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特開2024-94994変速機ケース、コントロールバルブ、並びに変速機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094994
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】変速機ケース、コントロールバルブ、並びに変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/00 20120101AFI20240703BHJP
【FI】
F16H57/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211957
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176991
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100217696
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 英行
(72)【発明者】
【氏名】小柳 智
【テーマコード(参考)】
3J063
【Fターム(参考)】
3J063AA01
3J063AB13
3J063AB21
3J063AC03
3J063BA03
3J063BB41
3J063BB50
3J063CB21
3J063CC13
3J063CC40
3J063CD41
3J063CD45
3J063XA11
3J063XB07
3J063XD03
3J063XD23
3J063XD32
(57)【要約】
【課題】コントロールバルブへの振動の伝播を抑制する
【課題を解決するための手段】コントロールバルブおよびポンプの支持壁を有する変速機ケースであって、前記支持壁は、前記コントロールバルブが取り付けられる第1領域と、前記ポンプが取り付けられる第2領域と、を有しており、前記第1領域と前記第2領域は、水平線方向に並んでおり、前記支持壁における前記コントロールバルブの締結点の密度は、前記水平線方向から見て前記ポンプに重なる領域のほうが、前記ポンプに重ならない領域よりも高い。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントロールバルブおよびポンプの支持壁を有する変速機ケースであって、
前記支持壁は、
前記コントロールバルブが取り付けられる第1領域と、前記ポンプが取り付けられる第2領域と、を有しており、
前記第1領域と前記第2領域は、水平線方向に並んでおり、
前記支持壁における前記コントロールバルブの締結点の密度は、前記水平線方向から見て前記ポンプに重なる領域のほうが、前記ポンプに重ならない領域よりも高い、変速機ケース。
【請求項2】
変速機ケースの支持壁に、ポンプと共に取り付けられるコントロールバルブであって、
前記コントロールバルブと前記ポンプは、水平線方向に並んでおり、
前記コントロールバルブの前記支持壁に対する締結点の密度は、前記水平線方向から見て前記ポンプに重なる領域のほうが、前記ポンプに重ならない領域よりも高い、コントロールバルブ。
【請求項3】
変速機構に供給する油圧を制御するコントロールバルブと、
前記コントロールバルブにオイルを供給するポンプと、
前記コントロールバルブと前記ポンプの支持壁を有する変速機ケースと、を備える変速機であって、
前記支持壁において前記コントロールバルブと前記ポンプは、水平線方向に並んでおり、
前記コントロールバルブの前記支持壁に対する締結点の密度は、前記水平線方向から見て前記ポンプに重なる領域のほうが、前記ポンプに重ならない領域よりも高い、変速機。
【請求項4】
請求項3において、
前記コントロールバルブは、作動弁を上下方向に並べる向きで前記支持壁に取り付けられており、
前記ポンプは、回転軸を前記上下方向に沿わせた向きで前記支持壁に取り付けられており、
前記作動弁は、前記水平線方向から見て、前記ポンプに重なる位置関係で設けられている、変速機。
【請求項5】
請求項4において、
前記作動弁は、前記上下方向に間隔を開けて並んでおり、
前記作動弁と、前記コントロールバルブの前記支持壁に対する締結点が、前記上下方向で交互に配置されている、変速機。
【請求項6】
請求項5において、
前記水平線方向から見て、前記コントロールバルブの前記支持壁に対する締結点と、前記ポンプの前記支持壁に対する締結点とが、重なる位置関係に設定されている、変速機。
【請求項7】
請求項4から請求項6の何れか一項において、
前記上下方向から見て、前記コントロールバルブは、前記ポンプに重なる位置まで及ぶオーバハング領域を有しており、
前記オーバハング領域に、前記コントロールバルブの前記支持壁に対する締結点が少なくともひとつ設けられている、変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機ケース、コントロールバルブ、並びに変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用の駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-45401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この車両駆動装置(変速機)のケース(変速機ケース)内では、油圧制御装置(コントロールバルブ)が起立姿勢で配置されている。さらに、ケース内では、電動オイルポンプとメカオイルポンプの回転軸が、動力伝達装置の回転軸に沿う向きで配置されている。
電動オイルポンプとメカオイルポンプは、動力伝達装置の回転軸方向に並んだ状態で、ケースで支持されている。
【0005】
ケースでは、油圧制御装置も支持されている。電動オイルポンプおよび/またはメカオイルポンプが駆動されると、駆動による振動がケースを介して油圧制御装置に伝播して油圧制御装置が振動する場合がある。
油圧制御装置が振動すると、油圧制御装置(コントロールバルブ)で発生させる油圧に、振動に起因する振れ(油振)が生じる可能性がある。
そこで、コントロールバルブの振動を抑えることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、
コントロールバルブおよびポンプの支持壁を有する変速機ケースであって、
前記支持壁は、
前記コントロールバルブが取り付けられる第1領域と、前記ポンプが取り付けられる第2領域と、を有しており、
前記第1領域と前記第2領域は、水平線方向に並んでおり、
前記支持壁における前記コントロールバルブの締結点の密度は、前記水平線方向から見て前記ポンプに重なる領域のほうが、前記ポンプに重ならない領域よりも高い、変速機ケースである。
【0007】
本発明の他の態様は、
変速機ケースの支持壁に、ポンプと共に取り付けられるコントロールバルブであって、
前記コントロールバルブと前記ポンプは、水平線方向に並んでおり、
前記コントロールバルブの前記支持壁に対する締結点の密度は、前記水平線方向から見て前記ポンプに重なる領域のほうが、前記ポンプに重ならない領域よりも高い、コントロールバルブである。
【0008】
本発明の他の態様は、
変速機構に供給する油圧を制御するコントロールバルブと、
前記コントロールバルブにオイルを供給するポンプと、
前記コントロールバルブと前記ポンプの支持壁を有する変速機ケースと、を備える変速機であって、
前記支持壁において前記コントロールバルブと前記ポンプは、水平線方向に並んでおり、
前記コントロールバルブの前記支持壁に対する締結点の密度は、前記水平線方向から見て前記ポンプに重なる領域のほうが、前記ポンプに重ならない領域よりも高い、変速機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のある態様によれば、コントロールバルブの振動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、車両における動力伝達装置の配置を説明する模式図である。
図2図2は、動力伝達装置の概略構成を示す模式図である。
図3図3は、油圧制御回路の概略構成を説明する図である。
図4図4は、ケースを第3カバー側から見た模式図である。
図5図5は、収容部の底壁部を説明する図である。
図6図6は、コントロールバルブと電動オイルポンプの締結点を説明する図である。
図7図7は、コントロールバルブの取付面を説明する図である。
図8図8は、電動オイルポンプの振動を抑えるブラケットの配置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
始めに、本明細書における用語の定義を説明する。
動力伝達装置は、少なくとも動力伝達機構を有する装置であり、動力伝達機構は、例えば、変速機構と歯車機構と差動歯車機構と減速機構の少なくともひとつである。
以下の実施形態では、動力伝達装置1が、エンジンの出力回転を伝達する変速機である場合を例示する。動力伝達装置1は、エンジンとモータ(回転電機)のうちの少なくとも一方の出力回転を伝達するものであれば良い。
【0012】
「所定方向視においてオーバラップする」とは、所定方向に複数の要素が並んでいることを意味し、「所定方向にオーバラップする」と記載する場合と同義である。「所定方向」は、たとえば、軸方向、径方向、鉛直線方向、水平線方向、車両走行方向(車両前進方向、車両後進方向)等である。
図面上において複数の要素(部品、部分等)が所定方向に並んでいることが図示されている場合は、明細書の説明において、所定方向視においてオーバラップしていることを説明した文章があるとみなして良い。
【0013】
「所定方向視においてオーバラップしていない」、「所定方向視においてオフセットしている」とは、所定方向に複数の要素が並んでいないことを意味し、「所定方向にオーバラップしていない」、「所定方向にオフセットしている」と記載する場合と同義である。「所定方向」は、たとえば、軸方向、径方向、鉛直線方向、水平線方向、車両走行方向(車両前進方向、車両後進方向)等である。
図面上において複数の要素(部品、部分等)が所定方向に並んでいないことが図示されている場合は、明細書の説明において、所定方向視においてオーバラップしていないことを説明した文章があるとみなして良い。
【0014】
「所定方向視において、第1要素(部品、部分等)は第2要素(部品、部分等)と第3要素(部品、部分等)との間に位置する」とは、所定方向から観察した場合において、第1要素が第2要素と第3要素との間にあることが観察できることを意味する。「所定方向」とは、軸方向、径方向、鉛直線方向、水平線方向、車両走行方向(車両前進方向、車両後進方向)等である。
例えば、第2要素と第1要素と第3要素とが、この順で軸方向に沿って並んでいる場合は、径方向視において、第1要素は第2要素と第3要素との間に位置しているといえる。図面上において、所定方向視において第1要素が第2要素と第3要素との間にあることが図示されている場合は、明細書の説明において所定方向視において第1要素が第2要素と第3要素との間にあることを説明した文章があるとみなして良い。
【0015】
「軸方向」とは、動力伝達装置を構成する部品の回転軸の軸方向を意味する。「径方向」とは、動力伝達装置を構成する部品の回転軸に直交する方向を意味する。部品は、例えば、モータ、歯車機構、差動歯車機構等である。
【0016】
コントロールバルブの「縦置き」とは、バルブボディとセパレートプレートを交互に積層した基本構成を持つコントロールバルブの場合、コントロールバルブのバルブボディが、動力伝達装置の車両への設置状態を基準とした水平線方向で積層されていることを意味する。ここでいう、「水平線方向」とは、厳密な意味での水平線方向を意味するものではなく、積層方向が水平線に対して傾いている場合も含む。
【0017】
さらに、コントロールバルブの「縦置き」とは、コントロールバルブ内の複数の作動弁(弁体)を、動力伝達装置の車両への設置状態を基準とした鉛直線VL方向に並べた向きで、コントロールバルブが配置されていることを意味する。
「複数の作動弁を鉛直線VL方向に並べる」とは、コントロールバルブ内の作動弁が、鉛直線VL方向に位置をずらして配置されていることを意味する。
【0018】
この場合において、複数の作動弁が、鉛直線VL方向に一列に厳密に並んでいる必要はない。
例えば、複数のバルブボディを積層してコントロールバルブが形成されている場合には、縦置きされたコントロールバルブにおいては、複数の作動弁が、バルブボディの積層方向に位置をずらしつつ、鉛直線VL方向に並んでいても良い。
【0019】
さらに、作動弁が備える弁体の軸方向(進退移動方向)から見たときに、総ての作動弁が、鉛直線VL方向に間隔をあけて並んでいる必要はない。
作動弁が備える弁体の軸方向(進退移動方向)から見たときに、総ての作動弁が、鉛直線VL方向で隣接している必要もない。
【0020】
よって、例えば、鉛直線VL方向に並んだ作動弁が、バルブボディの積層方向(水平線方向)に位置をずらして配置されている場合には、積層方向から見たときに、鉛直線VL方向で隣接する作動弁が、一部重なる位置関係で設けられている場合も含む。
【0021】
さらに、コントロールバルブが「縦置き」されている場合には、コントロールバルブ内の複数の作動弁が、当該作動弁が備える弁体の移動方向を水平線方向に沿わせる向きで配置されていることを意味する。
この場合における弁体の移動方向は、厳密な意味の水平線方向に限定されるものではない。この場合における弁体の移動方向は、動力伝達装置の回転軸Xに沿う方向であってもよく、この場合において、回転軸X方向と、弁体の摺動方向が同じになる。また、弁体の移動方向は、動力伝達装置の回転軸Xに沿う向きに限定されるものではなく、例えば、直交する向きで向きであってもよい。
【0022】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、車両Vにおける動力伝達装置1の配置を説明する模式図である。
図2は、動力伝達装置1の概略構成を説明する模式図である。
【0023】
図1に示すように、車両Vの前部において動力伝達装置1は、左右のフレームFR、FRの間に配置される。動力伝達装置1のハウジングHSは、ケース6と、第1カバー7と、第2カバー8と、第3カバー9とから構成される。
図2に示すように、ハウジングHSの内部に、トルクコンバータT/C、前後進切替機構2、バリエータ3、減速機構4、差動装置5、電動オイルポンプEOP、メカオイルポンプMOP、コントロールバルブCVなどが収容される。
【0024】
動力伝達装置1では、エンジンENG(駆動源)の出力回転が、トルクコンバータT/Cを介して、前後進切替機構2に入力される。
前後進切替機構2に入力された回転は、順回転または逆回転で、バリエータ3のプライマリプーリ31に入力される。
【0025】
バリエータ3では、プライマリプーリ31とセカンダリプーリ32におけるベルト30の巻き掛け半径を変更することで、プライマリプーリ31に入力された回転が、所望の変速比で変速されて、セカンダリプーリ32の出力軸33から出力される。
【0026】
セカンダリプーリ32の出力回転は、減速機構4を介して差動装置5(差動歯車機構)に入力された後、左右の駆動軸55A、55Bを介して、駆動輪WH、WHに伝達される。
減速機構4は、アウトプットギア41と、アイドラギア42と、リダクションギア43と、ファイナルギア45とを、有する。
【0027】
動力伝達装置1では、プライマリプーリ31の回転軸X1(第1軸)上で、前後進切替機構2と、トルクコンバータT/Cと、エンジンENGの出力軸が、同軸(同芯)に配置される。
セカンダリプーリ32の出力軸33と、アウトプットギア41とが、セカンダリプーリ32の回転軸X2(第2軸)上で、同軸に配置される。
アイドラギア42と、リダクションギア43とが、共通の回転軸X3上で同軸に配置される。
ファイナルギア45と、駆動軸55A、55Bが、共通の回転軸X4上で同軸に配置される。動力伝達装置1では、これら回転軸X1~X4が互いに平行となる位置関係に設定されている。以下においては、必要に応じて、これら回転軸X1~X4を総称して、動力伝達装置1(動力伝達機構)の回転軸Xとも標記する。
【0028】
図2に示すように、ケース6は、隔壁部62を有する。隔壁部62は、動力伝達機構の回転軸(回転軸X1~回転軸X4)を横切る範囲に設けられる。
隔壁部62は、ケース6の内部を、回転軸X1方向で2つに区画する。回転軸X1方向における隔壁部62の一方側が第1室S1、他方側が第3室S3である。
【0029】
第1室S1には、前後進切替機構2と、減速機構4と、差動装置5と、メカオイルポンプMOPと、ストレーナ10と、が収容される。第3室S3には、バリエータ3が収容される。
ケース6では、第1室S1側の開口が、第2カバー8(トルコンカバー)で封止される。第3室S3側の開口が、第1カバー7(サイドカバー)で封止される。
ケース6では、第1カバー7と第2カバー8との間の空間(第1室S1、第3室S3)の下部に、動力伝達装置1の作動や、動力伝達装置1の構成要素の潤滑に用いられるオイルが貯留される。
【0030】
ケース6では、車両前方側の側面に、収容部65が付設されている。収容部65は、動力伝達装置1の回転軸Xに沿う向き(図2における左右方向に沿う向き)で設けられている。収容部65は、底壁部66と、囲繞壁67とを有する。
ハウジングHSでは、囲繞壁67の開口を第3カバー9で封止することで、閉じられた収容室S2(第2室)が、車両前方側の側面に形成される(図2参照)。
収容室S2内には、コントロールバルブCVと電動オイルポンプEOPが配置されている。
【0031】
動力伝達装置1は、オイルポンプとして、メカオイルポンプMOPと、電動オイルポンプEOPを1つずつ備えている。これらオイルポンプは、ハウジングHS内の下部に貯留されたオイルOLを、ストレーナ10を介して吸引し、吸引したオイルOLを加圧して、コントロールバルブCV内の油圧制御回路95(図3参照)に供給する。
油圧制御回路95は、動力伝達機構の駆動用の油圧(作動油圧)や、動力伝達機構の潤滑や冷却に用いられるオイルOLを供給する。油圧制御回路95は、油圧(作動油圧)の調圧に係わる調圧弁97(97a~97b)や制御弁98(98a、98b)や切替弁99、そして信号圧を出力するソレノイド96(96a~96d)を有している。
以下の説明においては、これらを総称して、作動弁とも標記する。
【0032】
図3は、コントロールバルブCV内の油圧制御回路95の一例を説明する図である。図3では、油圧制御回路95におけるバリエータ3(プライマリプーリ31、セカンダリプーリ32)の作動油圧の調圧に関わる部分の構成を示している。
なお、以下の説明においては、メカオイルポンプMOPと、電動オイルポンプEOPを区別しない場合には、オイルポンプOPとも標記する。
【0033】
図3に示すように、調圧弁97a(第1調圧弁)は、当該調圧弁97aでのオイルOLのドレン量を調整することで、オイルポンプOPで発生させた油圧からライン圧を調整する。
調圧弁97aにより調整されたライン圧は、プライマリプーリ31の制御弁98aおよびセカンダリプーリ32の制御弁98bと、調圧弁97b(第2調圧弁)に供給される。
【0034】
調圧弁97bは、ライン圧からパイロット圧を調整する。ソレノイド96a(ライン圧ソレノイド)、ソレノイド96b(プライマリソレノイド)、ソレノイド96c(セカンダリソレノイド)、そして、ソレノイド96d(セレクトソレノイド)は、それぞれ制御装置(図示せず)の指令に基づいて作動して、パイロット圧から信号圧を調圧して、出力する。
【0035】
制御弁98a、98bでは、内部に収容する弁体(図示せず)が、信号圧に応じて軸線方向(図中、Xp方向)に移動する。
弁体が軸線Xp方向に移動すると、調圧弁97aで調圧されたライン圧が、弁体の位置に応じた圧力に調圧されたのち、制御弁98a、98bから対応するプーリ(プライマリプーリ31、セカンダリプーリ32)の受圧室に供給される。
前記した調圧弁97aは、油圧制御回路95における最も上流側(オイルポンプOP側)に位置しており、オイルポンプOPで発生させた油圧が最初に供給される。
【0036】
切替弁99では、内部に収容する弁体(図示せず)が、運転者の操作に応じて駆動するアクチュエータにより軸線方向(図中、Xp方向)に移動する。
弁体が軸線Xp方向の一方から他方に移動することにより、ソレノイド96dから供給される油圧の供給先を、前後進切替機構2のフォワードクラッチ(前進用クラッチ)からリバースクラッチ(後進用クラッチ)に切り替えられる(逆方向に移動すれば、リバースクラッチからフォワードクラッチに切り替えられる)
【0037】
図4は、収容部65を車両前方側から見た図である。
図4では、囲繞壁67の接合部671の位置を判り易くするために、接合部671に交差したハッチングを付して示している。さらに、図4では、コントロールバルブCVの底壁部66への固定に関与するボルト15(15a~15o)と、電動オイルポンプEOPの底壁部66への固定に関与するボルト16(16a~16d)にハッチングを付して示している。
【0038】
図5は、収容部65の底壁部66(第1領域661、第2領域662)を説明する図である。なお、図5では、囲繞壁67の接合部671の位置を判り易くするために、接合部671に交差したハッチングを付して示している。さらに、図5では、コントロールバルブCVの取付部68、69A、69Bの位置を判りやすくするために、取付部68、69A、69Bに交差したハッチングを付している。さらに、電動オイルポンプEOPの取付部であるボルトボス27A~27Dにも交差したハッチングを付している。
【0039】
図5に示すように、収容部65は、底壁部66と、囲繞壁67とを有する。
収容部65の底壁部66は、エンジンENG側の略半分の第1領域661が、ケース6の周壁部61(図2参照)と一体になっている。反対側の略半分の第2領域662は、第1領域661の延長上で、第1カバー7の外周との間に隙間を開けて設けられている(図2参照)。
なお、図2では、第1領域661と周壁部61とが一体になった領域に交差したハッチングを付して示している。
【0040】
図4に示すように、囲繞壁67は、底壁部66の外周を全周に亘って囲んでいる。収容部65は、囲繞壁67の開口を車両前方側に向けた有底筒状に形成されている。
囲繞壁67の紙面手前側の端面は、第3カバー9との接合部671となっている。接合部671は、囲繞壁67の第3カバー9側の開口を全周に亘って囲むフランジ状の部位である。
【0041】
車両前方側から見て収容室S2は、ケース6と重なる領域から、第1カバー7に重なる領域まで及ぶ回転軸X1方向(図中、左右方向)の範囲を持って形成されている。
図4および図5に示すように、底壁部66では、ケース6と重なる領域である第1領域661に、コントロールバルブCVが取り付けられる。第1カバー7と重なる領域である第2領域662の下部に、電動オイルポンプEOPが取り付けられる。
収容室S2内において、コントロールバルブCVと電動オイルポンプEOPは、動力伝達装置1(動力伝達機構)の回転軸Xに沿う方向(図中、左右方向)で並んでいる。
【0042】
図2に示すように、コントロールバルブCVは、バルブボディ921と、セパレートプレート920とを交互に積層した基本構成を有する。
収容室S2内では、コントロールバルブCVが、バルブボディ921、921の積層方向を車両前後方向(図中、上下方向)に沿わせた向きで、縦置きされている。
図4に示すように、収容室S2では、コントロールバルブCVが、以下の条件を満たすように、縦置きされている。(a)コントロールバルブCVの調圧弁97(97a~97b)の弁体、制御弁98(98a、98b)の弁体、切替弁99の弁体、そしてソレノイド96(96a~96d)が駆動する弁体が、動力伝達装置1の車両Vへの設置状態を基準とした鉛直線VL方向(上下方向)に並ぶ、(b)調圧弁97、制御弁98、そして切替弁99が備える弁体(図示せず)の進退移動方向(軸線Xp方向)と、ソレノイド96が駆動する弁体の進退移動方向(軸線Xp方向)が、水平線方向に沿う向きとなる。
すなわち、各作動弁が備える弁体の進退移動方向が水平線に沿う向きとなるようにしつつ、各作動弁が、鉛直線VL方向に並んでいる。
【0043】
弁体の進退移動方向(軸線Xp方向)が水平線方向に沿うことで、弁体の進退移動方向が水平線に大きく傾いている場合に比べて、弁体の進退移動が阻害されないようになる。また、調圧弁97、制御弁98、切替弁99、そしてソレノイド96が鉛直線VL方向に並ぶように、コントロールバルブCVが縦置きされることで、コントロールバルブCVを収容する収容室S2を、車両前後方向に大型化させずに済むようにしている。
【0044】
図6は、収容室S2に収容されたコントロールバルブCVと電動オイルポンプEOPを、車両前方側から見た模式図である。図6では、切欠部923の領域と、コントロールバルブCVのケース6(底壁部66)への固定に係わるボルト15(15a~15o)と、電動オイルポンプEOPのケース6(底壁部66)への固定に係わるボルト16(16a~16d)に交差したハッチングを付して示している。
【0045】
図6に示すように、車両前方側から見てコントロールバルブCVは、矩形形状のバルブボディ921に切欠部923を設けた略L字形状を成している。図6では、切欠部923の範囲に交差したハッチングを付して示している。
収容室S2において切欠部923は、第1カバー7と重なる領域の下部側に位置している(図4参照)。
車両前方側から見て切欠部923には、電動オイルポンプEOPの少なくとも一部が収容されている。
【0046】
図4に示すように、電動オイルポンプEOPは、制御部931と、モータ部932と、ポンプ部933が、モータの回転軸Z1方向で直列に並んだ基本構成を有する。
電動オイルポンプEOPは、回転軸Z1を、動力伝達装置1の回転軸Xに直交させた向きで設けられている。この状態において、電動オイルポンプEOPの回転軸Z1は、鉛直線VL方向(上下方向)に沿う向きで配置される。さらに、電動オイルポンプEOPは、ポンプ部933を、収容室S2内の最下部に配置させている。
電動オイルポンプEOPは、4つのボルト16(16a~16d)により、底壁部66の第2領域662に固定されている。具体的には、第2領域662の下部の取付領域663(図5参照)に固定されている。
【0047】
図6に示すように、コントロールバルブCVの上部側は、電動オイルポンプEOPの上方まで及んでいる。鉛直線VL方向(電動オイルポンプEOPの回転軸Z1方向)から見ると、電動オイルポンプEOPが、コントロールバルブCVと重なる位置関係で設けられている。
コントロールバルブCVでは、鉛直線VL方向から見て、切欠部923の基端を通る鉛直線VL1よりも図面上の右側が、電動オイルポンプEOPとのオーバハング領域Rwとなっている。
【0048】
本実施形態では、電動オイルポンプEOPを収容室S2に配置するにあたり、コントロールバルブCVと電動オイルポンプEOPとを単純に並列に並べるのではなく、コントロールバルブCVに設けた切欠部923を利用して電動オイルポンプEOPを配置している。
よって、コントロールバルブCVと電動オイルポンプEOPを、動力伝達機構の回転軸X方向で単純に並べる場合に比べて、切欠部923の分だけ、収容室S2の幅(車両幅方向)を短くしている。
【0049】
コントロールバルブCV内の油圧制御回路95は、オイルポンプで発生させた油圧から、動力伝達機構(前後進切替機構2、バリエータ3など)の作動油圧を調圧する。
電動オイルポンプEOPの駆動時には、ポンプ部933の駆動に起因して振動が発生する。電動オイルポンプEOPとコントロールバルブCVとが、共通の支持壁となる底壁部66に支持されていると、電動オイルポンプEOPで発生する振動が、底壁部66を介してコントロールバルブCVに伝播する可能性がある。
コントロールバルブCVが伝播した振動で振動すると、コントロールバルブCVから出力される油圧(作動油圧)に、振動に起因する振れが生じて、いわゆる油振が生じる可能性がある。かかる場合、作動油圧により駆動する動力伝達機構(例えば、バリエータ3)の動作に影響が及ぶ可能性がある。
【0050】
電動オイルポンプEOPの振動は、ボルト16(16a~16d)による締結点Ta~Tdから底壁部66に作用する。
電動オイルポンプEOPは、底壁部66における下部側に位置している。本実施形態では、コントロールバルブCVのボルト15(15a~15o)による締結点Pa~Poのうち、電動オイルポンプEOPが位置する下部側に位置する締結点の総数が、上部側に位置する締結点の総数よりも多く、かつ下部側の領域における締結点の密度が、上部側の領域における締結点の密度よりも高くなるように設定されている。
【0051】
具体的には、
(A)電動オイルポンプEOPのボルト16a~16dによる締結点Ta~Tdの側方でのコントロールバルブCVの締結点の分布が多く、かつ締結点Ta~Tdの側方での締結点の密度が、締結点Ta~Tdの側方を外れた領域の密度よりも高くなるようにしている。
【0052】
図6に示すように、本実施形態では、電動オイルポンプEOPの締結点Ta、Tcを通る直線HL1に沿って、コントロールバルブCVの締結点Ph、Piを設定すると共に、電動オイルポンプEOPの締結点Tb、Tdを通る直線HL2に沿って、コントロールバルブCVの締結点Pj、Pk、Plを設定する。
さらに、少なくとも、直線HL1よりも下側の領域R1での締結点(Ph~Po)の総数(8箇所)が、直線HL1よりも上側の領域R1’での締結点(Pa~Pg)の総数(7箇所)よりも多くなるようにしている。
【0053】
そして、図6に示すように、本実施形態では、直線HL1よりも下側の領域R1と、直線HL1よりも上側の領域R1’との高さ比が、大凡1:2である。
そうすると、直線HL1よりも下側の領域R1での締結点(Ph~Po)の総数(8箇所)が、直線HL1よりも上側の領域R1’での締結点(Pa~Pg)の総数(7箇所)よりも多いので、直線HL1よりも下側の領域R1における締結点(Ph~Po)の密度が、直線HL1よりも上側の領域R1’での締結点(Pa~Pg)の密度よりも高くなっている。
【0054】
図6に示すように、ケース6では、直線HL1と直線HL2との間の領域が、電動オイルポンプEOPの振動が集中して伝播する領域であるといえる。
そこで、少なくとも直線HL1よりも下側の領域R1でのコントロールバルブCVの締結点の数を増やしつつ、締結点の密度を増やすことで、振動が集中して伝播する領域でのコントロールバルブCVの支持強度を高めることができる。これにより、電動オイルポンプEOPの振動の伝播によるコントロールバルブCVの振動を抑えている。
【0055】
(B)上記(A)の構成に加えて、直線HL1に沿って複数の締結点(Ph、Pi)を並べると共に、直線HL2に沿って複数の締結点(Pj、Pk、Pl)を並べる。
コントロールバルブCVの締結点Pi、Plを、電動オイルポンプEOPの締結点Ta、Tbに近接配置する。
【0056】
図6に示すように、コントロールバルブCVの締結点Pi、Plを、電動オイルポンプEOPの締結点Ta、Tbに近接配置することで、電動オイルポンプEOPの振動がケース6に作用する点の近傍でのコントロールバルブCVの振動をより確実に抑制できる。
さらに、直線HL1、HL2に沿う方向に伝播する振動でコントロールバルブCVが振動することを、締結点Ph、Pi、Pj、Pk、Plにより抑制できる。
【0057】
(C)上記(A)と(B)の少なくとも一方の構成に加えて、動力伝達装置1の車両Vへの設置状態を基準とした鉛直線VL方向(図6における上下方向)で、複数の作動弁(調圧弁、制御弁、切替弁そしてソレノイド)を、間隔を開けて並べる。そして、鉛直線VL方向で並んだ作動弁の間に、締結点(Ph~Po)を設定する。
【0058】
図6に示すように、コントロールバルブCVにおける車両Vの正面側の層(紙面手前側の層)では、ソレノイド96(96a~96d)が上下方向に間隔を開けて並んでいる。
さらに、図示されていないものの、コントロールバルブCVにおける紙面奥側の層では、調圧弁97(97a~97b)や制御弁98(98a、98b)や切替弁99が上下方向に間隔を開けて並んでいる。
本実施形態では、直線HL1に沿う締結点の並びと、直線HL2に沿う締結点の並びが、上下方向で隣り合う作動弁の間に位置するようにしている。なお、図6では、コントロールバルブCVの紙面手前側の層のソレノイド96a、96b、96cのみが判るようになっているので、ここでは、作動弁が、ソレノイドである場合を説明する。
【0059】
さらに、直線HL2に沿う締結点の並びと、直線HL4に沿う締結点の並びの間にソレノイド96aを位置させている。
コントロールバルブCVでは、ソレノイド96が配置される領域の厚みが、ソレノイド96により駆動される弁体(図示せず)の厚みの分だけ、他の領域よりも厚くなる。
そのため、コントロールバルブCVでは、ソレノイド96の弁体が設けられた領域は、他の領域よりも剛性が高くなっており、電動オイルポンプEOPの振動が伝播しても、振動の影響を受け難くなる。
そのため、上記のように構成すると、動力伝達装置1の車両Vへの設置状態を基準とした鉛直線VL方向(上下方向)で、剛性の高いソレノイド96の弁体の領域と、締結点の並びとが交互に配置される。これにより、コントロールバルブCVの剛性を高めつつ、底壁部66に対するコントロールバルブCVの支持を高めることができるので、コントロールバルブCVへの振動の伝播を抑制できる。
【0060】
なお、ソレノイド96と締結点との位置関係で説明をした。締結点は、調圧弁97(97a~97b)や制御弁98(98a、98b)や切替弁99との干渉を避けた位置に設けられている。
【0061】
(D)上記(A)、(B)、(C)のうちの少なくとも1つの構成に加えて、コントロールバルブCVのオーバハング領域Rwに、締結点Pgを設定する。
鉛直線VL方向から見て、電動オイルポンプEOPの締結点Taと、コントロールバルブCVの締結点Pgとが近接する位置関係で設けられている。
【0062】
図6に示すように、オーバハング領域Rwに締結点Pgを設定することで、締結点Taから鉛直線VLに沿う方向に伝播する振動でコントロールバルブCVが振動することを抑制できる。
【0063】
(E)上記(A)、(B)、(C)、(D)のうちの少なくとも1つの構成に加えて、
コントロールバルブCVの切欠部923の上辺に沿う直線HL5に沿って、コントロールバルブCVの締結点Pd、Peを設定する。
【0064】
図6に示すように、コントロールバルブCVは、切欠部923の上辺の部分で車幅方向の大きさが変化する。コントロールバルブCVに振動が伝播すると、車幅方向の大きさが変化する部位に、振動に起因する応力が集中する可能性がある。
上記のように、直線HL5上に沿って締結点Pd、Peを設定することで、応力が集中可能性のある部位の支持強度を高めることができるので、電動オイルポンプEOPの振動が、コントロールバルブCVに伝播する際の影響を抑えることができる。
【0065】
このように、コントロールバルブCVでは、動力伝達装置1の回転軸Xに沿う車幅方向(図6における左右方向)から見て、電動オイルポンプEOPが配置される切欠部923と重なる領域(図中、領域R3)内でのボルト15d~15oによる締結点Pd~Poの総数(12箇所)が、重ならない領域(図中、領域R3’)内でのボルト15a~15cによる締結点Pa~Pcの総数(3箇所)よりも多くなるようにした。
【0066】
そして、図6に示すように、本実施形態では、直線HL5よりも下側の領域R3と、直線HL5よりも上側の領域R3’との高さ比が、大凡1:0.6である。
そうすると、直線HL5よりも下側の領域R3での締結点(Pd~Po)の総数(12箇所)が、直線HL5よりも上側の領域R3’での締結点(Pa~Pc)の総数(3箇所)よりも多いので、直線HL5よりも下側の領域R3における締結点(Pd~Po)の密度を、直線HL5よりも上側の領域R3’での締結点(Pa~Pc)の密度よりも高くしている。
【0067】
また、電動オイルポンプEOPと重なる領域(図中、領域R2)内でのボルト15f~15oによる締結点Pf~Poの総数(10箇所)が、重ならない領域(図中、領域R2’)内でのボルト15a~15eによる締結点Pa~Peの総数(5箇所)よりも多くなるようにした。
【0068】
そして、図6に示すように、本実施形態では、直線HL3よりも下側の領域R2と、直線HL3よりも上側の領域R2’との高さ比が、大凡1:0.9である。
そうすると、直線HL3よりも下側の領域R2での締結点(Pf~Po)の総数(10箇所)が、直線HL3よりも上側の領域R2’での締結点(Pa~Pe)の総数(5箇所)よりも多いので、直線HL3よりも下側の領域R2における締結点(Pf~Po)の密度を、直線HL3よりも上側の領域R2’での締結点(Pa~Pe)の密度よりも高くしている。
【0069】
さらに、より好ましくは、電動オイルポンプEOPと重なる領域であって、電動オイルポンプEOPの振動が直接作用する点を通る直線HL1よりも下部側の領域(図中、領域R1)内でのボルト15h~15oによる締結点Ph~Poの総数(8箇所)が、直線HL1よりも上部側の領域(図中、領域R1’)内でのボルト15a~15gによる締結点Pa~Pgの総数(7箇所)よりも多くなるようにした。
【0070】
そして、図6に示すように、本実施形態では、直線HL1よりも下側の領域R1と、直線HL1よりも上側の領域R1’との高さ比が、大凡1:2である。
そうすると、直線HL1よりも下側の領域R1での締結点(Ph~Po)の総数(8箇所)が、直線HL1よりも上側の領域R1’での締結点(Pa~Pg)の総数(7箇所)よりも多いので、直線HL1よりも下側の領域R1における締結点(Ph~Po)の密度を、直線HL1よりも上側の領域R1’での締結点(Pa~Pg)の密度よりも高くしている。
【0071】
このようにコントロールバルブCVの締結点の分布と密度を、電動オイルポンプEOPの振動が底壁部66に入力される位置に基づいて設定することで、電動オイルポンプEOPの振動のコントロールバルブCVへの伝播を好適に抑制できる。
【0072】
このようなコントロールバルブCVの締結点の分布と密度を実現するために、ケース6の底壁部66では、ボルト15a~15oと、ボルト16a~16dが螺入するボルト穴27a~27dの位置が設定されている。
以下、底壁部66におけるボルト穴の分布を説明する。
【0073】
図5に示すように、第2領域662の下部には、電動オイルポンプEOPの取付領域663が設けられている。車両前方側から見て取付領域663は、電動オイルポンプEOPを収容可能な大きさで形成されている。取付領域663内には、ボルトボス27(27A~27D)が設けられている。
取付領域663の第1領域661側(図中、左側)では、2つのボルトボス27A、27Bが、鉛直線VL方向に間隔を開けて設けられている。第1領域661とは反対側(図中、右側)では、2つのボルトボス27C、27Dが、鉛直線VL方向に間隔を開けて設けられている。ボルトボス27(27A~27D)には、それぞれボルト穴27a~27dが設けられている。
【0074】
図中左側のボルトボス27A、27Bと、図中右側のボルトボス27C、27Dは、電動オイルポンプEOPの回転軸Z1を間に挟んで対称となる位置関係で設けられている。
2つのボルトボス27A、27Cは、ボルト穴27a、27cの中心を通る直線HL1上に位置している。2つのボルトボス27B、27Dは、ボルト穴27b、27dの中心を通る直線HL2上に位置している。
【0075】
ボルトボス27(27A~27D)の紙面手前側の端面は、同一平面上に位置する平坦面である。これらの端面は、電動オイルポンプEOPの取付面である。ボルト穴27a~27dには、電動オイルポンプEOPを貫通したボルト16a~16d(図4参照)が螺入する(固定される)。
【0076】
ボルトボス27Bとボルトボス27Dとの間では、接続口28aが開口している。接続口28aは、ケース6内に設けた油路(図示せず)との接続口である。接続口28aは、ボルトボス27Bに隣接して設けられている。
ボルトボス27Cとボルトボス27Dとの間では、接続口28bが開口している。接続口28bは、ケース6内に設けた他の油路(図示せず)との接続口28bである。接続口28bは、ボルトボス27Cに近接して設けられている。
【0077】
接続口28aには、電動オイルポンプEOPから吐出されて、コントロールバルブCVに向かうオイルOLが供給される。
接続口28bからは、ストレーナ10(図2参照)を介して吸引されて、電動オイルポンプEOPに向かうオイルOLが供給される。
このように、収容部65では、第2領域662の下部の取付領域663に、電動オイルポンプEOPの取り付けに係わるボルトボス27(27A~27D)が設けられている。
【0078】
図5に示すように、第1領域661には、取付部68、69A、69Bが設けられている。取付部68、69A、69Bは、第1領域661から紙面手前側に突出している。
取付部68は、第1領域661内の下部から上部までの範囲に形成されている。
取付部69A、69Bは、取付部68よりも上側に位置している。取付部69A、69Bは、回転軸X方向(図中左右方向)と、鉛直線VL方向に、互いの位置をずらして設けられている。取付部69Bのほうが、取付部69Aよりも鉛直線VL方向の上側で、第2領域662側(図中、右側)に位置している。
【0079】
取付部68、69A、69Bの紙面手前側の端面681、691、691は、同一平面上に位置する平坦面である。これら端面681、691、691は、コントロールバルブCV側の取付面である。
取付部69A、69Bには、それぞれボルト穴25(25a、25b)が設けられている。ボルト穴25a、25bには、コントロールバルブCVを貫通したボルト15a、15b(図4参照)が螺入する。
取付部68には、複数のボルト穴25(25c~25o)が設けられている。ボルト穴25(25a~25o)には、コントロールバルブCVの底壁部66への取り付けに用いられるボルト15a~15oが螺入する。ボルト穴25(25a~25o)の中心は、前記したボルト15a~15oの締結点Pa~Poに相当する。
【0080】
ボルト穴25cは、前記したボルト穴25aの下側に位置している。
ボルト穴25d、25eは、ボルト穴25cの下側で、直線HL5に沿って設けられている。直線HL5は、コントロールバルブCVの切欠部923(図3参照)の上辺に沿う直線である。直線HL5は、前記した直線HL1、HL2に対して平行である。直線HL5は、動力伝達装置1の車両への設置状態を基準とした鉛直線VL方向で、直線HL1、HL2よりも上側に位置している。
【0081】
ボルト穴25eは、ボルト穴25c、25dよりも第2領域662側(図中、右側)に位置している。
鉛直線VL方向においてボルト穴25eは、ボルト穴25dよりも僅かに上側に位置していると共に、直線HL5に交差している。ボルト穴25dは、直線HL5よりも僅かに下側に位置している。
【0082】
ボルト穴25f、25gは、ボルト穴25eよりも下側で、直線HL3に沿って設けられている。ボルト穴25f、25gは、直線HL3の下側で、直線HL3に近接配置されている。
直線HL3は、電動オイルポンプEOPの上端(図3参照)に沿う直線である。直線HL3は、前記した直線HL1、HL2、HL5に対して平行である。直線HL3は、動力伝達装置1の車両への設置状態を基準とした鉛直線VL方向で、直線HL5と直線HL1との間に位置している。
【0083】
ボルト穴25gは、ボルト穴25e、25fよりも第2領域662側(図中、右側)に位置している。ボルト穴25gは、コントロールバルブCVの後記するオーバハング領域Rwに位置している。ボルト穴25gは、オーバハング領域Rwの基端を通る鉛直線VL1よりも、第2領域662側(図中、右側)に位置している。
そのため、鉛直線VL方向から見ると、電動オイルポンプEOPと重なる位置に、ボルト穴25gが位置している。
【0084】
ボルト穴25h、25iは、ボルト穴25fよりも下側で、直線HL1に沿って設けられている。ボルト穴25h、25iは、直線HL1の下側で、直線HL1に近接配置されている。
端面681におけるボルト穴25iを囲む領域は、前記したボルトボス27Aに接続している。取付部68とボルトボス27Aとの接続領域に、コントロールバルブCVの固定に関与するボルト穴25iと、電動オイルポンプEOPの固定に関与するボルト穴27aとが隣接している。
【0085】
ボルト穴25j、25k、25lは、ボルト穴25iよりも下側で、直線HL2に沿って設けられている。ボルト穴25j、25k、25lは、直線HL2に近接配置されている。
端面681におけるボルト穴25lを囲む領域は、前記したボルトボス27Bに接続している。取付部68とボルトボス27Bとの接続領域に、コントロールバルブCVの固定に関与するボルト穴25lと、電動オイルポンプEOPの固定に関与するボルト穴27bとが隣接している。
【0086】
ボルト穴25m、25n、25oは、ボルト穴25lよりも下側で、直線HL4に沿って設けられている。ボルト穴25m、25n、25oは、直線HL4の上側で、直線HL4に近接配置されている。
直線HL4は、電動オイルポンプEOPの下端(図4参照)に沿う直線である。直線HL4は、前記した直線HL1、HL2、HL3、HL5に対して平行である。
【0087】
また、取付部68の端面681では、前記したボルト穴25c~25oの他に、溝682や穴683が形成されている。これら溝682や穴683は、コントロールバルブCVの取り付け後に、コントロールバルブCVとの間に油路を形成する。
【0088】
ここで、電動オイルポンプEOPの駆動時には、電動オイルポンプEOPの駆動に起因する振動が、ボルトボス27(27A~27D)からケース6(収容部65の底壁部66)に伝播する。ケース6に伝播した振動でコントロールバルブCVが振動すると、コントロールバルブCVが調圧する作動油圧に影響が及ぶ可能性がある。
【0089】
本実施形態では、電動オイルポンプEOPからケース6に伝播した振動の影響が、コントロールバルブCVに及ぶ程度を抑えるために、ケース6の底壁部66におけるボルト穴25(25a~25o)の分布と密度を工夫している。
電動オイルポンプEOPの振動は、ケース6(底壁部66)における電動オイルポンプEOPの締結点Ta~Td(図6参照)からケース6に伝播する。
そのため、コントロールバルブCVが取り付けられる第1領域661では、ボルト穴25(25a~25o)の分布が、電動オイルポンプEOPの取付領域663に近い下部側のほうが、取付領域663から離れた上部側よりも多く、かつ下部側の領域におけるボルト穴の密度が、上部側の領域におけるボルト穴の密度よりも高くなるように設定されている。
【0090】
具体的には、
(A)電動オイルポンプEOPの取り付けに係わるボルトボス27(27A~27D)の側方での、コントロールバルブCVの取り付けに係わるボルト穴の分布が多く、かつボルトボス27(27A~27D)の側方でのボルト穴の密度が、ボルトボス27(27A~27D)の側方を外れた領域よりも高くなるようにしている。
【0091】
図5に示すように、本実施形態では、電動オイルポンプEOPの取り付けに係わるボルト穴27a、27cを通る直線HL1に沿って、コントロールバルブCVの取り付けに係わるボルト穴25h、25iを配置すると共に、電動オイルポンプEOPの取り付けに係わるボルト穴27b、27dを通る直線HL2に沿って、コントロールバルブCVの取り付けに係わるボルト穴25j、25k、25lを配置する。
さらに、少なくとも、直線HL1よりも下側の領域R1でのボルト穴25h~25oの総数(8箇所)が、直線HL1よりも上側の領域R1’でのボルト穴25a~25gの総数(7箇所)よりも多くなるようにしている。
【0092】
そして、図5に示すように、本実施形態では、直線HL1よりも下側の領域R1と、直線HL1よりも上側の領域R1’との高さ比が、大凡1:2である。
そうすると、直線HL1よりも下側の領域R1でのボルト穴25h~25oの総数(8箇所)が、直線HL1よりも上側の領域R1’でのボルト穴25a~25gの総数(7箇所)よりも多いので、直線HL1よりも下側の領域R1におけるボルト穴25h~25oの密度が、直線HL1よりも上側の領域R1’でのボルト穴25a~25gの密度よりも高くなっている。
【0093】
(B)上記(A)に加えて、直線HL1に沿って複数のボルト穴25h、25iを並べると共に、直線HL2に沿って複数のボルト穴25j、25k、25lを並べる。
コントロールバルブCVの取り付けに係わるボルト穴25i、25lを、電動オイルポンプEOPの取り付けに係わるボルトボス27A、27B(ボルト穴27a、27b)に近接配置する。
【0094】
(C)上記(A)と(B)の少なくとも一方の構成に加えて、動力伝達装置1の車両Vへの設置状態を基準とした鉛直線VL方向(図6における上下方向)で、複数の作動弁(調圧弁、制御弁、切替弁、そしてソレノイド)の間に、ボルト穴25h、25iと、ボルト穴25j、25k、25lが配置されるように、ボルト穴25h、25iの位置と、ボルト穴25j、25k、25lの位置を設定する。
【0095】
(D)上記(A)、(B)、(C)のうちの少なくとも1つの構成に加えて、車両前方側から見て、コントロールバルブCVのオーバハング領域Rwに、ボルト穴25gが配置されるように、ボルト穴25gの位置を設定する。
鉛直線VL方向から見て、電動オイルポンプEOPの取り付けに係わるボルト穴27aの位置と、コントロールバルブCVの取り付けに係わるボルト穴25g位置とが、近接するように、ボルト穴27a、25gの位置を設定する。
【0096】
(E)上記(A)、(B)、(C)、(D)のうちの少なくとも1つの構成に加えて、
コントロールバルブCVの切欠部923の上辺に沿う直線HL5に沿って、コントロールバルブCVの取り付けに係わるボルト穴25d、25eを設定する。
【0097】
このように、コントロールバルブCVでは、動力伝達装置1の回転軸Xに沿う車幅方向(図5における左右方向)から見て、電動オイルポンプEOPが配置される切欠部923と重なる領域(図中、領域R3)内でのボルト穴25d~25oの総数(12箇所)が、重ならない領域(図中、領域R3’)内でのボルト穴25a~25cの総数(3箇所)よりも多くなるようにした。
【0098】
そして、図5に示すように、本実施形態では、直線HL5よりも下側の領域R3と、直線HL5よりも上側の領域R3’との高さ比が、大凡1:0.6である。
そうすると、直線HL5よりも下側の領域R3でのボルト穴25d~25oの総数(12箇所)が、直線HL5よりも上側の領域R3’でのボルト穴25a~25cの総数(3箇所)よりも多いので、直線HL5よりも下側の領域R3におけるボルト穴25d~25oの密度を、直線HL5よりも上側の領域R3’でのボルト穴25a~25cの密度よりも高くしている。
【0099】
また、電動オイルポンプEOPと重なる領域(図中、領域R2)内でのボルト穴25f~25oの総数(10箇所)が、重ならない領域(図中、領域R2’)内でのボルト穴25a~25eの総数(5箇所)よりも多くなるようにした。
【0100】
そして、図5に示すように、本実施形態では、直線HL3よりも下側の領域R2と、直線HL3よりも上側の領域R2’との高さ比が、大凡1:0.9である。
そうすると、直線HL3よりも下側の領域R2でのボルト穴25f~25oの総数(10箇所)が、直線HL3よりも上側の領域R2’でのボルト穴25a~25eの総数(5箇所)よりも多いので、直線HL3よりも下側の領域R2におけるボルト穴25f~25oの密度を、直線HL3よりも上側の領域R2’での締結点(Pa~Pe)の密度よりも高くしている。
【0101】
さらに、より好ましくは、電動オイルポンプEOPと重なる領域であって、電動オイルポンプEOPの振動が直接作用する点を通る直線HL1よりも下部側の領域(図中、領域R1)内でのボルト穴25h~25oの総数(8箇所)が、直線HL1よりも上部側の領域(図中、領域R1’)内でのボルト穴25a~25gの総数(7箇所)よりも多くなるようにした。
【0102】
そして、図5に示すように、本実施形態では、直線HL1よりも下側の領域R1と、直線HL1よりも上側の領域R1’との高さ比が、大凡1:2である。
そうすると、直線HL1よりも下側の領域R1でのボルト穴25h~25oの総数(8箇所)が、直線HL1よりも上側の領域R1’でのボルト穴25a~25gの総数(7箇所)よりも多いので、直線HL1よりも下側の領域R1におけるボルト穴25h~25oの密度を、直線HL1よりも上側の領域R1’でのボルト穴25a~25gの密度よりも高くしている。
【0103】
このようにコントロールバルブCVの取り付けに係わるボルト穴の分布と密度を設定することで、電動オイルポンプEOPの振動のコントロールバルブCVへの伝播を好適に抑制できるようにしている。
【0104】
図7は、収容室S2に収容されたコントロールバルブCVと電動オイルポンプEOPを、車両後方側から見た模式図である。
この図7では、コントロールバルブCVのケース6(底壁部66)への取付面であるセパレートプレート920の領域に交差したハッチングを付して示している。
さらに、コントロールバルブCVの貫通孔14(14a~14o)と、電動オイルポンプEOPの貫通孔18(18a~18d)を太線で示している。
貫通孔14(14a~14o)は、コントロールバルブCVをケース6(底壁部66)に固定するためのボルト15(15a~15o)が貫通する貫通孔である。貫通孔18(18a~18d)は、電動オイルポンプEOPをケース6(底壁部66)に固定するためのボルト16(16a~16d)が貫通する貫通孔である。
貫通孔14(14a~14o)の中心は、前記したボルト15a~15oの締結点Pa~Poに相当する。
【0105】
前記したコントロールバルブCVの締結点の分布を実現するために、コントロールバルブCVにおける底壁部66との対向部では、ボルト15a~15oの貫通孔14(14a~14o)が開口している。
【0106】
具体的には、
(A)電動オイルポンプEOPの締結点Ta~Td(貫通孔18a~18d)の側方での、コントロールバルブCVの取り付けに係わる貫通孔14の分布が多く、かつ締結点Ta~Td(貫通孔18a~18d)の側方での貫通孔14(14a~14o)の密度が、締結点Ta~Tdの側方を外れた領域よりも高くなるようにしている。
図7に示すように、本実施形態では、電動オイルポンプEOPの取り付けに係わる締結点Ta、Tc(貫通孔18a、18c)を通る直線HL1に沿って、コントロールバルブCVの貫通孔14h、14iを配置すると共に、電動オイルポンプEOPの取り付けに係わる締結点Tb、Td(貫通孔18b、18d)を通る直線HL2に沿って、コントロールバルブCVの取り付けに係わる貫通孔14j、14k、14lを配置する。
さらに、少なくとも、直線HL1よりも下側の領域R1での貫通孔14h~14oの総数(8箇所)が、直線HL1よりも上側の領域R1’での貫通孔14a~14gの総数(7箇所)よりも多くなるようにしている。
【0107】
そして、図7に示すように、本実施形態では、直線HL1よりも下側の領域R1と、直線HL1よりも上側の領域R1’との高さ比が、大凡1:2である。
そうすると、直線HL1よりも下側の領域R1での貫通孔14h~14oの総数(8箇所)が、直線HL1よりも上側の領域R1’での貫通孔14a~14gの総数(7箇所)よりも多いので、直線HL1よりも下側の領域R1における貫通孔14h~14oの密度が、直線HL1よりも上側の領域R1’での貫通孔14a~14gの密度よりも高くなっている。
【0108】
(B)上記(A)に加えて、直線HL1に沿って貫通孔14h、14iを並べると共に、直線HL2に沿って複数の貫通孔14j、14k、14lを並べる。
貫通孔14i、14lを、電動オイルポンプEOPの取り付けに係わる締結点Ta、Tb(貫通孔18a、18b)に近接配置する。
【0109】
(C)上記(A)と(B)の少なくとも一方の構成に加えて、動力伝達装置1の車両Vへの設置状態を基準とした鉛直線VL方向(図6における上下方向)で並んだ複数の作動弁(調圧弁、制御弁、切替弁、そしてソレノイド)の間に、貫通孔14h、14iと、貫通孔14j、14k、14lが配置されるように、貫通孔14h、14iの位置と、貫通孔14j、14k、14lの位置を設定する。
【0110】
(D)上記(A)、(B)、(C)のうちの少なくとも1つの構成に加えて、コントロールバルブCVのオーバハング領域Rwに、貫通孔14gが配置されるように、貫通孔14gの位置を設定する。
鉛直線VL方向から見て、電動オイルポンプEOPの取り付けに係わる締結点Taと、コントロールバルブCVの貫通孔14gとが近接するように、貫通孔14の位置を設定する。
【0111】
(E)上記(A)、(B)、(C)、(D)のうちの少なくとも1つの構成に加えて、
コントロールバルブCVの切欠部923の上辺に沿う直線HL5に沿って、貫通孔14d、14eを設定する。
【0112】
このように、コントロールバルブCVでは、動力伝達装置1の回転軸Xに沿う車幅方向(図5における左右方向)から見て、電動オイルポンプEOPが配置される切欠部923と重なる領域(図中、領域R3)内での貫通孔14d~14oの総数(12箇所)が、重ならない領域(図中、領域R3’)内での貫通孔14a~14cの総数(3箇所)よりも多くなるようにした。
【0113】
ぞして、図7に示すように、本実施形態では、直線HL5よりも下側の領域R3と、直線HL5よりも上側の領域R3’との高さ比が、大凡1:0.6である。
そうすると、直線HL5よりも下側の領域R3での貫通孔14d~14oの総数(12箇所)が、直線HL5よりも上側の領域R3’での貫通孔14a~14cの総数(3箇所)よりも多いので、直線HL5よりも下側の領域R3における貫通孔14d~14oの密度を、直線HL5よりも上側の領域R3’での貫通孔14a~14cの密度よりも高くしている。
【0114】
また、電動オイルポンプEOPと重なる領域(図中、領域R2)内での貫通孔14f~14oの総数(10箇所)が、重ならない領域(図中、領域R2’)内での貫通孔14a~14eの総数(5箇所)よりも多くなるようにした。
【0115】
そして、図7に示すように、本実施形態では、直線HL3よりも下側の領域R2と、直線HL3よりも上側の領域R2’との高さ比が、大凡1:0.9である。
そうすると、直線HL3よりも下側の領域R2での貫通孔14f~14oの総数(10箇所)が、直線HL3よりも上側の領域R2’での貫通孔14a~14eの総数(5箇所)よりも多いので、直線HL3よりも下側の領域R2における貫通孔14f~14oの密度を、直線HL3よりも上側の領域R2’での貫通孔14a~14eの密度よりも高くしている。
【0116】
さらに、より好ましくは、電動オイルポンプEOPと重なる領域であって、電動オイルポンプEOPの振動が直接作用する点を通る直線HL1よりも下部側の領域(図中、領域R1)内での貫通孔14h~14oの総数(8箇所)が、直線HL1よりも上部側の領域(図中、領域R1’)内での貫通孔14a~14gの総数(7箇所)よりも多くなるようにした。
【0117】
そして、図7に示すように、本実施形態では、直線HL1よりも下側の領域R1と、直線HL1よりも上側の領域R1’との高さ比が、大凡1:2である。
そうすると、直線HL1よりも下側の領域R1での貫通孔14h~14oの総数(8箇所)が、直線HL1よりも上側の領域R1’での貫通孔14a~14gの総数(7箇所)よりも多いので、直線HL1よりも下側の領域R1における貫通孔14h~14oの密度を、直線HL1よりも上側の領域R1’での貫通孔14a~14gの密度よりも高くしている。
【0118】
このようにコントロールバルブCVの取り付けに係わる貫通孔14の分布と密度を設定することで、電動オイルポンプEOPの振動のコントロールバルブCVへの伝播を好適に抑制できるようにしている。
【0119】
図8は、変形例を説明する図である。
電動オイルポンプEOPは、ポンプ部933の部分で振動が生じやすい傾向がある。
そこで、図8に示すようにポンプ部933に外挿されるブラケットBKを設けて、ブラケットBKをボルト16e、16fで底壁部66に固定するようにしても良い。
このように構成すると、電動オイルポンプEOPの振動を抑えることができる。これにより、電動オイルポンプEOPの振動のコントロールバルブCVへの伝播を好適に抑制できる。
【0120】
以上の通り、本実施形態にかかる車両用の動力伝達装置1のケース6(変速機ケース)は、以下の構成を有する。
(1)ケース6(変速機ケース)は、コントロールバルブCVおよび電動オイルポンプEOP(ポンプ)の支持壁となる底壁部66を有する。
底壁部66(支持壁)は、
コントロールバルブCVが取り付けられる第1領域661と、電動オイルポンプEOP(ポンプ)が取り付けられる第2領域662と、を有している。
第1領域661と第2領域662は、動力伝達装置1(変速機)の回転軸Xに沿う水平線方向に並んでいる。
底壁部66におけるコントロールバルブCVの締結点Pa~Poは、水平線方向から見て電動オイルポンプEOPに重なる領域R2にある締結点Pf~Poの総数(10箇所)のほうが、電動オイルポンプEOPに重ならない領域R2’にある締結点Pa~Peの総数(5箇所)よりも多い。
電動オイルポンプEOPに重なる領域R2にある締結点Pf~Poの密度は、電動オイルポンプEOPに重ならない領域R2’にある締結点Pa~Peの密度よりも高い。
【0121】
電動オイルポンプEOPの駆動時には、ポンプ部933の駆動に起因して振動が発生する。電動オイルポンプEOPとコントロールバルブCVとが、共通の支持壁となる底壁部66に支持されていると、電動オイルポンプEOPで発生する振動が、底壁部66を介してコントロールバルブCVに伝播する可能性がある。
コントロールバルブCVが伝播した振動で振動すると、コントロールバルブCVから出力される油圧(作動油圧)に、振動に起因する振れが生じて、いわゆる油振が生じる可能性がある。かかる場合、作動油圧により駆動する動力伝達機構(例えば、バリエータ3)の動作に影響が及ぶ可能性がある。
【0122】
電動オイルポンプEOPの振動は、底壁部66における電動オイルポンプEOPの締結点Ta~Tdから底壁部66に作用する。底壁部66では、電動オイルポンプEOPの締結点Ta~Tdに近い領域(電動オイルポンプEOPの支持に係わる領域)ほど、振動による影響を受けやすい。
そのため、底壁部66では、動力伝達装置1(変速機)の回転軸Xに沿う水平線方向から見たときに電動オイルポンプEOPと重なる領域、すなわち電動オイルポンプEOPの締結点Ta~Tdに近い領域でのコントロールバルブCVの締結点を増やすと共に、締結点の密度を増やしている。これにより、コントロールバルブCVに伝播する電動オイルポンプEOPの振動を抑えている。
【0123】
本実施形態にかかる車両用の動力伝達装置1のコントロールバルブCVは、以下の構成を有する。
(2)コントロールバルブCVは、動力伝達装置1のケース6(変速機ケース)の底壁部66(支持壁)に、電動オイルポンプEOP(ポンプ)と共に取り付けられる。
底壁部66においてコントロールバルブCVと電動オイルポンプEOPは、動力伝達装置1(変速機)の回転軸Xに沿う水平線方向に並んでいる。
コントロールバルブCVの底壁部66に対する締結点Pa~Poは、水平線方向から見て電動オイルポンプEOPに重なる領域R2にある締結点Pf~Poの総数(10箇所)のほうが、電動オイルポンプEOPに重ならない領域R2’にある締結点Pa~Peの総数(5箇所)よりも多い。
電動オイルポンプEOPに重なる領域R2にある締結点Pf~Poの密度は、電動オイルポンプEOPに重ならない領域R2’にある締結点Pa~Peの密度よりも高い。
【0124】
このように構成すると、コントロールバルブCVに伝播する電動オイルポンプEOPの振動を抑えることができる。
【0125】
本実施形態にかかる車両用の動力伝達装置1(変速機)は、以下の構成を有する。
(3)動力伝達装置1は、
動力伝達機構(変速機構)に供給する油圧を制御するコントロールバルブCVと、
コントロールバルブCVにオイルOLを供給する電動オイルポンプEOP(ポンプ)と、
コントロールバルブCVと電動オイルポンプEOPの支持壁となる底壁部66を有するケース6(変速機ケース)と、を備える。
底壁部66においてコントロールバルブCVと電動オイルポンプEOPは、動力伝達装置1の回転軸Xに沿う水平線方向に並んでいる。
底壁部66におけるコントロールバルブCVの締結点Pa~Poは、水平線方向から見て電動オイルポンプEOPに重なる領域R2にある締結点Pf~Poの総数(10箇所)のほうが、電動オイルポンプEOPに重ならない領域R2’にある締結点Pa~Peの総数(5箇所)よりも多い。
電動オイルポンプEOPに重なる領域R2にある締結点Pf~Poの密度は、電動オイルポンプEOPに重ならない領域R2’にある締結点Pa~Peの密度よりも高い。
【0126】
このように構成すると、コントロールバルブCVに伝播する電動オイルポンプEOPの振動を抑えることができる。
【0127】
(4)コントロールバルブCVは、作動弁(調圧弁97、制御弁98、切替弁99、そしてソレノイド96)を鉛直線VL方向に沿う上下方向に並べる向きで底壁部66(支持壁)に取り付けられている。
電動オイルポンプEOPは、回転軸Z1を上下方向に沿わせた向きで底壁部66に取り付けられている。
ソレノイド96a、96b、96cは、水平線方向から見て、電動オイルポンプEOPに重なる位置関係で設けられている。
【0128】
このように構成すると、コントロールバルブCVのソレノイド96a、96b、96cは、水平線方向から見て電動オイルポンプEOPに重なる領域R2(図6参照)に位置している。
コントロールバルブCVでは、ソレノイド96が配置される領域の厚みが、内部に収容する弁体(図示せず)の厚みの分だけ、他の領域よりも厚くなる。
そのため、コントロールバルブCVでは、ソレノイド96が上下方向に並んだ領域の剛性が、他の領域よりも剛性が高くなっており、電動オイルポンプEOPの振動が伝播しても、振動の影響を受け難くなる。
コントロールバルブCVにおける電動オイルポンプEOPの振動が伝播する領域にソレノイド96を配置することで、コントロールバルブCVに伝播する電動オイルポンプEOPの振動の影響を抑えることができる。
【0129】
(5)ソレノイド96(96a~96d)は、上下方向に間隔を開けて並んでいる。
ソレノイド96a、96b、96d、96cと、コントロールバルブCVの底壁部66に対するボルト15(15c~15o)の締結点P(Pc~Po)が、上下方向で交互に配置されている。
【0130】
このように構成すると、車両前方側から見ると、締結点Pm、Pn、Poと、ソレノイド96aと、締結点Pj、Pk、Plと、ソレノイド96bと、締結点Ph、Piと、ソレノイド96cと、締結点Pf、Pgと、が上下方向で交互に配置される(図6参照)。
これにより、コントロールバルブCVでは、ボルト15による締結点と、剛性の高いソレノイド96の領域と、が上下方向に交互に並ぶことになる。そのため、コントロールバルブCVは、剛性の高いソレノイド96の領域の間が底壁部66に固定されることで、電動オイルポンプEOPの振動がコントロールバルブCVに伝播しても、振動の影響を受け難くなる。
【0131】
(6)水平線方向から見て、コントロールバルブCVの底壁部66に対するボルト15の締結点Ph、Piと、電動オイルポンプEOPの底壁部66に対するボルト16の締結点Ta、Tcとが、重なる位置関係に設定されている。
水平線方向から見て、コントロールバルブCVの底壁部66に対するボルト15の締結点Pj、Pk、Plと、電動オイルポンプEOPの底壁部66に対するボルト16の締結点Tb、Tdとが、重なる位置関係に設定されている。
【0132】
電動オイルポンプEOPの振動は、電動オイルポンプEOPの底壁部66に対するボルト16の締結点Ta、Tb、Tc、Tdから、底壁部66に入力される。
そのため、コントロールバルブCVの締結点Ph、Piと電動オイルポンプEOPの締結点Ta、Tc、そしてコントロールバルブCVの締結点Pj、Pk、Plと電動オイルポンプEOPの締結点Tb、Tdが、水平線方向から見て重なる位置関係に設定されていることで、締結点Ta、Tb、Tc、Tdから、水平線方向に沿ってコントロールバルブCVに伝播する振動で、コントロールバルブCVが大きく振動することを好適に防止できる。
【0133】
特に、コントロールバルブCVの締結点Pi、Plと、電動オイルポンプEOPの締結点Ta、Tcを近接配置することで、電動オイルポンプEOPの振動の作用点の近くで、コントロールバルブCVの振動を抑えることができる。これにより、コントロールバルブCVの支持安定性を向上させて、電動オイルポンプEOPから伝播する振動の影響を抑えることができる。
【0134】
(7)動力伝達装置1の車両Vへの設置状態を基準とした鉛直線VLに沿う上下方向から見て、コントロールバルブCVは、電動オイルポンプEOPに重なる位置まで及ぶオーバハング領域Rwを有している。
オーバハング領域Rwに、コントロールバルブCVの底壁部66に対するボルト15の締結点Pgが設けられている。
【0135】
電動オイルポンプEOPの締結点Ta~Tdから底壁部66に作用した振動は、締結点Ta~Tdから底壁部66を伝播する。
オーバハング領域Rwは、電動オイルポンプEOPの上側に位置している。そのため、オーバハング領域Rwに、コントロールバルブCVの締結点Pgを設定すると、電動オイルポンプEOPから上側に伝播する振動の影響が、コントロールバルブCVに及ぶことを好適に抑制できる。
【0136】
前記した実施形態では、締結点の密度の説明において、コントロールバルブCVの高さ方向の比率を一例に挙げて説明をした。高さ方向の比率は、密度の違いを説明する上での一例に過ぎない。車両前方側から見たときのコントロールバルブCVの面積比率で、締結点の密度を決定するようにしても良い。また、前記した実施形態では、締結点の説明において、コントロールバルブCVのボルト15(15a~15o)による締結点Pa~Poのうち、電動オイルポンプEOPが位置する下部側に位置する締結点の総数が、上部側に位置する締結点の総数よりも多く、かつ下部側の領域における締結点の密度が、上部側の領域における締結点の密度よりも高くなるように設定されている場合について説明した。しかし、電動オイルポンプEOPが位置する下部側に位置する締結点の総数が、上部側に位置する締結点の総数よりも必ずしも多い必要はなく、密度が高くなるように設定されていれば良い。
【0137】
前記した実施形態では、動力伝達装置1がエンジンENGの回転を駆動輪WH、WHに伝達する場合を例示したが、動力伝達装置1は、エンジンENGとモータ(回転電機)のうちの少なくとも一方の回転を駆動輪WH、WHに伝達するものであっても良い。例えば、1モータ、2クラッチ式(エンジンENGと動力伝達装置の間にモータが配置され、エンジンENGとモータの間に第1のクラッチが配置され、動力伝達装置1内に第2のクラッチが配置された形式)の動力伝達装置であっても良い。
また、前記した実施形態では、動力伝達装置1が変速機能を有している場合を例示したが、動力伝達機構は変速機能を持たず、単に減速する(増速であってもよい)ものであっても良い。動力伝達装置が変速機能を有しておらず、動力伝達装置が、モータの回転を減速して駆動輪WH、WHに伝達する構成である場合には、モータの冷却用のオイルOLと、減速機構の潤滑用のオイルOLを供給するための油圧制御回路を、電動オイルポンプEOP共に、収容室S2に配置することになる。また、前記した実施形態では、動力伝達装置1のコントロールユニットがコントロールバルブCVを備えた場合を例示したが、動力伝達装置1が、変速機構を持たず、また、駆動源がエンジンENGではなく、モータ(回転電気)の場合にあっては、モータを駆動制御するインバータ等を備えたコントロールユニットであっても良い。
【0138】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は、これら実施形態に示した態様のみに限定されるものではない。発明の技術的な思想の範囲内で、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0139】
1 動力伝達装置(動力伝達機構)
2 前後進切替機構(動力伝達機構)
3 バリエータ(動力伝達機構)
4 減速機構(動力伝達機構)
5 差動装置(動力伝達機構)
6 ケース(変速機ケース)
66 底壁部(支持壁)
661 第1領域
662 第2領域
923 切欠部
96(96a~96d) ソレノイド(作動弁)
97(97a~97b) 調圧弁(作動弁)
98(98a、98b) 制御弁(作動弁)
99 切替弁(作動弁)
CV コントロールバルブ
EOP 電動オイルポンプ(ポンプ)
HS ハウジング(変速機ケース)
R2 電動オイルポンプに重なる領域
R2’ 電動オイルポンプに重ならない領域
Rw オーバハング領域
T/C トルクコンバータ(動力伝達機構)
Pa~Po コントロールバルブの締結点
Ta~Td 電動オイルポンプ(ポンプ)の締結点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8