(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094986
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/68 20060101AFI20240703BHJP
E06B 9/34 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
E06B9/68 A
E06B9/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211943
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】土田 健治
(72)【発明者】
【氏名】深町 純也
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA06
2E042BA01
2E042CA01
2E042CB06
(57)【要約】
【課題】遮蔽ユニット6を簡単且つ迅速に正確な遮蔽状態に置くことができる電動の遮蔽装置を提供する。
【解決手段】複数の遮蔽用板材4と、遮蔽用板材4を支持する透光性シート3a,3bと、透光性シート3a,3bを巻出し移動又は巻戻し移動させるために回転する巻取ドラム9と、巻取ドラム9の回転に応じた出力信号を生じるエンコーダ11と、巻取ドラム9の回転を制御する制御装置とを有する遮蔽装置である。制御装置12は、遮蔽用板材4を遮蔽状態に設定すべき旨の指令を受けたとき、物理的下限位置に対して所定量分だけ戻した設定下限位置に基づいて巻取ドラム9の回転動作を制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遮蔽用板材と、
前記複数の遮蔽用板材の一方の辺が接合される第1の遮蔽用板材支持手段と、
前記複数の遮蔽用板材の他方の辺が接合される第2の遮蔽用板材支持手段と、
前記第1の遮蔽用板材支持手段および前記第2の遮蔽用板材支持手段を下限位置へ向けて巻出し移動させるか又は上限位置へ向けて巻戻し移動させるために、自身の中心線を中心として回転する巻取ドラムであって、前記第1の遮蔽用板材支持手段および前記第2の遮蔽用板材支持手段のそれぞれの上辺が自身の外周面上の互いに異なった相対向する位置に接続されている巻取ドラムと、
入力機器に入力された指令に基づいて、前記巻取ドラムの回転を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記入力機器を介して、遮蔽状態に設定すべき旨の指令を受けたとき、前記複数の遮蔽用板材が部分的に重なり合うことができる前記第1の遮蔽用板材支持手段および前記第2の遮蔽用板材支持手段の下辺の最下限の位置である設定下限位置に、前記第1の遮蔽用板材支持手段および前記第2の遮蔽用板材支持手段の下辺が位置するように前記巻取ドラムの回転動作を制御する
ことを特徴とする遮蔽装置。
【請求項2】
請求項1記載の遮蔽装置において、
前記設定下限位置は、前記遮蔽用板材、前記第1の遮蔽用板材支持手段および前記第2の遮蔽用板材支持手段、及び前記巻取ドラムの機械的な構造によって決まる下限位置である物理的下限位置に対して所定量分だけ戻した位置である
ことを特徴とする遮蔽装置。
【請求項3】
請求項2記載の遮蔽装置において、
前記物理的下限位置は、
(ア)前記巻取ドラムの回転に応じた出力信号を生じるエンコーダの出力信号に基づいて特定された下限位置であるか、
(イ)前記巻取ドラムの駆動源に関する異常値である過電流、異常波形電流、異常波形電圧に基づいて特定された下限位置であるか、又は
(ウ)動作制御中に前記エンコーダから前記制御装置へ伝送されるべき信号が所定時間、無くなったことによって特定された下限位置である
(エ)採光状態の巻取ドラムの状態である、
ことを特徴とする遮蔽装置。
【請求項4】
請求項2記載の遮蔽装置において、
前記巻取ドラムの回転に応じてパルス信号を出力するエンコーダをさらに有し、
前記設定下限位置は前記物理的下限位置に対して所定のパルス数だけ戻した位置である
ことを特徴とする遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽対象物(例えば、窓の開口部)を遮蔽する装置である遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成の遮蔽装置として、従来、例えば特許文献1に開示された装置が知られている。この遮蔽装置においては、特許文献1の
図1に示されているように、前透光性シート(18a)と後透光性シート(18b)の間に複数の遮蔽用板材(ルーバ20)が設けられている。カッコ付きの符号は特許文献1で用いられている符号である。
【0003】
巻取パイプ(14)には、2枚の透光性部材である透光性シート(18a)及び(18b)の上端が円周方向に対向する位置にそれぞれ接続されており、各透光性シート(18a)及び(18b)は、巻取パイプ(14)から互いに前後方向(図中左右方向)に間隔を空けて垂下される。
【0004】
前後のシート(18a)及び(18b)間には、特許文献1の
図3(a)及び
図4に示すように、複数のルーバ(20)がシート(18a,18b)の上下方向(第1方向)に沿って間隔を空けて整列状態に配置されており、各ルーバ(20)の前後端部はそれぞれが前後のシート(18a,18b)に接続されている。
【0005】
前後のシート(18a,18b)間の距離が変化することで、ルーバ(20)はその傾斜角度を変化させることができる。そして、各ルーバ(20)は、特許文献1の
図3(a)及び
図4に示すように、前後のシート(18a,18b)が離間しているときには、これらに対して略直交する状態となり、よって、隣り合うルーバ(20)間が開放された状態となる。一方、特許文献1の
図3(b)に示すように、前後のシート(18a,18b)が接近しているときには、各ルーバ(20)は前後のシート(18a,18b)に対して略平行状態となり、隣り合うルーバ(20)同士が部分的に重なり合って、隣り合うルーバ20の間が閉塞された状態となる。これにより、光の進行は抑制され、遮蔽状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の
図1において、巻取パイプ(14)は操作チェーン(16)を用いたユーザの手動操作により特許文献1の
図1の反時計方向又は正時計方向に回転できる。本願の明細書に添付した
図7Aは、透光性シート(18a,18b)の下端に接続されたボトムレールが巻取パイプ(14)に巻き取られた状態を示している。この状態で、遮蔽対象物(例えば窓の開口部)は非遮蔽状態(すなわち開放状態)に置かれている。
【0008】
巻取パイプ(14)が
図7Aにおいて正時計方向に回転させられると、透光性シート(18a,18b)及び遮蔽用板材(20)が巻取パイプ(14)から巻き出されて、
図7Bに示す遮蔽下限位置に到達する。この遮蔽下限位置において、特許文献1の
図3(b)に示す状態と同様に、透光性シート(18a,18b)が接近しているときには、各遮蔽用板材(20)は透光性シート(18a,18b)に対して略平行状態となり、隣り合う遮蔽用板材(20)同士が部分的に重なり合って、隣り合う遮蔽用板材(20)の間が閉塞された状態となる。これにより、遮蔽対象物(例えば窓の開口部)が遮蔽状態(すなわち光の進行を抑制する状態)に置かれている。
【0009】
巻取パイプ(14)がさらに正時計方向に回転させられると、透光性シート(18a,18b)及び遮蔽用板材(20)は、
図7Cに示す機械構造的な最下限位置に到達する。この機械構造的な最下限位置は、透光性シート(18a,18b)、遮蔽用板材(20)及び巻取パイプ(14)の機械的な構造のために透光性シート(18a,18b)及び遮蔽用板材(20)が取り得る最下限位置である。
図7Cの例では、透光性シート(18a,18b)が出しきられて、巻取パイプ(14)に取り付けられている透光性シート(18a)の上辺が巻取パイプ(14)の真下から伸びる状態である。この最下限位置においては、透光性シート(18a,18b)の上辺が巻取パイプ(14)の円周方向に対向する位置にそれぞれ接続されているため、透光性シート(18a,18b)の間に間隔が開く。そのため、互いに隣り合う遮蔽用板材(20)の間には隙間が空き、隣り合う遮蔽用板材(20)同士が部分的に重なり合う状態にならない。そのため、複数の遮蔽用板材(20)の間が閉塞された状態にならない。
【0010】
巻取パイプ(14)がさらに正時計方向に回転させられると、透光性シート(18a,18b)及び遮蔽用板材(20)は
図7Dに示す採光位置に到達する。この採光位置において、複数の遮蔽用板材(20)は略水平状態になっており、複数の遮蔽用板材(20)の間隔が最も広い状態になっている。これにより、多量の光が遮蔽対象物(例えば窓の開口部)を通して内部へ取り込まれる。
【0011】
特許文献1に示された従来の遮蔽装置においては、ユーザが特許文献1の
図1の操作チェーン(16)を操作して透光性シート(18a,18b)及び遮蔽用板材(20)を巻取パイプ(14)から巻き出すとき、透光性シート(18a,18b)及び遮蔽用板材(20)を
図7Bで示す遮蔽下限状態で停止させることが難しく、通常は、
図7Cで示す機械構造的な最下限位置まで下げてしまう。
【0012】
機械構造的な最下限位置において遮蔽用板材(20)は完全には閉じていない状態である。従って、ユーザが遮蔽用板材(20)を完全に閉じたい場合には、ユーザは
図7Cの状態から操作チェーン(16)をさらに操作し、
図7Bの状態にする必要があった。このように、従来の遮蔽装置においては、複数の遮蔽用板材(20)を完全に閉じた状態(すなわち互いに密着する状態)にするための作業が面倒であるという問題があった。
【0013】
本発明は、従来の遮蔽装置における上記の問題点を解消するために成されたものであって、複数の遮蔽用板材を閉じた状態(すなわち密着状態)に設定する作業を簡単に行うことができる遮蔽装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一側面の遮蔽装置は、複数の遮蔽用板材と、複数の遮蔽用板材の一方の辺が接合される第1の遮蔽用板材支持手段と、複数の遮蔽用板材の他方の辺が接合される第2の遮蔽用板材支持手段と、第1の遮蔽用板材支持手段および第2の遮蔽用板材支持手段を下限位置へ向けて巻出し移動させるか又は上限位置へ向けて巻戻し移動させるために、自身の中心線を中心として回転する巻取ドラムであって、第1の遮蔽用板材支持手段および第2の遮蔽用板材支持手段のそれぞれの上辺が自身の外周面上の互いに異なった相対向する位置に接続されている巻取ドラムと、入力機器に入力された指令に基づいて、巻取ドラムの回転を制御する制御装置とを有し、制御装置は、入力機器を介して、遮蔽状態に設定すべき旨の指令を受けたとき、複数の遮蔽用板材が部分的に重なり合うことができる第1の遮蔽用板材支持手段および第2の遮蔽用板材支持手段の下辺の最下限の位置である設定下限位置に、第1の遮蔽用板材支持手段および第2の遮蔽用板材支持手段(3a,3b)の下辺が位置するように巻取ドラムの回転動作を制御することを特徴とする。
【0015】
設定下限位置は、遮蔽用板材、第1の遮蔽用板材支持手段および第2の遮蔽用板材支持手段、及び巻取ドラムの機械的な構造によって決まる下限位置である物理的下限位置に対して所定量分だけ戻した位置とすることができる。
【0016】
物理的下限位置は、
(ア)巻取ドラムの回転に応じた出力信号を生じるエンコーダの出力信号に基づいて特定された下限位置であるか、
(イ)巻取ドラムの駆動源に関する異常値である過電流、異常波形電流、異常波形電圧に基づいて特定された下限位置であるか、又は
(ウ)動作制御中にエンコーダから制御装置へ伝送されるべき信号が所定時間、無くなったか、
(エ)採光状態(
図5D)の巻取ドラム9の状態である
ことによって特定された下限位置とすることができる。
【0017】
巻取ドラムの回転に応じてパルス信号を出力するエンコーダをさらに有し、
設定下限位置は物理的下限位置に対して所定のパルス数だけ戻した位置とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、遮蔽ユニットを簡単に、遮蔽装置を遮蔽状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明に係る遮蔽装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のA-A線に従った遮蔽装置の側面断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の遮蔽装置で用いられる制御装置のブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3の制御装置に付随する赤外線リモコン及び有線スイッチを示す図である。
【
図5】
図5は、
図1の遮蔽装置における遮蔽ユニットの動作の進行状況を示す図である。
【
図6】
図6は、設定上限位置及び設定下限位置を決めるための処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、従来の遮蔽装置における遮蔽ユニットの動作の進行状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る遮蔽装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0021】
図1は、本発明に係る遮蔽装置の一実施形態を示している。
図2は、
図1のA-A線に従った断面図である。
図1において、遮蔽装置1は、ヘッドレール2と、第1の透光性シートとしての前透光性シート3aと、第2の透光性シートとしての後透光性シート3bと、遮蔽用板材4と、ボトムレール5とを有している。前透光性シート3a及び後透光性シート3bは複数の遮蔽用板材4を支持するための遮蔽用板材支持手段である。これ以降、前透光性シート3aと、後透光性シート3bと、遮蔽用板材4と、ボトムレール5との組合せ構造体を遮蔽ユニット6と呼ぶことがある。
【0022】
(ヘッドレール)
ヘッドレール2は、カバー8と、巻取ドラム9と、電動モータ10と、エンコーダ11と、制御装置12とを有している。
図2に示すように、巻取ドラム9と、電動モータ10と、エンコーダ11と、制御装置12は、カバー8の中に収容されている。カバー8は、例えば硬質の合成樹脂によって形成されている。巻取ドラム9は、金属製又は合成樹脂製で中空の円筒形状に形成されている。
【0023】
電動モータ10は、出力軸の回転角度及び回転速度を制御可能なモータ、例えばサーボモータ、パルスモータ等によって構成されている。電動モータ10は巻取ドラム9の内部に設けられている。巻取ドラム9は電動モータ10によって駆動されて中心線Xを中心として
図2の正時計方向及び反時計方向へ回転する。エンコーダ11は動いている物体の動きに対応してパルス信号を出力する電子要素であり、本実施形態ではエンコーダ11は巻取ドラム9の回転に対応してパルス信号を発生する。
【0024】
電動モータ10を巻取ドラム9の内部に設けること、電動モータ10によって巻取ドラム9を回転駆動すること、カバー8の内部に設けたエンコーダ11によって巻取ドラム9の回転角度等を検出すること、カバー8の内部に制御装置12を設けること、等は公知の技術を採用することによって実現できる。このような公知技術は、例えば特開2022-12065号公報に開示された技術を採用できる。
【0025】
(遮蔽構造)
前透光性シート3a及び後透光性シート3bは、
図2に示すように、それらの上辺が巻取ドラム9の外周面上の互いに異なった相対向する位置に接続されている。ボトムレール5は、前透光性シート3a及び後透光性シート3b(以下、個々に区別する必要がない場合、透光性シート3と称する)の下辺に取り付けられている。ボトムレール5は、前透光性シート3a及び後透光性シート3bための錘部材として機能する。前透光性シート3aは、遮蔽対象物としての「窓の開口部」に関して室内側を向いている。後透光性シート3bは、遮蔽対象物としての「窓の開口部」に関して室外側を向いている。
【0026】
複数の遮蔽用板材4の左側の辺が前透光性シート3aの裏面に接合されている。複数の遮蔽用板材4の右側の辺が後透光性シート3bの裏面に接合されている。遮蔽用板材4の左右の各辺と透光性シート3との接合は任意の接合手法を用いて行うことができる。例えば、接着剤を用いた接合手法を用いることができる。
【0027】
各透光性シート3は、半透明シート又は透明シートを用いて形成できる。これらの透光性シート3は同じ材質とすることもできるし、あるいは異なる材質とすることもできる。これらの透光性シート3は遮蔽用板材4を透視できる程度の光透過性を有している。複数の遮蔽用板材4は
図2の上下方向に沿って互いに間隔を空けて並べられている。
【0028】
巻取ドラム9を正時計方向又は反時計方向へ回転させることにより、前透光性シート3aと後透光性シート3bを巻取ドラム9から巻出したり、あるいは巻入れたりすることができる。これらの巻出し及び巻入れの動作により、前透光性シート3aと後透光性シート3bとの間の距離を変化させることができる。この変化により、遮蔽用板材4のチルト角度(すなわち傾斜角度)を変化させることができる。
【0029】
前透光性シート3aと後透光性シート3bとが互いに離間しているとき、遮蔽用板材4はこれらの透光性シート3に対して略直交する状態になる。この状態になると、上下方向で互いに隣り合う遮蔽用板材4の間が開放された状態になる。前透光性シート3aと後透光性シート3bとが互いに接近しているときには、各遮蔽用板材4は透光性シート3に対して略平行状態になる。この状態になると、互いに隣り合う遮蔽用板材4が部分的に重なり合って、互いに隣り合う遮蔽用板材4の間が閉鎖状態になる。
【0030】
遮蔽用板材4は、合成樹脂繊維又は天然繊維から成る織布、編布、不織布、紙シート、合成樹脂シート、木材シート、その他の材質のシートによって形成できる。遮蔽用板材4は好ましくは可撓性を有する。
【0031】
(制御装置)
図1の制御装置12には、
図3に示すように、赤外線リモコン22、有線スイッチ23、及び
図1に示したエンコーダ11が入力機器として接続されている。また、
図1に示した電動モータ10が出力機器として接続されている。制御装置12は、演算処理部24と、電動モータ10にコマンド信号を供給する駆動部25と、記憶部26とを有する。記憶部26は、半導体メモリを用いた内部メモリや、ハードディスクを用いた外部メモリ等によって構成できる。
【0032】
演算処理部24は、透光性シート3の昇降動作を制御するシート昇降制御部30と、透光性シート3の上限位置を設定する処理を行うシート上限位置設定部31と、透光性シート3の下限位置を設定する処理を行うシート下限位置設定部32とを有する。シート昇降制御部30、シート上限位置設定部31、及びシート下限位置設定部32は、例えばマイクロコンピュータの演算処理部によって構成される。
【0033】
赤外線リモコン22は、
図4Aに示すように、OPENボタン33と、STOPボタン34と、CLOSEボタン35と、アップチルトボタン36と、ダウンチルトボタン37とを有する。赤外線リモコン22は、
図3の赤外線受信部40を通して制御装置12に赤外線信号を供給する。有線スイッチ23は、
図4Bに示すように、OPENボタン33と、STOPボタン34と、CLOSEボタン35と、アップチルトボタン36と、ダウンチルトボタン37とを有する。有線スイッチ23は、
図3の信号受信部41を通して制御装置12に有線によって信号を供給する。
【0034】
OPENボタン33は、前透光性シート3a、後透光性シート3b及び遮蔽用板材4から成る遮蔽ユニット6を、
図5Aに示すように巻取ドラム9によって巻取る処理を指令するためのボタンスイッチである。STOPボタン34は、処理動作を停止させる処理を指令するためのボタンスイッチである。
【0035】
CLOSEボタン35は、
図5Aに示すように巻き取られた状態の遮蔽ユニット6(すなわち透光性シート3と遮蔽用板材4との組立体)を
図5Bに示す遮蔽下限位置まで降下させる処理を指令するためのボタンスイッチである。
【0036】
アップチルトボタン36は、
図5Bに示すように略垂直状態である密着状態にある遮蔽用板材4を
図5Dに示すように略水平状態である採光状態までチルト(すなわち傾斜)させる処理を指令するためのボタンスイッチである。ダウンチルトボタン37は、
図5Dに示す略水平状態(すなわち採光状態)にある遮蔽用板材4を
図5Bに示す遮蔽状態までチルトさせる処理を指令するためのボタンスイッチである。
【0037】
(シート昇降制御)
演算処理部24のシート昇降制御部30は、採光状態に設定すべき旨の指令を受けたとき、物理的上限位置から所定量分下げた位置(以下、設定上限位置と称する)まで遮蔽ユニット6を上げる。またシート昇降制御部30は、遮光状態に設定すべき旨の指令を受けたとき、物理的下限位置から所定量分上げた位置(以下、設定下限位置と称する)まで遮蔽ユニット6を下げる。
【0038】
(遮蔽ユニット6の物理的上限位置及び物理的下限位置)
遮蔽ユニット6の物理的上限位置及び物理的下限位置について説明する。本実施形態の遮蔽装置における物理的上限位置及び物理的下限位置とは、遮蔽ユニット6の機械的な構造によって必然的に特定される上限位置及び下限位置のことである。
【0039】
本実施形態では、
(ア)
図1のエンコーダ11から出力されるパルスのカウント値による絶対的な上下限位置を定めておくか、
(イ)
図1の電動モータ10における異常値(すなわち過電流、異常波形電流、異常波形電圧、等)を検知するか、又は
(ウ)動作制御中に所定時間、エンコーダ11から制御装置12へのパルス通信が無くなったことを検知するか、
(エ)採光状態(
図5D)の巻取ドラム9の状態である
等に基づいて物理的上限位置及び物理的下限位置を特定できる。
【0040】
(遮蔽ユニット6の設定上限位置及び設定下限位置)
設定上限位置及び設定下限位置について説明する。
図6は、
図3の制御装置12内のシート上限位置設定部31及びシート下限位置設定部32によって実現される制御の流れを示すフローチャートである。制御装置12は、上限位置の設定及び下限位置の設定をすべき旨のコマンドを受信すると(ステップS1でYES)、
図2の遮蔽ユニット6を上昇させる(ステップS2)。遮蔽ユニット6が物理的上限位置まで上昇したことを制御装置12が検出すると(ステップS3でYES)、遮蔽ユニット6の上昇を停止して、停止したときのエンコーダ11からのパルスカウント値を
図3の記憶部26に一時的に記憶する(ステップS4)。また、制御装置12は、物理的上限位置から所定量分下げた位置を設定上限位置として決め、そのときのエンコーダ11からのパルスカウント値を設定上限位置として記憶部26に記憶する(ステップS4)。この設定上限位置は
図5Aに示す状態に対応する。
【0041】
この設定上限位置は、
図2の遮蔽ユニット6の最上部が機械的に過剰に圧縮されないように物理的上限位置から所定パルス分だけ下げられた位置である。こうすることにより、遮蔽ユニット6の経時的な劣化を低く抑えることができ、それ故、遮蔽ユニット6の長期間にわたる安定した動作が確保される。
【0042】
次に、制御装置12は、設定下限位置を決定するための制御モードに進む。すなわち、制御装置12は遮蔽ユニット6を下降させる(ステップS5)。遮蔽ユニット6が物理的下限位置まで下降し、ユーザがSTOPボタン34を操作し、停止指令が入力されると(ステップS6でYES)、制御装置12は遮蔽ユニット6の下降を停止して、停止したときのエンコーダ11からのパルスカウント値を
図3の記憶部26に一時的に記憶する(ステップS7)。物理的下限位置は
図5Cに示すように遮蔽ユニット6の機械的構造に応じて決まる遮蔽ユニット6の最下限位置である。この物理的下限位置においては、前透光性シート3a及び後透光性シート3bが、
図2に示すように、それらの上辺が巻取ドラム9の外周面上の互いに異なった相対向する位置に接続されていることから、複数の遮蔽用板材4は互いに密着する状態である
図5Bに示す状態に比べ、少し開き気味になり、遮蔽用板材4の間が閉塞されない。
【0043】
制御装置12は、
図5Cに示す物理的下限位置から所定量dだけ上げた位置(
図5B)を設定上限位置として決め、そのときのエンコーダ11からのパルスカウント値を設定下限位置として記憶部26に記憶する(ステップS7)。この設定下限位置(
図5B)は、遮蔽用板材4が部分的に重なる合うことができる最下限である。
図5Bの例の場合、前透光性シート3a及び後透光性シート3bが接近して、遮蔽用板材4が前透光性シート3a及び後透光性シート3bに対して略平行状態となっている。発明者の実験によれば、物理的下限位置から設定下限位置までの距離dはd=約8mmであった。
【0044】
(遮蔽ユニット6の昇降動作)
次に、
図1の遮蔽ユニット6の昇降動作について説明する。ユーザは所定の電源スイッチをオンにする。すると、
図3の制御装置12内のシート昇降制御部30は、遮蔽装置1を初期設定する。本実施形態では前回行った動作の終了時の条件が記憶部26に記憶されており、制御装置12は前回の動作終了時の条件を初期条件として設定する。
【0045】
(CLOSE動作)
前回の動作において遮蔽ユニット6が任意の位置に置かれている場合に、ユーザが遮蔽ユニット6を遮蔽位置まで下げようとする場合には、ユーザは、
図4Aの赤外線リモコン22又は
図4Bの有線スイッチ23のCLOSEボタン35を短時間に1回だけ押す。
【0046】
すると、巻取ドラム9が正時計方向へ回転し、遮蔽ユニット6が下方へ繰り出される。繰出された遮蔽ユニット6は、記憶部26に記憶されているパルス値に基づいて、遮蔽ユニット6が
図5Bの設定下限位置に達した時点で巻取ドラム9の回転を停止して遮蔽ユニット6の降下を停止する。この設定下限位置は、
図5Cに示す物理的下限位置よりも距離dだけ上がった位置である。この設定下限位置はまた、遮蔽用板材4が部分的に重なる合うことができる(すなわち遮蔽状態となる)、透光性シート3a及び後透光性シート3bの下辺の最下限である。これにより、ユーザは希望する遮蔽状態を即座に取得できる。
【0047】
特許文献1に示された従来の遮蔽装置においては、ユーザが手動操作によって遮蔽ユニット6を降下させたとき、遮蔽ユニット6は
図5Bの遮蔽下限状態を通り過ぎて
図5Cの物理的下限位置(すなわち機械構造的に取り易い位置である下限位置)に達してしまう。従って、遮蔽状態を希望するユーザは、
図5Cの物理的下限位置からさらに手動操作を行って、遮蔽ユニット6を
図5Bに示す遮蔽状態にする必要がある。この操作はユーザにとって面倒な操作である。
これに対し、本実施形態によれば、ユーザは
図4AのCLOSEボタン35又は
図4BのCLOSEボタン35を押すだけで、希望する遮蔽ユニット6の遮蔽状態を取得できる。
【0048】
(アップチルト動作)
ユーザにより
図4Aの赤外線リモコン22又は
図4Bの有線スイッチ23のアップチルトボタン36が押されている時間だけ巻取ドラム9が正時計方向へ回転する。遮蔽ユニット6が
図5Bの遮蔽下限位置にある場合に、ユーザが複数の遮蔽用板材4を
図5Bの密着状態から
図5Dの水平状態(すなわち採光状態)に向けて開けたいときには、ユーザは、赤外線リモコン22又は有線スイッチ23のアップチルトボタン36を必要な時間だけ押す。すると、アップチルトボタン36が押されている時間だけ巻取ドラム9が正時計方向へ回転する。これにより、遮蔽ユニット6は
図5Bの状態から
図5Cの物理的下限位置を経由して
図5Dの採光状態へ向けて動作する。この動作により、ユーザがアップチルトボタン36を押している間だけ遮蔽用板材4を水平状態に向けて開くようにチルト動作(すなわち傾斜動作)させることができる(ステップS16)。
なお、
図5Cの最下限位置に対する
図5Dの採光位置における遮蔽ユニット6の上がり距離は、
図5Bに示した設定下限位置における遮蔽ユニット6の上がり距離dと同じ値である。
【0049】
(ダウンチルト動作)
ユーザにより赤外線リモコン22又は有線スイッチ23のダウンチルトボタン37が押されている時間だけ巻取ドラム9が反時計方向へ回転する。遮蔽ユニット6が
図5Dの採光状態にある場合に、ユーザが複数の遮蔽用板材4を
図5Dの水平状態から
図5Bの密着状態まで閉じたいときには、ユーザは、
図4Aの赤外線リモコン22又は
図4Bの有線スイッチ23のダウンチルトボタン37を必要な時間だけ押す。すると、ダウンチルトボタン37が押されている時間だけ巻取ドラム9が
図5Dにおいて反時計方向へ回転する。これにより、遮蔽ユニット6は
図5Dの状態から
図5Cの物理的下限位置を経由して
図5Bの遮蔽状態へ向けて動作する。この動作により、ユーザがダウンチルトボタン37を押している間だけ遮蔽用板材4を密着状態に向けて閉じるようにチルト動作(すなわち傾斜動作)させることができる。
【0050】
(OPEN動作)
ユーザが、
図5Bの遮蔽下限位置又は任意の位置にある遮蔽ユニット6を
図5Aの巻取り状態まで上げようとする場合には、ユーザは、
図4Aの赤外線リモコン22又は
図4Bの有線スイッチ23のOPENボタン33を短時間に1回だけ押す。
【0051】
すると、巻取ドラム9が
図5Bにおいて反時計方向へ回転し、遮蔽ユニット6が上方へ巻き上げられる。巻き上げられる遮蔽ユニット6は、
図3の記憶部26に記憶されているパルス値に基づいて、遮蔽ユニット6が
図5Aの設定上限位置に達した時点で巻取ドラム9の回転を停止して遮蔽ユニット6の上昇を停止する。
【0052】
この設定上限位置は、
図2の遮蔽ユニット6の最上部が機械的に過剰に圧縮されないように物理的上限位置から所定パルス分だけ下げられた位置であるので、遮蔽ユニット6の経時的な劣化を抑えることができ、遮蔽ユニット6の長期間にわたる安定した動作が確保される。
【0053】
[効果のまとめ]
上述したように、遮蔽装置は、
複数の遮蔽用板材4と、
複数の遮蔽用板材4の一方の辺が接合される前透光性シート3aと、
複数の遮蔽用板材4の他方の辺が接合される後透光性シート3bと、
前透光性シート3aおよび後透光性シート3bを下限位置へ向けて巻出し移動させるか又は上限位置へ向けて巻戻し移動させるために、自身の中心線Xを中心として回転する巻取ドラム9であって、前透光性シート3aおよび後透光性シート3bのそれぞれの上辺が自身の外周面上の互いに異なった相対向する位置に接続されている巻取ドラム9と、
赤外線リモコン22や有線スイッチ23に入力された指令に基づいて、巻取ドラム9の回転を制御する制御装置12とを有し、
制御装置12は、赤外線リモコン22や有線スイッチ23を介して、遮蔽状態に設定すべき旨の指令を受けたとき、複数の遮蔽用板材4が部分的に重なり合うことができる前透光性シート3aおよび後透光性シート3bの下辺の最下限の位置である設定下限位置(
図5B)に、前透光性シート3aおよび後透光性シート3bの下辺が位置するように巻取ドラム9の回転動作を制御する
ことを特徴とする。
【0054】
このような構成を有するようにしたので、ユーザは、赤外線リモコン22や有線スイッチ23に対して、遮蔽用板材4を遮蔽状態に設定すべき旨を指令するだけで、複数の遮蔽用板材4が部分的に重なり合った遮蔽状態とすることができる。
【0055】
設定下限位置は、遮蔽用板材4、前透光性シート3aおよび後透光性シート3b、及び巻取ドラム9の機械的な構造によって決まる下限位置である物理的下限位置に対して所定量分だけ戻した位置である。
【0056】
このような構成を有するようにしたので、設定下限位置を容易に設定することができる。
【0057】
物理的下限位置は、
(ア)巻取ドラム9の回転に応じた出力信号を生じるエンコーダ11の出力信号に基づいて特定された下限位置であるか、
(イ)巻取ドラム9の電動モータ10に関する異常値である過電流、異常波形電流、異常波形電圧に基づいて特定された下限位置であるか、又は
(ウ)動作制御中にエンコーダ11から制御装置12へ伝送されるべき信号が所定時間、無くなったことによって特定された下限位置である。
【0058】
このような構成を有するようにしたので、物理的下限位置から設定下限位置を容易に設定することができる。
【0059】
巻取ドラム9の回転に応じてパルス信号を出力するエンコーダ11をさらに有し、
設定下限位置は物理的下限位置に対して所定のパルス数だけ戻した位置である。
【0060】
このような構成を有するようにしたので、エンコーダ11により設定下限位置を設定することができる。
【0061】
(他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0062】
例えば、
図1に示した実施形態では、複数の遮蔽用板材4を支持する遮蔽用板材支持手段をシート材である透光性シート3a,3bによって形成した。しかしながら、シート材に代えて紐状すなわちコード状の部材によって遮蔽用板材支持手段を形成することもできる。
【0063】
また、
図2に示した実施形態では、遮蔽用板材4を断面波状の板材(すなわち、上に凸の断面と下に凸の断面とを連続させて成る断面形状の板材)によって形成した。しかしながら、断面波状の板材に代えて、単なる平板や、単に上に凸の板材や、単に下に凸の板材によって遮蔽用板材4を形成することもできる。
【符号の説明】
【0064】
1:遮蔽装置、 2:ヘッドレール、 3a:前透光性シート(遮蔽用板材支持手段/第1の透光性シート)、 3b:後透光性シート(遮蔽用板材支持手段/第2の透光性シート)、 4:遮蔽用板材、 5:ボトムレール、 6:遮蔽ユニット、 8:カバー、9:巻取ドラム、 10:電動モータ、 11:エンコーダ、 12:制御装置、 22:赤外線リモコン、 23:有線スイッチ、 24:演算処理部、 25:駆動部、
33:OPENボタン、 34:STOPボタン、 35:CLOSEボタン、 36:アップチルトボタン、 37:ダウンチルトボタン、 d:所定量の上昇分、 X:中心線