IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ビットキーの特許一覧

<>
  • 特開-端末装置、プログラム及び方法 図1
  • 特開-端末装置、プログラム及び方法 図2
  • 特開-端末装置、プログラム及び方法 図3
  • 特開-端末装置、プログラム及び方法 図4A
  • 特開-端末装置、プログラム及び方法 図4B
  • 特開-端末装置、プログラム及び方法 図5
  • 特開-端末装置、プログラム及び方法 図6A
  • 特開-端末装置、プログラム及び方法 図6B
  • 特開-端末装置、プログラム及び方法 図6C
  • 特開-端末装置、プログラム及び方法 図7
  • 特開-端末装置、プログラム及び方法 図8A
  • 特開-端末装置、プログラム及び方法 図8B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094974
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】端末装置、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/30 20130101AFI20240703BHJP
【FI】
G06F21/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211921
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】519055788
【氏名又は名称】株式会社ビットキー
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(72)【発明者】
【氏名】白川 大智
(57)【要約】
【課題】
より優れた端末装置、プログラム及び方法を提供する。
【解決手段】
通信ネットワークを介して管理装置及びユーザによる利用の制限の解除が可能な利用許可装置と通信可能に接続され、少なくとも一つのプロセッサを具備する端末装置であって、前記少なくとも一つのプロセッサは、利用許可機能と前記利用許可機能とは異なる他の機能とを少なくとも実行可能な第1アプリケーションを利用して前記管理装置から利用許可証を取得し、前記端末装置の位置があらかじめ決められた位置から所定の範囲内にある場合、前記利用許可機能を実行可能な第2アプリケーションを動作させ、前記第2アプリケーションの前記利用許可機能に基づいて前記利用許可装置に対して前記利用許可証を送信する、ための処理を実行するように構成された端末装置である。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して管理装置及びユーザによる利用の制限の解除が可能な利用許可装置と通信可能に接続され、少なくとも一つのプロセッサを具備する端末装置であって、
前記少なくとも一つのプロセッサは、
利用許可機能と前記利用許可機能とは異なる他の機能とを少なくとも実行可能な第1アプリケーションを利用して前記管理装置から利用許可証を取得し、
前記端末装置の位置があらかじめ決められた位置から所定の範囲内にある場合、前記利用許可機能を実行可能な第2アプリケーションを動作させ、
前記第2アプリケーションの前記利用許可機能に基づいて前記利用許可装置に対して前記利用許可証を送信する、
ための処理を実行するように構成された端末装置。
【請求項2】
前記第2アプリケーションはバックグラウンドで動作され、前記利用許可装置に対して前記利用許可機能を実行する、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記あらかじめ決められた位置は、前記利用許可装置が設置された位置である、請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記利用許可証は、前記利用許可装置から送信されるビーコン信号を受信することによって送信される、請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つのプロセッサは、
前記端末装置の現在地を示す位置情報を取得し、
取得した前記位置情報に基づいて前記あらかじめ決められた位置から所定の範囲内に前記端末装置があるか否かを判断し、
前記判断の結果、前記端末装置が所定の範囲内にあると判断された場合、前記第2アプリケーションを動作させる、
ための処理を実行するように構成された、請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
前記利用許可証は、取得された前記端末装置の現在地を示す位置情報に基づいて前記あらかじめ決められた位置から所定の範囲内に前記端末装置があると判断され、且つ前記ビーコン信号を受信することによって送信される、請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記利用許可装置は所定の区画への入場及び退場を少なくともいずれか一方を許容するための施錠装置である、請求項1に記載の端末装置。
【請求項8】
通信ネットワークを介して管理装置及びユーザによる利用の制限の解除が可能な利用許可装置と通信可能に接続され、少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて、前記少なくとも一つのプロセッサを、
利用許可機能と前記利用許可機能とは異なる他の機能とを少なくとも実行可能な第1アプリケーションを利用して前記管理装置から取得された利用許可証を、前記利用許可装置に対して送信するように機能させるプログラムであって、
前記プログラムは前記コンピュータの位置があらかじめ決められた位置から所定の範囲内にある場合に前記利用許可機能を動作可能にし、
前記利用許可証は前記プログラムの前記利用許可機能に基づいて送信される、
プログラム。
【請求項9】
通信ネットワークを介して管理装置及びユーザによる利用の制限の解除が可能な利用許可装置と通信可能に接続され、少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサにより実行される方法であって、
利用許可機能と前記利用許可機能とは異なる他の機能とを少なくとも実行可能な第1アプリケーションを利用して前記管理装置から利用許可証を取得する段階と、
前記コンピュータの位置があらかじめ決められた位置から所定の範囲内にある場合、前記利用許可機能を実行可能な第2アプリケーションを動作させる段階と、
前記第2アプリケーションの前記利用許可機能に基づいて前記利用許可装置に対して前記利用許可証を送信する段階と、
を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザによる利用の制限の解除に用いられる利用許可証の送信が可能な端末装置、プログラム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザにより利用が制限された施設等の利用に際して、ユーザを認証してその制限を解除するためのシステムが知られていた。例えば、特許文献1には、カジノ施設への入場に必要な処理に含まれる、ユーザの個人識別情報を用いた本人認証処理を、前記ユーザがカジノ施設へ入場する前に実行する確認処理部と、前記ユーザの生体情報を取得し、前記本人認証処理による確認結果と、取得した前記生体情報とを対応付けて記憶部に記憶する記憶制御部と、前記カジノ施設へ入場するユーザの生体情報を受け付け、前記記憶部を参照して、受け付けた前記生体情報に対応付けられた前記確認結果に基づいて、前記カジノ施設への入場の可否を判定する判定部と、を含む情報処理装置と、前記ユーザがカジノ施設へ入場する前に、前記本人認証処理に必要な情報を入力するための入力部と、前記生体情報を読み取るための読取部とを備えた操作端末と、前記ユーザが前記カジノ施設へ入場する際に、前記ユーザの生体情報を読み取るための読取装置と、を含む情報処理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-135813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上述した背景からなされたものであり、より優れた端末装置、プログラム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、「通信ネットワークを介して管理装置及びユーザによる利用の制限の解除が可能な利用許可装置と通信可能に接続され、少なくとも一つのプロセッサを具備する端末装置であって、前記少なくとも一つのプロセッサは、利用許可機能と前記利用許可機能とは異なる他の機能とを少なくとも実行可能な第1アプリケーションを利用して前記管理装置から利用許可証を取得し、前記端末装置の位置があらかじめ決められた位置から所定の範囲内にある場合、前記利用許可機能を実行可能な第2アプリケーションを動作させ、前記第2アプリケーションの前記利用許可機能に基づいて前記利用許可装置に対して前記利用許可証を送信する、ための処理を実行するように構成された端末装置」が提供される。
【0006】
本開示の一態様によれば、「通信ネットワークを介して管理装置及びユーザによる利用の制限の解除が可能な利用許可装置と通信可能に接続され、少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて、前記少なくとも一つのプロセッサを、利用許可機能と前記利用許可機能とは異なる他の機能とを少なくとも実行可能な第1アプリケーションを利用して前記管理装置から取得された利用許可証を、前記利用許可装置に対して送信するように機能させるプログラムであって、前記プログラムは前記コンピュータの位置があらかじめ決められた位置から所定の範囲内にある場合に前記利用許可機能を動作可能にし、前記利用許可証は前記プログラムの前記利用許可機能に基づいて送信される、プログラム」が提供される。
【0007】
本開示の一態様によれば、「通信ネットワークを介して管理装置及びユーザによる利用の制限の解除が可能な利用許可装置と通信可能に接続され、少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサにより実行される方法であって、利用許可機能と前記利用許可機能とは異なる他の機能とを少なくとも実行可能な第1アプリケーションを利用して前記管理装置から利用許可証を取得する段階と、前記端末装置の位置があらかじめ決められた位置から所定の範囲内にある場合、前記利用許可機能を実行可能な第2アプリケーションを動作させる段階と、前記第2アプリケーションの前記利用許可機能に基づいて前記利用許可装置に対して前記利用許可証を送信する段階と、を含む方法」が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、より優れた端末装置、プログラム及び方法を提供することができる。
【0009】
なお、上記効果は説明の便宜のための例示的なものであるにすぎず、限定的なものではない。上記効果に加えて、又は上記効果に代えて、本開示中に記載されたいかなる効果や当業者であれば明らかな効果を奏することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態に係る処理システム1の構成を概略的に示す概念図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る端末装置100の構成の例を示すブロック図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係る管理装置200の構成の例を示すブロック図である。
図4A図4Aは、本開示の実施形態に係る管理装置200に記憶されるユーザ情報テーブルを概念的に示す図である。
図4B図4Bは、本開示の実施形態に係る管理装置200に記憶される鍵情報テーブルを概念的に示す図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係る第1アプリケーションと第2アプリケーションの各機能を概略的に示す図である。
図6A図6Aは、本開示の実施形態に係る処理システム1の各装置間で実行される処理シーケンスを示す図である。
図6B図6Bは、本開示の実施形態に係る処理システム1の各装置間で実行される処理シーケンスを示す図である。
図6C図6Cは、本開示の実施形態に係る処理システム1の各装置間で実行される処理シーケンスを示す図である。
図7図7は、本開示の実施形態に係る処理システム1において位置情報やビーコン信号が取得され利用許可証が送信されるタイミングを概略的に示す図である。
図8A図8Aは、本開示の実施形態に係る管理装置200において実行される処理フローを示す図である。
図8B図8Bは、本開示の実施形態に係る端末装置100において実行される処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお、図面における共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。
【0012】
1.本開示に係る処理システム1の概要
本開示に係る処理システム1は、ユーザによる利用が制限された対象物に対して、その利用を制限することが可能な利用許可装置に利用許可証を送信することによって制限を解除することが可能である。処理システム1は、典型的には、入場及び退場の少なくともいずれか一方が出入り口のドアの施錠等により制限された家屋において、ドアに設置された利用許可装置に利用許可証を送信してその施錠を解除し、ユーザを入場可能にするために利用される。なお、ここでは利用が制限された対象物の例として家屋を挙げたが、当然他の対象物であってもよい。他の対象物としては、例えば、ホテル、旅館、民泊施設、倉庫、住居、集合住宅(集合住宅の建物全体及び個々の部屋を含む)、ビル(ビル全体及びビル内で区画されている個々の部屋を含む)、金庫等の壁等により空間的に区分けされた区画、自動車、自転車、自動二輪車等の移動体、飛行機、船舶、列車、バス等の公共交通機関、電子カルテ、電子書籍、動画コンテンツ、ゲームコンテンツ等の電子データ、スマートフォン、PC、ゲーム機等の電子機器などが挙げられる。以下では、説明の便宜のために、利用が制限された対象物として家屋の場合について説明する。
【0013】
図1は、本開示の実施形態に係る処理システム1の構成を概略的に示す概念図である。具体的には、図1は、処理システム1を構成する各装置等とその位置関係について説明するための図である。図1によると、処理システム1は、ユーザ10が所持可能な端末装置100と、当該端末装置100と通信ネットワーク(有線、無線、又はそれらの組み合わせを含む通信ネットワーク)を介して通信可能に接続された管理装置200と、当該端末装置100と通信ネットワーク(有線、無線、又はそれらの組み合わせを含む通信ネットワーク)を介して通信可能に接続された利用許可装置300とを含む。図1では、このような処理システム1が、ユーザ10の利用が施錠により制限された家屋500において、屋外から屋内に入場するときに通過するドア400の施錠を解除することにより、その制限を解除することが示されている。すなわち、端末装置100は、ユーザ10により所持された端末装置100が所定の範囲Dx内にある場合に、ドアに設置された利用許可装置300(図1の例では施錠装置)に対して、管理装置200で発行された利用許可証を端末装置100から送信することで、その制限(施錠)を解除しユーザ10を家屋500の内部に入場可能にする。
【0014】
ここで、図1において特に図示はしていないものの、端末装置100には複数の機能があり起動や各機能の実行に係る処理に時間を要し、処理時にメモリの占有量や処理負担が相対的に多くなる可能性が高い第1アプリケーションと、第1アプリケーションに比して一部の機能のみが存在し起動や各機能の実行に係る処理が相対的に短時間で済み、処理時にメモリの占有率や処理負担が相対的に少なくなる可能性が高い第2アプリケーションがインストールされている。そして、図1に示す通り、所定の範囲Dx内に当該端末装置100がある場合に、第1アプリケーションではなく、より処理負担が軽い第2アプリケーションが起動されて、管理装置200から取得した利用許可証を利用許可装置300に送信する処理が実行される。
【0015】
なお、図1の例では、端末装置100、管理装置200及び利用許可装置300のいずれも1台ずつの構成で記載しているが、当然に各装置が複数あってもよい。また、管理装置200と利用許可装置300との間は図1においては特に示されていないものの、端末装置100を介することなく通信ネットワークを介して通信可能に接続されていてもよい。また、図1において管理装置200はサーバ装置として記載されているが、管理装置200において行われる各処理や情報の記憶は、複数のサーバ装置に分散して行わせることも可能である。
【0016】
また、本開示において「第1」や「第2」等の記載がなされることがあるが、特に言及する場合を除き、これらは両者を説明の便宜のために記載した呼称であるにすぎない。したがって、「第1」や「第2」等の記載がなされていたとしても、これらが付された二つの要素のみに限定されることを意味するわけではない。当然に、「第3」、「第4」及びそれ以上の複数の要素が含まれていてもよい。
【0017】
2.端末装置100の構成
図2は、本開示の実施形態に係る端末装置100の構成の例を示すブロック図である。端末装置100は、図2に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。
【0018】
端末装置100は、典型的には、スマートフォンに代表される無線通信可能な端末装置が挙げられるが、当然当該装置のみには限られない。例えば、端末装置としては、フィーチャーフォン、タブレット、スマートウォッチ、携帯情報端末、PDA、ラップトップパソコン、携帯型ゲーム機など、ユーザが所持可能であり、本開示に係るプログラムを実行可能な装置であれば、いずれでも好適に適用することが可能である。また、端末装置100として複数の端末装置が利用可能である場合、これらの端末装置の全てが同種の端末装置である必要はなく、互いに異なる種類の端末装置であってもよい。
【0019】
図2によると、端末装置100は、出力インターフェイス111と、プロセッサ112と、RAM、ROM、又は不揮発性メモリ(場合によっては、HDD)等を含むメモリ113と、通信処理回路及びアンテナを含む通信インターフェイス114と、タッチセンサ及びハードキーを含む入力インターフェイス115と、センサ116とを含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0020】
出力インターフェイス111は、プロセッサ112の指示に応じて本開示に係るプログラムを実行することによって出力される各種表示を、ディスプレイやプリンタ等の機器に出力する出力部として機能する。なお、このようなディスプレイは、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又は電子ペーパー等から構成される。
【0021】
プロセッサ112は、CPU(マイクロコンピュータ:マイコン)から構成され、メモリ113に記憶された各種プログラムに基づいて、接続された他の構成要素を制御する制御部として機能する。具体的には、プロセッサ112は、本開示に係るアプリケーションを実行するためのプログラムやOSを実行するためのプログラムをメモリ113から読み出して実行する。本開示においては、プロセッサ112は、特に、第1アプリケーション及び/又は第2アプリケーションを起動して、図6A図6Cの処理シーケンスで記載された各処理等を実行する(処理の詳細は、図6A図6C等において説明する。)。なお、プロセッサ112は、単一のCPUで構成されても良いが、複数のCPUやGPUを組み合わせて構成しても良い。
【0022】
メモリ113は、ROM、RAM、不揮発性メモリ、HDD等から構成され、記憶部として機能する。ROMは、本開示に係るアプリケーションやOSを実行するための指示命令をプログラムとして記憶する。RAMは、ROMに記憶されたプログラムがプロセッサ112により処理されている間、データの書き込み及び読み込みをするために用いられる。不揮発性メモリは、当該プログラムの実行によってデータの書き込み及び読み込みが実行されるメモリであって、ここに書き込まれたデータは、当該プログラムの実行が終了した後でも保存される。本開示においては、メモリ113は、特に、第1アプリケーション及び第2アプリケーションを含め、図6A図6Cの処理シーケンスで記載された各処理等を実行するプログラムを記憶する(処理の詳細は、図6A図6C等において説明する。)。
【0023】
通信インターフェイス114は、通信処理回路及びアンテナを介して、遠隔に設置された管理装置200、利用許可装置300、他の端末装置や管理装置との間で情報の送受信をする通信部として機能する。通信処理回路は、処理システム1において用いられるプログラムや各種情報等を処理の進行に応じて送受信するための処理をする。本開示においては、通信インターフェイス114は、管理装置200に対し第1アプリケーションの登録要求、ログイン要求、利用許可設定要求、第2アプリケーションの登録要求、利用情報等を送信するともに、利用許可装置300に対し利用許可証等を送信する。また、通信インターフェイス114は、管理装置200から登録完了通知、許可通知、設定情報、権限要求等を受信するとともに、利用許可装置300からビーコン信号、制限解除通知、利用情報等を受信する。
【0024】
通信処理回路は、LTE方式に代表されるような広帯域の無線通信方式に基づいて処理されるが、IEEE802.11に代表されるような無線LANやBluetooth(登録商標)のような狭帯域の無線通信に関する方式や非接触無線通信に関する方式に基づいて処理することも可能である。また、無線通信に代えて、又は加えて、有線通信を用いることも可能である。
【0025】
入力インターフェイス115は、タッチパネルやハードキー等から構成され、本開示に係るプログラムの実行に係る指示入力や、様々な情報を登録するための操作入力等を受け付ける入力部として機能する。タッチパネルは、出力インターフェイス111を被覆するように配置され、出力インターフェイス111からディスプレイに出力される画像データに対応する位置座標の情報を、プロセッサ112に送信する。タッチパネル方式としては、抵抗膜方式、静電容量結合方式、超音波表面弾性波方式など、公知の方式を利用することができる。本開示においては、タッチパネルは、指示体により出力インターフェイス111に表示された各アイコン等に対するスワイプ操作やタップ操作を検出する。なお、本開示では端末装置100に備えられる入力インターフェイス115を用いたが、例えばマウスのような、プロセッサ112等を備える本体に無線又は有線で接続された入力インターフェイス115を用いることも可能である。
【0026】
センサ116は、端末装置100の現在の位置情報を取得するための位置情報取得部として機能する。このようなセンサ116の典型としては、GPSセンサが挙げられる。GPSセンサは、所定間隔で現在地を緯度経度の座標情報として取得することが可能である。なお、GPSセンサはセンサ116の一例であるに過ぎず、例えばWiFiのアクセスポイントや広帯域無線通信の基地局の情報なども位置情報と利用することが可能であり、これらの情報を取得可能な通信処理ユニットもセンサ116の一例に該当する。また、利用される位置情報は、緯度経度等の座標情報に限らず、現在の住所、現実空間に形成されたエリア(市区町村や都道府県など)、建造物や近隣のランドマークを特定する情報等であってもよい。
【0027】
3.管理装置200の構成
図3は、本開示の実施形態に係る管理装置200の構成の例を示すブロック図である。管理装置200は、図3に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。また、管理装置200は単一の筐体に図3に図示するものを備える必要はなく、管理装置200の各構成要素及び処理を複数の管理装置、サーバ装置やクラウドサーバ装置に分配することも可能である。
【0028】
図3によると、管理装置200は、RAM、ROM、及び不揮発性メモリ、HDD等を含むメモリ211、CPU等から構成されるプロセッサ212及び通信インターフェイス213を含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0029】
メモリ211は、RAM、ROM、不揮発性メモリ、HDDを含み、記憶部として機能する。ROMは、本開示に係るアプリケーションやOSを実行するための指示命令をプログラムとして記憶する。このようなプログラムは、プロセッサ212によってロードされ実行される。RAMは、ROMに記憶されたプログラムがプロセッサ212によって処理されている間、データの書き込み及び読み込みを実行するために用いられる。不揮発性メモリは、当該プログラムの実行によってデータの書き込み及び読み込みが実行されるメモリであって、ここに書き込まれたデータは、当該プログラムの実行が終了した後でも保存される。本開示においては、プロセッサ212は、特に、図6A図6Cの処理シーケンスで記載された各処理等を実行するためのプログラムを記憶する(処理の詳細は、図6A図6C等において説明する。)。また、メモリ211は、ユーザ情報テーブル(図4A)やオブジェクト情報テーブル(図4B)の各種情報を記憶する。なお、これらの情報は、必要に応じて管理装置200と通信可能に接続されたデータベースにこれらの情報を記憶してもよい(この場合、データベースもメモリ211の一つとして含みうる)。
【0030】
プロセッサ212は、CPU(マイクロコンピュータ:マイコン)から構成され、メモリ211に記憶された各種プログラムに基づいて、接続された他の構成要素を制御するための制御部として機能する。具体的には、プロセッサ112は、本開示に係るアプリケーションを実行するためのプログラムやOSを実行するためのプログラムをメモリ113から読み出して実行する。本開示においては、プロセッサ212は、特に、図6A図6Cの処理シーケンスで記載された各処理等を実行する(処理の詳細は、図6A図6C等において説明する。)。なお、プロセッサ212は、単一のCPUで構成されても良いが、複数のCPUで構成しても良い。
【0031】
通信インターフェイス213は、通信処理回路及びアンテナを介して、遠隔に設置された端末装置100や他の管理装置、サーバ装置との間で情報の送受信をする通信部として機能する。通信処理回路は、処理システム1において用いられるプログラムや各種情報等を処理の進行に応じて情報を送受信するための処理をする。本開示においては、通信インターフェイス213は、端末装置100から第1アプリケーションの登録要求、ログイン要求、利用許可設定要求、第2アプリケーションの登録要求、利用情報等を受信するともに、端末装置100に対し登録完了通知、許可通知、設定情報、権限要求等を送信する。
【0032】
通信処理回路は、LTE方式に代表されるような広帯域の無線通信方式に基づいて処理されるが、IEEE802.11に代表されるような無線LANやBluetooth(登録商標)のような狭帯域の無線通信に関する方式や非接触無線通信に関する方式に基づいて処理することも可能である。また、無線通信に代えて、又は加えて、有線通信を用いることも可能である。
【0033】
なお、図2及び図3において、特に利用許可装置300の具体的な構成については図示していないものの、プロセッサ、通信インターフェイス、メモリなど、図2の端末装置100と共通する構成を有する。
【0034】
4.管理装置200のメモリ211に記憶される情報
図4Aは、本開示の実施形態に係る管理装置200に記憶されるユーザ情報テーブルを概念的に示す図である。ユーザ情報テーブルに記憶される情報のうち、ユーザIDは新たに第1アプリケーションへの登録要求が届くごとに新たに生成され、他の情報は処理の進行に応じて随時更新・記憶される。
【0035】
図4Aによると、当該ユーザ情報テーブルには、ユーザIDに対応付けて、ユーザ名、メールアドレス、ログイン情報等が記憶される。「ユーザID」は、各ユーザに固有の情報で各ユーザを特定するための情報である。ユーザIDは、第1アプリケーションへの登録要求が届くごとに新たに生成される。「ユーザ名」は、ユーザIDにより特定されるユーザの呼称や表示名を示す情報である。ユーザ名は、管理装置200によって自動的に発生させてもよいし、ユーザが入力した任意の文字列であってもよい。「メールアドレス」は、ユーザIDにより特定されるユーザに対してメッセージの送信先となる情報である一方で、第1アプリケーションや第2アプリケーションなど管理装置200によって提供される各種サービス・機能にログインする場合のID情報として利用することも可能である。「ログイン情報」は第1アプリケーションや第2アプリケーションなど管理装置200によって提供される各種サービス・機能にログインする場合の認証情報の一つとして用いられる。典型的にはパスワードがログイン情報として用いられるが、当然他の情報であってもよい。
【0036】
なお、本開示においては特に図示はしないが、各ユーザのユーザIDに対応付けて、ユーザの氏名、年齢、住所、電話番号、連絡先、SNS等のアカウント、役職、肩書などの様々な属性情報、顔画像、指紋などのユーザの認証情報等を記憶してもよい。
【0037】
図4Bは、本開示の実施形態に係る管理装置200に記憶される鍵情報テーブルを概念的に示す図である。図4Bによると、当該鍵情報テーブルは、オブジェクトIDに対応付けて、秘密鍵、公開鍵、共通鍵等の情報が記憶される。「オブジェクトID」は、利用の制限の対象となっている各対象物に固有の情報で各対象物を特定するための情報である。「秘密鍵」は、各対象物に対応するように設置された利用許可装置300に送信される利用許可証に対する用いられる鍵を示す情報である。「公開鍵」は、各秘密鍵と対になる鍵を示す情報である。「共通鍵」は利用許可証に含まれる利用条件の暗号化・復号化に用いられる鍵を示す情報である。
【0038】
5.第1アプリケーション及び第2アプリケーションに含まれる各機能
図5は、本開示の実施形態に係る第1アプリケーションと第2アプリケーションの各機能を概略的に示す図である。具体的には、図5は、第1アプリケーション11に含まれる各機能と、第2アプリケーション12に含まれる各機能の関係性を説明するための図である。なお、第1アプリケーション11及び第2アプリケーション12は共に配信サイトよりダウンロードされ、端末装置100にインストールされることによって実行されるプログラムである。当該プログラムを処理することによって、第1アプリケーション11及び第2アプリケーション12に含まれる各機能を実行することが可能となる。
【0039】
図5によると、第1アプリケーション11は、プロセッサ112によって処理されることにより、機能1~機能8の各機能を実行することが可能である。このような機能の例としては、一例としては、利用許可装置に対して利用許可証を送信するための利用許可機能(例えば、機能1)に加えて、利用許可証を送信した履歴や利用制限の対象となっている対象物の利用履歴表示機能、第1アプリケーションの利用を登録したユーザのユーザ情報の設定変更機能、当該ユーザに関連する他のユーザの登録機能、関連する他のユーザに対して利用許可証を転送する利用許可証転送機能、利用許可装置(例えば、施錠装置)に対して利用制限を再開(例えば、施錠)するための利用制限機能、対象物内に配置された他の電子機器(例えば、家電やPCなど)の電源等を制御するための電子機器制御機能、ユーザ自身の現在地の情報などを取得するための現在地取得機能等、様々な機能が挙げられる。
【0040】
ここで、上記のとおり、第1アプリケーション11には、利用許可機能だけでなく、様々な機能が含まれている。そのため、第1アプリケーション11を起動し処理を実行するときに、各機能を処理するためのプログラムを読み出したり、各機能に必要な情報を管理装置200や他のサーバ装置等にアクセスして受信したりする必要がある。そのため、第1アプリケーション11は、その起動や各機能の実行に係る処理には時間を要するとともに、メモリ113の占有量やプロセッサ112の処理負担も相対的に大きなものとなる。
【0041】
一方、第2アプリケーション12には、一例として第1アプリケーションにおいても実行可能であった利用許可機能(機能1)のみが含まれる。したがって、第2アプリケーション12は、多くの機能が含まれる第1アプリケーションに比して、起動や各機能の実行に係る処理が相対的に短時間で済み、処理時にメモリ113の占有量やプロセッサ112の処理負担が相対的に小さくすることができる。
【0042】
なお、図5の例では、第2アプリケーション12として機能1の利用許可機能のみが含まれる例を示した。しかし、第2アプリケーション12は、第1アプリケーション11に対して相対的に処理負担が小さなものであればよく、機能1~機能8のうちの複数の機能を実行可能に含むことが可能である。また、上記においては、説明の便宜のために、第1アプリケーション11と第2アプリケーション12とが別々にダウンロードされ、インストールされる前提で説明しているが、当然一緒のタイミングでダウンロードされ、インストールされてもよい。また、それぞれ別個のアプリケーションプログラムとして処理されるのではなく、第1アプリケーション11のうちの一部の機能のみを実行可能にすることをもって第2アプリケーション12とすることも可能である。
【0043】
このように、同じか略同じ機能を実行可能でありながら、処理負担の異なるアプリケーションを処理可能にすることにより、処理する際のニーズに応じた選択が可能となる。
【0044】
6.処理システム1により実行される処理シーケンス
(A)ユーザの登録に係る処理
図6Aは、本開示の実施形態に係る処理システム1の各装置間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、図6Aは、第1アプリケーションを介して、管理装置200等により提供されるサービスや機能の利用をするために、ユーザの登録をする場合に、端末装置100と管理装置200との間で実行される処理シーケンスを示す図である。なお、図6Aでは特に図示していないが、当該処理シーケンスが開始され得る前に、端末装置100においては配信サイト等を通じて第1アプリケーションを処理するためのプログラムがダウンロードされ、インストールされている。
【0045】
図6Aによると、端末装置100のプロセッサ112は、入力インターフェイス115を介してユーザの操作入力を受け付け、第1アプリケーションを起動する(S11)。そして、プロセッサ112は、出力インターフェイス111を介してディスプレイに出力された表示画面に従って、各種ユーザ情報(例えば、ユーザ名、メールアドレス等)のユーザによる操作入力を、入力インターフェイス115を介して受け付ける(S12)。プロセッサ112は、ユーザ情報の入力を受け付けると、当該ユーザ情報とユーザ登録をする旨の情報を登録要求(T11)として、通信インターフェイス114を介して管理装置200に送信する。
【0046】
登録要求が受信されると、管理装置200のプロセッサ212は、新たにユーザIDを生成して、当該ユーザIDに対応付けて登録要求に含まれるユーザ情報をユーザ情報テーブルに記憶する(S13)。また、プロセッサ212は、パスワード等を生成し、ログイン時の認証に使用されるログイン情報として当該ユーザIDに対応付けてユーザ情報テーブルに記憶する。プロセッサ212は、ユーザ情報等の記憶が完了すると、生成されたユーザID及びログイン情報(パスワード)を含む登録完了通知(T12)を、通信インターフェイス213を介して、登録要求を送信してきた端末装置100に送信する。
【0047】
なお、特に図示はしていないが、登録完了通知が受信されると、端末装置100のプロセッサ112は、出力インターフェイス111を介して登録が完了した旨を出力するとともに、生成されたユーザID及びログイン情報をユーザに通知する。なお、当該ユーザID及びログイン情報は、ユーザの所望に応じて適宜変更が可能である。
【0048】
以上により、第1アプリケーションに係るサービスや機能を利用するためのユーザの登録に係る処理シーケンスが終了する。
【0049】
(B)利用許可証の発行に係る処理
図6Bは、本開示の実施形態に係る処理システム1の各装置間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、図6Bは、第1アプリケーションを通じて利用許可設定要求をすることで利用許可証が発行され、第2アプリケーションが取得される場合に、端末装置100と管理装置200との間で実行される処理シーケンスを示す図である。なお、図6Bでは特に図示していないが、当該処理シーケンスが開始され得る前に、すでに図6Aに示すユーザ登録処理が完了されているものとする。
【0050】
図6Bによると、端末装置100のプロセッサ112は、入力インターフェイス115を介してユーザの操作入力を受け付け、第1アプリケーションを起動する(S21)。そして、プロセッサ112は、入力インターフェイス115を介して、ユーザの操作入力を検出し、ユーザID及びパスワードを含むログイン情報の入力を受け付ける(S22)。プロセッサ112は、入力されたログイン情報とログインを要求する旨の情報を含むログイン要求(T21)を、通信インターフェイス114を介して、管理装置200に送信する。
【0051】
管理装置200においてログイン要求が受信されると、管理装置200のプロセッサ212は、ユーザ情報テーブルを参照し、受信されたログイン要求に含まれるユーザID及びパスワードに基づいて認証処理を実行する(S23)。そして、プロセッサ212は、認証成立すると、ログイン要求を送信してきた端末装置100に対してログインを許可し、通信インターフェイス214を介して端末装置100にログインの許可通知(T22)を送信する。
【0052】
端末装置100において許可通知が受信されると、端末装置100のプロセッサ112は、入力インターフェイス115を介してユーザによる操作入力を検出し、利用許可設定に係る情報の入力を受け付ける(S24)。利用許可設定に係る情報としては、ユーザが利用の制限の解除を所望する対象物を特定するためのオブジェクトIDと、利用の制限の解除を所望するユーザを識別するための情報(例えば、ユーザIDやメールアドレス、ユーザ名等)と、当該対象物を利用する上での利用条件を指定するための情報(例えば、利用開始日時や利用終了日時等)とを少なくとも含む。そして、プロセッサ112は、利用許可設定に係る情報の入力を受け付けると、通信インターフェイス114を介して、当該情報と所望の対象物の利用の許可設定を要求する旨とを含む利用許可設定要求(T23)を、管理装置200に送信する。
【0053】
管理装置200において利用許可設定要求が受信されると、管理装置200のプロセッサ212は、利用許可設定要求に含まれるオブジェクトIDに基づいて鍵情報テーブルを参照し、利用条件を指定するための情報の暗号化に用いられる共通鍵を検索する。プロセッサ212は、検索された当該共通鍵を用いて、利用条件を指定するための情報を暗号化したうえで、暗号化された当該情報と、利用許可設定要求に含まれるユーザを識別するための情報とを含み、対象物の利用の制限を解除するための利用許可証を発行する(S25)。そして、プロセッサ212は、鍵情報テーブルを参照し、利用許可設定要求に含まれるオブジェクトIDに対応付けられた秘密鍵を用いて当該利用許可証に対する署名を生成する(S26)。具体的には、利用許可証そのもの、利用許可証の一部、又はそれらのメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化してその暗号情報を署名とする。プロセッサ212は、発行された利用許可証と、生成された署名と、第2アプリケーションをダウンロードする旨の通知とを含む設定情報(T24)を、通信インターフェイス214を介して端末装置100に送信する。
【0054】
端末装置100において設定情報が受信されると、端末装置100のプロセッサ112は出力インターフェイス111を介して、ディスプレイ等に設定情報を受信した旨と第2アプリケーションをダウンロードする旨の通知を出力する。当該通知には、第2アプリケーションの入手先となる配信サイトのURLが含まれる。したがって、プロセッサ112は、入力インターフェイス115を介してユーザによる操作入力を検出し、当該配信サイトにアクセスすることで第2アプリケーションをダウンロードする(S27)。プロセッサ112は、第2アプリケーションがダウンロードされると、当該第2アプリケーションに係るプログラムをインストールする。第2アプリケーションが正常にインストールされ、当該アプリケーションが起動されると、プロセッサ112は、第1アプリケーションに関連付けられたユーザIDと第2アプリケーションに係る機能の利用を開始する旨とを含む登録要求(T25)を、通信インターフェイス114を介して、管理装置200に送信する。
【0055】
管理装置200において登録要求が受信されると、管理装置200のプロセッサ212は、ユーザ情報テーブルを参照して、登録要求に含まれるユーザIDに対応付けて第2アプリケーションの利用を開始する旨の情報(図示しない)を更新して記憶する(S28)。そして、プロセッサ212は、通信インターフェイス214を介して、端末装置100に端末装置100を構成する各種コンポーネントや機能、情報の利用に対する権限要求(T26)を送信する。
【0056】
端末装置100において権限要求が受信されると、端末装置100のプロセッサ112は、出力インターフェイス111を介して当該権限要求をディスプレイ等に出力する。このような権限要求の一例としては、第1アプリケーション及び第2アプリケーションの利用時にBluetooth(登録商標)やNFC等の通信回路の制御の権限の要求や、センサ116により取得される位置情報へのアクセスの権限の要求などが含まれる。そして、プロセッサ112は、入力インターフェイス115を介してユーザによる操作入力を検出し、これら権限要求に対して権限の付与を受け付ける(S29)。
【0057】
なお、権限要求に係る処理は、図6Bに示すタイミングに限らず、例えば第1アプリケーションが起動されたタイミングで第2アプリケーションに対する権限も含めて付与させるなど、いずれのタイミングであってもよい。
【0058】
以上により、利用許可証の発行に係る処理シーケンスが終了する。
【0059】
(C)対象物の利用の制限解除に係る処理
図6Cは、本開示の実施形態に係る処理システム1の各装置間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、図6Cは、利用の制限がされた対象物に近づいて利用許可証を送信し、その利用の制限が解除される場合に、端末装置100と、管理装置200と、利用許可装置300との間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0060】
図6Cによると、端末装置100のプロセッサ112は、入力インターフェイス115を介してユーザの操作入力を受け付けると、図6Bにおいてインストールされた第2アプリケーションを起動する(S41)。そして、プロセッサ112は、出力インターフェイス111を介して、ディスプレイ等に現在第1アプリケーションにおいて利用可能になった利用許可証の一覧を表示し、入力インターフェイス115を介してユーザの操作入力を受け付けることにより、利用したい所望の利用許可証を選択する(S42)。これを受けて、プロセッサ112は、センサ116をオンにし、位置情報の所定のタイミング(例えば、1分周期)での取得を開始する。
【0061】
端末装置100のプロセッサ112は、センサ116を制御して、所定のタイミングで位置情報を取得すると(S43)、あらかじめ登録された所定の位置から所定の範囲内にあるか否かを判断する。なお、あらかじめ登録された所定の位置は、一例としては、管理装置200において、対象物又は利用許可装置300ごとにその設置位置が管理されており、図6Bの利用許可設定装置(S24)において特定された対象物のオブジェクトIDに基づいて、管理装置200から送信される情報である。
【0062】
端末装置100のプロセッサ112は、S43にいて取得された位置情報が所定の範囲内であると判断されると、第2アプリケーションが起動されていなければ当該アプリケーションを起動する。なお、特に詳細には記載しないが、S41等において第2アプリケーションが一度起動されたのち、ユーザによる第2アプリケーションの終了操作の検出や、無操作状態が所定時間以上継続することの検出や、OSによる最適化などの処理がなされた場合には、第2アプリケーションは終了される。そのため、当該ステップにおいては、S41において起動された第2アプリケーションが終了していた場合には再度起動する処理を行い、終了していなかった場合にはそのまま起動した状態を維持する。
【0063】
また、ここでは、利用許可機能自体は第1アプリケーションでも実行可能であるが、第1アプリケーションではなく第2アプリケーションが処理に用いられる。第2アプリケーションは第1アプリケーションに比して処理負担等が軽いアプリケーションであるため、処理遅延等を引き起こすことなく円滑に起動することが可能である。また、このとき、第2アプリケーション自体は、端末装置100のバックグラウンドで動作するのが好ましい。すなわち、端末装置100において出力インターフェイス111等に第2アプリケーションに係る操作表示等が出力されたり、入力インターフェイス115を介してユーザの操作入力が必要とされることなく、第2アプリケーションに係るプログラムが実行される。したがって、後続の処理において利用許可証の送信等が行われるが、ユーザによる操作入力などの煩雑な操作等を要することなく処理を進めることが可能である。
【0064】
次に、端末装置100のプロセッサ112は、通信インターフェイス114を介して、利用許可装置300が所定周期で送信するビーコン信号(T41)を受信したか否かを判断する(S44)。当該ビーコン信号は、その送信範囲が限られるため、利用許可装置300から所定の範囲内に端末装置100が位置するときのみ受信が可能となる。つまり、ビーコン信号を受信することは、それを送信する利用許可装置300が設置された位置から所定範囲内に端末装置100があることを意味する。
【0065】
なお、端末装置100において、通信インターフェイス114を介してビーコン信号の信号検出機能は、図6Cにおいて後述するように、センサ116により検出される位置情報に基づいて制御される。具体的には、端末装置100のプロセッサ112は、センサ116により取得された位置情報に基づいて、S43で用いられた所定の範囲外であるか否かを判断する。そして、プロセッサ112は、所定の範囲外であると判断された場合には、上記信号検出機能をオンにし、ビーコン信号の受信を可能にする。そして、プロセッサ112は、ビーコン信号を受信することによって、上記信号検出機能をオフにする。通常、センサ116による位置情報の取得は、消費する電力量等を考慮して、所定のタイミング(例えば、1分周期)で行われる。そのため、例えばユーザが高速で移動している場合など、位置情報を取得する周期が到達するよりも前に、利用制限装置300が設置された対象物の前に到達することもありうる。このとき、仮に取得された位置情報が所定の範囲内であると判断されることを契機として信号検出機能をオンにすると、ユーザが対象物の前に到達しているにもかかわらずビーコン信号を受信できないことが起こりうる。そのため、本開示においては、上記のとおり、所定の範囲外にあると判断される場合に信号検出機能をオンにし、上記のような不都合を解消している。
【0066】
端末装置100のプロセッサ112は、S43においてビーコン信号が受信されたと判断されると、利用許可機能を実行可能な第2アプリケーションを起動するとともに、オンになっている信号検出機能をオフにする。なお、ここでは、S43と同様に、S41又はS43において起動された第2アプリケーションが終了していた場合には再度起動する処理を行い、終了していなかった場合にはそのまま起動した状態を維持する。また、当該起動もS43と同様に、好ましくは、端末装置100においてバックグラウンドで起動される。そして、プロセッサ112は、S43で取得された位置情報が所定の範囲内であることと、S44でビーコン信号が受信されたことの両方を満たす場合には、第2アプリケーションの利用許可機能を実行することによって、図6BのT24で設定情報として受信された利用許可証(T42)をメモリ113から読み出して、通信インターフェイス114を介して、利用許可装置300に送信する。この際、利用許可証に加えて、図6BのT24で利用許可証と共に受信された署名も一緒に送信される。
【0067】
ここで、図7を参照して、端末装置100の位置情報と第2アプリケーションで処理されるタイミングについて説明する。図7は、本開示の実施形態に係る処理システム1において位置情報やビーコン信号が取得され、利用許可証が送信されるタイミングを概略的に示す図である。図7によると、ユーザ10が、利用の制限がされている対象物であって、ユーザ10がその利用を所望する対象物である家屋500に近づいたことが示されている。このとき、すでに第2アプリケーションが起動され、センサ16による位置情報の取得機能がオンにされている。当該対象物の位置は、管理装置においてその住所又は座標や利用許可装置300の設置位置の住所や座標として管理されている。ユーザ10が対象物である家屋500に近づいた結果、ユーザ10が所持する端末装置100のセンサ16において検出された現在地が、当該家屋500の位置から所定範囲D1内に位置する。このとき、あらかじめ起動された第2アプリケーションが終了していた場合には、再度第2アプリケーションを起動する。
【0068】
次に、ユーザ10が対象物である家屋500にさらに近づいた結果、ユーザ10が所持する端末装置100の現在地が、利用許可装置300から送信されるビーコン信号を受信可能な位置、すなわち利用許可装置300が設置された位置から所定範囲D2内に位置する。そうすると、端末装置100において当該ビーコン信号が受信され、あらかじめ起動された第2アプリケーションが終了していた場合には、再度第2アプリケーションを起動する。
【0069】
すなわち、取得された位置情報が所定の範囲内にあることが確認され、且つビーコン信号が受信された場合には、後続の処理が進むことで、対象物の利用を制限するためのドア400に設置された利用許可装置300(施錠装置)においてドアの施錠が解錠され、ユーザの利用の制限が解除されることとなる。このように、利用許可証の送信等の処理を二段階でトリガーすることによって、より安全性を向上させることが可能となる。具体的には、例えばビーコン信号のみでトリガーをかける場合、いわゆるリレーアタックの被害を受けるリスクがあるものの、さらにセンサ16により検出される位置情報を利用することで、より安全性を高めることができる。
【0070】
なお、図7の例では、ビーコン信号を利用しているが、当該ビーコン信号の利用は一例であって、当然他の信号を利用することも可能である。例えば、NFC等の非接触通信を利用したり、赤外線通信を利用したりすることも可能である。また、図7の例では、まずセンサ16により検出された位置情報を用いて、次いでビーコン信号の受信を用いて第2アプリケーションを起動する。しかし、その順番は逆であってもよい。また、図7の例では、所定範囲D1及び所定範囲D2をそれぞれ扇状に描いているが、当然この範囲は扇状に限るものではなく、真円や楕円であってもよいし、他の多角形であってもよい。
【0071】
再び図6Cに戻り、利用許可装置300において利用許可証が受信されると、利用許可装置300のプロセッサは、あらかじめ利用許可装置300のメモリに記憶されている公開鍵を用いて、利用許可証と一緒に受信された署名を検証する(S45)。そして、署名検証が成功すると、利用許可装置300のプロセッサは、あらかじめ利用許可装置300のメモリに記憶されている共通鍵を用いて、利用許可証に含まれている利用条件を指定するための情報を復号化する(S46)。
【0072】
利用条件が復号化されると、利用許可装置300のプロセッサは、復号化した利用条件を満足する状況であるか否かを確認する(S47)。例えば、利用条件として利用開始及び終了時刻が設定されていた場合、現在日時が利用開始及び終了時刻により特定される期間内であることが確認される。そして、利用許可装置300のプロセッサは、利用条件を満足していることを確認できた場合、利用許可装置300が設置された対象物の利用の制限を解除する(S48)。例えば、当該対象物が図7に示すような家屋500である場合には、ドア400に対してかけられた施錠を解除し、ドア400を開閉してユーザ10が屋内に入場可能にする。
【0073】
次に、利用許可装置300のプロセッサは、通信インターフェイスを介して、端末装置100に利用の制限が解除されたことを通知するための制限解除通知(T43)と、ユーザによって対象物の利用がされることを示す利用情報(T44)とが端末装置100に送信される。
【0074】
端末装置100において制限解除通知及び利用情報が受信されると、端末装置100のプロセッサ112は、出力インターフェイス111を介して、受信した制限解除通知をディスプレイ等に表示する(S49)。これにより、ユーザは対象物の利用が可能になったことを把握することができる。また、プロセッサ112は、受信した利用情報をメモリ113に記憶するとともに、自身のユーザIDと共に、通信インターフェイス114を介して、管理装置200に利用情報を送信する(S50)。
【0075】
管理装置200において利用情報が受信されると、管理装置200のプロセッサ212は、受信した利用情報を、同じく受信したユーザIDに対応付けて、ユーザ情報テーブルに記憶する(S51)。これにより、ユーザによる対象物の利用履歴の管理が可能となる。
【0076】
ここで、上記のとおり、ビーコン信号の信号検出機能は、S44においてビーコン信号が検出されることによりオフにされる。そのため、端末装置100のプロセッサ112は、利用許可証が送信され解除通知を受信したのちも、センサ116による位置情報の取得を継続する(S51)。そして、プロセッサ112は、センサ116により取得された位置情報に基づいて、S43で用いられた所定の範囲外であるか否かを判断する。プロセッサ112は、所定の範囲外であると判断された場合には、上記信号検出機能をオンにし、ビーコン信号の受信を可能にする。
【0077】
なお、ビーコン信号の信号検出機能をオンにするために用いられる所定の範囲(図7の所定範囲D1)は、S43で用いられる所定の範囲と同じにする必要はない。より広い範囲を指定することも可能であるし、より狭い範囲を指定することも可能である。また、信号検出機能をオンにする契機は、S51に示した方法に限らず、例えばS43で所定の範囲内に位置情報があると判断されたことを契機としてもよい。
【0078】
以上により、対象物の利用の制限解除に係る処理シーケンスが終了する。
【0079】
7.管理装置200において実行される処理フロー
図8Aは、本開示の実施形態に係る管理装置200において実行される処理フローを示す図である。具体的には、図8Aは、図6Bに示された利用許可証の発行に係る処理において管理装置200のプロセッサ212が行う処理フローを示す。当該処理フローは、主に管理装置200のプロセッサ212がメモリ211に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0080】
図8Aによると、管理装置200のプロセッサ212は、通信インターフェイス214を制御して、端末装置100から第1アプリケーションに対するログイン要求を受信すると、ユーザ情報テーブルを参照する。そして、プロセッサ212は、ログイン要求に含まれるユーザIDに基づいて、当該ユーザIDに対応付けて記憶されたログイン情報(パスワード)と、受信したログイン要求に含まれるパスワードとが一致するか否かの認証を行う(S111)。
【0081】
プロセッサ212は、S111において認証を行った結果、両パスワードが一致せずに認証が成立しなかった場合には(S112)、エラー通知を端末装置100に送信したうえで当該処理フローを終了する。一方で、プロセッサ212は、両パスワードが一致して認証が成立した場合には(S112)、通信インターフェイス214を介して、端末装置100にログインの許可通知を送信する(S113)。
【0082】
次に、プロセッサ212は、ログインの許可通知を送信したいずれかの端末装置100から、利用が制限された対象物に対する利用許可設定要求を受信したか否かを確認する(S114)。利用許可設定要求を受信したと判断されると、利用許可設定要求に含まれるオブジェクトIDに基づいて鍵情報テーブルを参照し、利用条件を指定するための情報を暗号化するための共通鍵を検索する。そして、プロセッサ212は、検索された共通鍵を用いて、利用条件を指定するための情報を暗号化する(S115)。
【0083】
次に、プロセッサ212は、利用許可設定要求に含まれるオブジェクトID情報とユーザを識別するための情報(例えば、ユーザIDやメールアドレス、ユーザ名等)に加えて、S115において暗号化された利用条件を指定するための情報を用いて、オブジェクトID、ユーザを識別するための情報、及び暗号化された利用条件を指定するための情報が含まれた利用許可証の発行を行う(S116)。
【0084】
次に、プロセッサ212は、発行された利用許可証に対する署名を生成する(S117)。具体的には、プロセッサ212は、利用許可設定要求に含まれるオブジェクトIDに基づいて鍵情報テーブルを参照し、署名に用いられる秘密鍵を検索する。そして、プロセッサ212は、検索された秘密鍵を用いて、発行された利用許可証そのもの、利用許可証の一部、又はそれらのメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化して、その暗号情報を署名とする。
【0085】
次に、プロセッサ212は、発行された利用許可証と、生成された署名と、第2アプリケーションをダウンロードする旨の通知とを少なくとも含む設定情報を、通信インターフェイス214を制御して、端末装置100に送信する(S118)。これにより、当該処理フローは終了する。
【0086】
8.端末装置100において実行される処理フロー
図8Bは、本開示の実施形態に係る端末装置100において実行される処理フローを示す図である。具体的には、図8Bは、図6Cに示された対象物の利用の制限解除に係る処理において端末装置100のプロセッサ112が行う処理フローを示す。当該処理フローは、主に端末装置100のプロセッサ112がメモリ113に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0087】
図8Bによると、プロセッサ112は、入力インターフェイス115を介してユーザの操作入力を受け付けると第2アプリケーションを起動する(S211)。そして、プロセッサ112は、出力インターフェイス111を介して、ディスプレイ等に現在第1アプリケーションにおいて利用可能になった利用許可証の一覧を表示し、入力インターフェイス115を介してユーザの操作入力を受け付けることにより、利用したい所望の利用許可証を選択する(S212)。これを受けて、プロセッサ112は、センサ116による位置情報の取得機能をオンにし、位置情報の所定のタイミング(例えば、1分周期)での取得を開始する。なお、センサ116による位置情報の取得機能のオンは、必ずしもセンサ116そのものをオンにすることを意味するわけではない。例えば、他のプリケーション等での利用のためにセンサ116自体はすでにオンになっており、第2アプリケーションに対してOSを介して取得される位置情報の通知を開始することをもって、位置情報の取得機能のオンにしてもよい。また、このような位置情報には、センサ116の典型としてGPSセンサが用いられるため、現在地を示す位置情報が取得される。
【0088】
プロセッサ112は、センサ116を制御して位置情報を取得すると(S213)、あらかじめ管理装置200から取得された利用の制限の解除を所望する対象物の位置情報に基づいて、現在の端末装置100の位置が当該対象物の位置情報から所定の範囲(例えば、図7のD1)内にあるか否かを判断する(S214)。その結果、所定の範囲内にないと判断された場合には、再度位置情報を取得することによって当該処理フローを再開する。一方、所定の範囲内にあると判断された場合は、プロセッサ112は、利用許可機能が実行可能な第2アプリケーションが終了していた場合には再度起動する。このとき、第2アプリケーションは、端末装置100においてバックグラウンドで起動され、以降の処理もバックグランドで実行される。プロセッサ112は、第2アプリケーションを実行することによって、出力インターフェイス111を制御して、位置情報が所定の範囲内にあることをユーザに通知する(S215)。
【0089】
次に、プロセッサ112は、通信インターフェイス114を介して、利用許可装置300が所定周期で送信するビーコン信号を受信したか否かを判断する(S216)。その結果、ビーコン信号を受信していなかった場合には、当該信号を受信した判断されるまでS215に係り処理を繰り返す。一方、ビーコン信号を受信した場合には、プロセッサ112は、利用許可機能が実行可能な第2アプリケーションが終了していた場合には再度バックグラウンドで起動する。そして、プロセッサ112は、ビーコン信号の信号検出機能をオフにする。プロセッサ112は、第2アプリケーションの利用許可機能を実行することによって、あらかじめ端末装置100において受信された利用許可証をメモリ113から読み出して、通信インターフェイス114を介して、利用許可装置300に送信する(S220)。この際、利用許可証に加えて、利用許可証と共に受信された署名も一緒に送信される。
【0090】
なお、図8Bに示すように、S216においてビーコン信号を受信した後に、プロセッサ112は、あらかじめ端末装置100において受信された利用許可証に含まれる利用条件を指定するための情報を、出力インターフェイス111を介してディスプレイ等に表示することが可能である(S218)。これによって、ユーザは、オブジェクトIDにより特定される対象物の利用を所望するか否か再度確認することが可能となる。そして、プロセッサ112は、入力インターフェイス115を介してユーザの操作入力を検知して、利用許可証を送信するための入力を受け付けたか否かを判断する(S219)。その結果、送信しないという旨の入力を受け付けた場合には、当該処理フローは終了する。一方で、送信するという旨の入力を受け付けた場合には、S220に進み、上記のとおり、プロセッサ112は利用許可証及び署名を利用許可装置300に送信する。以上により、当該処理フローを終了する。
【0091】
以上、本開示においては、より優れた端末装置、プログラム及び方法を提供することができる。具体的には、端末装置100において利用許可証の送信に利用されるアプリケーションをより処理負担の軽い第2アプリケーションを利用して送信することにより、より円滑に処理を実行することが可能である。また、利用許可証の送信に係る処理を、第2アプリケーションを利用してバックグラウンドで処理する場合には、ユーザの操作負担を軽減することができる。また、利用許可証の送信は、センサ116からの位置情報と、ビーコン信号の受信との2段階に分けて行われる。これにより、より安全性を向上させることができる。
【0092】
9.その他の変形例
上記においては、第1アプリケーション及び第2アプリケーションについて、処理負担の違いにより区別するとともに、これらのアプリケーションを利用許可証の送信制御に係る処理に利用した。しかし、これに限らず、第1アプリケーション及び第2アプリケーションを他の処理に利用することも可能である。例えば、文書作成機能、文書送信機能、文書閲覧機能、修正履歴機能等の様々な機能を有する文書管理アプリケーションにおいて、文書閲覧機能等の一部の機能のみが実行可能な文書閲覧アプリケーションを利用して、より効率的に文書閲覧が行えるようにしてもよい。
【0093】
また、上記においては利用が制限された対象物として家屋500を挙げ、第1アプリケーション及び第2アプリケーションを用いて家屋500のドア400に設置された利用許可装置300に利用許可証を送信する場合について説明した。しかし、これに限らず、第1アプリケーション及び第2アプリケーションを用いて家電製品等の利用の制限を解除したり、その制御を行うようにしてもよい。例えば、利用が制限された対象物でありかつ利用許可装置300として給湯器が用いられる場合について説明する。この場合、あらかじめ当該給湯器に対する利用許可証を第1アプリケーションを通じて取得する。そして、図8BのS214、S216又はこれらの組み合わせによる方法によって端末装置100が所定の範囲内にいるか否かが判断され、所定の範囲内にいる場合には当該給湯器に対して第2アプリケーションを通じて利用許可証が送信される。利用許可証を受信した給湯器では、給湯器の湯沸かし機能をオンにし例えばお風呂場などあらかじめ設定された場所にお湯の供給を開始する。なお、そのほかには、同様の処理により、利用が制限された対象物でありかつ利用許可装置300としてテレビや音楽再生装置が挙げられ、利用許可証の受信により自動的に所望のコンテンツの再生を可能にする。
【0094】
ここで、いずれの例においても、利用許可証に紐づけてユーザ情報も一緒に送信するなどの方法により、第2アプリケーションによって送信された利用許可証がどのユーザのものであるのかを特定することが可能である。これにより、例えば、利用が制限された対象物でありかつ利用許可装置300としてエア・コンディショナー(エアコン)等の空調設備を挙げることができる。このような場合、ユーザAが所持する端末装置100が所定の範囲内に位置することにより利用許可証が送信された場合には、受信した空調設備においてあらかじめユーザAに対応付けられた温度(例えば24度)になるように制御機能をオンにする。一方で、ユーザBが所持する端末装置100が所定の範囲内に位置することにより利用許可証が送信された場合には、受信した空調設備においてあらかじめユーザBに対応付けられた温度(例えば20度)になるように制御機能をオンにする。
【0095】
また、いずれの例においても、各利用許可証は、それぞれ固有の識別IDを有しているが、当該識別IDに対応付けて様々な制御情報を組み合わせることが可能である。例えば、集合住宅の共用玄関部のドアに利用許可装置300が設置されているような場合は、当然当該ドアの解錠に利用許可証が利用されるが、受信した利用許可証に対応付けられた識別IDに応じて、送信した端末装置100を所持するユーザ自身の部屋への移動に使われるエレベータをあらかじめ呼び出して、行先階ボタンを自動的に押下することができる。また、当該ユーザ自身のポストや当該ユーザに対応付けられた宅配ボックスの指定の収容庫の開閉を制御することができる。また、当該ユーザ自身の部屋のドアの解錠も制御することができる。このように、利用の制限が解除される対象物は必ずしも1つではなく、複数の対象物の利用の制限を解除することができる。
【0096】
また、上記は集合住宅の例であるが、オフィスビル等においても同様に利用することが可能である。例えば、オフィスビルのエントランスに設置されたセキュリティゲートをICカードや顔認証などを通じて通過し、エレベータに設置された利用許可装置300に近づくと第2アプリケーションを利用して利用許可証が送信される。すると、当該利用許可証に対応付けられた識別IDによって送信した端末装置100のユーザが執務する階が行先階として設定された状態でエレベータを制御することが可能である。これにより、混雑解消などを実現することが可能である。また、自身の行先階に近づいたことが図8BのS214、S216又はこれらの組み合わせによる方法によって判断されると、当該利用許可証に対応付けられた識別IDによって送信した端末装置100のユーザに対応付けられたカレンダー情報を参照し、予約している会議室や空調設備、テレビ会議システム等を制御することも可能である。これにより、これら設備の準備に要する時間を短縮することが可能である。
【0097】
また、上記のような集合住宅やオフィスビルの例に加えて、様々な公共施設等でも同様に本開示に係る処理システム1を利用することが可能である。例えば、博物館や美術館のエントランスに設置されたセキュリティゲートをICカードや顔認証などを通じて通過することで所定の範囲内にいると判断されると、第2アプリケーションで利用可能な美術品等の展示物の解説コンテンツの配信を可能にする。各展示物付近に設置された利用許可装置300に対して利用許可証を送信することで、当該利用許可証に対応付けられた識別IDによって送信した端末装置100のユーザの言語を判断し、当該言語で解説コンテンツを送信する。このように、ユーザにとって最適なコンテンツの提供を可能にし、管理者にとっても様々な機器の管理負担を軽減することができる。
【0098】
本明細書で説明される処理及び手順は、本開示において明示的に説明されたものによってのみならず、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせによっても実現可能である。具体的には、本明細書で説明された処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ストレージ等の媒体に、当該処理に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明される処理及び手順は、それらの処理・手順をコンピュータプログラムとして実装し、端末装置やサーバ装置を含む各種のコンピュータに実行させることが可能である。
【0099】
本明細書中で説明される処理及び手順が単一の装置、ソフトウェア、コンポーネント、モジュールによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理又は手順は、複数の装置、複数のソフトウェア、複数のコンポーネント、及び/又は、複数のモジュールによって実行されるものとすることができる。また、本明細書中で説明される各種情報が単一のメモリや記憶部に格納される旨が説明されたとしても、そのような情報は、単一の装置に備えられた複数のメモリ又は複数の装置に分散して配置された複数のメモリに分散して格納されるものとすることができる。さらに、本明細書において説明されるソフトウェア及びハードウェアの要素は、それらをより少ない構成要素に統合して、又は、より多い構成要素に分解することによって実現されるものとすることができる。
【符号の説明】
【0100】
10 ユーザ
100 端末装置
200 管理装置
300 利用許可装置
400 ドア
500 家屋
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B