(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094919
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】文書読取装置、文書読取方法及び文書読取プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/10 20060101AFI20240703BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240703BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H04N1/10
H04N1/04 101
H04N1/387 200
H04N1/387 800
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211839
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】599001389
【氏名又は名称】株式会社プリマジェスト
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】栗山 淳
(72)【発明者】
【氏名】小倉 慶一
(72)【発明者】
【氏名】西野 真吾
(72)【発明者】
【氏名】鄭 元碩
(72)【発明者】
【氏名】松岡 晋也
(72)【発明者】
【氏名】桑原 真介
【テーマコード(参考)】
5C072
5C076
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA05
5C072CA05
5C072CA09
5C072CA10
5C072CA12
5C072DA04
5C072DA09
5C072DA15
5C072DA21
5C072DA23
5C072EA08
5C072FA05
5C072LA02
5C072LA12
5C072LA14
5C072LA17
5C072UA11
5C072UA13
5C072WA02
5C072WA08
5C076AA02
5C076AA17
5C076AA36
5C076BA06
5C076CA09
(57)【要約】
【課題】載置台に載置した状態で読取対象の両面を読み取ることができる文書読取装置に関する技術を提供する。
【解決手段】文書読取装置100は、載置台101と、第1撮像部121と、第2撮像部と、を備えている。載置台101は、少なくとも一つの読取対象を載置可能な第1面101Aと、該第1面101Aとは反対側の第2面101Bと、を有している。第1撮像部121は、第1面101Aに載置された少なくとも一つの読取対象を第1面101A側から撮像する。第2撮像部122は、第1面101Aに載置された少なくとも一つの読取対象を第2面101B側から載置台101を透過して撮像する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの読取対象を載置可能な第1面及び該第1面とは反対側の第2面を有する載置台と、
前記第1面に載置された前記少なくとも一つの読取対象を前記第1面側から撮像する第1撮像部と、
前記第1面に載置された前記少なくとも一つの読取対象を前記第2面側から前記載置台を透過して撮像する第2撮像部と、を備えた、
文書読取装置。
【請求項2】
前記載置台は、透明と不透明とを切替え可能な調光フィルムを備え、該調光フィルムは、前記第1撮像部が撮像するとき不透明になり、前記第2撮像部が撮像するとき透明になるように制御される、
請求項1に記載の文書読取装置。
【請求項3】
前記第1撮像部は、前記少なくとも一つの読取対象を含む前記第1面の全体画像を出力し、
前記文書読取装置は、
前記第1面側から撮像した第1全体画像から前記第1面に載置された前記少なくとも一つの読取対象の各々の表面に対応する領域を認識する認識部と、
前記第1全体画像から前記少なくとも一つの読取対象の各々の表面に対応する領域をそれぞれ切り出して読取ファイルを生成するファイル生成部と、を更に備えている、
請求項1に記載の文書読取装置。
【請求項4】
前記第2撮像部は、前記少なくとも一つの読取対象を含む前記第2面側から撮像した第2全体画像を出力し、
前記ファイル生成部は、前記認識部により認識された前記少なくとも一つの読取対象の各々の表面に対応する領域の位置情報に基づいて、前記少なくとも一つの読取対象の各々の裏面に対応する領域の位置情報を算出し、前記第2全体画像から前記少なくとも一つの読取対象の各々の裏面に対応する領域をそれぞれ切り出して読取ファイルを生成する、
請求項3に記載の文書読取装置。
【請求項5】
前記第2撮像部は、前記少なくとも一つの読取対象を含む前記第2面側から撮像した第2全体画像を出力し、
前記文書読取装置は、
前記第2面の全体画像から前記第1面に載置された前記少なくとも一つの読取対象の各々の裏面に対応する領域を認識する認識部と、
前記第2全体画像から前記少なくとも一つの読取対象の各々の裏面に対応する領域をそれぞれ切り出して読取ファイルを生成するファイル生成部と、を更に備えている、
請求項1に記載の文書読取装置。
【請求項6】
前記第1撮像部は、前記少なくとも一つの読取対象を含む前記第1面側から撮像した第1全体画像を出力し、
前記ファイル生成部は、前記認識部により認識された前記少なくとも一つの読取対象の各々の裏面に対応する領域の位置情報に基づいて、前記少なくとも一つの読取対象の各々の表面に対応する領域の位置情報を算出し、前記第1全体画像から前記少なくとも一つの読取対象の各々の表面に対応する領域をそれぞれ切り出して読取ファイルを生成する、
請求項5に記載の文書読取装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの読取対象は、第1の読取対象を含み、
前記ファイル生成部は、前記第1の読取対象の表面及び裏面に対応する領域からそれぞれ切り出された表裏一対の前記読取ファイルをグループ化するグループ化処理を実行する、
請求項4又は6に記載の文書読取装置。
【請求項8】
第1面と該第1面とは反対側の第2面との間を透明及び不透明に切替え可能な載置台と、前記第1面側から撮像可能な第1撮像部と、前記第2面側から撮像可能な第2撮像部と、を備えた文書読取装置によって、
前記載置台を不透明にして前記第1面に載置された少なくとも一つの読取対象を前記第1面側から撮像すること、及び、
前記載置台を透明にして前記第1面に載置された前記少なくとも一つの読取対象を前記第2面側から前記載置台を透過して撮像すること、を含む
文書読取方法。
【請求項9】
第1面と該第1面とは反対側の第2面との間を透明及び不透明に切替え可能な載置台と、前記第1面側から撮像可能な第1撮像部と、前記第2面側から撮像可能な第2撮像部と、を備えた文書読取装置の文書読取プログラムであって、
前記載置台を不透明にして前記第1面に載置された少なくとも一つの読取対象を前記第1面側から撮像すること、及び、
前記載置台を透明にして前記第1面に載置された前記少なくとも一つの読取対象を前記第2面側から前記載置台を透過して撮像すること、をコンピュータに実行させる、
文書読取プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書読取装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ラインセンサを走査させることにより紙の文書の記載を読み取り、デジタルファイル化する文書読取装置が広く普及している。フラットベッドスキャナと呼ばれる文書読取装置は、透明ガラスの原稿台の定位置に取り込んだ文書の記載を読み取る。フラットベッドスキャナのようなコピー機の応用としての文書読取装置をさらに発展させ、画素が二次元的に配列された撮像センサを用いて載置台に載置された文書の全体を俯瞰して撮像することによって文書の記載を一度に読み取るオーバーヘッドスキャナと呼ばれる文書読取装置も知られるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。オーバーヘッドスキャナのような文書読取装置は、本の特定のページやステープラーで留められた文書であっても文書の記載を読み取ることができるし、様々なサイズの文書が混在していても記載を読み取ることができるため利便性が高い。
【0003】
他方で、ローラで紙を一枚ずつ搬送して文書の記載を読み取るシートフィードスキャナと呼ばれる文書読取装置も広く普及している(例えば、特許文献2参照)。フラットベッドスキャナやオーバーヘッドスキャナ等の文書読取装置は、紙の表面及び裏面のいずれか片面ずつしか記載を読み取ることができないのに対し、シートフィードスキャナ等の文書読取装置は、紙の表面及び裏面の両面から記載を一度に読み取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-207342号公報
【特許文献2】特開平4-52781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、シートフィードスキャナ等の文書読取装置は、ローラが紙を搬送しやすいように、ステープラーの針を除去したり、重ねた紙の縁を揃えたりする手間がかかる。異なるサイズの紙を混在させて記載を読み取ることが苦手で紙詰まりが生じやすい。安定して搬送できる紙のサイズに限界があるため、比較的小さいサイズの紙に読取対象が限定されてしまう。シートフィードスキャナのような文書読取装置ではなく、オーバーヘッドスキャナのような文書読取装置を用いて紙の両面から記載を読み取ることができるようになれば利便性が高い。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、載置台に載置した状態で読取対象の両面を読み取ることができる文書読取装置に関する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る文書読取装置は、載置台と、第1撮像部と、第2撮像部と、を備えている。載置台は、少なくとも一つの読取対象を載置可能な第1面と、該第1面とは反対側の第2面と、を有している。第1撮像部は、第1面に載置された少なくとも一つの読取対象を第1面側から撮像する。第2撮像部は、第1面に載置された少なくとも一つの読取対象を第2面側から載置台を透過して撮像する。
【0008】
本発明の他の一態様に係る文書読取方法及び文書読取プログラムは、第1面と該第1面とは反対側の第2面との間を透明及び不透明に切替え可能な載置台と、第1面側から撮像可能な第1撮像部と、第2面側から撮像可能な第2撮像部と、を備えた文書読取装置を用いる。文書読取方法は、載置台を不透明にして第1面に載置された少なくとも一つの読取対象を第1面側から撮像すること、及び、載置台を透明にして第1面に載置された少なくとも一つの読取対象を第2面側から載置台を透過して撮像すること、を含んでいる。文書読取プログラムは、このような文書読取方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
これらの態様によれば、載置台に載置した状態で読取対象の両面を読み取ることができる文書読取装置に関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の文書読取装置の一例を示す正面図である。
【
図2】
図1に示された文書読取装置を右後方から見た斜視図である。
【
図3】
図1に示された文書読取装置の左側面図である。
【
図4】文書読取装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図5】第1面側及び第2面側から見た載置台に並べられた読取対象の一例を示す図である。
【
図6】第1及び第2全体画像から自動的に認識された読取対象の各々の表面及び裏面に対応する領域を示す図である。
【
図7】生成された読取ファイルのグループ化処理の一例を示す図である。
【
図8】制御部の処理手順の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
図1から
図3は、本発明の一実施形態の文書読取装置の一例を様々な角度から見た図である。主に
図3の左側面図を参照し、必要に応じて
図1の正面図及び
図2の斜視図を参照して文書読取装置100の構成を説明する。
【0012】
文書読取装置100は、文書や写真等のシート状の読取対象の両面から撮像して、その撮像画像からそれぞれの読取対象に対応する読取ファイルを生成する。図示した例では、文書読取装置100が、載置台101、筐体102、制御ユニット110(
図1に示す)、第1及び第2撮像部121,122、第1照明部131、第2照明部132(
図1に示す)、偏光板121P,131P、反射鏡122M,131M,132M等を備えている。
【0013】
載置台101は、例えば透明ガラスの原稿台であり、紙等の読取対象を載置するための第1面101Aと、第1面101Aとは反対側の第2面101Bと、を有している。第1面101Aは、例えば、A4サイズの文書を縦横に2枚×3枚配列しても余裕のある程度の大きさである。
【0014】
図示した例では、載置台101が、透明と不透明とを切替え可能な調光フィルムを備えている。この調光フィルムは、制御ユニット110からの指示に従って第1撮像部121が撮像するとき調光フィルムが不透明になって第1面101Aと第2面101Bとの間で光を遮蔽し、第2撮像部122が撮像するとき調光フィルムが透明になって第1面101Aと第2面101Bとの間で光を透過するように制御される。
【0015】
制御ユニット110は、文書読取装置100を制御するための制御素子、制御回路等を収容する。制御ユニット110は、例えばPCのような汎用コンピュータであってもよく、制御ユニット110がPCである場合には、文書読取プログラムを実行することによって、全体が文書読取装置100として機能する。
【0016】
第1及び第2撮像部121,122は、載置台101の全体を一定の解像度で撮像できる撮像レンズと撮像センサを備えている。第1撮像部121は、制御ユニット110の要求に従って第1面101A側から第1面101Aの全体を撮像し、生成した撮像信号を制御ユニット110へ送信する。第1撮像部121が出力した撮像信号(第1全体画像200A)は、第1面101Aに載置されている読取対象の表面の情報を含んでいる。
【0017】
第2撮像部122は、制御ユニット110の要求に従って第2面101B側から第2面101Bの全体を撮像し、生成した撮像信号を制御ユニット110へ送信する。第2撮像部122が出力した撮像信号(第2全体画像200B)は、載置台101を透過して撮像された第1面101Aに載置されている読取対象の裏面の情報を含んでいる。
【0018】
第1及び第2撮像部121,122は、専用の撮像ユニットではなく、例えば汎用のミラーレス一眼カメラを用いて構成してもよい。図示した例では、第1撮像部121が、載置台101の第1面101Aを俯瞰するように設置され、レンズに偏光板121Pが装着されている。
【0019】
図示した例では、第2撮像部122が、載置台101の直下から外れた位置に配置され、反射鏡122Mに反射させて第2面101Bの全体を撮像している。図示しないが、載置台101の直下に配置した第2撮像部122が、第2面101Bを仰視して撮像するように構成し、反射鏡122Mを省略してもよい。
【0020】
第1照明部131は、制御ユニット110の指示に従って載置台101の第1面101Aの全体を均質に照明する。第2照明部132(
図1に示す)は、制御ユニット110の指示に従って載置台101の第2面101Bの全体を均質に照明する。図示した例では、第1及び第2照明部131,132が、各種情報を載置台101へ投射可能なプロジェクタを用いて構成されている。
【0021】
第1及び第2照明部131,132がプロジェクタであれば、第1面101Aや第2面101Bの周縁部を中央部よりも強い光で照らし、中央部と周縁部との明るさの差を小さくできる。第1及び第2照明部131,132は、図示した例に限定されず、例えば白色LEDと、その発光を拡散させる拡散板で構成してもよい。
【0022】
図示した例では、第1照明部131が、載置台101を俯瞰するように配置された反射鏡131Mに向かって光を照射し、該反射鏡131Mに反射させて第1面101Aを照明する。第1照明部131と反射鏡131Mとの間には、偏光板131P(
図2に示す)が配置されている。偏光板131Pは、偏光の方向が前述した偏光板121Pと直交するように配置されている。図示した例では、第2照明部132が、載置台101の下方に配置された反射鏡132Mに向かって光を照射し、該反射鏡132Mに反射させて第2面101Bを照明する。
【0023】
第1及び第2表示部141,142は、例えば液晶モニタであり、載置台101に対して読取対象を載置したり取り除いたりする作業を行うユーザが視認しやすい位置に設置されている。第1表示部141は、例えば、制御ユニット110からの表示信号を受信して、第1及び第2撮像部121,122が撮像した第1及び第2全体画像200A,200B等を表示する。第2表示部142は、例えば、文書読取装置100に保存されている読取ファイルや設定画面等を表示する。これらの情報を第1及び第2表示部141,142のいずれか一方にまとめて表示可能にし、他方を省略してもよい。
【0024】
第1及び第2入力部151,152は、ユーザが制御ユニット110へ指示を行うための入力デバイスである。図示した例では、第1入力部151が第1表示部141の表示面に重畳されたタッチパネルとして構成され、第2入力部152が第2表示部142の表示面に重畳されたタッチパネルとして構成されている。第1及び第2入力部151,152は、図示した例に限定されず、マウス等であってもよいし、音声指示認識に連動するマイク等を含んでいてもよい。第1及び第2入力部151,152のいずれか一方を省略してもよい。
【0025】
筐体102は、これまで説明した載置台101、制御ユニット110、第1及び第2撮像部121,122、第1照明部131、第2照明部132、偏光板121P,131P、反射鏡122M,131M,132M等を支持している。筐体102は、専用品であってもよいし、パソコンラック等を用いて構成してもよい。
【0026】
筐体102は、室内灯等を遮光する側板102L(
図1に示す),102R(
図2に示す)及び背板102B(
図2に示す)を備えている。側板102L,102R及び背板102Bには、換気用に開口が形成されていてもよい。載置台101の直下の空間は、側板102L,102R、背板102B、反射鏡132Mに囲まれていて室内灯等の外乱光の影響が小さい。図示した例では、第2照明部132及び第2撮像部122に偏光板を設けていない。
図3は、筐体102の内部の説明のために、左右の側板102L,102Rを取り外した状態を示している。
【0027】
図4は、文書読取装置100の機能的な構成を示すブロック図である。制御ユニット110は、主に、制御部160、記憶部170、画像処理部180を備える。制御部160は、文書読取装置100の制御とプログラムの実行処理を行うプロセッサにより構成され、例えば、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理チップと連携する構成であってもよい。制御部160は、記憶部170に記憶された文書読取プログラムを読み出して、文書読取に関する様々な処理を実行する。
【0028】
記憶部170は、不揮発性の記憶媒体であり、例えばSSD(Solid State Drive)によって構成される。記憶部170は、生成された読取ファイルを記憶する他にも、文書読取装置100の動作時に必要な定数、変数、設定値、CGデータ、文書読取プログラム等も記憶する。画像処理部180は、例えば専ら画像処理を実行するASICによって構成され、第1及び第2撮像部121,122から受け取った撮像信号に補間処理等の各種の画像処理を施し、あらかじめ定められたフォーマットに即した画像データを生成して制御部160へ引き渡す。
【0029】
前述した第1及び第2撮像部121,122、第1及び第2照明部131,132、第1及び第2表示部141,142、第1及び第2入力部151,152等は、制御部160と有線又は無線によって接続されている。第1及び第2撮像部121,122は、制御部160からの撮像要求に応じて撮像処理を実行し、その出力である撮像信号を制御部160へ返す。
【0030】
例えば、表示用の撮像信号を要求された場合には、第1撮像部121は、60fpsの周期で撮像処理を繰り返し、そのフレーム信号を撮像信号として制御部160へ逐次送信する。この場合、画像処理部180は、制御部160から引き渡されたフレーム信号から60fpsの画像データを生成し、その画像データは制御部160によって表示信号に変換されて、表示部140で60fpsの表示画像として表示される。
【0031】
第1及び第2照明部131,132は、制御部160からの照明指示に応じてDLPユニット等を発光させ、停止信号に応じてDLPユニット等の発光を停止する。載置台101は、制御部160からの遮光指示に応じて調光フィルムを不透明にし、透光指示に応じて調光フィルムを透明にする。例えば、調光フィルムに通電すると透明になり、通電しないと不透明になる。第1及び/又は第2表示部141,142は、制御部160が生成、変換した表示信号を受信し、視認可能なモニタ映像に変換して表示する。第1及び/又は第2入力部151,152は、ユーザの操作を操作信号に変換して制御部160へ送信する。
【0032】
制御部160は、実行する文書読取プログラムに応じて様々な機能制御部としての役割を担う。例えば、第1及び/又は第2表示部141,142に表示させるモニタ映像のための表示信号を生成する場合には表示制御部として機能する。制御部160は、本実施形態においては特に、認識部161、受付部162、ファイル生成部163として機能し得る。
【0033】
認識部161は、主に、画像処理部が生成した第1全体画像200A及び/又は第2全体画像200Bから、載置台101に載置された少なくとも一つの読取対象の各々の表面及び裏面の領域を認識する。受付部162は、主に、第1及び/又は第2入力部151,152と協働してユーザからファイル生成指示を受け付ける。ファイル生成部163は、主に、画像処理部180と協働して第1及び第2全体画像200A,200Bからの読取対象の各々の表面及び裏面の領域に対応する領域をそれぞれ切り出して複数の読取ファイルを生成する。
【0034】
次に、認識部161による領域の認識からファイル生成部163による読取ファイルの生成までを具体例を通じて説明する。
図5は、第1面101A側及び第2面101B側から見た載置台101に並べられた読取対象の一例を示す図である。図示した例では、載置台101の上に、第1から第3の読取対象がランダムに載置されている。前述した認識部161は、第1及び第2全体画像200A,200Bから読取対象の各々の表面及び裏面に対応する領域を自動的に認識する。
【0035】
図6は、第1及び第2全体画像200A,200Bから自動的に認識された読取対象の各々の表面及び裏面に対応する領域を示す図である。詳しく述べると、
図6の上図は、第1全体画像200Aから自動的に認識された
図5の上図に示された第1から第3の読取対象の各々の表面901A,902A,903Aに対応する領域201A,202A,203Aを示している。
図6の下図は、第2全体画像200Bから自動的に認識された
図5の下図に示された第1から第3の読取対象の各々の裏面901B,902B,903Bに対応する領域201B,202B,203Bを示している。
【0036】
認識部161は、第1及び第2全体画像200A,200Bから読取対象の各々の表面及び裏面の領域を認識するとき、例えば第1全体画像200A及び/又は第2全体画像200Bを所定の閾値で白黒画像化し、白黒の境界と矩形形状のマッチングに基づいて行うことができる。このような自動認識を採用することにより、文書が載置台101に対して斜めに載置されていても、領域を適切に認識することができる。すなわち、ユーザは、読取ファイルを生成したい文書を、向きを気にすることなく素早く載置台101に載置することができる。
【0037】
図6の下図に示された領域201B,202B,203Bは、白黒の境界と矩形形状のマッチングに基づいた自動認識に代えて、
図6の上図に示された領域201A,202A,203Aの位置情報に基づいて算出してもよい。同様に、
図6の上図に示された領域201A,202A,203Aは、
図6の下図に示された領域201B,202B,203Bの位置情報に基づいて算出してもよい。
【0038】
第1全体画像200Aにおいて、認識された領域201A,202A,203Aのそれぞれの外縁部分には、一定幅の縁取り枠である枠指標211A,212A,213Aが重畳されている。同様に、第2全体画像200Bにおいて、認識された領域201B,202B,203Bのそれぞれの外縁部分には、一定幅の縁取り枠である枠指標211B,212B,213Bが重畳されている。それぞれの指標枠はCGであり、例えば彩色により互いが区別される。本実施形態においては縁取り枠を採用するが、領域をユーザが視認できるのであれば、例えば四隅にL字状のポインタを配置するなど、いずれの態様であっても構わない。
【0039】
ユーザは、タッチパネル等の第1及び/又は第2入力部151,152を操作して指標枠に囲まれた領域から読取ファイルを生成したい対象、除外したい対象を選択できる。受付部162がユーザからのファイル生成指示を受け付けると、ファイル生成部163は、画像処理部180と協働して、第1及び第2全体画像200A,200Bから枠指標に対応する領域をそれぞれ切り出して読取ファイルを生成する。
【0040】
なお、このとき切出し対象とする第1及び第2全体画像200A,200Bの画像データは、第1及び/又は第2表示部141,142の表示に用いた画像データであってもよいし、改めて第1及び第2撮像部121,122に撮像させて取得する画像データであってもよい。改めて撮像部120に撮像させる場合には、表示部140へ表示させるための画像データよりも高解像度の画像データが取得できるように、高解像モードで撮像させてもよい。
【0041】
図7は、生成された読取ファイルのグループ化処理の一例を示す図である。ファイル生成部163は、枠指標211Aに囲まれた領域201Aから読取ファイル「docfile_01.pdf」を生成し、枠指標211Aに対応する枠指標211Bに囲まれた領域201Bから読取ファイル「docfile_02.pdf」を生成する。枠指標211A,211Bは、第1の読取対象の表面901A及び裏面901Bにそれぞれ対応している。
【0042】
同様に、ファイル生成部163は、枠指標212A,213Aに囲まれた領域202A,203Aから読取ファイル「docfile_03.pdf」,「docfile_05.pdf」をそれぞれ生成し、枠指標212A,213Aに対応する枠指標212B,213Bに囲まれた領域202B,203Bから読取ファイル「docfile_04.pdf」,「docfile_06.pdf」をそれぞれ生成する。
【0043】
ファイル生成部163は、同じ読取対象の表面及び裏面に対応する領域からそれぞれ切り出された表裏一対の読取ファイルをグループ化するグループ化処理を実行する。例えば、読取ファイル「docfile_01.pdf」と読取ファイル「docfile_02.pdf」とは、第1の読取対象の表面901A及び裏面901Bに対応する領域201A,201Bからそれぞれ切り出された表裏一対の読取ファイルである。
【0044】
ファイル生成部163は、これらの読取ファイル「docfile_01.pdf」,「docfile_02.pdf」が、互いに関連するファイルであることを認識できるように、生成した読取ファイルに対して何らかの関連付け処理を実行する。例えば、生成された表裏一対の複数の読取ファイルを一冊のPDFファイルにまとめて格納する。生成された表裏一対の読取ファイルをまとめて格納するためのフォルダを生成してもよい。
【0045】
次に、制御部160が実行する文書読取処理の処理手順について説明する。
図8は、制御部160の処理手順の一例を示すフロー図である。図示したフローは、ユーザによって読取対象が載置台101に載置された時点から開始する。
【0046】
制御部160は、ステップS101で、載置台101へ遮光信号を送信して調光フィルムを不透明な状態に切り替える。制御部160は、ステップS102で、第1撮像部121へ撮像要求信号を送信して撮像処理を実行させ、その出力である撮像信号を受け取り、画像処理部180に画像処理を行わせることにより第1全体画像200Aを取得する。
【0047】
認識部161は、ステップS103で、取得した第1全体画像200Aから載置台101に載置された少なくとも一つの読取対象の各々の領域を認識する。制御部160は、ステップS104で、認識部161が認識したそれぞれの領域に枠指標等を重畳した表示信号を生成し、第1及び/又は第2表示部141,142に視認可能なモニタ映像に変換させて表示させる。
【0048】
制御部160は、ステップS105で、載置台101へ透光信号を送信して調光フィルムを透明な状態に切り替える。制御部160は、ステップS106で、第2撮像部122へ撮像要求信号を送信して撮像処理を実行させ、その出力である撮像信号を受け取り、画像処理部180に画像処理を行わせることにより第2全体画像200Bを取得する。
【0049】
認識部161は、ステップS107で、取得した第2全体画像200Bから載置台101に載置された少なくとも一つの読取対象の各々の領域を認識する。制御部160は、ステップS108で、認識部161が認識したそれぞれの領域に枠指標等を重畳した表示信号を生成し、第1及び/又は第2表示部141,142に視認可能なモニタ映像に変換させて表示させる。
【0050】
受付部162は、ステップS109で、ユーザからファイル生成指示を受け付けたか否かを確認する。ファイル生成指示を受け付けた場合には、ステップS110へ進み、ファイル生成部163は、第1及び第2全体画像200A,200Bから枠指標に対応する領域をそれぞれ切り出して複数の読取ファイルを生成し、表裏一対の読取ファイルを関連付ける関連付け処理を行って、一連の処理を終了させる。
【0051】
なお、制御部160の処理手順は、図示した例に限定されない。例えば、手順の順番を入れ替えてステップS101~S104よりも先にステップS105~S108を実行してもよい。例えば、ステップS107に代えて、ステップS103で認識した第1全体画像200Aにおける領域の位置情報に基づいて第2全体画像200Bにおける読取対象の各々の領域を算出してもよい。本発明の文書読取プログラムは、例えば、文書読取装置100に
図8に示された文書読取方法を実行させる。
【0052】
以上のように構成された文書読取装置100によれば、第1撮像部121が読取対象を第1面101A側から撮像し、第2撮像部122が読取対象を第2面101B側から載置台101を透過して撮像するため、載置台101に載置した状態で読取対象の両面から記載を読み取ることができる。本の特定のページやステープラーで留められた文書であっても両面の記載を読み取ることができるし、様々なサイズの文書が混在していても両面の記載を読み取ることができるため、利便性が高い。
【0053】
載置台101が調光フィルムを備えているため、読取対象を第1面101A側から撮像するとき、第2面101B側に配置された反射鏡122M,132Mに第1照明部131から照射した光が反射される影響を排除することができる。第1照明部131には、偏光板131Pが設けられ、第1撮像部121には、偏光板131Pと偏光の方向が直交する偏光板121Pが設けられている。偏光板131Pを透過した光が載置台101の第1面101Aで正反射した光は、偏光板121Pに吸収されるため、第1から第3の読取対象の表面901A,902A,903Aの反射光から枠指標211A,212A,213Aを確定しやすい。
【0054】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0055】
例えば、第1照明部131に偏光板131Pを設け、第1撮像部121に偏光板121Pを設ける代わりに、一枚の円偏光板に光を往復通過させて遮光してもよい。例えば、第2照明部132及び第2撮像部122にも偏光板を設けてもよい。例えば、以上説明した本実施形態においては、複数の文書を読み取る場合について説明したが、もちろん文書読取装置100は、載置台101に単一の文書が載置された場合にも読取ファイルを生成することができる。
【符号の説明】
【0056】
100…文書読取装置、101…載置台、101A…第1面、101B…第2面、102…筐体、110…制御ユニット、121…第1撮像部、122…第2撮像部、122M…反射鏡、131…第1照明部、131M…反射鏡、131P…偏光板、132…第2照明部、132M…反射鏡、141…第1表示部、142…第2表示部、151…第1入力部、152…第2入力部、160…制御部、161…認識部、162…受付部、163…ファイル生成部、170…記憶部、180…画像処理部、200A…第1全体画像、200B…第2全体画像、201A,202A,203A…読取対象の表面に対応する領域、201B,202B,203B…読取対象の裏面に対応する領域、211A,211B,212A,212B,213A,213B…枠指標、901A,902A,903A…読取対象の表面、901B,902B,903B…読取対象の裏面。