(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094958
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】絶縁支持部品及びガス絶縁開閉装置
(51)【国際特許分類】
H02B 13/035 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
H02B13/035 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211897
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和弘
(72)【発明者】
【氏名】額賀 淳
(72)【発明者】
【氏名】菅井 大介
【テーマコード(参考)】
5G017
【Fターム(参考)】
5G017AA21
5G017CC03
5G017HH04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】装置を大形化せず低コストで絶縁性能を向上させる。
【解決手段】第1の絶縁体1の一方に埋設された第1の埋込金具3と、第1の埋込金具に接続された導体2と、少なくとも第1の絶縁体と導体とで囲まれた空間に配置された第2の絶縁体6とを有する。前記第2の絶縁体の比誘電率は、前記第1の絶縁体の比誘電率より小さいことを特徴とする
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁体と、
前記第1の絶縁体の一方に埋設された第1の埋込金具と、
前記第1の埋込金具に接続された導体と、
少なくとも前記第1の絶縁体と前記導体とで囲まれた空間に配置された第2の絶縁体と、
を有することを特徴とする絶縁支持部品。
【請求項2】
請求項1に記載された絶縁支持部品において、
前記第2の絶縁体の比誘電率は、前記第1の絶縁体の比誘電率より小さいことを特徴とする絶縁支持部品。
【請求項3】
請求項1に記載された絶縁支持部品において、
前記第2の絶縁体は、可撓性を有することを特徴とする絶縁支持部品。
【請求項4】
請求項1に記載された絶縁支持部品において、
前記第1の埋込金具は、一部が前記第1の絶縁体から露出し、
前記第2の絶縁体は、
前記第1の絶縁体と前記第1の埋込金具と前記導体とで囲まれた空間に配置されていることを特徴とする絶縁支持部品。
【請求項5】
請求項4に記載された絶縁支持部品において、
前記第2の絶縁体は、
前記第1の絶縁体と前記第1の埋込金具と前記導体により圧接されていることを特徴とする絶縁支持部品。
【請求項6】
請求項4に記載された絶縁支持部品において、
前記第1の絶縁体の他方に埋設され、一部が第1の絶縁体から露出した第2の埋込金具と、
前記第2の埋込金具に接続された接地タンクと、
前記第1の絶縁体と前記第2の埋込金具と前記接地タンクとで囲まれた空間に配置された第3の絶縁体と、
を更に有することを特徴とする絶縁支持部品。
【請求項7】
請求項1に記載された絶縁支持部品において、
前記第2の絶縁体は、
前記第1の絶縁体と前記導体とで囲まれた空間に配置されていることを特徴とする絶縁支持部品。
【請求項8】
請求項7に記載された絶縁支持部品において、
前記第1の絶縁体の一方には、第1の突起部が設けられており、
前記第1の絶縁体は、前記第1の突起部を介して前記導体に接しており、
前記第2の絶縁体は、前記第1の突起部に隣接して配置されていることを特徴とする絶縁支持部品。
【請求項9】
請求項8に記載された絶縁支持部品において、
前記第1の絶縁体の他方に埋設された第2の埋込金具と、
前記第2の埋込金具に接続された接地タンクと、
前記第1の絶縁体と前記接地タンクとで囲まれた空間に配置された第3の絶縁体と、
前記第1の絶縁体の他方に設けられた第2の突起部と、を更に有し、
前記第1の絶縁体は、前記第2の突起部を介して前記接地タンクに接しており、
前記第3の絶縁体は、前記第2の突起部に隣接して配置されていることを特徴とする絶縁支持部品。
【請求項10】
請求項1に記載された絶縁支持部品を有することを特徴とするガス絶縁開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁支持部品及びガス絶縁開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野における背景技術として、特開2000-294090号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、「母線側導体または負荷側導体の一方に繋がる固定電極及び他方に繋がる可動電極を接離する主回路開閉部と、前記負荷側導体または接地用導体の一方に繋がる固定電極及び他方に繋がる可動電極を接離する接地開閉部とを収納し、接地電位から電気的に絶縁されるべき真空容器を備えることを特徴とするスイッチギヤ」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているスイッチギヤにおいて、高電圧の導体を支持している絶縁ロッドは、高電圧導体と絶縁物とその周囲雰囲気ガスの境界点となる三重点が絶縁の弱点となるため、三重点の電界緩和を目的に金属製のシールドが配置されている。
【0005】
金属製のシールドは絶縁物沿面方向に突き出た構造であり、ブロック素材からの削り出し、もしくは薄板素材からの金型プレス等で加工することが一般的であるが、いずれも製作コストが高い。更に、金属製のシールドの使用により装置が大形化してしまう。
【0006】
本発明の目的は、絶縁支持部品において、装置を大形化せず低コストで絶縁性能を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の絶縁支持部品は、第1の絶縁体と、前記第1の絶縁体の一方に埋設された第1の埋込金具と、前記第1の埋込金具に接続された導体と、少なくとも前記第1の絶縁体と前記導体とで囲まれた空間に配置された第2の絶縁体とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、絶縁支持部品において、装置を大形化せず低コストで絶縁性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】実施例1の絶縁支持部品を説明する側断面図である。
【
図1B】実施例1の絶縁支持部品を説明する図であり、
図1AのA-A断面図である。
【
図2】実施例2の絶縁支持部品を説明する図である。
【
図3】実施例3の絶縁支持部品を説明する図である。
【
図4】実施例4の絶縁支持部品を説明する図である。
【
図5】ガス絶縁開閉装置(電磁操作式開閉装置)の全体構成を示す図である。
【
図6】3つの三重点を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のガス絶縁開閉装置(電磁操作式開閉装置)の実施例について、図面を用いて説明する。なお、各実施例において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例0011】
最初に、
図5を参照して、本発明のガス絶縁開閉装置(電磁操作式開閉装置)の全体構成について説明する。
【0012】
図5に示すように、ガス絶縁開閉装置(電磁操作式開閉装置)500は、ガスタンク510と絶縁支持部品50を有する。そして、絶縁支持部品50は、高電圧の導体2及び接地タンク5を備える。
【0013】
【0014】
絶縁支持部品50は、六フッ化硫黄や乾燥空気などの絶縁ガスが充電された接地タンク5内の高電圧の導体2を接地タンク5と電気的に絶縁して固定支持する部品である。絶縁支持部品50は、エポキシ樹脂などの絶縁材で形成された第1の絶縁体1と、第1の絶縁体1の一方に埋設され高電圧の導体2と接続する第1の埋込金具3と、第1の絶縁体1の他方に埋設され接地タンク5に接続する第2の埋込金具4で構成される。
【0015】
高電圧の導体2は、概円柱状、または板形状の金属であり、材質はアルミニウムや銅など通電に適した材料が使用されている。また、第1の埋込金具3は、第1の絶縁体1から一部が露出して埋設されているため、高電圧の導体2が接続されると第1の埋込金具3は導体2と同じ電位になる。
【0016】
また、第2の埋込金具4は、第1の埋込金具3とは反対側に一部が露出して埋設されているため、接地タンク5と接続されると第2の埋込金具4は接地タンク5と同じ接地電位になる。
【0017】
ここで、第1の絶縁体1と第1の埋込金具3と絶縁ガスの境界点は電界の特異点であり絶縁性能の弱点となる。第1の埋込金具3と同電位の電界緩和シールドを三重点周囲に配置にて三重点の電界を緩和することで所定の絶縁性能を確保できるが、シールドの製作費が高いことが課題となっている。
【0018】
実施例1における絶縁支持部品50は、第1の絶縁体1と第1の埋込金具3と導体2で囲まれた空間に第2の絶縁体6が配置されている。具体的には、第2の絶縁体6は、第1の絶縁体1と第1の埋込金具3と導体2に隣接して配置されている。第2の絶縁体6の比誘電率は、第1の絶縁体1より小さい。また、第2の絶縁体6はOリングのような可撓性を有するものでもよい。
【0019】
このような第2の絶縁体6を設けた絶縁支持部品50は、絶縁性能に影響する第1の絶縁体1と第1の埋込金具3と絶縁ガスからなる三重点(
図6に示す60(三重点1)、61(三重点2)、62(三重点3))が外側にシフト(
図6の実線参照)し、電界が緩和されるため絶縁性能を向上することができる。
実施例1と同様な部分については説明を省略する。本実施例2における絶縁支持部品50は、接地タンク5と第2の埋込金具4と第1の絶縁体1に隣接するように第3の絶縁体7が配置されている。このように構成される絶縁支持部品50は、接地タンク側の絶縁性能も向上するため、実施例1よりも高い絶縁性能を有することができる。