(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094915
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】原料供給装置及び連続式粉体処理システム
(51)【国際特許分類】
B01F 27/722 20220101AFI20240703BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20240703BHJP
B01F 23/53 20220101ALI20240703BHJP
B01F 27/1143 20220101ALI20240703BHJP
B01F 27/2322 20220101ALI20240703BHJP
B01F 27/723 20220101ALI20240703BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20240703BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20240703BHJP
B01F 35/221 20220101ALI20240703BHJP
【FI】
B01F27/722
B01J2/00 A
B01F23/53
B01F27/1143
B01F27/2322
B01F27/723
B01F35/71
B01F35/75
B01F35/221
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211835
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 明紀
【テーマコード(参考)】
4G004
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4G004AA02
4G035AB46
4G035AE01
4G035AE13
4G037AA02
4G037AA03
4G037AA11
4G037AA18
4G037EA03
4G078AA03
4G078AB20
4G078BA01
4G078BA07
4G078CA01
4G078DA09
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】連続式粉体処理システムの原料供給装置において、乾燥粉体原料と液体をより均一に混合する技術を提供する。
【解決手段】連続式粉体処理システムの原料供給装置は、搬送方向に延びるスクリュー軸を中心として回転する少なくとも1本のスクリューと、少なくとも1本のスクリューが挿入された搬送路を内部に有するシリンダとを、備える。シリンダは、搬送路への乾燥粉体原料の入口と、入口より搬送方向の下流に配置された搬送路への乾燥粉体原料を結合させる液体の供給口と、供給口より搬送方向の下流に配置された搬送路からの乾燥粉体原料と液体が混合されてなる湿潤粉体原料の出口とを有し、供給口は長手方向が搬送方向の成分を有するスリットである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に延びるスクリュー軸を中心として回転する少なくとも1本のスクリューと、
前記少なくとも1本のスクリューが挿入された搬送路を内部に有するシリンダとを、備え、
前記シリンダは、前記搬送路への乾燥粉体原料の入口と、前記入口より前記搬送方向の下流に配置された前記搬送路への前記乾燥粉体原料を結合させる液体の供給口と、前記供給口より前記搬送方向の下流に配置された前記搬送路からの前記乾燥粉体原料と前記液体が混合されてなる湿潤粉体原料の出口とを有し、
前記供給口は長手方向が前記搬送方向の成分を有するスリットである、
原料供給装置。
【請求項2】
前記少なくとも1本のスクリューは、第1スクリュー及び第2スクリューを含み、
前記液体の前記供給口は、前記第1スクリュー及び第2スクリューのうち一方又は両方の周囲に開口している、
請求項1に記載の原料供給装置。
【請求項3】
前記少なくとも1本のスクリューは、平行に配置された第1スクリュー及び第2スクリューを含み、
前記液体の前記供給口は、前記第1スクリューの周囲に開口した第1供給口と、第2スクリューの周囲に開口した第2供給口とを含む、
請求項1に記載の原料供給装置。
【請求項4】
前記シリンダは、前記液体の前記供給口に嵌められて、前記供給口のスリット幅及びスリット長さのうち少なくとも一方を変えるスリット調節ブロックを有する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の原料供給装置。
【請求項5】
前記液体の前記供給口と接続され且つ前記供給口を覆う接続口を有するヘッダと、前記液体が収容された液体容器と、前記液体容器から前記ヘッダへ前記液体を送給するチューブとを有する液体供給装置を、更に備える、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の原料供給装置。
【請求項6】
湿潤粉体原料を顆粒状に成形する造粒機と、
前記造粒機へ前記湿潤粉体原料を供給する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の原料供給装置とを、備える、
連続式粉体処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、造粒機へ原料粉末を供給する原料供給装置と、この原料供給装置を具備する連続式粉体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、原料粉末と結合剤の混合と造粒とが連続的に行われる連続式粉体処理システムが知られている。このような連続式粉体処理システムは、造粒機と、原料粉末と結合剤を混合して造粒機へ供給する原料供給装置とを備える。このような連続式粉体処理システムに係る技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された連続混練造粒機は、原料供給装置に相当する混練ケースと、造粒機に相当する造粒ケースとを備える。混練ケースでは、内部に配置された回転する混練スクリューによって、原料である乾燥粉体原料と結合剤溶液とが混合されて湿潤粉体原料となり、湿潤粉体原料は造粒ケースへ定量的に供給される。造粒ケースへ供給された湿潤粉体原料は、回転する押出羽根によってダイの孔から連続的に押し出されて造粒される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の連続式粉体処理システムでは、特許文献1のように液体状の結合剤が用いられる場合には、原料供給装置で原料の乾燥粉体原料と結合剤とが混合される。粉状の結合剤が用いられる場合には、原料供給装置では、予め粉状結合剤が混合された乾燥粉体原料に水やアルコールなどの液体状の結合誘起剤が混合される。いずれの場合も、従来の原料供給装置では乾燥粉体原料と当該乾燥粉体原料を結合させる液体(即ち、液体状の結合剤又は結合誘起剤)とを均一に混合することが難しい。
【0006】
本開示は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、連続式粉体処理システムの原料供給装置において、乾燥粉体原料と当該乾燥粉体原料を結合させる液体をより均一に混合する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る原料供給装置は、
搬送方向に延びるスクリュー軸を中心として回転する少なくとも1本のスクリューと、
前記少なくとも1本のスクリューが挿入された搬送路を内部に有するシリンダとを、備え、
前記シリンダは、前記搬送路への乾燥粉体原料の入口と、前記入口より前記搬送方向の下流に配置された前記搬送路への前記乾燥粉体原料を結合させる液体の供給口と、前記供給口より前記搬送方向の下流に配置された前記搬送路からの前記乾燥粉体原料と前記液体が混合されてなる湿潤粉体原料の出口とを有し、
前記供給口は長手方向が前記搬送方向の成分を有するスリットであることを特徴としている。
【0008】
また、本開示に係る連続式粉体処理システムは、
湿潤粉体原料を顆粒状に成形する造粒機と、
前記造粒機へ前記湿潤粉体原料を供給する前記原料供給装置とを、備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、連続式粉体処理システムの原料供給装置において、乾燥粉体原料と当該乾燥粉体原料を結合させる液体をより均一に混合する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る連続式粉体処理システムの全体的な構成を示す図である。
【
図6】
図6は、結合剤供給口を含むシリンダの部分平面図である。
【
図7】
図7は、変形例1に係る原料供給装置の部分平面図である。
【
図9】
図9は、変形例2に係る原料供給装置の部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。
図1は、本開示の一態様に係る連続式粉体処理システム1の概略構成を示す図である。
【0012】
[連続式粉体処理システム1の概略構成]
図1に示す連続式粉体処理システム1は、混合機5、原料供給装置2、造粒機3、乾燥機4、及び回収装置6を備える。
【0013】
混合機5は、原料を混合して、乾燥粉体原料11を生成する。原料供給装置2は、混合機5から供給された乾燥粉体原料11と結合剤12とを混合して湿潤粉体原料13を生成する。本実施形態に係る結合剤12は液体状の結合剤である。また、原料供給装置2は、湿潤粉体原料13を造粒機3へ定量的に供給する。原料供給装置2の構造は、後ほど詳述する。造粒機3は、原料供給装置2から供給された湿潤粉体原料13を顆粒状に成形する。造粒機3の構造は特に限定されないが、造粒機3は、例えば、多数の孔をもつスクリーンと、スクリーンから湿潤粉体原料13を押し出す押出羽根とを備える押出造粒機である。乾燥機4は、造粒機3で湿潤粉体原料13の造粒によって得られた顆粒14を乾燥させる。乾燥機4の構造は特に限定されないが、顆粒14は、例えば、ケーシングに導入した熱風と顆粒14を接触させることにより顆粒14を気流乾燥させる気流乾燥機である。回収装置6は、乾燥機4で乾燥された顆粒14を製品として回収する。回収装置6の構造は特に限定されないが、回収装置6は、例えば、乾燥機4から熱風に搬送されてきた顆粒14を分離回収するサイクロンである。
【0014】
[原料供給装置2の構造]
次に、原料供給装置2の構造について詳細に説明する。
図2は、原料供給装置2の側面図であり、この図では、シリンダ21の一部が断面で示されている。
図2に示すように、原料供給装置2は、シリンダ21と、シリンダ21内に配置されたスクリュー22と、スクリュー22を回転駆動するモータ23と、供給ホッパ24と、液体供給装置30とを備える。
【0015】
図3は、原料供給装置2の部分平面図であり、
図4は
図3のIV-IV断面図、
図5は
図3のV-V断面図である。
図3乃至
図5に示すように、本実施形態に係る原料供給装置2は、2軸スクリュー型であって第1スクリュー22aと第2スクリュー22bの2本のスクリュー22を備える。各スクリュー22は、スクリュー軸221と、スクリュー軸221の周囲に設けられたスクリュー羽根222とを有する。スクリュー軸221が搬送方向Xと平行となるように配置されている。スクリュー軸221は、モータ23によって回転駆動される。第1スクリュー22a及び第2スクリュー22bは、各々独立したモータ23で回転駆動されてもよいし、一つのモータ23で回転駆動されてもよい。第1スクリュー22aのスクリュー軸221と第2スクリュー22bのスクリュー軸221は同じ方向に回転する。但し、第1スクリュー22aのスクリュー軸221と第2スクリュー22bのスクリュー軸221は、互いに異なる方向に回転してもよい。搬送方向Xから見て第1スクリュー22aのスクリュー羽根222と第2スクリュー22bのスクリュー羽根222は一部で重複している。これにより、第1スクリュー22a及び第2スクリュー22bのうち一方のスクリュー羽根222の間の溝に搬送物が詰まった際には他方のスクリュー羽根222が詰まった搬送物を掻き出すセルフクリーニング機能が備わっている。
【0016】
シリンダ21の内部には、搬送方向Xに延びる搬送路211が形成されている。搬送路211には、2本のスクリュー22が通されている。シリンダ21の搬送方向Xの終端部には搬送路211の出口27が設けられている。出口27から湿潤粉体原料13が排出される。出口27は、造粒機3の入口と直接的に接続されていてもよい。
【0017】
シリンダ21の搬送方向Xの始端部には、搬送路211へ乾燥粉体原料11が導入され入口25が設けられている。入口25には供給ホッパ24が接続されている。供給ホッパ24には、混合機5で生成された乾燥粉体原料11が収容されている。供給ホッパ24から入口25を通じて搬送路211へ、乾燥粉体原料11が定量的に供給される。
【0018】
シリンダ21の入口25と出口27との搬送方向Xの間には、搬送路211へ結合剤12が導入される液体供給口26が設けられている。液体供給口26には、液体供給装置30が接続されている。液体供給装置30から液体供給口26を通じて搬送路211へ、結合剤12が定量的に供給される。
【0019】
液体供給口26は長手方向と短手方向を有する細長い切れ目、即ち、スリットである。
図6は、液体供給口26を含むシリンダ21の部分平面図である。
図3乃至
図6に示すように、液体供給口26の長手方向を「スリット方向A」、液体供給口26の長手方向の寸法を「スリット長さL」、液体供給口26の長手方向と直交する方向の寸法を「スリット幅W」と称する。本実施形態では、2本のスクリュー22のうち一方のスクリュー22の上方に液体供給口26が配置されており、スリット方向Aは搬送方向X、即ち、スクリュー軸221の延伸方向と実質的に平行である。本実施形態に係る液体供給口26はスクリュー22の上方に開口しているが、液体供給口26はスクリュー22の周囲に開口していればよく、スクリュー22の側方に配置されていてもよい。また、本実施形態に係る原料供給装置2は2本のスクリュー22を備えるが、1本のスクリュー22を備える原料供給装置2においては液体供給口26は当該1本のスクリュー22の周囲に開口するように配置される。
【0020】
液体供給口26のスリット幅Wは、液体供給口26に嵌められたスリット調節ブロック35によって調節可能である。スリット調節ブロック35の厚みを変えることで、スリット幅Wを広くしたり狭くしたりできる。スリット幅Wは、スクリュー羽根222の直径の0.002倍以上0.01倍以下が好ましい。スリット幅Wを変えることで、液体供給口26から搬送路211へ供給される結合剤12の単位時間当たりの供給量や供給圧を調節できる。また、スリット調節ブロック35で結合剤12の供給圧を調整することができるので、後述する液体供給装置30のポンプ32を取り替えることなく様々な結合剤12の供給量に対応できる。例えば、結合剤12の供給量が少ない場合には、供給圧が低いと結合剤12が均等に流れにくくなるので、結合剤12が均等に流れる供給圧となるようにスリット幅Wが調整される。
【0021】
また、液体供給口26に嵌められたスリット調節ブロック35によって、液体供給口26のスリット長さLも長くしたり短くしたりできる。スリット長さLは、スクリュー羽根222の1ピッチ以上6ピッチ以下が好ましい。スリット長さLを変化させることで、結合剤12の搬送方向Xの供給範囲を調節できる。スリット長さLは、好ましくは、スクリュー22の一回転の乾燥粉体原料11の搬送距離よりも長い。本実施形態に係るスリット調節ブロック35は、スリット長さL及びスリット幅Wの両方を調整可能な、C字状のブロックである。
【0022】
図2に示すように、液体供給装置30は、チューブ31と、ポンプ32と、ヘッダ33と、液体容器34とを備える。液体容器34には、液体状の結合剤12が収容されている。ヘッダ33はシリンダ21の液体供給口26と接続される。チューブ31は液体容器34とヘッダ33との間を接続しており、ポンプ32の稼働によって液体容器34からヘッダ33へチューブ31を通じて結合剤12が搬送される。本実施形態では、ポンプ32として、チューブポンプが採用されている。
【0023】
図4及び
図5に示すように、ヘッダ33はシリンダ21に着脱可能に取り付けられている。詳細には、シリンダ21の表面から突出する筒状の支持枠28にヘッダ33が通され、支持枠28に螺入された押圧ボルト29によってヘッダ33がシリンダ21の液体供給口26の縁へ押し付けられている。押圧ボルト29を緩めることによって、ヘッダ33を支持枠28から抜き出せる。ヘッダ33とシリンダ21との間は、シール材334で封止されている。
【0024】
ヘッダ33の内部には、チューブ31と連通された管路331と、管路331から液体供給口26へ向けて延びるスリット332とが形成されている。スリット332の先端は、液体供給口26と接続される接続口333となっている。接続口333の長手方向は液体供給口26のスリット方向Aと平行であり、接続口333の長さは液体供給口26のスリット長さLと同じ又はそれよりも長く、接続口333は液体供給口26を覆っている。これにより、ヘッダ33から液体供給口26の全開口断面へ結合剤12が均一に供給される。
【0025】
ここで、上記構成の原料供給装置2の動作を説明する。シリンダ21の入口25から搬送路211へ導入された乾燥粉体原料11は、スクリュー22の回転によって出口27へ向けて搬送方向Xに移動する。また、乾燥粉体原料11は、搬送路211を移動するうちに、液体供給口26から供給された結合剤12とともに撹拌されて結合剤12と混合する。液体供給口26は搬送方向Xに延びるスリット状であるから、従来のスポット状の液体供給口と比較して、スクリュー22に対する結合剤12の供給範囲が搬送方向Xに広くなる。その結果、本開示の原料供給装置2では従来と比較して、乾燥粉体原料11に対し同じ供給量の結合剤12を広く薄く供給でき、乾燥粉体原料11と結合剤12との混合がより均一となる。
【0026】
<変形例1>
上記実施形態に係る原料供給装置2において、液体供給口26は2本のスクリュー22のうち一方の周囲に開口しているが、2本のスクリュー22のそれぞれに対して液体供給口26が設けられていてもよい。
【0027】
図7は、変形例1に係る原料供給装置2の部分平面図であり、
図8は
図7のVIII-VIII断面図である。なお、本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
図7及び
図8に示すように、変形例1に係る原料供給装置2では、第1スクリュー22aの周囲に開口する第1液体供給口26aと、第2スクリュー22bの周囲に開口する第2液体供給口26bとがシリンダ21に設けられている。第1液体供給口26a及び第2液体供給口26bはいずれも搬送方向Xをスリット方向Aとするスリットであり、これらの液体供給口26は平行に配置されている。
【0028】
液体供給装置30のヘッダ33には、第1液体供給口26a及び第2液体供給口26bのそれぞれと対応する接続口333が設けられており、一つのヘッダ33から2箇所の液体供給口26へ結合剤12が送給される。
【0029】
<変形例2>
上記実施形態に係る原料供給装置2において、液体供給口26のスリット方向Aは搬送方向Xと平行であるが、スリット方向Aは搬送方向Xの成分を有していればよい。スリット方向Aの搬送方向Xからの傾きは、[(2本のスクリュー22a,22bの中心軸間の距離)/(スクリュー羽根222の1以上6ピッチ以下の所定長さ)]であることが好ましい。
【0030】
図9は、変形例2に係る原料供給装置2の部分平面図である。なお、本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
図9に示す変形例2に係る原料供給装置2では液体供給口26の長手方向、即ち、スリット方向Aは搬送方向Xに対して傾いている。液体供給口26は、第1スクリュー22aの周囲及び第2スクリュー22bの周囲にまたがる開口である。このような液体供給口26によれば、一つの液体供給口26から2本のスクリュー22の両方の周囲へ結合剤12を供給できる。
【0031】
なお、上記実施形態及びその変形例では液体状の結合剤12が用いられているが、連続式粉体処理システム1では粉状の結合剤が用いられることがある。粉状の結合剤が用いられる場合、混合機5で原料と結合剤とが混合され、原料供給装置2へ導入される乾燥粉体原料11には粉状の結合剤が含まれている。このように結合剤を含む乾燥粉体原料11に対して、原料供給装置2では液体状の結合剤12に代えて、水又はアルコールなどの乾燥粉体原料11の結合を誘起する液体状の結合誘起剤が添加される。つまり、液体供給装置30の液体容器34には結合誘起剤(例えば、水やアルコール)が収容されており、この結合誘起剤が液体供給装置30によって液体供給口26を通じて乾燥粉体原料11の搬送路211へ供給される。
【0032】
〔総括〕
本開示の第1の項目に係る原料供給装置2は、
搬送方向Xに延びるスクリュー軸221を中心として回転する少なくとも1本のスクリュー22と、
少なくとも1本のスクリュー22が挿入された搬送路211を内部に有するシリンダ21とを、備え、
シリンダ21は、搬送路211への乾燥粉体原料11の入口25と、入口25より搬送方向Xの下流に配置された搬送路211への乾燥粉体原料11を結合させる液体(上記実施形態においては、結合剤12)の供給口26と、供給口26より搬送方向Xの下流に配置された搬送路211からの乾燥粉体原料11と液体が混合されてなる湿潤粉体原料13の出口27とを有し、
供給口26は、長手方向が搬送方向Xの成分を有するスリットであることを特徴としている。
【0033】
上記構成の原料供給装置2によれば、従来のスポット状の液体の供給口を有する場合と比較して、スクリュー22に対する液体の供給範囲が搬送方向Xに広くなる。その結果、乾燥粉体原料11に対し同じ供給量の液体を広く薄く供給でき、乾燥粉体原料11と液体(例えば、結合剤12又は結合誘起剤)とをより均一に混合できる。
【0034】
本開示の第2の項目に係る原料供給装置2は、第1の項目に係る原料供給装置2において、少なくとも1本のスクリュー22は、第1スクリュー22a及び第2スクリュー22bを含み、液体の供給口26は、第1スクリュー22a及び第2スクリュー22bのうち一方又は両方の周囲に開口しているものである。
【0035】
本開示の第3の項目に係る原料供給装置2は、第1の項目に係る原料供給装置2において、少なくとも1本のスクリュー22は、平行に配置された第1スクリュー22a及び第2スクリュー22bを含み、液体の供給口26は、第1スクリュー22aの周囲に開口した第1供給口26aと、第2スクリュー22bの周囲に開口した第2供給口26bとを含むものである。
【0036】
本開示の第4の項目に係る原料供給装置2は、第1乃至3のいずれかの項目に係る原料供給装置2において、シリンダ21は、液体の供給口26に嵌められて、供給口26のスリット幅W及びスリット長さLのうち少なくとも一方を変えるスリット調節ブロック35を有するものである。
【0037】
スリット幅Wを変えることによって、液体供給口26から搬送路211へ供給される液体の圧力を調節できる。よって、液体の供給量が少ない場合であっても、液体供給装置30のポンプ32を取り替えることなく、液体供給口26から搬送路211へ供給される液体の圧力を適切に調節できる。また、スリット長さLを変えることによって、搬送路211への液体の散布範囲を調節できる。
【0038】
本開示の第5の項目に係る原料供給装置2は、第1乃至4のいずれかの項目に係る原料供給装置2において、液体の供給口26と接続され且つ供給口26を覆う接続口333を有するヘッダ33と、液体が収容された液体容器34と、液体容器34からヘッダ33へ液体を送給するチューブ31とを有する液体供給装置30を、更に備えるものである。
【0039】
ヘッダ33の接続口333は液体供給口26を覆っているので、ヘッダ33から液体供給口26へ送給される液体の場所による偏りを低減できる。よって、液体供給口26から搬送路211へより均一に液体を供給できる。
【0040】
本開示の第6の項目に係る連続式粉体処理システム1は、湿潤粉体原料13を顆粒状に成形する造粒機3と、造粒機3へ湿潤粉体原料13を供給する第1乃至5のいずれかの項目に係る原料供給装置2とを、備えることを特徴としている。
【0041】
上記構成の原料供給装置2は、造粒機3へ湿潤粉体原料13を供給する手段として好適である。
【0042】
以上の本開示の議論は、例示及び説明の目的で提示されたものであり、本開示を本明細書に開示される形態に限定することを意図するものではない。例えば、前述の詳細な説明では、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で1つの実施形態に纏められているが、複数の特徴のうち幾つかが組み合わされてもよい。また、本開示に含まれる複数の特徴は、上記で論じたもの以外の代替の実施形態、構成、又は態様に組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 :連続式粉体処理システム
2 :原料供給装置
3 :造粒機
11 :乾燥粉体原料
12 :結合剤
13 :湿潤粉体原料
14 :顆粒
21 :シリンダ
22,22a,22b:スクリュー
25 :乾燥粉体原料の入口
26 :液体供給口
26,26a,26b:液体の供給口
27 :湿潤粉体原料の出口
30 :液体供給装置
31 :チューブ
33 :ヘッダ
34 :液体容器
35 :スリット調節ブロック
211 :搬送路
221 :スクリュー軸
333 :接続口