌ネジ42が形成されるので、衝撃吸収部材40がねじ部34から脱離することをネジ挿入孔部41の内面41aに形成された雌ネジ42により抑制できる。
【0029】
衝撃吸収部材40は、球形状を有する。これにより、衝撃吸収部材40と床面1との接触面積が比較的小さくなるので、床面1に対する衝撃吸収部材40の摩擦を低減できる。
【0030】
衝撃吸収部材40は、球形状を有し、ねじ部34は、衝撃吸収部材40の脚部30に近い側から球形状の衝撃吸収部材40の中心Cよりも床面1に近い側に渡ってねじ込まれている。これにより、ねじ部34の衝撃吸収部材40にねじ込まれている部分の長さが比較的大きくなるので、ねじ部34に対する衝撃吸収部材40の固定の強度を高めることができる。
【0031】
脚部30は、中空形状を有する。脚部30は、ねじ部34の基端側に接続され、中空形状の脚部30の内部に挿入される挿入部35と、挿入部35を脚部30に固定する固定部材36と、を含む。これにより、ねじ部34が損傷などした場合に、固定部材36による固定状態を解除することにより、容易に、ねじ部34を交換することができる。
【0032】
ロボット100は、衝撃吸収部材40を覆うように配置され、床面1から衝撃吸収部材40にかかる力を受けるカバー部50をさらに備える。これにより、カバー部50と衝撃吸収部材40との両方で床面1からの力が受けられるので、床面1からの力が衝撃吸収部材40に集中することを抑制できる。
【0033】
脚部30は、大腿部31と、大腿部31に対して屈曲する下腿部32と、を含む。カバー部50は、衝撃吸収部材40のうちの、大腿部31と下腿部32との屈曲方向と反対側を覆う。これにより、大腿部31と下腿部32とが屈曲した場合、衝撃吸収部材40の上面側にカバー部50が位置するので、床面1から衝撃吸収部材40にかかる力を効果的にカバー部50により受けることができる。
【0034】
衝撃吸収部材40は、球形状を有し、カバー部50は、大腿部31と下腿部32との屈曲方向と反対側において、球形状の衝撃吸収部材40の表面40aに沿うように配置されている。これにより、カバー部50が球形状の衝撃吸収部材40の表面40aに沿うように配置されているので、衝撃吸収部材40の表面40aの比較的敵広い範囲において床面1から衝撃吸収部材40にかかる力をカバー部50により受けることができる。その結果、カバー部50にかかる単位面積当たりの力が大きくなることを抑制できる。
【0035】
カバー部50は、脚部30が挿入される脚部挿入孔部50bを含み、脚部30に対して相対的にスライド移動する。これにより、衝撃吸収部材40をねじ部34にねじ込む際に、ねじ部34から離間した位置にカバー部50をスライド移動させておくことにより、衝撃吸収部材40をねじ部34にねじ込む作業の際に、カバー部50が邪魔になることを抑制できる。
【0036】
脚部30に対して相対的にスライド移動するカバー部50は、脚部30が直立した状態において、球形状の衝撃吸収部材40の脚部30に近い側から球形状の衝撃吸収部材40の中心Cよりも床面1に近い側まで渡るように衝撃吸収部材40を覆う。これにより、カバー部50の床面1に近い側の端部50cが、衝撃吸収部材40の表面40aの下方に引っ掛かるので、カバー部50の移動を規制できる。なお、衝撃吸収部材40に対するカバー部50の引っ掛かりを解除すると、カバー部50はスライド移動可能になる。
【0037】
脚部30は、4つ配置されており、4つの脚部30の各々のねじ部34に衝撃吸収部材40がねじ込まれている。これにより、4つの脚部30が配置されているロボット100において、衝撃吸収部材40を容易に交換できる。
【0038】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0039】
上記実施形態では、本開示の取付部としてスクリューネジ形状を有するねじ部34を用いる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、本開示の取付部としてねじ部以外の、円錐形状または三角錐形状などの取付部を用いてもよい。また、本開示の取付部として、返しを有する部材を用いてもよい。これにより、衝撃吸収部材40を返しを有する部材に容易に差し込むことができるとともに、衝撃吸収部材40を返しを有する部材から抜けなくすることができる。
【0040】
上記実施形態では、衝撃吸収部材40にネジ挿入孔部41が予め形成されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、ネジ挿入孔部41が形成されていない衝撃吸収部材40にねじ部34がねじ込まれてもよい。
【0041】
上記実施形態では、衝撃吸収部材40が球形状を有する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、
図7に示す変形例による衝撃吸収部材140のように、衝撃吸収部材140が半球形状を有していてもよい。また、衝撃吸収部材40が、球形状および半球形状以外の円錐台形状などを有していてもよい。
【0042】
上記実施形態では、ねじ部34が、脚部30に近い側から球形状の衝撃吸収部材40の中心Cよりも床面1に近い側に渡ってねじ込まれている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、ねじ部34に対する衝撃吸収部材40の固定の強度が十分に保たれるのであれば、ねじ部34が、衝撃吸収部材40の脚部30に近い側から球形状の衝撃吸収部材40の中心Cに達しない位置までねじ込まれていてもよい。
【0043】
上記実施形態では、ねじ部34と挿入部35とが一体的に形成されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、ねじ部34と挿入部35とが別体として形成されていてもよい。
【0044】
上記実施形態では、衝撃吸収部材40を覆うようにカバー部50が配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、衝撃吸収部材40のみによって床面1からの力を十分に受けられるのであれば、カバー部50を配置しなくてもよい。
【0045】
上記実施形態では、カバー部50は、脚部30に対して相対的にスライド移動する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、カバー部50が脚部30に対して固定されていてもよい。
【0046】
上記実施形態では、カバー部50を、球形状の衝撃吸収部材40の脚部30に近い側から球形状の衝撃吸収部材40の中心Cよりも床面1に近い側まで渡るように配置することにより、カバー部50の移動が規制されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、
図8に示す変形例のように、脚部30から外側に突出するピン部材150によって、カバー部50の移動を規制してもよい。
【0047】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0048】
(項目1)
脚部と、
前記脚部の先端に配置される取付部と、
前記取付部に取り付けられる衝撃吸収部材と、を備える、ロボットの脚。
【0049】
(項目2)
前記取付部は、スクリューネジ形状を有するネジ部を含み、
前記衝撃吸収部材は、ネジ挿入孔部を含み、
前記衝撃吸収部材の前記ネジ挿入孔部に前記ねじ部がねじ込まれることにより、前記ネジ挿入孔部の内面に雌ネジが形成されることによって、前記衝撃吸収部材が前記脚部の先端に固定されている、項目1に記載のロボット。
【0050】
(項目3)
前記衝撃吸収部材は、球形状または半球形状を有する、項目1または項目2に記載のロボット。
【0051】
(項目4)
前記衝撃吸収部材は、球形状を有し、
前記ねじ部は、前記衝撃吸収部材の前記脚部に近い側から前記球形状の衝撃吸収部材の中心よりも床面に近い側に渡ってねじ込まれている、項目3に記載のロボット。
【0052】
(項目5)
前記脚部は、中空形状を有し、前記ねじ部の基端側に接続され、前記中空形状の脚部の内部に挿入される挿入部と、前記挿入部を前記脚部に固定する固定部材と、を含む、項目1から項目4までのいずれか1項に記載のロボット。
【0053】
(項目6)
前記衝撃吸収部材を覆うように配置され、床面から前記衝撃吸収部材にかかる力を受けるカバー部をさらに備える、項目1から項目5までのいずれか1項に記載のロボット。
【0054】
(項目7)
前記脚部は、
大腿部と、
前記大腿部に対して屈曲する下腿部と、を含み、
前記カバー部は、前記衝撃吸収部材のうちの、前記大腿部と前記下腿部との屈曲方向と反対側を覆う、項目6に記載のロボット。
【0055】
(項目8)
前記衝撃吸収部材は、球形状を有し、
前記カバー部は、前記大腿部と前記下腿部との屈曲方向と反対側において、前記球形状の衝撃吸収部材の表面に沿うように配置されている、項目7に記載のロボット。
【0056】
(項目9)
前記カバー部は、前記脚部が挿入される脚部挿入孔部を含み、前記脚部に対して相対的にスライド移動する、項目6から項目8までのいずれか1項に記載のロボット。
【0057】
(項目10)
前記衝撃吸収部材は、球形状を有し、
前記脚部に対して相対的にスライド移動する前記カバー部は、前記脚部が直立した状態において、前記球形状の衝撃吸収部材の前記脚部に近い側から前記球形状の衝撃吸収部材の中心よりも床面に近い側まで渡るように前記衝撃吸収部材を覆う、項目9に記載のロボット。
【0058】
(項目11)
前記脚部は、4つ配置されており、
前記4つの脚部の各々の前記ねじ部に前記衝撃吸収部材がねじ込まれている、項目1から項目10までのいずれか1項に記載のロボット。
【符号の説明】
【0059】
1 床面
3 脚
30、30a、30b 脚部
31 大腿部
32 下腿部
34 ねじ部(取付部)
35 挿入部
36 固定部材
40 衝撃吸収部材
40a 表面
41 ネジ挿入孔部
41a 内面
42 雌ネジ
50 カバー部
50a 脚部挿入孔部
100 ロボット
C 中心