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特開2024-94960作業機械の管理システム及び作業機械の管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094960
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】作業機械の管理システム及び作業機械の管理方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
E02F9/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211899
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石島 璃沙
(72)【発明者】
【氏名】マクシュトフ スタニスラヴ
(72)【発明者】
【氏名】土井下 健治
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 紘
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA05
2D003AB04
2D003BB07
2D003DA04
2D003DB02
2D003DB03
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】リッピングの作業計画を効率良く策定すること。
【解決手段】作業機械の管理システムは、プロセッサを備える。プロセッサは、リッパ作業機を有する作業機械の位置を示す位置データ、及びリッパ作業機が作業対象をリッピング実行状態であるか否かを判定するための作業データを受信し、位置データと作業データとに基づいて、リッピング実行状態であるときの作業機械に係るリッピングデータを算出し、リッピングデータを出力装置に出力させる。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
リッパ作業機を有する作業機械の位置を示す位置データ、及び前記リッパ作業機が作業対象をリッピング実行状態であるか否かを判定するための作業データを受信し、
前記位置データと前記作業データとに基づいて、前記リッピング実行状態であるときの前記作業機械に係るリッピングデータを算出し、
前記リッピングデータを出力装置に出力させる、
作業機械の管理システム。
【請求項2】
前記作業機械は、前記リッパ作業機を操作するリッパ操作装置を有し、
前記作業データは、前記リッパ操作装置の操作データを含む、
請求項1に記載の作業機械の管理システム。
【請求項3】
前記作業機械は、前記作業機械の走行装置を操作する走行操作装置を有し、
前記作業データは、前記走行操作装置の操作データを含む、
請求項2に記載の作業機械の管理システム。
【請求項4】
前記走行操作装置は、前記走行装置の変速段を変更するためのシフト操作装置を有し、
前記作業データは、前記シフト操作装置の操作データを含む、
請求項3に記載の作業機械の管理システム。
【請求項5】
前記リッピングデータは、前記作業機械が前記作業対象の複数のエリアのそれぞれをリッピングした回数を示すリッピング回数を含む、
請求項1に記載の作業機械の管理システム。
【請求項6】
前記リッピングデータは、前記リッピング回数を示したマップデータを含む、
請求項5に記載の作業機械の管理システム。
【請求項7】
前記リッピングデータは、前記作業機械が前記作業対象をリッピングしているときの前記作業機械の進行方向を示すリッピング方向を含む、
請求項1に記載の作業機械の管理システム。
【請求項8】
前記リッピングデータは、前記作業機械が前記作業対象をリッピングしているときの前記作業機械の走行速度を示すリッピング速度を含む、
請求項1に記載の作業機械の管理システム。
【請求項9】
前記リッピングデータは、前記作業機械が前記作業対象のリッピングを開始した地点を示す開始地点又はリッピングを終了した地点を示す終了地点を含む、
請求項1に記載の作業機械の管理システム。
【請求項10】
前記作業機械は、ステアリング可能な走行装置と、前記走行装置を操作する走行操作装置と、を有し、
前記プロセッサは、
前記走行装置がステアリング実行状態であるか否かを判定するためのステアリングデータを受信し、
前記作業データと前記ステアリングデータとに基づいて、前記リッピング実行状態且つ前記ステアリング実行状態である特定走行状態であるか否かを判定し、
前記リッピングデータは、前記特定走行状態であることを示す特定走行データを含む、
請求項1に記載の作業機械の管理システム。
【請求項11】
前記特定走行データは、前記特定走行状態の継続時間を含む、
請求項10に記載の作業機械の管理システム。
【請求項12】
前記特定走行データは、前記特定走行データが生じた前記作業対象のエリアを含む、
請求項10に記載の作業機械の管理システム。
【請求項13】
前記特定走行データは、前記特定走行状態が生じた回数を含む、
請求項10に記載の作業機械の管理システム。
【請求項14】
前記特定走行データは、前記特定走行状態が生じた位置と前記特定走行状態が生じた回数とを組み合わせたマップデータを含む、
請求項13に記載の作業機械の管理システム。
【請求項15】
前記特定走行データは、前記特定走行状態が生じた回数とオペレータデータとを組み合わせたデータを含む、
請求項13に記載の作業機械の管理システム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記リッピング実行状態で直進している前記走行装置のステアリング角度が閾値を上回った場合に、前記特定走行状態であると判定する、
請求項10に記載の作業機械の管理システム。
【請求項17】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
作業機械のリッパ作業機が作業対象をリッピング実行状態であるか否かを判定するための作業データ、及び前記作業機械の走行装置がステアリング実行状態であるか否かを判定するためのステアリングデータを受信し、
前記作業データと前記ステアリングデータとに基づいて、前記リッピング実行状態且つ前記ステアリング実行状態である特定走行状態であるか否かを判定し、
前記特定走行状態であることを示す特定走行データを出力装置に出力させる、
作業機械の管理システム。
【請求項18】
リッパ作業機を有する作業機械の位置を示す位置データを取得し、
前記リッパ作業機が作業対象をリッピング実行状態であるか否かを判定するための作業データを取得し、
前記位置データ及び前記作業データに基づいて、前記リッピング実行状態であるときの前記作業機械に係るリッピングデータを算出し、
前記リッピングデータを出力装置に出力させる、
作業機械の管理方法。
【請求項19】
作業機械のリッパ作業機が作業対象をリッピング実行状態であるか否かを判定するための作業データを取得し、
前記作業機械の走行装置がステアリング実行状態であるか否かを判定するためのステアリングデータを取得し、
前記作業データおよび前記ステアリングデータに基づいて、前記リッピング実行状態且つ前記ステアリング実行状態である特定走行状態であるか否かを判定し、
前記特定走行状態であることを示す特定走行データを出力装置に出力させる、
作業機械の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の管理システム及び作業機械の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなリッパ作業機を備える作業機械が知られている。リッパ作業機のリッパポイントが作業対象に突き刺された状態で作業機械が走行することにより、作業対象が破砕される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0030052号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リッピング条件が相互に異なる部分が作業対象に存在する場合がある。例えば軟らかい部分と硬い部分とが作業対象に存在する場合がある。作業対象の軟らかい部分を破砕する場合、リッパ作業機によるリッピングは1回で済む可能性がある。作業対象の硬い部分を破砕する場合、リッパ作業機によるリッピングを複数回実施する必要が生じる可能性がある。リッピング条件が相互に異なる部分が作業対象に存在する場合においても、リッピングの作業計画を効率良く策定できることが要望される。
【0005】
本開示は、リッピングの作業計画を効率良く策定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、プロセッサを備え、プロセッサは、リッパ作業機を有する作業機械の位置を示す位置データ、及びリッパ作業機が作業対象をリッピング実行状態であるか否かを判定するための作業データを受信し、位置データと作業データとに基づいて、リッピング実行状態であるときの作業機械に係るリッピングデータを算出し、リッピングデータを出力装置に出力させる、作業機械の管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、リッピングの作業計画が効率良く策定される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る作業機械の管理システムを模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る作業機械を模式的に示す側面図である。
図3図3は、第1実施形態に係るサーバを示すハードウエア構成図である。
図4図4は、第1実施形態に係る作業機械及びサーバを示すブロック図である。
図5図5は、第1実施形態に係る走行操作レバーを模式的に示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係るリッパ作業機のリフト動作を説明するための図である。
図7図7は、第1実施形態に係るリッパ作業機のチルト動作を説明するための図である。
図8図8は、第1実施形態に係る作業対象に設定されたエリアを模式的に示す図である。
図9図9は、第1実施形態に係るリッパ作業機がリッピング実行状態であるか否かを判定するときの判定条件を示す図である。
図10図10は、第1実施形態に係るリッパ作業機がリッピング実行状態であるか否かの判定方法を示すフローチャートである。
図11図11は、第1実施形態に係る複数のエリアごとにカウントされたリッピング回数を模式的に示す図である。
図12図12は、第1実施形態に係る表示装置に表示される表示データを模式的に示す図である。
図13図13は、第1実施形態に係る作業機械の管理方法を示すフローチャートである。
図14図14は、第2実施形態に係る表示装置に表示される表示データを模式的に示す図である。
図15図15は、第2実施形態に係る作業機械の管理方法を示すフローチャートである。
図16図16は、その他の実施形態に係る表示装置に表示される表示データを模式的に示す図である。
図17図17は、その他の実施形態に係る表示装置に表示される表示データを模式的に示す図である。
図18図18は、その他の実施形態に係る表示装置に表示される表示データを模式的に示す図である。
図19図19は、その他の実施形態に係る表示装置に表示される表示データを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
【0011】
<管理システム>
図1は、本実施形態に係る作業機械2の管理システム1を模式的に示す図である。作業機械2は、作業現場において稼働する。本実施形態において、作業現場は、鉱山である。鉱山とは、鉱物を採掘する場所又は事業所をいう。鉱山として、金属を採掘する金属鉱山、石灰石を採掘する非金属鉱山、又は石炭を採掘する石炭鉱山が例示される。
【0012】
作業機械2が作業現場において稼働する。作業現場において稼働する作業機械2は、1台でもよいし複数台でもよい。本実施形態において、作業機械2は、ブルドーザである。作業機械2は、作業現場において所定の作業を実施する。作業機械2が実施する作業として、掘削作業、押土作業、整地作業、又はリッピング作業が例示される。
【0013】
管理システム1は、サーバ3と、通信システム4とを備える。サーバ3は、コンピュータシステムを含む。サーバ3は、作業機械2の外部に配置される。サーバ3は、作業現場の遠隔地に設けられた管理センター5に配置される。サーバ3は、作業現場及び作業機械2を管理する。管理センター5に管理者が存在する。通信システム4として、インターネット(internet)、携帯電話通信網、衛星通信網、又はローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)が例示される。
【0014】
作業機械2は、コントローラ6を有する。コントローラ6は、コンピュータシステムを含む。サーバ3と作業機械2のコントローラ6とは、通信システム4を介して通信する。
【0015】
<作業機械>
図2は、本実施形態に係る作業機械2を模式的に示す側面図である。図2に示すように、作業機械2は、車体7と、走行装置8と、掘削作業機9と、リッパ作業機10とを備える。
【0016】
車体7は、エンジン室15を有する。エンジン室15にエンジン16が収容される。エンジン16は、作業機械2の駆動源である。
【0017】
走行装置8は、車体7を支持して走行する。走行装置8は、一対の履帯17を有する。履帯17が回転することにより、作業機械2が走行する。
【0018】
掘削作業機9は、作業対象の掘削作業、押土作業、又は整地作業を実施する。掘削作業機9は、車体7に取り付けられる。掘削作業機9の少なくとも一部は、車体7の前方に配置される。
【0019】
掘削作業機9は、掘削ブレード18と、リフトフレーム19と、チルトシリンダ20と、リフトシリンダ21とを有する。
【0020】
掘削ブレード18は、車体7の前方に配置される。掘削ブレード18は、切刃18Aを有する。
【0021】
リフトフレーム19は、掘削ブレード18を支持する。リフトフレーム19の一端部は、回動機構を介して掘削ブレード18の背面に連結される。リフトフレーム19の他端部は、回動機構を介して車体7に連結される。なお、リフトフレーム19の他端部は、回動機構を介して走行装置8に連結されてもよい。
【0022】
チルトシリンダ20及びリフトシリンダ21のそれぞれは、掘削ブレード18を動作させる。チルトシリンダ20は、掘削ブレード18をチルト動作させるために駆動する。リフトシリンダ21は、掘削ブレード18をリフト動作させるために駆動する。掘削ブレード18のチルト動作とは、掘削ブレード18のチルト角を変化させる動作をいう。掘削ブレード18のリフト動作とは、掘削ブレード18を上下方向に移動させる動作をいう。
【0023】
チルトシリンダ20の一端部は、回動機構を介して掘削ブレード18の背面に連結される。チルトシリンダ20の他端部は、リフトフレーム19の上面に接続される。チルトシリンダ20が伸縮することにより、掘削ブレード18がチルト動作する。
【0024】
リフトシリンダ21の一端部は、回動機構を介してリフトフレーム19に連結される。リフトシリンダ21の他端部は、回動機構を介して車体7に接続される。リフトシリンダ21が伸縮することにより、掘削ブレード18がリフト動作する。
【0025】
リッパ作業機10は、作業対象のリッピング作業を実施する。リッパ作業機10の作業対象は、作業現場の地面を含む。走行装置8は、リッパ作業機10の地面を走行する。リッパ作業機10は、車体7に取り付けられる。リッパ作業機10の少なくとも一部は、車体7の後方に配置される。
【0026】
リッパ作業機10は、シャンク22と、リッパアーム24と、チルトシリンダ25と、リフトシリンダ26と、ビーム27とを有する。
【0027】
シャンク22は、車体7の後方に配置される。シャンク22は、リッパポイント23を有する。リッパポイント23は、シャンク22の下端部に設けられる。
【0028】
リッパアーム24は、シャンク22を支持する。リッパアーム24は、車体7とシャンク22とを連結する。リッパアーム24の一端部は、回動機構を介して車体7の後部に連結される。リッパアーム24の他端部は、ビーム27に連結される。
【0029】
ビーム27は、リッパアーム24に回動可能に連結される。シャンク22は、ビーム27を介してリッパアーム24に連結される。
【0030】
チルトシリンダ25及びリフトシリンダ26のそれぞれは、シャンク22を動作させる。チルトシリンダ25及びリフトシリンダ26のそれぞれは、車体7に連結される。チルトシリンダ25は、シャンク22をチルト動作させるために駆動する。リフトシリンダ26は、シャンク22をリフト動作させるために駆動する。シャンク22のチルト動作とは、シャンク22のチルト角を変化させる動作をいう。シャンク22のリフト動作とは、シャンク22を上下方向に移動させる動作をいう。
【0031】
チルトシリンダ25の一端部は、回動機構を介してビーム27に連結される。チルトシリンダ25の他端部は、車体7の後部に連結される。チルトシリンダ25が伸縮することにより、シャンク22がチルト動作する。
【0032】
リフトシリンダ26の一端部は、回動機構を介してビーム27に連結される。リフトシリンダ26の他端部は、車体7の後部に連結される。リフトシリンダ26が伸縮することにより、シャンク22がリフト動作する。
【0033】
リッパ作業機10は、作業対象をリッピングする。本実施形態において、リッパ作業機10によるリッピングとは、リッパポイント23が作業対象に突き刺された状態で走行装置8が走行することをいう。本実施形態においては、リッパポイント23が作業対象に突き刺された状態を適宜、リッピング実行状態、と称し、リッパポイント23が作業対象から抜去されている状態を適宜、リッピング解除状態、と称する。
【0034】
リッパポイント23が作業対象をリッピングしたリッピング実行状態で走行装置8が走行することにより、作業対象が破砕される。なお、走行装置8が走行中に、シャンク22がチルト動作又はリフト動作してもよい。
【0035】
<作業機械及びサーバ>
図3は、本実施形態に係るサーバ3を示すハードウエア構成図である。サーバ3は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。サーバ3の機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0036】
サーバ3と同様、コントローラ6は、図3に示すようなコンピュータシステム1000を含む。
【0037】
図4は、本実施形態に係る作業機械2及びサーバ3を示すブロック図である。作業機械2は、位置センサ11と、走行操作レバー12と、掘削操作レバー13と、リッパ操作レバー14と、走行装置8と、掘削作業機9と、リッパ作業機10と、コントローラ6を有する。
【0038】
位置センサ11は、作業機械2の位置を検出する。作業機械2の位置は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して検出される。全地球航法衛星システムは、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を含む。全地球航法衛星システムは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定されるグローバル座標系の位置を検出する。グローバル座標系とは、地球に固定された座標系をいう。位置センサ11は、GNSS受信機を含む。位置センサ11は、グローバル座標系における作業機械2の位置を検出する。位置センサ11は、車体7に配置される。本実施形態において、位置センサ11は、作業機械2の基準位置を検出する。車体7にGNSSアンテナが設けられている場合、作業機械2の基準位置は、GNSSアンテナの設置位置でもよい。作業機械2の基準位置は、車体7の中心位置でもよいし、履帯17の接地位置でもよい。
【0039】
走行操作レバー12、掘削操作レバー13、及びリッパ操作レバー14のそれぞれは、車体7の運転室に配置される。走行操作レバー12、掘削操作レバー13、及びリッパ操作レバー14のそれぞれは、運転室に搭乗したオペレータにより操作される。
【0040】
走行操作レバー12は、走行装置8を操作する走行操作装置である。走行装置8は、履帯17を回転させる駆動力を発生する油圧モータと、履帯17の回転を減速又は停止させる制動力を発生する油圧ブレーキとを含む。オペレータは、走行操作レバー12を操作することにより、履帯17に駆動力を与えたり制動力を与えたりすることができる。
【0041】
走行装置8は、前進又は後進することができる。オペレータは、走行操作レバー12を操作することにより、走行装置8を前進又は後進させることができる。走行装置8は、直進又はステアリングすることができる。オペレータは、走行操作レバー12を操作することにより、走行装置8を直進又はステアリングさせることができる。
【0042】
上述のように、油圧ブレーキは、一方の履帯17に制動力を与える第1の油圧ブレーキと、他方の履帯17に制動力を与える第2の油圧ブレーキと含む。一対の履帯17のそれぞれが回転している状態で、第1の油圧ブレーキによる制動力と第2の油圧ブレーキによる制動力とに差が生じるように走行操作レバー12が操作されることにより、走行装置8がステアリングされる。
【0043】
なお、トランスミッションからの直進動力と油圧モータからの旋回動力を遊星ギヤ列の差動機構により左右の出力回転に差を与えることにより、走行装置8がステアリングされてもよい。
【0044】
図5は、本実施形態に係る走行操作レバー12を模式的に示す図である。走行操作レバー12が図5に示すF方向に操作されると、走行装置8が前進する。走行操作レバー12が図5に示すR方向に操作されると、走行装置8が後進する。走行操作レバー12が図5に示すLH方向に操作されると、走行装置8が左方にステアリングする。走行操作レバー12が図5に示すRH方向に操作されると、走行装置8が右方にステアリングする。
【0045】
走行操作レバー12は、走行装置8の変速段を変更するためのシフト操作装置であるシフトボタン12Sを有する。シフトボタン12Sは、シフトアップボタン12U及びシフトダウンボタン12Dを含む。シフトボタン12Sを含む走行操作レバー12が操作されることにより、走行装置8の変速段が、ニュートラル(N)、前進1速(F1)、前進2速(F2)、前進3速(F3)、及び後進(R)のいずれか一つに変更される。
【0046】
なお、後進(R)は、後進1速(R1),後進2速(R2)、及び後進3速(R3)を含む。実施形態においては、後進1速(R1),後進2速(R2)、及び後進3速(R3)を、後進(R)、と総称する。
【0047】
図4において、掘削操作レバー13は、掘削作業機9を操作する走行操作装置である。掘削作業機9を操作することは、チルトシリンダ20及びリフトシリンダ21を操作することを含む。チルトシリンダ20が伸縮するように掘削操作レバー13が操作されることにより、掘削ブレード18がチルト動作する。リフトシリンダ21が伸縮するように掘削操作レバー13が操作されることにより、掘削ブレード18がリフト動作する。
【0048】
リッパ操作レバー14は、リッパ作業機10を操作するリッパ操作装置である。リッパ作業機10を操作することは、チルトシリンダ25及びリフトシリンダ26を操作することを含む。チルトシリンダ25が伸縮するようにリッパ操作レバー14が操作されることにより、シャンク22がチルト動作する。リフトシリンダ26が伸縮するようにリッパ操作レバー14が操作されることにより、シャンク22がリフト動作する。
【0049】
図6は、本実施形態に係るリッパ作業機10のリフト動作を説明するための図である。図7は、本実施形態に係るリッパ作業機10のチルト動作を説明するための図である。
【0050】
図6に示すように、リフトシリンダ26が伸縮するようにリッパ操作レバー14が第1方向に操作されることにより、シャンク22がリフト動作する。シャンク22のリフト動作とは、シャンク22を上下方向に移動させる動作をいう。リフト動作は、シャンク22が上方に移動するリフトアップと、シャンク22が下方に移動するリフトダウンとを含む。シャンク22がリフトアップすると、リッパポイント23が作業対象100から離隔する。シャンク22がリフトダウンすると、リッパポイント23が作業対象100に接近して作業対象100に突き刺さる。
【0051】
図7に示すように、チルトシリンダ25が伸縮するようにリッパ操作レバー14が第2方向に操作されることにより、シャンク22がチルト動作する。シャンク22のチルト動作とは、シャンク22のチルト角を変化させる動作をいう。シャンク22のチルト角が変化することにより、シャンク22のリッパポイント23が前後方向に移動する。チルト動作は、リッパポイント23が前方に移動するチルトインと、リッパポイント23が後方に移動するチルトバックとを含む。リッパポイント23がチルトインすると、リッパポイント23が車体7に接近する。リッパポイント23がチルトバックすると、リッパポイント23が車体7から離隔する。
【0052】
図4において、コントローラ6は、データ受信部61と、走行制御部62と、掘削制御部63と、リッパ制御部64と、記憶部65と、データ送信部66とを有する。図3を参照して説明したプロセッサ1001は、データ受信部61、走行制御部62、掘削制御部63、リッパ制御部64、記憶部65、及びデータ送信部66を含む。なお、ストレージ1004が記憶部65を含んでもよい。インターフェース1004がデータ受信部61及びデータ送信部66を含んでもよい。
【0053】
データ受信部61は、作業機械2の位置を示す位置データ及びリッパ作業機10が作業対象をリッピング実行状態であるか否かを判定するための作業データを受信する。
【0054】
位置センサ11の検出データは、作業機械2の位置を示す。作業機械2の位置データは、位置センサ11の検出データを含む。データ受信部61は、作業機械2の位置データとして、位置センサ11の検出データを位置センサ11から受信する。データ受信部61は、作業機械2に設けられている通信ラインを介して位置センサ11から位置センサ11の検出データを受信する。
【0055】
リッパ作業機10の作業データは、リッパ操作レバー14の操作データ、走行操作レバー12の操作データ、及びシフトボタン12Sの操作データを含む。リッパ操作レバー14の操作データは、リッパ操作レバー14の操作量及び操作方向を含む。走行操作レバー12の操作データは、走行操作レバー12の操作量及び操作方向を含む。
【0056】
データ受信部61は、リッパ作業機10の作業データとして、リッパ操作レバー14の操作データをリッパ操作レバー14から受信し、走行操作レバー12の操作データを走行操作レバー12から受信し、シフトボタン12Sの操作データをシフトボタン12Sから受信する。
【0057】
データ受信部61は、作業機械2に設けられている通信ラインを介してリッパ操作レバー14からリッパ操作レバー14の操作データを受信する。データ受信部61は、作業機械2に設けられている通信ラインを介して走行操作レバー12から走行操作レバー12の操作データを受信する。データ受信部61は、作業機械2に設けられている通信ラインを介してシフトボタン12Sからシフトボタン12Sの操作データを受信する。データ受信部61は、作業機械2に設けられている通信ラインを介して掘削操作レバー13から掘削操作レバー13の操作データを受信する。データ受信部61は、一定の時間間隔(例えば1秒間隔)で作業機械2の位置データ及びリッパ作業機10の作業データを受信する。
【0058】
走行制御部62は、走行操作レバー12の操作データに基づいて、走行装置8を制御する。掘削制御部63は、掘削操作レバー13の操作データに基づいて、掘削作業機9を制御する。リッパ制御部64は、リッパ操作レバー14の操作データに基づいて、リッパ作業機10を制御する。
【0059】
記憶部65は、データ受信部61により受信された作業機械2の位置データ及びリッパ作業機10の作業データを記憶する。上述のように、データ受信部61は、一定の時間間隔で作業機械2の位置データを受信する。記憶部65は、データ受信部61による作業機械2の位置データの受信時刻と対応付けて作業機械2の位置データを記憶する。記憶部65は、データ受信部61によるリッパ作業機10の作業データの受信時刻と対応付けてリッパ作業機10の作業データを記憶する。記憶部65は、位置データ及び作業データの受信時刻に対応付けて位置データ及び作業データを記憶する。
【0060】
データ送信部66は、記憶部65に記憶されている位置データ及び作業データを、通信システム4を介してサーバ3に送信する。データ送信部66は、データ受信部61による受信時刻に対応付けられた位置データ及び作業データをサーバ3に送信する。
【0061】
サーバ3は、データ受信部31と、エリア設定部32と、リッピング演算部33と、出力制御部34とを有する。図3を参照して説明したプロセッサ1001は、データ受信部31、エリア設定部32、リッピング演算部33、及び出力制御部34を含む。
【0062】
データ受信部31は、データ送信部66から送信された作業機械2の位置データ及びリッパ作業機10の作業データを、通信システム4を介して受信する。データ受信部31は、データ受信部61による受信時刻に対応付けられた位置データ及び作業データを受信する。
【0063】
エリア設定部32は、リッパ作業機10の作業対象100を複数のエリア40に区画する。
【0064】
図8は、本実施形態に係る作業対象100に設定されたエリア40を模式的に示す図である。図8に示すように、エリア40は、作業対象100にマトリクス状に設定される。1つのエリア40は、正方形状である。1つのエリア40の長さは、例えば1m以上5m以下でもよいし、2m以上3m以下でもよい。エリア40の位置は、グローバル座標系において規定される。なお、1つのエリア40は、三角形状でもよいし、長方形状でもよいし、六角形状でもよいし、八角形状でもよい。
【0065】
リッピング演算部33は、データ受信部31により受信された位置データと作業データとに基づいて、作業機械2がリッパ作業機10で作業対象100をリッピング実行状態であるか否かを判定する。本実施形態において、リッピング演算部33は、作業機械2がエリア40をリッピングしているリッピング実行状態であるか否かを判定する。上述のように、作業データは、リッパ操作レバー14の操作データ、走行操作レバー12の操作データ、及びシフトボタン12Sの操作データを含む。リッピング演算部33は、作業機械2の位置データと、リッパ操作レバー14の操作データ、走行操作レバー12の操作データ、及びシフトボタン12Sの操作データとに基づいて、作業機械2がエリア40をリッピングしているリッピング実行状態であるか否かを複数のエリア40ごとに判定する。
【0066】
図9は、本実施形態に係るリッパ作業機10がリッピング実行状態であるか否かを判定するときの判定条件を示す図である。図10は、本実施形態に係るリッパ作業機10がリッピング実行状態であるか否かの判定方法を示すフローチャートである。
【0067】
なお、上述のように、リッピング実行状態とは、リッパポイント23が作業対象100に突き刺された状態をいう。リッピング解除状態とは、リッパポイント23が作業対象から抜去されている状態をいう。
【0068】
本実施形態において、リッピング演算部33は、走行装置8の変速段がニュートラル(N)又は前進1速(F1)になるように走行操作レバー12が操作されたか否かを判定する(ステップSE1)。
【0069】
ステップSE1において、走行装置8の変速段がニュートラル(N)又は前進1速(F1)になるように走行操作レバー12が操作されたと判定した場合(ステップSE1:Yes)、リッピング演算部33は、シャンク22がリフトダウンするようにリッパ操作レバー14が操作されたか否かを判定する(ステップSE2)。
【0070】
ステップSE2において、シャンク22がリフトダウンするようにリッパ操作レバー14が操作されたと判定した場合(ステップSE2:Yes)、リッピング演算部33は、作業機械2がリッピング実行状態に遷移したと判定する(ステップSE3)。
【0071】
リッピング演算部33は、走行装置8の変速段が前進3速(F3)又は後進(R)になるように走行操作レバー12が操作されたか否かを判定する(ステップSE4)。
【0072】
ステップSE4において、走行装置8の変速段が前進3速(F3)又は後進(R)になるように走行操作レバー12が操作されたと判定した場合(ステップSE4:Yes)、リッピング演算部33は、作業機械2がリッピング解除状態に遷移したと判定する(ステップSE5)。
【0073】
ステップSE1において、走行装置8の変速段がニュートラル(N)又は前進1速(F1)になるように走行操作レバー12が操作されていないと判定した場合(ステップSE1:No)、リッピング演算部33は、作業機械2がリッピング解除状態を維持していると判定する(ステップSE6)。
【0074】
ステップSE2において、シャンク22がリフトダウンするようにリッパ操作レバー14が操作されていないと判定した場合(ステップSE2:No)、リッピング演算部33は、作業機械2がリッピング解除状態を維持していると判定する(ステップSE7)。
【0075】
ステップSE4において、走行装置8の変速段が前進3速(F3)又は後進(R)になるように走行操作レバー12が操作されていないと判定した場合(ステップSE4:No)、リッピング演算部33は、作業機械2がリッピング実行状態を維持していると判定する(ステップSE8)。
【0076】
なお、図9及び図10を参照して説明した例では、リッパ作業機10がリッピング実行状態であるか否かを判定するときの判定条件として、シャンク22のリフトアップ及びリフトダウンが用いられる。リッパ作業機10がリッピング実行状態であるか否かを判定するときの判定条件として、リッパポイント23のチルトイン及びチルトバックが用いられてもよい。
【0077】
なお、リッパ作業機10がリッピング実行状態であるか否かを判定するときの判定条件は、図9及び図10を参照して説明した例に限定されない。リッパ操作レバー14の操舵状態、走行操作レバー12の操作状態、及びシフトボタン12Sの操作状態の少なくとも2つの操作状態の組み合わせで、リッパ作業機10がリッピング実行状態であるかリッピング解除状態であるかが判定されてもよい。また、作業機械2の速度データ、リッパ作業機10の位置(高さ)及びリッパシリンダ(チルトシリンダ25及びリフトシリンダ26の一方又は両方)に掛かる負荷の一方又は両方に基づいて、リッパ作業機10がリッピング実行状態であるかリッピング解除状態であるかが判定されてもよい。リッパシリンダに掛かる負荷は、リッパシリンダのボトム室の圧力を検出する圧力センサの検出データから導出することができる。
【0078】
リッピング演算部33は、作業機械2の位置データとリッパ作業機10の作業データとに基づいて、作業機械2がリッピング実行状態であるときの作業機械2に係るリッピングデータを算出する。
【0079】
リッピングデータは、作業機械2が作業対象100の複数のエリア40のそれぞれをリッピングした回数を示すリッピング回数を含む。リッピング演算部33は、エリア設定部32により設定されたエリア40がリッパ作業機10によりリッピングされた回数を示すリッピング回数を複数のエリア40ごとにカウントすることができる。
【0080】
図11は、本実施形態に係る複数のエリア40ごとにカウントされたリッピング回数を模式的に示す図である。本実施形態においては、リッパ作業機10がリッピング実行状態であると判定された状態で、位置センサ11により検出された作業機械2の基準位置がエリア40を1回だけ通過したと判定された場合、そのエリア40のリッピング回数が1回であると判定される。リッパ作業機10がリッピング実行状態であると判定された状態で、位置センサ11により検出された作業機械2の基準位置がエリア40を2回だけ通過したと判定された場合、そのエリア40のリッピング回数が2回であると判定される。リッパ作業機10がリッピング実行状態であると判定された状態で、位置センサ11により検出された作業機械2の基準位置がエリア40を3回だけ通過したと判定された場合、そのエリア40のリッピング回数が3回であると判定される。リッパ作業機10がリッピング実行状態であると判定された状態で、位置センサ11により検出された作業機械2の基準位置がエリア40をN回だけ通過したと判定された場合、そのエリア40のリッピング回数がN回であると判定される。
【0081】
なお、リッピング回数は、1台の作業機械2が1つのエリア40を通過した回数でもよいし、相互に異なる複数台の作業機械2それぞれが1つのエリア40を通過した回数の総和でもよい。
【0082】
また、リッピング実行状態からリッピング解除状態に変化するまでの連続した期間を1回のリッピングパスとして判断してもよい。複数の作業機械2の中から同一の作業機械2によるリッピングパスを特定するため、所定時間毎に取得される各作業データ及び各位置データに同一の作業機械2であることを示すID(identification)を付与するようにし、メッシュ(エリア40)の中に位置データから特定される点が1つ存在すれば通過回数を1回とカウントするようにしてもよい。その際、そのエリア内に同一IDの点であって連続する点が複数あっても、そのエリア40の通過回数は1回とカウントされてもよい。2つのIDの点がエリア40に含まれていた場合に、通過回数は2回とカウントされてもよい。
【0083】
なお、同一IDであって連続する複数の点に基づいてリッピング線が算出され、そのリッピング線がエリア40の少なくとも一部を通過すればそのエリア40についてのリッピング回数が1回であるとカウントされてもよい。
【0084】
また、リッピングデータは、リッピング回数を示したマップデータを含んでもよい。
【0085】
また、リッピングデータは、作業機械2が作業対象100をリッピングしているときの作業機械2の進行方向を示すリッピング方向を含む。リッピング演算部33は、作業機械2の位置データに基づいて、作業機械2がエリア40をリッピングした方向を示すリッピング方向を算出することができる。リッピング方向は、リッピング実行状態における作業機械2の進行方向である。上述のように、位置データは、その位置データの受信時刻に対応付けられている。リッピング演算部33は、リッパ作業機10がリッピング実行状態であるときの複数の受信時刻のそれぞれの位置データに基づいて、リッピング方向を算出することができる。
【0086】
なお、リッピング方向は、位置データに基づいて算出されなくてもよく、その他の方法で算出されてもよい。例えば作業機械2の車体7に搭載された慣性計測装置(IMU)等の計測データに基づいてリッピング方向が算出されてもよい。
【0087】
また、リッピングデータは、作業機械2が作業対象100のリッピングを開始した地点を示す開始地点又はリッピングを終了した地点を示す終了地点を含む。リッピング演算部33は、位置データと作業データとに基づいて、作業対象100においてリッピングが開始された地点を示す開始地点を算出することができる。リッピング演算部33は、位置データと作業データとに基づいて、作業対象100においてリッピングが終了した地点を示す終了地点を算出することができる。
【0088】
また、リッピングデータは、作業機械2が作業対象100をリッピングしているときの作業機械2の走行速度を示すリッピング速度を含む。また、リッピングデータは、作業機械2が作業対象100をリッピングしているときの時刻を含む。リッピング演算部33は、位置データに基づいて、作業機械2がエリア40をリッピングしているときの作業機械2の走行速度を示すリッピング速度を算出することができる。上述のように、位置データは、その位置データの受信時刻に対応付けられている。位置データは、一定の時間間隔(例えば1秒ごと)に受信される。リッピング演算部33は、第1受信時刻に受信された位置データと第2受信時刻に受信された位置データとに基づいて、リッピング速度を算出することができる。すなわち、リッピング演算部33は、第1受信時刻と第2受信時刻との時間と、第1受信時刻に検出された作業機械2の位置と第2受信時刻に検出された作業機械2の位置との距離とに基づいて、リッピング速度を算出することができる。
【0089】
なお、リッピング速度は、その他の方法で算出されてもよい。例えば作業機械2の走行速度を検出する速度センサの検出データ、又は車体7に搭載された慣性計測装置(IMU)等の計測データに基づいて、リッピング速度が算出されてもよい。
【0090】
なお、リッピング演算部33は、走行装置8の車軸の回転数に基づいて、リッピング速度を算出してもよい。
【0091】
出力制御部34は、リッピングデータを出力装置に出力させる。本実施形態において、出力装置は、サーバ3に接続された表示装置28を含む。表示装置28は、出力データとして表示データを出力する。表示装置28として、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)のようなフラットパネルディスプレイが例示される。出力制御部34は、所定の表示データを表示装置28に表示させる。
【0092】
図12は、本実施形態に係る表示装置28に表示される表示データを模式的に示す図である。なお、図12に示す表示データと作業現場の上空写真とが重畳するように表示装置28に表示されてもよい。
【0093】
本実施形態において、出力制御部34は、リッピング演算部33により算出されたエリア40とリッピング回数との関係を示す表示データを表示装置28に出力させる。また、出力制御部34は、リッピング演算部33により算出されたリッピング方向を表示装置28に表示させる。
【0094】
図12に示す例において、リッピング回数が1回であるエリア40に第1シンボル51が表示される。リッピング回数が2回であるエリア40に第2シンボル52が表示される。リッピング回数が3回であるエリア40に第3シンボル53が表示される。第1シンボル51に第1色彩が付される。第2シンボル52に第2色彩が付される。第3シンボル53に第3色彩が付される。
【0095】
管理センター5の管理者は、シンボル(51,52,53)のそれぞれの色彩に基づいて、エリア40ごとのリッピング回数を認識することができる。第1シンボル51、第2シンボル52、及び第3シンボル53のそれぞれは、矢印マークを含む。リッピング方向は、矢印の向きによって表される。管理者は、シンボル(51,52,53)のそれぞれの向きに基づいて、エリア40ごとのリッピング方向を認識することができる。管理者は、表示装置28に表示されたシンボル(51,52,53)を確認することにより、エリア40ごとのリッピング回数及びリッピング方向を認識することができる。
【0096】
出力制御部34は、リッピング演算部33により算出されたリッピングの開始地点を表示装置28に表示させる。出力制御部34は、リッピング演算部33により算出されたリッピングの終了地点を表示装置28に表示させる。図12に示す例において、開始地点に始点シンボル54が表示される。終点位置に終点シンボル55が表示される。管理センター5の管理者は、表示装置28に表示されたシンボル(54,55)を確認することにより、リッピングの開始地点及び終了地点を認識することができる。
【0097】
図12に示す例において、作業機械2は、第1の開始地点から第1の終了地点に向かってリッピング実行状態で所定方向に前進する。第1の終了地点に到達した作業機械2は、第1の開始地点の隣の第2の開始地点に向かってリッピング解除状態で所定方向とは逆方向に後進する。第2の開始地点に到達した作業機械は、第2の開始地点から第2の終了地点に向かってリッピング実行状態で所定方向に前進する。作業機械2は、リッピング実行状態で前進する動作とリッピング解除状態で後進する動作とを繰り返しながら、作業対象100をリッピングする。
【0098】
上述のように、位置データ及び作業データは、一定の時間間隔で受信される。開始地点と終了地点との間において、作業機械2の前進方向に相互に隣接するシンボル(51,52,53)の間隔が大きい場合、リッピング速度が高いことを意味する。開始地点と終了地点との間において、作業機械2の進行方向に相互に隣接するシンボル(51,52,53)の間隔が小さい場合、リッピング速度が低いことを意味する。
【0099】
リッピング条件が相互に異なる部分が作業対象100に存在する場合がある。例えば、軟らかい部分と硬い部分とが作業対象100に存在する場合がある。作業対象100の軟らかい部分を破砕する場合、リッパ作業機10によるリッピングは1回で済む可能性がある。作業対象100の硬い部分を破砕する場合、リッパ作業機10によるリッピングを複数回実施する必要が生じる可能性がある。図12に示す例において、リッピング回数が多いエリア40は、作業対象100の硬い部分であると推定することができる。
【0100】
<管理方法>
図13は、本実施形態に係る作業機械2の管理方法を示すフローチャートである。コントローラ6のデータ受信部61は、作業機械2の位置データ及びリッパ作業機10の作業データを一定の時間間隔で受信する(ステップSA1)。
【0101】
記憶部65は、位置データ及び作業データの受信時刻に対応付けて位置データ及び作業データを記憶する(ステップSA2)。
【0102】
データ送信部66は、受信時刻に対応付けて記憶部65に記憶されている複数の位置データ及び複数の作業データを、通信システム4を介してサーバ3に送信する(ステップSA3)。
【0103】
図8を参照して説明したように、サーバ3のエリア設定部32は、リッパ作業機10の作業対象100を複数のエリア40に区画する(ステップSB1)。
【0104】
データ受信部31は、ステップSA3においてコントローラ6から送信された位置データ及び作業データを受信する(ステップSB2)。
【0105】
リッピング演算部33は、ステップSB1において設定されたエリア40と、ステップSB2において受信された位置データ及び作業データとに基づいて、作業機械2がエリア40をリッピングした回数を示すリッピング回数を複数のエリア40ごとにカウントする(ステップSB3)。リッピング演算部33は、位置データと作業データとに基づいて、作業機械1がエリア40をリッピングした方向を示すリッピング方向を算出する(ステップSB4)。リッピング演算部33は、位置データと作業データとに基づいて、作業機械2が作業対象100のリッピングを開始した開始地点及びリッピングを終了した終了地点を算出する(ステップSB5)。
【0106】
出力制御部34は、ステップSB3においてカウントされたリッピング回数と、ステップSB4において算出されたリッピング方向と、ステップSB5において算出された開始地点及び終了地点とを含む表示データを表示装置28に表示させる(ステップSB6)。
【0107】
図12を参照して説明したように、リッピング回数は、相互に色彩が異なる複数のシンボル(51,52,53)により表示される。リッピング方向は、矢印マークである複数のシンボル(51,52,53)の向きにより表示される。開始地点は始点シンボル54により表示され、終了地点は終点シンボル55により表示される。リッピング速度は、作業機械2の進行方向に相互に隣接する一対のシンボル(51,52,53)の間隔により表示される。
【0108】
<効果>
以上説明したように、本実施形態に係る管理システム1のプロセッサ1001は、リッパ作業機10を有する作業機械2作業機械2の位置を示す位置データ、及びリッパ作業機10がリッピング実行状態であるか否かを判定するための作業データを受信するデータ受信部31と、位置データと作業データとに基づいて、リッピング状態であるときの作業機械2に係るリッピングデータを算出するリッピング演算部33と、算出されたリッピングデータを表示装置28に表示させる出力制御部34と、を備える。本実施形態によれば、例えばエリア40とリッピング回数との関係を示す表示データが表示装置28に表示されることにより、エリア40ごとのリッピング回数が可視化される。管理者は、エリア40ごとのリッピング回数を確認することにより、リッピングの作業計画を効率良く策定することができる。管理者は、表示装置28に表示された表示データを確認することにより、過去のリッピング実績をエリア40ごとに認識することができるので、例えばリッピング作業を実施予定の作業機械2のオペレータに重点的にリッピングすべきエリア40を教示したりリッピングしなくてもよいエリア40を教示したりすることができる。
【0109】
通常、リッピング作業は、例えば1週間といった長期間実施されるため、何名ものオペレータが交代しながら広いエリアをリッピングする。交代の際に新たなオペレータがリッピング回数のマップ(ヒートマップ)やリッピング方向を参照することで、自らのリッピング作業を効率的に行うことができる。また、広大なエリアをリッピングする場合は、複数台の作業機械2によって作業場所を分けて並行して各々リッピング作業する場合があるが、隣接するエリアのマップ情報を参照することで自らのリッピング作業を効率化することも可能である。
【0110】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0111】
<表示装置及びサーバ>
図14は、本実施形態に係る表示装置28に表示される表示データを模式的に示す図である。走行装置8は、ステアリング可能である。図4を参照して説明したように、走行操作レバー12がLH方向に操作されることにより、走行装置8が左方にステアリングされる。走行操作レバー12がRH方向に操作されることにより、走行装置8が右方にステアリングされる。データ受信部61は、位置データ及び作業データととともに、一定の時間間隔で走行装置8がステアリング実行状態であるか否かを判定するためのステアリングデータを受信する。ステアリング実行状態とは、走行装置8がステアリングされている状態をいう。
【0112】
ステアリングデータは、走行操作レバー12のLH方向又はRH方向への操作量を示す操作データを含んでもよい。上述のように、走行装置8が一方の履帯17に制動力を与える第1の油圧ブレーキと他方の履帯17に制動力を与える第2の油圧ブレーキとを有する場合、第1の油圧ブレーキによる制動力と第2の油圧ブレーキによる制動力とに差によって、走行装置8がステアリングする。ステアリングデータは、第1の油圧ブレーキに制動力を発生させる第1ブレーキ指令油圧及び第2の油圧ブレーキに制動力を発生させる第2ブレーキ指令油圧でもよい。
【0113】
リッピング演算部33は、作業機械2の牽引力とステアリングデータと作業データとに基づいて、作業機械2が作業対象100をリッピングしているリッピング実行状態において走行装置8がステアリング実行状態である特定走行状態であるか否かを判定する。すなわち、リッピング演算部33は、作業データとステアリングデータとに基づいて、リッパ作業機10がリッピング実行状態且つ走行装置8がステアリング実行状態である特定走行状態(アブユース状態)であるか否かを判定する。
【0114】
リッピング実行状態においてステアリング操作がなされるとリッパに過大な負荷がかかりリッパの破損原因になるため、アブユース(異常な使われ方)状態であるとして推奨されていない。
【0115】
本実施形態において、リッピング演算部33は、リッピング実行状態で直進している走行装置8のステアリング角度が予め定められている閾値を上回った場合に、特定走行状態であると判定する。ステアリングデータが走行操作レバー12の操作量を示す操作データである場合、リッピング演算部33は、走行操作レバー12の中立位置からのLH方向又はRH方向への操作量が予め定められている操作量閾値を上回った場合に、走行装置8がステアリングされたと判定してもよい。ステアリングデータが油圧ブレーキに制動力を発生させるブレーキ指令油圧である場合、リッピング演算部33は、第1ブレーキ指令油圧及び第2ブレーキ指令油圧のどちらか一方が予め定められている油圧閾値を上回った場合に、走行装置8がステアリングされたと判定してもよい。
【0116】
作業機械2の牽引力は、エンジン16の回転数に基づいて算出されるエンジン16の出力トルク、チルトシリンダ25及びリフトシリンダ26に供給される作動油を吐出する油圧ポンプ(不図示)の負荷トルク、及び履帯17の寸法等に基づいて算出される。牽引力が予め定められているトラクション閾値以上の状態において、リッパ作業機10がリッピング実行状態であり、走行装置8がステアリングされていると判定した場合、リッピング演算部33は、作業機械2が特定走行状態であると判定する。
【0117】
図14に示すように、出力制御部34は、作業機械2が特定走行状態であることを示す特定走行データを表示データとして表示装置28に表示させる。特定走行データは、特定走行状態の継続時間を含む。特定走行データは、特定走行状態が生じたときの作業機械2の位置を含む。特定走行データは、特定走行状態が生じた回数を含む。
【0118】
なお、特定走行データは、特定走行状態が生じた位置と特定走行状態が生じた回数とを組み合わせたマップデータを含んでもよい。
【0119】
なお、特定走行データは、特定走行状態が生じた回数と作業機械2のオペレータデータとを組み合わせたデータを含んでもよい。オペレータデータとして、作業機械2を操作するオペレータのIDが例示される。例えば、作業機械2が新人(未熟練)のオペレータにより操作される場合、特定走行状態が生じた回数と作業機械2の新人のオペレータに係るオペレータデータとを組み合わせたデータに基づいて、新人のオペレータを指導又は教育することができる。
【0120】
図14に示す例において、特定走行状態の継続時間が1秒のエリア40に第4シンボル71が表示される。特定走行状態の継続時間が2秒のエリア40に第5シンボル72が表示される。特定走行状態の継続時間が3秒のエリア40に第6シンボル73が表示される。第4シンボル71に第4色彩が付される。第5シンボル72に第5色彩が付される。第6シンボル73に第6色彩が付される。
【0121】
管理センター5の管理者は、シンボル(71,72,73)のそれぞれの色彩に基づいて、特定走行状態の継続時間を認識することができる。本実施形態において、第4シンボル71、第5シンボル72、及び第6シンボル73のそれぞれは、クロスマークである。管理者は、シンボル(71,72,73)のそれぞれの位置に基づいて、特定走行状態が生じたエリア40の位置を認識することができる。管理者は、シンボル(71,72,73)の数に基づいて、特定走行状態が生じた回数を認識することができる。管理者は、表示装置28に表示されたシンボル(71,72,73)を確認することにより、エリア40ごとの特定走行状態を認識することができる。
【0122】
<管理方法>
図15は、本実施形態に係る作業機械2の管理方法を示すフローチャートである。コントローラ6のデータ受信部61は、作業機械2の位置データとリッパ作業機10の作業データと走行装置8のステアリングデータとを一定の時間間隔で受信する(ステップSC1)。
【0123】
記憶部65は、位置データ、作業データ、及びステアリングデータの受信時刻に対応付けて位置データと作業データとステアリングデータとを記憶する(ステップSC2)。
【0124】
データ送信部66は、受信時刻に対応付けて記憶部65に記憶されている位置データと作業データとステアリングデータとを、通信システム4を介してサーバ3に送信する(ステップSC3)。
【0125】
上述の第1実施形態と同様、サーバ3のエリア設定部32は、リッパ作業機10の作業対象100を複数のエリア40に区画する(ステップSD1)。
【0126】
データ受信部31は、ステップSC3においてコントローラ6から送信された位置データと作業データとステアリングデータとを受信する(ステップSD2)。
【0127】
上述の第1実施形態と同様、リッピング演算部33は、ステップSD1において設定されたエリア40と、ステップSD2において受信された位置データ及び作業データとに基づいて、リッピング回数を複数のエリア40ごとにカウントする。リッピング演算部33は、位置データと作業データとに基づいて、作業機械2がエリア40をリッピングした方向を示すリッピング方向を算出する(ステップSB4)。
【0128】
リッピング演算部33は、位置データと作業データとに基づいて、作業対象100においてリッピングが開始された開始地点及びリッピングが終了した終了始点を算出する。
【0129】
リッピング演算部33は、ステップSD2において受信された作業データとステアリングデータとに基づいて、特定走行状態(アブユース状態)の継続時間を算出する(ステップSD3)。
【0130】
リッピング演算部33は、ステップSD2において受信された位置データと作業データとステアリングデータとに基づいて、特定走行状態が生じた作業機械2の位置を算出する(ステップSD4)。
【0131】
出力制御部34は、リッピング回数及びリッピング方向を示すシンボル(51,52,53)と、開始地点及び終了地点を示すシンボル(54,55)とを表示装置28に表示させる。図14に示す例においては、リッピング回数及びリッピング方向を示す第1シンボル51と、開始時点を示す始点シンボル54とが表示装置28に表示される。出力制御部34は、ステップSD3において算出された特定走行状態の継続時間及びステップSD4において算出されたアブユース状態が生じた作業機械2の位置を示すシンボル(71,72,73)を表示装置28に表示させる。
【0132】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、リッピング演算部33は、走行装置8のステアリングデータとリッパ作業機10の作業データとに基づいて、リッパ作業機10がリッピング実行状態において走行装置8がステアリングされた特定走行状態であるか否かを判定する。出力制御部34は、作業機械2が特定走行状態であることを示すアブユースデータを表示装置28に表示させる。リッパ作業機10がリッピング実行状態において走行装置8がステアリングされた特定走行状態においては、リッパ作業機10に大きな負荷が掛かり、リッパ作業機10が故障する可能性がある。本実施形態によれば、特定走行データが表示装置28に表示されることにより、作業機械2が特定走行状態であることが可視化される。管理者は、特定走行データを確認することにより、作業機械2のオペレータを教育又は指導することができる。また、特定走行状態が頻発する位置が存在する場合、管理者は、表示装置28を確認することにより、特定走行状態が頻発する位置を確認することができる。管理者は、特定走行状態が生じないようにリッピングの作業計画を策定することができる。
【0133】
<その他の実施形態>
図16図17図18、及び図19のそれぞれは、その他の実施形態に係る表示装置28に表示される表示データを模式的に示す図である。図16は、図12を参照して説明した表示データの変形例である。
【0134】
図16に示すように、リッピング速度に基づいて、第1シンボル51、第2シンボル52、及び第3シンボル53の長さが変更されてもよい。出力制御部34は、リッピング速度が高いほどシンボル(51,52,53)の長さが長くなるように表示し、リッピング速度が低いほどシンボル(51,52,53)の長さが短くなるように表示する。
【0135】
図17に示すように、リッピング軌跡がラインシンボル(81,82,83)で表示されてもよい。ラインシンボル(81,82,83)の端部には、リッピング方向を示す矢印が付される。また、ラインシンボル(81,82,83)は、ブルドーザ2がエリア40をリッピングしているときの時刻を示す。第1ラインシンボル81は、エリア40が第1時刻(例えば9時30分)にリッピングされていることを示す。第2ラインシンボル82は、エリア40が第2時刻(例えば10時00分)にリッピングされていることを示す。第3ラインシンボル83は、エリア40が第3時刻(例えば10時30分)にリッピングされていることを示す。表示装置28に表示される第1ラインシンボル81の色彩と第2ラインシンボル82の色彩と第3ラインシンボル83の色彩とは、異なる。管理者は、ラインシンボル(81,82,83)の色彩に基づいて、エリア40がリッピングされた時刻を認識することができる。なお、第1ラインシンボル81の太さと第2ラインシンボル82の太さと第3ラインシンボル83の太さとが異なってもよい。第1ラインシンボル81の線種と第2ラインシンボル82の線種と第3ラインシンボル83の線種とが異なってもよい。
【0136】
図18に示すように、リッピング回数がヒートマップ表示されてもよい。リッピング回数が1回のエリア40が第1色濃度又は第1色彩の第1エリアシンボル91として表示される。リッピング回数が2回のエリア40が第2色濃度又は第2色彩の第2エリアシンボル92として表示される。リッピング回数が3回のエリア40が第3色濃度又は第3色彩の第3エリアシンボル93として表示される。図18に示す表示データは、リッピング軌跡及びリッピング方向を示すラインシンボル80を含む。
【0137】
図19に示すように、リッピング回数がヒートマップ表示されるとともに、エリア設定部32により設定されたエリア40が表示されてもよい。
【0138】
上述の実施形態において、リッピング実行状態において位置センサ11により検出された作業機械2の基準位置がエリア40を通過した回数がリッピング回数としてカウントされることとした。シャンク22の姿勢を検出する姿勢センサが設けられる場合、リッピング演算部33は、姿勢センサの検出データに基づいて、作業機械2の基準位置とリッパポイント23との相対位置を算出することができる。リッピング演算部33は、リッピング実行状態においてリッパポイント23がエリア40を通過した回数をリッピング回数としてカウントしてもよい。シャンク22の姿勢を検出する姿勢センサとして、チルトシリンダ25及びリフトシリンダ26のそれぞれのストローク量を検出するストロークセンサが例示される。
【0139】
上述の実施形態において、図9及び図10を参照して説明したように、リッピング演算部33は、走行操作レバー12の操作データ及びリッパ操作レバー14の操作データに基づいて、リッピング実行状態であるか否かを判定することとした。例えばシャンク22の姿勢を検出する姿勢センサが作業機械2に設けられる場合、リッピング演算部33は、姿勢センサの検出データに基づいて、シャンク22がリフトダウンしているか否かを判定したり、リッパポイント23がチルトインしているか否かを判定したりしてもよい。シャンク22の姿勢を検出する姿勢センサとして、シャンク22に設けられる慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)が例示される。また、走行装置8が前進しているか否かを検出する前後進センサが作業機械2に設けられる場合、リッピング演算部33は、前後進センサの検出データに基づいて、走行装置8が前進しているか否かを判定してもよい。走行装置8が前進しているか否かを検出する前後進センサとして、履帯17を回転させる駆動輪の回転方向を検出するポテンショメータが例示される。
【0140】
上述の実施形態において、出力装置が表示装置28であることとした。出力装置は、出力データとして音声データを出力する音声出力装置でもよい。出力装置は、出力データとして印刷データを出力する印刷装置でもよい。
【0141】
上述の実施形態において、リッピング演算部33は、複数の位置データのそれぞれの受信時刻に基づいて、リッピング速度を算出することとした。走行装置8の走行速度を検出可能な車速センサが作業機械2に設けられる場合、リッピング演算部33は、車速センサの検出データに基づいて、リッピング速度を算出してもよい。
【0142】
上述の実施形態において、コントローラ6の機能の少なくとも一部がサーバ3に設けられてもよい。サーバ3の機能の少なくとも一部がコントローラ6に設けられてもよい。例えば、リッピング演算部33の機能がコントローラ6に設けられてもよい。コントローラ6に設けられたリッピング演算部33は、データ受信部61により受信された位置データ及び作業データに基づいて、リッピング回数をエリア40ごとにカウントすることができる。コントローラ6においてカウントされたリッピング回数は、通信システム4を介してサーバ3に送信されてもよい。サーバ3の出力制御部34は、コントローラ6においてカウントされたリッピング回数とエリア40との関係を示す表示データを管理センター5に配置されている表示装置28に表示させてもよい。
【0143】
上述の実施形態においては、走行操作レバー12、掘削操作レバー13、及びリッパ操作レバー14のそれぞれが、車体7の運転室に配置されることとした。すなわち、作業機械2が、車体の運転室に搭乗したオペレータにより操作されることとした。走行操作レバー12、掘削操作レバー13、及びリッパ操作レバー14のそれぞれが、作業機械2の外部に配置されてもよい。すなわち、作業機械2が遠隔操作されてもよい。
【0144】
上述の実施形態において、データ受信部31、エリア設定部32、リッピング演算部33、及び出力制御部34のそれぞれが、別々のハードウエアにより構成されてもよい。データ受信部61、走行制御部62、掘削制御部63、リッパ制御部64、記憶部65、及びデータ送信部66のそれぞれが、別々のハードウエアにより構成されてもよい。
【0145】
上述の実施形態において、作業機械2は、ブルドーザであることとした。作業機械2は、リッパ作業機10を備える作業機械であればよい。例えば、ホイールローダ又はモータグレーダ等の作業機械にリッパ作業機10が設けられてもよい。
【0146】
上述の実施形態においては、作業データに基づいて、リッパ作業機10がリッピング実行状態であるか否かが判定されることとした。例えばリッパシリンダ(チルトシリンダ25及びリフトシリンダ26の一方又は両方)に掛かる負荷に基づいて、リッピング実行状態であるか否か判定されてもよい。リッパシリンダに掛かる負荷は、リッパシリンダのボトム室の圧力を検出する圧力センサの検出データから導出することができる。
【符号の説明】
【0147】
1…管理システム、2…作業機械、3…サーバ、4…通信システム、5…管理センター、6…コントローラ、7…車体、8…走行装置、9…掘削作業機、10…リッパ作業機、11…位置センサ、12…走行操作レバー、12D…シフトダウンボタン、12U…シフトアップボタン、12S…シフトボタン、13…掘削操作レバー、14…リッパ操作レバー、15…エンジン室、16…エンジン、17…履帯、18…掘削ブレード、18A…切刃、19…リフトフレーム、20…チルトシリンダ、21…リフトシリンダ、22…シャンク、23…リッパポイント、24…リッパアーム、25…チルトシリンダ、26…リフトシリンダ、27…ビーム、28…表示装置(出力装置)、31…データ受信部、32…エリア設定部、33…リッピング演算部、34…出力制御部、40…エリア、51…第1シンボル、52…第2シンボル、53…第3シンボル、54…始点シンボル、55…終点シンボル、61…データ受信部、62…走行制御部、63…掘削制御部、64…リッパ制御部、65…記憶部、66…データ送信部、71…第4シンボル、72…第5シンボル、73…第6シンボル、80…ラインシンボル、81…第1ラインシンボル、82…第2ラインシンボル、83…第3ラインシンボル、91…第1エリアシンボル、92…第2エリアシンボル、93…第3エリアシンボル、100…作業対象、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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