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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094936
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】デフロスタ内装構造
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20240703BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20240703BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20240703BHJP
   B60S 1/54 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B60H1/34 651C
B60H1/34 651B
B60J5/00 501Z
B60R13/02 B
B60S1/54 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211865
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中島 悠
【テーマコード(参考)】
3D023
3D225
3L211
【Fターム(参考)】
3D023BB08
3D023BD03
3D023BD29
3D023BE24
3D225AA02
3D225AB01
3D225AC04
3D225AD04
3D225AD08
3D225AF20
3D225AF26
3L211BA42
3L211BA57
3L211DA16
3L211DA56
(57)【要約】
【課題】乗員から見えない位置に吹出し口を設けることで美観が向上するととともに、吹き出された風が阻害されることなくサイドガラスまで届けることができるデフロスタ内装構造を提供する。
【解決手段】デフロスタ内装構造は、車両1のドア20に設けられたサイドガラス2に向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出し口10を有する。ドア20は、サイドガラス2と、サイドガラス2の下方に設けられたドアパネル3と、を有する。デフロスタ吹出し口10は、インストルメントパネル4の側面4aとドアパネル3とが車幅方向にオーバーラップする位置に配置される。側面4aとドアパネル3とは、デフロスタ吹出し口10から吹き出された風がサイドガラス2に向かって流通する隙間Sを形成している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアに設けられたサイドガラスに向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出し口を備えたデフロスタ内装構造であって、
前記ドアは、前記サイドガラスと、前記サイドガラスの下方に設けられたドアパネルと、を有し、
前記デフロスタ吹出し口は、インストルメントパネルの側面と前記ドアパネルとが車幅方向にオーバーラップする位置に配置され、
前記側面と前記ドアパネルとは、前記デフロスタ吹出し口から吹き出された風が前記サイドガラスに向かって流通する隙間を形成していることを特徴とするデフロスタ内装構造。
【請求項2】
前記インストルメントパネルおよび前記ドアパネルのうち少なくとも一方は他方から離間するように湾曲した凹形状を有し、前記凹形状と他方の間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のデフロスタ内装構造。
【請求項3】
前記デフロスタ吹出し口は、前記サイドガラスの車両前端部より車両前方に配置され、前記車両前端部に向かって風を吹き出すことを特徴とする請求項1又は2に記載のデフロスタ内装構造。
【請求項4】
前記ドアパネルの上端部は、前記隙間から前記サイドガラスに向けて湾曲する湾曲部を有することを特徴とする請求項1に記載のデフロスタ内装構造。
【請求項5】
前記インストルメントパネルの側面は、
前記デフロスタ吹出し口から上方に向けて延在する上下面と、
前記上下面の上端部から車幅方向外側に向けて膨出する膨出部と、を有することを特徴とする請求項1又は4に記載のデフロスタ内装構造。
【請求項6】
前記インストルメントパネルの車幅方向両端部には、前記インストルメントパネル上方に突出するように配置され、車幅方向外側且つ車両後方に向けて傾斜する内装部材が設けられ、
前記膨出部は、前記内装部材であることを特徴とする請求項5に記載のデフロスタ内装構造。
【請求項7】
前記内装部材は、デジタルミラー用モニタを有することを特徴とする請求項6に記載のデフロスタ内装構造。
【請求項8】
前記隙間のうち少なくとも一部は、前記内装部材よりも車両前方向に延在していることを特徴とする請求項6に記載のデフロスタ内装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドガラスに付着した水蒸気や霜を取り除くためのデフロスタ内装構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には、サイドデフロスタの吹出し口をインストルメントパネルの側面に設け、そのデフロスタ吹出し口からサイドガラスに向けて空気を吹き付けることで、サイドガラスに付着した水蒸気や霜を取り除く方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のデフロスタ吹出し口を備えたデフロスタ構造は、車両のサイドガラスに向けて吹き出される空気を搬送するダクトと、ダクトの空気を吹き出す吹出し口とサイドガラスとの間で吹出し口における車両の後方側の一部の領域を除く領域に対応する位置に開口部が形成されたダッシュボードと、を有する。これにより、簡易な構造により、サイドガラスの曇り防止用の風を乗員に当たりにくくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-90146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のデフロスタ構造は、デフロスタ吹出し口が乗員から見えてしまうことから、美観が悪くなるという問題があった。このため、デフロスタ吹出し口からサイドガラスに向けて吹き出される風が阻害されることなく、美観を向上できるデフロスタ内装構造が求められていた。
【0006】
そこで本発明は、乗員から見えない位置に吹出し口を設けることで美観が向上するととともに、吹き出された風が阻害されることなくサイドガラスまで届けることができるデフロスタ内装構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るデフロスタ内装構造は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係るデフロスタ内装構造は、車両(例えば、実施形態の車両1)のドア(例えば、実施形態のドア20)に設けられたサイドガラス(例えば、実施形態のサイドガラス2)に向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出し口(例えば、実施形態のデフロスタ吹出し口10)を有するデフロスタ内装構造(例えば、実施形態のデフロスタ内装構造1A)であって、前記ドアは、前記サイドガラスと、前記サイドガラスの下方に設けられたドアパネル(例えば、実施形態のドアパネル3)と、を有し、前記デフロスタ吹出し口は、インストルメントパネル(例えば、実施形態のインストルメントパネル4)の側面(例えば、実施形態の側面4a)と前記ドアパネルとが車幅方向にオーバーラップする位置に配置され、前記側面と前記ドアパネルとは、前記デフロスタ吹出し口から吹き出された風が前記サイドガラスに向かって流通する隙間(例えば、実施形態の隙間S)を形成していることを特徴とする。
【0008】
上記の構成により、インストルメントパネルの側面に配置されるデフロスタ吹出し口から吹き出された風は、側面とドアパネルとの間に形成される隙間を流通してサイドガラスに吹き出される。このとき、デフロスタ吹出し口がドアパネルによって車幅方向に覆われて乗員から見て隠れたた状態で配置されている。そのため、デフロスタ吹出し口が乗員から見えない位置に設けられるため、美観が向上し、意匠性を向上させることができる。また、インストルメントパネルの側面とドアパネルとの間に隙間が形成されるため、デフロスタ吹出し口から吹き出された風が阻害されることなくサイドガラスまで届けることができる。
【0009】
前記インストルメントパネルおよび前記ドアパネルのうち少なくとも一方は他方から離間するように湾曲した凹形状を有し、前記凹形状と他方の間に隙間が形成されているようにしても良い。
【0010】
この場合、隙間が凹形状により形成されるため、一様に隙間が形成された場合と比較してインストルメントパネルの側面とドアパネルとの間の隙間を小さくすることができ、美観が向上する。また、この場合には、凹形状で隙間を形成するため、デフロスタ吹出し口から吹き出された風に指向性をもたせることができ、その風を確実にサイドガラスの狙った位置に吹き付けることができる。したがって、本構成を採用した場合には、サイドガラスの曇り防止性能をより高めることができる。
【0011】
前記デフロスタ吹出し口は、前記サイドガラスの車両前端部より車両前方に配置され、前記車両前端部に向かって風を吹き出すようにしても良い。
【0012】
この場合、デフロスタ吹出し口から吹き出された風をサイドガラスの車両前端部から後方に向けて当てることができる。このため、本構成を採用した場合には、サイドガラス全体に一様に風を当てることができ、曇りのムラが生じることを防止できる。
【0013】
前記ドアパネルの上端部は、前記隙間から前記サイドガラスに向けて湾曲する湾曲部(例えば、実施形態の湾曲部31)を有するようにしても良い。
【0014】
この場合、コアンダ効果によりドアパネルの上端部に有する湾曲部の湾曲面に沿って風が流れるため、サイドガラスの下端に風を当てることができる。したがって、本構成を採用した場合には、サイドガラス全体に風を当てることができる。
【0015】
前記インストルメントパネルの側面は、前記デフロスタ吹出し口から上方に向けて延在する上下面(例えば、実施形態の上下面41)と、前記上下面の上端部から車幅方向外側に向けて膨出する膨出部(例えば、実施形態の膨出部42)と、を有するようにしても良い。
【0016】
この場合、インストルメントパネルの膨出部とドアパネルの上端部との間に、デフロスタ吹出し口から吹き出される風がサイドガラスの下端に向かう流路が形成されることになる。このため、本構成を採用した場合には、膨出部によってサイドガラス下方に風を当てることができるので、サイドガラス全面に風を当てることが可能となる。
【0017】
前記インストルメントパネルの車幅方向両端部には、前記インストルメントパネル上方に突出するように配置され、車幅方向外側且つ車両後方に向けて傾斜する内装部材(例えば、実施形態のデジタルミラー用モニタ5)が設けられ、前記膨出部は、前記内装部材であるようにしても良い。
【0018】
この場合、上述した膨出部を別途内装部材で代用することも可能であり、インストルメントパネルに膨出部を形成する必要がなくなることから、美観が向上する。
【0019】
前記内装部材は、デジタルミラー用モニタ(例えば、実施形態のデジタルミラー用モニタ5)を有するようにしても良い。
【0020】
この場合、デジタルミラー用モニタをインストルメントパネル上方の見やすい位置に配置しつつ、デフロスタ吹出し口から吹き出される風をサイドガラス全面に当てながら乗員側に風が流れることを防止することができる。このため、本構成を採用した場合には、乗員の視認性を維持しながら、デフロスト性能を高めることができ、かつ乗員への不快感を低減させることができる。
【0021】
前記隙間のうち少なくとも一部は、前記内装部材よりも車両前方向に延在していても良い。
【0022】
この場合、隙間のうち膨出部よりも車両前方向に漏れ出る風を、内装部材の背面で窓側に向けて流すことができる。このため、本構成を採用した場合には、風がより窓に向かいやすくなるとともに乗員方向に風が送られてしまうことを防止でき、乗員への不快感を低減することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るデフロスタ内装構造は、乗員から見えない位置に吹出し口を設けることで美観が向上するととともに、吹き出された風が阻害されることなくサイドガラスまで届けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、第1実施形態の車両の車室内の前部を後斜め上方から見た図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う断面図であって、デフロスタ吹出し口から吹き出す空気の流れを示した図である。
図3図3は、ドアを車室内から見た側面図であって、デフロスタ吹出し口とサイドガラスとの位置関係を示す図である。
図4図4は、第1実施形態のデフロスタ内装構造におけるデフロスタ吹出し口から吹き出される風の分布状態を示す図であって、図2に対応する図である。
図5図5は、第1実施形態のデフロスタ内装構造におけるデフロスタ吹出し口から吹き出される風の分布状態を示す図であって、図3に対応する図である。
図6図6は、第2実施形態のデフロスタ吹出し口から吹き出す空気の流れを示した断面図であって、図2に対応する図である。
図7図7は、第3実施形態の車両の車室内の前部を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態では、共通部分に同一符号が付されている。
また、以下の説明において、前後や上下、左右については、特別に断らない限り、前進方向を向く車両についての前後や上下、左右を意味するものとする。図面の適所には、車両の上方を指す矢印UPと、車両の前方を指す矢印FRと、車両の左側方を指す矢印LHが記されている。
【0026】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の車両1の車室内の前部を後斜め上方から見た図である。図2は、図1のII-II線に沿う断面図であって、デフロスタ吹出し口10から吹き出す空気Eの流れを示した図である。また、図3は、ドア20を車室内から見た側面図であって、デフロスタ吹出し口10とサイドガラス2との位置関係を示す図である。
図1において、符号20は、車両1のドアであり、符号2は、車両1のドア20に設けられたサイドガラスであり、符号3は、ドア20におけるサイドガラス2の下方に設けられたドアパネルである。また、符号4は、前席の前方に対峙して配置されるインストルメントパネルである。
【0027】
本実施形態の車両1は、車両の前進方向に向かって運転席が右側に配置されている。車両1のデフロスタ内装構造1Aは、サイドガラス2に向けて空気Eを吹き出すデフロスタ吹出し口10を有する。
【0028】
図1図3に示すように、サイドガラス2は、ドアパネル3の車幅方向の略中央位置に配置されている。ドアパネル3の車両前部分3bには、ドア20が閉じた状態においてインストルメントパネル4の側面4aがオーバーラップしている。
【0029】
ドアパネル3の上端部3cは、インストルメントパネル4の上面4bより高い位置となっている。ドアパネル3の上端部3cは、車室内の後方から見て車幅方向内側の内側面3a(後述する隙間S)からサイドガラス2に向けて湾曲する湾曲部31を有する。ここで、湾曲部31における湾曲とは、空気Eが剥離しない程度の曲率で湾曲しているものである。
【0030】
デフロスタ吹出し口10は、不図示の空調ユニットから送り出された空気Eをサイドガラス2に向けて車内側から吹き出すものであり、デフロスタ内装構造1Aの一部を構成している。デフロスタ吹出し口10は、接続ダクト(図示省略)によって上記の空調ユニットに接続されている。空調ユニットは、例えば図示しない室内熱交換器(エバポレータ及びヒータ)とブロアを内蔵して構成されている。すなわち、デフロスタ吹出し口10は、空調ユニットのブロアから吹き出される空調空気を、接続ダクトを通じてインストルメントパネル4の外方に吹き出す。
【0031】
デフロスタ吹出し口10は、インストルメントパネル4の左右両側それぞれの側面4aに設けられている。デフロスタ吹出し口10の形状は、例えば、円形、楕円形、矩形等、適宜な形状に形成することができる。
【0032】
デフロスタ吹出し口10は、側面4aのうち車両後方寄りの位置で、インストルメントパネル4の側面4aとドアパネル3とが車幅方向にオーバーラップする位置に配置されている。デフロスタ吹出し口10の少なくとも一部は、サイドガラス2の車両前端部2aより車両前方に配置され、そのサイドガラス2の車両前端部2aに向かって風(空気E)を吹き出す。具体的にデフロスタ吹出し口10の前後方向の中心C1は、図3において、前後方向でサイドガラス2の車両前端部2aの位置にほぼ一致している。つまり、デフロスタ吹出し口10は、車両前側半分がサイドガラス2の車両前端部2aよりも前方に位置し、車両後側半分が車幅方向でドアパネル3に対向している。また、デフロスタ吹出し口10は、インストルメントパネル4の側面4aにおいて、インストルメントパネル4の上面4b寄りの高さに配置されていることが好ましい。
【0033】
インストルメントパネル4の側面4aとドアパネル3とは、デフロスタ吹出し口10から吹き出された風(空気E)がサイドガラス2に向かって流通するための車幅方向の隙間Sを形成している。隙間Sの幅は、下方に向かうに従い漸次、縮小するように形成され、車両前後方向の全体にわたって一様に形成されている。デフロスタ吹出し口10から隙間Sに吹き出される風(空気E)は、隙間Sを上方側に流れ、隙間Sを出た風がサイドガラス2側に向きを変え、ドアパネル3の湾曲部31に沿って流れてサイドガラス2の下方に達する。
【0034】
図4は、実施形態のデフロスタ内装構造1Aにおけるデフロスタ吹出し口10から吹き出される風の分布状態を示す図であって、図2に対応する図である。なお、図4では、符号K1で示す領域(色が異なっている領域)で風の流れが生じている。
図4に示すように、デフロスタ吹出し口10から吹き出される風(空気E)が隙間Sを通過し、湾曲部31に沿ってサイドガラス2の下方に届いている。
【0035】
図5は、実施形態のデフロスタ内装構造1Aにおけるデフロスタ吹出し口10から吹き出される風の分布状態を示す図であって、図3に対応する図である。なお、図5では、符号K2で示す領域(色が異なっている領域)で風の流れが生じている。
図5に示すように、デフロスタ吹出し口10から吹き出される風(空気E)がサイドガラス2の車両前端部2aから後方に向けて当てられている。
【0036】
<第1実施形態の効果>
本実施形態のデフロスタ内装構造1Aは、インストルメントパネル4の側面4aに配置されるデフロスタ吹出し口10から吹き出された風(空気E)は、側面4aとドアパネル3との間に形成される隙間Sを流通してサイドガラス2に吹き出される。このとき、デフロスタ吹出し口10がドアパネル3によって車幅方向に覆われて乗員から見て隠れたた状態で配置されている。そのため、デフロスタ吹出し口10が乗員から見えない位置に設けられるため、美観が向上し、意匠性を向上させることができる。
また、本実施形態では、インストルメントパネル4の側面4aとドアパネル3との間に隙間Sが形成されるため、デフロスタ吹出し口10から吹き出された風が阻害されることなくサイドガラス2まで届けることができる。
【0037】
また、本実施形態のデフロスタ内装構造1Aは、デフロスタ吹出し口10がサイドガラス2の車両前端部2aより車両前方に配置され、車両前端部2aに向かって風(空気E)を吹き出す。このため、デフロスタ吹出し口10から吹き出された風をサイドガラス2の車両前端部2aから後方に向けて当てることができる。したがって、本構成を採用した場合には、サイドガラス2全体に一様に風を当てることができ、曇りのムラが生じることを防止できる。
【0038】
また、本実施形態のデフロスタ内装構造1Aは、ドアパネル3の上端部3cが隙間Sからサイドガラス2に向けて湾曲する湾曲部31を有する。このため、コアンダ効果によりドアパネル3の上端部3cに有する湾曲部31の湾曲面に沿って風(空気E)が流れるため、サイドガラス2の下端に風を当てることができる。したがって、本構成を採用した場合には、サイドガラス2全体に風を当てることができる。
【0039】
<第2実施形態>
図6は、本実施形態のデフロスタ吹出し口10から吹き出す空気Eの流れを示した断面図であって、図2に対応する図である。
本実施形態のデフロスタ内装構造1Bは、基本的な構成は第1実施形態のデフロスタ内装構造1A(図1図3参照)とほぼ同様とされているが、インストルメントパネル4の側面4aの形状が第1実施形態のものと異なっている。即ち、本実施形態のインストルメントパネル4の側面4aは、デフロスタ吹出し口10から上方に向けて延在する上下面41と、上下面41の上端部から車幅方向外側に向けて膨出する膨出部42と、を有する。
【0040】
第2実施形態のドア20のドアパネル3は、第1実施形態と同様にドアパネル3の上端部3cが車室内の後方から見て車幅方向内側の内側面3a(後述する隙間S)からサイドガラス2に向けて湾曲する湾曲部31を有している。そして、インストルメントパネル4の上面4bは、ドアパネル3の上端部3cよりも高い位置となっている。膨出部42は、湾曲部31よりも高い位置に配置される。膨出部42のサイドガラス2を向く膨出先端42aは、湾曲部31の上方に位置している。上下面41の膨出部42に連設する接続部41aは、湾曲部31の曲面と略同等の曲面となるように滑らかに湾曲している。すなわち、隙間Sは、上下面41とドアパネル3の内側面3aとの間で略上下方向に延び、さらに湾曲部31と膨出部42との間で車幅方向外側に湾曲している。
【0041】
<第2実施形態の効果>
本実施形態のデフロスタ内装構造1Bは、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
ただし、本実施形態のデフロスタ吹出し口を10有するデフロスタ内装構造1Bは、インストルメントパネル4に上下面41と膨出部42とを有するので、インストルメントパネル4の膨出部42とドアパネル3の上端部3cとの間に、デフロスタ吹出し口10から吹き出される風(空気E)がサイドガラス2の下端に向かう流路が形成されることになる。このため、本構成を採用した場合には、膨出部42によってサイドガラス2下方に風を当てることができるので、サイドガラス2全面に風を当てることが可能となる。
【0042】
<第3実施形態>
図7は、本実施形態の車両の車室内の前部を上方から見た図である。
本実施形態のデフロスタ内装構造1Cは、基本的な構成は第2実施形態のデフロスタ内装構造1B(図6参照)とほぼ同様とされているが、インストルメントパネル4の側面4aに設けられる膨出部42(図6参照)に代えてデジタルミラー用モニタ5(内装部材、膨出部)を設けた構成となっている。即ち、本実施形態のインストルメントパネル4の車幅方向両端部には、インストルメントパネル4の上方に突出するように配置されるデジタルミラー用モニタ5が設けられている。
【0043】
デジタルミラー用モニタ5は、インストルメントパネル4の上方の車幅方向中央で運転席の前方に配置される正面ディスプレイ50の左右両側に連設して配置され、車幅方向の両外側且つ車両後方に向けて傾斜している。デジタルミラー用モニタ5の車幅方向の外側端部5aは、上方から見てインストルメントパネル4の側面4aとドアパネル3との間の隙間Sの上方側にオーバーラップする位置まで膨出した状態で張り出している。そして、隙間Sのうち少なくとも一部は、デジタルミラー用モニタ5よりも車両前方向に延在している。
【0044】
<第3実施形態の効果>
本実施形態のデフロスタ内装構造1Cは、基本的な構成は第2実施形態と同様であるため、上述した第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
ただし、本実施形態のデフロスタ内装構造1Cは、インストルメントパネル4の車幅方向両端部に、インストルメントパネル4上方に突出するように配置され、車幅方向外側且つ車両後方に向けて傾斜するデジタルミラー用モニタ5が設けられ、上述した第2実施形態の膨出部42をデジタルミラー用モニタ5によって代用したものである。したがって、本構成を採用した場合には、インストルメントパネル4に上記膨出部42を形成する必要がなくなることから、美観が向上する。
【0045】
また、本実施形態のデフロスタ内装構造1Cは、内装部材がデジタルミラー用モニタ5を有するため、デジタルミラー用モニタ5をインストルメントパネル4上方の見やすい位置に配置しつつ、デフロスタ吹出し口10から吹き出される風(空気E)をサイドガラス2全面に当てながら乗員側に風が流れることを防止することができる。このため、本構成を採用した場合には、乗員の視認性を維持しながら、デフロスト性能を高めることができ、かつ乗員への不快感を低減させることができる。
【0046】
また、本実施形態のデフロスタ内装構造1Cは、隙間Sのうち少なくとも一部がデジタルミラー用モニタ5よりも車両前方向に延在している。このため、隙間Sのうちデジタルミラー用モニタ5よりも車両前方向に漏れ出る風を、デジタルミラー用モニタ5の背面5bで窓側に向けて流すことができる。したがって、本構成を採用した場合には、風がより窓に向かいやすくなるとともに乗員方向に風が送られてしまうことを防止でき、乗員への不快感を低減することができる。
【0047】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、インストルメントパネル4の側面4aおよびドアパネル3の内側面3aが略平面状に形成され、側面4aとドアパネル3との間に隙間Sが形成された構成となっているが、インストルメントパネル4およびドアパネル3のうち少なくとも一方が他方から離間するように湾曲した凹形状を有し、凹形状と他方の間に隙間が形成される構成であっても良い。
この場合、隙間が凹形状により形成されるため、一様に隙間が形成された場合と比較してインストルメントパネルの側面とドアパネルとの間の隙間を小さくすることができ、美観が向上する。また、この場合には、凹形状で隙間を形成するため、デフロスタ吹出し口から吹き出された風に指向性をもたせることができ、その風を確実にサイドガラスの狙った位置に吹き付けることができる。したがって、本構成を採用した場合には、サイドガラスの曇り防止性能をより高めることができる。
【0048】
また、上記の実施形態では、デフロスタ吹出し口10の一部がサイドガラス2の車両前端部2aより車両前方に配置され、車両前端部2aに向かって風を吹き出す構成としているが、このような配置であることに限定されることはない。例えば、デフロスタ吹出し口10の全体がサイドガラス2の車両前端部2aより車両前方に配置されていてもよいし、サイドガラス2の車両前端部2aより車両後方に配置されていてもよい。
【0049】
また、上記の実施形態では、ドアパネル3の上端部3cが隙間Sからサイドガラス2に向けて湾曲する湾曲部31を有する構成としているが、ドアパネル3の上端部3cが湾曲部31であることに限定されることはない。
【0050】
また、インストルメントパネル4の膨出部として、上記の第2実施形態ではインストルメントパネル4の側面4aの上端に形成される膨出部42が採用され、第3実施形態ではインストルメントパネル4の上面4bに設けられるデジタルミラー用モニタ5が採用されているが、これらに限定されることはない。また、デジタルミラー用モニタ5は内装部材の一例であって、他の内装部材を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…車両
1A、1B、1C…デフロスタ内装構造
2…サイドガラス
3…ドアパネル
4…インストルメントパネル
4a…側面
5…デジタルミラー用モニタ(内装部材、膨出部)
10…デフロスタ吹出し口
20…ドア
31…湾曲部
41…上下面
42…膨出部
E…空気(風)
S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7