IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-光合波器及び可視光光源モジュール 図1
  • 特開-光合波器及び可視光光源モジュール 図2
  • 特開-光合波器及び可視光光源モジュール 図3
  • 特開-光合波器及び可視光光源モジュール 図4
  • 特開-光合波器及び可視光光源モジュール 図5
  • 特開-光合波器及び可視光光源モジュール 図6
  • 特開-光合波器及び可視光光源モジュール 図7
  • 特開-光合波器及び可視光光源モジュール 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094959
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】光合波器及び可視光光源モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20240703BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240703BHJP
   G02F 1/035 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G02B6/12 331
G02B6/42
G02F1/035
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211898
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 靖博
(72)【発明者】
【氏名】原 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】志村 淳
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 肇
(72)【発明者】
【氏名】吉成 次郎
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H137AB11
2H137BA44
2H137BA48
2H137BA51
2H137BA53
2H137BA54
2H137BB02
2H137BB14
2H137BB17
2H137BB25
2H137EA04
2H137EA05
2H137EA11
2H147AB17
2H147BA01
2H147BA05
2H147BA11
2H147BE01
2H147BE12
2H147BE22
2H147CB03
2H147CD04
2H147EA05A
2H147EA13C
2H147EA15C
2H147FA01
2H147FA02
2H147FA20
2H147FC01
2K102AA21
2K102BA01
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD08
2K102CA20
2K102DA05
2K102DB04
2K102DC08
2K102DD05
2K102EA17
2K102EA25
2K102EB20
2K102EB22
2K102EB29
(57)【要約】
【課題】ニオブ酸リチウム膜を用いた光変調器と接続可能あるいは集積可能であって、RGBのカラーバランスを調整可能な光合波器を提供することである。
【解決手段】本発明の光合波器100はマルチモード干渉型光合波部50を備え、第1マルチモード干渉型光合波部50-1は第1光入力側光導波路21-1と第1モニター光出力側光導波路22-1と第1連結光導波路21-12とに接続され、第2マルチモード干渉型光合波部50-2は第2光入力側光導波路21-2と第1連結光導波路21-12と第2モニター光出力側光導波路22-2と第2連結光導波路21-23とに接続され、第3マルチモード干渉型光合波部50-3は第3光入力側光導波路21-3と第2連結光導波路21-23と第3モニター光出力側光導波路22-3と光出力口接続光導波路23とに接続され、光導波路22-1~21-3はいずれの光導波路とも交差しない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長の異なる複数の可視光を合波する光合波器であって、4つの側面を有し、
前記光合波器の第1側面に配置し、各可視光を出射する複数個の可視光レーザー光源から出力された可視光をそれぞれ入射可能な複数個の光入射口と、
前記光合波器の第2側面に配置し、前記複数個の可視光レーザー光源から出力された可視光の出力をモニタリングする少なくとも1個のフォトディテクターへ出射可能な複数個のモニター光出射口と、
前記光合波器の第3側面に配置し、前記複数個の可視光レーザー光源から出力された可視光がすべて合波されて出射可能な1個の光出力口と、
複数個のマルチモード干渉型光合波部と、を備え、
前記複数個のマルチモード干渉型光合波部のうち、
第1マルチモード干渉型光合波部は1入力2出力で使用可能であって、光入力側に、前記複数個の光入射口のうちの第1光入射口に接続する第1光入力側光導波路に接続され、かつ、光出力側に、前記複数個のモニター光出射口のうちの第1モニター光出射口に接続する第1モニター光出力側光導波路と、第2マルチモード干渉型光合波部の光入力側に接続する第1連結光導波路とに接続されており、
第2マルチモード干渉型光合波部は2入力2出力で使用可能であって、光入力側に、前記複数個の光入射口のうちの第2光入射口に接続する第2光入力側光導波路と、前記第1連結光導波路とに接続され、かつ、光出力側に、前記複数個のモニター光出射口のうちの第2モニター光出射口に接続する第2モニター光出力側光導波路と、第3マルチモード干渉型光合波部の光入力側に接続する第2連結光導波路とに接続されており、
第3マルチモード干渉型光合波部は2入力2出力で使用可能であって、光入力側に、前記複数個の光入射口のうちの第3光入射口に接続する第3光入力側光導波路と、前記第2連結光導波路とに接続され、かつ、光出力側に、前記複数個のモニター光出射口のうちの第3モニター光出射口に接続する第3モニター光出力側光導波路と、前記光出力口に接続する光出力口接続光導波路とに接続されており、
前記第1モニター光出力側光導波路、前記第2モニター光出力側光導波路及び前記第3モニター光出力側光導波路はいずれの光導波路とも交差しない、光合波器。
【請求項2】
ニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板と、
前記基板の主面に形成され、ニオブ酸リチウムからなる光合波機能層と、を備え、
前記光入射口、前記モニター光出射口、前記光出力口、前記マルチモード干渉型光合波部、前記第1光入力側光導波路、前記第2光入力側光導波路、前記第3光入力側光導波路、前記第1モニター光出力側光導波路、前記第2モニター光出力側光導波路、前記第3モニター光出力側光導波路、前記第1連結光導波路、前記第2連結光導波路、及び、前記光出力口接続光導波路が前記光合波機能層に形成されている、請求項1に記載の光合波器。
【請求項3】
前記マルチモード干渉型光合波部の数が3個である、請求項1又は2に記載の光合波器。
【請求項4】
前記複数個のマルチモード干渉型光合波部のうち、少なくとも一つのマルチモード干渉型光合波部は光の進行方向に対して垂直方向に切った断面が台形形状である、請求項1又は2に記載の光合波器。
【請求項5】
前記台形形状の傾斜角度が40°~85°である、請求項4に記載の光合波器。
【請求項6】
前記台形形状の断面を有するマルチモード干渉型光合波部が基板側にスラブ部を有する、請求項4に記載の光合波器。
【請求項7】
前記第1光入力側光導波路、前記第2光入力側光導波路、前記第3光入力側光導波路、前記第1モニター光出力側光導波路、前記第2モニター光出力側光導波路、前記第3モニター光出力側光導波路、前記第1連結光導波路、前記第2連結光導波路、及び、前記光出力口接続光導波路の少なくとも一部にスラブ部が設けられている、請求項1又は2に記載の光合波器。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の光合波器と、前記光合波器で合波する可視光を出射する複数の可視光レーザー光源とを備える、可視光光源モジュール。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の光合波器と、前記光合波器に接続され、複数の可視光レーザー光源から出射された複数の可視光を前記光合波器に導波するマッハツェンダー型光変調器と、を備える、光変調機能付き光合波器。
【請求項10】
請求項9に記載の光変調機能付き光合波器と、前記光変調機能付き光合波器で合波する可視光を出射する複数の可視光レーザー光源とを備える、可視光光源モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合波器及び可視光光源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
AR(Augmented Reality:拡張現実)グラス、VR(Virtual Reality:仮想現実)グラス等のXRグラスは小型のウェアラブルデバイスとして期待されている。ARグラス、VRグラスのようなウェアラブルデバイスにおいては通常の眼鏡型のサイズに各機能が収まるように小型化されることが普及に対するカギとなっている。
【0003】
特許文献1には、マッハツェンダー型光変調器を用いた網膜投影型ディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6728596号公報
【特許文献2】特開2012-48071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている網膜投影型ディスプレイでは、出射部において複数の光導波路が近接されているが、合波はされていないため、波長毎の光軸が異なり、出射光の制御が複雑となる。
【0006】
また、可視光変調器と接続可能あるいは集積可能で、RGBのカラーバランスを調整可能な光合波器が求められているが、現状では全く検討されていない。
【0007】
RGBのカラーバランスを調整するには、入射光の一部をRGB各色分岐し、分岐した光をモニタリング光とし、モニタリング光の光強度に応じてカラーバランスを調整する手法が考えられる。例えば、特許文献2ではMMI(マルチモード干渉型光合波器)を用いたRGB合波器の構成が開示されているが、カラーバランスを調整する構成については開示も示唆もされていない。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ニオブ酸リチウム膜を用いた光変調器と接続可能あるいは集積可能であって、RGBのカラーバランスを調整可能な光合波器及び可視光光源モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
【0010】
本発明の態様1は、波長の異なる複数の可視光を合波する光合波器であって、4つの側面を有し、前記光合波器の第1側面に配置し、各可視光を出射する複数個の可視光レーザー光源から出力された可視光をそれぞれ入射可能な複数個の光入射口と、前記光合波器の第2側面に配置し、前記複数個の可視光レーザー光源から出力された可視光の出力をモニタリングする少なくとも1個のフォトディテクタへ出射可能な複数個のモニター光出射口と、前記光合波器の第3側面に配置し、前記複数個の可視光レーザー光源から出力された可視光がすべて合波されて出射可能な1個の光出力口と、複数個のマルチモード干渉型光合波部と、を備え、前記複数個のマルチモード干渉型光合波部のうち、第1マルチモード干渉型光合波部は1入力2出力で使用可能であって、光入力側に、前記複数個の光入射口のうちの第1光入射口に接続する第1光入力側光導波路に接続され、かつ、光出力側に、前記複数個のモニター光出射口のうちの第1モニター光出射口に接続する第1モニター光出力側光導波路と、第2マルチモード干渉型光合波部の光入力側に接続する第1連結光導波路とに接続されており、第2マルチモード干渉型光合波部は2入力2出力で使用可能であって、光入力側に、前記複数個の光入射口のうちの第2光入射口に接続する第2光入力側光導波路と、前記第1連結光導波路とに接続され、かつ、光出力側に、前記複数個のモニター光出射口のうちの第2モニター光出射口に接続する第2モニター光出力側光導波路と、第3マルチモード干渉型光合波部の光入力側に接続する第2連結光導波路とに接続されており、第3マルチモード干渉型光合波部は2入力2出力で使用可能であって、光入力側に、前記複数個の光入射口のうちの第3光入射口に接続する第3光入力側光導波路と、前記第2連結光導波路とに接続され、かつ、光出力側に、前記複数個のモニター光出射口のうちの第3モニター光出射口に接続する第3モニター光出力側光導波路と、前記光出力口に接続する光出力口接続光導波路とに接続されており、前記第1モニター光出力側光導波路、前記第2モニター光出力側光導波路及び前記第3モニター光出力側光導波路はいずれの光導波路とも交差しない、光合波器である。
【0011】
本発明の態様2は、態様1の光合波器において、ニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板と、前記基板の主面に形成され、ニオブ酸リチウムからなる光合波機能層と、を備え、前記光入射口、前記モニター光出射口、前記光出力口、前記マルチモード干渉型光合波部、前記第1光入力側光導波路、前記第2光入力側光導波路、前記第3光入力側光導波路、前記第1モニター光出力側光導波路、前記第2モニター光出力側光導波路、前記第3モニター光出力側光導波路、前記第1連結光導波路、前記第2連結光導波路、及び、前記光出力口接続光導波路が前記光合波機能層に形成されている。
【0012】
本発明の態様3は、態様1又は2の光合波器において、前記マルチモード干渉型光合波部の数が3個である。
【0013】
本発明の態様4は、態様1~3のいずれか一つの光合波器において、前記複数個のマルチモード干渉型光合波部のうち、少なくとも一つのマルチモード干渉型光合波部は光の進行方向に対して垂直方向に切った断面が台形形状である。
【0014】
本発明の態様5は、態様4の光合波器において、前記台形形状の傾斜角度が40°~85°である。
【0015】
本発明の態様6は、態様4又は5の光合波器において、前記台形形状の断面を有するマルチモード干渉型光合波部が基板側にスラブ部を有する。
【0016】
本発明の態様7は、態様1~6のいずれか一つの光合波器において、前記第1光入力側光導波路、前記第2光入力側光導波路、前記第3光入力側光導波路、前記第1モニター光出力側光導波路、前記第2モニター光出力側光導波路、前記第3モニター光出力側光導波路、前記第1連結光導波路、前記第2連結光導波路、及び、前記光出力口接続光導波路の少なくとも一部にスラブ部が設けられている。
【0017】
本発明の態様8は、態様1~7のいずれか一つの光合波器と、前記光合波器で合波する可視光を出射する複数の可視光レーザー光源とを備える、可視光光源モジュールである。
【0018】
本発明の態様9は、態様1~7のいずれか一つの光合波器と、前記光合波器に接続され、複数の可視光レーザー光源から出射された複数の可視光を前記光合波器に導波するマッハツェンダー型光変調器と、を備える、光変調機能付き光合波器である。
【0019】
本発明の態様10は、態様9の光変調機能付き光合波器と、前記光変調機能付き光合波器で合波する可視光を出射する複数の可視光レーザー光源とを備える、可視光光源モジュールである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ニオブ酸リチウム膜を用いた光変調器と接続可能あるいは集積可能であって、RGBのカラーバランスを調整可能な光合波器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係る光合波器の平面模式図である。
図2】比較例の光合波器の平面模式図である。
図3図1に示した構成要素がニオブ酸リチウムからなる光合波機能層に形成されている光合波器の図1のX-X’で切った断面模式図である。
図4】マルチモード干渉型光合波部の断面が台形形状である場合のYZ面で切った断面模式図である。
図5】マルチモード干渉型光合波部の基板側にスラブ部を有する場合のYZ面で切った断面模式図である。
図6】マルチモード干渉型光合波部の断面が台形形状であり、かつ、基板側にスラブ部を有する場合のYZ面で切った断面模式図である。
図7】第1実施形態に係る可視光光源モジュールの平面模式図である。
図8】第2実施形態に係る可視光光源モジュールの平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0023】
〔光合波器〕
図1は、本実施形態に係る光合波器の平面模式図である。図1は、RGBのそれぞれの可視光を出射する3個の可視光レーザー光源を備えた可視光光源モジュールに使用可能な光合波器の例である。
図1に示す光合波器100は、波長の異なる複数の可視光を合波する光合波器であって、4つの側面100A、100B、100C、100Dを有する。図1に示す光合波器100は、平面視して(Z方向から視て)、4つの角が90°の矩形であるが、4つの角が90°の矩形に限定されない。
【0024】
図1に示す光合波器100は、光合波器の第1側面100Aに配置し、各可視光を出射する3個の可視光レーザー光源から出力された可視光をそれぞれ入射可能な3個の光入射口21-1i、21-2i、21-3iと、光合波器の第2側面100Bに配置し、3個の可視光レーザー光源から出力された可視光の出力をモニタリングする3個のフォトディテクタへ出射可能な3個のモニター光出射口22-1m、22-2m、22-3mと、光合波器の第3側面100Cに配置し、3個の可視光レーザー光源から出力された可視光がすべて合波されて出射可能な1個の光出力口23eと、を備える。ここで、3個の光入射口21-1i、21-2i、21-3iを近づけて配置し、1個のフォトディテクタへ出射するようにしてもよい。その場合、RGBの3個の可視光レーザー光源を1個ずつ発光させ、それぞれの可視光レーザー光源から出力された可視光の出力をモニタリングすることにより、RGBのカラーバランスを調整することができる。
図1に示す光合波器100を用いれば、可視光レーザー光源から入射された光を各色ごとに一部分岐し、各色ごとのモニター光として取り出し、カラーバランスを調整することができる。
なお、図1において、X方向は光入射口が配置する側面に対して直交する方向であり、Y方向はX方向に直交する方向であり、Z方向はX方向及びY方向で形成される面に対して直交する方向である。
【0025】
図1に示す光合波器100はさらに、3個のマルチモード干渉型光合波部50(50-1、50-2、50-3)を備えている。
3個のマルチモード干渉型光合波部のうち、第1マルチモード干渉型光合波部50-1は1入力2出力で使用可能であって、光入力側に、3個の光入射口のうちの第1光入射口21-1iに接続する第1光入力側光導波路21-1に接続され、かつ、光出力側に、3個のモニター光出射口のうちの第1モニター光出射口22-1mに接続する第1モニター光出力側光導波路22-1と、第2マルチモード干渉型光合波部50-2の光入力側に接続する第1連結光導波路21-12とに接続されている。
また、第2マルチモード干渉型光合波部50-2は2入力2出力で使用可能であって、光入力側に、3個の光入射口のうちの第2光入射口21-2iに接続する第2光入力側光導波路21-2と、第1連結光導波路21-12とに接続され、かつ、光出力側に、3個のモニター光出射口のうちの第2モニター光出射口22-2mに接続する第2モニター光出力側光導波路22-2と、第3マルチモード干渉型光合波部50-3の光入力側に接続する第2連結光導波路21-23とに接続されている。
また、第3マルチモード干渉型光合波部50-3は2入力2出力で使用可能であって、光入力側に、3個の光入射口のうちの第3光入射口21-3iに接続する第3光入力側光導波路21-3と、第2連結光導波路21-23とに接続され、かつ、光出力側に、3個のモニター光出射口のうちの第3モニター光出射口22-3mに接続する第3モニター光出力側光導波路22-3と、光出力口23eに接続する光出力口接続光導波路23とに接続されている。
【0026】
第1マルチモード干渉型光合波部50-1は1入力2出力で使用可能であるが、1入力2出力でしか使えないMMIである必要はなく、複数入力ポート及び3個以上の出力ポートを有する構成を有し、そのうちの1入力2出力だけを用いるというものでもよい。
同様に、第2マルチモード干渉型光合波部50-2及び第3マルチモード干渉型光合波部50-3は2入力2出力で使用可能であるが、2入力2出力でしか使えないMMIである必要はなく、3個以上の入力ポート及び3個以上の出力ポートを有する構成を有し、そのうちの2入力2出力だけを用いるというものでもよい。
【0027】
第1モニター光出力側光導波路22-1、第2モニター光出力側光導波路22-2及び第3モニター光出力側光導波路22-3は、光出力口23eからの光出力につながるいずれの導波路(図1の構成では、第1モニター光出力側光導波路22-1、第2モニター光出力側光導波路22-2及び第3モニター光出力側光導波路22-3以外のすべての導波路)とも交差しない。光出力口23eからの光出力につながる導波路と交差があると、交差点での散乱等によって光出力口23eからの光出力の損失(ロス)の原因になる。以下、このような損失を「交差ロス」ということがある。
図1に示す光合波器100においては、交差ロスが発生しない。図1に示す光合波器100は交差ロスが排除された光合波器である。
この点について、モニター光出力側光導波路が他の光導波路と交差する構成の光合波器と比べる。
【0028】
図2は、モニター光出力側光導波路が他の導波路と交差する構成の光合波器である。
図2に示す光合波器A100は、光合波器の第1側面100Aに配置し、各可視光を出射する3個の可視光レーザー光源から出力された可視光をそれぞれ入射可能な3個の光入射口A21-1i、A21-2i、A21-3iと、光合波器の第2側面100Bに配置し、3個の可視光レーザー光源から出力された可視光の出力をモニタリングする3個のフォトディテクタへ出射可能な3個のモニター光出射口A22-1m、A22-2m、A22-3mと、光合波器の第3側面100Cに配置し、3個の可視光レーザー光源から出力された可視光がすべて合波されて出射可能な1個の光出力口A23eと、を備える。
【0029】
図1に示す光合波器A100はさらに、5個のマルチモード干渉型光合波部A50(A50-1、A50-2、A50-3、A50-4、A50-5)、を備えている。
5個のマルチモード干渉型光合波部のうち、第1マルチモード干渉型光合波部A50-1は1入力2出力で使用可能であって、光入力側に、3個の光入射口のうちの第1光入射口A21-1iに接続する第1光入力側光導波路A21-1に接続され、かつ、光出力側に、3個のモニター光出射口のうちの第1モニター光出射口A22-1mに接続する第1モニター光出力側光導波路A22-1と、第5マルチモード干渉型光合波部A50-5の光入力側に接続する第1連結光導波路A21-15とに接続されている。
また、第2マルチモード干渉型光合波部A50-2は1入力2出力で使用可能であって、光入力側に、3個の光入射口のうちの第2光入射口A21-2iに接続する第2光入力側光導波路A21-2に接続され、かつ、光出力側に、3個のモニター光出射口のうちの第2モニター光出射口A22-2mに接続する第2モニター光出力側光導波路A22-2と、第4マルチモード干渉型光合波部A50-4の光入力側に接続する第2連結光導波路A21-24とに接続されている。
また、第3マルチモード干渉型光合波部A50-3は1入力2出力で使用可能であって、光入力側に、3個の光入射口のうちの第3光入射口A21-3iに接続する第3光入力側光導波路A21-3に接続され、かつ、光出力側に、3個のモニター光出射口のうちの第3モニター光出射口A22-3mに接続する第3モニター光出力側光導波路A22-3と、第4マルチモード干渉型光合波部A50-4の光入力側に接続する第3連結光導波路A21-34とに接続されている。
また、第4マルチモード干渉型光合波部A50-4は2入力1出力で使用可能であって、光入力側に、第2連結光導波路A21-24と第3連結光導波路A21-34とに接続され、かつ、光出力側に、第5マルチモード干渉型光合波部A50-5の光入力側に接続する第4連結光導波路A21-45とに接続されている。
また、第5マルチモード干渉型光合波部A50-5は2入力1出力で使用可能であって、光入力側に、第1連結光導波路A21-15と第4連結光導波路A21-45とに接続され、かつ、光出力側に、光出力口A23eに接続する光出力口接続光導波路A23とに接続されている。
【0030】
図2に示す光合波器A100では、第1モニター光出力側光導波路A22-1は他のいずれの導波路とも交差しない。
一方、第2モニター光出力側光導波路A22-2は第1連結光導波路A21-15と交差する(図2中の符号Aで指示した丸印の箇所)。また、第3モニター光出力側光導波路A22-3も第1連結光導波路A21-15と交差し(図2中の符号Bで指示した丸印の箇所)、かつ、第2連結光導波路A21-24とも交差する(図2中の符号Cで指示した丸印の箇所)。従って、図2に示す光合波器A100では、3箇所で交差ロスが発生する。
【0031】
光入射口とモニター光出射口と光出力口との位置関係について、図1に示す光合波器100では、光入射口が配置する側面(側面100A)とモニター光出射口が配置する側面(側面100B)とが隣接する面同士であり、かつ、光入射口が配置する側面(側面100A)と光出力口が配置する側面(側面100C)とがX方向で対向する面同士である構成であるが、これに限定されない。
例えば、図1に示す光合波器100において、光出力口が側面100Dに配置する構成すなわち、モニター光出射口が配置する側面と光出力口が配置する側面とがY方向で対向する面同士である構成であってもよい。
あるいは、モニター光出射口が側面100Cに配置し、かつ、光出力口が側面100Dに配置する構成であってもよい。すなわち、光入射口が配置する側面とモニター光出射口が配置する側面とX方向で対向する面同士であり、かつ、光入射口が配置する側面と光出力口が配置する側面とが隣接する面同士である構成であってもよい。
【0032】
図1に示す光合波器100は、3個の可視光レーザー光源を備えた可視光光源モジュールに使用可能な光合波器の例であったが、N個(N>3)の可視光レーザー光源を備えた可視光光源モジュールに使用可能な光合波器の構成例を以下に示す。
【0033】
かかる光合波器は、第1側面に配置し、N個(Nは3以上の整数)の可視光レーザー光源から出力された可視光をそれぞれ入射可能な前記N個の光入射口と、第2側面に配置し、前記N個の可視光レーザー光源から出力された可視光の出力をモニタリングする前記N個のフォトディテクタへ出射可能な前記N個のモニター光出射口と、第3側面に配置し、前記N個の可視光レーザー光源から出力された可視光がすべて合波されて出射可能な1個の光出力口と、を備え、さらに、前記N個のマルチモード干渉型光合波部を備え、
前記N個のマルチモード干渉型光合波部のうち、
第1マルチモード干渉型光合波部は1入力2出力で使用可能であって、光入力側に、前記N個の光入射口のうちの第1光入射口に接続する第1光入力側光導波路に接続され、かつ、光出力側に、前記N個のモニター光出射口のうちの第1モニター光出射口に接続する第1モニター光出力側光導波路と、第2マルチモード干渉型光合波部の光入力側に接続する第1連結光導波路とに接続されており、
第2マルチモード干渉型光合波部は2入力2出力で使用可能であって、光入力側に、前記N個の光入射口のうちの第2光入射口に接続する第2光入力側光導波路と、前記第1連結光導波路とに接続され、かつ、光出力側に、前記N個のモニター光出射口のうちの第2モニター光出射口に接続する第2モニター光出力側光導波路と、第3マルチモード干渉型光合波部の光入力側に接続する第2連結光導波路とに接続されており、
・・・
第(N-1)マルチモード干渉型光合波部は2入力2出力で使用可能であって、光入力側に、前記N個の光入射口のうちの第(N-1)光入射口に接続する第(N-1)光入力側光導波路と、第(N-2)連結光導波路とに接続され、かつ、光出力側に、前記N個のモニター光出射口のうちの第(N-1)モニター光出射口に接続する第(N-1)モニター光出力側光導波路と、第Nマルチモード干渉型光合波部の光入力側に接続する第(N-1)連結光導波路とに接続されており、
第Nマルチモード干渉型光合波部は2入力2出力で使用可能であって、光入力側に、記N個の光入射口のうちの第N光入射口に接続する第N光入力側光導波路と、前記第(N-1)連結光導波路とに接続され、かつ、光出力側に、前記N個のモニター光出射口のうちの第Nモニター光出射口に接続する第Nモニター光出力側光導波路と、前記光出力口に接続する光出力口接続光導波路とに接続されており、
前記第1モニター光出力側光導波路~第Nモニター光出力側光導波路はいずれの導波路とも交差しない。
【0034】
図1に示した光合波器100について、第1マルチモード干渉型光合波部50-1、第2マルチモード干渉型光合波部50-2、第3マルチモード干渉型光合波部50-3がそれぞれ順に、緑色光用、青色光用、赤色光用である場合の寸法を例示すると、
第1マルチモード干渉型光合波部50-1の長さ(X方向):50~200μm
第1マルチモード干渉型光合波部50-1の幅(Y方向):4~10μm
第2マルチモード干渉型光合波部50-2の長さ(X方向):100~1000μm
第2マルチモード干渉型光合波部50-2の幅(Y方向):8~20μm
第3マルチモード干渉型光合波部50-3の長さ(X方向):100~1000μm
第3マルチモード干渉型光合波部50-3の幅(Y方向):8~20μm
緑色光入射口21-1iと青色光入射口21-2iとの間の距離:150~2000μm
青色光入射口21-2iと赤色光入射口21-3iとの間の距離:150~2000μm
側面100A及び側面100Cの長さ(Y方向):420~5000μm
側面100B及び側面100Dの長さ(Y方向):500~10000μm
【0035】
第1マルチモード干渉型光合波部50-1、第2マルチモード干渉型光合波部50-2、第3マルチモード干渉型光合波部50-3がそれぞれ順に、緑色光用、青色光用、赤色光用である場合に、図1に示す光合波器の作用効果を説明する。
緑色光入射口21-1iから入射した緑色光は第1光入力側光導波路21-1を伝搬して第1マルチモード干渉型光合波部50-1に入力し、分岐されて、一方の分岐緑色光は第1モニター光出力側光導波路22-1を伝搬して第1モニター光出射口22-1mから出射してフォトディテクタに入射する。一方、他の分岐緑色光は第1連結光導波路21-12を伝搬して、第2マルチモード干渉型光合波部50-2に入力する。
青色光入射口21-2iから入射した青色光は第2光入力側光導波路21-2を伝搬して第2マルチモード干渉型光合波部50-2に入力し、分岐されて、一方の分岐青色光は第2モニター光出力側光導波路22-2を伝搬して第2モニター光出射口22-2mから出射してフォトディテクタに入射する。一方、他の分岐青色光は入力した上記他の分岐緑色光と共に、第2連結光導波路21-23を伝搬して、第3マルチモード干渉型光合波部50-3に入力する。
赤色光入射口21-3iから入射した赤色光は第3光入力側光導波路21-3を伝搬して第3マルチモード干渉型光合波部50-3に入力し、分岐されて、一方の分岐赤色光は第3モニター光出力側光導波路22-3を伝搬して第3モニター光出射口22-3mから出射してフォトディテクタに入射する。一方、他の分岐赤色光は入力した上記他の分岐緑色光及び上記他の分岐青色光と共に、光出力口接続光導波路23を伝搬して光出力口23eから合波されたRGB光が出力される。
【0036】
第1モニター光出力側光導波路22-1、第2モニター光出力側光導波路22-2及び第3モニター光出力側光導波路22-3はいずれも、他の光導波路と交差しないため、光出力口23eから出力されるRGB光は交差ロスを受けずに出力される。
【0037】
本発明に係る光合波器は、1入力2出力で使用可能なマルチモード干渉型光合波部を少なくとも1個、2入力2出力で使用可能なマルチモード干渉型光合波部を少なくとも2個備える。
【0038】
図3は、図1に示した構成要素がニオブ酸リチウムからなる光合波機能層に形成されている光合波器200のYZ面(図1のX-X’)で切った断面模式図である。
図3に示す光合波器200は、ニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板10と、基板10の主面に形成され、ニオブ酸リチウムからなる光合波機能層20と、を備え、上記光入射口、上記モニター光出射口、上記光出力口、上記マルチモード干渉型光合波部、上記第1光入力側光導波路、上記第2光入力側光導波路、上記第3光入力側光導波路、上記第1モニター光出力側光導波路、上記第2モニター光出力側光導波路、上記第3モニター光出力側光導波路、上記第1連結光導波路、上記第2連結光導波路、及び、上記光出力口接続光導波路が光合波機能層20に形成されている。
【0039】
光合波器200において、Δnが大きいニオブ酸リチウムの膜を用いることで、光導波路の曲率半径を小さくすることができ、さらにマルチモード干渉型光合波部を用いることで、方向性結合器を用いた場合と比べて結合長の増大を防ぐことにより、設計の自由度の向上と小型化を両立できる。
【0040】
光合波機能層20は、上記光入射口、上記モニター光出射口、上記光出力口、上記マルチモード干渉型光合波部、上記第1光入力側光導波路、上記第2光入力側光導波路、上記第3光入力側光導波路、上記第1モニター光出力側光導波路、上記第2モニター光出力側光導波路、上記第3モニター光出力側光導波路、上記第1連結光導波路、上記第2連結光導波路、及び、上記光出力口接続光導波路が形成されたニオブ酸リチウム膜からなる導波路コア膜24と、これらを被覆するように導波路コア膜24上に形成される導波路クラッド(バッファ)膜25とからなる。以下、符号24をニオブ酸リチウム膜について用いることもある。
【0041】
基板10としては例えば、サファイア基板、Si基板、熱酸化シリコン基板などを挙げることができる。
光合波機能層20がニオブ酸リチウム(LiNbO)膜からなるので、ニオブ酸リチウム膜より屈折率が低いものであれば特に限定されないが、単結晶ニオブ酸リチウム膜をエピタキシャル膜として形成させることができる基板として、サファイア単結晶基板もしくはシリコン単結晶基板が好ましい。単結晶基板の結晶方位は特に限定されないが、例えば、c軸配向のニオブ酸リチウム膜は3回対称の対称性を有しているので、下地の単結晶基板も同じ対称性を有していることが望ましく、サファイア単結晶基板の場合はc面、シリコン単結晶基板の場合は(111)面の基板が好ましい。
【0042】
ニオブ酸リチウム膜は例えば、c軸配向したニオブ酸リチウム膜である。ニオブ酸リチウム膜は例えば、基板10上にエピタキシャル成長したエピタキシャル膜である。エピタキシャル膜は、下地の基板によって結晶方位が揃えられた単結晶の膜のことである。エピタキシャル膜は、z方向およびxy面内方向に単一の結晶方位をもった膜であり、結晶がx軸、y軸及びz軸方向にともに揃って配向しているものである。基板10上に形成されている膜がエピタキシャル膜かどうかは、例えば、2θ-θX線回折における配向位置でのピーク強度と極点の確認を行うことで証明することができる。
【0043】
具体的には、2θ-θX線回折による測定を行ったとき、目的とする面以外の全てのピーク強度が目的とする面の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは5%以下である。例えば、ニオブ酸リチウム膜がc軸配向エピタキシャル膜である場合には、(00L)面以外のピーク強度が、(00L)面の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは5%以下である。ここで、(00L)は、(001)や(002)などの等価な面を総称する表示である。
【0044】
また、前述の配向位置でのピーク強度の確認の条件においては、一方向における配向性を示しているのみである。よって、前述の条件を得たとしても、面内において結晶配向がそろっていない場合には、特定角度位置でX線の強度が高まることはなく、極点は見られない。例えば、ニオブ酸リチウム膜がニオブ酸リチウム膜の場合、LiNbOは三方晶系の結晶構造であるため、単結晶におけるLiNbO(014)の極点は3つとなる。ニオブ酸リチウムの場合、c軸を中心に180°回転させた結晶が対称的に結合した、いわゆる双晶の状態にてエピタキシャル成長することが知られている。この場合、3つの極点が対称的に2つ結合した状態になるため、極点は6つとなる。また、(100)面のシリコン単結晶基板上にニオブ酸リチウム膜を形成した場合は、基板が4回対称となっているため、4x3=12個の極点が観測される。なお、本開示では、双晶の状態にてエピタキシャル成長したニオブ酸リチウム膜もエピタキシャル膜に含める。
【0045】
ニオブ酸リチウムの組成は、LiNbAである。Aは、Li、Nb、O以外の元素である。xは、0.5以上1.2以下であり、好ましくは0.9以上1.05以下である。yは、0以上0.5以下である。zは1.5以上4.0以下であり、好ましくは2.5以上3.5以下である。Aの元素は、例えば、K、Na、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Zn、Sc、Ceであり、これらの元素を2種類以上の組み合わせても良い。
さらにニオブ酸リチウム膜としては、基板上に貼り合わせされたニオブ酸リチウム単結晶薄膜であってもよい。
【0046】
ニオブ酸リチウム膜の膜厚は例えば、2μm以下である。ニオブ酸リチウム膜の膜厚とは、リッジ以外の部分の膜厚のことである。ニオブ酸リチウム膜の膜厚は使用する波長やリッジ形状などに応じて適宜最適設計を行えばよい。
【0047】
導波路は、ニオブ酸リチウム膜24の第1面24Aから突出するリッジである。第1面24Aは、ニオブ酸リチウム膜24のリッジ部以外の部分(スラブ層)における上面である。
図3に示すように、第1光入力側光導波路21-1、第2光入力側光導波路21-2及び第3光入力側光導波路21-3の断面形状定形部の断面形状は矩形であるが、光を導波できる形状であればよく、例えば、台形、三角形、半円形等であってもよい。3つのリッジのy方向の幅Waは、0.2μm以上5.0μm以下であることが好ましく、3つのリッジ部の高さ(第1面24Aからの突出高さHa)は、例えば、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。その他の光導波路も同様である。
【0048】
第1光入力側光導波路21-1、第2光入力側光導波路21-2及び第3光入力側光導波路21-3その他の図1に示す光導波路のサイズをレーザー光の波長程度とすることによってシングルモードで伝搬することができる。
【0049】
<マルチモード干渉型光合波部>
(1)台形断面を有するマルチモード干渉型光合波部
図1に示したマルチモード干渉型光合波部は、1入力2出力のマルチモード干渉型光合波部と、2入力2出力のマルチモード干渉型光合波部である。
【0050】
マルチモード干渉型光合波部は、図4に示すような、光の進行方向に対して垂直方向に切った断面が台形形状であることが好ましい場合がある。また、この台形形状の傾斜角度θは40°~85°であることが好ましい場合がある。
マルチモード干渉型光合波部の幅Wの寸法マージンが改善し、最適なマルチモード干渉型光合波部幅が大きくなり、加工が容易となるからである。
この結果は、マルチモード干渉型光合波部の光の進行方向に対して垂直方向に切った断面が台形形状である場合と、矩形形状である場合とで、シミュレーションによってRGB3色の光の伝搬損失を比較して得られたものである。
このシミュレーションで用いたモデルにおいては、マルチモード干渉型光合波部(リッジ)の高さTを0.7μmとし、また、マルチモード干渉型光合波部の高さTの1/2での幅をWとし、リッジの中心C-Cを固定して両側にdW/2ずつ(従って、合わせてdW)、下面と傾斜部との間の傾斜角θを固定したまま広げるか、または、縮めて、RGB合波時の伝搬損失のシミュレーションを行った。
θが85°、70°及び40°のとき、マージンはいずれも0.3μmであり、また、最適な幅Wはそれぞれ、6.6μm、6.6μm、6.9μmであった。
【0051】
(2)スラブ部を有するマルチモード干渉型光合波部
マルチモード干渉型光合波部は図5に示すように基板側にスラブ部が設けられてもよい。
図5に示すマルチモード干渉型光合波部51は、リッジ51-1と、基板側にさらにスラブ部51-2を有する。
スラブ部を有することによって、幅寸法マージンがさらに拡大し、加工がさらに容易になる場合がある。また、最適幅Wがさらに拡大し、加工がさらに容易になる場合がある。 マルチモード干渉型光合波部が図5で示したモデルの構成である場合に、RGB合波時のRGB3色のそれぞれの基本モード(TM0)、高次モード(TM1、TM2)の伝搬損失(dB)のシミュレーションを行った。スラブ部の高さTslabを0.2μmとし、マルチモード干渉型光合波部の高さTは、リッジ51-1の高さとスラブ部51-2の高さとを足したものとする。マルチモード干渉型光合波部の幅Wは6.5μmとする。
比較として、スラブ部を有さない場合と、スラブ部を有する場合のそれぞれの光の伝搬損失を比べたところ、スラブ部を有する場合は、スラブ部を有さない場合に比べて、RGBで伝搬損失の差が減少した。また、スラブ部を有する場合からスラブ部を有さない場合の伝搬損失の差から、高次モードの伝搬損失が大きくなり、伝搬が抑制された結果が得られた。従って、スラブ部を設けることがシングルモード化に有効であることがわかった。
【0052】
また、図6に示すように、台形形状の断面を有するマルチモード干渉型光合波部52がリッジ52-1と、基板側にさらにスラブ部52-2を有してもよい。スラブ部を有することによって、幅寸法マージンがさらに拡大すると共に、最適幅Wがさらに拡大して、加工がさらに容易になる場合がある。
【0053】
<光導波路>
本実施形態に係る光合波器が備える光導波路は、シングルモード光導波路であることが好ましい。シングルモード光導波路とは、光の伝搬モードが単一の状態(基本モード)で伝搬する光導波路を指すものとし、複数のモードに分散して伝搬する状態(高次モード)の光導波路をマルチモード光導波路と称することにする。シングルモードはモード分散を起こさないため、マルチモードに比べて光の伝送損失が小さく、伝搬速度が速い。
【0054】
本実施形態に係る光合波器が備える光導波路の少なくとも一部に基板側にスラブ部が設けられていることが好ましい。
RGB用光導波路の幅を広げてシングルモード化が可能になるからである。
【0055】
〔可視光光源モジュール〕
(第1実施形態)
図7は、第1実施形態に係る可視光光源モジュールの平面模式図である。
図7に示す可視光光源モジュール1000は、本実施形態に係る光合波器200と、光合波器200で合波する可視光を出射する複数の可視光レーザー光源30(30-1、30-2、30-3)とを備える。光合波器200はニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板10(図3参照)と、基板10の主面に形成され、ニオブ酸リチウムからなる光合波機能層20(図3参照)とを備え、側面200A、200B、200C、200Dを有する。図7に示す可視光光源モジュール1000が備える光合波器は光合波器100でもよい。
図7に示した構成要素について、上記と同様な機能を有する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0056】
可視光レーザー光源30としては、各種レーザー素子が使用可能である。例えば、市販の赤色光、緑色光、青色光等のレーザーダイオード(LD)が使用可能である。赤色光は、ピーク波長が610nm以上750nm以下である光が使用可能であり、緑色光は、ピーク波長が500nm以上560nm以下である光が使用可能であり、青色光は、ピーク波長が435nm以上480nm以下である光が使用可能である。
可視光光源モジュール1000において、可視光レーザー光源30-1、30-2、30-3をそれぞれ、緑色光を発するLD、青色光を発するLD、及び赤色光を発するLDとする。LD30-1、30-2、30-3は、それぞれのLDから発せられる光の出射方向に略直交する方向において互いに間隔をあけて配置され、サブキャリア120の上面に設けられている。
【0057】
可視光光源モジュール1000では、可視光レーザー光源の個数が3個の場合を例示したが、3個に限定されず、4個以上の複数であればよい。複数の可視光レーザー光源は発光する光の波長がすべて異なるものでもよいし、また、発光する光の波長が同じ可視光レーザー光源があっても構わない。また、発光する光は赤(R)、緑(G)、青(B)以外の光も使用可能であり、図面を用いて説明した赤(R)、緑(G)、青(B)の搭載順についても、この順である必要性はなく適宜変更可能である。
【0058】
LD30は、ベアチップでサブキャリア120に実装可能である。サブキャリア120は、例えば窒化アルミニウム(AlN)や、酸化アルミニウム(Al)、シリコン(Si)等で構成されている。
【0059】
サブキャリア120は、金属層を介して基板10と直接接合された構成とすることができる。この構成によって、空間結合やファイバ結合をしないことによりさらに小型化が可能となる。
【0060】
LD30の光出射面31と光合波器200の光入射面(側面)200Aとは、所定の間隔で配置されている。光入射面200Aは光出射面31と対向しており、x方向において光出射面31と光入射面200Aとの間には隙間Sがある。可視光光源モジュール1000は空気中に露出されているので、隙間Sには空気が満ちている。隙間Sが同じガス(空気)で充填された状態となるため、LD30から出射された各色光を所定の結合効率を満たした状態で入射路に入射させることが容易である。可視光光源モジュール1000がARグラス、VRグラスに用いられる場合、ARグラス、VRグラスで求められる光量等をふまえると、隙間(間隔)Sのx方向の大きさは、例えば0μmより大きく、5μm以下である。
【0061】
図7には、フォトディテクター70(70-1、70-2、70-3)を備える例を図示した。フォトディテクター70の受光面とモニター光出射口22-1m、22-2m、22-3mとは光軸合わせがなされている。
フォトディテクター70としては、Siのpn接合を用いた半導体ディテクターやInGaAsのpn接合を用いた半導体ディテクターや、第1強磁性層と、スペーサ層と、第2強磁性層が積層された磁気抵抗効果機能を有するスピンフォトディテクターを例示できる。
【0062】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る可視光光源モジュールの平面模式図である。
図8に示す可視光光源モジュール2000は、光変調機能付き光合波器300と、光変調機能付き光合波器300で合波する可視光を出射する複数の可視光レーザー光源30(30-1、30-2、30-3)とを備える。光合波器300はニオブ酸リチウムとは異なる材料からなる基板10(図3参照)と、基板10の主面に形成され、ニオブ酸リチウムからなる光合波機能層20(図3参照)とを備え、側面300A、300B、300C、300Dを有する。図7に示した可視光光源モジュール1000と同様に、フォトディテクターを備えてもよい。
図8に示した構成要素について、上記と同様な機能を示す構成要素については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0063】
光変調機能付き光合波器300は、光合波機能層20(図3参照)にマッハツェンダー型光変調器40を有する。
マッハツェンダー型光変調器40としては公知のマッハツェンダー型光変調器あるいは光導波路を用いることができ、波長と位相のそろった光ビームを2本の対(ペア)となるビームに分割(分波)し、それぞれに異なる位相を与えてから合流(合波)する。位相差の違いによって、合波した光ビームの強度が変わる。
光変調機能付き光合波器300には、可視光レーザー光源30-1、30-2、30-3の数と同数の3個のマッハツェンダー型光導波路40-1、40-2、40-3を有する。可視光レーザー光源30-1、30-2、30-3とマッハツェンダー型光導波路40-1、40-2、40-3とは、可視光レーザー光源から出射された光が対応するマッハツェンダー型光導波路に入射するように位置決めされている。
【0064】
図8に示すマッハツェンダー型光導波路40(40-1、40-2、40-3)は、第1光導波路41と第2光導波路42と入力路43と出力路44と分岐部45と結合部46とを有する。出力路44はマルチモード干渉型光合波部の光入力側光導波路となっている。図8に示す第1光導波路41及び第2光導波路42は分岐部45の近傍及び結合部46の近傍以外は、x方向に直線状に延びる構成であるが、このような構成に限定されない。図8に示す第1光導波路41と第2光導波路42の長さは、略同一である。分岐部45は、入力路43と第1光導波路41及び第2光導波路42との間にある。入力路43は、分岐部45を介して、第1光導波路41及び第2光導波路42と繋がる。結合部46は、第1光導波路41及び第2光導波路42と出力路44との間にある。第1光導波路41と第2光導波路42とは、結合部46を介して、出力路44と繋がる。
【0065】
電極25,26は、各マッハツェンダー型光導波路40-1、40-2、40-3(以下、単に「各マッハツェンダー型光導波路40」ということがある。)に変調電圧を印加する電極である。電極25は、第1電極の一例であり、電極26は、第2電極の一例である。電極25の一端は電源131に接続され、他端は終端抵抗132に接続されている。電極26の一端は電源131に接続され、他端は終端抵抗132に接続されている。電源131は、変調電圧を各マッハツェンダー型光導波路40に印加する駆動回路の一部である。電極25,26は図の簡略化のために、マッハツェンダー型光導波路40-3の部分にのみ描いている。
【0066】
電極27、28は、各マッハツェンダー型光導波路40に直流バイアス電圧を印加する電極である。電極27の一端及び電極28の一端は電源133に接続されている。電源133は、直流バイアス電圧を各マッハツェンダー型光導波路40に印加する直流バイアス印加回路の一部である。
電極25,26に直流バイアス電圧を重畳する場合は、電極27、28を設けなくてもよい。また電極25,26、27、28の周囲に接地電極を設けてもよい。
【0067】
光合波機能層20のサイズは、例えば、100mm以下である。光合波機能層20のサイズが100mm以下であれば、ARグラスやVRグラス用として適している。
【0068】
光合波機能層20は、公知の方法で作製できる。例えばエピタキシャル成長、フォトリソグラフィ、エッチング、気相成長及びメタライズなどの半導体プロセスを用いて、光合波機能層20は製造される。
【0069】
例えば、網膜投影型ディスプレイにおいて、所望の色で画像を表示するためには、可視光を表現するRGBの3色の各々の強度を独立に高速に変調する必要がある。かかる変調を可視光レーザー光源(電流変調)だけ行うと、それらの変調を制御するICの負荷が大きくなってしまうが、マッハツェンダー型光変調器40(光変調機能付き光合波器200)による変調(電圧変調)も併用することが可能となる。この場合は、粗調整を電流(可視光レーザー光源)で行い、微調整を電圧(マッハツェンダー型光変調器40)で行ってもよいし、また、粗調整を電圧(マッハツェンダー型光変調器40)で行い、微調整を電流(可視光レーザー光源)で行ってもよい。微調整を電圧で行う方が応答性がよいので、応答性を重視する場合には前者を採用し、微調整を電流で行う方が低い電流で済むため消費電力を抑制するため、消費電力の抑制を重視する場合には後者を採用することが好ましい。
【符号の説明】
【0070】
10 基板
10A 基板の表面
20 光合波機能層
24 導波路コア膜
25 導波路クラッド膜
30 可視光レーザー光源
40 マッハツェンダー型光変調器
50、50-1、50-2、50-3 マルチモード干渉型光合波部
100、200、300 光合波器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8