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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094983
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】折畳式表示媒体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/04 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B42D15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211939
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】508049167
【氏名又は名称】中 澤 將
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】中澤 將
(57)【要約】
【課題】外装カバー付きの折畳シートからなる折畳式表示媒体を一枚のシート材で簡単に構成でき、かつ、外装カバーと折畳シートとの連結部の破断を有効に抑える。
【解決手段】縦横複数の折り目を介して連接し、略矩形状の単位シート部3に折り畳まれる展開可能な折畳シート2と、折畳シート2の一隅部に位置するコーナ単位シート部3cの一辺に隣接して設けられ、折畳シート2の表側及び裏側を挟み込むように覆う外装カバー4と、折畳シート2のコーナ単位シート部3cと外装カバー4とを折曲可能に連結する連結片5と、を備え、折畳シート2、外装カバー4及び連結片5は同一のシート材で一体的に構成され、連結片5は、コーナ単位シート部3cの一辺に沿って延びる帯状部6からなり、当該帯状部6の長手方向端部のうち少なくとも外装カバー4と交差する箇所には折畳シート2、外装カバー4に対して円弧状に連なる滑らかな内縁の凹所7を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横複数の折り目を介して連接し、略矩形状の単位シート部に折り畳まれる展開可能な折畳シートと、
展開された前記折畳シートの一隅部に位置するコーナ単位シート部の一辺に隣接して設けられ、折り畳まれた前記折畳シートの表側及び裏側を挟み込むように覆う外装カバーと、
前記折畳シートの前記コーナ単位シート部と前記外装カバーとを折曲可能に連結する連結片と、を備え、
前記折畳シート、前記外装カバー及び前記連結片は同一のシート材で一体的に構成され、
前記連結片は、前記コーナ単位シート部の一辺に沿って延びる帯状部からなり、当該帯状部の長手方向端部のうち少なくとも前記外装カバーに交差する箇所には前記折畳シート、前記外装カバーに対して円弧状に連なる滑らかな内縁の凹所を有することを特徴とする折畳式表示媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の折畳式表示媒体において、
前記外装カバーは、前記連結片の帯状部の長手方向両端部のいずれにも交差する態様であり、前記凹所は前記帯状部の長手方向両端部に形成されていることを特徴とする折畳式表示媒体。
【請求項3】
請求項1に記載の折畳式表示媒体において、
前記凹所は内縁全域に亘って円弧状であることを特徴とする折畳式表示媒体。
【請求項4】
請求項1に記載の折畳式表示媒体において、
前記連結片は5mm以下の幅寸法の帯状部を有することを特徴とする折畳式表示媒体。
【請求項5】
請求項1に記載の折畳式表示媒体において、
前記外装カバーは、折り畳まれた前記折畳シートを平面視したときの大きさよりも大きい略矩形状の表側カバー部及び裏側カバー部を有し、これらのカバー部を折り畳まれた前記折畳シートの厚さ以上の幅寸法の背面カバー部を介して折曲可能に連接したものであることを特徴とする折畳式表示媒体。
【請求項6】
請求項5に記載の折畳式表示媒体において、
前記外装カバーは、折り畳まれた前記折畳シートの最下層に位置する前記コーナ単位シート部の一辺に連結片を介して一体的に設けられ、折り畳まれた前記折畳シートを右開き可能に覆うことを特徴とする折畳式表示媒体。
【請求項7】
請求項5に記載の折畳式表示媒体において、
前記外装カバーは、前記表側カバー部と、前記裏側カバー部との開口側に前記表側カバー部を閉じた状態に仮保持する仮保持部を有することを特徴とする折畳式表示媒体。
【請求項8】
請求項1に記載の折畳式表示媒体において、
前記外装カバーはシート材を折り込んで複数枚構成にしたものであることを特徴とする折畳式表示媒体。
【請求項9】
請求項1に記載の折畳式表示媒体において、
前記外装カバーが前記連結片を介して折り畳まれた前記折畳シートの裏側に折曲され、前記折畳シートの表側及び裏側を前記外装カバーにて挟み込むように覆ってなる折畳式表示媒体の組立完成品、又は、前記外装カバーが前記連結片を介して折り畳まれた前記折畳シートの裏側に折曲され、かつ、前記外装カバーの表側カバー部を裏側カバー部側に折り返してなる折畳式表示媒体の組立半完成品が収納可能な内部空間を有し、前記組立完成品又は前記組立半完成品を収納する透過性材料からなる収納ケースを備えたことを特徴とする折畳式表示媒体。
【請求項10】
縦横複数の折り目を介して連接し、略矩形状の単位シート部に折り畳まれる展開可能な折畳シートと、
展開された前記折畳シートの一隅部に位置するコーナ単位シート部の一辺に隣接して設けられ、折り畳まれた前記折畳シートの表側及び裏側を挟み込むように覆う外装カバーと、
前記折畳シートの前記コーナ単位シート部と前記外装カバーとを折曲可能に連結する連結片と、を備え、
前記連結片は、前記コーナ単位シート部の一辺に沿って延びる帯状部からなり、当該帯状部の長手方向両端には前記折畳シート、前記外装カバーに対して円弧状に連なる滑らかな内縁の凹所を有する折畳式表示媒体を製造するに際し、
一枚のシート材に前記折畳シート、前記外装カバー及び前記連結片の全体を平面状に連なるように展開した折畳式表示媒体の平面展開パターン領域の外周箇所を裁断可能なミシン目として加工し、かつ、前記折畳シート、前記外装カバーの折曲予定箇所を折曲可能な折り目として加工する加工工程と、
前記加工工程で加工された折畳式表示媒体の平面展開パターン領域を前記シート材から裁断した後、平面状の折畳式表示媒体の各折り目を所定方向に折曲して立体的に組み立てる組立工程と、
を備えたことを特徴とする折畳式表示媒体の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の折畳式表示媒体の製造方法において、
前記加工工程は、前記シート材のうち、前記折畳式表示媒体の平面展開パターン領域以外で前記コーナ単位シート部とは隣接しない矩形状のシート残領域に、予め決められた折り紙作品の平面展開パターンに対する折曲予定箇所を折曲可能な折り目として加工する折り紙用加工工程を含み、
前記折り紙用加工工程にて加工された前記折り紙作品の平面展開パターンの各折り目を所定方向に折曲して前記折り紙作品を立体的に組み立て可能とすることを特徴とする折畳式表示媒体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳可能な折畳シートを用いた折畳式表示媒体に係り、特に、外装カバー付きの折畳シートからなる折畳式表示媒体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の折畳式表示媒体としては、例えば特許文献1乃至3に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、折り畳んだ資料を厚紙製のカバー体の内部に収容し、要所を接着してカバー体を閉じることによって、封筒等に入れることなく、そのまま郵送可能なパッケージが完成し、使用時には、マチ面を切り取ることにより、厚紙でできた2枚の表紙面の間に大判の資料が展開自在に折り畳まれて挟まれた使い勝手のよい資料帖が形成されるパッケージ製品が開示されている。
特許文献2には、頂点及び隣り合った2側辺を共有させた状態で矢羽根状に配置された4個の平行四辺形で構成された基本領域の集合で作られ、矢羽根方向と交差する方向の側辺のうち矢羽根方向に隣り合ったものどうしが相反するようにかつ矢羽根方向に対し直角な方向に隣り合ったものどうしが同方向に山・谷折りとされ、矢羽根方向に平行な側辺のうち矢羽根方向に隣り合ったものどうし並びに矢羽根方向に直角な方向に隣り合ったものどうしが相反するように山・谷折りに折りたたまれた地図が開示されている。
特許文献3には、折り畳んだシートを保護できる構造を有し、折り畳まれたシートの一端部を引くだけの簡単な操作でシートを広げることができる折り畳みシートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4096072号公報(実施例,図2図6
【特許文献2】実公昭56-25023号公報(考案の詳細な説明,第2図)
【特許文献3】意匠登録第1237458号公報(意匠に係る物品の説明,意匠の特徴)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、外装カバー付きの折畳シートからなる折畳式表示媒体を一枚のシート材で簡単に構成でき、かつ、外装カバーと折畳シートとの連結部の破断を有効に抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の技術的特徴は、縦横複数の折り目を介して連接し、略矩形状の単位シート部に折り畳まれる展開可能な折畳シートと、展開された前記折畳シートの一隅部に位置するコーナ単位シート部の一辺に隣接して設けられ、折り畳まれた前記折畳シートの表側及び裏側を挟み込むように覆う外装カバーと、前記折畳シートの前記コーナ単位シート部と前記外装カバーとを折曲可能に連結する連結片と、を備え、前記折畳シート、前記外装カバー及び前記連結片は同一のシート材で一体的に構成され、前記連結片は、前記コーナ単位シート部の一辺に沿って延びる帯状部からなり、当該帯状部の長手方向端部のうち少なくとも前記外装カバーに交差する箇所には前記折畳シート、前記外装カバーに対して円弧状に連なる滑らかな内縁の凹所を有することを特徴とする折畳式表示媒体である。
【0006】
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた折畳式表示媒体において、前記外装カバーは、前記連結片の帯状部の長手方向両端部のいずれにも交差する態様であり、前記凹所は前記帯状部の長手方向両端部に形成されていることを特徴とする折畳式表示媒体である。
本発明の第3の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた折畳式表示媒体において、前記凹所は内縁全域に亘って円弧状であることを特徴とする折畳式表示媒体である。
本発明の第4の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた折畳式表示媒体において、前記連結片は5mm以下の幅寸法の帯状部を有することを特徴とする折畳式表示媒体である。
本発明の第5の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた折畳式表示媒体において、前記外装カバーは、折り畳まれた前記折畳シートを平面視したときの大きさよりも大きい略矩形状の表側カバー部及び裏側カバー部を有し、これらのカバー部を折り畳まれた前記折畳シートの厚さ以上の幅寸法の背面カバー部を介して折曲可能に連接したものであることを特徴とする折畳式表示媒体である。
本発明の第6の技術的特徴は、第5の技術的特徴を備えた折畳式表示媒体において、前記外装カバーは、折り畳まれた前記折畳シートの最下層に位置する前記コーナ単位シート部の一辺に連結片を介して一体的に設けられ、折り畳まれた前記折畳シートを右開き可能に覆うことを特徴とする折畳式表示媒体である。
本発明の第7の技術的特徴は、第5の技術的特徴を備えた折畳式表示媒体において、前記外装カバーは、前記表側カバー部と、前記裏側カバー部との開口側に前記表側カバー部を閉じた状態に仮保持する仮保持部を有することを特徴とする折畳式表示媒体である。
本発明の第8の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた折畳式表示媒体において、前記外装カバーはシート材を折り込んで複数枚構成にしたものであることを特徴とする折畳式表示媒体である。
本発明の第9の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた折畳式表示媒体において、前記外装カバーが前記連結片を介して折り畳まれた前記折畳シートの裏側に折曲され、前記折畳シートの表側及び裏側を前記外装カバーにて挟み込むように覆ってなる折畳式表示媒体の組立完成品、又は、前記外装カバーが前記連結片を介して折り畳まれた前記折畳シートの裏側に折曲され、かつ、前記外装カバーの表側カバー部を裏側カバー部側に折り返してなる折畳式表示媒体の組立半完成品が収納可能な内部空間を有し、前記組立完成品又は前記組立半完成品を収納する透過性材料からなる収納ケースを備えたことを特徴とする折畳式表示媒体である。
【0007】
本発明の第10の技術的特徴は、縦横複数の折り目を介して連接し、略矩形状の単位シート部に折り畳まれる展開可能な折畳シートと、展開された前記折畳シートの一隅部に位置するコーナ単位シート部の一辺に隣接して設けられ、折り畳まれた前記折畳シートの表側及び裏側を挟み込むように覆う外装カバーと、前記折畳シートの前記コーナ単位シート部と前記外装カバーとを折曲可能に連結する連結片と、を備え、前記連結片は、前記コーナ単位シート部の一辺に沿って延びる帯状部からなり、当該帯状部の長手方向両端には前記折畳シート、前記外装カバーに対して円弧状に連なる滑らかな内縁の凹所を有する折畳式表示媒体を製造するに際し、一枚のシート材に前記折畳シート、前記外装カバー及び前記連結片の全体を平面状に連なるように展開した折畳式表示媒体の平面展開パターン領域の外周箇所を裁断可能なミシン目として加工し、かつ、前記折畳シート、前記外装カバーの折曲予定箇所を折曲可能な折り目として加工する加工工程と、前記加工工程で加工された折畳式表示媒体の平面展開パターン領域を前記シート材から裁断した後、平面状の折畳式表示媒体の各折り目を所定方向に折曲して立体的に組み立てる組立工程と、を備えたことを特徴とする折畳式表示媒体の製造方法である。
【0008】
本発明の第11の技術的特徴は、第10の技術的特徴を備えた折畳式表示媒体の製造方法において、前記加工工程は、前記シート材のうち、前記折畳式表示媒体の平面展開パターン領域以外で前記コーナ単位シート部とは隣接しない矩形状のシート残領域に、予め決められた折り紙作品の平面展開パターンに対する折曲予定箇所を折曲可能な折り目として加工する折り紙用加工工程を含み、前記折り紙用加工工程にて加工された前記折り紙作品の平面展開パターンの各折り目を所定方向に折曲して前記折り紙作品を立体的に組み立て可能とすることを特徴とする折畳式表示媒体の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の技術的特徴によれば、外装カバー付きの折畳シートからなる折畳式表示媒体を一枚のシート材で簡単に構成でき、かつ、外装カバーと折畳シートとの連結部の破断を有効に抑えることができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、連結片の長手方向両端部を破断し難い構造にすることで、外装カバーと折畳シートとの連結部の破断をより有効に抑えることができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、内縁全域に亘って円弧状でない凹所に比べて、連結片を破断し難くすることができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、幅広の帯状部を有する連結片である場合に比べて、外装カバーを不必要に大きくすることなく、折畳シートを覆う外装品質を良好に保つことができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、折り畳まれた折畳シートの容量を踏まえ、折畳シートを外装カバーで確実に覆うことができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、折畳シートを外装カバーで右開き可能に覆うことができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、外装カバーで折り畳まれた折畳シートを確実に覆った状態に保持することができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、一枚構成の外装カバーに比べて、外装カバーの剛性を高めることができ、その分、変形の少ない外装カバーで折り畳まれた折畳シートを覆うことができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、収納ケースを用いない場合に比べて、折畳式表示媒体の組立完成品又は組立半完成品を形状保持した状態で簡単に流通に供することができる。
本発明の第10の技術的特徴によれば、一枚のシート材で簡単に構成でき、かつ、外装カバーと折畳シートとの連結部の破断を有効に抑えることが可能な外装カバー付きの折畳シートからなる折畳式表示媒体を製造することができる。
本発明の第11の技術的特徴によれば、一枚のシート材のうち、外装カバー付きの折畳シートからなる折畳式表示媒体の平面展開パターン領域以外のシート残領域を無駄にすることなく、折り紙作品として有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は本発明が適用された折畳式表示媒体の実施の形態の概要であって、折畳シート、外装カバー及び連結片を展開した状態を示す説明図、(b)は(a)中B部分の拡大説明図、(c)は(a)中折畳シートを折り畳んだ状態にした斜視説明図である。
図2】実施の形態1に係る折畳式表示媒体の外装カバーの表側カバー部を開放した状態を示す平面説明図である。
図3】(a)は図2中の外装カバーの表側カバー部を閉じた状態を示す平面説明図、(b)は(a)中B-B線で切断した断面説明図である。
図4】実施の形態1に係る折畳式表示媒体の折り畳まれた折畳シート、外装カバー及び連結片の相互の位置関係を示す説明図である。
図5】実施の形態1に係る折畳式表示媒体を同一面上に展開した状態を示す平面説明図である。
図6図5に示す折畳式表示媒体を製造する一枚のシート材を示す説明図である。
図7】(a)は実施の形態1に係る折畳式表示媒体の連結片の長手方向端部の構成例を示す説明図、(b)はその変形例を示す説明図である。
図8】(a)は実施の形態1に係る折畳式表示媒体の外装カバーを閉じた状態を示す説明図、(b)は同折畳式表示媒体の外装カバーを開放した状態を示す説明図、(c)は同折畳式表示媒体の外装カバーを開放した後に折畳シートを展開した状態を示す説明図である。
図9】(a)は比較の形態1に係る折畳式表示媒体の連結片の長手方向端部の構成例を示す説明図、(b)は比較の形態2に係る折畳式表示媒体の連結片の長手方向端部の構成例を示す説明図である。
図10】(a)は実施の形態1に係る折畳式表示媒体の流通手法の一例を示す説明図、(b)は同折畳式表示媒体の流通手法の他の例を示す説明図である。
図11】(a)はシート材のうち、折畳式表示媒体の平面展開パターン領域以外のシート残領域を利用した折り紙作品の平面展開パターンの一例を示す説明図、(b)は(a)に示す平面展開パターンを立体的に組み立てた折り紙作品の一例を示す説明図である。
図12】(a)は実施の形態2に係る折畳式表示媒体の要部を示す説明図、(b)は(a)に示す折畳式表示媒体の連結片の凹所回りの構造を示す説明図、(c)は(b)に示す折畳式表示媒体の連結片の凹所回りの構造の他の例を示す説明図である。
図13】実施の形態2に係る折畳式表示媒体を同一面上に展開した状態を示す平面説明図である。
図14】(a)は変形の形態1に係る折畳式表示媒体を示す説明図、(b)は同折畳式表示媒体を閉じた状態の断面説明図である。
図15】(a)は変形の形態2に係る折畳式表示媒体を示す説明図、(b)は同折畳式表示媒体を閉じた状態の断面説明図である。
図16】(a)は変形の形態3に係る折畳式表示媒体を示す説明図、(b)は同折畳式表示媒体を閉じた状態の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された折畳式表示媒体の実施の形態の概要を示す説明図である。
同図において、折畳式表示媒体1は、縦横複数の折り目を介して連接し、略矩形状の単位シート部3に折り畳まれる展開可能な折畳シート2と、展開された折畳シート2の一隅部に位置するコーナ単位シート部3cの一辺に隣接して設けられ、図1(c)に示すように、折り畳まれた折畳シート2の表側及び裏側を挟み込むように覆う外装カバー4と、折畳シート2のコーナ単位シート部3cと外装カバー4とを折曲可能に連結する連結片5(図1(b)参照)と、を備え、折畳シート2、外装カバー4及び連結片5は同一のシート材で一体的に構成され、連結片5は、コーナ単位シート部3cの一辺に沿って延びる帯状部6からなり、当該帯状部6の長手方向端部のうち少なくとも外装カバー4と交差する箇所には折畳シート2、外装カバー4に対して円弧状に連なる滑らかな内縁の凹所7(図1(b)参照)を有するものである。
尚、図1(a)において、一点鎖線は谷折り(折り目の線が内側に隠れてしまうように折ること)、点線は山折り(折り目の線が外側になるように折ること)を示す。
【0012】
このような技術的手段において、折畳式表示媒体1は折畳可能な折畳シート2を用いた表示媒体を指し、折畳シート2には予め決められた情報(文字、図、絵、写真等)を表示するようにしたものに限られず、白紙状態の折畳シート2に収集した情報をユーザが逐次表示するようにしたものも含まれる。ここで、収集した情報としては、神社、仏閣の御朱印を始め、シール、カード、スタンプ、寄せ書き、サイン、色紙、絵手紙、スケッチ、七福神めぐり等が挙げられる。
また、折畳式表示媒体1を構成するシート材としては適宜選定して差し支えないが、耐久性を考慮すると、例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂あるいは合成紙ユポ(登録商標)等が好ましい。
更に、折畳シート2の折り方については既存の様式(ミウラ折り(登録商標)、Z折り等)を適宜選定して差し支えない。
【0013】
また、外装カバー4は、コーナ単位シート部3cの一辺に隣接していれば任意の位置に設けて差し支えなく、折り畳まれた折畳シート2の表側及び裏側を挟み込むものであれば適宜選定して差し支えない。
更に、折畳シート2と外装カバー4とは連結片5を介して連結されている。このため、折り畳まれた折畳シート2は外装カバー4の連結片5との連結箇所から連結片5の幅寸法w分だけ外装カバー4内に退避した位置に収容されることになり、折畳シート2が外装カバー4から食み出した状態で収容される事態は回避される。仮に、連結片5を用いない場合には、折り畳まれた折畳シート2が外装カバー4から食み出し易く、折畳シート2の収容性が損なわれる懸念がある。
【0014】
特に、本例では、連結片5は、帯状部6の長手方向端部のうち少なくとも外装カバー4と交差する箇所に所定形状の凹所7を有していればよい。図1(a)では、帯状部6の長手方向両端部が外装カバー4と交差していることから、帯状部6の長手方向両端部に凹所7が設けられている。尚、例えば帯状部6の長手方向一端部が外装カバー4の一側縁に沿う直線上に位置する場合には、凹所7を設けてもよいが、設けなくてもよい。
ここで、凹所7は連結片5と折畳シート2あるいは外装カバー4との境界部に対して円弧状に連なることから、境界部からの破断を抑制する作用を奏するものと推測される。仮に、凹所7が境界部に対して直線状に屈曲して連なる場合には、境界部と凹所7との間に角部が形成されてしまうため、当該角部に破断応力が集中し、角部から破断するという懸念がある。
更に、凹所7としては、滑らかな内縁を有していればよく、凹所7の一部には非屈曲な直線部を有していてもよい。仮に、凹所7の内縁の一部に設けられた直線部に例えば断面V字状の角部が存在する場合には、角部に破断応力が集中し、破断し易い懸念がある。
【0015】
次に、折畳式表示媒体1の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、連結片5の好ましい態様としては、凹所7は内縁全域に亘って円弧状であることが挙げられる。本例は内縁全域が円弧状の凹所7を具備した態様で、破断荷重が凹所7内縁のいずれの箇所に作用したときに破断荷重が周辺に分散し易い点で好ましい。
また、連結片5の別の好ましい態様としては5mm以下の幅寸法の帯状部6を有することが挙げられる。本例は幅狭の帯状部6を有する態様で、幅広であると、外装カバー4による外装品質を維持する上で外装カバー4を大きくせざるを得なくなる。
【0016】
更に、外装カバー4の好ましい態様としては、折り畳まれた折畳シート2を平面視したときの大きさよりも大きい略矩形状の表側カバー部4a及び裏側カバー部4bを有し、これらのカバー部4a,4bを折り畳まれた折畳シート2の厚さ以上の幅寸法の背面カバー部4cを介して折曲可能に連接したものが挙げられる。本例は、外装カバー4の大きさを選定する上で好ましい基準を示す。
本例において、右開き可能な外装カバー4とするには、外装カバー4は、折り畳まれた折畳シート2の最下層に位置するコーナ単位シート部3cの一辺に連結片5を介して一体的に設けられ、折り畳まれた折畳シート2を右開き可能に覆うようにすればよい。
また、外装カバー4による折畳シート2の保持性を良好に保つという観点からすれば、表側カバー部4aと、裏側カバー部4bとの開口側に表側カバー部4aを閉じた状態に仮保持する図示外の仮保持部を有するものが挙げられる。ここで、仮保持部は、後付けでもよいし、外装カバー4の一部として予め形成するようにしてもよい。
更に、外装カバー4の別の好ましい態様としては、シート材を折り込んで複数枚構成にしたものが挙げられる。本例は、外装カバー4を複数枚構成にすることで、曲げ剛性を高めた態様である。
【0017】
また、折畳式表示媒体1を流通に供するに当たって好ましい態様としては、外装カバー4が連結片5を介して折り畳まれた折畳シート2の裏側に折曲され、折畳シート2の表側及び裏側を外装カバー4にて挟み込むように覆ってなる折畳式表示媒体1の組立完成品、又は、外装カバー4が連結片5を介して折り畳まれた折畳シート2の裏側に折曲され、かつ、外装カバー4の表側カバー部4aを裏側カバー部4b側に折り返してなる折畳式表示媒体1の組立半完成品が収納可能な内部空間を有し、組立完成品又は組立半完成品を収納する透過性材料からなる図示外の収納ケースを備えた態様が挙げられる。
【0018】
また、前述した折畳式表示媒体1の代表的な製造方法としては、一枚のシート材に折畳シート2、外装カバー4及び連結片5の全体を平面状に連なるように展開した折畳式表示媒体1の平面展開パターン領域の外周箇所を裁断可能なミシン目として加工し、かつ、折畳シート2、外装カバー4の折曲予定箇所を折曲可能な折り目として加工する加工工程と、加工工程で加工された折畳式表示媒体1の平面展開パターン領域をシート材から裁断した後、平面状の折畳式表示媒体1の各折り目を所定方向に折曲して立体的に組み立てる組立工程と、を備えたものが挙げられる。
【0019】
このような折畳式表示媒体1の製造方法において、折畳式表示媒体1は、一枚のシート材のうち、折畳式表示媒体1の平面展開パターン領域が製造に直接利用されることになり、それ以外にシート残領域が残ってしまう。
そこで、折畳式表示媒体1の製造方法の好ましい態様としては、シート残領域を有効に利用するという観点から、加工工程は、シート材のうち、折畳式表示媒体1の平面展開パターン領域以外でコーナ単位シート部3cとは隣接しない矩形状のシート残領域に、予め決められた折り紙作品の平面展開パターンに対する折曲予定箇所を折曲可能な折り目として加工する折り紙用加工工程を含み、折り紙用加工工程にて加工された折り紙作品の平面展開パターンの各折り目を所定方向に折曲して折り紙作品を立体的に組み立て可能とする態様が挙げられる。
【0020】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
-折畳式表示媒体の全体構成-
図2は実施の形態1に係る折畳式表示媒体の全体構成を示す。
同図において、折畳式表示媒体10は、縦横複数の折り目を介して連接し、略矩形状の単位シート部21に折り畳まれる展開可能な折畳シート20と、展開された折畳シート20の一隅部(本例では、図5に示すように、展開された折畳シート20の左下隅部を使用)に位置するコーナ単位シート部21c(具体的には21c1)の一辺に隣接して設けられ、折り畳まれた折畳シート20の表側及び裏側を挟み込むように覆う外装カバー30と、折畳シート20のコーナ単位シート部21c1と外装カバー30とを折曲可能に連結する連結片50と、を備えている。
本例において、折畳シート20、外装カバー30及び連結片50は、図6に示すように、同一のシート材Sで一体的に構成されている。ここで、シート材Sとしては適宜選定して差し支えないが、耐久性、加工性を考慮すると、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂あるいはポリプロピレン樹脂を主原料として合成された合成紙ユポ(登録商標)が好ましく、本例では、合成紙ユポが用いられている。また、シート材Sの厚さとしては折畳シート20の段数、折り数を考慮して適宜選定して差し支えないが、折畳シート20の折畳状態を安定させるという観点からすると、150μm以下の厚さが好ましい。
【0021】
<折畳シート>
本例において、折畳シート20は、図5に示すように、例えば5段7折りの略矩形状の単位シート部21を有しており、単位シート部21の大きさは表示対象、表示量に合わせて適宜選定するようにすればよい。但し、単位シート部21の大きさについては表示対象が収まる大きさに選定する必要はなく、複数の単位シート部21に跨がって表示対象を表示するようにしてもよいことは勿論である。
更に、折畳シート20の各単位シート部21は縦方向の折り目22及び横方向の折り目23を少なくとも2以上含んでいる。特に、本例では、折畳シート20の各折り目22,23はミウラ折り(登録商標)に則ったものになっている。具体的には、展開された折畳シート20の縦方向の折り目22については、各単位シート部21の縦方向長さ毎に極めて緩やかな予め決められた角度のジグザグの折り目軌跡を描くように形成され、例えば図6の左側から奇数番目(本例では1,3,5列目)の折り目22が所謂谷折り(図中一点鎖線で示す)、偶数番目(本例では2,4,6列目)の折り目22が所謂山折り(図中太点線で示す)になっている。また、横方向の折り目23については、直線状の折り目軌跡を描くように形成され、図6の上側から奇数番目(本例では1,3行目)の折り目23は左側から奇数番目の単位シート部21が所謂谷折り、偶数番目の単位シート部21が所謂山折りになっており、更に、図6の上側から偶数番目(本例では2,4行目)の折り目23は左側から奇数番目の単位シート部21が所謂山折り、偶数番目の単位シート部21が所謂谷折りになっている。
【0022】
このため、本例では、折畳シート20は、図6に示す展開状態(5段7折りの単位シート部21が展開した状態)から図4に示す折畳状態に折り畳むことが可能になっている。つまり、本例では、折畳シート20は、図4に示すように、5段7折りの折畳状態で折り畳まれ、平面視では横方向寸法x2、縦方向寸法y2の領域内に収まるようになっている。そして、ミウラ折りでは、折り畳まれた各単位シート部21は、完全に重合した状態にはならず、予め決められた角度だけ交互にずれながら重合した状態になっている。
尚、本例では、折畳シート20の折畳方式はミウラ折りを採用しているが、これに限定されず、Z折り等の他の折畳方式を採用してもよいことは勿論である。
【0023】
<外装カバー>
本例において、外装カバー30は、図2乃至図4に示すように、右開き可能に折り畳まれた折畳シート20を覆うように構成され、折り畳まれた折畳シート20の表側を覆う表側カバー部31と、折畳シート20の裏側を覆う裏側カバー部32と、表側カバー部31と裏側カバー部32との間に設けられ、折畳シート20の背面側を覆う背面カバー部33とを備えている。
このため、本例では、外装カバー30は、裏側カバー部32の一側縁が連結片50を介して折畳シート20のコーナ単位シート部21c1に連結されており、裏側カバー部32が連結片50の一側縁に対して180度折り返し可能な折返し部34を介して折り畳まれた折畳シート20の裏側に配置され、裏側カバー部32の連結片50との連結箇所とは反対側に位置する他側縁に対して背面カバー部33の一側縁が折曲部35を介して略直角に折曲可能に配置され、更に、背面カバー部33の裏側カバー部32との連結箇所とは反対側に位置する他側縁に対して表側カバー部31の一側縁が折曲部36を介して略直角に折曲可能に配置されている。
【0024】
ここで、外装カバー30の大きさについては以下のように選定されている。
表側カバー部31及び裏側カバー部32は、図2に示すように、横方向寸法x1、縦方向寸法y1の矩形状であるが、折り畳まれた折畳シート20の大きさ(x2,y2)に比べて、x1>x2、y1>y2を満たすように選定されている。
また、背面カバー部33は、図2に示すように、幅寸法z、縦方向寸法y1の細長い短冊状の帯状部であるが、図3(a)(b)に示すように、折り畳まれた折畳シート20を押し付けたときの厚さをdとすると、z>dを満たすように選定されている。
このため、本例では、図3(a)(b)に示すように、外装カバー30を閉じている状態では、折り畳まれた折畳シート20は外装カバー30で覆われ、外装カバー30内に収容される。一方、図2及び図3(a)に二点鎖線で示すように、外装カバー30を右開きすると、外装カバー30の表側カバー部31及び背面カバー部33が裏側カバー部32と略同一面上に展開され、折り畳まれた折畳シート20が出現する。
尚、図2中、y3は折畳シート20のコーナ単位シート部21c1の縦方向寸法を示し、コーナ単位シート部21c1と裏側カバー部32との位置関係について、y4はコーナ単位シート部21c1の上縁と裏側カバー部32の上縁との間の寸法を、y5はコーナ単位シート部21c1の下縁と裏側カバー部32の下縁との間の寸法を夫々示し、本例では、折畳シート20はコーナ単位シート部21c1に対して下方側に張り出すように折り畳まれることを踏まえ、y4に比べてy5が大きくなるように選定されている。
【0025】
<連結片>
本例において、連結片50は、図2に示すように、幅寸法w、縦方向寸法y3の細長い短冊状の帯状部51を有しており、裏側カバー部32の一側縁から突出する構成である。
本例では、折り畳まれた折畳シート20は、裏側カバー部32の一側縁から連結片50の幅寸法w分だけ引っ込んだ位置に配置されている。ここで、連結片50の幅寸法wは、5mm以下に選定されており、折り畳まれた折畳シート20が外装カバー30から食み出すことなく、外装カバー30内に収容されるように、x2+w<x1を満たすように選定されている。
【0026】
<凹所>
本例において、連結片50の帯状部51の長手方向両端には、図7(a)に示すように、半円状の円弧部56を有する凹所55が形成されている。
尚、凹所55の形状については、連結片50と折畳シート20あるいは外装カバー30との境界部に対して円弧状に連なるものであればよく、図7(b)に示すように、凹所55の円弧部56の一部には非屈曲な直線部57を有していてもよい。
【0027】
-折畳式表示媒体の製造方法-
折畳式表示媒体10を製造するに当たって、例えば図6に示すように、一枚の矩形状のシート材Sに折畳シート20、外装カバー30及び連結片50の全体を平面状に連なるように展開した折畳式表示媒体10の平面展開パターンPT領域の外周箇所を裁断可能なミシン目60として加工し、かつ、折畳シート20、外装カバー30の折曲予定箇所を折曲可能な折り目として加工する加工工程と、加工工程で加工された折畳式表示媒体10の平面展開パターンPT領域をシート材Sから裁断した後、平面状の折畳式表示媒体10の各折り目を山折り又は谷折りとなるように所定方向に折曲して立体的に組み立てる組立工程と、を備えるようにすればよい。
ここで、加工工程のミシン目60としては、マイクロミシン加工により例えば0.3mm以下のカット長、0.2mm以下のノンカット長の態様に形成したものが用いられる。本例においては、折畳式表示媒体10の平面展開パターンPT領域の外周箇所はミシン目60に沿って容易に切り取ることは可能であるが、ミシン目60に交差する方向に引っ張り荷重が不意に作用したとしても、ミシン目60の方向に沿う裁断方向の荷重が直接的にはかからないことから、ミシン目60で不必要な破断が起こることは抑制される。また、加工工程の折り目(折り目22,23、折返し部34、折曲部35,36となる折り目を含む)としては、平面展開パターンPTを構成する折畳シート20、外装カバー30の折曲予定箇所となる折り目ラインに沿って山折り又は谷折りに折曲可能な折り目をプレス加工するようにすればよい。
【0028】
また、組立工程においては、図6に示すように、折畳式表示媒体10の平面展開パターンPTをミシン目60に沿って裁断することで、シート材Sから平面展開パターンPTを抜き出し、次に、図5に示すように、平面展開パターンPTの折畳シート20については、折畳シート20の縦横の折り目ラインに対し、山折り又は谷折りの縦方向の折り目22、横方向の折り目23を付けて展開状態から折畳可能な状態(図4参照)に構成し、また、外装カバー30については、図2に示すように、連結片50の一側縁の折返し部34を境に裏側カバー部32、背面カバー部33及び表側カバー部31を平面状態のまま折畳シート20の裏側に折返し、更に、図2及び図3(a)(b)に示すように、背面カバー部33を折曲部35で略直角に折曲すると共に、表側カバー部31を折曲部36で略直角に折曲し、折り畳まれた折畳シート20を外装カバー30で挟み込むように覆い、収容するようにすればよい。
【0029】
-折畳式表示媒体の使用方法-
次に、折畳式表示媒体10の使用方法について説明する。
先ず、折畳式表示媒体10不使用時には、図8(a)に示すように、折り畳まれた折畳シート20を外装カバー30を閉じて覆い、保管あるいは携帯する。
この状態において、折畳式表示媒体10を使用する場合には、図8(b)に示すように、外装カバー30を右開きし、表側カバー部31及び背面カバー部33を折り畳まれた折畳シート20の右側に開く。
この後、折り畳まれた折畳シート20の最下層のコーナ単位シート部21c1の左下隅部Q1を左手でつまんで保持し、一方、折畳シート20の最上層のコーナ単位シート部21c3(展開時に最下層のコーナ単位シート部21c1に対して対角線位置に位置するコーナ単位シート部に相当)の右上隅部Q2を右手でつまんで保持し、左手を動かさずに、図8(b)の矢印方向E(図中斜め右上方向)に右手を移動させるようにすれば、折り畳まれていた折畳シート20を図8(c)に示す状態に展開させることができる。
この状態において、展開状態の折畳シート20に記載された情報を確認したり、あるいは、折畳シート20上に表示情報を追加したりすることが可能になる。
【0030】
また、折畳式表示媒体10を閉じる場合には、図8(c)に示すように展開された折畳シート20を、展開時の逆の操作をすることによって、図8(b)に示すように、平面状に開いた状態の外装カバー30の裏側カバー部32上に折畳シート20を折畳み、更に、図8(a)に示すように、外装カバー30の表側カバー部31及び背面カバー部33を閉じ状態の位置まで移動させ、折り畳まれた折畳シート20を挟み込むように外装カバー30を閉じ、折畳シート20を収容するようにすればよい。
【0031】
-折畳式表示媒体の耐久性-
このように、折畳式表示媒体10を使用する場合には、その都度、外装カバー30の開閉動作や折畳シート20の展開・折畳動作が繰り返されるが、外装カバー30と折畳シート20との間を連結する連結片50にある程度の破断荷重が作用することは避けられない。
しかしながら、本例では、連結片50は帯状部51の長手方向両端部に凹所55を有し、凹所55は連結片50と折畳シート20あるいは外装カバー30との境界部に対して円弧状に連なることから、境界部からの破断を抑制する作用を奏するものと推測される。特に、本例の凹所55は内縁全域に亘って円弧部56であるため、破断荷重が凹所55の内縁のいずれの箇所に作用したときにも破断荷重が周辺に分散し易く、この点で、凹所55の内縁での破断も抑制される。
【0032】
◎比較の形態1,2
本実施の形態に係る折畳式表示媒体10の耐久性を確認するために、比較の形態1,2に係る折畳式表示媒体10’,10”と対比してみた。
比較の形態1に係る折畳式表示媒体10’は、図9(a)に示すように、折畳シート20と外装カバー30との間の連結片50の帯状部51の長手方向端部に凹所55を設けていない態様である。
比較の形態2に係る折畳式表示媒体10”は、図9(b)に示すように、折畳シート20と外装カバー30との間の連結片50の帯状部51の長手方向端部には断面V字状の凹所55’を設けた態様である。
ここで、比較の形態1では、連結片50の帯状部51の長手方向端部と折畳シート20あるいは外装カバー30との境界部に略直角の角部91が形成されており、当該角部91に破断荷重Pが作用すると、破断され易いという懸念がある。
また、比較の形態2では、連結片50の帯状部51の長手方向端部と折畳シート20あるいは外装カバー30との境界部は角部92を有しているが、当該角部92は鈍角で交差するため、破断荷重Pが作用しても破断し難い。しかしながら、帯状部51の長手方向端部には断面V字状の凹所55’が形成されており、この凹所55’に破断荷重Pが作用すると、破断され易いという懸念がある。
【0033】
-折畳式表示媒体の流通方法-
折畳式表示媒体10を販売や郵送等の流通に供する際には、図10(a)(b)に示すように、折畳式表示媒体10の形状を保持するという観点から、折畳式表示媒体10の組立完成品Uc又は組立半完成品Uhを収納ケース80に収納し、流通に供する手法が採用されている。
図10(a)は、折畳式表示媒体10の組立完成品Ucを流通に供する際の一例を示す。
同図において、組立完成品Ucは、外装カバー30が連結片50の折返し部34を介して折り畳まれた折畳シート20の裏側に折返した状態で折曲され、更に、外装カバー30の表側カバー部31及び背面カバー部33が折曲部35,36を介して裏側カバー部32から略直角に折曲され、当該外装カバー30にて折畳シート20の表側及び裏側を挟み込むように覆ってなる折畳式表示媒体10の態様を指す。
【0034】
ここで、収納ケース80は、組立完成品Ucが収納可能な内部空間を有する偏平な直方体形状の透明若しくは半透明な合成樹脂製のケース本体81を有し、このケース本体81の一端に開口82を形成すると共に、この開口82縁には当該開口82を開閉する開閉蓋83を一体的に形成し、開閉蓋83の自由端側に開口82閉鎖時に開口82の内縁に係止可能な係止片84を形成したものである。
本例では、収納ケース80の開閉蓋83を開放した状態で、収納ケース80の開口82から収納ケース80内に組立完成品Ucを収納した後、開閉蓋83を閉じるようにすればよい。
尚、本例の収納ケース80は折畳式表示媒体10を継続して使用する場合や携帯する場合に保管ケースとして利用することが可能である。
【0035】
図10(b)は折畳式表示媒体10の組立半完成品Uhを流通に供する際の一例を示す。
同図において、組立半完成品Uhは、外装カバー30が連結片50の折返し部34を介して折り畳まれた折畳シート20の裏側に折返した状態で折曲され、更に、外装カバー30の裏側カバー部32及び背面カバー部33を面一に保った状態で、表側カバー部31が折曲部36を介して裏側カバー部32及び背面カバー部33の裏側に折り返した状態で折曲された折畳式表示媒体10の態様を指す。
本例では、収納ケース80は、組立半完成品Uhが収納可能な内部空間を有する偏平な直方体形状の透明若しくは半透明な合成樹脂製のケース本体85を有し、このケース本体85の一端に開口86を形成すると共に、この開口86縁には当該開口86を開閉する開閉蓋87を一体的に形成し、開閉蓋87の自由端側に開口86閉鎖時に開口86の内縁に係止可能な係止片88を形成したものである。
【0036】
本例においても、収納ケース80の開閉蓋87を開放した状態で、収納ケース80の開口86から収納ケース80内に組立半完成品Uhを収納した後、開閉蓋87を閉じるようにすればよい。
ここで、本例では、外装カバー30を偏平状態に折返し、外装カバー30の裏側カバー部32の表面側に折り畳まれた折畳シート20を配置するようにしたので、収納ケース80のケース本体85の内部空間としては、図10(a)に示す態様に比べて、背面カバー部33の幅寸法z(図2参照)だけ横方向寸法を幅広に形成すると共に、折畳シート20が収納可能なスペースを確保すればよいことから、背面カバー部33の幅寸法zよりも狭い開口86幅にすることも可能である。尚、本例では、ケース本体85は横断面矩形状のものが使用されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば平面状の背面ケース部に対して湾曲状に覆う表面ケース部を一体的に形成することも可能である。
【0037】
-シート材のうち折畳式表示媒体以外のシート残領域の有効利用-
本実施の形態では、折畳式表示媒体10を製造するに際し、図6に示すように、一枚の矩形状のシート材Sのうち、折畳式表示媒体10の平面展開パターンPT領域以外に二つのシート残領域SR1,SR2が残ってしまう。ここで、シート残領域SR1はコーナ単位シート部21cに隣接しない領域であり、シート残領域SR2はコーナ単位シート部21cに隣接する領域である。
本例において、シート残領域SR1は、シート材Sの平面展開パターンPTの外装カバー30の横方向に延びる辺と、折畳シート20の縦方向に延びる側辺とに囲まれた領域であり、シート残領域SR2に比べて、比較的大きな面積を占める。
このため、折畳式表示媒体10を製造するに際し、シート材Sのうち、特にシート残領域SR1を有効に利用する手法を採用することが好ましい。
【0038】
この種の手法としては、例えば図6及び図11(a)に示すように、前述した加工工程の一部に対し折り紙用加工工程を含むようにする態様が挙げられる。
本例において、折り紙用加工工程は、シート材Sのシート残領域SR1に、予め決められた折り紙作品Mの平面展開パターンPTmに対する折曲予定箇所を折曲可能な折り目90として加工する工程を指す。この折り紙用加工工程は、前述した折畳式表示媒体10の平面展開パターンPTを加工する加工工程と並行して実施するようにしてもよいし、前記加工工程とは別の時点で実施するようにしてもよい。
ここでいう折り紙作品Mは、折り紙で折られる立体的な作品であれば、乗り物、動物、花などの様々なカテゴリーのものでよく、既存のものに限らず、オリジナル作品をも広く含む。
【0039】
図11(a)に示す折り紙作品Mの平面展開パターンPTmは、図11(b)に示す宝船の折り紙作品Mの完成品を平面的に展開したものであり、折り紙用加工工程は、矩形状のシート残領域SR1に谷折り又は山折りに折曲可能な折り目90をプレス加工するようになっている。
このような折り紙用加工工程にて、図11(a)に示すように加工された折り紙作品Mの平面展開パターンPTmの各折り目90を所定方向に折曲することにより、図11(b)に示すように、折り紙作品Mの完成品を立体的に組み立てることが可能になる。
更に、折り紙作品Mの材料であるシート材Sのシート残領域SR1の平面展開パターンPTmに色付け等の装飾を予めあるいは製造後に施すようにすれば、装飾性の高い折り紙作品Mの完成品を得ることができ、部屋などに展示することも可能である。
このように、折り紙作品Mの平面展開パターンPTmは折り紙作品Mを製造する基礎材料であり、例えば折畳式表示媒体10を販売する際に、折り紙作品Mの基礎材料を付録として追加するようにしたり、あるいは、折畳式表示媒体10とは別に折り紙作品Mの基礎材料を独立の商品(折り紙グッズ)として販売するようにしてもよい。
【0040】
このようにすることにより、折畳式表示媒体10を製造するためのシート材Sを無駄なく有効に利用することが可能になり、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標にも沿う点で好ましい。
尚、本例では、折り紙作品Mの平面展開パターンPTmは、折畳式表示媒体10の製造方法において、加工工程の一部として含まれる折り紙用加工工程で加工されるものであるが、例えば使用済みのカレンダー用紙等を折り紙作品Mの基礎材料として使用し、基礎材料に折り紙作品Mの平面展開パターンPTmの折曲可能な折り目90を折り紙用加工工程を実施するようにすれば、使用済みのカレンダー用紙等を折り紙作品Mの基礎材料として有効に利用することも可能である。
【0041】
◎実施の形態2
図12(a)は実施の形態2に係る折畳式表示媒体10の要部を示す説明図である。
同図において、折畳式表示媒体10の基本的構成は、実施の形態1と略同様に、折畳シート20、外装カバー30及び連結片50を備えたものであるが、実施の形態1と異なり、連結片50の帯状部51の長手方向の一端部にのみ円弧状の凹所55を有し、かつ、折畳式表示媒体10の平面展開パターンPTの形状を実施の形態1とは異なる形状(図13参照)にしたものである。
本例において、折畳式表示媒体10は、縦横複数の折り目を介して連接し、略矩形状の単位シート部21に折り畳まれる展開可能な折畳シート20と、展開された折畳シート20の一隅部(本例では、図13に示すように、展開された折畳シート20の左上隅部を使用)に位置するコーナ単位シート部21c2(21c)の一辺に隣接して設けられ、折り畳まれた折畳シート20の表側及び裏側を挟み込むように覆う外装カバー30と、折畳シート20のコーナ単位シート部21c2と外装カバー30(表側カバー部31、裏側カバー部32及び背面カバー部33)とを折曲可能に連結する連結片50と、を備えている。
【0042】
そして、本例では、外装カバー30の上縁部は展開された折畳シート20の上縁部の延長線上に延びており、連結片50の帯状部51の長手方向上端部は折畳シート20及び外装カバー30の上縁部と面一に構成されている。また、連結片50の帯状部51の長手方向下端部は外装カバー30の裏側カバー部32と交差するように配置されており、図12(b)に示すように、帯状部51の長手方向下端部には半円状の円弧部56を有する凹所55が形成されている。
【0043】
本例に係る折畳式表示媒体10を製造するに当たって、図13に示す平面展開パターンPTを図示外のシート材から抜き出し、平面展開パターンPTの折畳シート20については、折畳シート20の縦横の折り目ラインに対し、山折り又は谷折りの縦方向の折り目22、横方向の折り目23を付けて展開状態から折畳可能な状態(図12(a)参照)に構成し、また、外装カバー30については、実施の形態1と略同様に、連結片50の一側縁の折返し部34を境に裏側カバー部32、背面カバー部33及び表側カバー部31を平面状態のまま折畳シート20の裏側に折返し、更に、背面カバー部33を折曲部35で略直角に折曲すると共に、表側カバー部31を折曲部36で略直角に折曲し、折り畳まれた折畳シート20を外装カバー30で挟み込むように覆い、収容するようにすればよい。
【0044】
本例に係る折畳式表示媒体10を使用する場合には、図12(a)に仮想線(二点鎖線)で示すように、外装カバー30を右開きにし、表側カバー部31及び背面カバー部33を折り畳まれた折畳シート20の右側に開く。
この後、折り畳まれた折畳シート20の最上層のコーナ単位シート部21c1の左下隅部Q1を左手でつまんで保持し、一方、折畳シート20の最下層のコーナ単位シート部21c3の右上隅部Q2を右手でつまんで保持し、左手を動かさずに、矢印方向E(図中斜め右上方向)に右手を移動させるようにすれば、折り畳まれていた折畳シート20を展開させることができる。
一方、折畳式表示媒体10を閉じる場合には、展開された折畳シート20を、展開時の逆の操作をすることによって折畳み、しかる後、外装カバー30を閉じるようにすればよい。
【0045】
本例においても、連結片50の帯状部51には実施の形態1と同様な凹所55が設けられているため、仮に、連結片50と折畳シート20、外装カバー30との境界部や凹所55に破断荷重が作用したとしても、境界部や凹所55で破断する事態は抑制される。
また、連結片50の帯状部51の幅寸法wを狭くするような場合には、図12(c)に示すように、帯状部51の長手方向端部の凹所55の曲率半径rをw/2よりも大きいものに選定し、例えば連結片50に隣接するコーナ単位シート部21c2に凹所55と円弧状に連なる拡張凹所58を形成するようにしてもよい。このような態様において、凹所55や拡張凹所58に破断荷重が作用したとしても、破断荷重は周囲に分散することから、連結片50周辺での破断は有効に抑制される。
【0046】
◎変形の形態1
図14(a)は変形の形態1に係る折畳式表示媒体の要部を示す。
同図において、折畳式表示媒体10の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、外装カバー30が実施の形態1と異なる構造になっている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、外装カバー30は、図14(a)(b)に示すように、シート材を折り込んで複数枚構成(本例では2枚構成)にしたものであり、外装カバー基層部301と外装カバー基層部301に積層される外装カバー積層部302とを有している。
本例では、外装カバー積層部302は、一枚のシート材S(図6参照)に折畳式表示媒体10の平面展開パターンPTの形状を形成する際に、例えば図14(a)に示すように、折畳シート20に対して連結片50を介して外装カバー基層部301を配置し、シート材Sのうち、平面展開パターンPT以外の余剰領域を有効に利用し、外装カバー基層部301の上側に折返し可能な折返し部303を介して外装カバー積層部302を形成するようにすればよい。
本例では、外装カバー30は、シート材Sから折畳式表示媒体10の平面展開パターンPTを抜き出した後、折畳式表示媒体10の組立工程において外装カバー基層部301に折返し部303を介して外装カバー積層部302を折り返して積層し、接着剤などで固着することで構成される。
本例によれば、一枚のシート材Sから折畳式表示媒体10を製造するに際し、外装カバー30の剛性を高めた折畳式表示媒体10を得ることができる。
【0047】
◎変形の形態2
図15(a)は変形の形態2に係る折畳式表示媒体の要部を示す。
実施の形態1,2に係る折畳式表示媒体10はいずれも右開き可能なものであって、外装カバー30を閉じたときには外装カバー30の左側領域が開口したままの構成になっている。
ここで、折畳式表示媒体10の閉じ形状をより確実に保持するという要請がある場合には、表側カバー部31と、裏側カバー部32との開口側に表側カバー部31を閉じた状態に仮保持する仮保持部70を設けるようにすればよい。
本例において、仮保持部70は、図15(a)(b)に示すように、表側カバー部31のうち背面カバー部33とは反対側に位置する一側縁に側方に延びる帯状の係止片71を平面展開パターンPTの一部として形成しておき、抜き出された平面展開パターンPTを組み立てる際に、係止片71の先端側裏面には引っ掛け部としての面ファスナ72を固着すると共に、裏側カバー部32の連結片50との境界部の近傍には面ファスナ72に係脱可能な被引っ掛け部としての面ファスナ73を固着したものである。
本例によれば、折り畳まれた折畳シート20を外装カバー30で閉じるときには、図15(b)に示すように、外装カバー30の開口部分を跨ぐように係止片71を表側カバー部31から裏側カバー部32へと架け渡し、面ファスナ73に面ファスナ72を係止させるようにすればよい。このとき、折り畳まれた折畳シート20は確実に覆われた状態に仮保持される。
尚、本例では、引っ掛け部、被引っ掛け部として面ファスナ72,73を用いたが、これに限られるものではなく、例えば係止片71を少し長めに形成して引っ掛け部として使用し、被引っ掛け部として係止片71が係脱可能な係止孔を設けるようにしてもよい。
【0048】
◎変形の形態3
図16(a)は変形の形態3に係る折畳式表示媒体の要部を示す。
同図において、折畳式表示媒体10の基本的構成は、変形の形態2と略同様に、折畳式表示媒体10の閉じ形状をより確実に保持する仮保持部70を備えたものであるが、外装カバー30及び仮保持部70の構成が変形の形態2と異なるものである。
本例において、外装カバー30は、変形の形態2と同様に、折り畳まれた折畳シート20に対し連結片50を介して裏側カバー部32、背面カバー部33及び表側カバー部31を順次配置したものであるが、変形の形態2と異なり、表側カバー部31の背面カバー部33とは反対側の一側縁には略直角に折曲可能な折曲部37を介して背面カバー部33と同様な帯状の開口カバー部38を平面展開パターンPTの一部として形成し、更に、開口カバー部38の表側カバー部31とは反対側の一側縁には折曲可能な折曲部39を介して裏側カバー部32と同様な大きさの矩形状の延長カバー部40を平面展開パターンPTの一部として形成したものである。
そして、本例において、仮保持部70は、図16(a)(b)に示すように、延長カバー部40の開口カバー部38とは反対側の一側縁の近傍裏面に引っ掛け部としての面ファスナ72を固着すると共に、裏側カバー部32の背面カバー部33との境界部の近傍表面には面ファスナ72に係脱可能な被引っ掛け部としての面ファスナ73を固着したものである。
本例によれば、折り畳まれた折畳シート20を外装カバー30で閉じるときには、図16(b)に示すように、外装カバー30の開口部分を開口カバー部38で塞ぎ、更に、延長カバー部40で裏側カバー部32を覆い、面ファスナ73に面ファスナ72を係止させるようにすればよい。このとき、折り畳まれた折畳シート20は外装カバー30でより確実に覆われた状態に仮保持される。
【実施例0049】
◎実施例1
実施例1は、実施の形態1に係る折畳式表示媒体を具現化した一例を示す。
本例における折畳式表示媒体は、図6に示す5段×7折りの態様であって、折畳シート、外装カバー及び連結片の寸法を以下のように選定したものである。
・シート材:合成紙ユポ 120μm厚
・折畳シート:5段×7折りで510mm×574mm
・コーナ単位シート部:102mm(縦)×90mm(横長)又は84mm(横短)
・コーナ外の単位シート部:102mm(縦)×80mm(横)
・外装カバー:150mm(縦)×214mm(横)
・表側カバー部、裏側カバー部:150mm(縦)×100mm(横)
・背面カバー部:150mm(縦)×100mm(横)
・連結片:102mm(縦)×4mm(幅)
・凹所:2mm半径の円弧状
【符号の説明】
【0050】
1…折畳式表示媒体,2…折畳シート,3…単位シート部,3c…コーナ単位シート部,4…外装カバー,4a…表側カバー部,4b…裏側カバー部,4c…背面カバー部,5…連結片,6…帯状部,7…凹所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図16